JP2008240127A - 貯銑炉とその操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、普通鋼溶製用溶銑ばかりでなく、Cr含有溶銑の貯蔵に用いても、従来に比べ内張り耐火物の寿命が延長する貯銑炉と、その延長を一層増進させるのに有効な貯銑炉の操業方法を提供することを目的としている。
【解決手段】耐火物で内張りされ、溶銑を貯蔵すると共に、溝型誘導加熱装置を備え、該溶銑の昇熱及び成分調整、並びに別途投入する冷鉄源の溶解を可能にした貯銑炉を改良した。その改良は、内張りに、中性耐火物を80質量%以上含有する耐火物を用いることであり、その場合、前記中性耐火物を、酸化アルミと、酸化クロム及び/又は炭化珪素との混合物とするのが好ましい。また、かかる貯銑炉に溶銑を貯蔵するに際して、その操業方法も改良した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、貯銑炉とその操業方法に係わり、特に、溝型誘導加熱装置を備え、貯蔵した溶銑の加熱、成分調整及び別途投入した冷鉄源の溶解を行っても、内張り耐火物の寿命が従来より長い貯銑炉と、寿命の延長促進に有効な該炉の操業方法に関する。
通常、高炉から出銑した溶銑は、所謂「溶銑予備処理」としての脱珪処理された後に、溶銑鍋や混銑車(トピードカー)に受け、さらに脱燐、脱硫等の予備処理を施してから、引き続き以降の精錬を行う転炉へ供給される。しかしながら、高炉からの出銑量や転炉での溶鋼生産量の変動や、連続鋳造での鋳込みタイミングとの関係で、溶銑の転炉への供給条件が変動するので、溶銑鍋や混銑車からの溶銑の供給量が不足する場合には、転炉の安定に悪影響を与えることもある。そのため、予備処理後の溶銑を予め一時的に貯蔵し、転炉への溶銑供給能力の増大を図っている。この貯蔵に、「貯銑炉」と称する容器が用いられ、最近では、貯蔵した溶銑の温度調整、成分調整及び別途投入する冷鉄源(例えば、鉄スクラップ「以下、単にスクラップ」や冷銑鉄等)の溶解をも行えるように、溝型誘導加熱装置を備えたものが普及しつつある。
このような貯銑炉は、一般的に数百トンから千数百トンの溶銑を貯蔵及び/又は昇温し、また冷鉄源を溶解するため、炉の内壁を耐火物で内張りして保護する構造になっている。この内張り耐火物は、炉の使用で損耗するので、その補修や張替えが必須である。加熱機能のない貯銑炉であれば、操業の途中で炉内の溶銑を全て排出した後に損耗部の部分修理・吹付け補修などが可能であったが、溝型誘導加熱装置がある場合は、完全停止した上で、加熱装置の交換を含めた内張り耐火物の張替えのために、炉の操業を長期間停止しなければならない。
最近は、高炉溶銑を単に貯蔵するだけでなく、Cr鉱石を溶融還元炉で直接還元して得たCr含有溶銑をも貯蔵するようになっているので、貯銑炉の操業停止時には、溶製プロセスの変更が必要となる等(例えば、クロム合金を溶解して含Cr溶銑を得るプロセスに変更)、溶鋼を溶製する際の生産性の低下や溶製コストの増加という問題が生じている。
貯銑炉の内張りには、一般に、塩基性耐火物であるマグネシア・クロミア質耐火物が用いられていた(特許文献1参照)。普通鋼溶製用の溶銑(つまり、予備処理で脱珪、脱燐された溶銑)を貯蔵する場合には、随伴するスラグの塩基度が1.0を超えて比較的高いことが多いので、塩基性スラグに耐溶損性の高い塩基性のマグネシア・クロミア質耐火物が採用されてきたのである。
一方で、特に、溝型誘導加熱装置を備えた貯銑炉では、スクラップ及び冷銑鉄を溶解するので、これらに含有されている珪素(記号:Si)により炉内Si濃度が上昇し、これが酸化されてSiOとなり炉内に滞留する溶銑滓(以下、スラグという)は著しい酸性になることがある。
