JP2004006349A - X線管のためのパルス電力印加システム及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】不必要なフォトンの生成を排除し、或いは検知器の応答時間又は画像取得の速度に基づいて画質への影響を最小限にするX線管に対してパルス化された電力を印加する。
【解決手段】該システムは、陽極(206)及び陰極(204)を有するX線管(200)と、陽極と陰極との間のギャップ電圧(226)を印加するようになった電源(210)とを備え、X線照射中に該ギャップ電圧(226)がパルス化され、パルス化されたX線放射(220)がもたらされる。X線の照射中のギャップ電圧は、従来のグリッド周波数をはるかに上回る周波数及びいわゆる一時的接触パルス周波数でパルス化されて、パルス化されたX線放射がもたらされるようになっている。
【選択図】 図2
【解決手段】該システムは、陽極(206)及び陰極(204)を有するX線管(200)と、陽極と陰極との間のギャップ電圧(226)を印加するようになった電源(210)とを備え、X線照射中に該ギャップ電圧(226)がパルス化され、パルス化されたX線放射(220)がもたらされる。X線の照射中のギャップ電圧は、従来のグリッド周波数をはるかに上回る周波数及びいわゆる一時的接触パルス周波数でパルス化されて、パルス化されたX線放射がもたらされるようになっている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線管に対してパルス化された電力を印加するシステム及び方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
X線管は、医療診断の画像形成、医療治療及び種々の医療試験、並びに材料分析産業において不可欠なものになってきている。典型的なX線管は、ディスク形状の陽極ターゲットを支持するカンチレバー軸内に組み込まれた円筒形のロータと、該ロータを包含する、該X線管の細長いネックを囲む銅巻線を有する鉄のステータ構造体とからなる誘導モータによって回転させられる回転陽極構造体を備えるように形成される。陽極組立体のロータを囲むステータによって駆動される回転陽極組立体のロータは陽極電位にあり、ステータは電気的に接地されている。X線管の陰極は収束電子ビームを与えるもので、該ビームは、陽極と陰極の間の真空間隙にわたって加速され、陽極ターゲットに衝突するときにX線を生成する。ターゲットは、一般に、タングステン、モリブデン、又はその合金のような耐熱金属でできているディスクを含み、このターゲットが高速で回転する間に電子ビームを該ターゲットと衝突させることによってX線が生成される。高速で回転する陽極は、9,000RPMから11,000RPMに達することがある。
【0003】
ターゲットの狭い表面領域だけに電子が衝突させられる。この狭い表面領域は、焦点と呼ばれ、X線源を形成する。ターゲットの陽極に伝えられるエネルギーの99パーセント以上が熱として放散され、一方、伝えられたエネルギーのわずか1パーセント未満がX線に変換されるので、ターゲット陽極において好結果をもたらすためには、熱の管理が重要である。エネルギーが比較的多量に与えられると、このエネルギーは、通常は、ターゲット陽極内に伝えられることになり、該ターゲット陽極は、効率的に熱を放散できなくてはならないことが理解できる。この小さい寸法の焦点に加えて、高水準の瞬間パワーをターゲットに供給することのために、X線管の設計者は、ターゲット陽極を回転させ、これによって熱の束が該ターゲット陽極の広い領域に分散するような構成をとるようになった。
【0004】
X線管の性能を考慮する際に、幾つかの重要な課題は、X線生成の効率、患者の照射量の管理、高電圧安定性、選択的なスペクトル組成、検知器の応答時間及び画像取得の速度である。
【0005】
現在のX線管設計の効率は、およそ1パーセントである。電力入力の大半が、熱として放散される。熱の問題を取り扱うことは、高電力の管を設計しようと努力しているX線管の設計者が直面する難問の一つである。X線生成の効率を改善させる如何なる方法も非常に重要である。現在の手法は、陽極と陰極の間の電圧のためにDC電源を使用し、DC放出電流を生成し、DCX線放射出力を生成するというものである。現在の手法を用いる場合には、X線が生成されるが画像形成に使われない時間がある。すなわち、X線が必要とされない時間間隔がある。
【0006】
従って、フォトンが必要とされないときに不必要なフォトンの生成を排除し、或いは検知器の応答時間又は画像取得の速度に基づいて画質への影響を最小限にする方法及び装置が望まれる。従って、不必要なX線放射の放出を減少させるために、X線放射出力を画像の記録と同期させることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上に説明された欠点及び不具合、及び他の欠点及び不具合は、陽極と陰極とを有するX線管と、陽極と陰極の間のギャップ電圧を与えるようになった電源とを含み、X線の照射中において、ギャップ電圧が、従来のグリッド周波数をはるかに上回る周波数及びいわゆる一時的接触パルス周波数でパルス化されて、パルス化されたX線放射がもたらされるようになっている、X線管のためのパルス電力印加システムによって克服されるか、又は軽減される。
【0008】
別の実施形態において、X線管における作動効率を改善する方法が開示される。この方法は、内部に陽極及び陰極が配置されたX線管に高電圧の電源を接続して、該陽極と該陰極との間にギャップ電圧を与えること、X線の照射中に、従来のグリッド周波数をはるかに上回る周波数及びいわゆる一時的接触パルス周波数で該ギャップ電圧をパルス化すること、及び陽極からパルス化されたX線放射を生成することを含む。
【0009】
本発明の上述された及び他の特徴及び利点は、当業者には以下の詳細な説明及び図面から認識され、理解されるであろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
例示的な図面を参照すると、幾つかの図において同様の要素に同様の番号が付けられている。
【0011】
