JP5925149B2 - 音響結合量推定装置、エコー消去装置、その方法及びプログラム - Google Patents

音響結合量推定装置、エコー消去装置、その方法及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、音響再生系を有する例えば通信会議システムにおいて用いられる、ハウリングの原因及び聴覚上の障害となる音響エコーを消去するエコー消去装置と、その際に用いるエコー経路または音響結合量を推定する音響結合量推定装置、その方法とプログラムに関する。
短時間スペクトル振幅(STSA:Short-Time Spectral Amplitude)推定に基づくエコー抑圧処理は、人間の聴覚特性が位相に鈍感である性質及び、エコーの統計的な性質を利用して周波数領域でエコーの振幅成分を減算することで実現される。周波数領域でエコーを抑圧する従来のエコー消去装置100は、例えば特許文献1に記載されている。
図1にエコー消去装置100の機能構成例を示し、その動作を説明する。エコー消去装置100は、受話端1に入力され、スピーカ2によって音響信号に変換される再生信号x
(k)と、マイクロホン3が出力する音響信号に変換された再生信号x(k)に図示しない屋内のインパルス応答(伝達関数)の影響を受けたエコー成分が重畳した収音信号y(k)とを入力信号とする。エコー消去装置100から送話端4に出力される出力信号e(k)は、収音信号y(k)のエコー成分が抑圧された信号である。
エコー消去装置100は、第一周波数分析部81、第二周波数分析部82、音響結合量計算部13、エコーパワー計算部14、ゲイン計算部85、積算部86、周波数合成部87を備える。
第一周波数分析部81は、再生信号x(k)を入力として再生信号スペクトルXω(i)を出力する。第二周波数分析部82は、収音信号y(k)を入力として収音信号スペクトルYω(i)を出力する。ここでkは、所定間隔の離散時間を示すサンプル点の番号であり、再生信号x(k)と収音信号y(k)はディジタル信号である。図1において、スピーカ2への入力及び、マイクロホン3の出力するアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器は省略している。再生信号スペクトルXω(i)と収音信号スペクトルYω(i)のωは、周波数値であり、所定の周波数間隔で求めたスペクトルの周波数の番号である。また、iはフレーム番号である。フレームの時間長は、例えばサンプリング周波数を16kHz、周波数分析のデータ量を256点とした場合、16msである。
音響結合量計算部13は、収音信号スペクトルYω(i)と、再生信号スペクトルXω(i)とを入力として式(1)で音響結合量の推定値|H^ω(i,m)|(テキスト中で使用する記号「^」は、本来直前の文字の真上に記載されるべきものであるが、テキスト記法の制限により、当該文字の直後に記載する。式中においてはこれらの記号は本来の位置に記述している)を計算する。
Figure 0005925149
ここでは共役複素数である。mは、m=0,1,…,M−1の整数値をとる値であり、収音信号スペクトルYω(i−j)に対して再生信号スペクトルXω(i−j−m)を過去の時刻にずらすフレーム数を表す。よって、Mは過去の時刻にずらす範囲を表す。別の言い方をすると、Mは、残響時間により決定されるフレーム数であり、例えば、フレームのシフト幅が8msであり、残響時間が160msのとき、M=20とする。N(m)は、所定フレーム数であり、音響結合量の推定値(以下、単に「音響結合量推定値」ともいう)を求めるフレーム幅を表す。C(m)は調整定数であり、例えばC(m)=1とする。なお、調整定数C(m)は、mによって異なる値に設定しても良い。例えばmが大であるとより過去のフレーム時刻が計算対象になるので、mが小の場合の音響結合量よりもSN比が相対的に低下する。そこでmが大の時は、例えばC(m)を小さくするようにしても良い。つまり、過去分の重みを小さくする。また、同様に過去のフレーム時刻のSN比は低下することから、所定のフレーム数N(m)もmの値によって変化させても良い。例えばmが大であればN(m)も大とする。そうすることで、クロススペクトル加算値やパワー値がより平均化されるので精度向上が期待できる。
図2にエコーパワー計算部14の機能構成例を示す。エコーパワー計算部14は、再生信号スペクトルパワー計算部140と、再生信号パワー記録部141と、乗算・累積部142とを備える。再生信号スペクトルパワー計算部140は、入力される再生信号スペクトルXω(i)を自乗して再生信号スペクトルパワー|Xω(i)|を求める。再生信号スペクトルパワー|Xω(i)|は、再生信号パワー記録部141に記録される。乗算・累積部142は、音響結合量推定値|H^ω(i,m)|と、再生信号パワー記録部141に記録された現在からM−1フレーム分過去までの再生信号スペクトルパワー|Xω(i)|,|Xω(i−1)|,…,|Xω(i−M+1)|とを入力として式(2)で、エコーパワー推定値|D^ω(i)|を計算する。