このように、誘導加熱装置を備えた貯銑炉は、溶銑中の珪素(記号:Si)濃度の変化や、スクラップ及び冷銑鉄中の珪素濃度の変化、溶銑又はスクラップに随伴して貯銑炉に投入されるスラグの組成の変化によって、炉内に滞留するスラグの組成が大きく変動し、その塩基度は、0.2〜3.0の範囲で比較的広く変動する。従来より、炉寿命の向上のために、内張り耐火物の材質変更に関する研究も行われて来ている。例えば、普通鋼溶製用溶銑のみを装入する貯銑炉の操業では、従来通りに、内張りに塩基性のマグネシア−クロミア質耐火物を用い、スラグを1.0〜2.5程度の塩基度範囲になるように調整して、その寿命の安定化を図ってきた。また、このスラグの塩基度を0.8〜2.0の範囲に調整するという貯銑炉の操業方法も開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、従来と異なり、普通鋼溶製用の溶銑又はCr含有溶銑の溶銑量の増大を図る貯銑炉の操業において、炉内に滞留するスラグの塩基度が0.8以下に低下した場合に、該貯銑炉の内張り耐火物の溶損及び亀裂剥離による損耗が著しく増大するという問題がいぜんとして残っている。通常、塩基度が低下した場合、これを制御する方法としては、生石灰などCaO源の投入があるが、塩基度が著しく低下して大量に投入する必要がある場合、貯銑炉は炉内スラグの撹拌手段を持たないため、スラグの局所的な固化などによる排滓性の低下が発生する。排滓性が低下し、炉内スラグ量が増大すると、耐火物の損耗速度が増加することに加え、スクラップがスラグ中に滞留して溶解しなくなるという問題が発生する。そこで、この問題を解決すべく、貯銑炉の内張り耐火物の組成及び操業方法の改善が熱望されていた。
特開平3−31691号公報 特開2004−218039号公報
本発明は、かかる事情に鑑み、普通鋼溶製用溶銑ばかりでなく、Cr含有溶銑の貯蔵に用いても、従来に比べ内張り耐火物の寿命が延長する貯銑炉と、その延長を一層増進させるのに有効な貯銑炉の操業方法を提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
すなわち、本発明は、耐火物で内張りされ、溶銑を貯蔵すると共に、溝型誘導加熱装置を備え、該溶銑の昇熱及び成分調整、並びに別途投入する冷鉄源の溶解を可能にした貯銑炉であって、前記内張りに、中性耐火物を80質量%以上含有する耐火物を用いることを特徴とする貯銑炉である。
この場合、前記中性耐火物を、酸化アルミと、酸化クロム及び/又は炭化珪素との混合物としたり、あるいは前記酸化アルミの前記中性耐火物での含有比率を、60質量%〜100質量%未満とするのが好ましい。
また、本発明は、上記いずれかの耐火物を内張りした貯銑炉に溶銑を貯蔵するに際して、前記溶銑を普通鋼溶製用溶銑又はCr含有溶銑とし、かつ該溶銑上に浮遊するスラグの塩基度(=CaO/SiOの質量比率)が0.3以上0.8以下になるように、前記貯銑炉内へSi含有溶銑、Si含有合金鉄及びSi含有合金鉄スクラップのうちの少なくともいずれか1種を添加して該塩基度を調整することを特徴とする貯銑炉の操業方法である。
本発明によれば、普通鋼溶製用溶銑又はCr含有溶銑を貯銑炉に貯蔵するに際して、これら溶銑上に、塩基度0.3以上0.8以下の低塩基度のスラグが浮遊した炉内環境であっても、内張り耐火物の寿命を著しく延長させることが可能となる。
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の最良の実施形態を説明する。
