JP5267202B2 - X線管装置 - Google Patents

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この発明は、医用診断用のX線管装置に関する。
連続的にX線を発生させて診断する術式に対して、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式がある。(パルス状のX線を発生させて診断する)後者の術式の場合には、断続的かつ瞬間的に大きな管電圧(すなわち大きなパルス負荷)を加えることで画質を良くし、パルスレートを落として被曝低減を図ることができる。
しかし、後者の術式の場合には、パルス負荷終了後に高圧ケーブルのケーブルチャージ分の電荷の放電で管電圧が徐々に低下し、低管電圧成分(軟X線)を多く含むようになる。本明細書では、この管電圧の下降部分を「波尾」と呼ぶ。この軟X線は被検体を透過せずに、X線画像に寄与せず、被検体への被曝となり、好ましくないX線となる。
そこで、軟X線を遮断する技術として、通常は3極管を用いて波尾のときだけグリッドを効かせて、管電流を遮断する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−003797号公報
しかし、陽極を収容する外囲器が回転するタイプの外囲器回転型のX線管装置では、上述した特許文献1の技術のようにグリッドを効かすことが構造的に非常に難しい。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させないX線管装置を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、電子ビームを発生させる陰極と、その陰極からの電子ビームを偏向させる偏向手段と、その偏向手段によって偏向した電子ビームの衝突によりX線を発生させ、かつ外周部が傾斜部からなり、内周部がフラット部からなり、回転可能に構成された陽極とを備えた回転陽極型のX線管装置であって、前記電子ビームが前記陽極に衝突する位置を前記偏向手段による偏向方向に移動させるように前記偏向手段を制御する偏向制御手段を備え
軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない構造で前記陽極の前記内周部を構成し、X線発生のために負荷を前記X線管装置に加えた場合には、前記偏向制御手段は前記陽極の前記外周部に電子ビームを衝突させるように前記偏向手段を制御するとともに、前記負荷終了後に、前記偏向制御手段は前記陽極の前記内周部に電子ビームを衝突させるように前記偏向手段を制御することを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、外周部が傾斜部からなり、内周部がフラット部からなり、回転可能に構成された陽極を備えた回転陽極型のX線管装置において、電子ビームが陽極に衝突する位置を偏向手段による偏向方向に移動させるように偏向手段を制御する偏向制御手段を備えることで、以下のように軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させないX線管装置を実現することができる。
すなわち、軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成し、X線発生のために負荷をX線管装置に加えた場合には、偏向制御手段は陽極の外周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御するとともに、負荷終了後に、偏向制御手段は陽極の内周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御する
より具体的に述べると、X線発生のために負荷をX線管装置に加えた場合には、陰極から電子ビームが発生し、その陰極からの電子ビームを偏向手段は偏向させる。このとき、偏向制御手段は陽極の外周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御する。したがって、偏向した電子ビームは陽極の外周部に衝突して、通常のX線が発生する。一方、上述した負荷終了後には、チャージ分の電荷の放電で電圧が徐々に低下する。この低下時(すなわち波尾のタイミング)においても陰極から電子ビームが発生し、その陰極からの電子ビームを偏向手段は偏向させる。このとき、偏向制御手段は陽極の内周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御する。したがって、偏向した電子ビームは陽極の内周部に衝突する。この波尾のタイミングでは軟X線が本来発生するが、軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成しているので、負荷をX線管装置に加えた場合には通常のX線を発生させつつ、負荷終了後(波尾のタイミング時)において軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない。
上述した発明の一例は、陽極の内周部が外周部に隣接する部分に内周部を構成するフラット部から一部が突出する段差を設けることで、その段差によって軟X線を遮断する構造で陽極の内周部を構成することである(請求項2に記載の発明)。上述した発明の他の一例は、外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成することである(請求項3に記載の発明)。