Figure 0005925149
このように、エコーパワー計算部14は、現在の時刻フレーム(i−m)(m=0)の音響結合量推定値|H^ω(i,0)|と再生信号スペクトルパワー|Xω(i−m)|との乗算値と、過去の時刻フレーム(i−m)(m=1〜M−1)の範囲内での、同時刻の音響結合量推定値|H^ω(i,m)|と再生信号スペクトルパワー|Xω(i−m)|との乗算値とを合計してエコーパワー|D^ω(i)|を求める。
ゲイン計算部85は、エコーパワー推定値|D^ω(i)|と収音信号スペクトルYω(i)を入力として、ゲイン係数Gω(i)を式(3)で計算する。
Figure 0005925149
ゲイン係数Gω(i)は、0〜1の実数値をとり、収音信号スペクトルYω(i)にエコー成分が多い場合には小さな値に、エコー成分以外の成分が多い場合には大きな値になる。
積算部86は、収音信号スペクトルYω(i)にゲイン係数Gω(i)を積算してエコー消去信号スペクトルEω(i)を出力する。
周波数合成部87は、周波数値ωに対応するエコー消去信号スペクトルEω(i)から時間領域の出力信号e(k)を再合成して出力する。
特開2010−187086号公報
従来技術は、エコー経路のインパルス応答長がフレーム長より長い場合を考慮するため、音響結合量推定値と再生信号スペクトルパワーとのパワースペクトル領域での畳み込み演算を行っている(式(2)参照)。このモデルでは、位相情報が取り除かれる近似により、音響結合量推定値の最適値が一意に決まらない問題がある。しかしながら、従来の音響結合量推定手法では、この問題を考慮していなかったため、エコーパワーの推定精度が十分でない場合があり、エコーが消し残ったりミュージカルノイズが発生したりするなどの問題が生じることがあった。
この発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、エコー経路のインパルス応答長がフレーム長より長い場合に高精度にエコー経路または音響結合量を推定する技術及びそのエコー経路または音響結合量推定値を用いるエコー消去技術を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、音響結合量推定装置は、Mを収音信号スペクトルに対して再生信号スペクトルを過去の時刻にずらす範囲、m=0,1,…,M−1とし、収音信号スペクトルとエコースペクトルの推定値とに基づく最小二乗解に対応する第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)または音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求める。
上記の課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、音響結合量推定方法は、Mを収音信号スペクトルに対して再生信号スペクトルを過去の時刻にずらす範囲、m=0,1,…,M−1とし、収音信号スペクトルとエコースペクトルの推定値とに基づく最小二乗解に対応する第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)または音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求める。
この発明によれば、収音信号スペクトルとエコースペクトルの推定値との間の最小二乗解により、第一乃至第Mのエコー経路推定値または音響結合量推定値はまとめて計算される。その結果、第一乃至第Mのエコー経路推定値または音響結合量推定値は、フレームごとに最も真値に近いエコーパワー推定値を算出するよう考慮されて計算される。そのため、従来技術より精度の高いエコーパワー推定値を得ることができ、従来技術に比べて、エコーを十分に抑圧でき、また音声歪みに対してより頑健な音質劣化の少ないエコー消去を行うことができる。
従来技術に係るエコー消去装置の機能構成例を示す図。 従来技術に係るエコーパワー計算部の機能構成例を示す図。 第一実施形態に係るエコー消去装置の機能構成例を示す図。 第一実施形態に係るエコー消去装置の処理フローの例を示す図。 シミュレーション環境を説明するための図。 遠端話者からの再生信号、目標信号の例を表す図。 収音信号、第二、第三実施形態の組合せ及び従来技術に係るエコー消去装置の出力信号の例を表す図。 ダブルトーク状態におけるケプストラム距離を示す図。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。以下の説明において、テキスト中で使用する記号「^」、「~」、「」等は、本来直前の文字の真上に記載されるべきものであるが、テキスト記法の制限により、当該文字の直後に記載する。式中においてはこれらの記号は本来の位置に記述している。また、ベクトルや行列の各要素単位で行われる処理は、特に断りが無い限り、そのベクトルやその行列の全ての要素に対して適用されるものとする。
