JP5137661B2 - レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版及びレリーフ印刷版の製造方法 - Google Patents

レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版及びレリーフ印刷版の製造方法 Download PDF

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本発明は、レーザー彫刻用樹脂組成物、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、レリーフ印刷版及びレリーフ印刷版の製造方法に関する。
支持体表面に積層された感光性樹脂層に凹凸を形成して印刷版を形成する方法としては、感光性組成物を用いて形成したレリーフ形成層に、原画フィルムを介して紫外光により露光し、画像部分を選択的に硬化させて、未硬化部を現像液により除去する方法、いわゆる「アナログ製版」が良く知られている。
レリーフ印刷版は、凹凸を有するレリーフ層を有する凸版印刷版であり、このような凹凸を有するレリーフ層は、主成分として、例えば、合成ゴムのようなエラストマー性ポリマー、熱可塑性樹脂などの樹脂、或いは、樹脂と可塑剤との混合物を含有する感光性組成物を含有するレリーフ形成層をパターニングし、凹凸を形成することにより得られる。このようなレリーフ印刷版うち、軟質なレリーフ層を有するものをフレキソ版と称することがある。
レリーフ印刷版をアナログ製版により作製する場合、一般に銀塩材料を用いた原画フィルムを必要とするため、原画フィルムの製造時間およびコストを要する。さらに、原画フィルムの現像に化学的な処理が必要で、かつ現像廃液の処理をも必要とすることから、さらに簡易な版の作製方法、例えば、原画フィルムを用いない方法、現像処理を必要としない方法などが検討されている。
近年は、原画フィルムを必要とせず、走査露光によりレリーフ形成層の製版を行う方法が検討されている。
原画フィルムを必要としない手法として、レリーフ形成層上に画像マスクを形成可能なレーザー感応式のマスク層要素を設けたレリーフ印刷版原版が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの原版の製版方法によれば、画像データに基づいたレーザー照射によりマスク層要素から原画フィルムと同様の機能を有する画像マスクが形成されるため、「マスクCTP方式」と称されており、原画フィルムは必要ではないが、その後の製版処理は、画像マスクを介して紫外光で露光し、未硬化部を現像除去する工程であり、現像処理を必要とする点でなお改良の余地がある。
現像工程を必要としない製版方法として、レリーフ形成層をレーザーにより直接彫刻し製版する、いわゆる「直彫りCTP方式」が多く提案されている。直彫りCTP方式は、文字通りレーザーで彫刻することにより、レリーフとなる凹凸を形成する方法で、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、自由にレリーフ形状を制御することができるという利点がある。このため、抜き文字の如き画像を形成する場合、その領域を他の領域よりも深く彫刻する、或いは、微細網点画像では、印圧に対する抵抗を考慮し、ショルダーをつけた彫刻をする、なども可能である。
しかしながら、所定の厚みを有するレリーフ形成層に印圧に耐える凹凸を有するレリーフを形成するには高エネルギーを要し、レーザー彫刻の速度が遅いため、マスクを介して画像形成するタイプに比較し、生産性が低いという問題がある。
このため、レリーフ原版の感度を向上させることが試みられており、例えば、エラストマー発泡体を含むレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(特許文献3および特許文献7参照)。この技術では、レリーフ形成層に密度の低い発泡体を用いることで、彫刻感度の向上を図っているが、低密度の材料であるため印刷版としての強度が不足し、耐刷性が著しく損なわれるという問題がある。
特許文献4〜6には、レーザー彫刻可能なフレキソ版原版、あるいはレーザー彫刻によって得られたフレキソ版が開示されている。これら文献では、バインダーとしてエラストマー性のゴムにモノマーを混合し、熱重合機構あるいは光重合機構によりこれら混合物を硬化させた後、レーザー彫刻を行い、フレキソ版を得ている。
直彫りCTP方式が有する課題として、レーザー彫刻の速度が遅いことが挙げられる。これはマスクCTP方式では、アブレーションすべき対象のマスク層要素の厚さが1〜10μm程度であるのに対し、直彫りCTP方式では直接レリーフを形成する機能上、少なくとも100μmは彫刻する必要があるためである。そのため、レーザー彫刻感度の向上を図った提案がいくつかなされている。
例えば、炭化水素系の気体を封入したマイクロスフィアを含有するレーザー彫刻用フレキソ印刷版原版が提案されている(特許文献8)。この技術では、レーザーで発生する熱によりマイクロスフィア内の気体が膨張して、被彫刻材料を崩壊させるシステムにより、彫刻感度の向上を図っているが、気泡を含む材料系なので、印刷版としての強度は不足しやすいという問題がある。また、気体は固体に比べて熱で膨張しやすい性質があり、熱変形開始温度の高いマイクロスフィアを選択しても、外温の変化による体積変化はさけられないことから、厚み精度の安定性が要求される印刷版に、気泡を含む材料を用いることは適していない。
また、他の技術として、例えば、天井温度が600度K未満の高分子充填剤を含有するレーザー彫刻用樹脂凸版印刷版が提案されている(特許文献9参照)。この技術では、解重合温度の低い高分子充填剤を添加することで彫刻感度の向上を図っているが、このような高分子充填剤を用いると、印刷版原版の表面に凹凸がついてしまい、印刷品質に重大な影響を与える。
熱分解性に優れた樹脂を構成する単位としてのヘミアセタールエステル化合物類と無機多孔質体微粒子とを含有し、彫刻カスの除去性が良好な組成物が提案されている(例えば、特許文献10参照。)。ここでは、彫刻カスを液状化させる目的のための一手段として、熱分解性に優れた樹脂を構成する単位としてのヘミアセタールエステル化合物類が例示されている。しかしながら、ここに記載のように、ヘミアセタールエステル化合物類を添加し、その分解しやすさを利用することによる効果だけでは、彫刻感度向上の観点からは不十分であり、改良が望まれていた。
以上のように、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に好適に用いうる樹脂組成物に関しては、種々の技術が提案されているが、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いものは、未だ提供されていないのが現状である。
特許第2773847号公報 特開平9−171247号公報 特開2002−357907号公報 特許第2846954号公報 特開平11−338139号公報 特開平11−170718号公報 特開2000−318330号公報 米国特許出願公開2003/180636号明細書 特開2000−168253号公報 特開2004−262135公報
本発明は以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及び該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びにそれにより得られたレリーフ印刷版を提供することにある。
本発明者らは検討の結果、ヘミアセタール構造を有する重合性化合物を用いることで、彫刻感度の向上を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> (A)下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物と、(B)バインダーポリマーとを含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、Qは、−Q−Hとなったときの酸解離定数(pKa)が0以上20以下である部分構造を表す。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表す。
<2> (A)前記一般式(I)で表される部分構造及び前記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物が、 (A)前記一般式(I)で表される部分構造及び前記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物が、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、下記一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選択される1種以上とを反応させて得られることを特徴とする<1>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
前記一般式(I−1)中、Qは、−Q−Hとなったとき、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基として機能する部分構造を表し、Aは2価の有機連結基を表す。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Bは2価の有機連結基を表す。ここで、前記一般式(I−1)、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造の少なくともいずれかに重合性基を有する。
<3> さらに(C)重合開始剤を含有する<1>又は<2>に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<4> さらに(D)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
<5> 支持体上に、<1>〜<4>のいずれかに記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
<6> (1)<5>に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋する工程、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むレリーフ印刷版の製造方法。
<7> 前記(1)工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である<6>に記載のレリーフ印刷版の製造方法。
<8> <6>又は<7>に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版。
<9> 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である<8>に記載のレリーフ印刷版。
<10> 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である<8>又は<9>に記載のレリーフ印刷版。
本発明によれば、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いレーザー彫刻用樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、彫刻感度が高く、レーザー彫刻により直接製版が可能なレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版、及び該レリーフ印刷版原版を用いたレリーフ印刷版の製造方法、並びにそれにより得られたレリーフ印刷版を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[レーザー彫刻用樹脂組成物]
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、(A)重合性化合物として、下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する化合物を少なくとも含有することを特徴とする。(また、以下、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物については、本発明の樹脂組成物とも称する。)
本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻に供した際の彫刻感度が高いことから、高速でレーザー彫刻を行うことができるので、彫刻時間についても短縮することができ、生産性に優れる。また、同じエネルギーの付与により、より深い刻印が可能となるため、高精細画像の形成にも適する。
このような特徴を有する本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻が施される樹脂造形物の形成用途に、特に限定なく広範囲に適用することができる。例えば、本発明の樹脂組成物の適用態様として具体的には、凸状のレリーフ形成をレーザー彫刻により行う印刷版原版のレリーフ形成層、凹版、孔版、スタンプ、等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層に、特に好適に用いることができる。以下、レーザー彫刻用樹脂組成物の構成要素について説明する。
<(A)下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物>
本発明の樹脂組成物は、下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有し、且つ、分子内に少なくとも1つの重合性基を有する重合性化合物を含有することを特徴とする。
このような化合物を以下、適宜、「(A)特定重合性化合物」と称する。本発明に用いられる特定重合性化合物は、以下に示す構造に明らかなように、分子内にヘミアセタールエステル構造を有することを特徴とする。
前記一般式(I)及び一般式(II)中、Qは、−Q−Hとなったときの酸解離定数(pKa)が0以上20以下である部分構造を表す。
〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表す。
このようなヘミアセタールエステル化合物を用いた分解性組成物として、特開2007−316508公報に記載の組成物が知られている。これは、ヘミアセタールエステル化合物とカルボン酸を組み合わせて用いることが特徴で、カルボン酸(触媒的作用)の作用でヘミアセタールエステル化合物が分解し、その分解物としてカルボン酸(ヘミアセタールエステル化合物の分解触媒)が生成し、これを繰り返すことでカルボン酸が増殖していくという化学増幅型レジストへの応用を意図した化合物であるが、このような、分子量が500〜3000の非重合体であるヘミアセタールエステル化合物とカルボン酸とを必須成分として含む分解性組成物は、前記したように、加熱によりアルカリ溶解性を変化させる組成物であり、本発明の如きレリーフ形成層に適用するには被膜強度が低く、且つ、彫刻感度も十分でないといった問題点がある。
本願発明者は、このような構造を有する化合物に重合性基を導入してその構造を最適化してバインダーポリマーとともに用いること、さらに、好ましくは、光熱変換剤や重合開始剤を併用することで、レリーフ印刷版原版の記録層に好適に使用しうるレーザー彫刻用樹脂組成物、詳細には、優れたレーザー彫刻感度を達成しうる樹脂組成物を提供しうることを見出したものである。
前記一般式(I)及び一般式(II)で表される部分構造が重合性化合物に存在する場合、化合物の分子末端ではなく、重合性基を連結する部分にこのような構造が存在する態様が好ましい。これにより、熱架橋部分が容易に熱解裂することになり、彫刻感度の向上効果が著しい。
また、重合性化合物における重合性基(重合性の不飽和結合)は分子末端に存在することが熱架橋度を高める点で好ましい。前記一般式(I)及び一般式(II)で表される部分構造と重合性基との連結は、本発明の好ましい態様で以下に詳述するように、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、一般式(II−1)又は一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物とを反応させて導入される位置に存在することが、ヘミアセタールエステル結合の安定性の観点で好ましい。即ち、酸性基とビニルエーテル基を有する化合物である一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物又はアルコキシアレン基を有する化合物、即ち、一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物のオキシアルキレン基との付加反応においてはじめて一般式(I)又は一般式(II)で表されるヘミアセタールエステル結合の形成がなされることが好ましい。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、近赤外レーザーを例に挙げれば、赤外線レーザ照射により、700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物が光吸収し、光熱変換が生じ、赤外線レーザ露光領域に存在するバインダーポリマーが熱分解し、分解物が消散して彫刻がなされる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
本発明にレーザー彫刻用樹脂組成物における(A)特定重合性化合物の作用機構は定かではないが以下のように推定される。
本発明に係る(A)特定重合性化合物は、一般式(I)または一般式(II)で表される如きヘミアセタールエステル構造という有機化学的に非常に熱解裂しやすい部分構造を有しており、低温熱分解性に優れる。このような化合物を(B)バインダーポリマーと併用すると、先に(A)特定重合性化合物が熱分解して、その分解物のガス、即ち、特定重合性化合物の原料やその熱分解物である二酸化炭素などなどが発生して急激に拡散することで、共存する(B)バインダーポリマーの熱分解物の飛散を促進させる。即ち、(A)特定重合性化合物は、該化合物自体が有する優れた熱分解性と、熱分解時に発生する分解物による、共存する(B)バインダーポリマーの熱分解及び分解物の除去をアシストする機能という2つの特性により、樹脂組成物の彫刻感度を効果的に向上させる。
その結果、(A)特定重合性化合物を含む樹脂組成物膜は、ヘミアセタールエステル部位を分子中に持たない重合性化合物や(B)バインダーポリマーのみに比べてレーザー分解性や彫刻感度が飛躍的に向上したと推定される。
