JP5264247B2 - 焙煎済みコーヒー豆用充填容器 - Google Patents

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Description

本発明は、新鮮で且つ高い香りを長く保持し得る焙煎済みコーヒー豆用充填容器に関する。
例えば、香り高いコーヒーを顧客に提供したり、あるいは自己の好みで適時に味わったりするため、各種ブランドのコーヒー豆を焙煎した状態で購入し、係る焙煎済みコーヒー豆を顧客のオーダー時や飲用したい都度に、所要量ずつミルで粉砕して粉末とし、係るコーヒー粉末に熱湯を加えるサイホンやドリップによって、コーヒーを愛飲することが、コーヒー専門店やコーヒー愛好家の間で、静かなブームとなっている。
ところで、焙煎されたコーヒー豆は、予め吸蔵していた炭酸ガスを徐々に放出していく。係る炭酸ガスの放出を促進し、且つ香りや味などを低下させる外部からの酸素などの進入を抑制するため、発生する炭酸ガスを容器内から外部に放出させ、且つ外部から容器内に酸素や水分の進入を防ぐため、容器に装着する特殊な構造のガス抜きテープが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−308341号公報(第1〜4頁、図1〜6)
しかし、焙煎されたコーヒー豆は、大量の炭酸ガスと共に香りも放出してしまう。このため、前記特許文献1のガス抜きテープを装着した容器内に焙煎済みコーヒー豆を充填しても、炭酸ガスの放出に伴って徐々に香りも放出してしまう。この点では、アルミニウム箔と樹脂フイルムとをラミネートした逆止弁付きのパックを用いた場合でも、上記と同様に炭酸ガスの放出と共に香りも放出してしまう。
一方、コーヒー粉末を密封するため、前記同様にラミネートされた市販のパックでは、焙煎後のコーヒー豆が大量に放出する炭酸ガスの内圧に耐えられず、変形してしまう、という問題があった。
従って、これまでの技術では、焙煎直後のコーヒー豆が放つ高い香りを長く安定して楽しみつつ味わうことが、コーヒー専門業者はもちろん、愛好家であっても困難であった。このため、飲用する都度、所要量ずつのコーヒー豆を焙煎、粉末化、およびドリップなどをせざるを得ないので、多大な手間が必要であった。
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、例えば、素人であっても焙煎直後の高い香りのコーヒーを確実に且つ安定して飲用し得るための焙煎済みコーヒー豆用充填容器を提供する、ことを課題とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
本発明は、前記課題を解決するため、焙煎済みのコーヒー豆を密封でき、且つ係るコーヒー豆が放出する炭酸ガスによる圧力に耐え得る耐内圧を有すると共に、衛生的で且つ比較的大きめの内部容積にし易いアルミニウム合金の容器を用いる、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明の焙煎済みコーヒー豆用充填容器(請求項1)は、焙煎されたコーヒー豆を充填するための容器であって、アルミニウム合金製で且つ底部および胴部を一体に有する全体がほぼ円筒形の容器本体と、係る容器本体の胴部上端の開口部に巻き締め部を介して結合されるアルミニウム合金製の端材と、係る端材における中央部に内径が40〜50mmで開口し且つ外周面にネジが刻設された開口部と、係る端材における外周面のネジに倣って円周部が凹凸変形することで、上記開口部を閉塞するアルミニウム合金製のキャップと、を備え、上記容器本体、端材、およびキャップによって形成される上記充填容器の耐内圧は、0.25〜0.8MPaであ上記容器本体および端材の板厚は、0.5〜0.6mmであり、且つ上記キャップの板厚は、0.2〜0.3mmであると共に上記キャップは、全体がほぼ偏平な円筒形を呈し、且つ円周部および天板部からなり、係る円周部と天板部との内隅に沿ってリング形状のシール材が配置され、係るシール材の下周縁に沿って上記円周部を内外に貫通する複数のベントホールが形成されている、ことを特徴とする。
これによれば、前記容器本体、端材、およびキャップが全てアルミニウム合金板の成形材からなるため、これらの板厚を選定することで、衛生的で且つ比較的大きめの内部容積を有する焙煎済みのコーヒー豆用の密封可能な充填容器が得られる。しかも、通常、焙煎された各種のコーヒー豆が放出する炭酸ガスの平衡圧力は、一般的に約0.25〜0.35MPaであるため、上記充填容器の耐内圧を0.25〜0.8MPaの範囲としたことで、当該充填容器内における放出済みガスの圧力と焙煎済みコーヒー豆からの炭酸ガスの放出圧力とがほぼ平衡となる。このため、上記充填容器の内側では、一旦放出された炭酸ガスの圧力によって、それ以上に炭酸ガスおよび香気成分がコーヒー豆から放出されなくなる。即ち、前記コーヒー豆が放出する炭酸ガスを、容器内部で一定量のままにして停止させ易くできるため、炭酸ガスと共に放出される香気成分の放出ないし喪失も確実に阻止あるいは抑制することが可能となる。