後者の一例(請求項3に記載の発明)の場合には、陽極の内周部の表面のみを軟X線が発生し難い物質で形成するとともに、内周部の表面を除く陽極全体を内周部の表面と比較して軟X線が発生し易い物質で形成することで、外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成してもよいし(請求項4に記載の発明)、逆に、陽極の外周部の表面を除く陽極全体を軟X線が発生し難い物質で形成するとともに、陽極の外周部の表面のみを陽極全体と比較して軟X線が発生し易い物質で形成することで、外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成してもよい(請求項5に記載の発明)。
もちろん、陽極の内周部全体を軟X線が発生し難い物質で形成し、陽極の外周部全体を軟X線が発生し易い物質で形成することで、外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成することも可能であるが、陽極全体を互いに異なる物質で構成すると陽極全体の強度が弱くなる恐れがあるし、陽極全体を互いに異なる物質で構成し難いという問題点もある。請求項4に記載の発明の場合には、軟X線が発生し易い物質を主体として、陽極の内周部の表面のみを軟X線が発生し難い物質で形成するのみで、軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成することが可能となり、陽極全体の強度をある程度保つことができる。同様に、請求項5に記載の発明の場合には、軟X線が発生し難い物質を主体として、陽極の外周部の表面のみを軟X線が発生し易い物質で形成するのみで、軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成することが可能となり、陽極全体の強度をある程度保つことができる。
上述したこれらの発明では、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式のときに有用である。すなわち、上述した負荷はパルス負荷であって、パルス負荷を繰り返すごとに、パルス負荷をX線管装置に加えた場合には、偏向制御手段は陽極の外周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御するとともに、パルス負荷終了後に、偏向制御手段は陽極の外周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御する(請求項6に記載の発明)。
この発明に係るX線管装置によれば、外周部が傾斜部からなり、内周部がフラット部からなり、回転可能に構成された陽極を備えた回転陽極型のX線管装置において、負荷終了後に、偏向制御手段は陽極の内周部に電子ビームを衝突させるように偏向手段を制御し、軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成しているので、負荷終了後(波尾のタイミング時)において軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない。
実施例1に係るX線管装置の概略断面図である。 図1との比較のための従来のX線管装置の概略断面図である。 管電圧波形の概略図である。 実施例2に係るX線管装置の概略断面図である。 実施例3に係るX線管装置の概略断面図である。 変形例に係るX線管装置の概略断面図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るX線管装置の概略断面図であり、図2は、図1との比較のための従来のX線管装置の概略断面図であり、図3は、管電圧波形の概略図である。
本実施例1に係る外囲器回転型のX線管装置1は、図1に示すように、管容器2と、それに収容された外囲器3とを備えている。管容器2と外囲器3との間には図示を省略する冷却用の絶縁油が充填されている。外囲器3は真空排気されており、外囲器3内に、電子ビームBを発生させる陰極4と、その陰極4からの電子ビームBを偏向させる偏向コイル5と、その偏向コイル5によって偏向した電子ビームBの衝突によりX線(図1中では「X-ray」で表記)を発生させるターゲットディスクからなる陽極6とを収容して備えている。X線管装置1は、この発明におけるX線管装置に相当し、陰極4は、この発明における陰極に相当し、偏向コイル5は、この発明における偏向手段に相当し、陽極6は、この発明における陽極に相当する。
外囲器3を、後端部分を除いてステンレス鋼などの金属で形成する。後端部分については無機物質を原料として焼結された焼結物(例えば炭素ケイ素や窒化ケイ素)などの絶縁体によって形成している。このように形成することで外囲器3の陰極4側(すなわち後端部分)および陽極6側(すなわち前端部分)を互いに絶縁して構成する。また、陽極6のターゲットディスクへの電子ビームBの衝突によって発生したX線を外部に取り出すために、外囲器3にはX線窓3aを設けている。X線窓3aを、アルミニウム、チタンなどのX線透過性のよい金属で形成する。陰極4をフィラメントで構成する。フィラメントとして、線状のタングステンコイルやタングステン板等のフィラメントを用いる。
外囲器3の陰極4側には回転軸7を挿入し、陽極6にも回転軸8を装着している。ベアリング9を介して各回転軸7,8を回転自在に支持する。陽極6側の回転軸8は外囲器用のモータ10に連結されて回転し、これに伴い外囲器3も回転する。
その他に、本実施例1に係るX線管装置1は、偏向コイル5に流す電流(励磁電流)を制御するコントローラ11を備えており、電子ビームBが陽極6に衝突する位置を偏向方向に移動させるように電流値をコントローラ11が可変に操作することで、偏向コイル5を制御する。このように、電子ビームBが陽極6に衝突する位置を偏向方向に移動させるように偏向コイル5を制御するコントローラ11を備えることで、本実施例1のように軟X線を遮断する、あるいは後述する実施例2,3のように軟X線を発生させないX線管装置1を実現することができる。コントローラ11は、この発明における偏向制御手段に相当する。