また、本発明の好ましい態様においては、後述するように(B)バインダーポリマー(として比較的低温で熱分解しうる特定のポリウレタンと組み合わせて用いるが、その場合、(B)特定のポリウレタンと(A)特定重合性化合物との優れた熱分解性効果が相乗的に発現し、劇的にレーザー彫刻感度が高まるものと推定される。また、他の好ましい態様である、(B)バインダーポリマーとしてヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、より具体的には、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)誘導体やポリアミド誘導体)と組み合わせた場合は、(B)バインダーポリマー中に存在する多数のOH基と(A)特定重合性化合物中のアセタール部位とが有効に相互作用するために、相溶性が良くなり、前記(B)バインダーポリマーの熱分解性・分解物除去性を向上させる機能がより効果的に発現し、この態様においても、彫刻感度が高くなる。
即ち、本発明の構成により、熱分解性と熱分解により生じた化合物の消散性の双方に優れるため、本発明の樹脂組成物は、レーザー彫刻感度が非常に高くなっているものと考えられる。
なお、熱分解の活性化エネルギーは公知の方法、例えば、「新版 熱分析」、編者:神戸博太郎・小澤丈夫、講談社刊(1992年)P57−86記載の方法で容易に算出可能である。
(A)特定重合性化合物が有する重合性基としては、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、リビング重合のいずれかの重合を生起しうる基であれば特に制限はなく、これらを適宜選択して用いうるが、本発明の好ましい態様であるレリーフ形成層などのパターン形成材料として使用する際に、湿度等の周囲の環境に重合が影響を受けにくいという点でラジカル重合性基であることが好ましい。
好ましいラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基、ビニルエーテル基等が挙げられる。化合物合成の簡便さから(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、スチリル基がより好ましく、適度な柔軟性を付与する点で(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基がさらに好ましい。本発明において、(メタ)アクリロイル基との表記は、アクリロイル基および/またはメタクロイル基を総称するものである。なお、他の(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸並びにそれらの誘導体に(メタ)を付加する表記もこれと同様である。
また、(A)特定重合性化合物における重合性基は、分子内に少なくとも1つ有すればいが、重合性基の数としては一分子中に1〜10個であることが効率的な重合を生起する点で好ましく、より好ましくは2〜6個、さらに好ましくは2または3個の場合である。
重合性基は分子内のいずれの部位に存在してもよい。なかでも、合成の簡便さから、一般式(I)又は一般式(II)で表される部分構造におけるAの部分に含まれていることが好ましい。
本発明に係る(A)特定重合性化合物において、一般式(I)又は一般式(II)で表される部分構造の熱分解性に最も影響を与えるのは、「Q」の構造である。
ここで、Qは、Q−Hとなったときの酸解離定数(pKa)が0以上20以下である酸基として機能する部分構造を表す。pKa11〜20のQ−Hを有する官能基としては、水素原子よりも電子供与性の高い置換基(例えばアルキル基やアルコキシ基など)を有する芳香族アルコール、脂肪族アルコールが挙げられる。
彫刻感度の向上と、常温での熱安定性を両立するという観点からは、Q−HのpKaとして好ましくは0〜11、より好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜6である。
本発明における好ましい態様である、−Q−HのpKaが11以下の酸基としては、具体的には以下に示すものが挙げられる。
1.酸解離定数(pKa)が0以上5.5未満である酸基
酸解離定数(pKa)が0以上5.5未満である酸基としては、スルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基などが挙げられ、特に好ましいものは、カルボン酸基である。カルボン酸基を含有する構造としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、インクロトン酸、マレイン酸、p−カルボキシルスチレンなどがあり、特に好ましいものは、アクリル酸、メタクリル酸、p−カルボキシルスチレンであり、これらの1種あるいは2種以上用いることができる。
2.酸解離定数(pKa)が5.5以上11以下の酸基
本発明における酸基のうち酸解離定数(pKa)が5.5以上11以下の酸基について説明する。
このような酸基として、具体的には、例えば、フェノール基(pKa=9.99)、2−メトキシフェノール基(pKa=9.99)、2−クロロフェノール基(pKa=8.55)、2−ヒドロキシ安息香酸メチル基(pKa=9.87)、4−メチルフェノール基(pKa=10.28)、1,3−ベンゼンジオール基(pKa=9.20)、1−ナフトール基(pKa=9.30)、1,2−ベンゼンジオール基(pKa=9.45)、ベンゼンスルホンアミド基(pKa=10.00)、N−アセチルフェニルベンゼンスルホンアミド基(pKa=6.94)、4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=10.58)、N−フェニル−4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=6.30)、N−(4−アセチルフェニル)−4−アミノベンゼンスルホンアミド基(pKa=7.61)、アセチル酢酸エチル基(pKa=10.68)等が挙げられる。これらの中でも、芳香族基上に置換基を有してもよいフェノール基、芳香族基上に置換基を有してもよいベンゼンスルホンアミド基がより好ましい。
なお、上記具体例に記載の酸解離定数pKaは、E.P.SERJEANTら著、“IONISATION CONSTRANTS OF ORGANIC ACIDS IN AQUEOUS SOLUTION”及びJOHN A.DEAN著、“LANGE’S HANDBOOK OF CHEMISTRY”に記載の数値である。
Q−HのpKaが3〜6という態様のなかでも、最も好ましいのはQが(−C(=O)O−)で示される構造である場合、即ち、−Q−Hがカルボン酸基の場合である。
一般式(I)及び(II)において、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表すが、より具体的には、脂肪族連結基、脂肪族環状連結基、芳香族連結基、複素環連結基などが挙げられる。これらの連結基はさらに置換基を有するものであってもよい。
(A)特定重合性化合物の熱分解性、分解により生成される化合物の消失性に優れ、彫刻感度が高いという観点から、なかでも脂肪族連結基、脂肪族環状連結基、芳香族連結基であることが好ましく、より好ましくは脂肪族連結基、脂肪族環状連結基である。特に好ましくは、脂肪族環状連結基をA及びBのうち少なくとも1方に部分構造として含む場合である。
ここで、2価の有機連結基A、Bに導入可能な置換基としては、水素原子を除く1価の非金属原子団を挙げることができ、以下に示すものが挙げられる。
ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、
アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、
モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl)2)、ジアリールボリル基(−B(aryl)2)、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH)2)及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
一般式(I)及び(II)において、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、1価の有機基としては、脂肪族基、脂肪族環状基、芳香族基、複素環基などが挙げられる。
なかでも、彫刻感度向上と、合成適性の観点からは、水素原子、1価の脂肪族基、又は1価の脂肪族環状基が好ましく、より好ましくは水素原子又は1価の脂肪族基であり、特に好ましくは水素原子の場合である。なお、1分子中に複数存在するR及びRは、それぞれ同じでも異なってもよいが、合成適性の観点からは同じであることが好ましい。
は、水素原子又は1価の有機基を表し、有機基としては、脂肪族基、脂肪族環状基、芳香族基、複素環基などが挙げられる。なかでも、彫刻感度向上と、合成適性の観点からは、水素原子、1価の脂肪族基、又は、脂肪族環状基が好ましく、より好ましくは水素原子、又は、1価の脂肪族基であり、特に好ましくは水素原子の場合である。
(A)特定重合性化合物中に存在する構造単位としては、一般式(I)で表される態様、一般式(II)で表される態様のいずれでもよいが、彫刻感度の観点からは、一般式(I)で表される構造単位を含む化合物がより好ましい。
(A)特定重合性化合物1分子中における(I)または(II)で表される部分構造の数としては、感度と熱安定性を両立させる観点からは1〜3個が好ましく、より好ましくは1または2個、特に好ましくは1個である。
本発明に係る(A)特定重合性化合物は、酸性化合物、即ち、以下に詳述する特定pKaを示す化合物と、ビニルエーテル化合物とを、適切な触媒の存在下、常温〜100℃で反応させることで合成できる。このような合成反応は、触媒が存在しない条件でも進行するが、必要に応じて微量の酸触媒を用いることが好ましい。合成に使用される酸触媒としては、ピリジニウム p−トルエンスルホネート、p−トルエンスルホン酸が重付加と解重合のバランスを良好に保つ点で好ましい。また、合成は、必要に応じて、溶媒を加えて行ってもよい。例えば、反応熱によるヘミアセタールエステル結合の解裂が懸念される場合は、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、或いは、2−ブタノンなどで希釈することが好ましい。
このような(A)特定重合性化合物は、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、下記一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選択される1種以上とを反応させて得られることが好ましい。
前記一般式(I−1)中、Qは、−Q−Hとなったとき、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基として機能する部分構造を表し、Aは2価の有機連結基を表す。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Bは2価の有機連結基を表す。
なお、ラジカル重合性基に代表される重合性基は、一般式(I−1)、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造のいずれに含まれていてもよいが、合成の簡便さから一般式(I−1)に含まれていることが好ましく、特に、一般式(I−1)中のAの部分に含まれていることが好ましい。
以下、(A)特定重合性化合物の合成に使用される化合物について説明する
(1.一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物)
まず、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物について説明する。
一般式(I−1)中、Aは2価の有機連結基を表し、Qは、−Q−Hとした時、pKa11以下の酸基となる部分構造を表す。
ここで、A及びQは、前記一般式(II)又は一般式(II)におけるのと同義であり、好ましい態様も同様である。
本発明における一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物としては、Aに重合性基が直接、もしくは、適切な連結基を介して結合している態様を有する化合物であることが好ましい。
−Q−Hは、pKaが0〜20の酸基であり、なかでも、pKaが3〜10であることが好ましい。また、Qは炭化水素系の連結基であることが好ましく、このような炭化水素基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、芳香環基などが挙げられ、これらの中で、加水分解後の特定官能基のpKaが、上記の範囲内となりうるものが選択される。通常は、このような2価以上の炭化水素基に、電子吸引性の置換基を導入することで、pKaを上記の範囲とすることができる。
Qで表される炭化水素基の好ましい例としては、芳香環基、シクロ環基などを含むもの、カルボニル基を含むものが挙げられる。
より好ましい態様として、以下に示すような態様が挙げられる。
前記式中、A1は芳香環基またはシクロ環基を表す。Yは、単結合、または、−O−、−NR5−を表し、ここでR5は、水素原子、又は、炭化水素基を表す。
なお、−Q−Hが示すpKaが0〜20の酸基は既述の通りであり、好ましい態様であるpKaが11以下の酸基としては、具体的には一般式(I)および(II)の説明において挙げたものが同様に挙げられる。
Aは2価の有機連結基を表し、ここに重合性基を有することが好ましい態様である点は前述の通りであるが、重合性基のAにおける結合位置としては、重合性化合物の分子末端に位置することが熱架橋度を高める点で好ましい。
以下に、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
また、この他にも、特開2004−126057公報に記載の側鎖にカルボキシ基を有する繰り返し構造を形成しうる、以下に示す如きモノマーもまた、本発明における一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物として使用することができる。
上記、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物は、前記特開2004−126057公報記載の方法等により合成することができる。
(2.一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物、下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物)
次に、一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物について説明する。
このような化合物としては、下記一般式(II−1)、又は、一般式(II−2)で表される部分構造を分子内に有する化合物であれば制限なく使用しうるが、なかでも、合成適性や入手容易性の観点からは、一般式(II−1)又は、一般式(II−2)における連結基Bを介して左右が同一の構造をもつ、下記一般式(II−1−1)、又は、一般式(II−2−1)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、Bは2価の有機連結基を表す。
一般式(II−1)及び(II−2)における2価の有機連結基であるBは、一般式(I−1)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(II−1−1)及び一般式(II−2−1)中、Bは2価の有機連結基を表す。
一般式(II−1−1)及び(II−2−1)における2価の有機連結基であるBは、一般式(I−1)におけるAと同義であり、好ましい態様も同様である。
以下、一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
上記、一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物は、市販品として容易に入手可能であり、例えば、アルドリッチ社製の(1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル;商品名)などが挙げられる。
一般式(II−1−1)又は(II−2−1)で表される上記化合物のなかでも、皮膜強度の観点からは、分子内に脂肪族環状構造を有する化合物が好ましい。
本発明に好適に用いられる(A)特定重合性化合物は、前記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物の少なくとも1種との反応生成物であることが好ましい。
なお、合成に際しては、一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物、好ましくは、前記一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物のそれぞれ1種ずつを組み合わせればよいし、また一般式(I−1)で表される化合物の複数種と、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物から選択される複数種の化合物とを組み合わせて共重合体としてもよい。合成の簡便さの観点で、一般式(I−1)で表される化合物と、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物、好ましくは、前記一般式(II−1−1)又は一般式(II−2−1)で表される化合物のそれぞれ1種ずつを組み合わせた場合の方が好ましい。
(A)特定重合性化合物は、「ネットワークポリマー」Vol.22, No.4、p.28−37 (2001) や 「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」,第32巻,P9059−9061 (1999年)などの公知の反応条件で、前記2種の化合物を併用して行うことができる。
また、好ましい合成条件として、プロトン酸触媒やルイス酸触媒を用いる方が合成収率の観点で好ましい。一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と一般式(II−1−1)及び一般式(II−2−1)で表される化合物の少なくとも1種とを反応させる際の触媒として、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ビスマス トリス(2−エチルヘキサノエート)、オクチル酸スズ、ピリジニウム p−トルエンスルホネートあるいはp−トルエンスルホン酸を用いることが、副生成物(例えば、一般式(I−1)で表される化合物がカチオン重合したオリゴマーやポリマー)などを生じない点で好ましい。より好ましくは、ピリジニウム p−トルエンスルホネートあるいはp−トルエンスルホン酸を触媒として用いる場合である。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
