JP6446847B2 - 竪型粉砕機の運転方法及び竪型粉砕機 - Google Patents
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Description
竪型粉砕機は、被粉砕物(本明細書においては単に原料と称することもある)を効率的に粉砕することができるという優れた特性を備えている。
原料の性状が刻々と変化する条件下で運転を行う場合に、変化する状況に合わせて細かく対応し、振動の発生を抑制するためには、その都度、装置を停止させてダムリングの高さを調整しなければならず、手間と時間を要した。また、この方法では、突発的な状況の変化による異常振動等に対しての対応は難しい。
何故なら 原料層は、粉体であるから、通常、その内部に空気を取り込んだ状態となっている。そして、粉体の一般的な性質として、粉体層を形成する粉体の径が小さくなればなるほど、その中に多量の空気を抱え込みやすくなる。
言い換えれば、原料を細かに微粉砕しようとすれば、回転テーブル上の原料層(粉体層)について、粒径の小さな細かな原料を多く含むようになり、空隙率の高い、所謂、嵩高い状態(嵩比重が小さい、嵩密度としては低い状態)になる。
そして、竪型粉砕機の運転中において、回転テーブル上で粉砕される被粉砕物と粉砕ローラが滑りやすい状態になると、粉砕ローラによる原料の噛み込み能力が落ちて粉砕効率が低下するとともに、スティックスリップ現象等が誘発されて、異常振動を引き起こす可能性が高くなるということが知られている。言い換えれば、粉砕ローラと原料層の間の摩擦係数を増加させることによって、振動の低減が期待できる。
つまり、原料層の圧密荷重を増加させると、見かけ上、原料層の摩擦係数が徐々に増加する傾向にあることがわかる。
原料層の中に抱え込んだ空気が脱気されて嵩比重が増加することにより、摩擦係数が増加しているものと考えられる。
なお、竪型粉砕機の機内で、繰り返し粉砕される原料は、当業者に循環原料と称されるものである。
特許文献1に開示の従来技術は、補助ローラを用いて回転テーブル上の原料層を脱気し、一旦、圧密化することによって、粉砕ローラに原料を効率良く噛み込ませるという技術である。
補助ローラを使用して原料を圧密してから後粉砕ローラで粉砕する場合、原料が圧密されることにより、原料の中にあるガスが脱気されて、粉砕ローラがスリップしにくくなるという作用効果を奏するものと考えられる。
(1) 粉砕ローラ、脱気ローラ、及び回転テーブルを備えて、回転テーブル上に投入した原料をスイングレバーに取り付けた脱気ローラで圧密してから粉砕ローラで粉砕する竪型粉砕機において、脱気ローラが回転テーブルに対して近接又は離間するようスイングレバーを搖動可能に軸支し、前記スイングレバーの上部と竪型粉砕機のケーシングの間であって、スイングレバーが搖動した際に竪型粉砕機のケーシングとスイングレバーが近接又は離間する部位に、スイングレバーを搖動させて脱気ローラを回転テーブル側に押圧するためのアクチュエータを配するとともに、スイングレバーに設けた当接部に当接し、脱気ローラが回転テーブルに対して近接する方向側への移動を制限することにより、脱気ローラと回転テーブルの間の隙間の寸法を調整する隙間寸法調整装置を配するとともに、隙間寸法調整装置を油圧ジャッキ又は油圧シリンダとし、隙間寸法調整装置の長さを竪型粉砕機の運転中に伸縮させることによって、脱気ローラで原料を圧密する際に、隙間寸法調整装置を、スイングレバーに設けた当接部に当接し続けさせることにより、脱気ローラと回転テーブルの間の隙間の寸法が所望する値になるよう制御する。
図1から図7は本発明の実施形態を説明するための図に係わり、その好ましい例を示したものであって、図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する図である。
図2は脱気ローラと粉砕ローラの設置状態を説明する図であり、図2(1)は回転テーブル上における脱気ローラと粉砕ローラの配置を示し、図2(2)及び図2(3)は粉砕ローラと脱気ローラがそれぞれ押圧機構に取り付けられた状態の図を示す。
