JP6947374B2 - 鋳鉄の精錬方法 - Google Patents

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本発明は、鋳鉄溶湯中のマンガン、リン及び硼素の除去に係る鋳鉄の精錬方法に関する。
自動車部品や機械部品に鋳鉄鋳物が使用されている。鋳鉄鋳物の約半分が自動車用として生産され、自動車総重量の約10%が鋳鉄鋳物であるとされる。この鋳鉄鋳物の原材料に鋳物用銑が使用されている。鋳物用銑は、高炉で製造される製鋼用の溶銑と同様な方法で製造されており、高炉から出銑した溶銑に脱珪、脱リン、脱硫などの予備処理を行った後に適当な成分調整が行われ、冷却されて所定形状の鋳物用銑として製造される。溶銑の脱リンや脱硫は、例えば、溶鉄鍋、混銑車等において空気などと共に生石灰等を吹き込んで脱リンし、窒素などと共に生石灰、炭酸ソーダ等を吹込むかあるいはこれらを投入し、攪拌して脱硫が行われている。
この高炉から出銑した溶銑を脱珪、脱燐又は脱硫処理して得られた鋳物用銑は、溶銑の脱燐、脱硫などの工程において温度低下が著しいことから、その表面に穴あきやふくれ等を生じ易いという問題があった。かかる問題に対して特許文献1に、高炉から出銑した溶銑を脱燐脱硫した後に鋳銑する高純度鋳物銑鉄において、少なくとも脱燐中において酸素を富化した空気を上吹きし、炭素を添加して鋳銑を行なうが、鋳銑時にSiを添加し、Siの添加量を鋳銑中の温度低下に応じて増量する高純度鋳物用銑鉄の製造方法が提案されている。
また、溶銑の脱リンについて特許文献2に、フラックス添加と酸素上吹きおよび底吹
き攪拌とを行って溶銑を脱りん精錬する際に、底吹き攪拌動力が1.0kW/t以上、処理後のスラグ中のCaO/SiO2が0.6以上2.5以下、処理終点温度が1250℃以上1400℃以下となるように投入フラックス量および/または底吹きガス量を調整して脱りん精錬を行う転炉製鋼法が提案されている。
この一方、鉄鋼材料の高性能化、軽量化、高機能化などが進められているところ、昨今の希少金属の価格高騰から、コスト削減のため比較的安価なMnの添加が行なわれ鉄スクラップ中のMn含有量が増加していることから、係るスクラップを鋳鉄鋳物の原料とする鋳鉄溶湯中の不純物除去方法が特許文献3に提案されている。すなわち、あらかじめ溶融された鋳鉄溶湯中に含まれている炭素(C)およびシリコン(Si)の減耗を抑制しながら、マンガン(Mn)を含む不純物を除去する方法であって、前記鋳鉄溶湯の温度を1250℃以上1500℃未満に維持して、該溶湯と酸性スラグ層とを接触させながら、燃料と酸素との理論燃焼比(酸素量(体積)×5/燃料(体積)量)が1〜1.5である酸素過剰の火炎を前記鋳鉄溶湯の表面に直接暴露して、該表面を過熱する鋳鉄溶湯中の不純物除去方法が提案されている。この不純物除去方法は、酸素過剰の火炎が溶湯表面を火炎に直接暴露して、残りの溶湯表面を酸性スラグに接触させながら溶湯全体の温度を上昇させることなく不純物除去処理するので、1250℃以上1500℃において、給湯後のC、Siの減耗を抑制しながらの脱Mn処理を行うことができるとされる。
また、特許文献4に、鋳鉄溶湯中に酸化剤及び石灰系フラックスを添加してリンを除去する鋳鉄溶湯からの脱リン方法において、硫黄及び硫黄化合物の少なくともいずれか一方を含む硫黄添加剤を添加する鋳鉄溶湯からの脱リン方法が提案されている。この脱リン方法によれば、リン含有量を0.08質量%以下にすることができ、伸びや粘りや強さのある高品質の球状黒鉛鋳鉄を製造することができるとされる。
特開平05-33028号公報 特開平07-70626号公報 特開2011-153359号公報 特開2002-285220号公報
高炉から出銑した溶銑の脱珪、脱燐又は脱硫処理に関して様々な方法が提案されているが、特許文献3に示すように社会環境の変化又は時代的な要請により、新たな脱珪、脱燐又は脱硫処理が必要になってくる。特に、鋼板スクラップのMn含有量の増加問題は、自動車の軽量化の要請に伴いマンガンを多く含む鋼板の使用量が増大しており、そのスクラップのリサイクルが問題になっている。このため、特許文献3に記載の鋳鉄のマンガン除去方法よりもさらに効率的、経済的な方法が求められる。