反応濃度は、短時間に(A)特定重合性化合物を得ることができるという観点からは、原料である一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と一般式(II−1)又は一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物の合計重量の濃度換算で、30〜100重量%であることが好ましく、より好ましくは45〜100重量%、特に好ましくは55〜95重量%である。
ここで、合計重量の濃度が100質量%であるとは、これらの原料により、無溶媒で反応させて(A)特定重合性化合物を得ることも可能であることを意味し、無溶媒での反応であれば、特段、開始剤や触媒を加えなくても反応が進行するものであり、本発明においては、このような態様もとりうる。なお、無溶媒で反応させる場合であっても必要に応じて触媒を加えてもよく、合成効率の観点からは触媒を加えるほうが好ましい。
本発明に係る(A)特定重合性化合物である一般式(I)又は一般式(II)で表される部分構造を有する化合物の具体例〔(M−1)〜(M−18)〕を挙げるが、これらに限定されるものではない。
上記例示化合物のなかでも膜の柔軟性と強度の観点からは、M−1〜M−10が好ましく、より好ましくはM−1〜M−4である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物には、(A)特定重合性化合物を1種のみ含んでもよく、2種以上を含有することもできる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物における(A)特定重合性化合物の含有量は、組成物中の不揮発性成分に対して、好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは15〜40質量%の範囲である。
<(B)バインダーポリマー>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、上記(A)特定重合性化合物とともに、(B)バインダーポリマーを含有する。
バインダーポリマーは、レーザー彫刻用樹脂組成物に含有される主成分であり、通常は、レーザーに対する記録感度の観点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを目的に応じて用いる。本発明においては、前記(A)特定重合性化合物が熱反応性に優れるため、種々の(B)バインダーポリマーを目的とする物性に応じて併用することができる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物をレーザー彫刻用フレキソ印刷版の記録層として用いる場合、彫刻感度以外の印刷適性、例えば、インキ耐性、耐磨耗性、耐刷性、彫刻部分のエッジ形状などを同時に満足しなければならないことから、これらの特性を付与することも考慮して(B)バインダーポリマーを選択することが好ましい。以下、本発明に好適に用いうるバインダーポリマーについて詳細に説明する。
バインダーポリマーは、通常は、レーザーに対する記録感度の観点から、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどを目的に応じて用いる。
例えば、加熱や露光により硬化させ、強度を向上させる目的に使用する場合には、バインダーポリマーとして、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーが選択される。柔軟で可撓性を有する膜形成が目的とされる場合には、軟質樹脂や熱可塑性エラストマーが選択される。
レーザー彫刻用樹脂組成物を、レーザー彫刻用レリーフ印刷板原版におけるレリーフ形成層に適用する場合であれば、レリーフ形成層用組成物の調製の容易性、得られたレリーフ印刷板における油性インクに対する耐性向上の観点からは、親水性又は新アルコール性ポリマーを使用することが好ましい。
また、レーザー彫刻感度の観点からは、露光或いは加熱により熱分解する部分構造を含むポリマーが好ましい。
このように、レーザー彫刻用樹脂組成物の適用用途に応じた物性を考慮し、目的に応じたバインダーポリマーを選択し、当該バインダーポリマーの1種を、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
以下、本発明においてバインダーポリマーとして用いうる各種ポリマーについて説明する。
(炭素-炭素不飽和結合を有するポリマー)
バインダーポリマーとしては、分子内に炭素−炭素不飽和結合をもつポリマーを好適に用いることができる。該炭素−炭素不飽和結合は、ポリマーの主鎖、側鎖のいずれかに存在すればよく、双方に存在していてもよい。以下、炭素−炭素不飽和結合を単に「不飽和結合」と称することがあり、また、主鎖或いは側鎖末端に存残する炭素−炭素不飽和結合を「重合性基」と称することがある。
炭素−炭素不飽和結合をポリマーの主鎖に有する場合、ポリマー主鎖の片末端、両末端、主鎖中のいずれに有してもよい。また、炭素−炭素不飽和結合をポリマーの側鎖に有する場合、該不飽和結合は主鎖構造に直接結合してもよく、適切な連結基を介して結合していてもよい。
主鎖に炭素−炭素不飽和結合を含むポリマーとしては、例えばSB(ポリスチレン−ポ
リブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
側鎖に炭素-炭素不飽和結合をもつポリマーとして、メタクリロイル基のような反応性の高い重合性不飽和基を有するポリマーを用いた場合、極めて機械的強度の高い被膜を作製することができる。特にポリウレタン系、ポリエステル系熱可塑性エラストマーでは、比較的簡単に分子内に反応性の高い重合性不飽和基を導入することが可能である。
バインダーポリマー中に不飽和結合或いは重合性基を導入する際には、重合性基に保護基を結合させてなる重合性基前駆体を有する構造単位をポリマーに共重合させ、保護基を脱離させて重合性基とする方法、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、ケトン基、ヒドラジン残基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、環状カーボネート基、エステル基などの反応性基を複数有する高分子化合物を作製し、その後、上記反応性基と結合しうる基を複数有する結合剤(例えば、水酸基やアミノ基の場合のポリイソシアネートなど)を反応させ、分子量の調節、及び末端の結合性基への変換を行った後、この末端結合性基と反応する基と重合性不飽和基を有する有機化合物と反応させて、高分子反応により、重合性基を導入する方法など、公知のいずれの方法をとることができる。これらの方法によれば、高分子化合物中への不飽和結合、重合性基の導入量を制御することができる。
このような不飽和結合を有するポリマーは、不飽和結合を有さないポリマーと併用することも好ましい。即ち、上記炭素−炭素不飽和結合を有するポリマーのオレフィン部分に水素を付加させて得られるポリマーや、オレフィン部分に水素添加したモノマー、例えば、ブタジエンやイソプレン等に水素添加したモノマーを原料としてポリマーを形成して得られるポリマーなどは、相溶性に優れることから併用し、バインダーポリマーが有する不飽和結合の量を調整することもできる。
これらを併用する場合、不飽和結合を有さないポリマーは、不飽和結合をもつポリマー100質量部に対して、一般的に1〜90質量部、好ましくは5〜80質量部の割合で用いることができる。
なお本発明においては、(A)特定重合性化合物を含有し、さらに、所望により他の重合性化合物を併用するため、(B)バンダーポリマーに不飽和結合は必ずしも必須ではなく、不飽和結合を有しない各種ポリマーのみをバインダーポリマーとして用いることもできる。そのような場合の不飽和結合を有しないポリマーとしては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、などが好ましく挙げられる。
本発明に用いうる不飽和結合を有する、或いは、有しないバインダーポリマーの数平均分子量は、0.1万から100万の範囲が好ましい。より好ましい範囲としては、0.5万から50万である。数平均分子量が0.1万から100万の範囲であれば、形成される被膜の機械的強度を確保することができる。数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、分子量既知のポリスチレン標品に対して評価したものである。
(熱可塑性ポリマー、分解性を有するポリマー)
レーザー彫刻感度の観点から好ましく用いられるバインダーポリマーとしては、露光、加熱などのエネルギー付与により液状化する熱可塑性ポリマー、エネルギー付与により分解する部分構造をもつポリマー(分解性を有するポリマー)が挙げられる。
分解性を有するポリマーとしては、分子鎖中に、分解、切断され易い部分構造を有するモノマー単位としてスチレン、α−メチルスチレン、α−メトキシスチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステル類、上記以外のエステル化合物類、エーテル化合物類、ニトロ化合物類、カーボネート化合物類、カルバモイル化合物類、ヘミアセタールエステル化合物類、オキシエチレン化合物類、脂肪族環状化合物類等を含むポリマーが挙げられる
これらのなかでも、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール等のポリエーテル類、脂肪族ポリカーボネート類、脂肪族カルバメート類、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ニトロセルロース、ポリオキシエチレン、ポリノルボルネン、ポリシクロヘキサジエン水添物、あるいは分岐構造の多いデンドリマー等の分子構造を有するポリマーが、分解性の観点から好ましく挙げられる。
また、分子鎖中に酸素原子を多数含有するポリマーが分解性の観点から好ましい。このような観点からは、カーボネート基、カルバメート基、メタクリル基をポリマー主鎖中に有する化合物が好適に挙げられる。
例えば、(ポリ)カーボネートジオールや(ポリ)カーボネートジカルボン酸を原料として合成したポリエステルやポリウレタン、(ポリ)カーボネートジアミンを原料として合成したポリアミドなどを熱分解性の良好なポリマーの例として挙げることができる。これらのポリマーは、主鎖、側鎖に重合性不飽和基を含有しているものであっても構わない。特に、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性官能基を有する場合には、このような熱分解性ポリマーに対し、重合性不飽和基を導入することも容易である。
熱可塑性ポリマーとしては、エラストマーであっても非エラストマーの樹脂であってもよく、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物の目的に応じて選択すればよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ウレタン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの熱可塑性エラストマーのレーザー彫刻感度を向上させる目的で、エラストマーの主鎖に、カルバモイル基、カーボネート基等の易分解性官能基を導入したものを用いることもできる。また、熱可塑性ポリマーと前記熱分解性ポリマーと混合して用いてもよい。
熱可塑性エラストマーは、常温ではゴム弾性を示す材料であり、分子構造としては、ポリエーテルあるいはゴム分子のようなソフトセグメントと、常温付近では加硫ゴムと同じく塑性変形を防止するハードセグメントからなり、ハードセグメントとしては凍結相、結晶相、水素結合、イオン架橋など種々のタイプが存在する。このような熱可塑性エラストマーは、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を、例えば、フレキソ版などの可撓性を必要とするレリーフ印刷版の製造に適用する場合に好適である。
熱可塑性エラストマーの種類は、目的に応じて選択され、例えば、耐溶剤性が要求される場合、ウレタン系、エステル系、アミド系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましく、耐熱性が要求される場合、ウレタン系、オレフィン系、エステル系、フッ素系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、熱可塑性エラストマーの種類を選択することにより、樹脂組成物により形成される膜の硬度を大きく変えることができる。
非エラストマー性の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー(例えばポリビニルアルコール誘導体)を挙げることができる。
(親水性又は親アルコール性ポリマー)
本発明で用いるバインダーポリマーとしては、親水性又は親アルコール性のものが彫刻後のカスの除去性の観点で好ましい。親水性ポリマーとして詳細には、後述するもの挙げられるが、中でも、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマーが好ましい。また、親水性又は親アルコール性バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール等のポリマーも好適に用いることができる。
バインダーポリマーの好適な態様の1つである親水性ポリマーについて詳述する。
親水性ポリマーとは、水溶解性又は水膨潤性のポリマーを指す。ここで、本発明において、「水溶解性」とは、25℃の水に5質量%以上溶解することを指し、また、「水膨潤性」とは、25℃の水に5質量%になるように加えた際に、吸水して膨張し、目視で見たときに溶解はしていないが、明らかな固体状(粉末状)の沈殿物は無い状態であることを指す。
親水性ポリマーとしては、単独のポリマーを用いてもよいし、複数種のポリマーを用いてもよい。
親水性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシエチレン単位を含む親水性ポリマー、セルロースをはじめとする親水性官能基を有する多糖類、ポリアクリル酸ナトリウムのような酸性官能基が中和された塩構造やアミノ基が中和された塩構造やオニウム構造を含むアクリル樹脂、ポリエチレンオキサイドの如き親水性基を導入したポリアミド樹脂やポリエステル樹脂、ゼラチンなどが挙げられる。
親水性ポリマーとしては、良好な親水性を示す点で、ヒドロキシエチレンを含む親水性ポリマー、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有セルロース、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。より好ましくは、ヒドロキシエチレンを含む親水性ポリマー、アミノ基又はカルボン酸基/スルホン酸基/硫酸基及びこれらが中和された塩構造などの極性基含有アクリル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましく、さらに好ましくはポリビニルアルコール類、ポリアミド樹脂である。
親水性ポリマーとして特に好ましくは、皮膜性とUVインキに対する耐性があるという観点から、ポリビニルアルコール(PVA)及びその誘導体から選択されるポリマーである。
本発明においてPVA及びその誘導体とは、ヒドロキシエチレン単位を0.1モル%以上100モル%以下、好ましくは1モル%以上98モル%以下、更に好ましくは5モル%以上95モル%以下含有する共重合体あるいは重合体並びにそれらの変性体を包含する。 ビニルアルコール構造単位とともに共重合体を形成するためのモノマーとしては、公知の共重合可能なモノマーから適宜選定することができる。
PVA及びその誘導体の中でも、特に好ましくは、PVA及びビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体(部分鹸化ポリビニルアルコール)を例示することができ、これらの変性体もこれに該当する。
親水性ポリマーとしては、特に、PVA及びその誘導体から選択される1種以上と、ヒドロキシエチレン単位を含まない親水性ポリマー(以下、適宜「非PVA誘導体」とも称する。)と、を併用することが好ましい。
非PVA誘導体とは、PVA及びその誘導体と相溶性を示す程度に極性が近いものを意味する。
非PVA誘導体として具体的には、例えば、アジピン酸や1,6−ヘキサンジアミン、ε−カプロラクタムのみの重合によって得られる非水溶性ポリアミドに、ポリエチレングリコールやピペラジンのような親水性基を導入した親水性ポリアミドが挙げられる。親水性ポリアミドは、その親水性基の働きでPVA誘導体との相溶性が発現するため、非PVA誘導体として用いるのに好適である。つまり、このような親水性ポリアミドは、PVA及びその誘導体との相溶性が良好であり、PVA及びその誘導体の分子間に容易に入り込むために、2種のポリマーの分子間力が低下し、ポリマーが柔軟化される。
親水性ポリアミドの合成法としては、以下に示すものが挙げられる。
ε−カプロラクタム及び/又はアジピン酸を、両末端アミン変性のポリエチレングリコールと反応させることでポリエチレングリコール単位を有するポリアミドが得られ、ピペラジンと反応させることでピペラジン骨格を有する親水性ポリアミドが得られる。また、親水性ポリアミドのアミド基とグリシジルメタクリレートのエポキシ基とを反応させることで、架橋性の官能基がポリマー中に導入された親水性ポリアミドが得られる。これら非PVA誘導体は単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
PVA誘導体の例として、ヒドロキシエチレン単位の水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基に変性したポリマー、当該水酸基の一部を(メタ)アクロイル基に変性したポリマー、当該水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性したポリマー、当該水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入したポリマーなどが挙げられる。
水酸基の少なくとも一部をカルボキシル基に変性したポリマーは、ポリビニルアルコールあるいは部分鹸化ポリビニルアルコールと、例えばコハク酸、マレイン酸やアジピン酸のような多官能カルボン酸とでエステル化することによって得ることができる。当該ポリマーにおけるカルボキシル基の導入量は、水酸基1モルに対して、0.01〜1.00モルが好ましく、0.05〜0.80モルが更に好ましい。
水酸基の少なくとも一部を(メタ)アクロイル基に変性したポリマーは、上記カルボキシル基変性ポリマーにグリシジル(メタ)アクリレートを付加することによって、又はポリビニルアルコールあるいは部分鹸化ポリビニルアルコールと(メタ)アクリル酸とでエステル化することによって得ることができる。当該ポリマーにおける(メタ)アクロイル基の導入量は、水酸基1モルに対して0.01〜1.00モルが好ましく、0.03〜0.50モルが更に好ましい。なお、(メタ)アクロイル基との表記は、アクロイル基及び/又はメタクロイル基を総称するものである。なお、(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを総称するものである。また、(メタ)アクリル酸等もこれと同様である。