図1を参照すると、この図は、X線画像形成システム100を示す。画像形成システム100は、X線源102と、検査中の構造体をX線フォトンに曝すコリメータ104とを含む。例として、X線源102をX線管とし、検査中の構造体106を人間の患者、テスト模型、その他の試験用の無生物とすることができる。
【0012】
X線画像形成システム100はまた、処理回路110に接続されたイメージセンサ108を含む。処理回路110(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、顧客用ASIC又はその種のもの)が、メモリ112及びディスプレイ114に接続されている。
【0013】
メモリ112(例えば、1つ又はそれ以上のハードディスク、フレキシブルディスク、CDROM、EPROM及びその種のものを含む)は、高エネルギー水準の画像116(例えば、110〜140kVp、5mAsの照射後にイメージセンサ108から読み出された画像)及び低エネルギー水準の画像118(例えば、70kVp、25mAsの照射後に読み出された画像)を格納する。メモリ112はまた、画像116〜118(例えば、骨又は組織構造体)における特定の種類の構造体を削除するための、処理回路110により実行される命令を格納する。その結果、画像120を削除された構造体が、ディスプレイに生成される。
【0014】
図2を参照すると、X線源102として使用するためのX線管200が示されており、このX線管200は、陰極204と、陽極206と、全体が216で示される誘電絶縁体を有するフレーム208とを有し、その全てがX線管200の中に配置されている。図2はまた、X線照射を制御する例示的な構成要素、すなわち、主電源(発電機)210、フィラメント又は電子源212のための電源、及びグリッド回路214も示している。電源発電機210、電子源212、及びグリッド回路214を個別に用いて、又は組合せて用いて、X線管200へのパルス電力を生成することができる。上の例示的な構成要素の組合せを用いる方法を以下に概説する。
【0015】
例示的な方法において、パルス化された管の放出電流218が生成され、次にこの放出電流218が陽極ターゲット222からパルス化されたX線放射220を生成する。パルス化された放出電流218の周波数、パルス幅、及びデューティ比が、X線検知器の応答時間、画像取得速度、及び必要な画質によって定められる。
【0016】
電流パルスの周波数(f)、パルスがONの時間(TON)、パルスがOFFの時間(TOFF)及び時間(T)の場合には、効率改善率は、
効率改善率=(TON+TOFF)/TON
となる。
【0017】
図3は、デューティ比が100%(TOFF=0)のときのX線生成の原理を示す。より具体的には、図3は、図4と比較して放出電流がパルス化されていないときのDC電圧、DC電流、DCX線放射及びエネルギー入力を示す。
【0018】
図4を手短に参照すると、50%のデューティ比(TON=TOFF)を有する放出電流218のパルスの場合には、効率改善率は2となり、すなわち従来の方法に対し100%の効率向上となる。効率改善率は、任意に入力電力の減少率と解釈できることが理解されるであろう。
【0019】
例えば、CT(コンピュータ断層撮影)スキャナは、画像取得のために500μsかかり、600μsの間隔で走査する。従って、600μsの間隔の中には、X線フォトンが依然として生成されるが使用されない100μsの時間があり、このことは、パルス化された放出電流218が使用された場合には、入力電力が、16.7%だけ減少されたことになることを意味する(例えば=100/600)。
【0020】
ここで開示される例示的な方法は、人体ダイナミックスが、ミリ秒より小さい時間尺度においては大幅に変わらないと仮定する。また、人体ダイナミックスにおける何らかの変化の結果として、マイクロ秒間に何らかの画像の損失が生じたとしても、それは診断手順に影響を与えるものではない。この基本的仮定によれば、およそ数十kHzのパルス周波数を有するパルス化されたX線放射を生成することにより、著しい情報の損失が生じることはない。また、X線検知器の応答時間(特に立下り時間)は、放出電流の応答時間より遅いということも仮定されている。この場合においては、X線信号は、非常に長い時定数で減衰し、次のパルスが到達するまでその値をほぼピーク値に保持する。図4は、予想される電圧、電流、及びX線放射の波形を示す。
【0021】
更に図2を参照して、X線管200に対するパルス電力入力を生成する例示的な方法を説明する。高電圧の電源210をパルス化することにより、主陽極と陰極の間のギャップ電圧226が高周波数でパルス化される。各々のパルスの持続時間は、約1ミリ秒より下であることが好ましい。放出電流218及びX線の生成220は、取り出された電圧Vacをパルス化することによって制御される。現代のパルス電源生成装置は、複雑でなく、低コストになってきている。しかしながら、高電圧、典型的には約150kV及びそれより高い瞬間電力が必要とされる場合には、パルス電源を生成することは難題である。双極性のX線管設計においては、一方の側に対して典型的には75kVのパルス電圧を生成することは、比較的複雑なことではなく、容易に利用可能である。例えば、電源210の一方の電源発電機230に高速の高電圧スイッチ(ソリッド・ステート・スイッチング技術に基づいた)を用い、この電源発電機230に電源210の別の電源発電機232を直列に接続すると、80kV及び1kAの瞬間電流の場合には、各電源発電機230、232は200nsの放出電流立上り時間をもたらす。
【0022】
更に、パルス電圧電源210を用いることは、可変電圧値が望まれるときに、例えば、スペクトル組成の変化のために利点をもたらす。従来の厚い固体のターゲット222からのX線放出のスペクトル組成を、2つの調整可能なパラメータ、すなわち(1)電子加速電圧、及び(2)ターゲット材料の組成によって制御することができる。現在、医療用診断装置に使用されている高出力のX線源は、厚い高密度、高Zの材料のターゲットであり、制動放射の放射線がターゲットから後方散乱し、低Zの窓234を介して挿入されたX線管から漏れる。放射線のスペクトルは、より高い加速電圧を用いることによって、より高エネルギーの放射を含むように任意にシフトされる。パルス電力の印加は、パルスからパルスまでの間に陰極204と陽極206の間で管200を横切って印加される電圧の制御に適している。放射についての濾過は同じであるが、パルス列は異なるパルスを含み、幾つかのパルスはより高エネルギーの放射を有する。検知器をゲート制御し、放射線の放出220と合致させることができる。代わりに、2つの異なる検知器を任意に用いて、各々の検知器を、異なるエネルギーのフォトンで使用するために最適化することができる。この実施形態においては、放射線のスペクトル組成が適度の制御のもとにあるので、造影剤の影響を強めるために関係する技術分野において知られ、使用されている画像減色法を、多くの制御と共に用いることができる。画像間の時間が短いことはまた、動きに関連する減色効果が減少することを暗示する。
