JP5264082B2 - レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版 - Google Patents
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Description
レーザー加工によるパターン形成においては、レーザー彫刻部(凹部)が速やかに形成されることが望まれる。このためには、高感度なレーザー分解性パターン形成材料が必要となる。
特に、レーザーにより直接描画するタイプのフレキソ印刷版原版(いわゆるレーザー彫刻用フレキソ印刷版)においては、レーザー光による彫り易さ(彫刻感度)が製版スピードを左右する為、高感度なレーザー分解性樹脂組成物を用いたレーザー彫刻用フレキソ印刷版が望まれている。
その他、特許文献7には、カルボン酸を有するポリマーを熱もしくはレーザにより脱水閉環して画像形成する方法が開示されている。この技術も、親水性の膜を露光により疎水性に変換する、いわゆる極性変換ネガ型刷版の例である。
一方、下記で説明する本発明のように、レーザー露光部が硬化するのではなく逆に分解する組成物において、熱による脱炭酸する化合物が組成物の熱分解性を向上させるという報告例はこれまでになされていない。
すなわち、上記課題は下記の構成により達成される。
[1] 支持体上に、(A)下記一般式(I)で示される基を少なくとも1つ有し、100℃以上300℃以下の温度で、脱炭酸または脱水反応により、4〜6員環のラクトン環、4〜6員環のラクタム環または4〜6員環の環状酸無水物を形成することができる構造を有する化合物、(B)バインダーポリマー、および、(C)付加重合性化合物を含有するレーザー分解性樹脂組成物を硬化させてなるレーザー分解性硬化樹脂組成物からなる層を有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
一般式(I)中、Xは−O−、−S−、−SO 2 −、−NH−、−N(R 3 )−および−CO−から選択される2価の連結基を表し、R 3 は水素原子または一価の置換基を表す。R 1 およびR 2 はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。なお、R 1 とR 2 、R 1 およびR 2 のいずれかとR 3 とは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
[2] 前記(A)の化合物が、下記一般式(I−2)で示される化合物であることを特徴とする前記[1]に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
一般式(I−2)中、Aは芳香族基または複素環基を表す。X 1 は、−O−、−S−、−SO 2 −、−NH−、−N(R 3 )−および−CO−から選択される2価の連結基を表し、R 3 は、水素原子または一価の置換基を表す。R 1 およびR 2 はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。なお、R 1 とR 2 、R 1 およびR 2 のいずれかとX 1 、R 1 およびR 2 のいずれかとA、AとX 1 は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
[3] 前記(A)の化合物が、下記一般式(PC−1)および(PC−2)から選択された少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記[1]に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
一般式(PC−1)中、Arは、モノ-、ポリ-または未置換のアリール基を表し、pは1から5の整数である。
一般式(PC−2)中、R 4 は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、k及びmは、それぞれ1〜5の整数である。
本発明は、上記[1]〜[3]に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版に関するものであるが、その他の事項についても参考のために記載する。
くとも1つのヘテロ原子を有する化合物、および、(B)バインダーポリマー、を含有するレーザー分解性樹脂組成物。
(2)前記カルボキシル基およびカルボン酸無水物構造から選択される少なくとも1つの構造が、置換されていてもよいメチレン基を介して前記へテロ原子に結合していることを特徴とする前記(1)に記載のレーザー分解性樹脂組成物。
(3)前記(A)の化合物が、下記一般式(I)で示される基を少なくとも1つ有することを特徴とする前記(1)に記載のレーザー分解性樹脂組成物。
(4)前記(A)の化合物が、下記一般式(I−2)で示される化合物であることを特徴とする前記(1)に記載のレーザー分解性樹脂組成物。
−SO2−、−NH−、−N(R3)−および−CO−から選択される2価の連結基を
表し、R3は独立に、水素原子または一価の置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立
に、水素原子または一価の置換基を表す。なお、R1とR2、R1およびR2のいずれかとX1、R1およびR2のいずれかとA、AとX1は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。
(5)前記(A)の化合物が、下記一般式(PC−1)および(PC−2)から選択された少なくとも1種の化合物であることを特徴とする、前記(1)に記載のレーザー分解性樹脂組成物。
1から5の整数である
及びmは、それぞれ1〜5の整数である。
(6)さらに、(C)重合性化合物を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のレーザー分解性樹脂組成物。
(7)前記(6)に記載のレーザー分解性樹脂組成物を硬化させてなることを特徴とするレーザー分解性樹脂組成物。