水酸基の少なくとも一部をアミノ基に変性したポリマーは、ポリビニルアルコールあるいは部分鹸化ポリビニルアルコールと、例えばカルバミン酸のようなアミノ基を含有するカルボン酸とでエステル化することによって得ることができる。当該ポリマーにおけるアミノ基の導入量は、当該水酸基1モルに対して0.01〜1.00モルが好ましく、0.05〜0.70モルが更に好ましい。
水酸基の少なくとも一部にエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体を導入したポリマーは、ポリビニルアルコールあるいは部分鹸化ポリビニルアルコールとグリゴール類を硫酸触媒のもと加熱し、副生成物である水を反応系外に取り除くことによって得ることができる。当該ポリマーにおけるエチレングリコールやプロピレングリコール及びこれらの複量体の総導入量は、水酸基1モルに対して0.01〜0.90モルが好ましく、0.03〜0.50モルが更に好ましい。
PVA誘導体の変性体の中でも、水酸基の少なくとも一部を(メタ)アクロイル基に変性したポリマーが特に好ましく用いられる。親水性ポリマーに未反応の架橋性官能基を直接導入することで、例えば、後述する重合性化合物として記載されるエチレン性不飽和モノマーとして多官能モノマーを多量に用いることなく、レリーフ形成層の強度を高めることができ、レリーフ形成層の柔軟性と強度とを両立することができるからである。
バインダーポリマーとして用いられる親水性ポリマーの重量平均分子量(GPC測定によるポリスチレン換算)は、0.5万〜50万が好ましい。重量平均分子量が0.5万以上であれば、単体樹脂としての形態保持性に優れ、50万以下であれば、水など溶媒に溶解しやすくレーザー彫刻用樹脂組成物を調製するのに好都合である。親水性ポリマー(B)の重量平均分子量は、より好ましくは1万〜40万、特に好ましくは1.5万〜30万である。
バインダーポリマーとして親水性ポリマーを用いる場合、親水性ポリマーの含有量は、レーザー彫刻用樹脂組成物の固形分全質量に対し15質量%〜79質量%が好ましく、30質量%〜65質量%がより好ましい。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、親水性ポリマーの含有量を15質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、また、79質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
レーザー彫刻用樹脂組成物に、PVA及び/又はその誘導体と非PVA誘導体とを親水性ポリマーとして併用する場合、これらの親水性ポリマーの合計の含有量は、該樹脂脂組成物の固形分全質量に対し30質量%〜80質量%が好ましく、40質量%〜70質量%がより好ましい。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、PVA誘導体及び非PVA誘導体の合計の含有量を30質量%以上とすることで、原版のコールドフローを効果的に防止することが可能となり、また、80質量%以下とすることで他の成分が不足することがなく、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性を得ることができる。
レーザー彫刻用樹脂組成物に、PVA及び/又はその誘導体と非PVA誘導体とを親水性ポリマーとして併用する場合、PVA誘導体の含有量は、該樹脂組成物の固形分全質量に対し15質量%〜79質量%が好ましく、30質量%〜65質量%がより好ましい。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、PVA誘導体の含有量を15質量%以上とすることで、得られたレリーフ印刷版を印刷版として使用するに足る耐刷性が得られ、79質量%以下とすることで、他成分が不足することがなく、フレリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性を得ることができる。
一方、非PVA誘導体の含有量は、樹脂組成物の固形分全質量に対し1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。
例えば、レーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ層形成に適用した場合、非PVA誘導体の含有量を1質量%以上とすることで、PVA誘導体の柔軟化が効率的になされて、レリーフ印刷版をフレキソ印刷版とした際においても印刷版として使用するに足る柔軟性が得られ、かつ非PVA誘導体の強靱な特性からレリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られる。
また、非PVA誘導体の含有量を15質量%以下とすることで、非PVA誘導体が発生源となる粘着質の彫刻カスの発生量を低減することができる。
バインダーポリマーとしてPVA及び/又はその誘導体を用いる場合、PVA及び/又はその誘導体を単独でも、PVA及び/又はその誘導体と、非PVA誘導体と、を併用することも可能であるが、レーザー彫刻用樹脂組成物をフレキソ印刷版等の印刷版の製造に適用する場合であれば、膜の柔軟性や耐磨耗性といったフレキソ印刷版に必要な適性確保の観点から、PVA及び/又はその誘導体と非PVA誘導体とを併用するほうが好ましい。併用手段は、PVA及び/又はその誘導体と非PVA誘導体とが各々単独でも、どちらか一方が複数種でも、両者が複数種でもよい。
親水性ポリマーを用いた場合、彫刻カスも親水的となり、結果的に彫刻後に水道水で洗い流すだけという簡便な操作で彫刻カスを除去可能である。SB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)のような疎水的なポリマーやエラストマー、ポリウレタン、アクリル樹脂を主成分のバインダーとして用いると彫刻カスが疎水的であるため水洗による彫刻カスの除去が困難なケースも発生することがある。
また、例えば、PVA誘導体を親水性ポリマー(特にガラス転移温度が室温以上)として用いる場合、上記の疎水性ポリマーやエラストマー(ほとんどがガラス転移温度が室温以下)に比べて、ガラス転移温度が低いことに起因する彫刻時のレリーフのエッジ溶融が抑制傾向にあり好ましい。
親水性ポリマーとしては、比較的疎水性のバインダーポリマーを併用してもよい。該比較的疎水性のバインダーポリマーとしては、製膜時の膜硬度や柔軟性、共存する重合性化合物や開始剤のような他の成分との相溶性等の性質を調整するために、以下に示すようなモノマーを重合又は共重合成分として含むポリマーを使用することもできる。
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシ−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロプロピル(メタ)アクリレートなどのハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド類、2、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2,2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、などのエチレン性不飽和結合を1個だけ有する化合物、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートのようなポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルに不飽和カルボン酸や不飽和アルコールなどのエチレン性不飽和結合と活性水素を持つ化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和エポキシ化合物とカルボン酸やアミンのような活性水素を有する化合物を付加反応させて得られる多価(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの多価(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼンなどの多価ビニル化合物、などの2つ以上のエチレン性不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。本発明においては、これらを単独で、もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記重合成分のモノマーとしては、皮膜性の観点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングレコール(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。この中で、アクリレート類が、得られるポリマーの柔軟性確保の点で特に好ましい。
その他、バインダーポリマーとして併用できるポリマーとして、以下のポリマーが挙げられる。
主鎖にオレフィン及び炭素−炭素三重結合の少なくともいずれかを含むポリマーが挙げられ、例えばSB(ポリスチレン−ポリブタジエン)、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)等が挙げられる。
親水性ポリマーと併用してもよいバインダーポリマーは、彫刻感度を低下させずに膜性を向上させる程度に含有させることが好ましく、全バインダーポリマー中、1〜50質量%が好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが最も好ましい。
本発明の樹脂組成物における(B)バインダーポリマーの好ましい含有量は、レリーフ形成層の形態保持性と耐水性と彫刻感度をバランスよく満足する観点で、全固形分中、2〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。この含有量は、複数種のバインダーポリマーを含有する場合、その総量を示す。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、必須成分として上述した(A)特定重合性化合物、(B)バインダーポリマーと共に、後述する他の重合性化合物、光熱変換剤、重合開始剤、可塑剤等の任意成分を含むことが好ましい。以下、これらの各成分について詳述する。
<他の重合性化合物>
本発明においては、前記(A)特定重合性化合物に加えて、上記のような部分構造を有しない公知の重合性化合物を含有することができる。以下、このような重合性化合物を「他の重合性化合物」と称する。他の重合性化合物とは、重合開始剤由来の開始ラジカルの発生を引き金としてラジカル重合可能な炭素-炭素不飽和結合を少なくとも1つ以上有する化合物であって、上記一般式(I)及び一般式(II)に記載の如き部分構造を有しない化合物を意味する。以下に、他の重合性化合物である付加重合性化合物を例に挙げ、より詳しく述べる。
他の重合性化合物を併用する場合、その含有量は(A)特定重合性化合物に100質量部に対して、10〜500質量部であることが好ましい。
本発明に使用しうる好ましい他の重合性化合物としては、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物が挙げられる。この付加重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることが好ましい。このような化合物群は当産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に制限なく用いることができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの共重合体、ならびにそれらの混合物などの化学的形態をもつ。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナト基や、エポキシ基、等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基、等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
上記エステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (A)
(ただし、R及びR'は、H又はCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、短時間で硬化組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等も挙げることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。更に日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と強度の両方を調節する方法も有効である。付加重合性化合物は、組成物中の不揮発性成分に対して、好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは15〜40質量%の範囲で使用される。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。重合性化合物を用いることにより、膜物性、例えば、脆性、柔軟性などを調整することもできる。
本願では、膜の柔軟性や彫刻感度のバランスの観点で、複数の重合性基を有する重合性化合物と重合性基を1つしかもたない重合性化合物と少なくとも1つずつ組み合わせて用いることが好ましい。
レーザー分解の前及び/又は後で、重合性化合物を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物は、光、熱などのエネルギーにより重合、硬化させることができる。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物において用いうる重合性化合物の好ましい具体例を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物をレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層に適用する場合であれば、レリーフのエッジ溶融が生じにくくシャープなレリーフが得られやすい点で、重合性化合物の中でも、硫黄(S)原子を含有する化合物が特に好ましい。即ち、架橋ネットワーク中にS原子を含んでいる化合物が好ましい。
S原子を含む重合性化合物とS原子を含まない重合性化合物との併用も可能であるが、レリーフのエッジ溶融が起こりにくいという観点で、S原子を含む重合性化合物単独であるほうが好ましい。また、特性の異なるS含有重合性化合物を複数併用することにより、膜の柔軟性の調節等に寄与することも可能である。
S原子を含む重合性化合物の例としては、以下の化合物を挙げることができる。
<(C)重合開始剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993) やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); J.P.Faussier, "Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications":Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996) 等に多く記載されている。また、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al,JACS, 112,6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
以下、好ましい重合開始剤の具体例に関し、光及び/又は熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物と重合反応を開始、促進させる化合物であるラジカル重合開始剤について詳述するが、本発明はこれらの記述により制限を受けるものではない。
本発明において、好ましいラジカル重合開始剤としては、(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)チオ化合物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(f)ケトオキシムエステル化合物、(g)ボレート化合物、(h)アジニウム化合物、(i)メタロセン化合物、(j)活性エステル化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(l)アゾ系化合物等が挙げられる。以下に、上記(a)〜(l)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(a)芳香族ケトン類
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(a)芳香族ケトン類としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.Fouassier,J.F.Rabek(1993),p77−117記載のベンゾフェノン骨格あるいはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。例えば、下記の化合物が挙げられる。
中でも、特に好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、例えば、下記化合物が挙げられる。
(b)オニウム塩化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(b)オニウム塩化合物としては、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。
式(1)中、Ar1とAr2は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基を示す。(Z2-はハロゲンイオン、過塩素酸イオン、カルボン酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンからなる群より選択される対イオンを表し、好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
式(2)中、Ar3は、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下のアリール基
を示す。(Z3-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