【0023】
乳房X線撮影のように、ターゲット222上に2つの異なる材料を用いることによって、X線放射のスペクトル組成に更に別の変化を達成することができる。乳房X線撮影のターゲット設計においては、電子ビームの衝突のために2つの別個のトラックがターゲット222上に配置される。X線出力の調整又は最適化は、ターゲット222に衝突する様々なエネルギーの電子、及び該ターゲット222上に配置される2つの異なる材料の選択によって任意に行われる。次に、2つの材料の間に生じるX線の差を取り除くか又は補償するために、電子ビームの電流を変化させることができる。
【0024】
パルス間で電子ビームの強さが急速に変化することは、応答時間の速い陰極電子エミッタについて或る水準の技術開発がなされることを想定しているものと認められるであろう。慣習的には、フィラメント236からの熱電子の電子放出が、電子を生成するために用いられている。陰極内に放散した電力の大部分は陰極構造体を加熱するだけであり、陰極への電力供給は必要より大きく、陰極の部品が必要以上に高温になり、廃熱は、巧妙なX線管設計を通して管理されなければならない。電界放出陰極は、フィラメント・ベースの設計において必要とされる加熱電力なしに電子を生成する代替的な手法を提供するものである。微細加工により作られた鋭利な先端部のアレイの形態の電界エミッタ陰極が、電子源である。陰極を加熱することなく電子を取り出すために、電界放出が用いられる。ソリッド・ステート装置として、電界放出陰極は、パルス化されたX線生成に適している。これらのアレイは、オリジナルのスピント型陰極アレイにおいて先端部がモリブデンから作られたものを含む。
【0025】
電子の生成を制御するために、速い応答時間をもつ電界放出源のような電子源を用いて放出電流(温度)を2つのしきい値の間でON及びOFFに切り換えることができる。他の電子源を用いる場合には、同様の手順を用いて、電子の流れをON/OFFに切り換えることができる。この方法の実用性は、主に電子源の応答時間によって決まる。これを行うのに理想的に適した1つの例示的な方法は、適度な電圧でゲート制御された電界放出アレイ(FEA)により実行することができる。
【0026】
例示的な代替的実施形態においては、放出電流218の急速な変化が、グリッド電圧238を用いるグリッドを含む。陰極カップの容量は十分に小さいので、放出電流218の制御を数十マイクロ秒から数百マイクロ秒の時間尺度で行うことができる。例示的な実施形態において、電子放出電流を制御するためにグリッドが用いられる。グリッド電極240は、電子の流れを切断する負電位から、電子を流れさせる陰極電位へ切り換わる。必要とされるグリッド電圧238が数kV程度であるので、面倒なことなく低コストで速いスイッチングを達成することができる。
【0027】
高電圧電子放出にパルス化電力を印加して制動放射を放射線放出することは、透過モードでX線放射を生成する薄いターゲットに用いることができる。好ましい実施形態は、X線放射を生成するために用いられる電子ビームの近くを回転する薄いターゲット材料の多数の箔を有する薄い支持体である。パルス列の選択は、検知器の作動に同期され、電子ビームエネルギーを変化させることによって特定のスペクトル組成のために最適化された状態で、適時にターゲットに衝突させるための鍵である。
【0028】
図4は、上述のパルス化グリッド電圧を用いる、1つの提案された例示的な方法についての作動原理を示す。現在の手法と比べると、この方法はエネルギー入力を減少させ、最終的には管の部品の温度上昇を減少させる。この方法を用いて、効率改善率だけ熱的制限値を高めることができる。図4は、ミリ秒より小さい持続時間にパルス化された電流を例示するが、電圧も同様に、任意にパルス化できると考えられていることが理解されるであろう。好ましい実施形態は、グリッド電圧を迅速に変化させることにより、高周波数で電流をパルス化するためのものである。グリッドを単独でまたは他の方法と共に用いて、ここに開示される放出電流をパルス化することができる。
【0029】
X線管と共にパルス電力の印加を用いる最もさしあたっての利点の一つは、該X線管の効率の改善であろう。パルス電力の印加は、より高電力を取り扱うことができるX線管の開発を容易にする。効率因子を高めて、高電力管をよりコンパクトにすることができ、不必要な照射を排除することによって、患者の照射量の管理が改善される。更に、X線管の効率(電力処理容量)が高くなると、発電機の電力所要量は減少する。このことは又、コンパクトで低コストの発電機を意味する。
【0030】
短い持続期間のパルスを印加し、ターゲットの温度を減少させることによって、X線管の高電圧安定性を改善することができる。印加される電圧のパルス幅が減少するに従って、絶縁体の絶縁耐力が改善される。トラック(ターゲット)温度を下げることによって、スピット活動(絶縁破壊)の可能性を減少させることができる。当業者は認識できるように、高電流のもとでの高電圧安定性は、最も重要なX線管の設計及び性能課題の一つである。
【0031】
更に、パルス化された高電圧供給を用いて一次パルスを生成するとき、パルス化された高電圧供給を用いることが、X線管の高電圧安定性を改善するのに更なる利点をもたらす。より具体的には、絶縁システムの絶縁耐力は、ほとんどの場合、電圧を印加する持続時間によって決まる。つまり、絶縁体は、短い持続期間のパルスに対してより高い絶縁耐力を有する。このことは、同じ幾何学的形状又は誘電間隔に対してはより高い電圧を印加することができ、又は同じ電圧水準に対しては間隔を狭めることができることを意味する。
【0032】