一方、鋳鉄のリン除去方法は、我国には既にリンが除去された鋳物用銑が存在すること、我国で製銑に供される鉄鉱石はリン含有量が多くないことなどを考慮すると、今後提案されることは少ないと考えられる。しかしながら、国内企業の海外展開が進められ海外での現地生産、あるいは現地企業の生産に係る部品や材料の採用が進んだことにより、近年、リンを含む鋳鉄鋳物用原材料の不純物除去が求められている。また、最近、コスト低減のためリンを添加してマンガン含有量を抑えた自動車用高張力鋼板が市販されるようになり、マンガン及びリンを含む鋳鉄鋳物用原材料の不純物除去が求められている。しかし、マンガン及びリンを含む鋳鉄の除去にかかる提案は見当たらない。
本発明は、従来技術の問題点及び要請に鑑み、マンガン、リン及び硼素を含む鋳鉄の不純物を効率的かつ経済的に除去することができる精錬方法を提供することを目的とする。
本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉内を酸素雰囲気にしてその炉内の鋳鉄溶湯を攪拌し、その鋳鉄溶湯中の炭素成分をほぼ一定に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法であって、
先ず前記鋳鉄溶湯のマンガン成分を除去し、次に生成されたスラグを排出した後にその鋳鉄溶湯に生石灰を添加しつつリン成分を除去することにより実施される。
上記発明において、生石灰は、溶融スラグの塩基度が1以上になるように添加するのがよい。
また、珪素成分の減少を抑えるように精錬を行うのがよく、鋳鉄溶湯の温度が1400℃〜1200℃の範囲において、鋳鉄溶湯の温度をほぼ一定に保持して精錬を行うのがよい。
また、本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉内を酸素雰囲気にしてその炉内の鋳鉄溶湯を攪拌し、その鋳鉄溶湯中の炭素成分をほぼ一定に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法であって、前記鋳鉄溶湯に溶融スラグの塩基度が1未満になるように生石灰を添加しつつマンガン成分及びリン成分を除去することにより実施される。そして、さらに、生石灰を添加しつつ硼素成分も除去することにより実施される。
また、本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、ダライ粉を用いたアーク式電気炉によるエレクトロスラグ溶解法により硫黄(S)を、S:0.01以下にした鋳鉄溶湯を取鍋に注湯して炉内を酸素雰囲気にし、前記鋳鉄溶湯を攪拌しつつ、その鋳鉄溶湯中の炭素成分をほぼ一定に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法であって、先ず前記鋳鉄溶湯のマンガン成分を除去し、次に生成されたスラグを排出した後にその鋳鉄溶湯に生石灰を添加しつつリン成分を除去することにより実施される。
本発明の精錬方法によれば、炭素成分をほぼ一定にしてマンガン、リン又は硼素を含む鋳鉄においてそれらの成分を不純物として効率的かつ経済的に除去することができる。
本発明の実施に使用される炉の説明図である。 鋳鉄溶湯の不純物除去試験の一例を示すグラフである。 不純物除去試験におけるリン残存率と処理時間の関係を示すグラフである。 不純物除去試験におけるマンガン残存率と処理時間の関係を示すグラフである。 不純物除去試験における珪素残存率と処理時間の関係を示すグラフである。 不純物除去試験における硼素残存率と処理時間の関係を示すグラフである。 不純物除去試験における溶湯温度と処理時間の関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明に係る鋳鉄の精錬方法は、炉内を酸素雰囲気にしてその炉内の鋳鉄溶湯を攪拌し、その鋳鉄溶湯中の炭素成分をほぼ一定に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法である。そして、この精錬方法において、先ず鋳鉄溶湯のマンガン成分を除去し、次に生成されたスラグを排出した後にその鋳鉄溶湯に生石灰を添加しつつリン成分を除去することを特徴とする。すなわち、本発明は、先ずマンガン成分を除去する脱マンガンを行い、次に生成されたスラグを排出した後に鋳鉄溶湯に生石灰を添加しつつリン成分を除去する脱リンを行う。