<第一実施形態>
図3は第一実施形態に係るエコー消去装置200の機能構成例を示す図である。図4はその処理フローを示す。
エコー消去装置200は、第一周波数分析部81、第二周波数分析部82、音響結合量計算部23、エコーパワー計算部14、ゲイン計算部85、積算部86及び周波数合成部87を含む。エコー消去装置200は、音響結合量計算部23が新しく、他の構成は従来のエコー消去装置100と同じである。従来と同じ部分については、参照符号を同一にして説明を簡単にする。
<第一周波数分析部81及び第二周波数分析部82>
第一周波数分析部81は、再生信号x(k)を周波数変換した再生信号スペクトルXω(i)を出力する(s1)。第二周波数分析部82は、収音信号y(k)を周波数変換した収音信号スペクトルYω(i)を出力する(s2)。
<音響結合量計算部23>
音響結合量計算部23は、再生信号スペクトルXω(i)と収音信号スペクトルYω(i)とを入力とし、第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)または音響結合量推定値|H^(i,m)|を求め(s3)、出力する。
音響結合量計算部23は、収音信号スペクトルとエコースペクトルの推定値とに基づく最小二乗解に対応する第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)または音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求める。例えば、収音信号スペクトルパワー|Yω(i)|とエコースペクトルパワーの推定値|Dω^(i)|とに基づく、次式の最小二乗解に対応する第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求める。
Figure 0005925149
である。ここで、||・||は・のノルム、Lは加算フレーム数、l=0,1,…,L、Mは収音信号スペクトルYω(i)に対して再生信号スペクトルXω(i)をずらす範囲を表す。式(11)は収音信号スペクトルパワーとエコースペクトルパワーの推定値との差が最小となるように第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求めることに相当し、第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|は、収音信号スペクトルパワーとエコースペクトルパワーの推定値との差が最小となるように求められる最小二乗解に対応する。例えば、以下のようにして、最小二乗解に対応する第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求める。
まず、音響結合量計算部23は、入力される再生信号スペクトルXω(i)及び収音信号スペクトルYω(i)をそれぞれ自乗して再生信号スペクトルパワー|Xω(i)|及び収音信号スペクトルパワー|Yω(i)|を求める。
次に、音響結合量計算部23は、自己相関行列R ω(i)及びベクトルノルムy~ω(i)をそれぞれ式(12)、(13)により、計算する。
Figure 0005925149
次に、音響結合量計算部23は、自己相関行列R ω(i)の積Φω(i)を次式(14)で計算する。
Figure 0005925149
ただし、は転置を表す。音響結合量計算部23は、自己相関行列R ω(i)、その積Φω(i)及びベクトルノルムy~ω(i)を用いて、第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^(i,m)|を次式(15)により計算し、出力する。
Figure 0005925149
なお、式(15)は、次式(16)の連立方程式モデルの解に等しい。
Figure 0005925149
また、式(15)は、式(11)の最小二乗解に応じた値でもある。
Figure 0005925149
<エコーパワー計算部14>
再生信号スペクトルXω(i)と第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を入力として、第一乃至第Mの音響結合量推定値|Hω^(i,m)|のそれぞれに、mの値(m=0〜M−1)で対応する再生信号スペクトルのパワー|Xω(i−m)|を乗算した値の合計を、エコーパワー推定値|Dω^(i)|として求め(式(2)参照、s4)、出力する。