ここに開示された例示的な方法は、X線管にパルス電力技術を用いることによって、X線の生成が、画像の記録のために必要とされるX線放射出力と同期されることを示す。これらの方法は、サンプルX線検知の使用を含むものであり、その後に信号回復技術が続く。フォトンが必要とされないとき、又はフォトンが画質にあまり影響を与えないときに不必要なフォトンの生成を排除することによって、発生する平均熱度を著しく減少させることができる。これにより、管の効率の改善又は電力処理能力の改善がもたらされる。
【0033】
検知器の応答時間及び画像取得システムの速度が非常に急速に改善されるので、X線生成のために要する時間が短くなる。このことは、X線フォトンを生成するために単一のパルス又は多数のサンプルパルスの形態でパルス電力技術を用いる優れた機会をもたらす。
【0034】
X線検知器及び画像取得時間の応答時間(立上り時間及び立下り時間)に応じて、パルスの周波数、幅、及びデューティ比を最適化し、必要とされる画質のためのX線放射出力を生成することができる。速い画像操作及び処理アルゴリズムを有する強力なデジタル信号プロセッサが、重要な情報の損失が非常に少ないか又はない状態でサンプルX線出力から明瞭な画像を生成するために利用可能である。
【0035】
パルス電圧の振幅を変えることによってX線放射のスペクトル組成を変えるために、パルス電圧を用いることもできる。パルス電圧を用いてスペクトル組成を変えるこの方法を、1つ以上のスペクトル組成のX線放射が必要とされる場所に印加するのに用いることができる。
【0036】
最後に、パルス化された放出電流を生成し、同様のパルス化されたX線放射を生成するためにパルス電力印加を用いる方法及び装置が、X線管の効率の改善、患者の照射量の管理の改善をもたらし、高電圧安定性を改善し、スペクトル組成を変える手段を提供する。
【0037】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ、その要素を均等物と置き換えることができることが、当業者には理解されるであろう。更に、本発明の本質的範囲から逸脱することなく特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるように、多くの修正を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するのに最良の態様であると考えられるものとして開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが意図されている。更に、第1、第2などの用語の使用は、如何なる順序又は重要度を示すものではなく、むしろ第1、第2などの用語は、ある要素を別の要素と区別するために用いられているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線画像形成システムのハイレベル図。
【図2】パルス化されたX線放射を生成するためのX線管と作動可能に連通した電子源及びグリッド回路を含むパルス電源の例示的な実施形態の概略図。
【図3】DC電圧、DC電流及びエネルギー入力をプロットしたDCX線生成の現在の実施を示すグラフ。
【図4】図2のパルス電源を用いる場合のDC電圧、パルス電流及びエネルギー入力をプロットしたパルス化されたX線生成のグラフ。
【符号の説明】
200 X線管
204 陰極
206 陽極
208 フレーム
210 電源
212 電子源
214 グリッド回路
216 誘電絶縁体
218 電子放出電流
220 X線放射
226 ギャップ電圧
236 フィラメント
238 グリッド電圧
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線管に対してパルス化された電力を印加するシステム及び方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
X線管は、医療診断の画像形成、医療治療及び種々の医療試験、並びに材料分析産業において不可欠なものになってきている。典型的なX線管は、ディスク形状の陽極ターゲットを支持するカンチレバー軸内に組み込まれた円筒形のロータと、該ロータを包含する、該X線管の細長いネックを囲む銅巻線を有する鉄のステータ構造体とからなる誘導モータによって回転させられる回転陽極構造体を備えるように形成される。陽極組立体のロータを囲むステータによって駆動される回転陽極組立体のロータは陽極電位にあり、ステータは電気的に接地されている。X線管の陰極は収束電子ビームを与えるもので、該ビームは、陽極と陰極の間の真空間隙にわたって加速され、陽極ターゲットに衝突するときにX線を生成する。ターゲットは、一般に、タングステン、モリブデン、又はその合金のような耐熱金属でできているディスクを含み、このターゲットが高速で回転する間に電子ビームを該ターゲットと衝突させることによってX線が生成される。高速で回転する陽極は、9,000RPMから11,000RPMに達することがある。
【0003】
ターゲットの狭い表面領域だけに電子が衝突させられる。この狭い表面領域は、焦点と呼ばれ、X線源を形成する。ターゲットの陽極に伝えられるエネルギーの99パーセント以上が熱として放散され、一方、伝えられたエネルギーのわずか1パーセント未満がX線に変換されるので、ターゲット陽極において好結果をもたらすためには、熱の管理が重要である。エネルギーが比較的多量に与えられると、このエネルギーは、通常は、ターゲット陽極内に伝えられることになり、該ターゲット陽極は、効率的に熱を放散できなくてはならないことが理解できる。この小さい寸法の焦点に加えて、高水準の瞬間パワーをターゲットに供給することのために、X線管の設計者は、ターゲット陽極を回転させ、これによって熱の束が該ターゲット陽極の広い領域に分散するような構成をとるようになった。
【0004】
X線管の性能を考慮する際に、幾つかの重要な課題は、X線生成の効率、患者の照射量の管理、高電圧安定性、選択的なスペクトル組成、検知器の応答時間及び画像取得の速度である。
【0005】
現在のX線管設計の効率は、およそ1パーセントである。電力入力の大半が、熱として放散される。熱の問題を取り扱うことは、高電力の管を設計しようと努力しているX線管の設計者が直面する難問の一つである。X線生成の効率を改善させる如何なる方法も非常に重要である。現在の手法は、陽極と陰極の間の電圧のためにDC電源を使用し、DC放出電流を生成し、DCX線放射出力を生成するというものである。現在の手法を用いる場合には、X線が生成されるが画像形成に使われない時間がある。すなわち、X線が必要とされない時間間隔がある。
