JP5262130B2 - 不定形耐火物の流し込み施工方法、及びこの施工方法に用いられる型枠装置 - Google Patents
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Description
従来、溶融金属容器に不定形耐火物を流し込みにより施工する場合、外気温に起因して不定形耐火物の施工温度、養生温度が異なるため、流し込みの際の流動性、流し込み後の硬化性に変化が生じ、施工時の作業性の悪化、乾燥時の施工体の爆裂等を招いたり、硬化後の施工体の耐久性にバラツキが生じる等の問題があった。
一方、特許文献2では、不定形耐火物の流し込み施工時に用いる型枠に発熱体を設け、不定形耐火物を流し込んだ後、外部から加熱することにより、不定形耐火物の硬化の促進を図る技術が提案されている。
さらに、特許文献4では、アルミナセメントをバインダとする不定形耐火物に水を加えて混練し、流し込みにより施工された施工体を35℃以上、75℃以下の温度域で10時間以上保持する技術が提案されている。
また、前記特許文献2に記載の技術では、低温時の型枠加熱による硬化促進を図ることしかできず、高温時の施工における問題は解決することができない。
さらに、前記特許文献3に記載の技術では、流し込み施工時の温度管理を行うには、大がかりな設備と場所を必要とする上、施工体を目的とする管理温度範囲に維持するということは実際上不可能である。
また、前記特許文献1〜特許文献4に記載の技術は、いずれも冬期の際の外気温が低い場合における対策を講じているに過ぎず、夏場の高温時の対策についてはいずれの文献にも記載も示唆もなく、年間を通じて安定した施工体を形成することのできる流し込み施工方法を提案したものはない。
例えば、外気温が高温となる夏期には、不定形耐火物が速く硬化しすぎて、溶融金属容器と型枠の間に流し込んだ混練バッチ毎の継ぎ目部に、局部的な硬化現象によりコールドジョイントが発生し、均一な一体流し込み施工が困難となると同時に、継ぎ目部への地金差しや亀裂誘発の原因となっている。
一方、冬期のように外気温が極端に低下している場合には、不定形耐火物を加温したり、温水で混練した不定形耐火物を流し込み施工するだけでは、流し込み施工後の養生時に耐火物を適正温度に保持することができずに、硬化遅延が発生する等のトラブルを確実に防止することは困難である。
[1] 型枠を用いて、溶融金属容器の内面に不定形耐火物を流し込み施工する不定形耐火物の流し込み施工方法であって、
前記溶融金属容器内面に所定の隙間を設けて配置され、型枠面の温度を検出する熱電対と、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段とを備え、前記不定形耐火物のバインダの種類に応じて20℃乃至45℃の範囲の所望の温度に型枠面を制御可能な型枠面温度制御手段を、該型枠面の内側に備えた型枠装置を設置する工程と、
前記溶融金属容器内面及び前記型枠装置の型枠面の隙間に前記不定形耐火物を流し込む工程と、
前記不定形耐火物の流し込み中及び流し込み後、前記型枠面温度制御手段により型枠面の温度を前記20℃乃至45℃の範囲の所望の温度となるように制御を行って、該不定形耐火物の恒温養生を行う工程と、を実施し、
前記冷却手段が、電流を流すことにより型枠面を冷却する熱電素子、又は、内部に冷媒が流れる冷却配管部材であることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
[2] [1]に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、
前記型枠装置を設置する工程と前記不定形耐火物を流し込む工程の間に、前記型枠面を20℃乃至45℃の範囲に制御する工程を実施することを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段として、電流を流すことにより型枠面を加熱又は冷却する熱電素子を備えていることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
[4] [3]に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、
前記型枠面温度制御手段は、複数の熱電素子を備え、