本発明において、炉内を酸素雰囲気にするとは、注湯された鋳鉄溶湯の上面の炉内空間に酸素を吹き込んで酸素雰囲気にすることをいう。鋳鉄溶湯の攪拌は、鋳鉄溶湯が流動し、攪拌されるような方法であればよく、機械的な攪拌方法であっても、電磁気的な攪拌方法であってもよい。このような攪拌方法は、空気や不活性ガスなどの気体のバブリングにより鋳鉄溶湯を攪拌する方法よりも、制御が比較的容易であるという利点がある。
本発明において鋳鉄溶湯の処理を行う炉は、それ自体加熱手段を有しない取鍋のようなものであっても使用することができる。炉内を所定の酸素雰囲気にすることができ、鋳鉄溶湯を所定の攪拌力で攪拌することができるものであればよい。例えば、図1に示す取鍋を使用して本発明を実施することができる。図1において、炉10は、炉本体11、炉蓋12、炉10の内部を酸素雰囲気にすることができる酸素給気手段16、鋳鉄溶湯20を攪拌することができるパドル17を有している。そして、炉10は、サンプルの取り出しを行う操作口12a、処理作業中に発生するガスを排気する排気口12bを有している。
図1に示す炉を使用してリン、マンガンを不純物として除去する不純物除去試験の結果を、図2に示す。本試験は、取鍋に500kgの鋳鉄溶湯を注湯して純酸素を20Nm3/hrで炉内に供給しつつ、鋳鉄溶湯をパドル(200rpm、約55Hz、5A)で攪拌して行った。生石灰は、処理時間10分後に鋳鉄溶湯に粒状生石灰を10kg投入し、その後処理時間15分まで粉状生石灰を500g/30secで連続投入した。本試験中の鋳鉄溶湯の成分測定は、炉から適時試料を採取したサンプルについて発光分光分析装置(株式会社島津製作所製PDA-7020)を使用して行った。鋳鉄溶湯の温度測定は、浸漬型の熱電対により行った。
図2において、横軸は鋳鉄溶湯の注湯後の処理時間、縦軸は、リン(P)、炭素(C)、珪素(Si)及びマンガン(Mn)について各成分の当初含有量に対する残存含有量の比(残存率=(当初含有量−残存含有量)/当初含有量)、鋳鉄溶湯の規格化温度(溶湯温度=鋳鉄溶湯温度℃/1000)を示す。図2に示すように、炭素成分は本試験においてほぼ一定(1.02〜0.97)に保持されている。また、溶湯温度もほぼ一定(1.30〜1.22)になっている。マンガン成分は、処理時間10分までは急速に減少している。しかし、処理時間10分後、生石灰が投入されるとマンガン成分が増加に転じており、復マンガンが生じている。これは、脱マンガンを行った脱マンガン工程の後は、一旦生成されたスラグを排出したうえで脱リンを行う必要があることを示している。
一方、リン成分は、生石灰の添加がない処理時間0〜10分までの脱マンガン工程においてほぼ一定である。そして、処理時間10分経過後に生石灰が投入されるとリン成分が減少し始め、脱リン工程が始まっている。なお、リン成分は、処理時間10〜20分までほぼ一定速度(脱リン速度:0.08/10min)で減少しており、生石灰の添加を停止した処理時間15分後も減少している。リン成分の減少が停止したのは、処理時間20分経過後である。
脱リンにおいては、スラグ塩基度(CaO/SiO2)が重要であり、例えばスラグ塩基度は0.6〜2.5にするのがよいとされる。このため、リン、マンガン又は硼素を不純物として除去する不純物除去試験において炉に投入する生石灰の投入時期、投入量の効果を調べる試験を行った。生石灰の投入時期、投入量を表1に示す。表1に示すように、試験1、試験2及び試験4は、生石灰を試験当初から連続して投入し、試験3は途中から生石灰を連続投入した。塩基度は、生石灰の添加量と炉内のSiO2成分量から求めた平均塩基度を示す。なお、試験3は図2に示した試験であり、試験3の塩基度は生石灰を添加しているときの平均塩基度である。また、試験2においては、生石灰添加時に吹出しを生じたので所定のスラグ塩基度になっていない可能性がある。
本試験の鋳鉄溶湯は、鋳物用原材料をダライ粉を用いたアーク式電気炉によるエレクトロスラグ溶解法により溶解したものを用い、溶湯温度が1400〜1300℃において試験を開始した。溶湯温度は、図1に示すように最初は次第に下降するが、その後ほぼ一定又は上昇に転ずる。本不純物除去試験は、鋳鉄溶湯が1200〜1400℃の範囲で行った。
