以下、本発明をパチンコ機に適用した実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本実施例の遊技機1(パチンコ機)の正面図である。図1に示すように、遊技機1の前面部は、本体枠2、中枠3、前面枠4、上皿部5、下皿部6、施錠装置9、遊技盤20等を備えている。なお、遊技盤20には、遊技球が通過可能なゲートや、遊技球が入球可能な入球口(始動口、大入賞口、一般入賞口など)や、特定の入球口への遊技球の入球を契機として図柄変動演出表示を行う図柄表示装置や、多数の障害釘などが配置されているが、図1では、遊技盤20の盤面構成の詳細について図示を省略している。また、中枠3は前面枠4等が前面側に配置されているため、図1においては明示されていない。
本体枠2は木製の板状体を略長方形の枠状に組立てたものであり、遊技機1の外枠を構成している。中枠3はプラスチック製であり、本体枠2の内側にはめ込まれて設置されており、外枠2に対して開閉可能に左端で軸支されている。中枠3は、上側2/3程度を占める枠体部と下側1/3程度を占める下板部とから構成されている。枠体部の前面側には遊技盤20と前面枠4とが重なるように設けられており、下板部の前面側には上皿部5と下皿部6が設けられている。下板部には、遊技球を遊技盤20に発射する発射手段を構成する発射装置ユニット(図示略)、遊技球を発射装置ユニットに供給する球送り装置(図示略)が設けられている。
前面枠4は、中枠3の前面側に配置され、中枠3の左端で開閉可能に支持されている。前面枠4はプラスチック製であり、奥側に配置される遊技盤20の盤面を視認可能にするために、円形状の開口部4aが形成されている。前面枠4の裏面には、開口部4aに対応したガラス板等の透明板を備える略長方形状の透明板枠(図示略)が装着されている。前面枠4における遊技盤20の周囲には、LED等のランプ類(図示略)が設けられている。これらのランプ類は、遊技効果を高めるためにゲーム進行に応じて点灯・消灯あるいは点滅する。
上皿部5は、前面枠4の下側に設けられ、中枠3の左端に開閉可能に支持されている。上皿部5は、皿外縁部5aと、遊技機1の内部から遊技球を排出するための排出口5bと、上皿部5の遊技球を下皿部6に排出する球抜きボタン5cとを備えている。皿外縁部5aの上面には、演出ボタン5d(操作手段)や貸球ボタン5e等が設けられている。
下皿部6は、上皿部5の下方に設けられている。下皿部6の略中央には、遊技機1の内部から下皿部6に遊技球を排出するための排出口6aが設けられている。下皿部6の左端には灰皿7が設けられている。下皿部6の右端には、遊技者が発射装置ユニット(図示略)を操作するための発射ハンドル8が設けられている。発射ハンドル8には、遊技者が触れていることを検出するタッチスイッチ8aが設けられている。発射ハンドル8の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ8bが配置されている。
施錠装置9は、中枠3の右端中央に設けられており、前面枠4を閉じた場合にこれを施錠するためのものである。
また、遊技機1には、遊技状態に応じた効果音等を発生させるためのスピーカ10a〜10dが設けられている。スピーカ10a〜10dは、遊技機1の上部に設けられた上部スピーカ10a、10bと遊技機1の下部に設けられた下部スピーカ10c、10dとからなる。さらに、遊技機1の左側には、プリペイドカードユニット13(CRユニット)が装着されている。
次に、本実施例の遊技機1の電子制御装置について、図2に基づいて説明する。図2は、電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、電子制御装置は、主制御部200と、その主制御部200に接続された副制御部230、260、280とを含んで構成されている。副制御部は、払出制御部(賞球制御部)230、サブ制御部260及び演出表示制御部280から構成される。主制御部200は主制御基板200aを備え、副制御部230、260及び280は周辺制御基板として払出制御基板230a、サブ制御基板260a及び演出表示制御基板280aをそれぞれ備えている。
主制御部200は、遊技の進行を司る主制御手段を構成するものであり、各副制御部230、260に処理内容を指示する指令信号(コマンドデータ)を送信し、各副制御部230、260、280は指令信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
主制御部200を構成する主制御基板200aのCPU200bは、CPUコア、内蔵RAM(以下、単にRAMともいう)、内蔵ROM(以下、単にROMともいう)等を備えており、ROMに格納された制御プログラムにより、RAMをワークエリアとして遊技機1全体の作動制御(遊技の基本進行制御)を司る。なお、本実施例の主制御基板200aのCPU200bの制御周期は2msに設定されている。