(8)支持体上に、(A)カルボキシル基およびカルボン酸無水物構造から選択される少なくとも1つの構造を有するとともに、該構造以外に分子内にN、SおよびO原子から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する化合物、および、(B)バインダーポリマー、を含有するレーザー分解性樹脂組成物からなる層を有することを特徴とするパターン形成材料。
(9)レーザー分解性樹脂組成物が、さらに、(C)重合性化合物を含有することを特徴とする前記(8)に記載のパターン形成材料。
(10)前記支持体上に、前記レーザー分解性樹脂組成物を硬化させてなる層を有することを特徴とする前記(9)に記載のパターン形成材料。
(11)前記パターン形成材料が、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版であることを特徴とする前記(9)又は(10)に記載のパターン形成材料。
前記(A)の化合物は、加熱またはレーザー露光(による瞬間的な超高温状態)の際にカルボキシル基が熱分解して炭酸ガスを発生する。この炭酸ガスは組成物内部から発生するため共存する(B)バインダーポリマーの熱分解を補助し、結果的に(A)の化合物を含まない場合に比べてレーザー分解性が向上すると推定される。
また、本発明の好ましい態様である(C)重合性化合物を併用することにより膜物性の調整が可能となる(重合性化合物の量によって、例えば脆性や柔軟性を調整できる)。
また本発明の組成物は、レーザー分解する前に予め架橋をかけた(=重合した)組成物に変化させる方が、膜の強度を向上させる観点で好ましい。
以下に、レーザー分解性樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
上記(A)の化合物は、熱、好ましくは100〜300℃の温度条件において、脱炭酸するカルボキシル基及びカルボン酸無水物構造から選択される少なくとも1つの構造を有することが好ましい。すなわち、熱により分解し、脱炭酸する官能基を少なくとも1つ有する化合物であれば本発明の組成物に用いることができる。
より好ましくは、100℃以上300℃以下の温度で、脱炭酸、または、脱水反応により、4〜6員環のラクトン環、4〜6員環のラクタム環、または、4〜6員環の環状酸無水物を形成することできる構造を有する化合物が挙げられる。
このような(A)の化合物の好ましい具体例としては、下記一般式(I)で示される基を少なくとも1つ有する化合物が挙げられる。
<化合物(46)の合成>
200mlナス型フラスコに、3−ヒドロキシ安息香酸メチル9.9g、2−クロロプロピオン酸メチル8.4gを入れ、N,N−ジメチルアセトアミド65mlを加えた。炭酸カリウム5.8g、ヨウ化カリウム2.8gを加えた後に、100℃に加熱した。10時間反応させた後、反応液を水300mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。有機溶媒を減圧留去し残渣14.5gを得た。得られた残渣のうち、7.2gを100m
lナス型フラスコに入れ、水 8ml、メタノール 8mlを加え、0℃に冷却した。水酸化ナトリウム2.4gを加え、室温で12時間反応させた。反応液を水200mlに投入し、塩酸でpH2に調整した。析出物を濾取し、化合物(46)を5.0g得た。化合物(46)であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、質量分析スペクトルから確認した。
また、(A)の化合物の好適な態様として、下記一般式(I−2)で表されるモノカルボン酸化合物が挙げられる。
このモノカルボン酸は、(B)バインダーポリマーが比較的疎水的なバインダーポリマーの場合に、相溶性の観点から好ましく用いられる。
およびR2のいずれかとX1、R1およびR2のいずれかとA、AとX1は、互いに結合して
環構造を形成していてもよい。
X1は、−O−、−S−、−SO2−、−NH−、−N(R3)−および−CO−から
選択される2価の連結基を表し、R3は、水素原子または一価の置換基を表す。
また、芳香族基は置換基を有していてもよく、そのような置換基を有する芳香族基としては、後述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子以外の一価の非金属原子団からなる基を有するものが挙げられる。なお、ここで導入される好ましい置換基の例としては後述のアルキル基、置換アルキル基、及び、置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
また、複素環基は置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、後述のアリ
ール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子を除く一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては後述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
アシル基(R01CO−)のR01としては、水素原子、ならびに上記のアルキル基、アリール基を挙げることができる。これらの置換基の内、さらにより好ましいものとしてはハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、スルホ基、スルホナト基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、モノアルキルホスホノ基、アルキルホスホナト基、モノアリールホスホノ基、アリールホスホナト基、ホスホノオキシ基、ホスホナトオキシ基、アリール基、アルケニル基が挙げられる。ヘテロ環基としてはピリジル基、ピペリジニル基等が挙げられる。シリル基としてはトリメチルシリル基等が挙げられる。
