JP5264686B2 - エコーキャンセル方法、エコーキャンセル装置、エコーキャンセルプログラム - Google Patents
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Description
W11(k)=[w110(k),w111(k),…,w11L-1(k)]T
W21(k)=[w210(k),w211(k),…,w21L-1(k)]T
であり、Lは適応フィルタで用いる係数の数(適応フィルタ長)、w11j,w21j(j=0,1,…,L−1)は各フィルタ係数、Tは転置、大文字はベクトル、小文字はスカラーを表す。
y21(k)=W21T(k)X2(k) (2)
但し、
X1(k)=[x1(k),x1(k-1),…,x1(k-L+1)]T
X2(k)=[x2(k),x2(k-1),…,x2(k-L+1)]T
とする。
W21(k+1)=W21(k)+μΔW21(k) (4)
但し、
ΔW11(k)=[ΔW110(k),Δw111(k),…,Δw11L-1(k)]T
ΔW21(k)=[ΔW210(k),Δw211(k),…,Δw21L-1(k)]T
であり、μは更新量を制御するパラメータである。ΔW11(k),ΔW21(k)は、時刻kにおける更新量で、適応アルゴリズムによって異なり、それに伴って更新量を制御するパラメータμも異なる。例えば学習同定法だと、以下のようになる。
本発明の原理について説明する。図2はエコーキャンセル装置100の利用例を示す。本発明は通信相手の話者の位置によって(例えば、話者A,B,C)、エコーキャンセル装置100が受け取る2チャネルの受話信号x1(k),x2(k)の大きさが異なる場合があることに着目し、これを用いて適応フィルタ長を変更し、相手に返る残留エコーを少なくする。まず、適応フィルタ長に着目した場合の、疑似反響路と反響路の誤差が相手へ返るエコーの量に及ぼす影響を考える。適応フィルタ長をL、反響路をフィルタで表した場合のフィルタ長をM(但し、M>L)とした場合、各フィルタの誤差Δe11(k),Δe21(k)を
H11=[h110,h111,…,h11M-1]T
H21=[h210,h211,…,h21M-1]T
と表す。反響路の伝達特性は、指数的に減衰することが知られており、適応フィルタ長Lの値が大きいほど、式(10)、(11)のそれぞれの右辺第二項の値が小さくなる。
図3はエコーキャンセル装置100の構成例を、図4はエコーキャンセル装置100の処理フロー例を示す。これらを用いて実施例1に係るエコーキャンセル装置100を説明する。
記憶部103は、入出力される各データや演算過程の各データを、逐一、格納・読み出しする。それにより各演算処理が進められる。但し、必ずしも記憶部103に記憶しなければならないわけではなく、各部間で直接データを受け渡してもよい。
パワー計算部101,102は、それぞれ受話信号x1(k),x2(k)の受話信号の所定区間の二乗和‖X1’(k)‖2,‖X2’(k)‖2を求める(s101,s102)。但し、Qを所定区間の長さとし、
‖X1'(k)‖2=x1(k)2+x1(k-1)2+…+x1(k-Q+1)2
‖X2'(k)‖2=x2(k)2+x2(k-1)2+…+x2(k-Q+1)2
とする。なお、所定区間の長さQを適応フィルタ長と同じすれば、式(5),(6)で計算するX1T(k)X1(k),X2T(k)X2(k)と‖X1’(k)‖2,‖X2’(k)‖2は同値となり、記憶部103に記憶した値を用いることで計算を省略することができる。
フィルタ長決定部111は、2チャネルの受話信号x1(k),x2(k)の大きさの差が閾値βよりも大きいの場合には、大きい受話信号に対応する適応フィルタ長が、小さい受話信号に対応する適応フィルタ長より長くなるように、フィルタ長を決定する(s111)。
選択部111bは、sの大きさに応じて(式(17)、(18)に従って)、適応フィルタ長L1(k+1),L2(k+1)を選択する(s111b1,s111b2,s111b3)。