図3は脱気ローラ押圧機構と隙間設定機構を説明する図であり、図4は隙間設定機構の構造を説明する図であって、図4(1)は隙間設定機構を示し、図4(2)は隙間設定機構を構成する隙間寸法調整装置、図4(3)は当接部の構成を示す図である。
図5は油圧ジャッキタイプの隙間寸法調整装置に使用した油圧機構を説明する図であり、図6は油圧シリンダタイプの隙間調寸法整装置に使用した油圧機構を説明する図である。
図7は脱気ローラ押圧機構に使用した押圧シリンダを説明する図である。
図10は、原料層における見かけ上の摩擦係数、圧密荷重の大きさ、及び原料層の厚みの関係を示す参考図であり、図11は設定隙間寸法と竪型粉砕機性能の関係を示す図である。
図12は、スイングレバーストッパの構造を説明する図である。
図1に示した竪型粉砕機1は、竪型粉砕機1の外郭を形成する上部ケーシング1B、下部ケーシング1A、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2B、駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、並びに、コニカル型の粉砕ローラ3とコニカル型の脱気ローラ5を備えている。また、竪型粉砕機1は、駆動モータ2Mの駆動用電源として図示しないインバータ電源を備えて、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意に変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
図2(2)に粉砕ローラ3の押圧機構を示す。竪型粉砕機1の運転中に、粉砕ローラ3を軸支するアームが油圧シリンダにより強力に引っ張られることによって、粉砕ローラ3を回転テーブル2側に押し付ける方向の力を発生させる。
なお、第1実施形態の特徴となる脱気ローラ押圧機構10、並びに、隙間設定機構12の詳細については後述する。
なお、原料投入シュート35は、一般的に、センターシュートと称されることもあるものである。また、粉砕の挙動については後述するが、原料投入シュート35から回転テーブル2上に供給された原料の多くは、脱気ローラ5で圧密された後、粉砕ローラ3により粉砕される。
なお、固定式の一次分級羽根24は、一般的に、ガイドベーンと称されることもあるものであり、回転式の回転分級羽根23は、回転ベーンと称されることもあるものである。
図3に示したように、脱気ローラ5のローラ軸10Bは、スイングレバー10Aの中を挿通するように配されて、スイングレバー10Aの中に配した図示しない軸受により軸支されている。脱気ローラ5は、スイングレバー10Aに軸支されることによって、回転テーブルの回転に合わせて自在に回転できる。
図3に脱気ローラ押圧機構10の構造を示す。
脱気ローラ押圧機構10を構成するスイングレバー10Aは、脱気ローラ5を挿通させた本体部分を中心にして、脱気ローラ5を取り付けた側の反対側から上下方向に伸びるアームを有した、所謂、T字型の形状になっている。
いる。
押圧シリンダ10Fの油室Bに圧油が供給されることによって、スイングレバー10Aの上部アームが、上部ケーシング部1B側に強く引っ張られる構造となっている。
しかし、本発明に使用できるアクチュエータはこれに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、例えば、ボールねじを利用した電動モータ式のアクチュエータを利用しても良く、或いは、スプリング式のアクチュエータを利用する等しても良い。
また、脱気ローラ5の重量等により、脱気ローラ5を回転テーブル2側に押し付けて原料層を圧密できる力が十分に確保できる場合にはアクチュエータを使用しなくても良い。
しかし、本発明に使用できるアクチュエータの取り付け方法はこれに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、例えば、スイングレバー10Aの下部アーム等、スイングレバー10Aで軸支した脱気ローラ5が回転テーブル2側に向かって回転しようとする方向の力を発生させる部位にアクチュエータを取り付ければ良い。また、スイングレバー10Aに与える力の方向も、取り付ける部位により適宜選択されるものであって、引っ張り、或いは押圧、特に限定されない。