前記複数の熱電素子のうち、一部の熱電素子への電流供給源と他の一部の熱電素子への電流供給源とが独立していることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を冷却する冷却手段として内部に冷媒が流れる冷却配管部材と、前記型枠面を加熱する加熱手段として前記型枠面を加熱するシースヒータとを備えていることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
[6] [5]に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、
前記型枠面温度制御手段は、前記冷却配管部材及び前記シースヒータを複数備え、
前記複数の冷却配管部材のうち、一部の冷却配管部材への冷媒供給源と他の一部の冷却配管部材への冷媒供給源とが独立しており、
前記複数の加熱手段のうち、一部のシースヒータへの電流供給源と他の一部のシースヒータへの電流供給源とが独立していることを特徴とする不定形耐火物への流し込み施工方法。
型枠面の温度を検出する熱電対と、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段とを備え、前記不定形耐火物のバインダの種類に応じて20℃乃至45℃の範囲の所望の温度に型枠面を制御可能な型枠面温度制御手段を、該型枠面の内側に備えており、
前記冷却手段が、電流を流すことにより型枠面を冷却する熱電素子、又は、内部に冷媒が流れる冷却配管部材であることを特徴とする型枠装置。
[8] [7]に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段として、電流を流すことにより型枠面を加熱又は冷却する熱電素子と、前記型枠面の温度を検出する温度検出センサとを備えていることを特徴とする型枠装置。
[9] [8]に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、複数の熱電素子を備え、
前記複数の熱電素子のうち、一部の熱電素子への電流供給源と他の一部の熱電素子への電流供給源とが独立していることを特徴とする型枠装置。
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を冷却する冷却手段として内部に冷媒が流れる冷却配管部材と、前記型枠面を加熱する加熱手段として前記型枠面を加熱するシースヒータとを備えていることを特徴とする型枠装置。
[11] [10]に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、前記冷却配管部材及び前記シースヒータを複数備え、
前記複数の冷却配管部材のうち、一部の冷却配管部材への冷媒供給源と他の一部の冷却配管部材への冷媒供給源とが独立しており、
前記複数のシースヒータのうち、一部のシースヒータへの電流供給源と他の一部のシースヒータへの電流供給源とが独立していることを特徴とする型枠装置。
具体的には、型枠面温度制御手段による温度制御は、45℃以下とすることにより、コールドジョイントの発生を防止することができる。
このCAH10は、結晶サイズが式(3)の条件で生成するC3AH8の1/10以下であるため、極めて通気性の悪い組織となり、乾燥時に爆裂したり、CAH10(比重1.72)からC3AH8(比重2.52)へ転移する際に比重差から組織がポーラスになり、耐用性の低い施工体となることが知られている。
20℃≦施工時の温度≦35℃:2CA+9H→C2AH8・・・(2)
施工時の温度>35℃:3CA+8H→C3AH8・・・(3)
ここで、C:CaO、A:Al2O3、H:H20である。
従って、耐用性の高い施工体を形成するには、上記式(2)乃至式(3)の反応が促進されるように、流し込まれた不定形耐火物の温度制御を行うことが重要である。
以上のことから、式(1)の反応をなるべく進行させずに、式(2)乃至式(3)の反応を促進させるためには、施工時の温度を20℃以上とするのが好ましく、コールドジョイントを発生させないという観点からは、45℃以下とするのが好ましい。
例えば、珪酸ソーダ系、リン酸アルミニウム系は、水に対する溶解度と粘度の温度依存性が高く5℃以下では、殆ど溶解せず、下記式(4)、式(5)に示すゲル化反応による硬化が進行しなくなるため、少なくとも施工時の温度を10℃以上、安定してゲル化反応による硬化を進行させるには、施工時の温度を、20℃以上とするのが好ましい。
Na2O・nSiO2+mH2O→nSiO2・mH2O+Na2CO3・・・(4)