まず、本発明の対象とする貯銑炉の一例を図7(a)及び(b)に示す。その貯銑炉1は、円筒形の鉄皮2に耐火物3を内張りし、支持台4の上で回動可能に載置されている。そして、該炉の底部に長手方向に沿い、互いを均等に離隔して4基の溝型誘導加熱装置5が設けてある。また、上部には、クレーン等の搬送手段(図示せず)によって、溶銑を炉内へ装入するための開閉蓋を備えた受銑口6と、炉内から溶銑をサンプリングするための開閉蓋を備えたサンプリング口7と、炉の内部の溶銑を外部に排出するための出銑口8とが設けてある。溝型誘導加熱装置5は、図7(c)に示すように、長方形の耐火物で内張りされた容器9であり、その上部が炉底部に接して開口し、内部に二列で誘導コイル10を平行に併設したものである。そのため、該容器9と誘導コイル10との間隙には、炉本体より吸引された溶銑11が通過し、炉本体へ吐出するための溝12が形成されている。
かかる構造の貯銑炉では、普通鋼溶製用溶銑又はCr含有溶銑を貯蔵するにために、耐溶損性を重視して、内張り耐火物としてマグネシア−クロミア質れんがを用いていた。従来から知られていることであるが、マグネシア−クロミア質れんがは、炉内の溶銑上に浮遊しているスラグの組成に応じて、その損耗速度が変化する。実際にも、炉内のスラグの塩基度(=(CaO/SiO)の質量比)が1.2から0.6に低下した際に、耐火物の損耗速度が0.8mm/日から1.6mm/日に増大する現象が観察された。
そこで、発明者は、まず、スラグ組成を代表させる指標として塩基度を用い、マグネシア−クロミア質れんが(以下、マグクロれんがと略す。その組成は、マグネシア75質量%、クロミア20質量%、シリカ5質量%)の損耗速度を実験的に確認することにした。ここで、損耗速度は、ある塩基度における実測した損耗量(xi)を塩基度1.5の際の損耗量(y)で除し、これに100を乗じた損耗指数(Xi)として表した(Xi=xi÷y×100)。つまり、この指数が大きいほど、損耗速度が大きい。また、塩基度を変化させるための酸化カルシウム(CaO)及び酸化珪素(SiO)以外のスラグ成分は、マグネシア15質量%、酸化鉄5質量%、酸化クロム5質量%とした。実験方法は、マグクロれんがで製作したるつぼに、種々の塩基度を有する上記スラグ組成物を入れ、電気炉で溶解した後、るつぼ壁を鉛直方向に切断し、原れんに対する損耗量を定規を用いて実測した。実験結果を図6に示す。
図6より、スラグの塩基度が1.0より小さくなると(酸性になっていく)、マグクロれんがの前記した損耗指数が増加していることが明らかである。
耐火物の寿命を延長する方法として、炉内へ副原料(例えば、石灰粉)を投入してスラグの塩基度を調整するという方法も実施されている。しかしながら、本発明の対象である貯銑炉は溶銑、スラグ等の機械的な撹拌手段を有していないので、溶銑の受銑口6から前記副原料を投入しても、スラグに局所的な成分変動が発生するだけで、スラグ組成を全体で均一にするのは困難であった。そこで、発明者は、引き続き、スラグの塩基度が1.0未満になっても、寿命が延長するような耐火物の開発を行うことにした。
具体的には、耐溶損性が低下する恐れはあるが、中性耐火物の配合を増加させることに着眼したのである。中性耐火物としては、種々のものがあるが、酸化アルミ、酸化クロム及び炭化珪素を用いた。図1に、上記した中性耐火物の含有比率を指標として、前記と同じ方法で試料の損耗指数を求める実験を行った。その結果を図1に示す。損耗指数の算出において、y値としては、中性耐火物の含有比率が20質量%の際の損耗量を採用した。また、酸化カルシウム、酸化珪素以外のスラグの成分は、マグネシア15質量%、酸化鉄5質量%、酸化クロム5質量%とした。
図1より、スラグの塩基度が0.3及び0.8のいずれの場合も、中性耐火物の含有比率に対する損耗指標は、同様の傾向を示し、中性耐火物の含有比率が80質量%以上では、その損耗指標が低下して改善していることが明らかである。この実験結果から、損耗指数だけの観点では、スラグの塩基度が0.3以上且つ0.8以下の場合には、中性耐火物の含有比率が80質量%以上の耐火物を用いるのが、耐火物の寿命延長に効果的であると判断できた。