払出制御部230を構成する払出制御基板230aは、主制御基板200aのCPU200bと同様の構成を有するCPU230bを備えている。払出制御部230には、発射制御部250、CRユニット13等が接続されている。また、払出制御部230には、払出装置中継端子板231を介して、後述する遊技球払出装置300(図4、図5参照)を構成する払出センサ303、回転センサ305および払出モータ304が接続されている。払出制御部230は、払出センサ303および回転センサ305からのセンサ信号が入力するとともに、払出モータ304の回転制御を行うための信号を出力する。
遊技盤20に設けられた種々の入球口(始動口、大入賞口など)に遊技球が入球すると、主制御部200から払出制御部230に対して賞球払出を指示する賞球払出要求信号(賞球払出コマンド)が出力され、これに応じて払出制御部230の制御下で賞球の払い出しが行われる。また、遊技者によって貸球ボタン5eが操作されると、その操作に基づきCRユニット13から払出制御部230に対して貸球払出を指示する貸球払出要求信号が出力され、これに応じて払出制御部230の制御下で貸球の払い出しが行われる。
発射制御部250は、遊技盤上への遊技球の発射を制御する発射制御手段を構成しており、発射制御基板250aは、発射モータ(図示略)、タッチスイッチ8a、発射停止スイッチ8b等が接続されている。
サブ制御部260は、遊技の進行に伴って実行される各種演出を制御するサブ制御手段を構成しており、サブ制御基板260aにはCPU260bや図示しないROM、RAM、入出力ポート等を有する演算回路構成要素とサウンドジェネレータが設けられており、入出力ポートにおいて主制御部200に接続されている。サブ制御部260は、各種ランプ類による装飾表示、スピーカ10a〜10dから出力される効果音、演出表示装置25による図柄表示等を用いた演出制御を司るように構成されている。
サブ制御部260には、演出表示制御部280が接続されている。演出表示制御基板280aには、CPU280b、RAM、ROM、入出力ポート、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)等を有する演算回路構成要素(図示略)が設けられ、入出力ポートにおいてサブ制御基板260aに接続されている。演出表示制御部280には演出表示装置25が接続されている。演出表示制御部280は、CPU280bがROMに格納された制御プログラムに従ってRAMをワークエリアとして演出表示装置25の表示制御を行うように構成されている。
サブ制御基板260aには、装飾駆動基板261を介して各種LED・ランプ262が接続されている。各種LED・ランプ262は、遊技効果を高めるためのものであり、これらのランプ類はゲームの進行に対応して点灯・消灯又は点滅し、遊技効果を高めている。また、サブ制御部260にはアンプ基板263が接続されている。アンプ基板263にはスピーカ10a〜10dが接続されている。スピーカ10a〜10dからは、遊技の進行に対応して各種サウンド、音声等が出力される。さらに、サブ制御部260には、演出ボタン基板264を介して演出ボタン5dが接続されている。
次に、遊技球の払い出しを行う遊技球払出装置300について図3〜図6に基づいて説明する。図3は遊技機1における遊技球払出装置300の配置を示す背面図であり、図4は遊技球払出装置300の内部構成を示す正面図であり、図5は遊技球払出装置300の一部を示す斜視図である。
図3に示すように、遊技機1の背面(裏面)の上方に遊技球タンク105が設けられている。遊技球タンク105には、外部の補給装置から供給される払出し用の遊技球が貯留されている。この遊技球タンク105に貯留された遊技球は、貸球または賞球として上皿部5や下皿部6に向けて払い出される。遊技球タンク105の下方には、遊技球タンク105と接続したタンクレール106が設けられている。タンクレール106は、遊技球タンク105の底部から遊技球払出装置300の上方まで傾斜して形成されている。タンクレール106の下流側であって、遊技球払出装置300の上方には、タンクレール106を流下してきた遊技球の進行方向を変えて遊技球払出装置300に誘導するためのケースレール108が設けられている。
図4に示すように、遊技球払出装置300には、ケースレール108から供給された遊技球が通過する遊技球通路301が上下方向に設けられている。遊技球通路301の途中には、遊技球の流れを規制する回転体(スプロケット)302が設けられている。回転体302は、後述の払出モータ304により回転駆動される。回転体302が回転することで遊技球の払い出しが行われ、回転体302が停止することで遊技球の払い出しが停止する。なお、遊技球払出装置300で払い出される遊技球には、所定の入賞口(図示略)への遊技球入球(入賞)に対して払い出す賞球と、遊技者に貸し出す貸球とが含まれている。
