JP2004218039A - 加熱式貯銑炉の操業方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脱燐及び脱硫のいずれか一方又は双方の予備処理を施した溶銑16を、加熱手段15を備えた貯銑炉10に装入し、貯銑炉10内で溶銑16の温度及び成分量をそれぞれ調整し、かつ屑鉄を添加して溶解させた擬似溶銑を製造して、この擬似溶銑を精錬炉に供給する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、予備処理された溶銑を受銑し、精錬炉(例えば転炉等)に供給する加熱式貯銑炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高炉から出銑した溶銑をトピードカー(混銑車)や溶銑鍋等に一旦受けて搬送し、脱硫や脱燐等の予備処理が施された溶銑を更に装入鍋に移してクレーン等で搬送し、屑鉄や酸化鉄等の冷材が装入された転炉(精錬炉)内に装入している。そして、上吹きランスから酸素を吹付けて、脱炭精錬を行うことにより溶鋼が製造されている。この転炉の脱炭精錬では、吹錬を終了する吹き止め時の温度及び炭素濃度が目標値となるように、過去の吹酸実績等を参照しながら、溶銑や屑鉄、酸化鉄等の配合量を決定している。
しかし、高炉から出銑される溶銑量や転炉での溶鋼生産量の変動により、溶銑の転炉への供給条件(例えば、配合量)が変動するため、吹錬の不安定化や炭材の使用量増加による溶製コストの上昇等が生じている。また、溶銑に施される予備処理は、トピードカーや溶銑鍋の処理単位ごとに、溶銑中の燐及び硫黄の各量が目標値以下となるように過剰実施されているため、処理コストの上昇や溶銑温度の低下を招いている。そして、トピードカーや溶銑鍋の容量と転炉の容量とが釣り合わないため、待機中のトピードカーや溶銑鍋の溶銑、あるいはトピードカーや溶銑鍋に残った溶銑(残銑)等には、急激な温度低下が生じている。ここで、トピードカーや溶銑鍋からの溶銑の供給量が不足する場合、転炉を安定に操業させることができない問題も発生する。
【0003】
この対策として、以下の方法が提案されている。
まず、特許文献1には、鋳鋼などを誘導炉により溶解する際に、造滓剤としてSiO2 を65〜75質量%、Al2 O3 を0.5〜4質量%、及びソーダ石灰ガラスを配合したものを溶銑に添加して、スラグの低融点化とスラグによるカバー効果を作用させ、排滓を容易にする方法が記載されている。これにより、無駄な熱拡散を防止し、溶銑の温度低下を抑制することができる。
また、特許文献2には、バケットコンベアから供給される水分が付着した屑鉄(スクラップ)を、誘導加熱式の貯銑炉の雰囲気熱により乾燥して水分を低減し、この乾燥させた屑鉄を貯銑炉に装入して溶解する方法が記載されている。これにより、屑鉄を溶解した擬似溶銑を多量に製造し、後工程の転炉への安定供給が可能になり、転炉を安定して操業できる。
そして、特許文献3には、アーク炉に屑鉄と造滓剤を装入して溶解し、溶湯とスラグを分離してから溶湯を誘導加熱炉に装入し、精錬剤を添加して鋼を製造する方法が記載されている。これにより、屑鉄から溶銑を製造でき、転炉への溶銑の供給量を増加できる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−284022号公報
【特許文献2】
特開平11−248368号公報
【特許文献3】
特公昭61−28913号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法には、以下の問題がある。
まず、特許文献1に記載された方法では、造滓剤としてソーダ石灰系のものを用いるため、誘導炉に配置された耐火物の損耗が大きくなる。また、脱燐、脱硫などの予備処理を施した溶銑の温度や成分量を調整する方法ではないため、未調整の溶銑が転炉に装入されることで、転炉の操業が不安定になる。なお、造滓剤の粘性はCaO−CaF2 系の造滓剤に比較してはるかに大きいため、誘導炉に屑鉄を投入した際、屑鉄の表面に造滓剤が付着し、溶銑中の炭素の屑鉄への浸炭作用が阻害されるので、屑鉄を積極的に溶解して擬似溶銑を製造できない問題もある。
そして、特許文献2に記載された方法は、擬似溶銑を多量に製造できるので、この擬似溶銑を後工程の転炉に安定供給できるが、屑鉄を溶解させる溶銑が、高炉からトピードカーや溶銑鍋で搬送された普通の溶銑であるため、予備処理が施された溶銑の場合のように、燐や硫黄などの成分量の相違、あるいは溶銑の成分や温度の変動、転炉への溶銑の配合量の変動に起因するアンマッチや、混入したスラグに起因する屑鉄の溶解不良等の問題が考慮されていない。
【0006】