一方で、耐スポーリング性についても評価を行った。スポーリングとは、れんがの稼動面と背面との間に著しい温度勾配がある場合に、れんが材質の膨張率差が原因となりれんがの内部に割れが発生するものや、れんがの稼動面側からスラグや溶銑がれんが内部へ浸透した結果、れんが材質の構造変化が発生した場合に、原れんが部と構造変化部の膨張率差が原因となりれんがの内部に割れが発生する現象を有す。
このスポーリングへの耐性の強さを耐スポーリング性と表現する。原れんがに熱負荷を与えた場合や、一部スラグ浸透試験後に熱負荷を与えた場合について、マグネシア・クロミア質れんがと中性耐火物含有比率80%以上のれんがとを比較試験したところ、塩基度0.3までは耐スポーリング性が同等であることがわかった。しかし、塩基度が0.3未満のケースでは、詳細なメカニズムは定かではないが、マグネシア・クロミア質れんがに比べて中性耐火物含有比率60%以上のれんがは耐スポーリング性が50%程度に劣化した。この結果から、中性耐火物含有比率80%以上のれんがが、マグネシア・クロミア質れんがに比べて優位であるのは、塩基度が0.3以上かつ0.8以下の操業下であることがわかった。
次に、発明者は、中性耐火物の含有比率が80質量%以上の耐火物で内張りするという本発明の内容を、さらに改良することを検討した。
まず、本発明では、中性耐火物の内容を特に限定しないものとする。ただし、中性耐火物として入手し易く、実用の実績があり、且つ経済的にも有利なので、酸化アルミと、酸化クロム及び/又は炭化珪素との混合物の使用を推奨する。ここで、酸化クロム及び/又は炭化珪素を混合するのは、耐溶損性及び/又は耐スポーリング性の向上というメリットがあるからである。
また、一般的に、中性耐火物の原料として多く使用されるのは酸化アルミであるので、発明者は、前記したと同様の実験手法で、耐火物中における酸化アルミの酸化クロム及び/又は炭化珪素に対する含有比率の影響を詳細に調査した。その実験結果を、各耐火物中の酸化アルミの含有比率と前記耐火物の損耗指数との関係として図2に示す。各種の実験条件は図1の場合と同じである。
図2によれば、スラグの塩基度が0.3及び0.8のいずれの場合も、酸化アルミの使用比率に対する耐火物の損耗指標は同様の傾向を示し、酸化アルミの含有比率が60質量%〜100質量%未満の範囲において、耐火物の損耗指標が低下し、改善していることが明らかである。この結果から、スラグの塩基度が0.3以上かつ0.8以下の場合には、中性耐火物の含有比率が80質量%以上で、かつ酸化アルミの含有比率が60質量%〜100質量%未満の耐火物を用いるのが、耐火物の寿命向上に一層効果的であると判断でき、発明者は、このことも本発明に加えることにした。なお、酸化アルミの上限を100質量%未満としたのは、100質量%も含めると、酸化クロム及び炭化珪素の配合ができなくなるからである。
さらに、発明者は、上記した本発明に係る貯銑炉の寿命をさらに促進させることも配慮し、溶銑上に浮遊するスラグの塩基度(=CaO/SiOの質量比率)が0.3以上かつ0.8以下になるように、これを制御する操業方法を提案する。塩基度の指標であるCaOあるいはSiOそのものを含有する副原料(例えば生石灰、珪石、砂利)を炉内に直接投入あるいは装入鍋に前置きした後に該鍋に溶銑を受け、これを炉内に装入する方法が公知の手法として知られている。しかし、このような方法では、炉内スラグの機械的な撹拌手段をもたない貯銑炉では、スラグ組成の均一化が難しく、局所的なスラグ組成の変化によるスラグの排滓性低下を招くことが多い。
