JP5265103B2 - 有害物質不溶化処理用組成物の製造方法 - Google Patents

有害物質不溶化処理用組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は有害物質不溶化処理用組成物の製造方法に関するものであり、産業活動及び生活活動の結果に伴って排出される環境に対する負荷が高い有害物質(重金属類、陰イオン)が環境に拡散するのを防止するために、有害物質を不溶化することによって、環境への拡散を防ぐための組成物の製造方法に関するものである。
環境に対する負荷が高い有害物質に汚染された土壌、廃棄物、汚泥などの不溶化処理方法としては、従来、セメント固化、アスファルト固化、溶融固化などの固化処理法が用いられている。
セメントによる固化処理は、処理対象とセメントを配合し、所定量の水を添加した後、混練し成型する方法が広く用いられている。セメントによる固化処理は、セメント中のアルカリ成分により重金属類を安定な水酸化物として不溶化させる効果と、セメントの固化に伴う吸着作用及び物理的封じ込め作用によって不溶化するものである。
したがって、固化の対象となる有害物質は、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレンなどの重金属類であり、シアンや六価クロムなどの不溶化は困難で、このような有害物質を含む場合は前処理が必要とされている。また、環境庁告示第5号では、「金属等を含む廃棄物の固形化に関する基準」として、1m3 当たり150kg以上の水硬性セメントを加えることが示されている。
アスファルトによる固化は、アスファルトが結合材としての接着性、含浸性、撥水性、耐水性、耐薬品性に優れていることに着目し、処理対象と混練し、水との接触を防ぐことにより有害物質の溶出を抑制する処理法である。アスファルトによる固化は、ごみ焼却飛灰、汚泥、放射性廃棄物などを対象に行われているが、コスト面とアスファルトの取扱いの不具合からセメント方式に比べて実施されている例は少ない。
溶融処理は、処理対象を1400〜1600℃の高温になるまで加熱することによって、有機物を熱分解し、生成するスラグに重金属類を封じ込めて不溶化するものである。この方式は、安全性が最も高いとされているが、溶融処理時にカドミウム、鉛、水銀、砒素などの沸点の低い重金属類がガス中に蒸発・揮散し、飛灰として回収されることから飛灰の処理の問題が新たに発生するなどの欠点を有する。また処理コストが最も高いことも問題となっている。
液体キレート剤を処理対象中の重金属類と反応させて不溶性のキレート化合物とする、薬剤による不溶化処理方法も行われている。液体キレート剤による不溶化は、窒素と硫黄系の有機系キレート剤や硫黄を含まない無機系薬剤を処理対象と混練し重金属類を不溶化するものであるが、キレート剤は高価であるため、セメント固化との併用が一般的である。また、有機系キレート剤の場合、長期安定性(例えば酸性雨の影響や生分解による再溶出)の面で問題がある。
近年では、無機系薬剤による不溶化処理方法が種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1では、有害物質(フッ素及び重金属類)に汚染された土壌に対してアルミニウム塩または鉄塩を添加して撹拌した後、アルカリを加えてpHを調整することにより生成する水酸化物に有害物質を包摂、同伴させて不溶化させる方法が提案されている。しかし、開示される技術では、不溶化処理に複数の処理工程を設けなければならないことや、材料の添加量をコントロールしてpHを調整しなければならないことから、非常に複雑な操作が必要である。
特許文献2では、フッ素汚染土壌にアルミニウム塩とカルシウム塩を添加・混合する工程(第1工程)と、固化材を添加・混合する工程(第2工程)からなるフッ素汚染土壌の処理方法及び処理システム並びに処理装置が提案されている。しかし、開示される技術は、特許文献1と同様に複雑な工程を必要とする。
特開2002−326081号公報 特開2004−243192号公報
本発明の目的は、上述のような現状に鑑み、環境に対する負荷が高い有害物質を複雑な操作を必要とせずに容易に不溶化することが可能であり、且つ安価に製造が可能な有害物質不溶化処理用組成物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酸化カルシウム、焼成ドロマイトの中から選ばれたアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である無水硫酸アルミニウム、明礬、焼き明礬、明礬石の中から選ばれたアルミニウム塩を、質量比で30:70〜70:30となるように混合することによって得られる組成物あるいは生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれたアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である硫酸アルミニウム水和物とを、質量比が30:70〜70:30となるように混合し、前記混合物を50〜100℃で加熱処理して反応させる方法によって得られる組成物が、重金属類や陰イオンなどの環境に対する負荷が高い有害物質を不溶化する効果を有し、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための本発明の請求項1は、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
