JP2017191987A - エコー消去装置、その方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
図2は第一実施形態に係るエコー消去装置100の機能ブロック図を、図3はその処理フローの例を示す。エコー消去装置100は、第二適応フィルタ部106と、加算部108と、乗算部109と、減算部107とを含む。
P1=d2/d1・P2 (1)
この関係を利用して、スピーカ102から直接メインマイクロホン103に到達する音(直接音)を推定して、メインマイクロホン103の出力信号y2(t)から減算する。サブマイクロホン104の出力信号y1(t)に、メインマイクロホン103とサブマイクロホン104との配置から算出される固定係数αを乗じ、メインマイクロホン103の出力信号y2(t)から減算部107で減算する。固定係数αは、例えばスピーカ102からサブマイクロホン104までの距離d1をスピーカ102からメインマイクロホン103までの距離d2で割った値(d1/d2)が設定される。また、この係数は実験的に減算部107の出力値である誤差信号e(t)に含まれるエコーが最小となるように設定してもよい。
図2及び図3を用いて、エコー消去装置100の処理内容を説明する。
乗算部109は、サブマイクロホンの出力信号y1(t)を受け取り、スピーカ102からサブマイクロホン104までの距離d1とスピーカ102からメインマイクロホン103までの距離d2とに応じた係数α(例えば、α=d1/d2)をサブマイクロホンの出力信号y1(t)に乗じてエコー成分の推定値αy1(t)を求め(S1)、出力する。
第二適応フィルタ部106は、スピーカ102の再生信号x(t)と誤差信号e(t)とを受け取り、これらの値を用いて、メインマイクロホン103の出力信号y2(t)に含まれる残留エコー成分の推定値β(t)を求め(S2)、出力する。
β(t)=H(t)TX(t) (2)
H(t)=(h(0), h(1), ... , h(L-1))T (3)
X(t)=(x(t), x(t-1), ... , x(t-L+1))T (4)
ただし、上付き添え字Tは転置を表し、ATはベクトルAの転置を表す。
H(t+1)=H(t)+aX(t)e(t)/X(t)TX(t) (5)
0<a<2 (6)
ただし、aはNLMSアルゴリズムのステップサイズを表す。フィルタ係数H(t)の更新方法や求め方はこの方法に限らず、従来の方法を用いればよい。例えば、特許文献1に記載の方法(LMSアルゴリズム、射影アルゴリズム、RLSアルゴリズム等)がある。
加算部108は、エコー成分の推定値αy1(t)と残留エコー成分の推定値β(t)とを受け取り、その和(αy1(t)+β(t))を求め(S3)、出力する。
減算部107は、メインマイクロホン103の出力信号y2(t)と和(αy1(t)+β(t))とを受け取り、その差分y2(t)-(αy1(t)+β(t))を求め(S4)、誤差信号e(t)として出力する。
以上の構成により、メインマイクロホンから見てスピーカの方向に近端話者がいるような場合であっても、近端話者の音声が小さくならず、適応フィルタの個数が特許文献1の従来技術よりも少なく、初期状態の残留エコーを低減することができる。つまり、任意の指向特性のメインマイクロホンにおいて、高いエコー消去を実現することできる。また、本実施形態では適応フィルタ1つ分の演算量とすることができる。乗算部109では適応フィルタを用いずにエコーを推定するため、適応フィルタの学習前の初期状態における残留エコーを減らすことができる。本実施形態の構成は、特にマイクロホンとスピーカが非常に近い小型のハンズフリー装置の場合の性能向上を実現する。
本実施形態では、第二適応フィルタ部106を設けなくともよい(図4参照)。この場合、加算部108も設けなくともよく、処理S2,S3を省略してもよい。減算部107は、メインマイクロホン103の出力信号y2(t)とエコー成分の推定値αy1(t)とを受け取り、その差分y2(t)-αy1(t)を求め(S4)、誤差信号e(t)として出力する。
第一実施形態と異なる部分を中心に説明する。
τ=(d2-d1)/v
ただし、vは音速を表す。
遅延部110は、サブマイクロホン104の出力信号y1(t)を受け取り、τ=(d2-d1)/vだけ遅延させて(S9、図3参照)出力する。よって、時刻tにおける遅延させた出力信号はy2(t-τ)である。
このような構成とすることで、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、これにより時間差も合わせてから減算することができ、よりエコーの消去性能が高くなる。