本発明による第1実施形態では、スイングレバー10Aの本体部分から上方に伸びる上部アーム部分に、隙間設定機構12を配して、スイングレバー10Aの上部アームの動きを制限し、脱気ローラ5と回転テーブル2の間の隙間寸法が所望する寸法以下にならないように制限する。
第1実施形態による隙間設定機構12は、図4(1)に示すように、隙間寸法調整装置13とスイングレバー10Aに設けた当接部14からなり、隙間寸法調整装置13は、取付座1Gを介して上部ケーシング1Bに取り付けられている。なお、隙間寸法調整装置13の取り付けに必要なければ、隙間寸法調整装置13は取付座1Gを介すことなく上部ケーシング1Bに直接取り付けても良い。スイングレバー10Aが回動して上部アームが、竪型粉砕機1の上部ケーシング1Bに近接してきた際に、隙間寸法調整装置13の一部と当接部14が当接し、当接した以降、スイングレバー10Aの上部アームが、さらに、竪型粉砕機1の上部ケーシング1B側に移動することを制限する。
しかし、当接部14が負担する力、スイングレバー10Aの形状、或いは、隙間寸法調整装置13の大きさなどにより、必要ないケースもあり、その場合は、隙間寸法調整装置13の一部を、スイングレバー10Aに直接当接させて、スイングレバー10Aの移動を制限する構造としても良い。
図5に油圧回路等を示すが、油室Aに油(図面上においてはオイルと表記)を供給することにより、調整ロッド13Aの位置を調整できる。
しかし、本発明に使用できる隙間寸法調整装置13の構成はこれに限らず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において変更が可能であって、例えば、図5に示すように、油圧シリンダを伸縮可能な隙間寸法調整装置130としても利用しても良く、或いは、電動サーボモータ式等のアクチュエータを利用しても良く、スイングレバー10Aの回転力を受け止めて、脱気ローラ5が回転テーブル2に対して近接する方向側への移動を制限することがきる構造のものであれば良い。
竪型粉砕機1の機内に外部から投入された新規原料は、原料投入シュート35を介して回転テーブル2上の中心上に供給され、回転テーブル2の回転による影響等を受けることにより、回転テーブル2の中心側から外周側に向かって移動し、その中の多くが、脱気ローラ5で圧密された後、粉砕ローラ3により噛み込まれて粉砕される。
ガスによって吹き上げられた原料の中で、比較的径の大きな原料は、吹き上げられる際において、ガスの流れから逸脱して落下し、環状通路30側、或いは、回転テーブル2上側に、再度、戻る方向に移動する。
なお、環状通路30に達した原料の中で、極端に重量が大きな原料は、環状通路30に達しても、そこで吹き上げられずに、そのまま落下して、竪型粉砕機1の下部にある下部取出口34より機外に排出される。
そして、一次分級羽根24を通過した原料の中で、所望の粒径となった原料は、回転分級羽根23を通過することにより、分級機構26を通過して、原料取出口39から製品として取り出される。
一方、設定隙間σが原料層厚h2より小さすぎる場合は、脱気ローラ5の作用効果が圧密作用ではなく、粉砕作用がメインになる。その結果、脱気ローラ5を配した作用効果が薄れ、振動値等が増加し、電力原単位も悪化する。
したがって、設定隙間σを、原料の性状に合わせて、できる限り最適値に保った状態で運転し続けることが好ましい。
なお、通常は、脱気ローラ5による原料層の押圧力が、原料層を所望する高さまで圧密するに必要な力以上に作用できるようにするため、押圧シリンダ10Fによりスイングレバー10Aに負荷する力は大きめに設定される。
そのため、原料層を所望する高さまで圧密するに必要な以上の力は、原料層に作用することなく、隙間寸法調整装置13の油圧ジャッキと当接部14の間で負担する。
したがって、従来技術と第1実施形態を比較した場合において、従来技術が圧力一定で圧密後の原料層厚みが成り行きなのに対して、本発明による第1実施形態では、圧密後の原料層厚みが設定隙間σになるように制御するものであるから、原料層に負荷される圧力は成り行きとなる。