疑似反響路611は、2チャネルの受話信号x1(k),x2(k)と、各チャネルの受話信号に対応する適応フィルタ係数W11(k),W21(k)を用いて、2つのチャネル擬似エコー信号y11(k),y21(k)を求める(s611,s621)。例えば、疑似反響路611は、受話信号x1(k)と、この受話信号に対応する適応フィルタ係数W11(k)を受け取り、
y11(k)=W11T(k)X1(k) (1)
により、y11(k)を求め、出力する。疑似反響路621も同様の処理を行う。
加算器71は、2つのチャネル擬似エコー信号y11(k),y21(k)を加算して総合擬似エコー信号y1(k)を求める(s71)。例えば、加算器71は、y11(k),y21(k)を受け取り、y1(k)=y11(k)+y21(k)を求め、出力する。
適応フィルタ911,921は、フィルタ長決定部111において決定されたフィルタ長L1(k),L2(k)に基づき、現在の適応フィルタ係数W1(k),W2(k)と、2チャネルの受話信号x1(k),x2(k)と、誤差信号e1(k)を用いて、各チャネルの受話信号に対応する適応フィルタ係数を逐次更新し、W1(k+1),W2(k+1)を求める(s911,s921)。
W11(k+1)=W11(k)+μΔW11(k) (3)
により、適応フィルタ係数W11(k)を逐次更新し、W11(k+1)を求め、コピーして、疑似反響路611に出力する。なお、式(3)のΔW11(k)は、例えば、
X1(k)=[x1(k),x1(k-1),…,x1(k-L1(k)+1)]T
X2(k)=[x2(k),x2(k-1),…,x2(k-L1(k)+1)]T
である。なお、記憶部103は、少なくとも、適応フィルタ長が最大となったときのx1(k-L1(k)+1),x2(k-L1(k)+1)までを記憶しておく。また、適応フィルタ長が変化するため、式(3)において、適応フィルタ長が合わないことがある。例えば、適応フィルタ長が短くなった場合、W11(k)のほうが、ΔW11(k)よりも係数が多い。余った部分については、削除してw11(k+1)を求めてもよい。また、適応フィルタ長が長くなった場合、W11(k)のほうが、ΔW11(k)よりも係数が少ない。足りない部分については、フィルタ係数の初期値(例えば、0)を代入して、w11(k+1)を求めてもよい。適応フィルタ921も同様の処理を行う。
図7はエコーキャンセルなしの場合の残留エコーの大きさ、従来のエコーキャンセル装置10の残留エコーの大きさ、エコーキャンセル装置100の残留エコーの大きさを示す。横軸は時間(秒)、縦軸は相対パワー(dB)を表す。測定開始後2秒で、反響路が変わり、その時点から再度収束している。条件としては、相手側話者の位置が一方のマイクロホンに近く、他方のマイクロホンの1/3の距離であることを想定している。また、式(17)、(18)において、L=512,α=100、β=6dBとしている。
フィルタ長決定部111は、P個(Pは2以上の整数)の閾値βを設けてもよい。但し、βp<β(p−1)、p=2,3,…,Pとする。例えば、閾値β1,β2を用いて、以下のように適応フィルタ長L1(k+1),L2(k+1)を、求めてもよい。図8は、閾値が2つの場合のフィルタ長決定部の処理フロー例である。
101,102 パワー計算部
103 記憶部
111 フィルタ長決定部
611,621 疑似反響路
71 加算器
81 減算器
911,921 適応フィルタ
Claims (7)
- 疑似反響路において、2チャネルの受話信号と、各チャネルの受話信号に対応するフィルタ係数を用いて、2つのチャネル擬似エコー信号を求めるチャネル疑似エコー生成ステップと、
前記2つのチャネル擬似エコー信号を加算して総合擬似エコー信号を求める加算ステップと、
前記2チャネルの受話信号の再生音に対する収音信号から前記総合擬似エコー信号を差し引いて誤差信号を求める減算ステップと、
前記2チャネルの受話信号の大きさの差が閾値よりも大きいの場合には、大きい受話信号に対応する適応フィルタ長が、小さい受話信号に対応する適応フィルタ長より長くなるように、フィルタ長を決定するフィルタ長決定ステップと、
前記フィルタ長決定ステップにおいて決定されたフィルタ長に基づき、現在の適応フィルタ係数と、前記2チャネルの受話信号と、前記誤差信号を用いて、各チャネルの受話信号に対応する適応フィルタ係数を逐次更新するフィルタ更新ステップと、