式(3)中、R23、R24及びR25は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していてもよい炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。(Z4-は(Z2-と同義の対イオンを表す。
本発明において、好適に用いることのできるオニウム塩の具体例としては、本出願人が先に提案した特開2001−133969号の段落番号[0030]〜[0033]に記載されたものや特開2001−343742号の段落番号[0015]〜[0046]に記載されたもの、また、特開2002−148790号、特開2001−343742号、特開2002−6482号、特開2002−116539号、特開2004−102031号記載の特定の芳香族スルホニウム塩化合物などを挙げることができる。
(c)有機過酸化物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(c)有機過酸化物としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリイブチルパーオキシ)ブタン、ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジターシャリイブチルパーオキサイド、ターシャリイブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(ターシャリイブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリイブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−キサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、
メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ターシャリイブチルパーオキシアセテート、ターシャリイブチルパーオキシピバレート、ターシャリイブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリイブチルパーオキシオクタノエート、ターシャリイブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリイブチルパーオキシラウレート、ターシャリーカーボネート、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等が挙げられる。
これらのなかでも、3,3’4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどが膜の架橋性と保存安定性の点で好ましく、より好ましくはt−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイドである。
この有機過酸化物が本発明における重合開始剤として、膜(レリーフ形成層)の架橋性の観点から好ましく、さらに、予想外の効果として、彫刻感度向上の観点で特に好ましいことを見出した。
彫刻感度の観点からは、この(c)有機過酸化物と、(B)バインダーポリマーとしてガラス転移温度が常温以上のポリマーとを組み合わせた態様が特に好ましい。
これは、有機過酸化物を用いてレリーフ形成層を熱架橋により硬化させる際、ラジカル発生に関与しない未反応の有機過酸化物が残存するが、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなったと推定される。
特に(B)バインダーポリマーのガラス転移温度が室温以上の場合、有機過酸化物の分解に由来して発生した熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつ(A)特定重合性化合物や(B)バインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるためより高感度化されるものと推定している。
(d)チオ化合物
本発明で用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(d)チオ化合物としては、下記一般式(4)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
一般式(4)中、R26はアルキル基、アリール基又は置換アリール基を示し、R27は水素原子又はアルキル基を示す。また、R26とR27は、互いに結合して酸素、硫黄及び窒素原子から選ばれたヘテロ原子を含んでもよい5員ないし7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。
上記一般式(4)で示されるチオ化合物の具体例としては、下記に示す化合物等が挙げられる。
(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、特公昭45−37377号、特公昭44−86516号記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(f)ケトオキシムエステル化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(f)ケトオキシムエステル化合物としては、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
(g)ボレート化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(g)ボレート化合物の例としては、下記一般式(5)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(5)中、R28、R29、R30及びR31は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、又は置換もしくは非置換の複素環基を示し、R28、R29、R30及びR31はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R28、R29、R30及びR31のうち、少なくとも1つは置換もしくは非置換のアルキル基である。(Z5+はアルカリ金属カチオン又は第4級アンモニウムカチオンを示す。
一般式(5)で示される化合物例として具体的には、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物、及び以下に示す化合物が挙げられる。
(h)アジニウム化合物
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(h)アジニウム塩化合物としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号ならびに特公昭46−42363号記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
(i)メタロセン化合物
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(i)メタロセン化合物としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号記載の鉄−アレーン錯体をあげることができる。
チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチル−(4−クロロベンゾイル)アミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ベンジル−2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(2−エチルヘキシル)−4−トリル−スルホニル)アミノ〕フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3−オキサヘプチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,6−ジオキサデシル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(トリフルオロメチルスルホニル)アミノ〕フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(トリフルオロアセチルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(2−クロロベンゾイル)アミノ〕フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(4−クロロベンゾイル)アミノ〕フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,6−ジオキサデシル)−2,2−ジメチルペンタノイルアミノ)フェニル〕
チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−(3,7−ジメチル−7−メトキシオクチル)ベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−シクロヘキシルベンゾイルアミノ)フェニル〕チタン、等を挙げることができる。
(j)活性エステル化合物
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(j)活性エステル化合物としては、特公昭62−6223記載のイミドスルホネート化合物、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号記載の活性スルホネート類を挙げることができる。
(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物
本発明に用いられるラジカル重合開始剤として好ましい(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物としては、下記一般式(6)から(12)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(6)中、X2はハロゲン原子を表し、Y1は−C(X23、−NH2、−NHR38、−NR38、又は−OR38を表す。R38は、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、又は置換アリール基を表す。R37は、−C(X23、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、又は置換アルケニル基を表す。
一般式(7)中、R39は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、置換アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシル基、ニトロ基、又はシアノ基を表し、X3はハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を表す。
一般式(8)中、R40は、アリール基又は置換アリール基を表し、R41は、以下に示す基又はハロゲンを表し、Z6は−C(=O)−、−C(=S)−又は−SO2−を表し、X3はハロゲン原子を表し、mは1又は2を表す。)
42、R43はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリー
ル基又は置換アリール基であり、R44は一般式(6)中のR38と同じである。
一般式(9)中、R45は置換されていてもよいアリール基又は複素環式基を表し、R46
炭素原子1〜3個を有するトリハロアルキル基又はトリハロアルケニル基を表し、pは1、2又は3を表す。
一般式(10)は、トリハロゲノメチル基を有するカルボニルメチレン複素環式化合物を表す。一般式(10)中、L7は、水素原子又は式:CO−(R47)q(C(X43)rの置換基を表し、Q2は、イオウ、セレン、酸素原子、ジアルキルメチレン基、アルケン−1,2−イレン基、1,2−フェニレン基、又はN−R基を表し、ここで、Rは炭素数1〜6のアルキル基を表す。M4は置換又は非置換のアルキレン基又はアルケニレン基であるか、又は1,2−アリーレン基を表し、R48はアルキル基、アラルキル基又はアルコキシアルキル基であり、R47は、炭素環式又は複素環式の2価の芳香族基を表し、X4は塩素、臭素又はヨウ素原子を表し、q=0及びr=1であるか又はq=1及びr=1又は2を表し。
一般式(11)は、4−ハロゲノ−5−(ハロゲノメチルフェニル)オキサゾール誘導体を表す。一般式(11)中、X5はハロゲン原子を表し、tは1〜3の整数を表し、sは1〜4の整数を表し、R49は水素原子又はCH3-t5 t基を表し、R50はs価の置換されていてもよい不飽和有機基を表す。
一般式(12)は、2−(ハロゲノメチルフェニル)−4−ハロゲノオキサゾール誘導体を表す。一般式(12)中、X6はハロゲン原子を表し、vは1〜3の整数を表し、uは1〜4の整数を表し、R51は水素原子又はCH3-v6 v基を表し、R52はu価の置換されていてもよい不飽和有機基を表し。
このような炭素−ハロゲン結合を有する化合物の具体例としては、たとえば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、たとえば、2−フェニル4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許1388492号明細書記載の化合物、たとえば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号記載の化合物、たとえば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン)、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許3337024号明細書記載の化合物、例えば、下記化合物等を挙げることができる。あるいはさらにM.P.Hutt、E.F.Elslager及びL.M.Herbel著「Journalof Heterocyclic chemistry」第7巻(No.3)、第511頁以降(1970年)に記載されている合成方法に準じて、当業者が容易に合成することができる次のような化合物群、例えば、下記化合物等を挙げることができる。
(l)アゾ系化合物
本発明に用いうるラジカル重合開始剤として好ましい(l)アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロピオニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等を挙げることができる。
本発明におけるラジカル重合開始剤のさらにより好ましい例としては、上述の(a)芳香族ケトン類、(b)オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(e)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(i)メタロセン化合物、(k)炭素ハロゲン結合を有する化合物、を挙げることができ、さらに最も好ましい例としては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、チタノセン化合物、一般式(6)で表されるトリハロメチル−S−トリアジン化合物を挙げることができる。
なかでも(c)有機過酸化物が、本発明の樹脂組成物で用いる重合開始剤として、レリーフ形成層における膜の架橋性と彫刻感度の観点で特に好ましい。
このような(c)有機過酸化物を重合開始剤として用いた場合の彫刻感度向上の作用は定かではないが以下のように推定している。
即ち、重合開始剤として(c)有機過酸化物を含有する樹脂組成物により形成された膜、即ちレリーフ形成層においては、加熱により、熱架橋を形成した際に(c)有機過酸化物が消尽せず、ある程度の未反応物が残存すると考えられる。この残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として機能し、レーザー彫刻時に露光領域において発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーにこの有機過酸化物の分解に伴う熱がさらに加わることにより、レリーフ形成層の分解と分解物の飛散が増幅され、彫刻感度がさらい高くなるものと推定される。
(C)重合開始剤は、(A)特定重合性化合物や他の重合性化合物を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物の全固形分に対し、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%の割合で添加することができる。重合開始剤は単独もしくは2種以上の併用によって好適に用いられる。
<(D)光熱変換剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、700〜1300nmの光を吸収可能な光熱変換剤を含有することが好ましい。即ち、本発明における光熱変換剤は、700〜1300nmに極大吸収波長を有する化合物である。
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を、700から1300nmの赤外線を発するレーザー(YAGレーザー、半導体レーザー、ファイバーレーザー、面発光レーザー等)を光源としてレーザー彫刻に用いる場合に、赤外線吸収剤として光熱変換剤が用いられる。光熱変換剤は、レーザー光を吸収し、発熱して該樹脂組成物の熱分解を促進する。本発明において使用される光熱変換剤は、波長700nmから1300nmに吸収極大を有する染料又は顔料であることが好ましい。
染料としては、市販の染料及び例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、ジインモニウム化合物、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
また、本発明の光熱変換剤の好ましい他の例としては、特開2002−278057号に記載の特定インドレニンシアニン色素が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が好ましい。
本発明において、好適に用いることのできるシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638号の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360号の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
下記一般式(d)又は一般式(e)で表される色素は光熱変換性の観点から好ましい。