ような置換基とアルキレン基を組み合わせることで得られる置換アルキル基の、好ましい具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、イソプロポキシメチル基、ブトキシメチル基、s−ブトキシブチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、ピリジルメチル基、テトラメチルピペリジニルメチル基、N−アセチルテトラメチルピペリジニルメチル基、トリメチルシリルメチル基、メトキシエチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル基、N−メチル−N−(ホスホノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスホノブチル基、ホスホナトヘキシル基、ジエチルホスホノブチル基、ジフェニルホスホノプロピル基、メチルホスホノブチル基、メチルホスホナトブチル基、トリルホスホノヘキシル基、トリルホスホナトヘキシル基、ホスホノオキシプロピル基、ホスホナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等を挙げることができる。
置換アリール基としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素原子以外の一価の非金属原子団からなる基を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
用できる。なおR09とR010とは結合して環を形成してもよい。置換アミノ基の好ましい例としては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N’−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基が挙げられる。これらにおけるアルキル基、アリール基としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびにアリール基、置換アリール基として示したものを挙げることができ、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基おけるアシル基(R07CO−)のR07は前述のとおりである。これらの内、より好ましいものとしては、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。好ましい置換アミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アセチルアミノ基等が挙げられる。
ル基、アルコキシカルボニル基ならびにアリーロキシカルボニル基が挙げられる。好ましい置換カルボニル基の具体例としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ジメチルアミノフェニルエテニルカルボニル基、メトキシカルボニルメトキシカルボニル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
また、X1は−O−、−S−、−SO2−、−NH−、−N(R3)−および−CO−から選択される2価の連結基を表し、中でも、−NH−、−N(R3)−が感度の点から好ましく、−N(R3)−であることが感度および保存安定性の観点から最も好ましい。
特に、R3としては、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基であることが好ましい。また、R3は、その構造内に
、−CO2−および−CON(R8)−の少なくともいずれかを1つ以上有することが好ましく、R3の最も好ましい構造は、下記式(i)で表されるエステル構造を有する構造、または、式(ii)で表されるアミド構造を有する構造であり、特に、式(ii)で表されるアミド構造を有するものが好ましい。
例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<化合物(A−24)の合成>
窒素気流下、2Lのナス型フラスコに、N−フェニルイミノジ酢酸62.8gを入れ、トルエン500mLで溶解した。無水酢酸32.0gを加え、加熱して還流し、撹拌した。1時間後、室温まで冷却した後、撹拌しながら、ヘキサン3Lを加えていき、析出させた。ろ過して、N−フェニルイミノジ酢酸無水物52.0gを得た。
次に、窒素気流下、200mLのナス型フラスコに、上記で得られたN−フェニルイミノジ酢酸無水物5.1gを入れ、メタノール60mLを加えた。室温で、6時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し(流出溶媒 ヘキサン/酢酸エチル)、化合物(A−24)を5.7g得た。化合物(A−24)であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、質量分析スペクトルから確認した。
窒素気流下、2Lのナス型フラスコに、N−フェニルイミノジ酢酸62.8gを入れ、トルエン500mLで溶解した。無水酢酸32.0gを加え、加熱して還流し、撹拌した。1時間後、室温まで冷却した後、撹拌しながら、ヘキサン3Lを加えていき、析出させた。ろ過して、N−フェニルイミノジ酢酸無水物52.0gを得た。
窒素気流下、200mLのナス型フラスコに、上記で得られたN−フェニルイミノジ酢酸無水物5.1gを入れ、ベンジルアルコール50mLを加えた。室温で、8時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し(流出溶媒 ヘキサン/酢酸エチル)、化合物(A−52)を7.2g得た。化合物(A−52)であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、質量分析スペクトルから確認した。
窒素気流下、2Lのナス型フラスコに、N−フェニルイミノジ酢酸62.8gを入れ、トルエン500mLで溶解した。無水酢酸32.0gを加え、加熱して還流し、撹拌した。1時間後、室温まで冷却した後、撹拌しながら、ヘキサン3Lを加えていき、析出させた。ろ過して、N−フェニルイミノジ酢酸無水物52.0gを得た。
窒素気流下、200mLのナス型フラスコに、上記で得られたN−フェニルイミノジ酢酸無水物5.1gを入れ、1−メトキシ−2−プロパノール50mLを加えた。室温で、4時間撹拌した後、溶媒を減圧留去した。残査をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し(流出溶媒 ヘキサン/酢酸エチル)、化合物(A−55)を6.0g得た。化合物(A−55)であることは、NMRスペクトル、IRスペクトル、質量分析スペクトルから確認した。
また、(A)の化合物の好ましい態様として、下記で表されるポリカルボン酸化合物が挙げられる。