次に、陽極6の具体的な構造について、従来の図2と比較しながら説明する。従来の場合、図2に示すように、陽極6のターゲットディスクは、外周部は傾斜部からなり、内周部はフラット部からなる。偏向コイル5によって偏向した電子ビームBを陽極6のターゲットディスク傾斜部に衝突させることで、その衝突箇所からX線が発生する。
図3に示すように、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式の場合、上述したようにパルス負荷終了後に高圧ケーブルのケーブルチャージ分の電荷の放電で管電圧が徐々に低下する。この低下時である波尾(図3の斜線のハッチングを参照)のタイミングにおいて低管電圧成分(軟X線)を多く含む。つまり、この波尾のタイミングにおいても陰極4から電子ビームBが発生して陽極6のターゲットディスク傾斜部に衝突して、陽極6から軟X線が発生する。
そこで、本実施例1の場合、図1に示すように、陽極6の内周部が外周部に隣接する部分に内周部を構成するフラット部から一部が突出する段差6aを設ける。さらに、パルス負荷を繰り返すごとに、パルス負荷をX線管装置1に加えた場合には、コントローラ11は陽極6の外周部であるターゲットディスク傾斜部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御するとともに、パルス負荷終了後(波尾のタイミング時)に、コントローラ11は陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部に電子ビームB(図1の2点鎖線を参照)を衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、波尾のタイミング時には、図1の2点鎖線に示すように電子ビームBは偏向して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部に衝突して、ターゲットディスクフラット部から軟X線が発生するが、段差6aによって遮られる。
図1に示す構造の場合には、パルス負荷時に偏向コイル5に流す電流を、パルス負荷終了後(波尾のタイミング時)において減らすようにコントローラ11が操作することで磁界を弱めて、電子ビームBは、図1の2点鎖線に示すように偏向方向で、かつ内側に移動する。そして、電子ビームBは陽極6のターゲットディスクフラット部に衝突して、ターゲットディスクフラット部から軟X線が発生しても段差6aによって遮られる。したがって、軟X線がX線窓3aから取り出されることはない。
本実施例1に係るX線管装置1によれば、X線発生のために負荷をX線管装置1に加えた場合には、陰極4から電子ビームBが発生し、その陰極4からの電子ビームBを偏向コイル5は偏向させる。このとき、コントローラ11は陽極6の外周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、偏向した電子ビームBは陽極6の外周部に衝突して、通常のX線が発生する。一方、上述した負荷終了後には、チャージ分の電荷の放電で電圧が徐々に低下する。この低下時(すなわち波尾のタイミング)においても陰極4から電子ビームBが発生し、その陰極4からの電子ビームBを偏向コイル5は偏向させる。このとき、コントローラ11は陽極6の内周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、偏向した電子ビームBは陽極6の内周部に衝突する。この波尾のタイミングでは軟X線が本来発生するが、軟X線を遮断する構造で陽極6の内周部を構成しているので、負荷をX線管装置1に加えた場合には通常のX線を発生させつつ、負荷終了後(波尾のタイミング時)において軟X線を遮断する。
本実施例1では、陽極6の内周部が外周部に隣接する部分に内周部を構成するフラット部から一部が突出する段差6aを設けることで、その段差6aによって軟X線を遮断する構造で陽極6の内周部を構成している。また、後述する実施例2や実施例3も含めて、本実施例1では、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置1に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式のときに有用である。すなわち、上述した負荷はパルス負荷であって、パルス負荷を繰り返すごとに、パルス負荷をX線管装置1に加えた場合には、コントローラ11は陽極6の外周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御するとともに、パルス負荷終了後(波尾のタイミング時)に、コントローラ11は陽極6の内周部に電子ビームB(図1の2点鎖線を参照)を衝突させるように偏向コイル5を制御する。
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図4は、実施例2に係るX線管装置の概略断面図である。上述した実施例1と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。また、図4では、コントローラの図示を省略する。
本実施例2に係るX線管装置1では、図4に示すように、上述した実施例1と同様に、管容器2と外囲器3と陰極4と偏向コイル5と陽極6と各回転軸7,8とベアリング9と外囲器用のモータ10とコントローラ11(図1を参照)とを備えている。上述した実施例1と相違して、後述する実施例3も含めて、本実施例2では、実施例1のような段差6a(図1を参照)によって軟X線を遮断する構造を採用せずに、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部を軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造を採用している。