一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成してもよく、更に、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士或いはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X及びXは各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X及びXの少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zcは対アニオンを示す。ただし、一般式(d)で示される色素が、その構造内にアニオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。好ましいZaは、感光層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(d)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示し、これらの基に置換基が導入可能な場合は、置換基を有してもよい。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(e)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μmから10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μmから1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μmから1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径を0.01μm以上にすると、塗布液中での分散安定性が増し、また、10μm以下にすると樹脂組成物から形成された層の均一性が良好になる。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
本発明における光熱変換剤の好適な態様の1つは、彫刻感度が高い点から、シアニン系化合物及びフタロシアニン系化合物から選択される少なくとも1種の化合物である。さらに、これらの光熱変換剤の熱分解温度が、バインダーポリマーとして好適な親水性ポリマーの熱分解温度同等以上という組み合わせ(条件)で使用する場合にさらに彫刻感度が高くなる傾向であり好ましい。
本発明で用いうる光熱変換剤の具体例としては、ヘプタメチンシアニン色素等のシアニン系色素、ペンタメチンオキソノール色素等のオキソノール系色素、インドリウム系色素、ベンズインドリウム系色素、ベンゾチアゾリウム系色素、キノリニウム系色素、顕色剤と反応させたフタリド化合物等のうち、700〜1300nmに極大吸収波長を有するものが挙げられる。置換基の種類及び分子内での位置、共役結合の数、対イオンの種類、色素分子の存在する周囲の環境などにより、光吸収特性が極めて大きく変化する。
また、一般に市販されているレーザー色素、過飽和吸収色素、近赤外線吸収色素を使用することもできる。例えば、レーザー色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)の商標「ADS740PP」、「ADS745HT」、「ADS760MP」、「ADS740WS」、「ADS765WS」、「ADS745HO」、「ADS790NH」、「ADS800NH」、株式会社林原生物化学研究所社製の商標「NK−3555」、「NK−3509」、「NK−3519」を挙げることができる。また、近赤外線吸収色素として、アメリカン・ダイ・ソース社(カナダ国)商標「ADS775MI」、「ADS775MP」、「ADS775HI」、「ADS775PI」、「ADS775PP」、「ADS780MT」、「ADS780BP」、「ADS793EI」、「ADS798MI」、「ADS798MP」、「ADS800AT」、「ADS805PI」、「ADS805PP」、「ADS805PA」、「ADS805PF」、「ADS812MI」、「ADS815EI」、「ADS818HI」、「ADS818HT」、「ADS822MT」、「ADS830AT」、「ADS838MT」、「ADS840MT」、「ADS845BI」、「ADS905AM」、「ADS956BI」、「ADS1040T」、「ADS1040P」、「ADS1045P」、「ADS1050P」、「ADS1060A」、「ADS1065A」、「ADS1065P」、「ADS1100T」、「ADS1120F」、「ADS1120P」、「ADS780WS」、「ADS785WS」、「ADS790WS」、「ADS805WS」、「ADS820WS」、「ADS830WS」、「ADS850WS」、「ADS780HO」、「ADS810CO」、「ADS820HO」、「ADS821NH」、「ADS840NH」、「ADS880MC」、「ADS890MC」、「ADS920MC」、山本化成株式会社製、商標「YKR−2200」、「YKR−2081」、「YKR−2900」、「YKR−2100」、「YKR−3071」、有本化学工業株式会社製、商標「SDO−1000B」、株式会社林原生物化学研究所社製、商標「NK−3508」、「NKX−114」を挙げることができる。ただし、これらのみに限定されるものではない。
また、顕色剤と反応させたフタリド化合物は、特許第3271226号公報に記載されているものを用いることもできる。また、リン酸エステル金属化合物、例えば特開平6−345820号公報、WO99/10354号パンフレットに記載のあるリン酸エステルと銅塩との複合体を用いることもできる。更に、近赤外線領域に光吸収特性を有する数平均粒子径が好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.08μm以下の超微粒子を用いることもできる。例えば、酸化イットリウム、酸化錫及び/又は酸化インジウム、酸化銅、酸化鉄等の金属酸化物、あるいは金、銀、パラジウム、白金等の金属などを挙げることもできる。更に、数平均粒子径が5μm以下、より好ましくは1μm以下の、ガラス等の微粒子中に銅、錫、インジウム、イットリウム、クロム、コバルト、チタン、ニッケル、バナジウム、希土類元素のイオン等の金属イオンを添加したものを用いることもできる。また、感光性樹脂組成物と反応し光吸収波長が変化するような色素の場合、マイクロカプセル中に含有させることもできる。その場合、カプセルの数平均粒子径は、10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。イオン交換体微粒子に銅、錫、インジウム、イットリウム、希土類元素等の金属イオンを吸着させたものを用いることもできる。イオン交換体微粒子としては、有機系樹脂微粒子であっても無機系微粒子であっても構わない。無機系微粒子としては、例えば非晶質リン酸ジルコニウム、非晶質ケイリン酸ジルコニウム、非晶質ヘキサメタリン酸ジルコニウム、層状リン酸ジルコニウム、網状リン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、ゼオライト等を挙げることができる。有機系樹脂微粒子としては、通常使用されているイオン交換樹脂、イオン交換セルロース等を挙げることができる。
本発明における光熱変換剤の最も好適な態様は、彫刻感度が高いという点でカーボンブラックである。カーボンブラックは有機染料や有機顔料に比べて耐熱性が高いので、レーザー照射中に自身の光熱変換で生じた熱により自己分解してしまうことがほとんどなく、レーザー照射中に安定的に発熱できるためと推定している。一方、有機染料や有機顔料は、有機化合物であるという性質上、耐熱性が低く、レーザー照射中に自身の光熱変換で生じた熱により自己分解してしまい、カーボンブラックと比較した場合にはレーザー照射中の安定的な発熱という点で劣る。
上記のような理由から、カーボンブラックが特に高感度になったと考えられる。
カーボンブラックは、組成物中における分散性などが安定である限り、ASTMによる分類のほか、用途(例えば、カラー用、ゴム用、乾電池用など)の如何に拘らずいずれも使用可能である。カーボンブラックには、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラックなどが含まれる。なお、カーボンブラックなどの黒色着色剤は、分散を容易にするため、必要に応じて分散剤を用い、予めニトロセルロースやバインダーなどに分散させたカラーチップやカラーペーストとして使用することができ、このようなチップやペーストは市販品として容易に入手できる。
カーボンブラックの場合、UV光などを利用した光架橋ではなく、熱架橋の方が膜の硬化性の点で好ましく、前述の好ましい併用成分である(C)重合開始剤である有機過酸化物と組み合わせて用いることで、彫刻感度が極めて高くなるのでより好ましい。
本発明の最も好ましい態様としては、前述の如く、(B)バインダーポリマーとしてガラス転移温度が室温以上のものを用い、(C)重合開始剤である有機過酸化物と(D)光熱変換剤であるカーボンブラックとを組み合わせて用いた態様を挙げることができる。
(C)重合開始剤として有機過酸化物を用いて膜(レリーフ形成層)を熱架橋した際、未反応の有機過酸化物が膜中に残存し、残存した有機過酸化物は、自己反応性の添加剤として働き、レーザー彫刻時に発熱的に分解する。その結果、照射されたレーザーエネルギーに発熱分が加算されるので彫刻感度が高くなる。ここへさらにカーボンブラックが共存すると、カーボンブラックの光熱変換機能で発生した熱が(B)バインダーポリマーのみならず、有機過酸化物にも伝達される結果、カーボンブラックだけでなく有機過酸化物からも発熱するので、(A)特定重合性化合物や(B)バインダーポリマーの分解に使用されるべき熱エネルギーの発生が相乗的に起こる。カーボンブラック以外の有機染料や有機顔料の場合でも機構的には同じような考え方ができるが、前述したように、有機染料や有機顔料は耐熱性が低いために上記相乗的な発熱に耐えられず途中で分解してしまうためにカーボンブラックにおける程の高感度化は達成し得ないものと考えられる。
また、(B)バインダーポリマーのガラス転移温度が室温以上の場合には、前述のように有機過酸化物の分解に由来して発生した熱やカーボンブラックからの発熱が、バインダーポリマーに効率よく伝達され、かつ(A)特定重合性化合物や(B)バインダーポリマー自体の熱分解に有効に利用されるため、このような固化を奏するものと推定される。
レーザー彫刻用樹脂組成物中おける光熱変換剤の含有量は、その分子固有の分子吸光係数の大きさにより大きく異なるが、該樹脂組成物の固形分全質量の0.01〜20質量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。
<(E)可塑剤>
本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物は、可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤としては、例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、メチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等がある。また、可塑剤として、ポリエチレングリコール類、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)、ポリプロピレングリコール(モノオール型やジオール型)がある。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物により形成された膜を柔軟化する作用を有するものであり、バインダーポリマーに対して相溶性の良いものである必要がある。一般に、バインダーポリマーに対しては、親水性の高い化合物の相溶性が良好である。親水性の高い化合物の中でも、例えば、直鎖にヘテロ原子を含むエーテル化合物や2級アミンなどの親水性基と疎水性基が交互に続く構造をとるものが好ましく用いられる。−O−や−NH−のような親水性基の存在がPVA及びその誘導体との相溶性を発現し、それ以外の疎水性基がPVA及びその誘導体の分子間力を弱めて柔軟化に働くためである。
また、可塑剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの二量体、三量体、及び四量体以上の単独多量体や共多量体、ジエタノールアミン、ジメチロールアミンのような2級アミン類である。これらの中でも、立体障害が小さく相溶性にすぐれ、毒性が低いエチレングリコール類(単量体、二量体、三量体、多量体)が可塑剤(F)として特に好ましく用いられる。
エチレングリコール類は、その分子量により3種類に大別される。第一に単量体であるエチレングリコール、第二に二量体であるジエチレングリコールと三量体であるトリエチレングリコール、第三に四量体以上のポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは、分子量200〜700の液状ポリエチレングリコールと分子量1000以上の固体ポリエチレングリコールに大別され、語尾に平均分子量をつけた名称で市販されているものを用いてもよい。
可塑剤の分子量が低分子であるほど、樹脂を柔軟化する効果が高いことから、可塑剤のとして特に好ましく用いられるのは、第一のグループであるエチレングリコール、第二のグループであるジエチレングリコール及びトリエチレングリコール、第三のグループに含まれるテトラエチレングリコール(四量体)であるが、中でも、毒性が低く、樹脂組成物中からの抽出がなく取り扱い性に優れる点で、より好ましく用いられる可塑剤は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチレングリコールである。また、これらの2種以上の混合物も好ましく用いられる。
可塑剤は、レーザー彫刻用樹脂組成物の固形分全質量に対し10質量%以下添加することができる。
<彫刻感度向上のための添加剤>
−ニトロセルロース−
彫刻感度向上のための添加剤として、ニトロセルロースを加えてもよい。ニトロセルロースは自己反応性化合物であるため、レーザー彫刻時、自身が発熱し、共存する親水性ポリマー等のバインダーポリマーの熱分解をアシストする。その結果、彫刻感度が向上すると推定される。
ニトロセルロースの種類は、熱分解可能である限り特に制限されず、RS(regular soluble)タイプ,SS(spirit soluble)タイプ及びAS(alcohol soluble)タイプのいずれであってもよい。ニトロセルロースの窒素含量は、通常、10〜14質量%程度、好ましくは11〜12.5質量%、さらに好ましくは11.5〜12.2質量%程度である。ニトロセルロースの重合度も、例えば、10〜1500程度の広い範囲で選択できる。好ましいニトロセルロースの重合度は、例えば、10〜900、特に15〜150程度である。好ましいニトロセルロースには、JIS K6703「工業用ニトロセルロース」(ハーキュレスパウダー社の粘度表示法)による溶液粘度が20〜1/10秒、好ましくは10〜1/8秒程度のニトロセルロースが含まれる。ニトロセルロースとしては、溶液粘度5〜1/8秒、特に1〜1/8秒程度のニトロセルロースを用いることができる。
なお、レーザー彫刻用樹脂組成物が含有しうるニトロセルロースとしては、酢酸エチルなどのエステル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトンやセロソルブなどのエーテル類に可溶なRSタイプのニトロセルロース(例えば、窒素含量11.7〜12.2%程度のニトロセルロース)を用いることができる。
ニトロセルロースは、必要に応じて2種以上を併用してもよい。ニトロセルロースの含有量は、レーザー彫刻用樹脂組成物の感度を低下させない範囲で選択でき、例えば、バインダーポリマー及び重合性化合物100質量部に対して、5〜300質量部、好ましくは20〜250質量部、さらに好ましくは50〜200質量部であり、40〜200質量部であることが好ましい。
−高熱伝導性物質−
彫刻感度向上のための添加剤として、熱伝達を補助する目的で、高熱伝導性物質を加えることがより好ましい。
高熱伝導性物質としては、例えば、金属粒子等の無機化合物、導電性ポリマー等の有機化合物が挙げられる。
金属粒子としては、粒径がマイクロメートルオーダーから数ナノメートルオーダーの金微粒子、銀微粒子、銅微粒子が好ましい。
導電性ポリマーとしては、一般に知られる導電性ポリマーを好適に用いることができる。導電性ポリマーのなかでも、特に、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリアセチレン及びこれらの誘導体が好ましく、高感度であるという点でポリアニリン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン及びこれらの誘導体がさらに好ましく、特に好ましくはポリアニリンである。ポリアニリンを用いる場合、エメラルディンベース又はエメラルディン塩のどちらの形態で添加してもよいが、熱伝達効率が高い点でエメラルディン塩であることが好ましい。
金属粒子及び導電性ポリマーとしては、アルドリッチ社、和光純薬(株)、東京化成工業(株)、三菱レイヨン(株)、Panipol社などから提供される市販品を用いることもできる。例えば、熱伝達効率向上の点で最も好ましいのは、「aquaPASS−01x」(三菱レイヨン(株)製)、「Panipol−W」(Panipol社製)、「Panipol−F」(Panipol社製)である。
<共増感剤>
共増感剤を用いることで、レーザー彫刻用樹脂組成物を光硬化させる際の感度をさらに向上させることができる。その作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、重合開始剤により開始される光反応とそれに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、カチオン)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するものに分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多い。
本発明に適用しうる共増感剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂して、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。フエロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂して、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂して、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン駿ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物
このような化合物としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンゾオキサゾール類、2−メルカプトベンズイミダゾール類等があげられる。