【0006】
従って、フォトンが必要とされないときに不必要なフォトンの生成を排除し、或いは検知器の応答時間又は画像取得の速度に基づいて画質への影響を最小限にする方法及び装置が望まれる。従って、不必要なX線放射の放出を減少させるために、X線放射出力を画像の記録と同期させることが望ましい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上に説明された欠点及び不具合、及び他の欠点及び不具合は、陽極と陰極とを有するX線管と、陽極と陰極の間のギャップ電圧を与えるようになった電源とを含み、X線の照射中において、ギャップ電圧が、従来のグリッド周波数をはるかに上回る周波数及びいわゆる一時的接触パルス周波数でパルス化されて、パルス化されたX線放射がもたらされるようになっている、X線管のためのパルス電力印加システムによって克服されるか、又は軽減される。
【0008】
別の実施形態において、X線管における作動効率を改善する方法が開示される。この方法は、内部に陽極及び陰極が配置されたX線管に高電圧の電源を接続して、該陽極と該陰極との間にギャップ電圧を与えること、X線の照射中に、従来のグリッド周波数をはるかに上回る周波数及びいわゆる一時的接触パルス周波数で該ギャップ電圧をパルス化すること、及び陽極からパルス化されたX線放射を生成することを含む。
【0009】
本発明の上述された及び他の特徴及び利点は、当業者には以下の詳細な説明及び図面から認識され、理解されるであろう。
【0010】
【発明の実施の形態】
例示的な図面を参照すると、幾つかの図において同様の要素に同様の番号が付けられている。
【0011】
図1を参照すると、この図は、X線画像形成システム100を示す。画像形成システム100は、X線源102と、検査中の構造体をX線フォトンに曝すコリメータ104とを含む。例として、X線源102をX線管とし、検査中の構造体106を人間の患者、テスト模型、その他の試験用の無生物とすることができる。
【0012】
X線画像形成システム100はまた、処理回路110に接続されたイメージセンサ108を含む。処理回路110(例えば、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、顧客用ASIC又はその種のもの)が、メモリ112及びディスプレイ114に接続されている。
【0013】
メモリ112(例えば、1つ又はそれ以上のハードディスク、フレキシブルディスク、CDROM、EPROM及びその種のものを含む)は、高エネルギー水準の画像116(例えば、110〜140kVp、5mAsの照射後にイメージセンサ108から読み出された画像)及び低エネルギー水準の画像118(例えば、70kVp、25mAsの照射後に読み出された画像)を格納する。メモリ112はまた、画像116〜118(例えば、骨又は組織構造体)における特定の種類の構造体を削除するための、処理回路110により実行される命令を格納する。その結果、画像120を削除された構造体が、ディスプレイに生成される。
【0014】
図2を参照すると、X線源102として使用するためのX線管200が示されており、このX線管200は、陰極204と、陽極206と、全体が216で示される誘電絶縁体を有するフレーム208とを有し、その全てがX線管200の中に配置されている。図2はまた、X線照射を制御する例示的な構成要素、すなわち、主電源(発電機)210、フィラメント又は電子源212のための電源、及びグリッド回路214も示している。電源発電機210、電子源212、及びグリッド回路214を個別に用いて、又は組合せて用いて、X線管200へのパルス電力を生成することができる。上の例示的な構成要素の組合せを用いる方法を以下に概説する。
【0015】
例示的な方法において、パルス化された管の放出電流218が生成され、次にこの放出電流218が陽極ターゲット222からパルス化されたX線放射220を生成する。パルス化された放出電流218の周波数、パルス幅、及びデューティ比が、X線検知器の応答時間、画像取得速度、及び必要な画質によって定められる。
【0016】
電流パルスの周波数(f)、パルスがONの時間(TON)、パルスがOFFの時間(TOFF)及び時間(T)の場合には、効率改善率は、
効率改善率=(TON+TOFF)/TON
となる。
【0017】
図3は、デューティ比が100%(TOFF=0)のときのX線生成の原理を示す。より具体的には、図3は、図4と比較して放出電流がパルス化されていないときのDC電圧、DC電流、DCX線放射及びエネルギー入力を示す。
【0018】
図4を手短に参照すると、50%のデューティ比(TON=TOFF)を有する放出電流218のパルスの場合には、効率改善率は2となり、すなわち従来の方法に対し100%の効率向上となる。効率改善率は、任意に入力電力の減少率と解釈できることが理解されるであろう。
【0019】
例えば、CT(コンピュータ断層撮影)スキャナは、画像取得のために500μsかかり、600μsの間隔で走査する。従って、600μsの間隔の中には、X線フォトンが依然として生成されるが使用されない100μsの時間があり、このことは、パルス化された放出電流218が使用された場合には、入力電力が、16.7%だけ減少されたことになることを意味する(例えば=100/600)。
【0020】
ここで開示される例示的な方法は、人体ダイナミックスが、ミリ秒より小さい時間尺度においては大幅に変わらないと仮定する。また、人体ダイナミックスにおける何らかの変化の結果として、マイクロ秒間に何らかの画像の損失が生じたとしても、それは診断手順に影響を与えるものではない。この基本的仮定によれば、およそ数十kHzのパルス周波数を有するパルス化されたX線放射を生成することにより、著しい情報の損失が生じることはない。また、X線検知器の応答時間(特に立下り時間)は、放出電流の応答時間より遅いということも仮定されている。この場合においては、X線信号は、非常に長い時定数で減衰し、次のパルスが到達するまでその値をほぼピーク値に保持する。図4は、予想される電圧、電流、及びX線放射の波形を示す。
【0021】