回転体302の外周部には、略円弧状の凹部(球受け部)が4つ形成されており、各凹部に遊技球通路301を流れる遊技球が1個ずつ入り込むことができる。図4では、回転体302は、時計方向に回転可能となっており、遊技球流れ方向の上流側から遊技球通路301に供給される遊技球を1個ずつ遊技球流れ方向の下流側へ送り出す(払い出す)ことができる。
また、遊技球通路301における回転体302の下方側(遊技球流れ方向の下流側)には、回転体302の回転によって払い出された遊技球を検出する払出センサ303が設けられている。払出センサ303は、近接スイッチによって構成することができ、遊技球の通過を検出した場合にオン状態となり、遊技球を検出しない場合にオフ状態となる。なお、払出センサ303が本発明の「払出検出手段」に相当している。
図5に示すように、遊技球払出装置300には、回転体302を回転駆動する払出モータ304が設けられている。本実施例では、払出モータ304として、パルス駆動されることで1ステップ当り所定角度(本実施例では3.75°)だけ回転するステッピングモータを用いている。払出モータ304は、払出制御部230によって生成される駆動パルスによってステップ的に回転制御される。本実施例の払出モータ304は、遊技球払出速度が1分当り約800個となる通常作動と、遊技球払出速度が1分当り約60個となる低速作動とを切り替えることができる。
払出モータ304の回転制御は、払出制御部230によって行われる。払出制御部230は、主制御部200から所定数の賞球の払い出しを指示する賞球払出要求信号や、貸球ボタン5e(図1参照)の操作に基づく所定数の貸球の払い出しを指示する貸球払出要求信号を受信することで、その受信した払出要求信号に基づき特定される払出要求数に応じた駆動パルスの出力を開始し、これにより払出モータ304が作動を開始し、遊技球払出動作が行われる。
払出モータ304は、駆動パルスの励磁パターンを切り替えることで作動する。上述のように本実施例の払出モータ304は、1ステップ当り3.75°回転するので、96ステップ作動することで360°回転し、回転体302を360°回転させることができる。本実施例の回転体302は、1回転(360°回転)で4個の遊技球を払い出すことができる。したがって、1個の遊技球を払い出すためには回転体302を90°回転させる必要があり、払出モータ304を24ステップ作動させる必要がある。また、遊技球払出装置300には、回転体302の回転位置(払出モータ304の回転位置)を検出するための回転センサ305が設けられており、この回転センサ305は、後述の図6に示す検出部305aを含んで構成されている。なお、回転センサ305(検出部305a)が本発明の「回転検出手段」に相当している。
図6(a)〜(e)は、回転体302を時計方向に回転させた場合の遊技球通路301における遊技球の流れを示している。図6(a)と図6(e)は、回転体302の原点位置を示している。図6(a)の原点位置の状態から図6(e)の原点位置の状態に至るまでに、回転体302は時計方向に90°回転して遊技球が1個払い出される。図6では、回転センサ305の検出部305aと、回転体302の検出片302aとを模式的に示しており、実際には検出部305aおよび検出片302aは遊技球通路301の奥側に配置されている。
回転センサ305の検出部305aは、発光素子と受光素子とから構成されている。回転体302の検出片302aは、回転体302の凹部の数に対応して4個設けられており、回転体302とともに回転して、検出部305aの発光素子と受光素子の間を通過する。これにより、検出部305aの状態が入光状態(非検出状態)と遮光状態(検出状態)とに変化することになり、回転体302の回転位置を検出することができる。検出片302aは、回転体302が図6(a)および図6(e)に示す原点位置の状態にある場合に、検出部305aの発光素子と受光素子の間に位置し、検出部305aが遮光状態(検出状態)となる。これにより、回転センサ305は、回転体302の回転位置が原点位置であること(つまり、回転体302が原点位置の状態にあること)を検出することができる。
ここで、遊技球払出装置300の作動を図6に基づいて説明する。まず、図6(a)に示す原点位置では、遊技球通路301内の遊技球が回転体302の凹部に入り込んでいる。また、図6(a)では、回転センサ305の検出部305aは遮光状態(検出状態)となっている。遊技球払出動作の開始に伴い、図6(a)の状態から払出モータ304が作動することで、図6(b)に示すように回転体302および検出片302aが時計方向に回転し、回転センサ305の検出部305aが遮光状態(検出状態)から入光状態(非検出状態)に移行する。