Al(H2PO4)+mH20→AlPO4・mH2O+2H3PO4・・・(5)
一方、45℃を超えると珪酸ソーダ系、リン酸アルミニウム系バインダでは、水への溶解度が急速に高くなり、硬化反応が極端に速まり、コールドジョイントの発生や粘性が低くなるために施工表面にバインダ成分が移動し、バインダ成分の集積層が生じる、いわゆるボンドマイグレーションが発生し、強度バラツキや表面亀裂の原因となる。
一方、バインダシステムを適正な速度で硬化させるには、夏期のように気温が高すぎる場合、型枠に設置した熱電素子、又は冷却配管部材を用いて型枠面を冷却することにより、施工体の反応速度をコントロールする。すなわち、熱電素子を用いた場合、加熱時とは逆向きに電位をかければ、型枠面は冷却される。一方、冷却配管部材を用いる場合には、配管内に水、空気、その他の冷媒を流通させ、型枠面を冷却する。
さらに、型枠面温度制御手段が冷却配管部材及び加熱手段を複数備えている場合、複数の冷却配管部材のうち、一部の冷却配管部材への冷媒供給源と他の一部の冷却配管部材への冷媒供給源が独立しており、複数の加熱手段のうち、一部の加熱手段への加熱源と他の一部の加熱手段への加熱源とが独立しているのが好ましい。
このように電流供給源、加熱源、冷媒供給源を独立させることにより、型枠の部位によって型枠面を最適温度に変更できるようになる。従って、流し込んだ不定形耐火物の上部と、下部とで異なる温度制御を行って、最適な硬化条件を設定することができる。また、溶融金属容器のスラグライン等のように、他の部位と異なる構成成分の不定形耐火物を使用する場合であっても、その部位のみ異なる温度制御条件を設定して、最適な硬化条件で養生することができる。
また、本発明の型枠装置は、上記発明に係る不定形耐火物の流し込み施工方法を実施する際に専ら利用することのできるものである。
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る不定形耐火物の流し込み施工方法を実施するための取鍋等の溶融金属容器1が示されており、溶融金属容器1の鉄皮2の内面には不定形耐火物Mが施工されている。この不定形耐火物Mは、アルミナ、マグネシア、シリカ等の耐火物粉末の他、アルミナセメント系のバインダを含有するものであり、鉄皮2の内面と所定の隙間を設けて配置される型枠装置3との間に流し込みにより施工される。
不定形耐火物の1バッチ当たりの流し込み量は、混練装置の大きさによって異なるが、一般に流し込み直前に混練するため、1バッチの流し込み量は2t程度であり、不定形耐火物の1バッチ毎の流し込みにより、図1の破線で示されるように、継ぎ目部が形成される。この継ぎ目部で局部的な硬化現象が生じると、コールドジョイントが発生し、施工体の耐用性が著しく低下する。
型枠装置3は、具体的には、図2に示されるように、溶融金属容器1の内面形状に倣う平面視円弧状の型枠面5と、型枠面5の内側に分散して配置される熱電素子6と、各熱電素子6に電流を供給する複数の電流供給源7とを備えて構成される。尚、図2の上部が型枠装置3の垂直方向上部である。
熱電素子6は、図3に示されるように、一対のセラミックス基板61、62の間に複数のP型素子65及びN型素子66が挟持された構成を具備し、各セラミックス基板61、62の互いに対向する面には、電極63、64が形成され、P型素子65の隣にはN型素子66が配置され、電極63、64によってP型素子65、N型素子66が交互に直列接続されている。
このような熱電素子6は、セラミック基板62の上部が熱伝導性接着剤や溶接材料等の熱伝導性材料67を介して型枠面5に貼り付けられている。
そして、下側のセラミックス基板61上の電極63に直流電源を接続し、P型素子65、N型素子66に電流を通すと、ペルチェ効果により、セラミックス基板61が発熱面とされ、セラミックス基板62が吸熱面とされ、これに伴い、型枠面5が冷却される。
一方、型枠面5を加熱する場合には、図3に示される電流の流れを逆向きとすれば、セラミックス基板62側が発熱面となり、型枠面5が加熱される。
さらに、本実施形態では、型枠装置3は、電流供給源7を備えており、型枠装置3それぞれが単体で温度制御できるようになっていたが、本発明はこれに限られない。
すなわち、型枠装置を小型に形成し、各型枠装置に設けられる熱電素子を相互に接続し、これに複数の型枠装置に1つの電流供給源から電流を供給するように構成してもよい。このように型枠装置を小型化することによって、混銑車のように炉内形状が複雑異形な施工部位に施工する場合でも、適切な温度の制御を行いながら施工を行うことができる。