これらの共増感剤のより具体的な例としては、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されており、それらを本発明においても適用することができる。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。なお、下記式中、−TMSはトリメチルシリル基を表す。
共増感剤に関しても、先の光熱変換剤と同様、さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、光熱変換剤(D)や重合性化合物(C)、その他のパートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
共増感剤は、単独で又は2種以上併用して用いることができる。レーザー彫刻用樹脂組成物中における含有量は、重合性化合物100質量部に対し、0.05〜100質量部が好ましく、より好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲である。
<重合禁止剤>
本発明においては、組成物の製造中あるいは保存中において重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t―ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t―ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
また、重合禁止剤としては、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて、レリーフ形成層を形成することにより得られたレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を保存する際の安定性に非常に優れるという点で、Q−1301(10%トリクレジルホスフェート溶液)(和光純薬製)が好ましい。Q−1301を重合性化合物と組み合わせて用いると、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の保存安定性が格段に優れ、また良好なレーザー彫刻感度が得られる。熱重合禁止剤の添加量は、レーザー彫刻用樹脂組成物の全質量に対して0.01質量%〜5質量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を禁止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、支持体等への塗布後の乾燥の過程でその層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の0.5質量%〜10質量%が好ましい。
<着色剤>
さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の着色を目的として染料もしくは顔料等の着色剤を添加してもよい。これにより、画像部の視認性や、画像濃度測定機適性といった性質を向上させる事ができる。着色剤としては、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。着色剤の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
<その他の添加剤>
さらに、レーザー彫刻用樹脂組成物の硬化皮膜の物性を改良するために充填剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
充填剤としては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、黒鉛、シリカ、アルミナ、アルミニウム、炭酸カルシウムなどが挙げられ、単独又はこれらの混合物として用いられる。
[レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版]
本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、支持体上に、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版は、必要により更に、支持体とレリーフ形成層との間に接着層を、また、レリーフ形成層上にスリップコート層、保護フィルムを有していてもよい。
<レリーフ形成層>
レリーフ形成層は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物からなる層である。レーザー彫刻用樹脂組成物として架橋性樹脂組成物を用いると、架橋性のレリーフ形成層が得られる。本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版としては、架橋性のレリーフ形成層を有するものが好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版によるレリーフ印刷版の作製態様としては、レリーフ形成層を架橋させて硬化したレリーフ形成層を有するレリーフ印刷版原版とし、次いでレーザー彫刻することによりレリーフ層を形成してレリーフ印刷版を作製する態様であることが好ましい。レリーフ形成層を架橋することにより、印刷時におけるレリーフ層の摩耗を防ぐことができ、また、レーザー彫刻後にシャープな形状のレリーフ層を有するレリーフ印刷版を得ることができる。
レリーフ形成層を形成する場合のバインダーポリマーの含有量は、レリーフ形成層用組成物中の固形分全質量に対し30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。バインダーポリマーの含有量を上記範囲とすることで原版のコールドフローを防止することが可能となり、且つ、他の併用成分を不足することなく添加しうるため、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性や諸特性が任意に得られるためである。
レリーフ形成層中の重合開始剤の含有量は、レリーフ形成層の固形分全質量に対し0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。重合開始剤の含有量を0.01質量%以上とすることで架橋性レリーフ形成層の架橋が速やかに行われ、10質量%以下とすることで他成分が不足することがなく、レリーフ印刷版として使用するに足る耐刷性が得られるためである。
レリーフ形成層中の重合性化合物の含有量は、レリーフ形成層の固形分全質量に対し10〜60質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。重合性化合物の含有量を10質量%以上とすることでレリーフ印刷版として使用するのに好ましい高耐刷性、即ち、添加の効果が十分に得られ、60質量%以下とすることでレリーフ印刷版として使用するに足る強度が得られるためである。
レリーフ形成層は、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物を、支持体上にシート状あるいはスリーブ状に成形することで形成することができる。
<支持体>
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の支持体に使用する素材は特に限定されないが、寸法安定性の高いものが好ましく使用され、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属、ポリエステル(例えばPET、PBT、PAN)やポリ塩化ビニルなどのプラスチック樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム、ガラスファイバーで補強されたプラスチック樹脂(エポキシ樹脂やフェノール樹脂など)が挙げられる。支持体としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムやスチール基板が好ましく用いられる。支持体の形態は、レリーフ形成層がシート状であるかスリーブ状であるかによって決定される。
<接着層>
レリーフ形成層と支持体の間には、両層間の接着力を強化する目的で接着層を設けてもよい。
接着層に使用しうる材料は、レリーフ形成層が架橋された後において接着力を強固にするものであればよく、レリーフ形成層が架橋される前も接着力が強固であることが好ましい。ここで、接着力とは支持体/接着層間及び接着層/レリーフ形成層間の接着力の両者を意味する。
支持体/接着層間の接着力は、支持体/接着層/レリーフ形成層からなる積層体から接着層及びレリーフ形成層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層/レリーフ形成層の接着力は、接着層/レリーフ形成層から接着層を400mm/分の速度で剥離する際、サンプル1cm幅当たりの剥離力が1.0N/cm以上又は剥離不能であることが好ましく、3.0N/cm以上又は剥離不能であることがより好ましい。
接着層に使用しうる材料としては、一般的に用いられる市販の接着剤、例えば、工業用接着剤:EC−1368(住友スリーエム(株)製)、EM123−1N(セメダイン社製)、支持体を形成する樹脂と親和性を有する官能基をもつ樹脂、不飽和結合を有する多官能モノマー、レリーフ形成層に含まれるバインダーポリマーと類似或いは同一の官能基を有する樹脂、或いは、I. Skeist編のHandbook of Adhesives、第2版(1977)に記載のもの等を用いることができる。
接着層の厚みは、版の取り扱い性(取り付け易さなど)の観点から、0.01μm〜500μm程度であることが好ましく、より好ましくは、0.05μm〜300μmの範囲である。
接着層を設ける場合は、通常、支持体表面に、接着層用組成物を塗布し、乾燥する方法をとる。
<保護フィルム、スリップコート層>
レリーフ形成層は、レーザー彫刻後レリーフが造形される部分(レリーフ層)となり、そのレリーフ層表面はインキ着肉部として機能する。架橋後のレリーフ形成層は架橋により強化されているので、レリーフ形成層表面に印刷に影響を及ぼすほどの傷や凹みが発生することはほとんどない。しかし、架橋前のレリーフ形成層は強度が不足している場合が多く、表面に傷や凹みが入りやすい。かかる観点からは、レリーフ形成層表面への傷・凹み防止の目的で、レリーフ形成層表面に保護フィルムを設けてもよい。
保護フィルムは、薄すぎると傷・凹み防止の効果が得られず、厚すぎると取り扱いが不便になり、コスト高にもなる。よって、保護フィルムの厚さは25μm〜500μmが好ましく、50μm〜200μmがより好ましい。
保護フィルムは、印刷版の保護フィルムとして公知の材質、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)のようなポリエステル系フィルム、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)のようなポリオレフィン系フィルムを用いることができる。またフィルムの表面はプレーンでもよいし、マット化されていてもよい。
レリーフ形成層上に保護フィルムを設ける場合、保護フィルムは剥離可能でなければならない。
保護フィルムが剥離不可能な場合や、逆にレリーフ形成層に接着しにくい場合には、両層間にスリップコート層を設けてもよい。
スリップコート層に使用される材料は、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリビニルアルコール、ヒドロシキアルキルセルロース、アルキルセルロース、ポリアミド樹脂など、水に溶解又は分散可能で、粘着性の少ない樹脂を主成分とすることが好ましい。これらの中で、粘着性の面から、鹸化度60〜99モル%の部分鹸化ポリビニルアルコール、アルキル基の炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロースが特に好ましく用いられる。
レリーフ形成層(及びスリップコート層)/保護フィルムから保護フィルムを200mm/分の速度で剥離する時、1cm当たりの剥離力が5〜200mN/cmであることが好ましく、10〜150mN/cmがさらに好ましい。5mN/cm以上であれば、作業中に保護フィルムが剥離することなく作業でき、200mN/cm以下であれば無理なく保護フィルムを剥離することができる。
−レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法−
次に、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製方法について説明する。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の形成は、特に限定されるものではないが、例えば、レリーフ形成層用塗布液組成物(レーザー彫刻用樹脂組成物)を調製し、このレリーフ形成層用塗布液組成物から溶剤を除去した後に、支持体上に溶融押し出しする方法が挙げられる。あるいはレリーフ形成層用塗布液組成物を、支持体上に流延し、これをオーブン中で乾燥して塗布液組成物から溶媒を除去する方法でもよい。
その後、必要に応じてレリーフ形成層の上に保護フィルムをラミネートしてもよい。ラミネートは、加熱したカレンダーロールなどで保護フィルムとレリーフ形成層を圧着することや、表面に少量の溶媒を含浸させたレリーフ形成層に保護フィルムを密着させることよって行うことができる。
保護フィルムを用いる場合には、先ず保護フィルム上にレリーフ形成層を積層し、次いで支持体をラミネートする方法を採ってもよい。
接着層を設ける場合は、接着層を塗布した支持体を用いることで対応できる。スリップコート層を設ける場合は、スリップコート層を塗布した保護フィルムを用いることで対応できる。
レリーフ形成層用塗布液組成物は、例えば、(A)特定重合性化合物、及び、任意成分として、(B)他のバインダーポリマー、(D)光熱変換剤、可塑剤を適当な溶媒に溶解、分散させ、次いで重合開始剤及び重合性化合物を溶解させることによって製造できる。
溶媒成分のほとんどは印刷版原版を製造する段階で除去する必要があるので、溶媒としては揮発しやすい低分子アルコール(例えばエタノール)等を用い、かつ溶媒の全添加量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。系を高温にすることで、溶媒の添加量を抑制することができるが、温度が高すぎると重合性化合物が重合反応し易くなるため、重合性化合物及び/又は重合開始剤の添加後の塗布液組成物の調製温度は30℃〜80℃が好ましい。
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層の厚さは、架橋の前後において、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上3mm以下である。
[レリーフ印刷版及びその製造]
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、(1)本発明のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を活性光線の照射及び/又は加熱により架橋する工程、及び(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むことを特徴とする。本発明のレリーフ印刷版の製造方法により、支持体上にレリーフ層を有する本発明のレリーフ印刷版を製造することができる。
本発明のレリーフ印刷版の製造方法は、工程(2)に次いで、さらに、必要に応じて下記工程(3)〜工程(5)を含んでもよい。
工程(3): 彫刻後のレリーフ層表面を、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスする工程(リンス工程)。
工程(4): 彫刻されたレリーフ層を乾燥する工程(乾燥工程)。
工程(5): 彫刻後のレリーフ層にエネルギーを付与し、レリーフ層をさらに架橋する工程(後架橋工程)。
工程(1)におけるレリーフ形成層の架橋は、活性光線の照射、及び/又は、熱により行われる。
工程(1)レリーフ形成層の架橋において、光により架橋する工程と、熱により架橋する工程とが併用される場合には、これらの工程は、互いに同時工程でも別時工程としてもよい。
工程(1)は、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版のレリーフ形成層を、光及び/又は熱により架橋する工程である。
レリーフ形成層は、特定重合性化合物、バインダーポリマー、及び、好ましくは光熱変換剤、重合開始剤、及び他の重合性化合物を含むものであり、工程(1)は重合開始剤の作用で特定重合性化合物や他の重合性化合物をポリマー化し架橋を形成する工程である。
重合開始剤はラジカル発生剤であることが好ましく、該ラジカル発生剤は、ラジカルを発生するきっかけが光か熱かによって、光重合開始剤と熱重合開始剤に大別される。
レリーフ形成層が光重合開始剤を含有する場合には、光重合開始剤のトリガーとなる活性光線をレリーフ形成層に照射することで、レリーフ形成層を架橋することができる(光により架橋する工程)。
活性光線の照射は、レリーフ形成層全面に行うのが一般的である。活性光線としては可視光、紫外光あるいは電子線が挙げられるが、紫外光が最も一般的である。レリーフ形成層の支持体側を裏面とすれば、表面に活性光線を照射するだけでもよいが、支持体が活性光線を透過する透明なフィルムならば、さらに裏面からも活性光線を照射することが好ましい。表面からの照射は、保護フィルムが存在する場合、これを設けたまま行ってもよいし、保護フィルムを剥離した後に行ってもよい。酸素の存在下では重合阻害が生じる恐れがあるので、架橋性レリーフ形成層に塩化ビニルシートを被せて真空引きした上で、活性光線の照射を行ってもよい。
レリーフ形成層が熱重合開始剤を含有する場合には(上記の光重合開始剤が熱重合開始剤にもなりえる)、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を加熱することで、レリーフ形成層を架橋することができる(熱により架橋する工程)。加熱手段としては、印刷版原版を熱風オーブンや遠赤外オーブン内で所定時間加熱する方法や、加熱したロールに所定時間接する方法が挙げられる。
工程(1)が、光により架橋する工程である場合は、活性光線を照射する装置が比較的高価であるものの、印刷版原版が高温になることがないので、印刷版原版の原材料の制約がほとんどない。
工程(1)が、熱により架橋する工程である場合には、特別高価な装置を必要としない利点があるが、印刷版原版が高温になるので、高温で柔軟になる熱可塑性ポリマーは加熱中に変形する可能性がある等、使用する原材料は慎重に選択する必要がある。
熱架橋の際には、熱重合開始剤を加え得る。熱重合開始剤としては、遊離基重合(free radical polymerization)用の商業的な熱重合開始剤として使用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、適当な過酸化物、ヒドロペルオキシド又はアゾ基を含む化合物が挙げられる。代表的な加硫剤も架橋用に使用できる。熱架橋性(heat−curable)の樹脂、例えばエポキシ樹脂、を架橋成分として層に加えることにより熱架橋も実施され得る。