<ゲイン計算部85>
ゲイン計算部85は、収音信号スペクトルYω(i)とエコーパワー推定値|Dω^(i)|を入力としてゲイン係数Gω(i)を求め(式(3)参照、s5)、出力する。
<積算部86>
積算部86は、収音信号スペクトルYω(i)にゲイン係数Gω(i)を乗算し(s6)、その乗算値をエコー消去信号スペクトルEω(i)として出力する。
<周波数合成部87>
周波数合成部87は、エコー消去信号スペクトルEω(i)を周波数合成して(s7)時間領域の出力信号e(k)を出力する。
<効果>
このようにエコー消去装置200は、収音信号スペクトルに対する再生信号スペクトルを過去にずらして第一乃至第Mの音響結合量推定値として求める。そして、その音響結合量推定値のそれぞれに、mの値で対応する再生信号スペクトルXω(i)のパワーを乗算した値の合計を、エコーパワー推定値として出力する。したがって、エコー経路のインパルス応答長がフレームより長い場合でも、エコーパワーを高精度に推定することができる。
さらに、このような構成により、収音信号スペクトルとエコースペクトルの推定値との間の最小二乗解により、第一乃至第Mの音響結合量推定値はまとめて計算することができる。その結果、第一乃至第Mの音響結合量推定値は、フレームごとに最も真値に近いエコーパワー推定値を算出するよう考慮されて計算される。そのため、従来技術より精度の高いエコーパワー推定値を得ることができ、従来技術に比べて、エコーを十分に抑圧でき、また音声歪みに対してより頑健な音質劣化の少ないエコー消去を行うことができる。
<変形例>
エコー消去装置200の前段に、適応フィルタを含むエコー消去装置を設けてもよい。その場合、適応フィルタを含むエコー消去装置の出力値に残る残響エコーを、エコー消去装置200で抑圧する。
音響結合量計算部23を、エコー消去装置200の一部ではなく、収音信号スペクトルYω(i)と再生信号スペクトルXω(i)とを入力とし、第一乃至第Mの音響結合量推定値を出力する音響結合量推定装置として別途構成してもよい。
本実施形態において、音響結合量計算部23は、収音信号スペクトルパワー|Yω(i)|とエコースペクトルパワーの推定値|Dω^(i)|とに基づく最小二乗解に対応する第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求めているが、収音信号スペクトルYω(i)とエコースペクトルの推定値Dω^(i)とに基づく最小二乗解に対応する第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)を求める構成としてもよい。さらに、第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)から第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を求める構成としてもよいし、エコーパワー計算部14において、再生信号スペクトルXω(i)と第一乃至第Mのエコー経路推定値H^ω(i,m)とを用いて、エコーパワー推定値|Dω^(i)|を求める構成としてもよい。
<第二実施形態>
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
式(15)の自己相関行列R ω(i)の積Φω(i)の逆行列Φω −1(i)を求めるための逆行列演算は演算量がかかる。第二実施形態では、逆行列Φω −1(i)をRecursive Least-Squares (RLS)アルゴリズム(参考文献1参照)を用いて再帰的に求める。
(参考文献1)S. Qiao, “Fast adaptive RLS algorithms: a generalized inverse approach and analysis”, IEEE Trans. Signal Process., June 1991, vol. 39, no. 6, pp. 1455-1459
第二実施形態では、音響結合量計算部23は、自己相関行列R ω(i)の積Φω(i)を次式のように忘却係数βを用いて計算する。
Figure 0005925149
βは0<β≦1を満たす値であり、加算フレーム数Lに応じて決定される。例えば、L=1/(1-β)を満たすように決定され、L=100のときβ=0.99とする。
次に、音響結合量計算部23は、式(21)より算出された積Φω(i)を用いて逆行列Φω −1(i)を次式により計算する。
Figure 0005925149
音響結合量計算部23は、逆行列Φω −1(i)、自己相関行列R ω(i)、ベクトルノルムy~ω(i)を用いて、第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^(i,m)|を式(15)により計算する。