更に図2を参照して、X線管200に対するパルス電力入力を生成する例示的な方法を説明する。高電圧の電源210をパルス化することにより、主陽極と陰極の間のギャップ電圧226が高周波数でパルス化される。各々のパルスの持続時間は、約1ミリ秒より下であることが好ましい。放出電流218及びX線の生成220は、取り出された電圧Vacをパルス化することによって制御される。現代のパルス電源生成装置は、複雑でなく、低コストになってきている。しかしながら、高電圧、典型的には約150kV及びそれより高い瞬間電力が必要とされる場合には、パルス電源を生成することは難題である。双極性のX線管設計においては、一方の側に対して典型的には75kVのパルス電圧を生成することは、比較的複雑なことではなく、容易に利用可能である。例えば、電源210の一方の電源発電機230に高速の高電圧スイッチ(ソリッド・ステート・スイッチング技術に基づいた)を用い、この電源発電機230に電源210の別の電源発電機232を直列に接続すると、80kV及び1kAの瞬間電流の場合には、各電源発電機230、232は200nsの放出電流立上り時間をもたらす。
【0022】
更に、パルス電圧電源210を用いることは、可変電圧値が望まれるときに、例えば、スペクトル組成の変化のために利点をもたらす。従来の厚い固体のターゲット222からのX線放出のスペクトル組成を、2つの調整可能なパラメータ、すなわち(1)電子加速電圧、及び(2)ターゲット材料の組成によって制御することができる。現在、医療用診断装置に使用されている高出力のX線源は、厚い高密度、高Zの材料のターゲットであり、制動放射の放射線がターゲットから後方散乱し、低Zの窓234を介して挿入されたX線管から漏れる。放射線のスペクトルは、より高い加速電圧を用いることによって、より高エネルギーの放射を含むように任意にシフトされる。パルス電力の印加は、パルスからパルスまでの間に陰極204と陽極206の間で管200を横切って印加される電圧の制御に適している。放射についての濾過は同じであるが、パルス列は異なるパルスを含み、幾つかのパルスはより高エネルギーの放射を有する。検知器をゲート制御し、放射線の放出220と合致させることができる。代わりに、2つの異なる検知器を任意に用いて、各々の検知器を、異なるエネルギーのフォトンで使用するために最適化することができる。この実施形態においては、放射線のスペクトル組成が適度の制御のもとにあるので、造影剤の影響を強めるために関係する技術分野において知られ、使用されている画像減色法を、多くの制御と共に用いることができる。画像間の時間が短いことはまた、動きに関連する減色効果が減少することを暗示する。
【0023】
乳房X線撮影のように、ターゲット222上に2つの異なる材料を用いることによって、X線放射のスペクトル組成に更に別の変化を達成することができる。乳房X線撮影のターゲット設計においては、電子ビームの衝突のために2つの別個のトラックがターゲット222上に配置される。X線出力の調整又は最適化は、ターゲット222に衝突する様々なエネルギーの電子、及び該ターゲット222上に配置される2つの異なる材料の選択によって任意に行われる。次に、2つの材料の間に生じるX線の差を取り除くか又は補償するために、電子ビームの電流を変化させることができる。
【0024】
パルス間で電子ビームの強さが急速に変化することは、応答時間の速い陰極電子エミッタについて或る水準の技術開発がなされることを想定しているものと認められるであろう。慣習的には、フィラメント236からの熱電子の電子放出が、電子を生成するために用いられている。陰極内に放散した電力の大部分は陰極構造体を加熱するだけであり、陰極への電力供給は必要より大きく、陰極の部品が必要以上に高温になり、廃熱は、巧妙なX線管設計を通して管理されなければならない。電界放出陰極は、フィラメント・ベースの設計において必要とされる加熱電力なしに電子を生成する代替的な手法を提供するものである。微細加工により作られた鋭利な先端部のアレイの形態の電界エミッタ陰極が、電子源である。陰極を加熱することなく電子を取り出すために、電界放出が用いられる。ソリッド・ステート装置として、電界放出陰極は、パルス化されたX線生成に適している。これらのアレイは、オリジナルのスピント型陰極アレイにおいて先端部がモリブデンから作られたものを含む。
【0025】
電子の生成を制御するために、速い応答時間をもつ電界放出源のような電子源を用いて放出電流(温度)を2つのしきい値の間でON及びOFFに切り換えることができる。他の電子源を用いる場合には、同様の手順を用いて、電子の流れをON/OFFに切り換えることができる。この方法の実用性は、主に電子源の応答時間によって決まる。これを行うのに理想的に適した1つの例示的な方法は、適度な電圧でゲート制御された電界放出アレイ(FEA)により実行することができる。
【0026】
例示的な代替的実施形態においては、放出電流218の急速な変化が、グリッド電圧238を用いるグリッドを含む。陰極カップの容量は十分に小さいので、放出電流218の制御を数十マイクロ秒から数百マイクロ秒の時間尺度で行うことができる。例示的な実施形態において、電子放出電流を制御するためにグリッドが用いられる。グリッド電極240は、電子の流れを切断する負電位から、電子を流れさせる陰極電位へ切り換わる。必要とされるグリッド電圧238が数kV程度であるので、面倒なことなく低コストで速いスイッチングを達成することができる。
【0027】
高電圧電子放出にパルス化電力を印加して制動放射を放射線放出することは、透過モードでX線放射を生成する薄いターゲットに用いることができる。好ましい実施形態は、X線放射を生成するために用いられる電子ビームの近くを回転する薄いターゲット材料の多数の箔を有する薄い支持体である。パルス列の選択は、検知器の作動に同期され、電子ビームエネルギーを変化させることによって特定のスペクトル組成のために最適化された状態で、適時にターゲットに衝突させるための鍵である。
【0028】