また、前記キャップの円筒部が端材の雄ネジに倣って変形するため、係る蓋材の開口部を天板部とその周辺に位置するシール材によって、本充填容器内に充填された焙煎済みのコーヒー豆を外部と遮断して確実に密封することができる更に、飲用する都度に、キャップを外して、コーヒー豆を所要量ずつ取り出しても、残ったコーヒー豆が新たに放出する一定量の炭酸ガスによって、本充填容器内の圧力を、例えば約0.3MPa程度に復帰させた後は、新たな炭酸ガスの放出を停止ないし抑制できるしかも、キャップの円筒部に開設した複数のベントホールによって、キャップを逆ネジ方向に約1周り程度だけ緩めることで、上記炭酸ガスの放出が行われるため、キャップが充填容器内の圧力によって、吹き飛ぶ事態を確実に阻止できる
従って、素人であっても、焙煎済みのコーヒー豆を高い香りと共に確実に保存でき且つ安全に取り出せると共に、飲用する都度に、コーヒー本来の香りおよび味を、安定して手軽に且つ確実に楽しむことができる。
尚、前記容器本体は、例えば、DI(ドローイング・アイアン加工)缶である。
また、前記容器本体と端材とは、例えば、2重巻き締め部によって結合される。
更に、上記容器本体と端材とにて形成される内側の容積は、任意であるが、多量のコーヒー豆を長く保存するため、例えば、約1〜5リットル程度が好ましい。
また、前記キャップは、例えば、PP(ピルファー・プルーフ・パッケージング)キャップである。
加えて、前記容器本体、端材、およびキャップを形成するアルミニウム合金は、上記容器本体には、Al−Mn系(例えば、A3004−H19)が、上記端材には、Al−Mg系(例えば、A5052−H34)が、上記キャップには、Al−Mg系(例えば、A5000系)が用いられる。しかも、これらのアルミ合金からなる板材の表・裏面には、陽極酸化皮膜、あるいは無電解発色被膜などがほぼ均一な厚みで被覆されている。
、前記充填容器の耐内圧が、0.25MPa未満になると、当該容器がコーヒー豆から放出される炭酸ガスの圧力によって、係る充填容器が変形するおそれが生じるため、少なくとも0.25MPa以上としたものであり、望ましい耐内圧は、0.35MPa、より望ましくは、0.5MPa以上である。但し、耐内圧の上限値は、製造上およびコストなどの観点から0.8MPaとした。
また、前記耐内圧は、例えば、本発明の充填容器に、これに接続したホースを介して、高圧エアあるいは水を徐々に充填し、容器の何れかが変形などを生じる直前の圧力を、上記ホースの途中に取り付けた圧力計によって測定される。
尚、前記シール材は、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、植物油脂系の可塑剤、あるいはグリセリン系の可塑剤からなる
た、前記シール材の配置とは、ペースト状または液状のシール剤を塗布する形態と、予め所要の形状に成形されたシール材を装着する形態との双方を含む。
更に、前記天板部には、同心円状の凹凸を形成して、前記厚さの薄板であっても、耐内圧(強度)を高めるようにしても良い。
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の焙煎済みコーヒー豆用充填容器(以下、単に充填容器という)1に用いる容器本体2、および蓋材10を示す部分側面図および部分垂直断面図である。
容器本体2は、図1に示すように、全体がほぼ円筒形を呈し、円筒形の胴部3と、リング形の底部5とを一体に有する。係る底部5は、外周側の傾斜面4と内周側の偏平なドーム6とを備えている。
胴部3の上端における開口部には、テーパ部7と、断面がほぼ逆U字形の折り曲げ部8とが円環状に形成されている。係る折り曲げ部8と、次述する端材10の折り曲げ部12とが、相互に巻き付いて2重の巻き締め部Mを形成しており、係る巻き締め部Mを介して、容器本体2と端材10とが気密に結合されている。
一方、図1に示すように、端材10は、偏平な円錐部11、その下端の周縁に沿って設けた断面ほぼ「の」字形の折り曲げ部12、上記円錐部11の中央部から立設し外周面に複数列のネジ山とネジ谷とからなるネジ(雄ネジ)13が刻設された口部14、および係る口部14の内側に位置する開口部15を一体に有している。前記巻き締め部Mを介して、容器本体2と端材10とが結合された充填容器1の内側(空間)9には、後述する焙煎済みのコーヒー豆が充填される。