具体的には、外周部であるターゲットディスク傾斜部と比較して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部を軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成する。例えば、ターゲットディスクフラット部の表面のみを銅(図4の符号6Cuを参照)で形成するとともに、ターゲットディスクフラット部の表面を除く陽極6のターゲットディスク全体をタングステン(図4の符号6Wを参照)で形成する。この場合には、外周部であるターゲットディスク傾斜部を含めてターゲットディスク全体を形成するタングステンと比較して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部の表面を形成する銅は、軟X線が発生し難い物質である。したがって、銅,タングステンの組み合わせで陽極6の内周部および外周部をそれぞれ形成する。なお、銅,タングステンの組み合わせに限定されず、軟X線が発生し難い物質,軟X線が発生しやすい物質の組み合わせであればよい。例えば、モリブデン,タングステンの組み合わせであってもよい。
このように、本実施例2では、陽極6の内周部の表面のみを軟X線が発生し難い物質(例えば銅)で形成するとともに、内周部の表面を除く陽極6全体を内周部の表面と比較して軟X線が発生し易い物質(例えばタングステン)で形成することで、外周部と比較して陽極6の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成している。
上述した実施例1と同様に、パルス負荷を繰り返すごとに、パルス負荷をX線管装置1に加えた場合には、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の外周部であるターゲットディスク傾斜部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御するとともに、パルス負荷終了後(波尾のタイミング時)に、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部に電子ビームB(図4の2点鎖線を参照)を衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、波尾のタイミング時には、図4の2点鎖線に示すように電子ビームBは偏向して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部に衝突して、ターゲットディスクフラット部の表面のみを形成する銅によって軟X線を発生させない。
本実施例3に係るX線管装置1によれば、X線発生のために負荷をX線管装置1に加えた場合には、陰極4から電子ビームBが発生し、その陰極4からの電子ビームBを偏向コイル5は偏向させる。このとき、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の外周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、偏向した電子ビームBは陽極6の外周部に衝突して、通常のX線が発生する。一方、上述した負荷終了後には、チャージ分の電荷の放電で電圧が徐々に低下する。この低下時(すなわち波尾のタイミング)においても陰極4から電子ビームBが発生し、その陰極4からの電子ビームBを偏向コイル5は偏向させる。このとき、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の内周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、偏向した電子ビームBは陽極6の内周部に衝突する。この波尾のタイミングでは軟X線が本来発生するが、軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成しているので、負荷をX線管装置1に加えた場合には通常のX線を発生させつつ、負荷終了後(波尾のタイミング時)において軟X線を発生させない。
本実施例2では、外周部と比較して陽極6の内周部を軟X線が発生し難い物質(例えば銅)で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成している。また、上述した実施例1や後述する実施例3も含めて、本実施例2では、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置1に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式のときに有用である。
本実施例2の場合には、軟X線が発生し易い物質を主体として、陽極6の内周部の表面のみを軟X線が発生し難い物質で形成するのみで、軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成することが可能となり、陽極6全体の強度をある程度保つことができる。なお、軟X線が発生し易い物質を主体として、陽極6の内周部の表面のみを軟X線が発生し難い物質で塗布形成する、あるいは貼り付けるだけで本実施例2の陽極6を簡易に実現することができる。
次に、図面を参照してこの発明の実施例3を説明する。
図5は、実施例3に係るX線管装置の概略断面図である。上述した実施例1,2と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。また、図5では、図4と同様にコントローラの図示を省略する。
本実施例3に係るX線管装置1では、図5に示すように、上述した実施例1,2と同様に、管容器2と外囲器3と陰極4と偏向コイル5と陽極6と各回転軸7,8とベアリング9と外囲器用のモータ10とコントローラ11(図1を参照)とを備えている。上述した実施例1と相違して、本実施例3では、実施例1のような段差6a(図1を参照)によって軟X線を遮断する構造を採用せずに、上述した実施例2と同様に陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部を軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造を採用している。