Figure 0006947374
試験結果を図3〜図7に示す。図3はリン(P)残存率、図4はマンガン(Mn)残存率、図5は珪素(Si)残存率、図6は硼素(B)残存率を示す。図3〜図6の各図において、横軸は処理時間、縦軸はP、Mn、Si又はBの各成分残存率を示す。例えば、図3のパラメータP1は、試験1のリンの残存率を示し、数字は表1に示す試験番号を示す。P2は試験2のリンの残存率、P3は試験3のリンの残存率、P4は試験4のリンの残存率を示す。図4〜図6に示すMn残存率、Si残存率又はB残存率の各パラメータについても同様である。図7は、試験中の溶湯温度を示す。図7において、横軸は処理時間、縦軸は温度を示す。
図3によると、脱リンは試験1において最も進んでおり、処理時間の最初の5分間の脱リン速度は0.09/5min、次の処理時間の10分間の脱リン速度は0.08/10minである。試験3の場合は、生石灰が添加されていない処理時間0〜10分間は脱リンが全く進んでいないが、生石灰を添加した処理時間10分経過後は脱リンが急速(0.08/10min)に進んでいる。試験2の場合は、処理時間0〜5分間は脱リンは全く進んでいないが、処理時間が5〜10分までの間は急速(0.06/10min)に進んでいる。試験4の場合は、処理時間0〜10分間の脱リン速度は0.03/10minで最も低く、処理時間10分経過後にはリン成分が増加している。なお、試験4の場合は生石灰の添加量が試験1の場合の2倍になっており、試験4の場合の塩基度が1.6で試験1の場合の塩基度が0.8である。
図4によると、試験1、2、4のMn残存率は処理時間にほぼ比例して減少しており、試験1の脱マンガン速度は0.26/10min、試験2の脱マンガン速度は0.15/10min、試験4の脱マンガン速度は0.09/10minである。試験3のMn残存率曲線は、処理時間0〜5分間は試験2の残存率曲線にほぼ重なり、処理時間5分経過後は急速に試験1のMn残存率曲線に近づいており、処理時間10分経過後は生石灰の投入がなければ試験1よりも脱マンガンが進むように推移したであろうと推測される。
図5によると、試験1の脱珪速度は、処理時間0〜5分が0.26/10minであるが、処理時間5〜15分が0.15/10minである。そして、試験1の珪素の残存率は、処理時間15分経過後は試験2のSi残存率曲線に沿うように推移することが推測される。試験2の脱珪速度は0.18/10minである。試験4の脱珪速度は0.1/10minである。試験3のSi残存率曲線は、処理時間0〜5分において試験4のSi残存率曲線に重なり、その後急速に試験2のSi残存率曲線に近づき、処理時間15分経過時に最も近づいている。試験3の場合は、試験1に比較して脱珪が相当抑制されているといえる。なお、処理時間15分経過後は、試験3のSi残存率曲線は、試験2のSi残存率曲線から離れるように傾斜角が変化している。
図6によると、生石灰の添加の有無によらず、本試験においては硼素を除去することができることが示されている。試験1の場合は、脱硼素速度が最も高い。なお、試験3の処理時間5分において、硼素の含有量が異常に増加しており、試験2において硼素がやや増加しているが、その理由は不明である。
図7によると、試験中の溶湯温度は、試験4の場合に最も高く、試験1の場合に最も低い。溶湯温度は、概して、処理時間0〜5分の間に急速に降温し、その後ほぼ一定温度(安定化温度)になるが、試験4の場合は処理時間10分前後で溶湯温度が急変している。試験1、2及び4の溶湯温度曲線は試験開始から処理時間5分まで勾配が概して同じで、試験開始時の温度は試験4:1450℃、試験2:1340℃、試験4:1300℃になっている。試験3の溶湯温度曲線の勾配は、試験1の溶湯温度曲線の勾配の約半分である。試験1の安定化温度は1225℃、試験2の安定化温度は1280℃、試験3の安定化温度は1250℃である。
<脱リン及び脱マンガン>
図3及び図4に示すように、脱リン及び脱マンガンを同時に行うには試験1の条件が好ましい。試験1の塩基度(平均塩基度)は0.8であったが、図5によると試験1において珪素成分の減少が最も大きく、酸化珪素の生成が最も多い。かかる点を考慮すると、塩基度は1未満(1未満0.5以上)にすることができると解される。