を備えるエコーキャンセル方法。 - 請求項1記載のエコーキャンセル方法であって、
前記フィルタ長決定ステップは、
各受話信号の大きさとして各受話信号の二乗の期待値、または、各受話信号の所定区間の二乗和を用い、
一方の受話信号の大きさから他方の受話信号の大きさを引いた差が閾値より大きい場合には、一方の受話信号に対応する適応フィルタ長L1を初期値よりも長くなるように、フィルタ長を決定し、
一方の受話信号の大きさから他方の受話信号の大きさを引いた差の絶対値が閾値以下場合には、一方の受話信号に対応する適応フィルタ長L1を初期値となるように、フィルタ長を決定し、
他方の受話信号の大きさから一方の受話信号の大きさを引いた差が閾値より大きい場合には、一方の受話信号に対応する適応フィルタ長L1を初期値よりも短くなるように、フィルタ長を決定する、
ことを特徴とするエコーキャンセル方法。 - 請求項2記載のエコーキャンセル方法であって、
前記フィルタ長決定ステップは、
一方の受話信号の大きさから他方の受話信号の大きさを引いた差が閾値より大きい場合には、他方の受話信号に対応する適応フィルタ長L2を初期値よりも短くなるように、フィルタ長を決定し、
一方の受話信号の大きさから他方の受話信号の大きさを引いた差の絶対値が閾値以下場合には、他方の受話信号に対応する適応フィルタ長L2を初期値となるように、フィルタ長を決定し、
他方の受話信号の大きさから一方の受話信号の大きさを引いた差が閾値より大きい場合には、他方の受話信号に対応する適応フィルタ長L2を初期値よりも長くなるように、フィルタ長を決定する、
ことを特徴とするエコーキャンセル方法。 - 請求項3記載のエコーキャンセル方法であって、
前記フィルタ長決定ステップにおいて、
一方の受話信号の大きさから他方の受話信号の大きさを引いた差が閾値より大きい場合には、前記適応フィルタ長L1を初期値よりも長くした分と、前記適応フィルタ長L2を初期値よりも短くした分が等しくなるようにし、
他方の受話信号の大きさから一方の受話信号の大きさを引いた差が閾値より大きい場合には、前記適応フィルタ長L1を初期値よりも短くした分と、前記適応フィルタ長L2を初期値よりも長くした分が等しくなるようにする、
ことを特徴とするエコーキャンセル方法。 - 請求項1から4の何れかに記載のエコーキャンセル方法であって、
前記フィルタ長決定ステップにおいて、複数の閾値を設け、
前記2チャネルの受話信号の大きさの差が大きいほど、大きい受話信号に対応する適応フィルタ長が、小さい受話信号に対応する適応フィルタ長より長くなるように、フィルタ長を決定する、
ことを特徴とするエコーキャンセル方法。 - 2チャネルの受話信号と、各チャネルの受話信号に対応するフィルタ係数を用いて、2つのチャネル擬似エコー信号を求める疑似反響路と、
前記2つのチャネル擬似エコー信号を加算して総合擬似エコー信号を求める加算手段と、
前記2チャネルの受話信号の再生音に対する収音信号から前記総合擬似エコー信号を差し引いて誤差信号を求める減算手段と、
前記2チャネルの受話信号の大きさの差が閾値よりも大きいの場合には、大きい受話信号に対応する適応フィルタ長が、小さい受話信号に対応する適応フィルタ長より長くなるように、フィルタ長を決定するフィルタ長決定手段と、
前記フィルタ長決定手段において決定されたフィルタ長に基づき、現在の適応フィルタ係数と、前記2チャネルの受話信号と、前記誤差信号を用いて、各チャネルの受話信号に対応する適応フィルタ係数を逐次更新する適応フィルタと、
を備えるエコーキャンセル装置。 - 請求項1から5の何れかに記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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JP2009270488A JP5264686B2 (ja) | 2009-11-27 | 2009-11-27 | エコーキャンセル方法、エコーキャンセル装置、エコーキャンセルプログラム |
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