図4は、上述のパルス化グリッド電圧を用いる、1つの提案された例示的な方法についての作動原理を示す。現在の手法と比べると、この方法はエネルギー入力を減少させ、最終的には管の部品の温度上昇を減少させる。この方法を用いて、効率改善率だけ熱的制限値を高めることができる。図4は、ミリ秒より小さい持続時間にパルス化された電流を例示するが、電圧も同様に、任意にパルス化できると考えられていることが理解されるであろう。好ましい実施形態は、グリッド電圧を迅速に変化させることにより、高周波数で電流をパルス化するためのものである。グリッドを単独でまたは他の方法と共に用いて、ここに開示される放出電流をパルス化することができる。
【0029】
X線管と共にパルス電力の印加を用いる最もさしあたっての利点の一つは、該X線管の効率の改善であろう。パルス電力の印加は、より高電力を取り扱うことができるX線管の開発を容易にする。効率因子を高めて、高電力管をよりコンパクトにすることができ、不必要な照射を排除することによって、患者の照射量の管理が改善される。更に、X線管の効率(電力処理容量)が高くなると、発電機の電力所要量は減少する。このことは又、コンパクトで低コストの発電機を意味する。
【0030】
短い持続期間のパルスを印加し、ターゲットの温度を減少させることによって、X線管の高電圧安定性を改善することができる。印加される電圧のパルス幅が減少するに従って、絶縁体の絶縁耐力が改善される。トラック(ターゲット)温度を下げることによって、スピット活動(絶縁破壊)の可能性を減少させることができる。当業者は認識できるように、高電流のもとでの高電圧安定性は、最も重要なX線管の設計及び性能課題の一つである。
【0031】
更に、パルス化された高電圧供給を用いて一次パルスを生成するとき、パルス化された高電圧供給を用いることが、X線管の高電圧安定性を改善するのに更なる利点をもたらす。より具体的には、絶縁システムの絶縁耐力は、ほとんどの場合、電圧を印加する持続時間によって決まる。つまり、絶縁体は、短い持続期間のパルスに対してより高い絶縁耐力を有する。このことは、同じ幾何学的形状又は誘電間隔に対してはより高い電圧を印加することができ、又は同じ電圧水準に対しては間隔を狭めることができることを意味する。
【0032】
ここに開示された例示的な方法は、X線管にパルス電力技術を用いることによって、X線の生成が、画像の記録のために必要とされるX線放射出力と同期されることを示す。これらの方法は、サンプルX線検知の使用を含むものであり、その後に信号回復技術が続く。フォトンが必要とされないとき、又はフォトンが画質にあまり影響を与えないときに不必要なフォトンの生成を排除することによって、発生する平均熱度を著しく減少させることができる。これにより、管の効率の改善又は電力処理能力の改善がもたらされる。
【0033】
検知器の応答時間及び画像取得システムの速度が非常に急速に改善されるので、X線生成のために要する時間が短くなる。このことは、X線フォトンを生成するために単一のパルス又は多数のサンプルパルスの形態でパルス電力技術を用いる優れた機会をもたらす。
【0034】
X線検知器及び画像取得時間の応答時間(立上り時間及び立下り時間)に応じて、パルスの周波数、幅、及びデューティ比を最適化し、必要とされる画質のためのX線放射出力を生成することができる。速い画像操作及び処理アルゴリズムを有する強力なデジタル信号プロセッサが、重要な情報の損失が非常に少ないか又はない状態でサンプルX線出力から明瞭な画像を生成するために利用可能である。
【0035】
パルス電圧の振幅を変えることによってX線放射のスペクトル組成を変えるために、パルス電圧を用いることもできる。パルス電圧を用いてスペクトル組成を変えるこの方法を、1つ以上のスペクトル組成のX線放射が必要とされる場所に印加するのに用いることができる。
【0036】
最後に、パルス化された放出電流を生成し、同様のパルス化されたX線放射を生成するためにパルス電力印加を用いる方法及び装置が、X線管の効率の改善、患者の照射量の管理の改善をもたらし、高電圧安定性を改善し、スペクトル組成を変える手段を提供する。
【0037】
本発明を好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の技術的範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ、その要素を均等物と置き換えることができることが、当業者には理解されるであろう。更に、本発明の本質的範囲から逸脱することなく特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるように、多くの修正を加えることができる。従って、本発明は、本発明を実施するのに最良の態様であると考えられるものとして開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれる全ての実施形態を含むことが意図されている。更に、第1、第2などの用語の使用は、如何なる順序又は重要度を示すものではなく、むしろ第1、第2などの用語は、ある要素を別の要素と区別するために用いられているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線画像形成システムのハイレベル図。
【図2】パルス化されたX線放射を生成するためのX線管と作動可能に連通した電子源及びグリッド回路を含むパルス電源の例示的な実施形態の概略図。
【図3】DC電圧、DC電流及びエネルギー入力をプロットしたDCX線生成の現在の実施を示すグラフ。
【図4】図2のパルス電源を用いる場合のDC電圧、パルス電流及びエネルギー入力をプロットしたパルス化されたX線生成のグラフ。
【符号の説明】
200 X線管
204 陰極
206 陽極
208 フレーム
210 電源
212 電子源
214 グリッド回路
216 誘電絶縁体
218 電子放出電流
220 X線放射
226 ギャップ電圧
236 フィラメント
238 グリッド電圧
Claims (21)
- X線管(200)のためのパルス電力印加システムであって、
陽極(206)と陰極(204)とを有するX線管(200)と、
陽極と陰極の間のギャップ電圧(226)を与えるようになった電源(210)と、
を含み、
前記ギャップ電圧(226)がミリ秒より小さい持続時間にパルス化されて、パルス化されたX線放射(220)を生じるようになっている、
ことを特徴とするパルス電力印加システム。 - 前記陽極(206)が接地電位を基準としており、前記陰極(204)が、第2の電源(232)の負端子に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の発明。