一方、脱リン及び脱マンガン処理を行うにおいて先ず脱マンガン工程を行い、次に脱リン工程を行う場合は、脱マンガン工程後に排滓を行う必要がある。そして脱リン工程において塩基度は、試験3の例から1.6前後にするのが好ましいが、試験2の場合の吹出しの効果、試験中のSiO2の生成等を考慮すると、1以上(1以上2以下)にすることができると解される。また図3、図4及び図7によると、溶湯温度の試験開始温度及び安定化温度がリン残存率曲線の勾配に関係しており、試験温度は1400〜1200℃にすることができるが低い方が好ましく、1300〜1200℃または1250〜1200℃が好ましい。
なお、図3、図4及び図7によると、溶湯温度は、リン残存率及びマンガン残存率に影響を与えており、本試験範囲において溶湯温度は低い方が脱リン又は脱マンガンに好ましいと解される。この溶湯温度の影響は、試験1と試験4の場合を比較すると顕著である。特に、試験4の場合の処理時間10分経過時に溶湯温度が急変していることに呼応して、リン残存率が減少から増加に反転していることから判断すると、高塩基度(1.5〜2)の鋳鉄溶湯の脱リンを行う場合は温度管理がより重要であると解される。
本不純物除去試験は、上述のように、鋳物用原材料をダライ粉を用いたアーク式電気炉によるエレクトロスラグ溶解法により溶解した鋳鉄溶湯を用いた。このエレクトロスラグ溶解法によれば、鋳鉄溶湯中の硫黄成分を低くすることができる。例えば、試験1〜4に用いた鋳鉄溶湯の硫黄(S)成分は、それぞれ、S1:0.002%、S2:0.002%、S3:0.001%及びS4:0.002%であった。すなわち、本エレクトロスラグ溶解法により得られる鋳鉄溶湯を用いれば脱硫を行わなくてもよい。
10 炉
11 炉本体
12 炉蓋
16 酸素給気手段
17 パドル
20 鋳鉄溶湯

Claims (6)

  1. 炉内を酸素雰囲気にしてその炉内の鋳鉄溶湯を攪拌し、その鋳鉄溶湯中の脱珪速度を0.26/10min〜0.1/10min、炭素成分の残存率を1.02〜0.97に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法であって、
    先ず前記鋳鉄溶湯のマンガン成分を除去し、次に生成されたスラグを排出した後にその鋳鉄溶湯に生石灰を添加しつつリン成分を除去する鋳鉄の精錬方法。
    ここで脱珪速度は、Si残存率−処理時間曲線から求められる勾配をいう。
  2. 生石灰は、溶融スラグの塩基度が1以上2以下になるように添加することを特徴とする請求項1に記載の鋳鉄の精錬方法。
  3. 鋳鉄溶湯の温度が1400℃〜1200℃の範囲において、鋳鉄溶湯の温度を保持して精錬を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳鉄の精錬方法。
  4. 炉内を酸素雰囲気にしてその炉内の鋳鉄溶湯を攪拌し、その鋳鉄溶湯中の脱珪速度を0.26/10min〜0.1/10min、炭素成分の残存率を1.02〜0.97に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法であって、
    前記鋳鉄溶湯に溶融スラグの塩基度が1未満0.5以上になるように生石灰を添加しつつマンガン成分及びリン成分を除去する鋳鉄の精錬方法。
    ここで脱珪速度は、Si残存率−処理時間曲線から求められる勾配をいう。
  5. さらに、硼素成分を除去することを特徴とする請求項4に記載の鋳鉄の精錬方法。
  6. ダライ粉を用いたアーク式電気炉によるエレクトロスラグ溶解法により硫黄(S)を、S:0.01以下にした鋳鉄溶湯を取鍋に注湯して炉内を酸素雰囲気にし、前記鋳鉄溶湯を攪拌しつつ、その鋳鉄溶湯中の脱珪速度を0.26/10min〜0.1/10min、炭素成分の残存率を1.02〜0.97に保持して精錬を行う鋳鉄の精錬方法であって、
    先ず前記鋳鉄溶湯のマンガン成分を除去し、次に生成されたスラグを排出した後にその鋳鉄溶湯に生石灰を添加しつつリン成分を除去する鋳鉄の精錬方法。
    ここで脱珪速度は、Si残存率−処理時間曲線から求められる勾配をいう。
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