そこで、発明者は、炉内への副原料の直接投入ではなく、溶銑成分の酸化によるスラグ組成の制御方法を考案した。貯銑炉は溶銑とスラグの間に動的な撹拌力を付与することが困難であることから、静的な反応によるスラグ組成制御を試みたものである。
AnO+B→A+BmO ・・(1)式
(1)式は、元素Aと元素Bの酸化還元反応を示すものであるが、元素Bの酸化力が元素Aの酸化力以上である場合、非平衡状態にある時は(1)式のように右側に反応が進む。そこで、発明者は、スラグ中の酸化物と溶銑中の元素の平衡関係から、溶銑中のSi濃度を上昇させることで、スラグ中の酸化鉄や酸化マンガン、酸化クロムなどの酸化物が還元され、酸化ケイ素(SiO)が発生することを突き止めた。溶銑中の成分は、溝型誘導加熱装置により発生する溶銑や溶銑装入時の溶銑流、あるいは熱対流によって均一になるため、炉内の溶銑とスラグの界面全体において、溶銑中のSiの酸化によるSiOの発生が均一に起きる。そして、溶銑へのSi供給源としては、Si含有溶銑又はSi含有合金鉄又はSi含有合金鉄スクラップのように、炉内溶銑量の増加も伴い、かつ容易に入手可能なもので対応できるという利点がある。
Si含有溶銑,Si含有合金鉄及びSi含有合金鉄スクラップのうちの少なくともいずれか一種を積極的に炉内に供給することで、溶銑中のSi濃度を上昇させれば、炉内スラグへSiOが供給されて炉内スラグの塩基度は容易に0.8以下に制御できる。また、炉内スラグの塩基度が0.3以下に低下しそうな場合は、Si含有溶銑、Si含有合金鉄及びSi含有合金鉄スクラップのうちの少なくともいずれか一種の炉内供給を制御することで容易に対応できる。
すなわち、この方法によれば、スラグの塩基度をも積極的に0.3以上かたす0.8以下になるようにするので、内張り耐火物の中性化による寿命延長効果に上乗せして、寿命の向上が図れる。
(実施例1)
予備処理脱燐した普通鋼溶製用溶銑を貯蔵した貯銑炉に、表1に示す3種類の異なる組成の耐火物を、同一時期にそれぞれ該貯銑炉のスラグライン(溶銑に浮遊するスラグが耐火物と接触する部位)となる位置に内張りした。炉内に貯蔵している脱燐溶銑は、燐が0.005〜0.05質量%の所謂「低燐銑」である。
また、スラグ組成制御のため、スラグ中のSiO濃度に応じて、溶銑中のSi濃度が0.05%〜0.15%となるようにSi含有溶銑及びSi含有合金鉄スクラップの装入を行った。その結果として、この調査期間中に貯銑炉内に存在していたスラグの塩基度は0.4〜0.8の間で推移し、期間平均のスラグ塩基度は0.7であった。
停止後の耐火物から損耗量を測定し、損耗指数化した結果を図3に示す。図3に示したように、本発明を実施していない比較例に対して、本発明を実施した、中性耐火物の含有比率が94質量%以上、また酸化アルミの含有比率が60質量%以上の場合において、耐火物の損耗指数が最大36ポイント低下し、その寿命が向上することが期待できる。
Figure 2008240127
(実施例2)
溶融還元炉で脱燐溶銑にクロム鉱石を投入し、これを溶融還元してCr含有溶銑を得て、貯銑炉に貯蔵した。該貯銑炉には、それぞれが異なる3種類の表2に示す組成の耐火物を、スラグラインに内張りした。炉内に貯蔵している溶銑は、クロム濃度3質量%〜13質量%、かつ燐濃度が0.005〜0.05質量%の含クロム低燐溶銑である。
また、スラグ組成は意識的には制御せず、クロム濃度調整のために、Si含有フェロクロム合金の装入を行った。その結果として、この調査期間中に貯銑炉内に存在していたスラグの塩基度は0.5〜1.0の間で推移し、期間平均の塩基度は0.8であった。停止後の耐火物から損耗量を測定し、損耗指数化した結果を図4に示す。図4より、本発明の実施である、中性耐火物の含有比率が80質量%以上で、酸化アルミの含有比率が72質量%以上の場合において、損耗指数が最大24ポイント低下していることが明らかである。