酸化カルシウム、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上であるアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である無水硫酸アルミニウム、明礬、焼き明礬、明礬石の中から選ばれた1種以上のアルミニウム塩を、質量比で30:70〜70:30となるように混合することにより製造することを特徴とする有害物質不溶化処理用組成物の製造方法である。
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本発明の請求項は、構成成分A(酸化カルシウム、水酸化カルシウムの2種)及び構成成分B(硫酸アルミニウム水和物、無水硫酸アルミニウム、カルシウムサルフォアルミネート水和物、非晶質カルシウムサルフォアルミネート(カルシウムサルフォアルミネート水和物の結晶水が脱離し、結晶構造が乱れて非晶質化したカルシウムサルフォアルミネート水和物前駆体)の中から選ばれた1種以上)を含有する、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である硫酸アルミニウム水和物とを、質量比が30:70〜70:30となるように混合して混合物を調製し、前記混合物を50〜100℃で加熱処理して反応させる方法、前記混合物100質量部に1〜20質量部の水を撹拌しながら加え、酸化カルシウムの水和反応による発熱を利用して加熱処理して反応させる方法、前記混合物を粉砕機に投入して粉砕し、メカノケミカル反応及び粉砕時の摩擦により発生する熱を利用して加熱処理して反応させる方法のいずれかの方法により、硫酸アルミニウム水和物の不安定な結晶水を脱離して、熱安定性が高い化合物に変換して製造することを特徴とする有害物質不溶化処理用組成物の製造方法である
本発明の請求項に記載の有害物質不溶化処理用組成物の製造方法は、請求項2に記載の有害物質不溶化処理用組成物の製造方法において、
構成成分Aが酸化カルシウムと水酸化カルシウムであり、構成成分Bが非晶質カルシウムサルフォアルミネートであることを特徴とする。
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本発明の請求項1は、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
酸化カルシウム、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上であるアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である無水硫酸アルミニウム、明礬、焼き明礬、明礬石の中から選ばれた1種以上のアルミニウム塩を、質量比で30:70〜70:30となるように混合することにより製造することを特徴とするものであり、
重金属類や陰イオンなどの環境に対する負荷が高い有害物質を複雑な操作を必要とせずに容易に不溶化することが可能であり、且つ安価に製造が可能であるという顕著な効果を奏する。
前記アルカリ土類金属塩およびアルミニウム塩は固形状であり、工業製品として流通しており、容易に入手可能であるというさらなる顕著な効果を奏する。
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本発明の請求項は、構成成分A(酸化カルシウム、水酸化カルシウムの2種)及び構成成分B(硫酸アルミニウム水和物、無水硫酸アルミニウム、カルシウムサルフォアルミネート水和物、非晶質カルシウムサルフォアルミネート(カルシウムサルフォアルミネート水和物の結晶水が脱離し、結晶構造が乱れて非晶質化したカルシウムサルフォアルミネート水和物前駆体)の中から選ばれた1種以上)を含有する、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である硫酸アルミニウム水和物とを、質量比が30:70〜70:30となるように混合して混合物を調製し、前記混合物を50〜100℃で加熱処理して反応させる方法、前記混合物100質量部に1〜20質量部の水を撹拌しながら加え、酸化カルシウムの水和反応による発熱を利用して加熱処理して反応させる方法、前記混合物を粉砕機に投入して粉砕し、メカノケミカル反応及び粉砕時の摩擦により発生する熱を利用して加熱処理して反応させる方法のいずれかの方法により、硫酸アルミニウム水和物の不安定な結晶水を脱離して、熱安定性が高い化合物に変換して製造することを特徴とするものであり、
より優れた不溶化能力を有し、重金属類や陰イオンなどの環境に対する負荷が高い有害物質を複雑な操作を必要とせずに不溶化することが可能であり、且つ安価に製造が可能であるという顕著な効果を奏する。
50℃以上の温度で加熱し、反応させることによって、反応を促進できるとともに、組成物の熱安定性が得られ、これにより貯蔵安定性が得られ、且つ不溶化能力を向上させることも可能となるというさらなる顕著な効果を奏する。
生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩であると、固形状であり、工業製品として流通しており、容易に入手可能であり、水和活性が大きく良好な反応を行うことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