このような構成とすることで、逆行列Φω −1(i)を求める際に必要となる演算量を減らすことができる。
<第三実施形態>
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
エコー消去装置200がオーバーラップ加算を用いてFFT/IFFTなどの周波数分析/周波数合成を行っている場合、オーバーラップ分の音響結合量の計算を省いてもよい。例えば、Q%のフレームオーバーラップの場合、エコーパワー計算部14では、次式を用いてエコーパワー推定値|D^ω(i)|を計算する。
Figure 0005925149
このような構成とすることで、計算量を軽減することができる。なお、本実施形態を第二実施形態と組合せてもよい。
<第四実施形態>
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
音響結合量計算部23は、推定された第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|は、次式のように調整定数C(m)を用いて大きさを調整しても良い。
Figure 0005925149
例えば、C(m)=1とする。なお、調整定数C(m)は、mによって異なる値に設定しても良い。例えばmが大であるとより過去のフレーム時刻が計算対象になるので、mが小の場合の音響結合量よりもSN比が相対的に低下する。そこでmが大の時は、例えばC(m)を小さくするようにしてもよい。つまり、過去分の重みを小さくしてもよい。
このような構成とすることで、より精度の高い音響結合量の推定が可能となる。なお、本実施形態を第二実施形態や第三実施形態と組合せてもよい。
<シミュレーション結果>
この発明のエコー消去装置200の有効性を確認する目的で、従来技術に係るエコー消去装置90と、第二実施形態と第三実施形態の組合せに係るエコー消去装置200の性能比較実験を行った。ただし、従来技術に係るエコー消去装置90では、音響結合量推定値|H^ω(i)|、エコーパワー推定値|D^ω(i)|をそれぞれ次式により推定する。
Figure 0005925149
<A,B>はベクトルAとベクトルBとの内積を表し、αは残響時間により定まり、0〜1の値を設定されるパラメータであり、このシミュレーションでは0.7とした。
シミュレーション環境を図5に示す。サンプリング周波数16kHz、フレーム長256サンプル、シフト幅128サンプル、FFT点数256サンプル、残響時間160msとした。図6の(a)は遠端話者からの(スピーカ2で再生される)再生信号を、図6の(b)は近端話者の発話を模擬し、スピーカ2で再生される再生信号(以下、「目標信号」ともいう)を表す。区間Aではスピーカ2からのみ再生音が流れ、区間Bではスピーカ2からのみ再生音が流れ、シングルトーク状態となる。区間Cではスピーカ2とスピーカ2とから再生音が流れ、ダブルトーク状態となる。
図7の(a)はマイクロホン3で収音された収音信号を、図7の(b)はエコー消去装置90の出力信号e(k)を、図7の(c)はエコー消去装置200の出力信号e(k)を表す。シングルトーク状態の区間Aでは、何れのエコー消去装置でもエコーを消去できていることが分かる。しかし、ダブルトーク状態の区間Cにおいて、送話歪が生じており、エコー消去装置90よりもエコー消去装置200のほうが送話歪みが小さいことがわかる。
エコー抑圧量の評価には、音響エコーキャンセラの性能指標であるERLE(Echo Return Lose Enhancement)を用いた。エコー消去装置200とエコー消去装置90のERLEは、それぞれ31.38dBと31.05dBであった。
送話歪の評価をケプストラム距離により行った。ケプストラム距離とは、目標信号と出力信号の間の距離(歪)であり、例えば次式により求めることができる。
Figure 0005925149
ここで、c(n,k),c^(n,k)はそれぞれ目標信号、出力信号のk番目のケプストラム係数を表す。図8にダブルトーク状態の比較を示す。図8の横軸は時間[秒]、縦軸はケプストラム距離である。実線がエコー消去装置200、破線がエコー消去装置90のケプストラム距離を表し、その平均は、それぞれ2.19と5.42であり、ほぼ全領域において、エコー消去装置200のほうが歪みが少ないことがわかる。
<その他の変形例>
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
<プログラム及び記録媒体>
また、上記の実施形態及び変形例で説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現してもよい。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させてもよい。