- 前記陽極(206)及び陰極(204)の近くにあるグリッド端子に印加されたグリッド電圧(238)を更に含み、前記グリッド電圧(238)が、電子の放出電流(218)を制御するためにミリ秒より小さい持続時間で印加されることを特徴とする、請求項1に記載の発明。
- 前記陰極(204)が、切り換え可能な電子源(212)及び切り換え可能なフィラメント(236)のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の発明。
- パルス化されたX線放射を生成するようになったX線管(200)であって、
フレーム(208)と、
該フレーム(208)内に配置された陽極(206)と、
該フレーム(208)内に配置された前記陽極(206)と対応する陰極(204)と、
陽極と陰極の間のギャップ電圧(226)を与えるようになった電源(210)と、
を含み、
前記ギャップ電圧(226)がミリ秒より小さい持続時間にパルス化されて、パルス化されたX線放射(220)が生じるようになっている、
ことを特徴とするX線管(200)。 - 前記電源(210)から取り出した電圧をパルス化することによって、前記ギャップ電圧(226)がパルス化されることを特徴とする、請求項5に記載の発明。
- 前記電源(210)が、前記陽極(206)と電気的に連通している正端子と、前記負極(204)と電気的に連通している負端子とを含み、該電源(210)がパルス化された放出電流(218)を生成し、該陽極(206)からパルス化されたX線放射(220)を生じることを特徴とする、請求項1または5に記載の発明。
- 前記X線管(200)が双極性であり、前記陽極(206)が第1の電源(230)の正端子に接続され、前記陰極(204)が、第2の電源(232)の負端子に接続され、前記第1及び第2の電源(230、232)の残りの端子が接地されていることを特徴とする、請求項1または5に記載の発明。
- 前記陽極(206)及び陰極(204)の近くにあるグリッド端子に印加されたグリッド電圧(238)を更に含み、前記グリッド電圧(238)が、電子の放出電流(218)を制御するために印加されることを特徴とする、請求項5に記載の発明。
- 前記陰極(204)が、切り換え可能な電子源(212)及び切り換え可能なフィラメント(236)のうちの1つを含むことを特徴とする、請求項9に記載の発明。
- 前記陰極(204)が、切り換え可能な電子源(212)及び切り換え可能なフィラメント(236)のうちの1つと作動可能に連通していることを特徴とする、請求項3または5に記載の発明。
- 前記電子源(212)が、電界放出アレイ(FEA)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の発明。
- 前記電界放出アレイ(FEA)が、スピント型電界放出アレイを含むことを特徴とする、請求項12に記載の発明。
- X線管(200)において作動の効率を向上させる方法であって、前記方法が、
内部に陽極(206)及び陰極(204)が配置されたX線管(200)に高電圧の電源(210)を接続して、前記陽極と前記陰極との間にギャップ電圧(226)を与え、
該ギャップ電圧(226)をミリ秒より小さい持続時間にパルス化し、
前記陽極(206)からパルス化されたX線放射(220)を生成する、
各段階を含むことを特徴とする方法。 - X線管(200)からのX線放出のスペクトル組成を制御する方法であって、前記方法が、
内部に陽極(206)及び陰極(204)が配置されたX線管(200)に高電圧の電源(210)を接続して、前記陽極と前記陰極との間にギャップ電圧(226)を与え、
前記陽極(206)上に少なくとも1つのターゲット材料を配置し、
前記ギャップ電圧(226)をミリ秒より小さい持続時間にパルス化し、
前記陽極(206)からパルス化されたX線放射(220)を生成し、
該生成されパルス化されたX線放射(220)のエネルギー水準に対応する検知器を用いて、前記パルス化されたX線放射(220)を検知する、
各段階を含むことを特徴とする方法。 - 前記ギャップ電圧(226)をパルス化する段階が、パルスとパルスの間の振幅を制御する段階を含み、該制御が、スペクトル組成の変化に対して異なるエネルギー放射を与えるものであることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
- 前記検知器が、前記X線放射(220)の放出に合致するようにゲート制御されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- 前記少なくとも1つのターゲット材料が、複数のターゲット材料を含み、該複数のターゲット材料の各ターゲット材料が、前記生成されパルス化されたX線放射(220)のエネルギー水準に対応していることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- 2つの検知器が用いられ、該2つの検知器の各々が、前記生成されパルス化されたX線放射(220)のエネルギー水準に対応していることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
- X線管(200)のためのパルス電力印加システムであって、
陽極(206)と陰極(204)とを有するX線管(200)と、
陽極と陰極の間のギャップ電圧(226)を与えるようになった電源(210)と、
前記ギャップ電圧(226)をミリ秒より小さい持続時間にパルス化して、パルス化されたX線放射(220)を生じさせるパルス化手段と、
を含むことを特徴とするパルス電力印加システム。 - 前記パルス化手段が、
前記電極(210)から取り出された電圧をパルス化し、
電子の放出電流(218)を制御するためにグリッド電圧(238)を印加し、
前記陰極(204)と作動可能に連通している切り換え可能な電子源(212)及び切り換え可能なフィラメント(236)のうちの1つを切り換える、
各段階の少なくとも1つを含むか、少なくとも1つの組合せを含む、
ことを特徴とする請求項20に記載のパルス電力印加システム。
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