前記混合物100質量部に対して、1〜20質量部の割合で水を加え、反応させることによって良好な反応を行うことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
メカノケミカル反応や摩擦熱によって良好な反応を行うことができるというさらなる顕著な効果を奏する。
硫酸アルミニウム水和物が、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状であると、有害物質の不溶化効果が大きいというさらなる顕著な効果を奏する。
前記質量比が30:70〜70:30となるように混合することにより有害物質の不溶化効果が大きいというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項に記載の有害物質不溶化処理用組成物の製造方法では、請求項に記載の有害物質不溶化処理用組成物の製造方法において、構成成分Aが酸化カルシウムと水酸化カルシウムであり、構成成分Bが非晶質カルシウムサルフォアルミネートであることを特徴とするものであり、
より優れた不溶化能力を有するという、さらなる顕著な効果を奏する。
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以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で開示する組成物の好ましい製造方法としては、アルカリ土類金属塩と硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を混合する方法が挙げられる(以下、製造方法Aと称す)。
製造方法Aで使用するアルカリ土類金属塩は、酸化カルシウム(CaO)、焼成ドロマイト(CaO、MgO)の中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩とすることが望ましい。
製造方法Aで使用するアルミニウム塩は、無水硫酸アルミニウム(Al2(SO4 )3 )、明礬(Al・R(SO4 )2 ・12H2 O、R=K、Na)、焼き明礬(R2 SO4 ・Al2(SO4 )3 、R=K、Na)、明礬石(R・Al3(SO4 )2 ・(OH)6 、R=K、Naなど)の中から選ばれた1種以上のアルミニウム分をAl2 O3 として10質量%以上含有し、且つ固形状であることが望ましい。これらは、工業製品として流通しており、容易に入手可能である。
製造方法Aにおいて、アルカリ土類金属塩の主成分が酸化カルシウムである場合には、アルミニウム塩に無水硫酸アルミニウム、明礬、焼き明礬、明礬石の中から選ばれた1種以上のアルミニウム塩を用いらなければならない。
何故なら、酸化カルシウムと硫酸アルミニウム水和物を混合した場合、混合物は熱に対して非常に不安定な状態になるからである。硫酸アルミニウム水和物は、室温より高い温度環境では結晶水を脱離しやすく、特に50℃以上で顕著となる。脱離した結晶水は、混合物中の酸化カルシウムと水和反応する。この水和反応は発熱反応であるため、材料の温度が急激に上昇し、硫酸アルミニウム水和物の脱水反応及び酸化カルシウムの水和反応を連鎖的に一気に進行させてしまい、結果として急激な材料の膨張や発熱が起きる。
例えば、混合物を真夏の倉庫や貯蔵タンクで保管する際、内部の温度が50℃以上に上昇することは珍しくない。このような状況で混合物を取り扱った場合、急激な膨張・発熱により設備・機器類の故障等を起こしかねず、非常に危険であるため、商品として販売・流通させることが出来ない。
酸化カルシウムと焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩と硫酸アルミニウム水和物からなるアルミニウム塩を特定の条件で反応させることによって、組成物の熱安定性が得られ、これにより貯蔵安定性が得られ、且つ不溶化能力を向上させることも可能となる。
本発明で開示する組成物の他の好ましい製造方法としては、下記の方法が挙げられる(以下、製造方法B、製造方法C、製造方法Dと称す)。
生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩と硫酸アルミニウム水和物の混合物を50℃以上で加熱処理する方法(製造方法B)、混合物100質量部に1〜20質量部の水を撹拌しながら加え、酸化カルシウムの水和反応による発熱を利用する方法(製造方法C)、混合物を粉砕機に投入して粉砕し、メカノケミカル反応及び粉砕時の摩擦により発生する熱を利用する方法(製造方法D)によって、硫酸アルミニウム水和物の結晶水を脱離させるとともに、脱離または添加した水分を介してアルカリ土類金属塩とアルミニウム塩を反応させて、非晶質カルシウムサルフォアルミネート(カルシウムサルフォアルミネート水和物の結晶水が脱離し、結晶構造が乱れて非晶質化したカルシウムサルフォアルミネート水和物前駆体)を生成させる。
この操作によって得られた組成物は、主として酸化カルシウム、水酸化カルシウム、非晶質カルシウムサルフォアルミネートで構成される。
製造方法B、製造方法C、製造方法Dを用いることによって、硫酸アルミニウム水和物の不安定な結晶水が脱離すると共に、熱安定性が高い化合物に変換されることから、熱安定性に関する問題は解消される。