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶部に格納する。そして、処理の実行時、このコンピュータは、自己の記憶部に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。また、このプログラムの別の実施形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、プログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
また、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、各装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。

Claims (6)

  1. Mを収音信号スペクトルに対して再生信号スペクトルを過去の時刻にずらす範囲、m=0,1,…,M−1とし、
    エコースペクトルの推定値は、エコー経路推定値と再生信号スペクトルとに基づき得られる値であり、エコースペクトルパワーの推定値は、音響結合量推定値と再生信号スペクトルパワーとに基づき得られる値であり、
    (i)収音信号スペクトルと前記エコースペクトルの推定値との差分を最小とする最小二乗解に対応する第一乃至第Mの前記エコー経路推定値H^ω(i,m)を求め、
    または、
    (ii)収音信号スペクトルパワーと前記エコースペクトルパワーの推定値との差分を最小とする最小二乗解に対応する第一乃至第Mの前記音響結合量推定値|H^ω(i,m)| を求める、
    音響結合量推定装置。
  2. 請求項1記載の音響結合量推定装置であって、
    ω(i)をフレームiの周波数ωにおける再生信号スペクトル、Yω(i)をフレームiの周波数ωにおける収音信号スペクトル、Lを加算フレーム数、を転置とし、前記第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を次式により求める、
    Figure 0005925149
    音響結合量推定装置。
  3. 請求項1または2記載の音響結合量推定装置により求めた前記第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を用いて、前記収音信号に含まれるエコー成分を消去するエコー消去装置であって、
    前記再生信号スペクトルと前記第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を入力として、前記第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|のそれぞれに、mの値で対応する再生信号スペクトルのパワー|Xω(i−m)|を乗算した値の合計を、エコーパワー推定値として出力するエコーパワー計算部と、
    前記収音信号スペクトルと前記エコーパワー推定値を入力としてゲイン係数を出力するゲイン計算部と、
    前記収音信号スペクトルに前記ゲイン係数を乗算したエコー消去信号スペクトルを出力する積算部と、
    前記エコー消去信号スペクトルを周波数合成して時間領域の出力信号を出力する周波数合成部と、
    を含むエコー消去装置。
  4. Mを収音信号スペクトルに対して再生信号スペクトルを過去の時刻にずらす範囲、m=0,1,…,M−1とし、
    エコースペクトルの推定値は、エコー経路推定値と再生信号スペクトルとに基づき得られる値であり、エコースペクトルパワーの推定値は、音響結合量推定値と再生信号スペクトルパワーとに基づき得られる値であり、
    (i)収音信号スペクトルと前記エコースペクトルの推定値との差分を最小とする最小二乗解に対応する第一乃至第Mの前記エコー経路推定値H^ω(i,m)を求め、
    または、
    (ii)収音信号スペクトルパワーと前記エコースペクトルパワーの推定値との差分を最小とする最小二乗解に対応する第一乃至第Mの前記音響結合量推定値|H^ω(i,m)| を求める、
    音響結合量推定方法。
  5. 請求項4記載の音響結合量推定方法であって、
    ω(i)をフレームiの周波数ωにおける再生信号スペクトル、Yω(i)をフレームiの周波数ωにおける収音信号スペクトル、Lを加算フレーム数、を転置とし、前記第一乃至第Mの音響結合量推定値|H^ω(i,m)|を次式により求める、
    Figure 0005925149
    音響結合量推定方法。
  6. 請求項1若しくは請求項2記載の音響結合量推定装置、または、請求項3記載のエコー消去装置として、コンピュータを機能させるためのプログラム。
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