しかし、従来技術において、隙間寸法を制限する理由は、脱気ローラ5が回転テーブル2に対して直接接触させないようにするためである。
言い換えれば、原料が流れてこないような場合において、脱気ローラ5が回転テーブル2に直接接触(所謂、メタルタッチと呼ばれる状態)して損傷しないようするための安全システムとして使用されるものである。
したがって、本発明による第1実施形態のように、圧密の度合いを積極的に制御するために設けられたものではなく、運転中に、設定隙間σの寸法を変更できる構成のものとはなっていない。
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
5 脱気ローラ
10 脱気ローラ押圧機構
10A スイングレバー
10B ローラ軸
10C スイングレバー軸
10F 押圧シリンダ
12 隙間設定機構
13 隙間寸法調整装置(油圧ジャッキタイプ)
13A 調整ロッド
13B 調整シリンダ
14 当接部
14A 当接ヘッド
14B 当接台座
15 支持台
22 内部コーン
23 回転分級羽根
24 一次分級羽根
25 回転軸
26 分級機構
27 ダムリング
1A 下部ケーシング
1B 上部ケーシング
30 環状通路(環状空間部)
33 ガス供給口
35 原料投入シュート
35A 原料投入口
39 原料取出口
130 隙間寸法調整装置(油圧シリンダタイプ)
130A 調整ロッド
130B 調整シリンダ
Claims (2)
- 粉砕ローラ、脱気ローラ、及び回転テーブルを備えて、回転テーブル上に投入した原料をスイングレバーに取り付けた脱気ローラで圧密してから粉砕ローラで粉砕する竪型粉砕機において、
脱気ローラが回転テーブルに対して近接又は離間するようスイングレバーを搖動可能に軸支し、
前記スイングレバーの上部と竪型粉砕機のケーシングの間であって、スイングレバーが搖動した際に竪型粉砕機のケーシングとスイングレバーが近接又は離間する部位に、
スイングレバーを搖動させて脱気ローラを回転テーブル側に押圧するためのアクチュエータを配するとともに、スイングレバーに設けた当接部に当接し、脱気ローラが回転テーブルに対して近接する方向側への移動を制限することにより、脱気ローラと回転テーブルの間の隙間の寸法を調整する隙間寸法調整装置を配するとともに、
隙間寸法調整装置を油圧ジャッキ又は油圧シリンダとし、隙間寸法調整装置の長さを竪型粉砕機の運転中に伸縮させることによって、
脱気ローラで原料を圧密する際に、隙間寸法調整装置を、スイングレバーに設けた当接部に当接し続けさせることにより、脱気ローラと回転テーブルの間の隙間の寸法が所望する値になるよう制御することを特徴とした竪型粉砕機。 - 粉砕ローラ、脱気ローラ、及び回転テーブルを備えて、回転テーブル上に投入した原料をスイングレバーに取り付けた脱気ローラで圧密してから粉砕ローラで粉砕する竪型粉砕機において、
脱気ローラが回転テーブルに対して近接又は離間するようスイングレバーを搖動可能に軸支し、
前記スイングレバーの上部と竪型粉砕機のケーシングの間であって、スイングレバーが搖動した際に竪型粉砕機のケーシングとスイングレバーが近接又は離間する部位に、
スイングレバーを搖動させて脱気ローラを回転テーブル側に押圧するためのアクチュエータを配するとともに、スイングレバーに当接し、脱気ローラが回転テーブルに対して近接する方向側への移動を制限することにより、脱気ローラと回転テーブルの間の隙間の寸法を調整する隙間寸法調整装置を配するとともに、
隙間寸法調整装置を油圧ジャッキ又は油圧シリンダとし、隙間寸法調整装置の長さを竪型粉砕機の運転中に伸縮させることによって、
脱気ローラで原料を圧密する際に、隙間寸法調整装置を、スイングレバーに当接し続けさせることにより、脱気ローラと回転テーブルの間の隙間の寸法が所望する値になるよう制御することを特徴とした竪型粉砕機。
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