さらに、優れた不溶化効果を有する非晶質カルシウムサルフォアルミネートが生成することから、材料を混合して得られた組成物よりも高い不溶化効果を発揮する。
製造方法Bにおいて酸化カルシウムなどの前記アルカリ土類金属塩と硫酸アルミニウム水和物からなるアルミニウム塩を加熱処理する温度は50℃以上が望ましい。50℃以下では、硫酸アルミニウム水和物の結晶水が安定であり、結晶水の脱離、及びそれに伴う酸化カルシウムの水和反応が起きず、硫酸アルミニウム水和物が多く残存してしまう。
製造方法Cにおいて、酸化カルシウムなどの前記アルカリ土類金属塩と硫酸アルミニウム水和物からなるアルミニウム塩の混合物100質量部に対して添加する水の質量は、1〜20質量部の割合が望ましい。
1質量部未満では、酸化カルシウムと反応する水の量が少なすぎるため、水和反応による十分な発熱量が得られず、硫酸アルミニウム水和物が多く残存してしまう恐れがある。20質量部を超えると、加水量が多過ぎるため、酸化カルシウムの水和反応に起因した発熱による系の温度上昇が十分ではなく、非晶質カルシウムサルフォアルミネートの生成反応が起きなくなってしまう恐れがある。
製造方法Dにおいて、酸化カルシウムなどの前記アルカリ土類金属塩と硫酸アルミニウム水和物からなるアルミニウム塩の混合物を粉砕する工程は、メカノケミカル反応及び粉砕時の摩擦によって発熱が起きるまで行うことが望ましい。
発熱を伴うまで操作を行うことによって、硫酸アルミニウム水和物からなるアルミニウム塩に含まれる結晶水を脱離させること、及びアルカリ土類金属塩とアルミニウム塩の反応によって非晶質カルシウムサルフォアルミネートを生成させることが可能となる。
粉砕処理が不足した場合、メカノケミカル反応や摩擦熱による発熱が起きず硫酸アルミニウム水和物の結晶水が脱離せずに残存し、非晶質カルシウムサルフォアルミネートの生成反応が起きなくなってしまう。反応の進行を促進するためには、粉砕時の材料温度が50℃以上であることがより望ましい。
製造方法B、製造方法C、製造方法Dで使用するアルカリ土類金属塩は、望ましくは工業製品として流通しており容易に入手可能な、生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上であることが好ましい。さらに、本発明の効果をより高く得るためには、出来るだけ酸化カルシウムが水と反応しやすいもの(水和活性が大きいもの)を選択することが望ましい。
製造方法B、製造方法C、製造方法Dで使用するアルミニウム塩は、硫酸アルミニウム水和物を含有していれば別段問題ないが、有害物質の不溶化効果を大きく期待する場合には、硫酸アルミニウム水和物の含有量が多いものが望ましく、アルミニウム分をAl2O3として10質量%以上含有し、且つ固形状であることが望ましい。
製造方法B、製造方法C、製造方法Dで使用する製造設備は別段限定しないが、酸化カルシウムの水和反応による発熱に耐えられる素材で構成されていることが望ましい。
本発明の開示する組成物の有害物質不溶化に関するメカニズムは、以下の通りである。
組成物を構成する化合物のうち、アルカリ土類金属塩は、カルシウムイオン(Ca2+)と陰イオンが反応し、アルカリ土類金属塩を形成して陰イオンを不溶化する効果、及びその際に重金属類を供沈させる効果を有する(不溶化効果1)。
アルミニウム塩に含まれるアルミニウムイオン(Al3+)は、水酸化アルミニウムを生成する際に、重金属類や陰イオンを供沈作用及び凝集作用によって沈殿させる(不溶化効果2)。
カルシウムイオン、アルミニウムイオン、硫酸イオン(SO42- )が水を介して反応することによって、難溶性のカルシウムサルフォアルミネート水和物を生成し、その際に重金属類や陰イオンを結晶構造に取り込み不溶化する(不溶化効果3)。
非晶質カルシウムサルフォアルミネートは、水和反応することによって難溶性のカルシウムサルフォアルミネート水和物を生成し、その際に重金属類や陰イオンを結晶構造に取り込み不溶化する(不溶化効果4)。
このうち、不溶化効果3及び不溶化効果4は、広範な有害物質に有効であり、最も効果の高い不溶化効果である。
カルシウムサルフォアルミネート水和物として主なものは、エトリンガイト(3CaO・Al2 O3 ・3CaSO4 ・32H2 O)とモノサルフェート(3CaO・Al2 O3 ・CaSO4 ・12H2 O)である。エトリンガイトは、{Ca3 Al(OH)6]・12H2 O}3+なる柱状構造がc軸方向に伸びた骨格を形成しており、この間にSO4 四面体と水分子が入り込んだ結晶構造をしている。
多量の結晶水を保持することも特徴であるが、結晶化の際Al原子の位置にイオン半径の近いTi、Cr、Pb、Cd、Mn、Feなどの金属イオンと容易に置換することが知られている。
また{Ca3 Al(OH)6]・12H2 O}3+の柱状構造間に介在するSO42- イオンも、CrO42- 、Cr2 O72- 、AsO33- 、AsO43- 、SeO32- 、Cl- 、F- 、NO3-、NO2-、CO32- 、PO43- イオンなどと置換することも可能である。
一方、モノサルフェートも、〔Ca2 Al(OH)6 ・2H2 O〕+ の層状構造を持ち、結晶化の際Al原子の位置にイオン半径の近い重金属イオンを取り込むことはエトリンガイトの場合と同じであるが、骨格構造中にOH- +2H2 Oの空位があるので、この位置にOH- 、AsO33- 、AsO43- 、Cl- 、SO42- 、PO43- 、NO2-などが取り込まれる。