図6(b)の状態から払出モータ304が作動することで、図6(c)に示すように回転体302および検出片302aが時計方向に回転し、遊技球が遊技球通路301の下方へと移動して回転体302の凹部から離脱し始める。図6(c)に示す状態から、さらに払出モータ304が作動することで、回転体302は遊技球の払い出しが実際に開始される払出開始位置に至り、遊技球が回転体302の凹部から完全に離脱する。これにより、遊技球通路301の下方へと落下し、遊技球の払い出しが行われる。なお、図6(a)に示す原点位置から図6(c)に示す状態を経て遊技球が払い出し開始される払出開始位置に至るまでに、払出モータ304が16ステップ作動して、回転体302は60°(第1所定角度)回転する。
そして、払出開始位置から払出モータ304が作動することで、回転体302が図6(d)に示す位置まで回転して、先に払い出された遊技球の上流側に位置していた次の遊技球が回転体302の次の凹部に入り込み、払出開始位置から払出モータ304が8ステップ作動(30°回転)したときに、回転体302は図6(e)に示す原点位置まで回転して、回転センサ305の検出部305aが入光状態(非検出状態)から遮光状態(検出状態)に移行する。これにより、遊技球払出装置300が遊技球1個分の払い出し動作(遊技球払出動作)を終了する。
本実施例では、回転体302により遊技球が払い出されてから払出センサ303で遊技球が検出されるまでの間に、次回(次の1個)の遊技球の払い出しのための払出準備動作が行われる。払出準備動作は、図6(a)に示す原点位置から払出開始位置の手前の払出準備位置まで回転体302を回転させることによって行われる。本実施例の払出準備動作では、原点位置から払出モータ304を12ステップ作動(45°回転)させて停止させる。これにより、払出モータ304は、払出開始位置(原点位置から16ステップ作動した位置)より4ステップ(15°)手前で停止し、回転体302は払出開始位置の手前の払出準備位置で停止する。原点位置から払出準備位置に至るまでに、回転体302は45°(第2回転角度)回転する。なお、払出開始位置の直前の位置(払出モータ304が原点位置から13〜15ステップ作動した位置)を払出準備位置とした場合には、遊技球の自重や遊技機1に加えられる振動等によって遊技球が誤って払い出されるおそれがあるため、本実施例では余裕をみて払出開始位置の4ステップ手前で払出モータ304を停止させた位置を払出準備位置としている。
このような払出準備動作を行うことにより、回転体302の凹部から遊技球が離脱して(1個の遊技球が払い出されて)から、その遊技球が払出センサ303によって検出されるまでの間に、回転体302を払出開始位置に近い払出準備位置まで予め回転させておくことができる。そして、次回(次の1個)の遊技球を払い出す際に、払出モータ304を4ステップ作動(15°回転)させるだけで回転体302は払出開始位置に至るので、払出モータ304を原点位置から払出開始位置まで16ステップ作動(60°回転)させる場合に比較して、払出モータ304の作動開始から遊技球の払い出しが開始されるまでの時間を極力短くすることができる。
ここで、払出モータ304を原点位置から作動開始させた場合および払出モータ304を払出準備位置から作動開始させた場合において、1個の遊技球が回転体302の凹部から離脱してから(払い出されてから)払い出された遊技球が払出センサ303で検出されるまでに要する時間について説明する。
まず、払出モータ304を原点位置から作動開始させた場合について説明する。払出モータ304が1ステップ作動するのに要する時間を本実施例では2msとしているので、払出モータ304が16ステップ作動するのに要する時間は32msとなる。また、本実施例では、払出開始位置にて遊技球が回転体302の凹部から離脱してから(払い出されてから)、その遊技球が払出センサ303によって検出されるまでの平均時間を65.7msとしている。このため、払出モータ304を図6(a)に示す原点位置から作動開始させた場合に、その作動開始から1個の遊技球が払出開始位置を経て払出センサ303により検出されるまでに要する時間は、87.7ms(=32ms+65.7ms)となる。
次に、払出モータ304を払出準備位置から作動開始させた場合について説明する。払出モータ304が4ステップ作動するのに要する時間は8msであるので、この時間に、遊技球の払出開始位置での離脱(払い出し)から払出センサ303での遊技球検出までの平均時間65.7msを加算すると、払出モータ304を払出準備位置から作動開始させた場合に、その作動開始から1個の遊技球が払出開始位置を経て払出センサ303により検出されるまでに要する時間は、73.7ms(=8ms+65.7ms)となる。このように、払出準備動作を行うことで、遊技球の払い出しに要する時間を短縮することができる。