このポリカルボン酸は、(B)バインダーポリマーが比較的親水的なバインダーポリマーの場合に、相溶性の観点から好ましく用いられる。
(p-アセトアミドフェニルイミド)二酢酸、
3-(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、
4-(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、
2-[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]安息香酸、
2-[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]-5-メトキシ安息香酸、
3-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-2-ナフタレンカルボン酸、
N-(4-アミノフェニル)-N-(カルボキシメチル)グリシン、
N,N’-1,3-フェニレンビスグリシン、
N,N’-1,3-フェニレンビス[N-(カルボキシメチル)]グリシン、
N,N’-1,2-フェニレンビス[N-(カルボキシメチル)]グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-メトキシフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3-メトキシフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3-ヒドロキシフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3-クロロフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-ブロモフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-クロロフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2-クロロフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-エチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2,3-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3,4-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3,5-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2,4-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2,6-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-ホルミルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-エチルアントラニル酸、
N-(カルボキシメチル)-N-プロピルアントラニル酸、
5-ブロモ-N-(カルボキシメチル)アントラニル酸、
N-(2-カルボキシフェニル)グリシン、
o-ジアニシジン-N,N,N’,N’-四酢酸、
N,N’-[1,2-エタンジイルビス(オキシ-2,1-フェニレン)]ビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、
4-カルボキシフェノキシ酢酸、
カテコール-O,O’-二酢酸、
4-メチルカテコール-O,O’-二酢酸、
レゾルシノール-O,O’-二酢酸、
ヒドロキノン-O,O’-二酢酸、
α-カルボキシ-o-アニス酸、
4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、
2,2’-(ジベンゾフラン-2,8-ジイルジオキシ)二酢酸、
2-(カルボキシメチルチオ)安息香酸、
5-アミノ-2-(カルボキシメチルチオ安息香酸、
3-[(カルボキシメチル)チオ]-2-ナフタレンカルボン酸、
が含まれる。
及びmは、それぞれ1から5の整数である。
式(PC−1)中のアリール基が有してもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のチオアルキル基及びハロゲン原子が挙げられる。前記アリール基は、1〜3個の同一または異なる置換基を有するとよい。pは好ましくは1であり、Arは好ましくはフェニル基を表す。
しい。最も好ましいポリカルボン酸はアニリノ二酢酸である。
中でも、側鎖にカルボキシル基を有する高分子化合物が合成の簡便さからより好ましい。
高分子化合物である場合、重量平均分子量は、好ましくは5000〜1000000、より好ましくは10000〜500000、特に好ましくは15000〜300000である。
特に、側鎖がN、O、Sを含む官能基で置換された有機基と、さらに少なくとも1つ以上のカルボキシル基とを有し、該カルボキシル基の少なくとも1つはメチレン基を介して前記へテロ原子に結合している化合物が好ましい。
るといった観点から、組成物全固形分中、0.1〜70質量%の範囲であることが好ましく、0.5〜50質量%であることがさらに好ましく、1〜30質量%の割合であることがもっとも好ましい。
本発明のレーザー分解性樹脂組成物が含有するバインダーポリマーは、主鎖および側鎖の少なくともいずれかに炭素-炭素不飽和結合をもつバインダーポリマーが好ましい。主
鎖にオレフィン(炭素-炭素二重結合) および 炭素-炭素三重結合の少なくともいずれかを含むポリマーは、形成される被膜の機械的強度が高い点で更に好ましく、主鎖にオレフィンを含むポリマーが特に好ましい。
の高い重合性不飽和基を有するポリマーを用いた場合、極めて機械的強度の高い被膜を作製することができる。特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。ここで言う分子内とは高分子主鎖の両末端あるいは片末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の化合物と上記反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