エトリンガイトやモノサルフェートは、結晶が規則構造化した状態であり、有害物質を置換・固溶することは困難であるが、本発明では、カルシウムイオン、アルミニウムイオン、硫酸イオンが反応してカルシウムサルフォアルミネート水和物を生成する際、或いは非晶質カルシウムサルフォアルミネートが水和反応によって規則的な結晶構造になる際に、有害物質を結晶格子中に置換・固溶させるものであって、容易に不溶化することが可能となる。
さらに、単なる物理的吸着や固定化ではないので、セメントなどの物理的吸着・不溶化材より有害物質を確実に不溶化できる。
さらに、生成するカルシウムサルフォアルミネート水和物は、溶解度が極めて小さく、且つ無機物であり、長期にわたって安定に存在することが知られているので、有害物質の不溶化の持続性・耐久性の点でも優れている。
本発明で開示する組成物が不溶化することが可能な有害物質は、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、砒素(As)、セレン(Se)、六価クロム(Cr6+)、シアン(CN)、ホウ素(B)、塩素(Cl)、フッ素(F)、リン酸イオン(PO43- )、亜硝酸イオン(NO2-)、硝酸イオン(NO3-)の中から選ばれた1種以上であるが、ここに記載される以外の重金属類や陰イオンの不溶化も可能である。
本発明で開示する組成物は、アルカリ土類金属塩とアルミニウム塩の混合比率が、質量比で30:70〜70:30となるように設定することが望ましい。アルカリ土類金属塩の質量比が30より小さい場合、不溶化効果1、不溶化効果3、不溶化効果4が期待できなくなるため好ましくない。アルカリ土類金属塩の質量比が70より大きい場合、不溶化効果2、不溶化効果3、不溶化効果4が期待できなくなるため好ましくない。
以下、実施例によって本発明の有害物質不溶化処理用組成物の具体例及びその効果を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および参考例では、消石灰(粒径0.15mm以下、CaO含有量72.1質量%)、焼成ドロマイトの水和物(粒径0.15mm以下、CaO含有量46.5質量%、MgO含有量25.1質量%)、生石灰(粒径1.0mm以下、CaO含有量95.3質量%)、硫酸アルミニウム水和物(粒径0.85mm以下、Al2 O3 含有量17.4質量%)、無水硫酸アルミニウム(粒径0.85mm以下、Al2 O3 含有量29.2質量%)、カリ明礬(Al・K(SO4 )2 ・12H2 O、粒径0.85mm以下、K2 O含有量5.7質量%、Al2 O3 含有量10.3質量%、SO3 含有量33.8質量%、含有水分45.2質量%)を使用した。
(参考例1)
消石灰700gと硫酸アルミニウム水和物300gを秤量し、卓上モルタルミキサーにて混合撹拌した。得られた組成物を「組成物a」とした
(参考例2)
焼成ドロマイトの水和物300gとカリ明礬700gを秤量し、卓上モルタルミキサーにて混合撹拌した。得られた組成物を「組成物b」とした。
(実施例1)
生石灰500gと無水硫酸アルミニウム500gを秤量し、卓上モルタルミキサーにて混合撹拌した。得られた組成物を「組成物c」とした。
(参考例3)
消石灰800gと硫酸アルミニウム水和物200gを秤量し、卓上モルタルミキサーにて混合撹拌した。得られた組成物を「組成物d」とした。
(参考例4)
消石灰200gと硫酸アルミニウム水和物800gを秤量し、卓上モルタルミキサーにて混合撹拌した。得られた組成物を「組成物e」とした。
(参考例5)
生石灰500gと硫酸アルミニウム水和物500gを秤量し、卓上モルタルミキサーにて混合撹拌した。得られた組成物を「組成物f」とした。
(実施例2)
生石灰500gと硫酸アルミニウム水和物500gを秤量し、卓上モルタルミキサーに投入した。ミキサーで両者を混合して得られた混合物を100℃の恒温器に入れて一昼夜放置した。得られた組成物は乾燥した1〜20mmの塊状凝集物と粉末の混合物であった。これを乳鉢で解砕し「組成物g」とした。
(参考例6)
恒温器の温度を45℃に設定し、その他は実施例2と同様の操作を行った。得られた組成物は乾燥粉末状であり、これを「組成物h」とした。
(実施例3)
生石灰500gと硫酸アルミニウム水和物500gを秤量し、卓上モルタルミキサーに投入した。ミキサーで両者を混合しながら清水を10g添加した。添加直後、生石灰の水和反応による発熱に起因した水分の蒸発が確認できた。5分間撹拌して得られた組成物は乾燥した粉末状であった。この粉末状組成物を「組成物i」とした。
(実施例4)
清水添加量を50gとして、その他は実施例9と同様の操作を行った。清水を添加した直後、一旦スラリー状になり、程なく発熱と共に多量の蒸気が発生した。清水添加後から5分間撹拌して得られた組成物は、乾燥した1〜20mmの塊状凝集物と粉末の混合物であった。これを乳鉢で解砕し「組成物j」とした。
(実施例5)
清水添加量を100gとして、その他は実施例9と同様の操作を行った。反応状況は実施例10と同様であり、得られた組成物は1〜50mmの塊状凝集物であった。これを乳鉢で解砕し「組成物k」とした。
(参考例7)
生石灰800gと硫酸アルミニウム水和物200gを秤量し、卓上モルタルミキサーに投入した。ミキサーで両者を混合しながら清水を50g添加した。添加直後、生石灰の水和反応による発熱に起因した水分の蒸発が確認できた。5分間撹拌して得られた組成物は乾燥した粉末状であった。この粉末状組成物を「組成物l」とした。