なお、本実施例では、主制御部200からの払出要求で払い出しを指定された遊技球数(払出要求数)から既に払い出された遊技球数を減算した払出予定数(払出残り球数)が2個以上(払出予定数=N個:N≧2)である場合に、払出準備動作が実行される。一方、払出予定数(払出残り球数)が1個である場合には払出準備動作は実行されず、回転体302は原点位置で停止する。つまり、最後の遊技球を払い出す際には、遊技球の払出速度が減速されることになる。以上の「遊技球払出動作」および「払出準備動作」は、払出制御部230が後述の払出モータ制御処理を実行することで実現される。よって、払出制御部230が本発明の「払出実行手段」および「払出準備動作実行手段」に相当している。
次に、本実施例の払出制御部230が実行する払出モータ制御処理について図7、図8に基づいて説明する。図7は、本実施例に係る払出制御部230のROMに格納されたプログラムに基づいて払出制御部230のCPU230bが実行する払出モータ制御処理のフローチャートであり、図示しないメインルーチンのサブルーチンとして実行される。図7の払出モータ制御処理は、主制御部200からの賞球払出要求信号や、貸球ボタン5e(図1参照)の操作に基づく貸球払出要求信号によって指示された所定数の遊技球の払い出しが終了するまで繰り返し実行される。
まず、不正電波の検知や遊技球払出装置300の故障やCRユニット13の未接続などの何らかのエラー(異常)が発生し、遊技球の払い出しが実行不能な払出禁止状態となっているか否かを判定する(S100)。この結果、払出禁止状態となっていると判定された場合には(S100:YES)、払出モータ制御処理を終了する。この払出禁止状態は、上述のエラー(異常)が解除されることで解かれる。一方、払出禁止状態となっていないと判定された場合には(S100:NO)、賞球または貸球としての遊技球の払出要求があるか否か(払い出すべき遊技球が存在するか否か)を判定する(S101)。S101の判定処理では、賞球払出要求信号または貸球払出要求信号によって「所定数」の遊技球の払出要求があった場合、その「所定数」から払出センサ303で検出された遊技球数(払出要求信号の受信に基づき払い出された遊技球数)を減算した「払出予定数」が「0」を上回っているか否かを判定する。
この結果、払出要求がない(遊技球の払出予定数が「0」である)と判定された場合には(S101:NO)、払出モータ制御処理を終了する。一方、払出要求がある(遊技球の払出予定数が「0」を上回っている)と判定された場合には(S101:YES)、払出モータ304の作動を開始させる(S102)。
次に、払出モータ304が28ステップ作動したか否かを判定する(S103)。上述のように、払出モータ304は24ステップ作動することで遊技球が1個払い出されるが、本実施例では払出モータ304の脱調等を考慮して払出モータ304の1回の駆動で最大28ステップ作動させるように構成されている。S103の判定処理の結果、払出モータ304が28ステップ作動していないと判定された場合には(S103:NO)、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われたか否かを判定する(S104)。この結果、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われていないと判定された場合には(S104:NO)、S103の判定処理に戻る。回転センサ305が正常に機能している場合には、払出モータ304が28ステップ作動する前(24ステップ作動したとき)に回転センサ305による検出が行われるので、払出モータ304が28ステップ作動した場合には、回転センサ305での検出が正常に行われていないと判断することができる。このため、S103の判定処理で、払出モータ304が28ステップ作動したと判定された場合には(S103:YES)、回転センサ未検出時処理を実行する(S200)。この回転センサ未検出時処理については後述する。なお、回転センサ305による検出が正常に行われない状況は、例えば、回転センサ305の検出部305aの故障や、回転センサ305、払出装置中継端子板231および払出制御部230の各々を接続する接続線の断線などが原因で起こり得る。