好ましい範囲としては、0.5万から50万である。数平均分子量が0.1万から100万の範囲であれば、形成される被膜の機械的強度を確保することができる。数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
い。
併用樹脂の添加量は、炭素-炭素不飽和結合をもつポリマーに対して、一般的に1〜9
0質量%、好ましくは5〜80質量%である。
併用樹脂の数平均分子量は、0.1万から100万の範囲が好ましい。より好ましい範
囲としては、0.5万から50万である。数平均分子量が0.1万から100万の範囲であれば、形成される被膜の機械的強度を確保することができる。数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
熱可塑性樹脂において非エラストマー性のものとして、特に限定するものではないが、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン
樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
である。ここで言う分子内とは高分子主鎖の両末端あるいは片末端、高分子側鎖の末端や高分子主鎖中や側鎖中に直接、重合性不飽和基が付いている場合なども含まれる。例えば直接、重合性の不飽和基をその分子末端に導入したものを用いても良いが、別法として、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する数千程度の分子量の化合物と上記反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、および末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて末端に重合性不飽和基を導入する方法などの方法が好適にあげられる。
以下に、重合性化合物(モノマー)として付加重合性化合物を用いた場合を例に挙げ、より詳しく述べる。
<付加重合性化合物>
本発明に使用される好ましい重合性化合物である、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの共重合体、ならびにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
合物に、下記一般式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
(ただし、RおよびR'は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
レーザー分解の前および/又は後で、重合性化合物を含有するレーザー分解性樹脂組成物は、光、熱などのエネルギーにより重合、硬化させることができる。
開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and Biology A:Chemistry,73.81 (1993); J.P.Faussier, "Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications":Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)等に多く記載されている。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112, 6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸
化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記の化合物が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
ン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、およびアリールスルホン酸イオンである。
を示す。(Z3)-は(Z2)-と同義の対イオンを表す。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3′4,4′−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
、3,3′4,4′−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′4,4′−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
本発明で用いられるラジカル開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
上記一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示すような化合物が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−クロロフェ
ニル)−4,4′,5,5′−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2′−ビス(o,o′−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−メチルフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール、2,2′−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(5)で示される化合物例としては具体的には米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物および以下に示すものが挙げられる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群をあげることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(i)メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体をあげることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(j)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類をあげることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から(12)のものを挙げることができる。
