図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。本実施例において、大入賞口66は、特別図柄192が所定の小当たり態様にて停止したときに「小当たり」としても開放状態となる。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。本実施の形態における特別図柄表示装置61は、8つの点灯ブロックを備える8セグメントLEDで構成される表示手段である。特別図柄192は、特別図柄表示装置61における8つの点灯ブロックの点灯組み合わせパターンによって表される。
演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動時間短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、小当たり遊技実行手段123、開閉制御手段124を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
本実施例では、特別遊技として、大入賞口66が開放される単位遊技が15回繰り返される特別遊技(以下、適宜「15R特別遊技」とも称する)が設けられている。これに加えて、単位遊技が5回繰り返される特別遊技(以下、適宜「5R特別遊技」とも称する)、最少回数である2回だけ繰り返される特別遊技(以下、適宜「2R特別遊技」とも称する)が設けられている。この15R特別遊技は通常の特別遊技であり、5R特別遊技は15R特別遊技よりも遊技者にとって有利の度合い、すなわち利益が小さい特別遊技である。
ここで、2R特別遊技について説明する。ぱちんこ遊技機10においては、遊技者の知らないうちに出玉のない確変移行がなされるいわゆる突然確変(以下、適宜「突確」とも称する)が発生する。さらにまた、出玉のない時短移行がなされるいわゆる突然時短(以下、適宜「突時」とも称する)も発生する。突確は特段の演出もなく突然に確変へ移行し、突時は突然に時短へ移行するという意味で遊技者に大きなインパクトを与えるものであるが、これらの移行は特別遊技の終了後を条件とする。2R特別遊技は、突確または突時への移行直前に大入賞口66を短時間に2回開放することで大当たり演出を担保するためのものである。以下、15R特別遊技、5R特別遊技、2R特別遊技のそれぞれへ移行する大当たりを「15R大当たり」、「5R大当たり」、「2R大当たり」と適宜呼ぶことにする。
一方、大入賞口66の短時間の開放が常に突確の発生を示すような構成では遊技者の興趣も次第に薄れていく可能性があることから、ぱちんこ遊技機10の当否抽選の結果には大当たりよりも利益状態が少ないいわゆる「小当たり」が設定されている。小当たりに当選すると、2R特別遊技と同様に大入賞口66を短時間に2回開放する小当たり遊技が実行される。なお、小当たりがその大入賞口の開閉のみで終わる可能性が比較的高いのに対し、2R大当たりは大入賞口66の開閉後に確実に確変もしくは時短へ移行することから、典型的には、小当たりよりも2R大当たりの方が遊技者に有利なものである。
本実施例においては、当否抽選値が大当たり範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当たりとなる。このように大当たりに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本実施例では大当たりに該当しなかった場合のうち小当たりにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現することとする。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。
図柄決定手段114は、所定の抽選手段から出力された乱数のデータを、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値として取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
図4は、図柄決定抽選値と当たり態様との対応関係を示す。例えば、図柄群「1」は、突時の2R大当たりとなる特別図柄群であり図柄決定抽選値は「0〜31」の範囲となる。また図4においては、5R大当たりおよび15R大当たりについては、「その1」、「その2」等に区別されている。これは、それぞれの図柄群を示す特別図柄の表示後に実行される特別遊技の態様が異なることを示している。例えば、特別遊技終了後における確変の有無が異なってもよく、単位遊技の終了条件が異なってもよく、単位遊技当たりの大入賞口66の開放時間が異なってもよく、演出表示装置60に表示される演出内容が異なってもよい。また例えば、特別遊技終了後の確変の有無を報知する態様が異なってもよい。具体的には、特別遊技中に確変の有無を報知するか否かの態様が異なってもよい。図柄群「8」は、特別図柄の決定においては使用されない図柄決定抽選値の範囲であり、上記抽選手段はこの範囲の乱数を出力しないように設定される。言い換えれば、上記抽選手段は0から223の範囲の乱数を出力する。