具体的には、外周部であるターゲットディスク傾斜部と比較して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部を軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成する。例えば、ターゲットディスク傾斜部の表面を除く陽極6のターゲットディスク全体を銅(図5の符号6Cuを参照)で形成するとともに、ターゲットディスク傾斜部の表面のみをタングステン(図5の符号6Wを参照)で形成する。この場合には、外周部であるターゲットディスク傾斜部の表面を形成するタングステンと比較して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部を含めてターゲットディスク全体を形成する銅は、軟X線が発生し難い物質である。したがって、銅,タングステンの組み合わせで陽極6の内周部および外周部をそれぞれ形成する。なお、上述した実施例2と同様に銅,タングステンの組み合わせに限定されず、軟X線が発生し難い物質,軟X線が発生しやすい物質の組み合わせであれば、例えば、モリブデン,タングステンの組み合わせであってもよい。
このように、本実施例3では、陽極6の外周部の表面を除く陽極6全体を軟X線が発生し難い物質(例えば銅)で形成するとともに、陽極6の外周部の表面のみを陽極6全体と比較して軟X線が発生し易い物質(例えばタングステン)で形成することで、外周部と比較して陽極6の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成している。
上述した実施例1,2と同様に、パルス負荷を繰り返すごとに、パルス負荷をX線管装置1に加えた場合には、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の外周部であるターゲットディスク傾斜部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御するとともに、パルス負荷終了後(波尾のタイミング時)に、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部に電子ビームB(図4の2点鎖線を参照)を衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、波尾のタイミング時には、図4の2点鎖線に示すように電子ビームBは偏向して、陽極6の内周部であるターゲットディスクフラット部に衝突して、ターゲットディスク全体を形成する銅によって軟X線を発生させない。
本実施例3に係るX線管装置1によれば、上述した実施例2と同様に、X線発生のために負荷をX線管装置1に加えた場合には、陰極4から電子ビームBが発生し、その陰極4からの電子ビームBを偏向コイル5は偏向させる。このとき、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の外周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、偏向した電子ビームBは陽極6の外周部に衝突して、通常のX線が発生する。一方、上述した負荷終了後には、チャージ分の電荷の放電で電圧が徐々に低下する。この低下時(すなわち波尾のタイミング)においても陰極4から電子ビームBが発生し、その陰極4からの電子ビームBを偏向コイル5は偏向させる。このとき、コントローラ11(図1を参照)は陽極6の内周部に電子ビームBを衝突させるように偏向コイル5を制御する。したがって、偏向した電子ビームBは陽極6の内周部に衝突する。この波尾のタイミングでは軟X線が本来発生するが、軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成しているので、負荷をX線管装置1に加えた場合には通常のX線を発生させつつ、負荷終了後(波尾のタイミング時)において軟X線を発生させない。
本実施例3では、上述した実施例2と同様に、外周部と比較して陽極6の内周部を軟X線が発生し難い物質(例えば銅)で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成している。また、上述した実施例1,2も含めて、本実施例3では、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置1に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式のときに有用である。
本実施例3の発明の場合には、軟X線が発生し難い物質を主体として、陽極6の外周部の表面のみを軟X線が発生し易い物質で形成するのみで、軟X線を発生させない構造で陽極6の内周部を構成することが可能となり、陽極6全体の強度をある程度保つことができる。なお、軟X線が発生し難い物質を主体として、陽極6の外周部の表面のみを軟X線が発生し易い物質で塗布形成する、あるいは貼り付けるだけで本実施例3の陽極6を簡易に実現することができる。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)非破壊検査機器などの工業用装置やX線診断装置などの医用装置にも適用することができる。
(2)上述した各実施例では、陰極4としてタングステンコイル等のフィラメントのように熱電子放出型を例に採って説明したが、電界によるトンネル効果によって電子ビームを放出させる電界放出型にも適用することができる。