R38、−OR38を表わす。ここでR38はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表わす。またR37は−C(X2)3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基、を表わす。)
ゲン原子であり、mは1又は2である。)
2−フェニレン基又はN−R基であり、M4は置換又は非置換のアルキレン基又はアルケ
ニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基であり、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は、炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基であり、X4は塩素、臭素またはヨウ素原子であり、q=0及びr=1であるか又はq=1及
びr=1又は2である。)
R49は水素原子又はCH3-tX5 t基であり、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有
機基である。)
R51は水素原子又はCH3-vX6 v基であり、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有
機基である。)
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2′,4′−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、
2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。あるいはさらにM.P.Hutt、E.F.ElslagerおよびL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
本発明に用いられるラジカル開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
本発明における開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
本発明の分解性樹脂組成物には、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。以下、好ましい添加剤に関し例示する。
本発明において、760から1,200nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー等)を光源として用いる場合には、通常、赤外線吸収剤が用いられる。赤外線吸収剤は、レーザー光を吸収し、発熱して熱分解を促進する。本発明において使用される赤外線吸収剤は、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料又は顔料である。
独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X2及びX3の少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを
示す。ただし、一般式(d)で示される色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZa-は必要ない。好ましいZa-は、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示し、これらの基に置換基が導入可能な場合は、置換基を有してもよい。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ラン
タノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、樹脂組成物層を光硬化させる際の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、光重合開始剤により開始される光反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。
炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂して、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これ
らは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等があげられる。
また、本発明においては以上の成分の他に組成物の製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
さらに、樹脂組成物層の着色を目的として染料もしくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させる事ができる。着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。着色剤の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
さらに、硬化皮膜の物性を改良するために充填剤や、可塑剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
本発明のパターン形成材料は、支持体上に本発明に係るレーザー分解性樹脂組成物からなる層を有することを特徴とする。レーザー分解性樹脂組成物からなる層(以下、パターン形成層とも云う)は、前記(A)および(B)成分を少なくとも含有する。パターン形成層は、必要に応じて、更に、上記の重合性化合物、開始剤、その他の成分を含んでもよい。