本実施例において図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄のデータとして、特別図柄表示装置61における8つの点灯ブロックの点灯組み合わせパターンを示す値(以下、適宜「図柄パターン値」とも称する)を決定する。この図柄パターン値は8ビットであり、その各ビットは8つの点灯ブロックのそれぞれに対応している。また、このビット列における「0」のビットは対応する点灯ブロックの消灯を指定し、「1」のビットは対応する点灯ブロックの点灯を指定することとする。図柄決定手段114は、図柄パターン値をメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
ここで、図柄決定抽選値をそのまま図柄パターン値とすると、遊技者は特別図柄の表示態様を確認することで、遊技状態を容易に確認できることになる。例えば図4に示した対応関係において、2R大当たり突時の場合には、図柄決定抽選値の上位3ビットのいずれについても「1」になることはない。したがって、大入賞口の開閉があっても、上位3ビットに対応する特別図柄表示装置61の点灯ブロックいずれもが点灯していなければ、突確の可能性はなく、突時であると遊技者が判別できてしまう。また例えば、15R大当たりその2の場合には、図柄決定抽選値の上位2ビットのいずれについても「1」になる。したがって、上位2ビットに対応する特別図柄表示装置61の点灯ブロックいずれもが点灯していれば、15R大当たりその2であると遊技者が判別できてしまう。この結果、遊技者の遊技状態に対する期待感が損なわれてしまう。
また、特別図柄192の停止態様により遊技者が遊技状態を容易に判別できると、以後の装飾図柄190の変動表示によって遊技状態を徐々に報知していき、遊技者の期待を徐々に高めていくことが困難になる。すなわち、遊技者の興趣が早期に損なわれやすくなる。遊技者は装飾図柄190を確認することなく、特別図柄192を確認すれば現在の遊技状態を判別できるからである。言い換えれば、ぱちんこ遊技機10の演出によって遊技者の期待感を長時間継続させることが困難になる。
この課題を解決するために、図柄決定手段114は、所定の変換規則にしたがって、図柄決定抽選値を示すビット列における所定ビットを変換して、図柄決定抽選値を示すビット列から図柄パターン値を示すビット列を導出する。これにより、遊技者が特別図柄を見ても、遊技状態の判別は困難になる。以下、この変換処理を詳細に説明する。
図柄決定手段114は、第1の変換において、所定の抽選値変換テーブルを参照して、図柄決定抽選値を示すビット列を、中間パターン値を示すビット列へと変換する。図5は、抽選値変換テーブルのデータ構造を示す。同図の「下位ビット値」欄は、図柄決定抽選値の下位2ビットにおけるビットパターンを示している。また「変換パターン」欄は、図柄決定抽選値の上位3ビットを変換するためのビットパターンを示している。具体的には、図柄決定手段114は、図柄決定抽選値の下位2ビットが「00」であるとき、その図柄決定抽選値の上位3ビットと、ビットパターン「010」との排他的論理和の結果を算出する。そして、その図柄決定抽選値の上位3ビットをその排他的論理和の結果に置き換えたビット列を、中間パターン値を示すビット列とする。例えば、図柄決定抽選値「00000000」は、中間パターン値「01000000」に変換される。
なお、図5の抽選値変換テーブルは、ぱちんこ遊技機10の機種ごとに異なるデータが設定されてもよい。これにより、ぱちんこ遊技機10の機種ごとに異なる中間パターン値へ変換され、異なる図柄パターン値へ変換されることになる。その結果、ぱちんこ遊技機10の機種ごとに、抽選値と特別図柄192との表示態様との対応関係を異なるものとすることが容易に実現される。
図6は、図柄決定抽選値から図柄パターン値への変換結果を示す。同図の「図柄決定抽選値」欄および「図柄パターン値」欄においては、それぞれの値の10進数表記と2進数表記とを併記している。上述した第1の変換によって、同図の「図柄決定抽選値」欄のビット列は、「中間パターン値」欄のビット列に変換される。中間パターン値においては、図柄決定抽選値を整列した順序と、それぞれの図柄決定抽選値に対応する中間パターン値を整列した順序とは異なる。言い換えれば、図柄決定抽選値を整列したときに、それぞれの図柄決定抽選値に対応する中間パターン値は整列した状態にならない。