また。本実施形態では、型枠装置3は型枠面5が一体形成されていたが、本発明はこれに限らず、型枠面5が分割された方式であってもよい。
まず、溶融金属容器1の鉄皮2の内面との間に100mm〜200mm程度の隙間が形成されるように、最下段の型枠装置3を設置する(工程S1)。
最下段の型枠装置3を設置した後、熱電対4を用いて型枠装置3の型枠面5の温度を検出し(工程S2)、検出温度を見ながら、熱電素子6に電流を供給して型枠面5の温度制御を開始する(工程S3)。尚、型枠装置3による温度制御は夏期、冬期いずれの場合でも、20℃乃至45℃の範囲で制御するのが好ましい。
最下段の流し込みが終了したら、その上に型枠装置3を設置する(工程S1)。以下、工程S1〜工程S4を繰り返して溶融金属容器1の内面に不定形耐火物Mがすべて施工されるまで繰り返す(工程S5)。尚、不定形耐火物Mの流し込みに際して、溶融金属容器1に収容される溶融金属の液面となるスラグラインの部分については、不定形耐火物Mの構成成分を変更して、より耐損耗性を向上させてもよい。この場合には、新たな成分に応じた温度制御条件を設定する必要がある。
不定形耐火物Mが硬化したと判定されたら(工程S8)、型枠装置3の脱型を行って作業を終了する(工程S9)。養生期間は、温度制御条件や、不定形耐火物Mの成分によっても異なるが、5時間〜10時間程度とするのが、作業効率上好ましい。
一方、冬期では、外気温よりも型枠面5の温度を高くして、不定形耐火物Mの温度を20℃乃至45℃に維持させることができるため、前述した式(1)のような20℃未満の反応を抑え、式(3)のような反応を促進させ、緻密で耐用性の高い施工体を溶融金属容器1の内面に施工することができる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述の第1実施形態では、温度制御手段として熱電対4及び熱電素子6を採用し、熱電対4で検出された温度に基づいて、熱電素子6への電流のフィードバック制御を行うことにより、型枠面5の温度制御を行っていた。また、熱電素子6による型枠面5の加熱、冷却の切替は、熱電素子6に流す電流の極性を逆転することで行っていた。
これに対して、本実施形態に係る型枠装置8は、図5に示されるように、型枠面5を加熱する加熱手段81と、型枠面5を冷却する冷却手段82が別々に設けられ、これらを利用して型枠面5の加熱、冷却制御を行っている点が相違する。
加熱手段81は、型枠面5の内面に蛇行するように配置される複数のシースヒータ811、812から構成され、上段のシースヒータ811への電流供給源と下段のシースヒータ812への電流供給源とは独立しており、型枠面5の上部と下部を異なる温度で加熱できるようになっている。
この冷却手段82では、上段の冷却配管部材821への冷媒供給源と、下段の冷却配管部材822への冷媒供給源とは独立しており、冷却配管部材821、822のそれぞれに異なる温度の冷媒を供給することにより、異なる温度で冷却することができるようになっている。
また、本実施形態では、加熱手段81の上段のシースヒータ811の電流供給源と、下段のシースヒータ812への、電流供給源とを独立させていたが、本発明はこれに限られず、上段のシースヒータ811及び下段のシースヒータ812への電流供給源を同一のものとし、シースヒータ811及びシースヒータ812に同時に電流を供給するように構成してもよい。
さらに、本実施形態では、冷却手段82の上段の冷却配管部材821と、下段の冷却配管部材822とは、異なる冷媒供給源から冷媒を供給するように構成していたが、これに限らず、同一の冷媒供給源から2つの冷却配管部材821、822に同時に冷媒を供給するように構成してもよい。
型枠装置8を用いた不定形耐火物の流し込み施工方法は、基本的に第1実施形態と同様である。
このような本実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の作用及び効果を享受できる上、熱電素子のような高価な部材を用いることなく、シースヒータ811、812、配管部材821、822等の極めて安価な材料で型枠装置8を形成できるので、型枠装置8の製造コストを大幅に低減することができる。
[実施例1]