一方、S104の判定処理で、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われたと判定された場合には(S104:YES)、遊技球の払出予定数(払出残り球数)が「1」を上回っているか否かを判定する(S105)。ここで、S104の判定処理で回転体302の位置検出が行われた場合、この時点では、1個の遊技球の払い出しが行われて回転体302が原点位置に達した状態となっている(図6(e)参照)。そして、S105の判定処理の結果、遊技球の払出予定数が「1」を上回っている(「2」以上である)と判定された場合には(S105:YES)、払出準備動作として払出モータ304を原点位置から更に12ステップ作動させる(S106)。
次に、払出準備動作が終了したか否か(払出モータ304が原点位置から12ステップ作動したか否か)を判定する(S107)。この結果、払出準備動作が終了していないと判定された場合には(S107:NO)、S109の処理に移行する。一方、払出準備動作が終了したと判定された場合には(S107:YES)、払出モータ304の作動を停止させる(S108)。これにより、回転体302は、図6(e),(a)に示す原点位置の状態から、図6(c)の直前に示す払出準備位置に位置した状態となる。
次に、払出センサ303による遊技球の検出が行われたか否かを判定する(S109)。ここで、上述したように、本実施例では、払出モータ304が1ステップ作動するのに要する時間を2msとしており、回転体302が払出開始位置から原点位置まで回転するのに払出モータ304は8ステップ作動するので(図6参照)、遊技球が払出開始位置にて回転体302の凹部から離脱(払出開始)してから、上述のS104での回転センサ305による位置検出が発生するまでに要する時間は16msとなる。また、回転体302が原点位置から払出準備位置まで回転するのに要する時間(回転センサ305による位置検出の発生から払出モータ304の作動停止までに要する時間)は、払出モータ304が12ステップ作動することから24msとなる。よって、回転体302が払出開始位置(遊技球が回転体302の凹部から離脱する位置)から原点位置を経て払出準備位置に位置した状態となるまで要する時間は40ms(=16ms+24ms)となる。
さらに、上述したように、本実施例では、遊技球が払出開始位置にて回転体302の凹部から離脱してから払出センサ303によって検出されるまでの平均時間が65.7msとなっている。このため、本実施例では、通常であれば、払出準備動作が終了(払出モータ304の作動が停止)してから約25.7ms(=65.7ms−40ms)後に、払出センサ303によって遊技球が検出されることとなり、払出準備動作が終了するよりも前に遊技球が払出センサ303により検出されることはない。つまり、S108の処理から約25.7msが経過するまでは、S109の判定処理では、払出センサ303による遊技球の検出が行われていないと判定される。
そして、S109の判定処理で、払出センサ303による遊技球の検出が行われていないと判定された場合には(S109:NO)、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われてから所定時間(本実施例では200ms)が経過したか否かを判定する(S110)。この判定処理は、遊技球の払い出しが正常に行われているか否かを判断するために行われるもので、正常に行われているのであれば、回転センサ305による位置検出の発生から払出センサ303による遊技球検出の発生までに要する時間は49.7ms(=65.7ms−16ms)となる。この「回転センサ305による位置検出の発生から払出センサ303による遊技球検出の発生までに要する通常の時間(49.7ms)」に基づいて、S110の判定処理での判定基準となる時間が定められ、本実施例では、その判定基準となる時間を、明らかに正常でない(異常である)と判断できる200msとしている。
S109の判定処理の結果、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われてから所定時間(本実施例では200ms)が経過していないと判定された場合には(S110:NO)、払出準備動作の実行中であるか否かを判定する(S111)。この結果、払出準備動作の実行中であると判定された場合には(S111:YES)、上記S107の判定処理に戻り、払出準備動作の実行中でないと判定された場合には(S111:NO)、上記S109の判定処理に戻る。なお、「回転センサ305による位置検出の発生(S104)から払出センサ303による遊技球検出の発生(S109)までに要する時間」は49.7msで、「回転センサ305による位置検出の発生(S104)から払出モータ304の作動停止(S108)までに要する時間」は24msであることから、S109の判定処理の結果が肯定的な判定結果となるのは、通常、払出準備動作が終了して払出モータ304の作動が停止した後(S4107:YES,S108,S111:NOを経た後)である。