ここで、図柄決定抽選値「64」は、中間パターン値「00000000」に変換され、すなわち特別図柄表示装置61の全消灯を指定することとなる。特別図柄が全消灯で表された場合、遊技者には特別図柄の変動表示が続いているように認識されやすく、遊技上問題となることがある。本実施例においては、特別図柄表示装置61の全消灯は回避すべきものとして予め定められているため、図柄決定手段114は、第2の変換を実行して、中間パターン値を示すビット列を、図柄パターン値を示すビット列へと変換する。具体的には、図柄決定手段114は、第2の変換において、中間パターン値の全ビット列と、不使用の図柄決定抽選値として予め定められた図柄決定抽選値の中間パターン値(以下、適宜「不使用パターン値」とも称する)の全ビット列との排他的論理和の結果を算出する。ここで、不使用パターン値は、予め定められた回避すべきビットパターンではないことが加重条件となる。
図6の図柄パターン値を示すビット列は、中間パターン値を示すビット列と、不使用の図柄決定抽選値「250」の不使用パターン値「00111010」との排他的論理和の結果を示している。上述した第2の変換によって、特別図柄の決定に用いられる図柄決定抽選値に対応した図柄パターン値はいずれも「00000000」にならない。すなわち予め定められた回避すべきビットパターンが回避された状態となる。なお、不使用パターン値に対応する図柄決定抽選値の図柄パターン値は「00000000」となるが、この図柄決定抽選値は不使用であるため問題は発生しない。
ここまで、図柄決定手段114について、当否抽選手段112による当否抽選結果が大当たりであった場合の挙動について記載した。当否抽選結果が小当たりである場合および外れである場合については、それぞれに対応する図柄パターン値が固定的に定められている。図柄決定手段114は、所定の抽選手段が出力する乱数データを取得することなく、もしくは、その乱数データを使用した変換処理を行うことなく、小当たりに対応する所与の図柄パターン値、外れに対応する所与の図柄パターン値を選択する。この図柄パターン値には、大当たりの各態様と対応づけられていない、例えば図4における不使用の範囲の図柄決定抽選値が、上記アルゴリズムで変換された図柄パターン値が設定されてもよい。
変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。図柄決定手段114は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を停止させる際、その最終的な停止態様として、図柄決定手段114から受信された図柄パターン値が示す特別図柄を特別図柄表示装置61の8セグ上に表示させる。図7は、図柄パターン値と8セグとの対応関係を示す。同図の図柄パターン値は8ビットのビット列であり、数値は各ビット位置を示している。なお、図柄パターン値の各ビットには0または1の値が設定される。同図の8セグにおける各セグメントの数値は、点灯ブロックの位置を示している。メイン表示制御手段118は、図8に示す図柄パターン値と8セグとの対応関係を予め保持しており、図柄パターン値においてビット値が「1」のビット位置に対応づけられた点灯ブロックを点灯させる。そして、ビット値が「0」のビット位置に対応づけられた点灯ブロックの消灯状態を維持することで、特別図柄を最終的な停止態様で表示させる。
メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が大当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を所定の上限回数に達するまで複数回数連続して継続する遊技であり、複数回の単位遊技で構成される。本実施例では、15R大当たりであった場合には単位遊技が15回を上限として繰り返され、また、5R大当たりであった場合には単位遊技が5回を上限として繰り返される。1回の単位遊技では大入賞口66が約30秒間開放される。また、2R大当たりであった場合には単位遊技が2回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.8秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、各特別遊技において単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
確変状態は、次の大当たりが発生するまで継続される。本実施例では、15R大当たりまたは5R大当たりの場合、その特別遊技の終了後に確変が開始される場合とされない場合があるが、時短は必ず開始される。一方、2R大当たりの場合、その特別遊技の終了後に確変または時短のいずれか一方が開始される。前者は突確の発生を意味し、後者は突時の発生を意味する。2R大当たりが突確であるか突時であるかは、図柄決定手段114が決定する特別図柄192、すなわち図柄パターン値により識別される。しかし既述したように、図柄決定手段114において図柄決定抽選値の整列順序と図柄パターン値の整列順序とは異なるように設定されるため、遊技者が特別図柄192を見ても、遊技状態の判別は困難である。また後述するように、装飾図柄190については同様の停止図柄が表示されるため、遊技者が装飾図柄190を見ただけでは遊技状態を判別できないように設定されている。時短は、原則として、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数(「継続回数」ともいう)、例えば100回に至るまで継続される。