(参考例8)
生石灰200gと硫酸アルミニウム水和物800gを秤量し、卓上モルタルミキサーに投入した。ミキサーで両者を混合しながら清水を50g添加した。清水を添加した直後からスラリー状になり、ほとんど発熱を伴わなかった。清水添加後から5分間撹拌して得られた組成物は、水分を含み、且つ粘性の高い1〜50mmの塊状凝集物であった。これを20℃で重量変化が無くなるまで乾燥し、乳鉢で解砕したものを「組成物m」とした。
(参考例9)
清水添加量を1gとして、その他は実施例9と同様の操作を行った。得られた組成物は乾燥粉末状であり、これを「組成物n」とした。
(参考例10)
清水添加量を400gとして、その他は実施例9と同様の操作を行った。得られた組成物は、実施例13と同様の塊状凝集物であった。これを20℃で重量変化が無くなるまで乾燥し、乳鉢で解砕したものを「組成物o」とした。
(実施例6)
生石灰500gと硫酸アルミニウム水和物500gを秤量し、卓上ボールミルに投入した。1分おきに材料の温度変化を確認した。温度が50℃を越えた時点から5分間経過後に粉砕を終了した。得られた組成物は乾燥した粉末状であった。この粉末状組成物を「組成物p」とした。
(参考例11)
生石灰500gと硫酸アルミニウム水和物500gを秤量し、卓上ボールミルに投入した。1分おきに材料の温度変化を確認した。温度が50℃に到達する前に粉砕を終了した。得られた組成物は乾燥した粉末状であった。この粉末状組成物を「組成物q」とした。
(粉末X線回折による組成物の同定)
原料及び得られた組成物a〜qについて、粉末X線回折により結晶相の同定を行った。
図1は原料の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。
図2は組成物a〜fの粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。
図3は組成物g〜mの粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。
図4は組成物n〜qの粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。
結晶相の同定結果を表1に示す。
Figure 0005265103
原料の消石灰は水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )と微量の炭酸カルシウム(CaCO3 )、焼成ドロマイトの水和物は水酸化カルシウム(Ca(OH)2 )と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )と微量の炭酸カルシウム(CaCO3 )、生石灰は酸化カルシウム(CaO)と微量の炭酸カルシウム(CaCO3 )、硫酸アルミニウム水和物は17水塩(Al2 ( SO4 )3 ・17H2 O)、無水硫酸アルミニウムは無水塩(Al2(SO4 )3 )、カリ明礬はAl・K(SO4 )2 ・12H2 Oであることが確認できた。
組成物a〜f、組成物h、組成物qでは、原料の結晶相がそのままの形で存在していることが確認された。これらの製造条件では、原料同士の反応が進行しないことが分かる。
組成物g、組成物i〜k、組成物pでは、生石灰に由来した酸化カルシウム、酸化カルシウムの水和により生成した水酸化カルシウム、非晶質相、炭酸カルシウムが確認され、硫酸アルミニウム水和物の存在は認められなかった。
組成物lでは、生石灰に由来した酸化カルシウム、酸化カルシウムの水和により生成した水酸化カルシウムの結晶相が多く認められ、硫酸アルミニウム水和物の脱水に由来した無水硫酸アルミニウムは僅かに確認できる程度であった。非晶質相の存在は確認されなかった。
組成物mでは、発熱量の不足に起因して、無水硫酸アルミニウムや非晶質相は生成せず、原料の硫酸アルミニウム水和物が多量に残存するとともに、水酸化カルシウムと二水石膏(CaSO4 ・2H2 O)の存在が確認された。このことから、組成物mの配合割合及び製造条件では、酸化カルシウム由来のカルシウムイオンの一部と、硫酸アルミニウム水和物由来の硫酸イオンの一部が反応し、二水石膏が生成することがわかった。
組成物nでは、硫酸アルミニウム水和物が残存していることが確認された。
組成物oでは、発熱量の不足に起因して、無水硫酸アルミニウムや非晶質相は生成せず、カルシウムサルフォアルミネート水和物の1種であるエトリンガイト(3CaO・Al2 O3・3CaSO4 ・32H2 O)が生成するとともに、硫酸アルミニウム水和物が残存していることが確認された。
過剰に水分が存在し、酸化カルシウムの水和反応による発熱量が少ない条件で得られた組成物(組成物o)は、アルカリ土類金属塩とアルミニウム塩が反応してカルシウムサルフォアルミネート水和物(エトリンガイト)が生成することが確認できた。これに対し、本発明で開示する反応条件によって得られた組成物(組成物g、i、j、k、および組成物p)では、生石灰の水和反応熱により、硫酸アルミニウム水和物の回折ピークは消失し、硫酸アルミニウム化合物(無水硫酸アルミニウムなど)の回折ピークは認められず、CaO−Al2O3 −SO3 −H2 O系化合物やCaO−Al2 O3 −H2 O系化合物が認められなかった。さらに、石灰系化合物(CaO、Ca(OH)2 )の回折ピーク強度が弱くなっていた。