外径500mm、高さ250mmの円筒状の溶融金属容器1の内部に、型枠装置3を設置し、円筒状で径300mm、高さ300mmの型枠面を形成し、不定形耐火物Mの流し込み施工を行った。
実施例に係る型枠装置3は、図2に示されるように型枠面5の内面全体に設けられる熱電素子6を備え、熱電対4により型枠外面の温度を検出しながら、熱電素子6の温度を制御するものである。
その後、アルミナ92質量%、マグネシア4質量%、シリカ1質量%の耐火物粉末に、アルミナセメントバインダを添加した不定形耐火物Mに、外掛けで水分を5.8質量%添加し、万能ミキサーにて混練した。
本発明の実施例1では、型枠面5の外面に取り付けた熱電対4の検出データに基づいて、熱電素子6に電流を流して型枠面5の加温、冷却を行い、型枠面5、施工体表面温度が概ね28℃となるように、フィードバック制御を行って恒温養生を行った。
一方、比較例1では、このような温度制御を行わず、外気温が2℃、25℃、38℃の条件下で通常の通りに流し込み施工を行って供試体を得た。
また、コールドジョイントの有無については、円筒状の供試体の高さ方向に切断した切断面を観察した。
4時間経過後、各供試体の損耗量を測定し、実施例1のNo.2を100として、実施例の他の番号の供試体、比較例の各番号の供試体における耐食性を指数化した。結果を表1に示す。尚、耐食性指数は、大きい程損耗量が多いことを表している。
これに対して、比較例1のNo.4〜No.6では、外気温の影響を大きく受け、2℃で養生したNo.4では、見掛け気孔率、圧縮強度、及び耐食性指数が、通常の25℃で養生したNo.5に比較して、耐火物としての品質が大きく低下している。また、38℃で養生したNo.6では、コールドジョイントが発生してしまい、結果として圧縮強度が低下してしまった。
実施例1の場合と同様に、アルミナ92質量%、マグネシア4質量%、シリカ1質量%の耐火物粉末に、珪酸ソーダバインダを添加した不定形耐火物に、外掛けで水分を5.8質量%添加し、万能ミキサーにて混練した。
この不定形耐火物を、実施例1と同様に、型枠装置3を用いて恒温養生を行った実施例2と、比較例1と同様に、温度制御を行わずに、外気温が2℃、25℃、38℃の条件下で通常の通りに流し込み施工を行った比較例2とで供試体を得て比較した。調査項目及び調査手段については、実施例1、比較例1と同様であり、耐食性指数は、実施例2のNo.8を100として指数化している。
結果を表2に示す。
実施例1の場合と同様に、アルミナ92質量%、マグネシア4質量%、シリカ1質量%の耐火物粉末に、リン酸アルミニウムバインダを添加した不定形耐火物に、外掛けで水分を5.8質量%添加し、万能ミキサーにて混練した。
この不定形耐火物を、実施例1と同様に、型枠装置3を用いて恒温養生を行った実施例3と、比較例1と同様に、温度制御を行わずに、外気温が2℃、25℃、38℃の条件下で通常の通りに流し込み施工を行った比較例3とで供試体を得て比較した。調査項目及び調査手段については、実施例1、比較例1と同様であり、耐食性指数は、実施例3のNo.14を100として指数化している。
結果を表3に示す。
以上のことから、いずれのバインダを添加した不定形耐火物も、型枠装置3を用いることで適切な温度で養生することが可能となり、機械的特性(圧縮強度)や耐食性の向上の効果が認められ、本発明に係る不定形耐火物の流し込み施工方法を採用することにより、外気温の影響を受けることなく、夏期でも冬期でも安定して施工できることが確認された。
Claims (11)
- 型枠を用いて、溶融金属容器の内面に不定形耐火物を流し込み施工する不定形耐火物の流し込み施工方法であって、
前記溶融金属容器内面に所定の隙間を設けて配置され、型枠面の温度を検出する熱電対と、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段とを備え、前記不定形耐火物のバインダの種類に応じて20℃乃至45℃の範囲の所望の温度に型枠面を制御可能な型枠面温度制御手段を、該型枠面の内側に備えた型枠装置を設置する工程と、
前記溶融金属容器内面及び前記型枠装置の型枠面の隙間に前記不定形耐火物を流し込む工程と、
前記不定形耐火物の流し込み中及び流し込み後、前記型枠面温度制御手段により型枠面の温度を前記20℃乃至45℃の範囲の所望の温度となるように制御を行って、該不定形耐火物の恒温養生を行う工程と、を実施し、