工程(1)におけるレリーフ形成層の架橋方法としは、レリーフ形成層を表面から内部まで均一に硬化(架橋)可能という観点で、熱による架橋の方が好ましい。
レリーフ形成層を架橋することで、第1にレーザー彫刻後形成されるレリーフがシャープになり、第2にレーザー彫刻の際に発生する彫刻カスの粘着性が抑制されるという利点がある。未架橋のレリーフ形成層をレーザー彫刻すると、レーザー照射部の周辺に伝播した余熱により、本来意図していない部分が溶融、変形しやすく、シャープなレリーフ層が得られない場合がある。また、素材の一般的な性質として、低分子なものほど固形ではなく液状になり、すなわち粘着性が強くなる傾向がある。レリーフ形成層を彫刻する際に発生する彫刻カスは、低分子の材料を多く用いるほど粘着性が強くなる傾向がある。低分子である重合性化合物は架橋することで高分子になるため、発生する彫刻カスは粘着性が少なくなる傾向がある。
工程(2)では、架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程である。具体的には、架橋されたレリーフ形成層に対して形成したい画像に対応したレーザー光を照射して彫刻を行うことによりレリーフ層を形成する。好ましくは、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レリーフ形成層に対して走査照射する工程が挙げられる。赤外レーザーが照射されると、レリーフ形成層中の分子が分子振動し、熱が発生する。赤外レーザーとして炭酸ガスレーザーやYAGレーザーのような高出力のレーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱が発生し、感光層中の分子は分子切断あるいはイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、微細な網点を印刷する部分は浅くあるいはショルダーをつけて彫刻することで、印圧でレリーフが転倒しないようにすることができ、細かい抜き文字を印刷する溝の部分は深く彫刻することで、溝にインキが埋まりにくくなり、抜き文字つぶれを抑制することが可能となる。
なかでも光熱変換剤の極大吸収波長に対応した赤外レーザーで彫刻する場合に、より高感度かつシャープなレリーフ層が得られる。
彫刻表面に彫刻カスが付着している場合は、水又は水を主成分とする液体で彫刻表面をリンスして、彫刻カスを洗い流す工程(3)を追加してもよい。リンスの手段として、高圧水をスプレー噴射する方法、感光性樹脂凸版の現像機として公知のバッチ式あるいは搬送式のブラシ式洗い出し機で、彫刻表面を主に水の存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、石鹸を添加したリンス液を用いてもよい。
彫刻表面をリンスする工程(3)を行った場合、彫刻されたレリーフ形成層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(4)を追加することが好ましい。
さらに、必要に応じてレリーフ形成層をさらに架橋させる工程(5)を追加してもよい。追加の架橋工程(5)を行うことにより、彫刻によって形成されたレリーフをより強固にすることができる。
以上のようにして、支持体上にレリーフ層を有する、本発明のレリーフ印刷版が得られる。
レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは、耐磨耗性やインキ転移性のような種々のフレキソ印刷適性を満たす観点からは、0.05mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは0.05mm以上7mm以下、特に好ましくは0.05mm以上0.3mm以下である。
また、レリーフ印刷版が有するレリーフ層のショアA硬度は、50°以上90°以下であることが好ましい。
レリーフ層のショアA硬度が50°以上であると、彫刻により形成された微細な網点が凸版印刷機の強い印圧を受けても倒れてつぶれることがなく、正常な印刷ができる。また、レリーフ層のショアA硬度が90°以下であると、印圧がキスタッチのフレキソ印刷でもベタ部での印刷かすれを防止することができる。
なお、本明細書におけるショアA硬度は、測定対象の表面に圧子(押針とかインデンタと呼ばれる)を押し込み変形させ、その変形量(押込み深さ)を測定し、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により測定した値である。
また、本発明のレリーフ印刷版におけるレリーフ層のショアA硬度は、本発明に製造方法における工程(1)において架橋された後のレリーフ形成層の好ましいショアA硬度と同様、即ち、50°以上90°以下であることが好ましい。
本発明の方法で製造されたレリーフ印刷版は、凸版用印刷機による油性インキやUVインキでの印刷が可能であり、また、フレキソ印刷機によるUVインキでの印刷も可能である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[合成例1:特定重合性化合物(M−1)の合成]
撹拌羽および冷却管をつけた500mlの3つ口フラスコ中に、メタクリル酸(和光純薬製、86g)、1,4−シクロヘキサンジメタノール ジビニルエーテル(mixture of cis and trans、アルドリッチ製、40g)、ピリジニウム p−トルエンスルホネート(東京化成製、0.1g)、テトラヒドロフラン(脱水、和光純薬製、45g)を入れて、60℃で7時間、その後室温で一週間攪拌した。その後、酢酸エチル1Lを投入し、炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出操作を行い、酢酸エチル層を分取した。この溶液に無水硫酸マグネシウム50gを入れて室温で1時間攪拌した。次に、無水硫酸マグネシウムを濾別し、得られた濾液から溶媒を減圧留去、さらに真空ポンプで減圧乾燥して淡黄色オイル状液体M−1(45g)を得た。M−1の同定は、H−NMR(溶媒:重クロロホルム)において、ヘミアセタールエステル単位に由来するメチルプロトン(1.40ppm)とメチンプロトン(5.96ppm)が3:1の比で観測されたこと、IRスペクトルにおいてポリヘミアセタールエステル単位にカルボニル基に由来するピークが1732cm−1に観測されたことより行った。
[合成例2〜10]
前記例示化合物(M−2)〜(M−14)についても、出発物質を変更した他は、前記合成例1:特定重合性化合物(M−1)の合成と同様にして行った。なお、前記例示化合物(M−15)〜(M−18)についても、同様或いは類似のスキームで合成することができる。
[実施例1]
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
撹拌羽及び冷却管をつけた3つ口フラスコ中に、(B)バインダーポリマーとして「ゴーセナールT−215(日本合成化学工業(株)製、PVA誘導体)を50g、光熱変換剤(D)として「ハイドリックFT S−802(墨)(E)」(カーボンブラック、大日精化工業製)を2.5g、可塑剤としてジエチレングリコール20g、溶媒としてテトラヒドロフラン50gを入れ、撹拌しながら65℃で120分間加熱しポリマーを溶解させた。さらに(A)特定重合性化合物として前記合成例1で得た例示化合物(M−1)を28g、重合開始剤として“パーブチルZ(t−ブチルオキシベンゾエート、日本油脂製)を1.6g添加して30分間撹拌し、流動性のある架橋性レリーフ形成層用の架橋性レリーフ形成層用塗布液1(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)を得た。
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
PET基板上に所定厚のスペーサー(枠)を設置し、上記より得られた架橋性レリーフ形成層用塗布液1をスペーサー(枠)から流出しない程度に静かに流延し、40℃のオーブン中で3時間乾燥させて、厚さが凡そ1mmのレリーフ形成層を設け、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版1を作製した。
レリーフ印刷版原版1が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。また、レリーフ層のショアA硬度を、測定対象の表面に圧子を押し込み変形させ、その変形量を測定し、数値化するデュロメータ(スプリング式ゴム硬度計)により算出したところ、72°であった。なお、ショア硬度Aの測定は、後述する各実施例及び比較例においても同様に行った。
3.レリーフ印刷版の作製
得られた原版のレリーフ形成層を、100℃で3時間加熱してレリーフ形成層を熱架橋した。
架橋後のレリーフ形成層に対し、近赤外レーザー彫刻機として、最大出力16Wの半導体レーザー(レーザー発振波長840nm)を装備した“FD−100”((株)東成エレクトロビーム製)を用い、彫刻条件を、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻することにより、レリーフ層を形成し、レリーフ印刷版1を得た。
4.評価
得られたレリーフ印刷版原版のレリーフ形成層の物性及び彫刻感度について以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
−熱分解温度、消散性−
レリーフ形成層の熱分解温度を以下の条件で測定した。サンプル5mgを秤量し、熱質量測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用い、20℃/分の昇温速度で40℃から500℃まで加熱した。
このとき、熱質量測定において、10%質量減少した温度(Td10)を「熱分解温度」と定義した。熱分解温度が低いほど、熱分解が低温で始まることを意味し、熱分解性に優れると評価する。評価は以下の基準で行った。
「熱分解温度(熱分解性)」
○:Td10<250℃
△:Td10=250℃〜300℃
×:Td10>300℃
熱質量測定において、80%質量減少した温度(Td80)と10%質量減少した温度(Td10)との差(Td80−Td10)を「消散性」と定義した。(Td80−Td10)が小さいほど熱分解後の重量減少が急激に生じ、消散性に優れると評価する。
「消散性」
○:(Td80−Td10)<100℃
△:(Td80−Td10)=100℃〜180℃
×:(Td80−Td10)>180℃
−彫刻深さ−
レリーフ印刷版1が有するレリーフ層の「彫刻深さ」を、以下のように測定した。ここで、「彫刻深さ」とは、レリーフ層の断面を観察した場合の、彫刻された位置(高さ)と彫刻されていない位置(高さ)との差をいう。本実施例における「彫刻深さ」は、レリーフ層の断面を、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK9510((株)キーエンス製)にて観察することにより測定した。この彫刻深さが深いほど、同じエネルギーで深い彫刻が可能であり、彫刻感度に優れると評価する。
[実施例2〜10]
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1で用いた(A)特定重合性化合物(M−1)を、前記例示した(A)特定重合性化合物(M−2)〜(M−10)に変更した以外は、実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層用塗布液2〜10(レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物)を調製した。
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
実施例1における架橋性レリーフ形成層用塗布液1を、架橋性レリーフ形成層用塗布液2〜10に変更した以外は、実施例1と同様にして、レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜10を得た。
3.レリーフ印刷版の作製
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版2〜10のレリーフ形成層を、実施例1と同様にして、熱架橋した後、彫刻してレリーフ層を形成することにより、レリーフ印刷版2〜15を得た。
レリーフ印刷版2〜15が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。また、レリーフ層のショアA硬度、彫刻深さについても、同様に評価した。結果を下記表1に示す。
[比較例1]
1.レーザー彫刻用架橋性樹脂組成物の調製
実施例1において、(A)特定重合性化合物(M−1)を添加せず、他の重合性化合物として、「グリセロール 1,3−ジメタクリレート(和光純薬製)」を等量用いた以外は実施例1と同様にして、架橋性レリーフ形成層塗布液C−1を調製した。
2.レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版の作製
実施例1における架橋性レリーフ形成層用塗布液1を、架橋性レリーフ形成層用塗布液C−1に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C−1を得た。
3.レリーフ印刷版の作製
レーザー彫刻用レリーフ印刷版原版C−1のレリーフ形成層を、実施例1と同様にして、熱架橋した後、彫刻してレリーフ層を形成することにより、レリーフ印刷版C−1を得た。
レリーフ印刷版C−1が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
これらについても、同様に評価した。結果を下記表1に示す。
表1の結果より、本発明のレーザー彫刻用樹脂組成物により形成されたレリーフ形成層を有する実施例1〜10のレリーフ印刷版原版は、比較例に対して、熱分解性と消散性に優れたレリーフ形成層を備えており、彫刻深さも比較例に比べ有意に深いことから、彫刻感度に極めて優れ、生産性高く製版しうることがわかる。
[実施例11〜20、比較例2]
実施例1〜10、比較例1で得たレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版を、半導体レーザーから炭酸ガスレーザーに変更して、以下に示すように架橋後のレリーフ形成層の彫刻を行った以外は、実施例1〜10と同様にして、実施例のレリーフ印刷版11〜20、比較例のレリーフ印刷版C−2を作製した。前記各レリーフ印刷版が有するレリーフ層の厚さは凡そ1mmであった。
架橋後のレリーフ形成層の彫刻は、炭酸ガスレーザー彫刻機として、最大出力30Wの炭酸ガスレーザーを装備した“COレーザーマーカーML−Z9500”((株)キーエンス製)を用いて、彫刻条件を、レーザー出力:15W、走査速度:100mm/秒、ピッチ間隔:0.15mmに設定し、2cm四方のベタ部分を彫刻することにより行った。
実施例11〜20、比較例2についても、実施例1と同様にして彫刻深さを評価した。結果を下記表2に示す。
表2に示されるように、本発明に係る(A)特定重合性化合物を含有するレーザー彫刻用樹脂組成物を用いて作製された実施例のレリーフ印刷版は、炭酸ガスレーザーを用いて刻印した場合も、半導体レーザーを用いて刻印したときと同様に、一般的な重合性化合物を用いた比較例のレリーフ印刷版よりも彫刻深さが大きいことが判る。このことにより、実施例にて調製したレーザー彫刻用樹脂組成物は、いずれのレーザー彫刻装置を用いた場合にも、彫刻感度が高く、生産性高く製版しうることが確認できた。

Claims (10)

  1. (A)下記一般式(I)で表される部分構造及び下記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物と、(B)バインダーポリマーとを含有するレーザー彫刻用樹脂組成物。

    前記一般式(I)及び一般式(II)中、Qは、−Q−Hとなったときの酸解離定数(pKa)が0以上20以下である部分構造を表す。
    〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、A及びBはそれぞれ独立に2価の有機連結基を表す。
  2. (A)前記一般式(I)で表される部分構造及び前記一般式(II)で表される部分構造の少なくとも1種を有する重合性化合物が、下記一般式(I−1)で表される部分構造を有する化合物と、下記一般式(II−1)で表される部分構造を有する化合物及び下記一般式(II−2)で表される部分構造を有する化合物からなる群より選択される1種以上とを反応させて得られることを特徴とする請求項1に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。

    前記一般式(I−1)中、Qは、−Q−Hとなったとき、酸解離定数(pKa)が0以上11以下である酸基として機能する部分構造を表し、Aは2価の有機連結基を表す。
    一般式(II−1)及び一般式(II−2)中、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Bは2価の有機連結基を表す。ここで、前記一般式(I−1)、一般式(II−1)及び一般式(II−2)で表される部分構造の少なくともいずれかに重合性基を有する。
  3. さらに(C)重合開始剤を含有する請求項1又は請求項2に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  4. さらに(D)700〜1300nmの波長の光を吸収可能な光熱変換剤を含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のレーザー彫刻用樹脂組成物からなるレリーフ形成層を有するレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版。
  6. (1)請求項5に記載のレーザー彫刻用レリーフ印刷版原版におけるレリーフ形成層を光及び/又は熱により架橋する工程、及び、(2)架橋されたレリーフ形成層をレーザー彫刻してレリーフ層を形成する工程、を含むレリーフ印刷版の製造方法。
  7. 前記(1)工程が、前記レリーフ形成層を熱により架橋する工程である請求項6に記載のレリーフ印刷版の製造方法。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のレリーフ印刷版の製造方法により製造された、支持体上にレリーフ層を有するレリーフ印刷版。
  9. 前記レリーフ層の厚みが、0.05mm以上10mm以下である請求項8に記載のレリーフ印刷版。
  10. 前記レリーフ層のショアA硬度が、50°以上90°以下である請求項8又は請求項9に記載のレリーフ印刷版。
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