このことから、一旦はアルカリ土類金属塩とアルミニウム塩が反応して生成したカルシウムサルフォアルミネート水和物が、熱によって結晶水を放出するとともに、結晶構造が崩れて非晶質化した非晶質カルシウムサルフォアルミネート(カルシウムサルフォアルミネート水和物前駆体)となっているものと推察される。
(熱安定性確認試験)
得られた組成物a〜qについて、温度50℃における保管状況の確認を行った。上部が開口した円筒状の200mlアルミニウム製容器に各組成物200gを投入し、開口部を耐熱温度100℃のビニール製フィルムで覆った。これを50℃に設定した恒温器に入れて一昼夜放置した。
一昼夜放置後の状況を確認したところ、組成物f、組成物h、組成物n、組成物qを入れた容器に変化が見られた。いずれも開口部を覆っていたビニール製フィルムが溶け、反応により組成物が容器の開口部から盛り上がり、一部は容器の外にこぼれてしまうほど膨張した状態であった。
これらの組成物は、本発明で開示する好ましい製造条件を満たしていないため、組成物中に酸化カルシウムと硫酸アルミニウム水和物が残存し、これらが共存した状態で高温に曝されたことが原因で、両者の反応が急激に起きてしまったと考えられる。以上のことから、組成物f、組成物h、組成物n、組成物qは、熱安定性に問題があることがわかった。
(不溶化能力確認試験)
表2に示すカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、砒素(As)を溶出するごみ焼却飛灰(粒径1.0mm以下、主な化学成分及びその含有量は、CaO含有量53.1質量%、Cl含有量21.5質量%、SO3 含有量8.2質量%、SiO2 含有量5.4質量%、Na2 O含有量3.3質量%である)に対して、100質量部当りの添加量が30質量部となるように組成物a〜qを添加し、清水を50質量部を加えて3分間混合撹拌を行った。得られた処理物を20℃、湿空で3日間養生したのち、環境庁告示第13号に規定された試験方法に準じて、各有害物質の溶出量を測定した。
溶出試験の結果を表3に示す。
なお、表3以降において、「ND」は検出限界以下を意味する。
Figure 0005265103
Figure 0005265103
表2に示す六価クロム(Cr6+)、フッ素(F)、ホウ素(B)を溶出する汚染土壌(粒径2.0mm以下、湿潤密度1.50g/cm3 、含有水分43.6質量%)に対して 、100質量部当りの添加量が10質量部となるように組成物a〜qを添加して、3分間混合撹拌をおこなった。得られた処理土を20℃、湿空で3日間養生したのち、環境庁告示第46号に規定された試験方法に準じて、各有害物質の溶出量を測定した。
溶出試験の結果を表4に示す。
Figure 0005265103
表2に示す水銀(Hg)を溶出する汚泥(粒径0.15mm以下、湿潤密度1.20g/cm3 、含有水分58.3質量%)に対して、100質量部当りの添加量が10質量部となるように組成物a〜qを添加して、3分間混合撹拌をおこなった。得られた処理物を20℃、湿空で3日間養生したのち、環境庁告示第13号に規定された試験方法に準じて溶出量を測定した。
溶出試験の結果を表5に示す。
Figure 0005265103
表6に示す塩素イオン(Cl)、リン酸イオン(PO43- )、亜硝酸イオン(NO2-)、硝酸イオン(NO3-)を含有するように、塩酸(HCl)、正リン酸(H3 PO4 )、硝酸(HNO3 )、亜硝酸ナトリウム(NaNO2 )を用いて陰イオン含有量を調整した擬似工場排水100質量部に対して、添加量が10質量部となるように組成物a〜qを添加して、3分間混合撹拌をおこなった。処理後の溶液をガラス繊維製メンブランフィルター(孔径0.45μm)にて固液分離し、液中の陰イオン含有量を測定した。
試験結果を表7に示す。
Figure 0005265103
Figure 0005265103
組成物a〜qにおいて、それぞれ有害物質を不溶化する効果が認められた。
各種原料を混合して得られた組成物である組成物a〜fにおいて、本発明で開示した好ましい配合割合で構成された組成物a〜cは、組成物d、組成物eよりも優れた不溶化効果を示した。
生石灰と硫酸アルミニウム水和物の混合物である組成物fは、十分な不溶化効果を示しているが、問題となる熱安定性を満たしていない。
組成物g、組成物i〜k、組成物pは、組成物f(原料を混合しただけのもの)よりも優れた有害物質の不溶化効果を示した。不溶化効果の向上は、不溶化効果の高い非晶質カルシウムサルフォアルミネートを含有していることに起因している。
組成物lは、本発明で開示した好ましい配合割合から外れた組成であるため、アルミニウム塩及び非晶質カルシウムサルフォアルミネートの含有量が少なく、十分な不溶化効果が得られなかった。
組成物h、組成物n、組成物qの不溶化効果は、組成物fと殆ど変わらなかったが、組成物fと同様に問題となる熱安定性を満たしていない。
組成物mは、カルシウム塩が不足することにより不溶化効果1、不溶化効果3、不溶化効果4が期待できないため、十分な不溶化効果が得られなかった。
組成物oは、エトリンガイトが生成したことよって、十分な不溶化効果が得られなかった(エトリンガイトは結晶構造が規則化した状態であるので不溶化効果4が期待できない)。
本発明は、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