第二実施形態と異なる部分を中心に説明する。
固定フィルタ部111は、サブマイクロホン104の出力信号y1(t)を受け取り、出力信号y1(t)に対して、スピーカ102からサブマイクロホン104までの伝達特性f1,ωとスピーカ102からメインマイクロホン103までの伝達特性f2,ωとに応じた係数αωを乗じてエコー成分の推定値を求め(S111)、出力する。なお、ωは周波数を表すインデックスであり、f1,ωは周波数ωにおけるサブマイクロホン104の伝達特性を、f2,ωは周波数ωにおけるメインマイクロホン103の伝達特性を表す。例えば、周波数ωにおける係数αωをαω=f2,ω/f1,ωとする。
b(t)=Σα(m)y1(t-m)
となる。
このような構成とすることで、遅延時間差、振幅差の差は、係数αωに組み込まれているため、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、周波数特性の差も考慮することができるため、エコー直接音成分の推定精度があがり、エコー消去性能が向上する。
第三実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ビームフォーミング部112は、M個のマイクロホン103−mの出力信号を受け取り、ビームフォーミング処理を行い、所定の方向に指向性を有する出力信号y2(t)を求め、出力する。
本実施形態では、ビームフォーミング部112をエコー消去装置100の一部としているが、エコー消去装置100はビームフォーミング部112を含まなくともよく、ビームフォーミング処理後の信号を入力としてもよい。
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
また、上記の実施形態及び変形例で説明した各装置における各種の処理機能をコンピュータによって実現してもよい。その場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記各装置における各種の処理機能がコンピュータ上で実現される。
Claims (8)
- スピーカからサブマイクロホンまでの距離d1と前記スピーカからメインマイクロホンまでの距離d2とに応じた係数を前記サブマイクロホンの出力信号に乗じてエコー成分の推定値を求める乗算部と、
前記メインマイクロホンの出力信号から前記エコー成分の推定値を減じて誤差信号を求める減算部とを含む、
エコー消去装置。 - 請求項1のエコー消去装置であって、
前記距離d1と前記距離d2との差分に応じて前記サブマイクロホンの出力信号または前記エコー成分の推定値を遅延させる遅延部を含む、
エコー消去装置。 - スピーカからサブマイクロホンまでの伝達特性と前記スピーカからメインマイクロホンまでの伝達特性とに応じた係数を前記サブマイクロホンの出力信号に乗じてエコー成分の推定値を求めるフィルタリング部と、
前記メインマイクロホンの出力信号から前記エコー成分の推定値を減じて誤差信号を求める減算部とを含む、
エコー消去装置。 - 請求項1から請求項3の何れかのエコー消去装置であって、
前記メインマイクロホンは、複数のマイクロホンとビームフォーミング部とからなり、
前記ビームフォーミング部は、前記複数のマイクロホンの出力信号を用いて、ビームフォーミング処理を行い、所定の方向に指向性を有する出力信号を求める、
エコー消去装置。 - スピーカからサブマイクロホンまでの距離d1と前記スピーカからメインマイクロホンまでの距離d2とに応じた係数を前記サブマイクロホンの出力信号に乗じてエコー成分の推定値を求める乗算ステップと、
前記メインマイクロホンの出力信号から前記エコー成分の推定値を減じて誤差信号を求める減算ステップとを含む、
エコー消去方法。 - スピーカからサブマイクロホンまでの伝達特性と前記スピーカからメインマイクロホンまでの伝達特性とに応じた係数を前記サブマイクロホンの出力信号に乗じてエコー成分の推定値を求めるフィルタリングステップと、
前記メインマイクロホンの出力信号から前記エコー成分の推定値を減じて誤差信号を求める減算ステップとを含む、
エコー消去方法。 - 請求項1から請求項4の何れかのエコー消去装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
- 請求項1から請求項4の何れかのエコー消去装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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