前記冷却手段が、電流を流すことにより型枠面を冷却する熱電素子、又は、内部に冷媒が流れる冷却配管部材であることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。 - 請求項1に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、
前記型枠装置を設置する工程と前記不定形耐火物を流し込む工程の間に、前記型枠面を20℃乃至45℃の範囲に制御する工程を実施することを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。 - 請求項1又は請求項2に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段として、電流を流すことにより型枠面を加熱又は冷却する熱電素子を備えていることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。 - 請求項3に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、前記型枠面温度制御手段は、複数の熱電素子を備え、前記複数の熱電素子のうち、一部の熱電素子への電流供給源と他の一部の熱電素子への電流供給源とが独立していることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
- 請求項1又は請求項2に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を冷却する冷却手段として内部に冷媒が流れる冷却配管部材と、前記型枠面を加熱する加熱手段として前記型枠面を加熱するシースヒータとを備えていることを特徴とする不定形耐火物の流し込み施工方法。
- 請求項5に記載の不定形耐火物の流し込み施工方法において、
前記型枠面温度制御手段は、前記冷却配管部材及び前記シースヒータを複数備え、
前記複数の冷却配管部材のうち、一部の冷却配管部材への冷媒供給源と他の一部の冷却配管部材への冷媒供給源とが独立しており、
前記複数のシースヒータのうち、一部のシースヒータへの電流供給源と他の一部のシースヒータへの電流供給源とが独立していることを特徴とする不定形耐火物への流し込み施工方法。 - 溶融金属容器の内面に所定の隙間を設けて配置され、該隙間に不定形耐火物を流し込み施工して不定形耐火物の恒温養生を行う不定形耐火物の流し込み施工方法に用いられる型枠装置であって、
型枠面の温度を検出する熱電対と、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段とを備え、前記不定形耐火物のバインダの種類に応じて20℃乃至45℃の範囲の所望の温度に型枠面を制御可能な型枠面温度制御手段を、該型枠面の内側に備えており、
前記冷却手段が、電流を流すことにより型枠面を冷却する熱電素子、又は、内部に冷媒が流れる冷却配管部材であることを特徴とする型枠装置。 - 請求項7に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を加熱する加熱手段と、前記型枠面を冷却する冷却手段として、電流を流すことにより型枠面を加熱又は冷却する熱電素子を備えていることを特徴とする型枠装置。 - 請求項8に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、複数の熱電素子を備え、
前記複数の熱電素子のうち、一部の熱電素子への電流供給源と他の一部の熱電素子への電流供給源とが独立していることを特徴とする型枠装置。 - 請求項7に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、前記型枠面を冷却する冷却手段として内部に冷媒が流れる冷却配管部材と、前記型枠面を加熱する加熱手段として前記型枠面を加熱するシースヒータとを備えていることを特徴とする型枠装置。 - 請求項10に記載の型枠装置において、
前記型枠面温度制御手段は、前記冷却配管部材及び前記シースヒータを複数備え、
前記複数の冷却配管部材のうち、一部の冷却配管部材への冷媒供給源と他の一部の冷却配管部材への冷媒供給源とが独立しており、
前記複数のシースヒータのうち、一部のシースヒータへの電流供給源と他の一部のシースヒータへの電流供給源とが独立していることを特徴とする型枠装置。
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