Figure 2008240127
(実施例3)
実施例2と同様に、含クロム脱燐溶銑を貯蔵した貯銑炉に、前記の表2に示す組成の耐火物をそれぞれスラグラインに内張りした。炉内に貯蔵している溶銑は、クロム濃度が3〜13質量%で、かつ燐濃度が0.005〜0.05質量%の含クロム低燐溶銑である。
この調査期間中はSi含有フェロクロム合金の装入も行わず、スラグの塩基度は0.8〜1.7の間で推移し、期間平均の塩基度は1.4であった。
停止後の耐火物から損耗量を測定し、損耗指数化した結果を図5に示す。図5より、本発明の実施である、中性耐火物の含有比率が80質量%以上で、また酸化アルミの含有比率が72質量%以上の場合において、損耗指数は最大13ポイント増加した。
しかしながら、前記実施例1及び前記実施例2における本発明適用による損耗指数の低下は最大36ポイントであり、マグネシア・クロミア質れんがを内張りした塩基度0.8以上の従来の操業方法に比べて本発明による損耗が小さいことも確認できた。
以上述べたように、本発明に係るれんがは、このように、スラグの塩基度が0.3以上かつ0.8以下の場合には従来のマグネシア−クロム質れんがに比べて耐損耗性が高く、スラグの塩基度が1.0を超える場合でも、耐損耗性の低下程度が小さく、貯銑炉の内張り耐火物として非常に有効であることがわかった。
内張り耐火物の中性耐火物使用比率と損耗指数との関係を示す図である。 内張り耐火物の酸化アルミ使用比率と損耗指数との関係を示す図である。 実施例1の結果として、内張り耐火物の損耗指数を、本発明例と比較例とで対比して示す図である。 実施例2の結果として、内張り耐火物の損耗指数を、本発明例と比較例とで対比して示す図である。 実施例3の結果として、内張り耐火物の損耗指数を、本発明例と比較例とで対比して示す図である。 スラグの塩基度とマグクロれんがの損耗指数との関係を示す図である。 溝型誘導加熱装置を備えた貯銑炉の一例を示す図であり、(a)は平面を、(b)は(a)のA―A矢視を、(c)は溝型誘導加熱装置の横断面を示している。
符号の説明
1 貯銑炉
2 鉄皮
3 耐火物
4 支持台
5 溝型誘導加熱装置
6 受銑口
7 サンプリング口
8 出銑口
9 耐火物で内張りされた容器
10 誘導コイル
11 溶銑
12 溝


Claims (4)

  1. 耐火物で内張りされ、溶銑を貯蔵すると共に、溝型誘導加熱装置を備え、該溶銑の昇熱及び成分調整、並びに別途投入する冷鉄源の溶解を可能にした貯銑炉であって、
    前記内張りに、中性耐火物を80質量%以上含有する耐火物を用いることを特徴とする貯銑炉。
  2. 前記中性耐火物を、酸化アルミと、酸化クロム及び/又は炭化珪素との混合物とすることを特徴とする請求項1記載の貯銑炉。
  3. 前記酸化アルミの前記中性耐火物での含有比率を、60質量%〜100質量%未満とすることを特徴とする請求項2記載の貯銑炉。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の貯銑炉に溶銑を貯蔵するに際して、
    前記溶銑を普通鋼溶製用溶銑又はCr含有溶銑とし、かつ該溶銑上に浮遊するスラグの塩基度(=CaO/SiOの質量比率)が0.3〜0.8になるように、前記貯銑炉内へSi含有溶銑、Si含有合金鉄及びSi含有合金鉄スクラップのうちの少なくともいずれか一種を添加して該塩基度を調整することを特徴とする貯銑炉の操業方法。
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