小当たり遊技実行手段123は、当否抽選手段112により小当たり遊技への移行を示す抽選結果となり、特別図柄が所定の小当たり態様で停止されたときに小当たり作動条件が成立したとして小当たり遊技を実行する。小当たり遊技は1回の単位遊技で構成される。ただし、1回の単位遊技の間に大入賞口66が2回開放される。大入賞口66の開放時間は、1回の開放につき所定時間(例えば1.8秒)未満である。本実施例では0.8秒に設定されている。一方、本実施例では、2R大当たりにおいて大入賞口66が約0.8秒間開放されたときに一旦閉鎖されることで1回の単位遊技が終了するようにしている。このため、2R大当たりによる特別遊技は、小当たり遊技と外観上は同様の動作態様となる。しかし、小当たり遊技は、1回の単位遊技で構成される点で、2回の単位遊技で構成される2R大当たりとは異なる。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技においては普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を大きく開放させる。小当たり遊技においては大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を所定の短期間開放させる。
開閉制御手段124は、15R特別遊技または5R特別遊技後の確変状態および時短状態においては始動口62の拡開機構を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。しかし、2R特別遊技後の確変状態(つまり、突確が発生した場合)および時短状態(つまり、突時が発生した場合)においてはその開放延長を行わない。15R特別遊技または5R特別遊技後においては通常の確変および時短のメリットとして始動口62の拡開時間を長くし、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。一方、2R特別遊技後においては突確または突時の発生をその開放延長をもって遊技者が容易に認識することを避ける、つまり小当たり遊技と2R特別遊技のいずれが発生したかを、普通電動役物の作動により認識することを防止するものである。なお、15R特別遊技または5R特別遊技後の通常の確変および時短中において発生した2R特別遊技について、その終了後の確変状態および時短状態は、15R特別遊技または5R特別遊技終了後と同様に設定される。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当たりへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、当否抽選手段112による抽選の結果と、特別図柄の停止図柄、すなわち図柄決定手段114から受信された図柄パターン値と、特別図柄の変動パターンとに応じて変動演出パターンを決定する。演出決定手段132は、変動演出パターンを決定するために参照すべきパターンテーブルを保持する。演出決定手段132は、決定した変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たりの図柄組合せを表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンや装飾図柄の変動演出パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
また、本実施例では当否抽選手段112による判定結果が2R大当たりおよび小当たりとなったときに表示される共通の図柄が設定されている。その判定結果が2R大当たりとなって特殊特別遊技への移行を示す場合、およびその判定結果が小当たりとなって小当たり遊技への移行を示す場合には、装飾図柄が1つとびの数字からなる「135」や「246」が選ばれる。すなわち、当否抽選の結果が2R大当たりまたは小当たりとなった場合、大入賞口66の開放態様も同様であり、装飾図柄190の停止図柄も同じに設定されている。このため、遊技者が一見しても2R大当たりであるのか小当たりであるのかを判別することは困難である。また既述のように、2R大当たりが突確を伴うものであるのか、または突時を伴うものであるのかについても、装飾図柄190の停止図柄からは判別することができない。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当たり態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当たりへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当たりの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当たりへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