ここで、パターン形成材料とは、レーザー露光に起因して露光部が非露光部に比べて凹部を形成することにより凹凸パターンとなるパターン形成材料を意味する。従って、レーザー露光により直接的に(例えば、アブレーションにより)凹部を形成するタイプのパターン形成材料のみならず、レーザー露光後に加熱処理やアルカリ水溶液等による現像処理を施すことによって凹部を形成するタイプのパターン形成材料も包含する。本発明のパターン形成材料は、特に前者のタイプのパターン形成材料として好適に用いることができる。
本発明において好適に用いられるパターン形成材料としては、上記のような性質を持つものであれば特に用途は限定されず、平版、グラビア、凸版、スクリーンなどの印刷版原版、プリント配線用基板、半導体用フォトレジスト材料、光ディスク用記録材料など多岐に渡って利用可能である。本発明においては、レーザーによる直接彫刻製版、いわゆる「レーザー彫刻」に用いられる印刷版が好ましく用いられる。特にフレキソ印刷版が好ましく用いられ、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が本発明のパターン形成材料として最も好適である。
本発明において、パターン形成材料の支持体は、可撓性を有し、かつ、寸法安定性に優れた材料が好ましく用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、或いはポリカーボネートフィルムを挙げることができる。支持体の厚みは50〜350μm、更に100〜250μmがパターン形成材料の機械的特性、形状安定性あるいは取り扱い性等から好ましい。また、必要により、支持体とパターン形成層との接着を向上させるために、この種の目的で従来から使用されている公知の接着剤層を支持体の表面に設けてもよい。
また、本発明で用いる支持体の表面に物理的、化学的処理を行うことにより、パターン形成層あるいは接着剤層との接着性を向上させることができる。物理的処理方法としては、サンドブラスト法、微粒子を含有した液体を噴射するウエットブラスト法、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、紫外線あるいは真空紫外線照射処理法などを挙げることができる。また、化学的処理方法としては、強酸処理法、強アルカリ処理法、酸化剤処理法、カップリング剤処理法などを挙げることができる。
本発明の分解性樹脂組成物をシート状、ロール状もしくは円筒状に成形するためには、既存の樹脂の成形方法を用いることができる。例えば、注型法、ポンプや押し出し機等の機械で樹脂組成物をノズルやダイスから押し出し、ブレードで厚みを合わせる、ロールによりカレンダー加工して厚みを合わせる方法等が例示できる。その際、樹脂組成物の性能を落とさない範囲で加熱しながら成形を行なうことも可能である。また、必要に応じて圧延処理、研削処理などをほどこしても良い。通常はPETやニッケルなどの素材からなるバックフィルムといわれる下敷きの上に成形される場合が多い。また、繊維強化プラスチック(FRP)製、プラスチック製あるいは金属製の円筒状基体を用いることもできる。円筒状基体は軽量化のために一定厚みで中空のものを使用することができる。バックフィルムあるいは円筒状基体の役割は、パターン形成材料の寸法安定性を確保することである。したがって、寸法安定性の高いものを選択する必要がある。材料の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビスマレイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンチオエーテル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂からなる液晶樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。また、これらの樹脂を積層して用いることもできる。例えば、厚み4.5μmの全芳香族ポリアミドフィルムの両面に厚み50μmのポリエチレンテレフタレートの層を積層したシート等でもよい。また、多孔質性のシート、例えば繊維を編んで形成したクロスや、不織布、フィルムに細孔を形成したもの等をバックフィルムとして用いることができる。バックフィルムとして多孔質性シートを用いる場合、感光性樹脂組成物を孔に含浸させた後に光硬化させることで、感光性樹脂硬化物層とバックフィルムとが一体化するために高い接着性を得ることができる。クロスあるいは不織布を形成する繊維としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、アルミナ・シリカ繊維、ホウ素繊維、高珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、サファイア繊維などの無機系繊維、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、アセテート等の半合成繊維、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、アラミド等の合成繊維を挙げることができる。また、バクテリアの生成するセルロースは、高結晶性ナノファイバーであり、薄くて寸法安定性の高い不織布を作製することのできる材料である。
この方法は、パターン形成材料がレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版である場合に特に効果がある。レーザー彫刻前に硬化させることでレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、また、レーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。
中でも、硬化させる方法としては、組成物の加熱が作業の簡便さから好ましい。レーザー分解前の組成物に対して架橋(重合)を生起するための加熱には、オーブン、サーマルヘッド、加熱ロール、レーザー光線などあらゆる加熱方法が適用できる。温度コントロールが必要な場合は、オーブン、サーマルヘッド、加熱ロール等の温度をコントロールするか、レーザー光線の強度やスポット径を調節することで実施することができる。加熱温度は、共存する有機化合物の熱安定性の観点から、40〜250℃が好ましく、60〜220℃がより好ましく、80〜200℃が更に好ましい。加熱時間は、加熱による硬化以外の副反応(添加剤の熱分解など)が生じないという点で、1〜120分が好ましく、5〜60分がより好ましい。