(3)上述した各実施例では、陽極がそれを収容する外囲器と一体となって回転する構造の外囲器回転型のX線管装置1であったが、X線管装置の構造については特に限定されない。例えば、実施例1を図6に示す外囲器3が回転せずに陽極6が回転する回転陽極型X線管装置に適用してもよい。図6に示す構造の場合には、パルス負荷時に偏向コイル5に流す電流を、パルス負荷終了後(波尾のタイミング時)において増やすようにコントローが操作することで磁界を強めて、電子ビームBは、図1の2点鎖線に示すように偏向方向で、かつ内側に移動する。そして、電子ビームBは陽極6のターゲットディスクフラット部に衝突して、ターゲットディスクフラット部から軟X線が発生しても段差6aによって遮られる。もちろん、実施例2,3を図6に示す回転陽極型X線管装置に適用してもよい。
(4)上述した実施例1では、陽極の内周部が外周部に隣接する部分に内周部を構成するフラット部から一部が突出する段差を設けることで、その段差によって軟X線を遮断する構造で陽極の内周部を構成し、上述した実施例2,3では、外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成したが、軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない構造で陽極の内周部を構成するのであれば、特に限定されない。
(5)上述した各実施例では、パルス状の管電圧を負荷としてX線管装置に加えることでパルス状のX線を発生させて診断する術式に適用したが、連続的にX線を発生させて診断する術式に適用してもよい。例えば、X線発生のための負荷が終了後に波尾があるならば、この波尾のタイミングにおいて陽極の内周部に電子ビームを衝突させればよい。
(6)上述した各実施例を互いに組み合わせてもよい。各実施例を全部組み合わせて、段差を内周部に設け、かつ外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成してもよい。また、実施例1,2を組み合わせて、段差およびフィルタを内周部に設けてもよいし、実施例2,3を組み合わせて、フィルタを内周部に設け、かつ外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成してもよいし、実施例1,3を組み合わせて、段差を内周部に設け、かつ外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成してもよい。
(7)陽極の内周部全体を軟X線が発生し難い物質で形成し、陽極の外周部全体を軟X線が発生し易い物質で形成することで、外周部と比較して陽極の内周部を軟X線が発生し難い物質で形成することも可能である。このように、陽極全体を互いに異なる物質で構成すると陽極全体の強度が弱くなる恐れがあるし、陽極全体を互いに異なる物質で構成し難いという問題点もある。したがって、この変形例よりも実施例2,3の方が陽極全体の強度をある程度保つことができる。
1 … X線管装置
4 … 陰極
5 … 偏向コイル
6 … 陽極
6a … 段差
11 … コントローラ

Claims (6)

  1. 電子ビームを発生させる陰極と、その陰極からの電子ビームを偏向させる偏向手段と、その偏向手段によって偏向した電子ビームの衝突によりX線を発生させ、かつ外周部が傾斜部からなり、内周部がフラット部からなり、回転可能に構成された陽極とを備えた回転陽極型のX線管装置であって、前記電子ビームが前記陽極に衝突する位置を前記偏向手段による偏向方向に移動させるように前記偏向手段を制御する偏向制御手段を備え
    軟X線を遮断するあるいは軟X線を発生させない構造で前記陽極の前記内周部を構成し、X線発生のために負荷を前記X線管装置に加えた場合には、前記偏向制御手段は前記陽極の前記外周部に電子ビームを衝突させるように前記偏向手段を制御するとともに、前記負荷終了後に、前記偏向制御手段は前記陽極の前記内周部に電子ビームを衝突させるように前記偏向手段を制御することを特徴とするX線管装置。
  2. 請求項1に記載のX線管装置において、前記陽極の前記内周部が前記外周部に隣接する部分に前記内周部を構成する前記フラット部から一部が突出する段差を設けることで、その段差によって前記軟X線を遮断する構造で陽極の内周部を構成することを特徴とするX線管装置。
  3. 請求項1に記載のX線管装置において、前記外周部と比較して前記陽極の前記内周部を前記軟X線が発生し難い物質で形成することで、その物質によって軟X線を発生させない構造で陽極の前記内周部を構成することを特徴とするX線管装置。
  4. 請求項3に記載のX線管装置において、前記陽極の前記内周部の表面のみを前記軟X線が発生し難い物質で形成するとともに、前記内周部の表面を除く陽極全体を前記内周部の表面と比較して軟X線が発生し易い物質で形成することで、前記外周部と比較して前記陽極の前記内周部を前記軟X線が発生し難い物質で形成することを特徴とするX線管装置。
  5. 請求項3に記載のX線管装置において、前記陽極の前記外周部の表面を除く陽極全体を前記軟X線が発生し難い物質で形成するとともに、前記陽極の前記外周部の表面のみを前記陽極全体と比較して軟X線が発生し易い物質で形成することで、前記外周部と比較して前記陽極の前記内周部を前記軟X線が発生し難い物質で形成することを特徴とするX線管装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載のX線管装置において、前記負荷はパルス負荷であって、パルス負荷を繰り返すごとに、パルス負荷を前記X線管装置に加えた場合には、前記偏向制御手段は前記陽極の前記外周部に前記電子ビームを衝突させるように前記偏向手段を制御するとともに、パルス負荷終了後に、前記偏向制御手段は前記陽極の前記内周部に前記電子ビームを衝突させるように前記偏向手段を制御することを特徴とするX線管装置。
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