図8は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行する(S10)。そして、通常遊技中であれば(S12のY)、図柄変動などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、小当たり遊技の制御処理を実行する(S15)。通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理を実行する(S16)。S14からS16までの処理の後、S10における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。なお、S16の特別遊技とS15の小当たり遊技は同時に実行されることはなく、一方が実行されるときは他方は作動回避される。
図9は、図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、後述する当否判定処理が実行される(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図10は、図9におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、後述する特別図柄決定処理において、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定する(S46)。変動パターン決定手段115は、特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し(S50)、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動パターンを選択する(S52)。
図11は、図10におけるS46の特別図柄決定処理を詳細に示すフローチャートである。図柄決定手段114は、所定の抽選値決定手段から図柄抽選値を取得する(S60)。当否抽選手段112における当否抽選結果が大当たりであるとき(S61のY)、図柄決定手段114は、図柄抽選値を示すビット列の下位ビット値に応じた変換パターンと、そのビット列の上位ビットとの排他的論理和の結果を、上位ビットの新たな値として設定することで、図柄抽選値を中間パターン値に変換する(S62)。図柄決定手段114は、中間パターン値を示すビット列と、特別図柄のパターンを示すビットパターンとしては不使用のビット列との排他的論理和の結果を、最終的な図柄パターン値を示すビット列として決定する(S64)。当否抽選結果が小当たりもしくは外れであるとき(S61のN)、図柄決定手段114は、小当たりおよび外れのそれぞれに予め割り当てられた所与の図柄パターン値を選択する(S66)。
図12は、図8におけるS15の小当たり遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選が小当たりとなったときは(S91のY)、大入賞口66の開放を伴う単位遊技である小当たり遊技が実行される。すなわち、小当たり遊技がまだ開始済でない場合(S92のN)、小当たり遊技が開始され、開閉制御手段124が大入賞口66を2回開放する(S93)。小当たり遊技が開始済であれば(S92のY)、S93をスキップする。S91にて小当たりが発生していない場合には(S91のN)、S92およびS93をスキップして本処理を終了する。
図13は、図8におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が最終ラウンド、すなわち15R特別遊技においては15回、5R特別遊技においては5回、2R特別遊技においては2回に達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。特別遊技が終了すると特定遊技が開始される(S88)。例えば、15R特別遊技もしくは5R特別遊技が終了したときには確変および/または時短に移行され、2R特別遊技が終了したときには、それが突確であれば確変へ移行され、突時であれば時短へ移行される。ラウンド数が最終ラウンドに達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。