レーザー彫刻(特にレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版)に用いる場合の厚みは、その使用目的に応じて任意に設定し得るが、好ましくは0.05〜10mmの範囲、より好ましくは0.1〜7mmの範囲である。場合によっては、組成の異なる層を複数積層していても構わない。
レーザー彫刻においては、形成したい画像をデジタル型のデータとし、コンピューターを利用してレーザー装置を操作し、パターン形成材料上にレリーフ画像を作成する。
上記したように、レーザー彫刻に用いるパターン形成材料としては特に限定されないが、レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が特に好ましく用いられる。
レーザー彫刻に用いるレーザーは、パターン形成材料がレーザーアブレーションによりパターン形成が可能なものであればどのようなものを用いてもよいが、彫刻を高速度で行なうためには出力の高いものが望ましく、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー等の赤外線あるいは近赤外線領域に発振波長を有するレーザーが好ましいものの一つである。また、紫外線領域に発振波長を有する紫外線レーザー、例えばエキシマレーザー、第3あるいは第4高調波へ波長変換したYAGレーザー、銅蒸気レーザー等も、有機化合物の分子の結合を切断するアブレージョン加工が可能であり、微細加工に適する。フェムト秒レーザーなど極めて高い尖頭出力を有するレーザーを用いることもできる。また、レーザーは連続照射でも、パルス照射でも良い。レーザー彫刻用フレキソ印刷版原版では、炭酸ガスレーザー、YAGレーザーが好ましく用いられる。
<熱物性の評価>
本実施例で使用した(A)の化合物(熱で脱炭酸する化合物)、比較例で使用した成分C1、C2を下記に示す。
表1に示すバインダーポリマーと熱で脱炭酸する化合物または成分C1、C2を材料温度130℃で実験室用ニーダー中で混合し、組成物を得た。各実施例において、熱で脱炭酸する化合物の添加量は、組成物全固形分中15質量%とした。
なお、実施例15は、重合性組成物としてA−BPE−4(新中村化学製)を用い、このモノマーを組成物全固形分中、35質量%の割合で添加し、得られた組成物を、排気装置付きのオーブンにて常圧で160℃で20分加熱し、組成物を架橋させた。組成物が架橋していることは、FT−IRにて炭素-炭素不飽和結合由来のピークが消失したことを
観測することで確認した。
また比較例2および3における成分C1およびC2の添加量は、組成物全固形分中15
質量%とした。
<機器>
・熱質量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)
<測定条件>
・サンプルを10mg秤量し、20℃/分の昇温速度で30℃から500℃まで加熱を行った。
<レーザー分解性の評価>
<膜を架橋させるための加熱>
上記で作成したレリーフ層を、排気装置付きのオーブンにて常圧で160℃で20分加熱し、膜を架橋させた。レリーフ層が架橋していることは、FT−IRにて炭素-炭素不
飽和結合由来のピークが消失したことを観測することで確認した。
レーザーでの彫刻深さの評価実験は、炭酸(CO2)レーザーの場合、「高品位CO2レーザーマーカML-9100シリーズ(KEYENCE(株)製)」を用いて12Wでラインスピード10cm/秒、Nd−YAGレーザーの場合、「MARKER ENGINE 3000(レーザーフロントテクノロジーズ(株)製)」を用いて10Wで10cm/秒ラインスピード彫刻した。
Claims (3)
- 支持体上に、(A)下記一般式(I)で示される基を少なくとも1つ有し、100℃以上300℃以下の温度で、脱炭酸または脱水反応により、4〜6員環のラクトン環、4〜6員環のラクタム環または4〜6員環の環状酸無水物を形成することができる構造を有する化合物、(B)バインダーポリマー、および、(C)付加重合性化合物を含有するレーザー分解性樹脂組成物を硬化させてなるレーザー分解性硬化樹脂組成物からなる層を有することを特徴とするレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
一般式(I)中、Xは−O−、−S−、−SO2−、−NH−、−N(R3)−および−CO−から選択される2価の連結基を表し、R3は水素原子または一価の置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。なお、R1とR2、R1およびR2のいずれかとR3とは、互いに結合して環構造を形成していてもよい。 - 前記(A)の化合物が、下記一般式(I−2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
一般式(I−2)中、Aは芳香族基または複素環基を表す。X1は、−O−、−S−、−SO2−、−NH−、−N(R3)−および−CO−から選択される2価の連結基を表し、R3は、水素原子または一価の置換基を表す。R1およびR2はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。なお、R1とR2、R1およびR2のいずれかとX1、R1およびR2のいずれかとA、AとX1は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。 - 前記(A)の化合物が、下記一般式(PC−1)および(PC−2)から選択された少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版。
一般式(PC−1)中、Arは、モノ-、ポリ-または未置換のアリール基を表し、pは1から5の整数である。
一般式(PC−2)中、R4は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、k及びmは、それぞれ1〜5の整数である。
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