そして、S109の判定処理の結果、払出センサ303による遊技球の検出が行われたと判定された場合には(S109:YES)、払出モータ制御処理を終了する。このとき、払出準備動作が既に終了しているので、次の遊技球払出動作を行う場合には、図6(c)の状態の直前にある払出準備位置から回転体302が回転を開始することになる。これにより、払出センサ303による遊技球の検出が行われた後(1個の遊技球の払い出し完了後)の次の遊技球払出動作では、回転体302を原点位置から払出準備位置まで回転させるのに要する時間(払出モータ304を12ステップ作動させる24ms)を短縮することができ、直ちに回転体302を払出開始位置まで回転させて次の遊技球を回転体302の凹部から離脱させる(次の遊技球の払い出しを開始させる)ことができる。
一方、S110の判定処理で、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われてから所定時間(200ms)が経過したと判定された場合には(S110:YES)、球詰まりや払出センサ303の故障等によって払出センサ303の検出エラーが発生していると考えられるので、リトライ動作を実行する(S112)。本実施例では、リトライ動作として、4秒間の待機動作と払出モータ304を24ステップ作動させることを繰り返し行う。リトライ動作は、払出センサ303で遊技球が検出されることで解除される。なお、リトライ動作では、回転体302を図4や図6に示す時計方向に回転させるように、払出モータ304を作動させる。
また、上記S105の判定処理で、遊技球の払出予定数が「1」を上回っていない(遊技球の払出予定数が「1」である)と判定された場合には(S105:NO)、最後の遊技球の払い出しなので、払出準備動作(S106)を行うことなく、払出モータ304の作動を停止する(S113)。これにより、払出モータ304は原点位置で停止する(図6(e)参照)。このため、最後の1個の遊技球を払い出す際には、原点位置から回転体302が回転を開始するため、回転体302が払出準備位置から回転を開始する場合に比較して、払出モータ304が作動開始してから回転体302が払出開始位置に達するまで回転するのに時間がかかる。この結果、遊技球の払出予定数が「1」である場合には、遊技球の払出予定数が「2」以上である場合より遊技球の払出速度が減速されることとなる。
次に、払出センサ303による遊技球の検出が行われたか否かを判定する(S114)。この結果、払出センサ303による遊技球の検出が行われたと判定された場合には(S114:YES)、払出モータ制御処理を終了する。一方、払出センサ303による遊技球の検出が行われていないと判定された場合には(S114:NO)、回転センサ305による回転体302の位置検出(S104)が行われてから所定時間(本実施例では200ms)が経過したか否かを判定する(S115)。このS115の判定処理は、上述したS110の判定処理と同じ趣旨で行われるものである。
S115の判定処理の結果、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われてから所定時間(200ms)が経過していないと判定された場合には(S115:NO)、上記S114の判定処理に戻る。一方、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われてから所定時間(200ms)が経過したと判定された場合には(S115:YES)、球詰まりや払出センサ303の故障等によって払出センサ303の検出エラーが発生していると考えられるので、S112の処理と同一内容のリトライ動作を実行する(S116)。
次に、S103の判定処理で、払出モータ304が28ステップ作動したと判定された場合に実行される回転センサ未検出時処理(S200)を図8のフローチャートを用いて説明する。
まず、払出モータ304を低速作動させる(S201)。上述のように、払出モータ304の低速作動では、遊技球払出速度が1分当り約60個となる。次に、払出センサ303による遊技球の検出が行われたか否かを判定する(S202)。この結果、払出センサ303による遊技球の検出が行われたと判定された場合には(S202:YES)、遊技球の払出予定数(払出残り球数)が「0」を上回っているか否かを判定する(S203)。
この結果、遊技球の払出予定数が「0」を上回っていると判定された場合には(S203:YES)、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われたか否かを判定する(S204)。この結果、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われていないと判定された場合には(S204:NO)、上記S202の処理に戻る。一方、回転センサ305による回転体302の位置検出が行われたと判定された場合には(S204:YES)、払出モータ304の作動を停止させる(S205)。これにより、回転体302が原点位置で停止する。