尚、前記容器本体2には、Al−Mn系のアルミニウム合金(例えば、A3004−H19)からなり、板厚が約0.5〜0.6mm(例えば、0.54mm)の板材を深絞り加工したDI缶が適用され、例えば、内側9の容積が3リットルの場合、直径が約133mmで、高さが約220mmである。
また、前記端材10には、Al−Mg系のアルミニウム合金(例えば、A5052−H34)からなり、板厚が約0.5〜0.6mm(例えば、0.58mm)の板材を絞り加工またはプレス成形したものが適用される。係る端材10の開口部15の内径は、後述する焙煎済みのコーヒー豆を充填し易くするため、約40〜50mm程度(例えば、約45mm)が推奨される。
図2は、容器本体2と端材10とが結合された充填容器1の内側(空間)9のほぼ全体に、焙煎された多数のコーヒー豆cbを充填し、端材10の開口部15を、キャップCによって密封する直前の状態を示す垂直断面図である。尚、図2,図3では、充填した多数のコーヒー豆cbの最上部分のみを図示している。
図2に示すように、キャップCは、全体がほぼ偏平な円筒形を呈し、平面視が円形の天板部16と、その周辺から垂下する円周部17とからなる。係る円周部17の上部には、その円周方向に沿って複数のベントホール19がほぼ等間隔で形成され、天板部16と円周部17との内隅に沿って、例えば、ポリ塩化ビニールからなるシール材sがリング状に配置されている。即ち、係るシール材sの下周縁に沿って、複数の上記ベントホール19が開設されている。
尚、前記キャップCには、例えば、Al−Mg系のアルミニウム合金(A5000系)からなり、板厚が約0.2〜0.3mm(例えば、0.25mm)の板材に対し、プレス加工や剪断加工などを施したものが用いられる。
また、前記シール材sは、液状またはペースト状のシール剤を天板部16と円周部17との内隅に沿って塗布するか、あるいは、予めリング形にプリフォームされたシール材を接着などして配置するようにしても良い。
更に、複数の前記ベントホール19は、円周部17を内側に向かって部分的に剪断加工して形成されており、それらの開口部は、天板部16の周辺に沿って配置された上記シール材sにそれぞれ隣接している。
そして、キャップCを、図2中の白抜きの矢印で示すように、蓋材10の口部14に接触させた状態で、係るキャップCの円周部17を、蓋材10のネジ13に沿って求心状および螺旋状に押え込むように、円盤状の回転ローラを有するキャッパー(巻き締め機:図示せず)を用いて、巻き締めする。
その結果、図3に示すように、前記キャップCの円周部17が端材10のネジ13の外周面に倣って凹凸変形した円周部18になると共に、シール材sが端材10の口部14に接触することで、端材10の開口部15が外部から密封され、内側9に焙煎済みのコーヒー豆cbを充填した本発明の充填容器1が形成される。
図3に示すように、端材10の開口部15をキャップCで密封された充填容器1の内側9には、充填された多数のコーヒー豆cbから多量の炭酸ガスが放出され、これに伴って香気成分も放出される。係る香気成分を含む炭酸ガスは、充填容器1の内側9に徐々に滞留し、当該内側9の圧力を高めていく。
ところで、コーヒー豆cbが炭酸ガスを放出できる条件は、コーヒーの種類にもよるが、豆自体からの放出圧力(AP)が周囲(雰囲気ガス)の圧力(BP)よりも高いことである。一般な種類のコーヒー豆cbからの放出圧力(AP)は、0.25〜0.35MPaである。例えば、あるコーヒー豆cbからの放出圧力(AP)が、0.3MPaである場合、該コーヒー豆cbの周囲の圧力(BP)が0.3MPaよりも高い関係(BP>AP)であると、一定量以上の炭酸ガスおよび香気成分を放出できない。一方、上記コーヒー豆cbの周囲の圧力(BP)が0.3MPaよりも低い関係(BP<AP)であると、炭酸ガスなどが係る周囲に放出される。
前記容器本体2、端体10、およびキャップCからなる充填容器1の耐内圧(CP)は、少なくとも0.25MPa以上である。例えば、充填容器1の耐内圧(CP)が、約0.5MPaであり、その内側9に充填されたコーヒー豆cbからの放出圧力(AP)が0.3MPaである場合、内側9の内圧力(BP)が上昇して同じ0.3MPaになった時点で、上記2つの圧力は平衡(AP=BP)となる。このため、上記コーヒー豆cbから炭酸ガスおよび香気成分が放出されなくなると共に、充填容器1自体も全く変形するおそれがない。
その結果、図3に示すように、充填容器1の内側9の内圧力(BP)が0.3MPaになった後では、充填されたコーヒー豆cbから炭酸ガスおよび香気成分が放出されず、香りを安定して保つことができる。