本実施例のぱちんこ遊技機10によれば、図柄決定抽選値が図柄パターン値に変換され、図柄パターン値の各ビット位置に対応づけられた特別図柄表示装置61の点灯ブロックについて、その点灯状態が各ビット値にしたがって直接制御される。これにより、抽選値と図柄の表示態様とを対応づけたテーブルの参照が不要となり、そのテーブルのデータをメイン基板102内に保持する必要がなくなる。メイン基板102の記憶容量は小さく制限されているため、本実施例のように特別図柄の表示制御のためのデータ量が削減される効果は大きい。すなわち、これまでの表示制御で要したデータ量が削減されるため、新たな表示制御で必要となるデータをさらに保持できることになる。言い換えれば、多様な表示制御のために必要となる多くのデータを保持できることになる。また、遊技制御の他の目的で使用されるデータを余分に保持できることにもなる。その結果、これまではメイン基板102のデータ容量の制限で実現できなかった遊技態様も実現しやすくなる。
また、ぱちんこ遊技機10によれば、複数の図柄決定抽選値を整列したときにそれぞれの図柄決定抽選値に対応する図柄パターン値の順序が整列された順序とならないため、特別図柄の表示態様によって遊技者が遊技状態を察知してしまう可能性を低減できる。その結果、遊技者の興趣が損なわれることを防止できる。さらにまた、図柄決定抽選値から図柄パターン値への変換においては、図柄パターン値が、表示すべきでない図柄態様として予め定められた所定のビットパターンとなることが回避される。すなわち、図柄抽選値の変換に伴う問題の発生を回避できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
第1の変形例を説明する。上記実施例においては、特別図柄192の図柄決定抽選値を図柄パターン値へ変換する技術を説明した。しかし、本発明の適用範囲は特別図柄192に制限されるものではない。すなわち、抽選値と図柄の表示態様とを対応づけたテーブルを参照することなく、抽選値から図柄の表示態様を直接導出する場合に、既述した効果を奏するものである。したがって、例えば、普通図柄を決定するための抽選値を普通図柄の図柄パターン値へ変換することにも適用できる。
第2の変形例を説明する。上記実施例においては、8セグにおける各LEDの点灯態様によって特別図柄が表された。変形例においては、普通図柄表示装置59のように文字や記号等は表示しない、複数の点灯ブロックの単なる集合体において特別図柄が表されてもよい。また、点灯のみならず、点滅、異なる点灯色の組み合わせ等、様々な態様で特別図柄が表されてもよいのはもちろんである。
第3の変形例を説明する。上記実施例においては、所定の抽選手段によって決定された乱数値がそのまま図柄決定抽選値として取得された。変形例において、図柄決定手段114は、その乱数値と図柄決定抽選値とが対応づけられた乱数対応テーブルを保持し、その乱数対応テーブルを参照して乱数値から図柄決定抽選値を決定してもよい。図14は、乱数対応テーブルの構造を示す。同図のテーブルが参照される場合、図柄決定手段114は、乱数値「0〜8」を受け付けた際には、図柄決定抽選値として「1」を決定する。この変形例によれば、1以上の乱数値が特定の図柄決定抽選値に集約されるため、特別図柄の各表示態様についての表示頻度を調整できる。すなわち、多くの乱数値に対応する図柄決定抽選値は選択されやすくなり、その図柄決定抽選値から導出される特別図柄の表示態様は高頻度で表示されることになる。また、乱数値の種別数が図柄決定抽選値の種別数、すなわち特別図柄の表示態様数より多い場合にも、乱数値の種別数が図柄決定抽選値の種別数にあわせて集約される。なお、図柄決定抽選値に当否抽選値が設定されてもよいのはもちろんである。また、本変形例においては、大当たりに対応する乱数対応テーブルのみならず、小当たりに対応する乱数対応テーブル、外れに対応する乱数対応テーブルが備えられてもよい。この場合、図柄決定手段114は、当否抽選結果に対応した乱数対応テーブルを参照する。小当たりに対応する乱数対応テーブルおよび外れに対応する乱数対応テーブルにおいては、大当たりに対応する乱数対応テーブルにおいて不使用の図柄決定抽選値が設定される。
第4の変形例を説明する。上記実施例においては、図柄決定抽選値を示す8ビットの下位2ビットに応じて、上位3ビットを変換し、中間パターン値を示すビット列を生成した。変形例においては、図柄決定抽選値のビット長は8ビットに制限されず、図柄のパターン数に応じて12ビット、16ビット等に決定されてもよい。また、変換条件を決定するのは、下位2ビット以外のビット列でもよい。また、変換対象となるビット列は、上位3ビット以外のビット列でもよく、例えば12ビット長の図柄決定抽選値においてその4ビット目から7ビット目までが4ビット長の所定の変換パターンとXOR(eXclusive OR)処理されてもよい。変換対象となるビット列は、図柄群の種別数に応じてそのビット長が決定されてもよく、8の図柄群が存在すれば3ビットに設定されてもよく、16の図柄群が存在すれば4ビットに設定されてもよい。