また、S203の判定処理で、遊技球の払出予定数が「0」を上回っていない(遊技球の払出予定数が「0」である)と判定された場合には(S203:NO)、最後の遊技球払い出しを行った際に回転センサ305による回転体302の位置検出が行われなかったこととなるので、この場合には、リトライ動作を行うことなく、払出モータ304の作動を停止させる(S205)。
次に、上記S202の判定処理で、払出センサ303による遊技球の検出が行われていないと判定された場合には(S202:NO)、球詰まりや払出センサ303の故障等によって払出センサ303の検出エラーが発生していると考えられるので、S112やS116の処理と同一内容のリトライ動作を実行する(S206)。
以上説明した本実施例では、複数個の遊技球の払い出しを1個ずつ連続的に行う際に、回転センサ305で回転体302が原点位置まで回転したことが回転センサ305により検出されてから、遊技球が払出センサ303により検出されるまでの時間を利用して、回転体302を予め払出開始位置の手前(払出準備位置)まで回転させてから払出モータ304を停止させる払出準備動作を行っている。これにより、次回の遊技球払出動作において、払出モータ304が作動を開始してから回転体302が払出開始位置まで回転するのに要する時間を短縮することができる。この結果、遊技球を1個払い出す毎に払出モータ304を一時的に停止させる構成において、遊技球を払い出すのに要する時間を短縮でき、遊技球の正確かつ迅速な払い出しを行うことができる。
また、本実施例では、遊技球の払出予定数が2個以上である場合に払出準備動作を行い、遊技球の払出予定数が1個である場合には払出準備動作を行わないように構成されている。これにより、遊技球の払出予定数が少なくなった場合(本実施例では残り1個になった場合)に、遊技球の払出速度(回転体302の回転速度)を減速させることができる。この結果、遊技球が余分に払い出されることなく最後の遊技球を正確に払い出すことができ、遊技球の払出精度を向上させることができる。
また、本実施例では、回転センサ305で回転体302の回転位置を検出できなかった場合に、払出モータ304を低速作動させて、回転体302の回転速度を通常よりも減速するように構成している。これにより、回転センサ302の故障や回転センサ302を故意に無効化する不正行為等の異常が発生したとしても、遊技球の払出速度が低速になるので、異常発生時における短期間での遊技球の払出数を極力少なくすることができる。この結果、異常発生によって遊技球が払い出されることによる損害を最小限に抑えることができ、遊技球の払出精度を向上させることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上記実施例では、遊技球の払出予定数(払出残り球数)が2個以上(払出予定数=N個:N≧2)の場合に払出準備動作を行い、2個未満(1個)の場合には払出準備動作を行わないように構成したが(図7のS105参照)、払出準備動作を行うか否かの判断基準となる払出予定数は2個以上に限定されるものではなく、例えば、払出予定数が3個以上の場合に払出準備動作を行い、3個未満(2個以下)の場合には払出準備動作を行わない構成としたり、払出予定数が4個以上の場合に払出準備動作を行い、4個未満(3個以下)の場合には払出準備動作を行わない構成としたりすることもできる。つまり、払出準備動作を行うか否かの判断基準となる遊技球の払出予定数(払出残り球数)は、遊技球の正確かつ迅速な払い出しを行うことが可能な範囲内で設定することができる。なお、遊技球の払出予定数(払出残り球数)が1個でも払出準備動作を行うように構成すると、払出要求に応じたすべての遊技球の払出完了によって払出モータ304の作動を停止させる際に、回転体302を確実に原点位置の状態(図6(a),(e)参照)とするのが困難となり、払出精度の低下を招く虞がある。このことから、遊技球の払出予定数(払出残り球数)が1個(2個未満)の場合には、上記実施例のように払出準備動作を行わないように構成するのが望ましい。
また、上記実施例では、回転体302が1回転することで4個の遊技球が払い出される(90°回転することで1個の遊技球が払い出される)ように構成したが、これに限定されるのではなく、回転体302の外周部に設けられた凹部の数を変更することで任意に変更することができる。
また、上記実施例では、払出モータ304が24ステップ作動することで回転体302が90°回転して遊技球が1個払い出されるように構成したが、払出モータ304のステップ数は機種等によって異なり、上記実施例の数値に限定されるものではない。