酸化カルシウム、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上であるアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である無水硫酸アルミニウム、明礬、焼き明礬、明礬石の中から選ばれた1種以上のアルミニウム塩を、質量比で30:70〜70:30となるように混合することにより製造することを特徴とするものであり、
重金属類や陰イオンなどの環境に対する負荷が高い有害物質を複雑な操作を必要とせずに容易に不溶化することが可能であり、且つ安価に製造が可能であるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
また本発明の他の発明は、構成成分A(酸化カルシウム、水酸化カルシウムの2種)及び構成成分B(硫酸アルミニウム水和物、無水硫酸アルミニウム、カルシウムサルフォアルミネート水和物、非晶質カルシウムサルフォアルミネート(カルシウムサルフォアルミネート水和物の結晶水が脱離し、結晶構造が乱れて非晶質化したカルシウムサルフォアルミネート水和物前駆体)の中から選ばれた1種以上)を含有する、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である硫酸アルミニウム水和物とを、質量比が30:70〜70:30となるように混合して混合物を調製し、前記混合物を50〜100℃で加熱処理して反応させる方法、前記混合物100質量部に1〜20質量部の水を撹拌しながら加え、酸化カルシウムの水和反応による発熱を利用して加熱処理して反応させる方法、前記混合物を粉砕機に投入して粉砕し、メカノケミカル反応及び粉砕時の摩擦により発生する熱を利用して加熱処理して反応させる方法のいずれかの方法により、硫酸アルミニウム水和物の不安定な結晶水を脱離して、熱安定性が高い化合物に変換して製造することを特徴とするものであり、
より優れた不溶化能力を有し、重金属類や陰イオンなどの環境に対する負荷が高い有害物質を複雑な操作を必要とせずに不溶化することが可能であり、且つ安価に製造が可能であるという顕著な効果を奏する。
原料の粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 組成物a〜fの粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 組成物g〜mの粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。 組成物n〜qの粉末X線回折の測定結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
    酸化カルシウム、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上であるアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である無水硫酸アルミニウム、明礬、焼き明礬、明礬石の中から選ばれた1種以上のアルミニウム塩を、質量比で30:70〜70:30となるように混合することにより製造することを特徴とする有害物質不溶化処理用組成物の製造方法
  2. 構成成分A(酸化カルシウム、水酸化カルシウムの2種)及び構成成分B(硫酸アルミニウム水和物、無水硫酸アルミニウム、カルシウムサルフォアルミネート水和物、非晶質カルシウムサルフォアルミネート(カルシウムサルフォアルミネート水和物の結晶水が脱離し、結晶構造が乱れて非晶質化したカルシウムサルフォアルミネート水和物前駆体)の中から選ばれた1種以上)を含有する、カドミウム、鉛、水銀、砒素、セレン、六価クロム、シアン、ホウ素、塩素、フッ素、リン酸イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンの中から選ばれた1種以上の環境に有害な物質を不溶化することができ、かつ温度50℃において保管しても、急激な材料の膨張や発熱が起きない有害物質不溶化処理用組成物の製造方法であって、
    生石灰、生石灰と消石灰の質量比が生石灰/消石灰≧0.1である生石灰と消石灰の混合物、焼成ドロマイトの中から選ばれた1種以上のアルカリ土類金属塩と、アルミニウム分をAl 2 3 として10質量%以上含有し、且つ固形状である硫酸アルミニウム水和物とを、質量比が30:70〜70:30となるように混合して混合物を調製し、前記混合物を50〜100℃で加熱処理して反応させる方法、前記混合物100質量部に1〜20質量部の水を撹拌しながら加え、酸化カルシウムの水和反応による発熱を利用して加熱処理して反応させる方法、前記混合物を粉砕機に投入して粉砕し、メカノケミカル反応及び粉砕時の摩擦により発生する熱を利用して加熱処理して反応させる方法のいずれかの方法により、硫酸アルミニウム水和物の不安定な結晶水を脱離して、熱安定性が高い化合物に変換して製造することを特徴とする有害物質不溶化処理用組成物の製造方法
  3. 構成成分Aが酸化カルシウムと水酸化カルシウムであり、構成成分Bが非晶質カルシウムサルフォアルミネートであることを特徴とする請求項2に記載の有害物質不溶化処理用組成物の製造方法。
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