更に、充填容器1の内側9から所要量のコーヒー豆cbを取り出すため、キャップCを逆ネジ方向に約1周り緩めると、図3中のX部分の一点鎖線で囲まれた部分断面図で示すように、キャップCの天板部16と共にシール材sが上昇する。その結果、係るシール材sと端板10の口部14とが離間し、複数のベントホール19を通じて内外が連通可能となる。
この際、内側9の内圧力(BP)は、約0.3MPaであり、外部の大気圧(約0.1MPa)よりも高いため、前記平衡状態を保つため、予め内側9に溜まっていた炭酸ガスが各ベントホール19から外部に速やかに放出される。しかも、キャップCの凹凸変形された円筒部18と、端材10のネジ13とは、未だ大半がネジ結合しているため、内側9の上記内圧力(BP)によって、当該キャップCが吹き飛ばされる、といった危険な事態を確実に阻止することができる。
従って、充填容器1によれば、予め焙煎された所望のコーヒー豆cbを、本来の香りを逃がすことなく、長く安定して保つことができると共に、必要に応じて所要量のコーヒー豆cbを安全に取り出し、ミルで粉砕して粉末とし、ドリップすることで、係るコーヒーを高い香りと併せておいしく喫することが可能となる。
尚、所要量のコーヒー豆cbを取り出した後は、再びキャップCの円筒部18を端材10のネジ13にネジ込み、シール材sと口部14とを密着させて開口部15を密封することで、残ったコーヒー豆cbを、前記圧力(BP)が0.3MPaに復帰する内側9において、炭酸ガスおよび香気成分の放出を阻止ないし抑制した状態で、更に保存することができる。
尚、本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、前記充填容器1の内側9の容積は、約1〜5リットルの範囲で任意に選択でき、係る容積に応じて、容器本体2、端材10、およびキャップCの板厚や、これらのアルミニウム合金の種類を前記範囲内において変更可能である。
また、前記端材10における開口部15の内径も、内側9の容積やコーヒー豆cbのサイズなどに応じて、充填および取り出しに支障を生じない範囲において、前記範囲内で変更することも可能である。
更に、キャップCの前記円筒部17,18の外周面における下部に、当該キャップCを複数の指で開閉操作し易くするため、滑り止め用の微細な凹凸部を、円周方向に沿って帯状に刻設しても良い。
加えて、前記容器本体2の底部5と巻き締め部Mとに、両端のフック部分が引掛かる樹脂製などの取っ手を装着することにより、充填容器1を斜めに傾けて内側9のコーヒー豆cbを容易に取り出せるようにしても良い。
その他、本発明は、その趣旨の範囲内において、適宜変更することができる。
本発明の充填容器における容器本体と端材とを示す部分側面図と部分垂直断面図。 キャップを上記端材に被着する直前の状態を示す垂直断面図。 本発明の充填容器の使用状態を示す垂直断面図。
符号の説明
1……………充填容器(焙煎済みコーヒー豆用充填容器)
2……………容器本体
3……………胴部
5……………底部
10…………端材
13…………ネジ
15…………開口部
16…………天板
17,18…円筒部
19…………ベントホール
C……………キャップ
M……………巻き締め部
s……………シール材
cb…………焙煎済みのコーヒー豆

Claims (1)

  1. 焙煎されたコーヒー豆を充填するための容器であって、
    アルミニウム合金製で且つ底部および胴部を一体に有する全体がほぼ円筒形の容器本体と、
    上記容器本体の胴部上端の開口部に巻き締め部を介して結合されるアルミニウム合金製の端材と、
    上記端材における中央部に内径が40〜50mmで開口し且つ外周面にネジが刻設された開口部と、
    上記端材における外周面のネジに倣って円周部が凹凸変形することで、上記開口部を閉塞するアルミニウム合金製のキャップと、を備え、
    上記容器本体、端材、およびキャップによって形成される上記充填容器の耐内圧は、0.25〜0.8MPaであ
    上記容器本体および端材の板厚は、0.5〜0.6mmであり、且つ上記キャップの板厚は、0.2〜0.3mmであると共に
    上記キャップは、全体がほぼ偏平な円筒形を呈し、且つ円周部および天板部からなり、係る円周部と天板部との内隅に沿ってリング形状のシール材が配置され、係るシール材の下周縁に沿って上記円周部を内外に貫通する複数のベントホールが形成されている
    ことを特徴とする焙煎済みコーヒー豆用充填容器。
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