第5の変形例を説明する。上記実施例では具体的に述べなかったが、表示を回避すべき図柄態様として予め定められた所定の点灯組み合わせパターンには、小当たりや外れを示す図柄が含まれてもよい。そして、大当たりと対応づけられた図柄パターン値が上記図柄のビットパターンを回避するように、中間パターン値のビット列と、上記図柄のビットパターンとのXOR処理が実行されてもよい。
第6の変形例を説明する。上記実施例では具体的に述べなかったが、図柄決定手段114における図柄決定抽選値の変換処理はハードウェア、ソフトウェアいずれで実行されてもよい。具体的には、第1の変換処理はソフトウェアで実行され、第2の変換処理はハードウェアで実行されてもよく、その逆でもよい。ハードウェアによる変換処理は、例えば、配線によりビットの組み替えを実行するハーネスや、XORの論理回路等で実現されてもよい。
第7の変形例を説明する。図5で示した抽選値変換テーブルおよび/または不使用パターン値は、ぱちんこ遊技機10に搭載されたRAMの記憶データが初期化されるたびに、異なるデータが再設定されてもよい。例えば、ぱちんこ遊技機10の電源オフ・オンのタイミングで再設定されてもよく、ぱちんこ遊技機10の所定のボタンが押下されたタイミングで再設定されてもよい。この変形例によれば、同一のぱちんこ遊技機10であっても、遊技者の遊技タイミングで、図柄決定抽選値と図柄パターン値との対応関係が変化するため、図柄の表示態様によって遊技者が遊技状態を察知してしまう可能性をさらに低減できる。
第8の変形例を説明する。ぱちんこ遊技機10が所定の遊技状態であることを条件として、実施の形態および上記変形例で既述した図柄決定抽選値から図柄パターン値への変換処理が実行されてもよい。この場合、所定の遊技状態以外の遊技状態においては、図柄決定抽選値が変換されることなくそのまま図柄パターン値として使用されてもよい。この変形例によれば、所定の遊技状態となるまでは、図柄の表示態様による遊技状態の判別が比較的容易な状態とし、所定の遊技状態となった際にはその判別が困難な状態にするような遊技を実現できる。例えば、確変状態であることを条件として、図柄決定抽選値から図柄パターン値への変換処理が実行されてもよい。
第9の変形例を説明する。上記実施例では、図柄決定抽選値の下位2ビットの4つのビットパターンに応じて、図柄決定抽選値を変換した。変形例においては、図柄決定抽選値の下位2ビットの一部のビットパターンに限って、図柄決定抽選値を変換してもよい。他のビットパターンについては図柄決定抽選値を変換することなくそのまま図柄パターン値としてもよい。この変形例によれば、図柄決定抽選値の一部については図柄の表示態様による遊技状態の判別が比較的容易となり、他の図柄決定抽選値については図柄の表示態様による遊技状態の判別が困難になる。遊技者にとっては、図柄の表示態様から想定される遊技状態が実際の遊技状態と合致する場合と、相違する場合とが生じ、遊技者に新たな遊技性を提供できる。
また、上記第9の変形例において、特定の当たり態様については、その図柄決定抽選値の下位2ビットのビットパターンが同一になるよう設定されてもよい。この場合、特定の当たり態様については、その図柄決定抽選値が変換されて、図柄の表示態様による遊技状態の判別が困難になる。特に、遊技者が遊技において興味を持つと想定される当たり態様が特定の当たり態様である場合に好適な態様である。この態様によれば、遊技者が遊技において興味を持つと想定される当たり態様を図柄の表示態様により判別することは困難になる一方で、他の当たり態様についてはその判別が比較的容易になり、メリハリのある遊技を遊技者に提供できる。
第10の変形例を説明する。上記実施例では、本発明を従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に適用した例を示したが、第1種ぱちんこ遊技機の機能を備えた他の種別の遊技機に適用することもできる。例えば、第1種ぱちんこ遊技機を複数混在させたような複合機に適用することもできる。この場合、複数種の特別図柄、例えば第1の特別図柄および第2の特別図柄のうち一方の特別図柄を決定する際にのみ、実施の形態および上記変形例で既述した図柄決定抽選値から図柄パターン値への変換処理が実行されてもよく、全ての特別図柄の決定に際して変換処理が実行されてもよい。また、特別図柄の種別に応じて、異なるデータが設定された抽選値変換テーブルが参照されてもよく、異なる不使用パターン値が使用されてもよい。この態様においては、特別図柄の種別ごとに、図柄決定抽選値と図柄パターン値との対応関係を異ならしめることができる。
また、第1特別遊技として従来にいう第1種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を、第2特別遊技として従来にいう第2種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を提供する複合機に適用することもできる。