更に、特許文献3に記載された方法は、屑鉄をアーク炉に供給して溶解し溶鋼を製造する方法であり、脱燐、脱硫などの予備処理を施した溶銑の温度や成分量を調整する方法ではないため、未調整の溶銑が転炉に装入されることで、転炉の操業が不安定になる。また、屑鉄を溶解するため、屑鉄を高い温度(屑鉄溶解温度)に加熱する必要があり、しかも溶解能力に限界があるため、熱量コストも上昇し経済的でない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、予備処理が施された溶銑の成分量の調整を行い、精錬炉への溶銑供給量の不釣り合いによる溶銑温度の低下を抑制し、かつ屑鉄の溶解を良好にしてその絶対量を増加させることにより、精錬炉への溶銑の供給量を確保して精錬炉を安定操業させることが可能な加熱式貯銑炉の操業方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る加熱式貯銑炉の操業方法は、脱燐及び脱硫のいずれか一方又は双方の予備処理を施した溶銑を、加熱手段を備えた貯銑炉に装入し、貯銑炉内で溶銑の温度及び成分量をそれぞれ調整し、かつ屑鉄を添加して溶解させた擬似溶銑を製造して、この擬似溶銑を精錬炉に供給する。これにより、例えば、トピードカーや溶銑鍋の処理単位ごとに過剰な予備処理が施された溶銑を、一旦貯銑炉に装入できるので、貯銑炉内の溶銑の成分量、特にP、Sの成分や炭素濃度を均一な状態に調整できる。また、貯銑炉には加熱手段が設けられているので、精錬炉への溶銑供給量の不釣り合いが生じても、貯銑炉内の溶銑温度を均一な温度に調整し維持できる。そして、貯銑炉内の溶銑に屑鉄を添加して溶解させ、多量の擬似溶銑を製造できるので、擬似溶銑を精錬炉へ安定供給できる。
これにより、温度と成分量が調整された擬似溶銑を精錬炉の必要量に応じて供給することができ、精錬炉で安定した操業を実現できる。また、吹錬の安定化、溶鋼歩留まり、製鋼時間の短縮、連鋳とのマッチングなど歩留まりの向上と生産の整流化が容易になる。
【0008】
ここで、本発明に係る加熱式貯銑炉の操業方法において、貯銑炉内に混入したスラグの塩基度を調整して低融点スラグに改質した後、屑鉄を貯銑炉内の溶銑に添加して溶解させることが好ましい。予備処理を施した溶銑を貯銑炉に装入した際、溶銑と共に塩基度が3〜5程度の高塩基度のスラグも貯銑炉内に流入する。この高塩基度のスラグは、貯銑炉に装入された溶銑の上方に位置し、しかも粘性が高いため、貯銑炉内に屑鉄を投入した際、鉄屑の表面に付着する。これにより、溶銑中の炭素の屑鉄への浸炭作用が阻害されるので、溶銑への屑鉄の溶解効率が悪くなる。そこで、高塩基度のスラグを低塩基度にすることにより、低融点スラグに改質して粘性を低下させ、溶銑と屑鉄との接触を促進し、溶銑中の炭素による浸炭作用により低温度での屑鉄の多量溶解が可能になり、擬似溶銑を多量に製造することができる。
【0009】
本発明に係る加熱式貯銑炉の操業方法において、低融点スラグの塩基度は0.8〜2.0であることが好ましい。ここで、塩基度はCaO/SiO2 で表わされる。これにより、貯銑炉内の低融点スラグの流動性が改善され、高塩基度スラグの悪影響を抑制することができる。ここで、低融点スラグの塩基度が0.8未満になると、低融点スラグの流動性が良くなり過ぎて耐火物の損耗を招く。一方、低融点スラグの塩基度が2.0を超えると、低融点スラグの流動性が悪く、屑鉄の溶解効率が低下する。このため、耐火物の損耗を招くことなく、屑鉄の溶解効率を向上させるためには、低融点スラグの塩基度を0.8〜1.5とすることが好ましく、更には0.8〜1.2とすることが好ましい。
本発明に係る加熱式貯銑炉の操業方法において、低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度を5〜15質量%とすることが好ましい。このように、低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度を調整することで、滓化し易い組成にできる。ここで、低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度が5質量%未満になると、低融点スラグの滓化不良を招く。一方、低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度が15質量%を超えても、低融点スラグの滓化不良を招く。このため、低融点スラグを滓化し易い組成にするためには、低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度を7〜13質量%とすることが好ましく、更には8〜12質量%とすることが好ましい。
本発明に係る加熱式貯銑炉の操業方法において、加熱手段による加熱は誘導加熱であることが好ましい。このように、誘導加熱を行うことで、擬似溶銑中の炭素の酸化を抑制できるので、溶銑中の炭素量の低減を抑制でき、後工程での炭材の添加量を低減できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る加熱式貯銑炉の操業方法に使用される加熱式貯銑炉の平面図、図2は図1のA−A矢視断面図である。
【0011】
図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る加熱式貯銑炉の操業方法に使用される加熱式貯銑炉(貯銑炉の一例)10は、円筒状の鉄皮11に耐火物12が内張りされ、支持台13に対して回動可能な貯銑炉本体14と、この貯銑炉本体14の下側に長手方向に渡ってそれぞれ均等に配置された6基の誘導加熱を行うインダクションヒータ(加熱手段の一例)15とを有している。貯銑炉本体14の上方には、クレーン等の搬送手段(図示しない)により予備処理後の溶銑16を貯銑炉本体14内に装入するための開閉蓋17が配置された受銑口18と、屑鉄の一例であるスクラップを装入するための開閉蓋19がそれぞれ配置された6個の装入口20と、内部の溶銑16を溶銑鍋等に出銑するための出銑口21とが設けられている。なお、溶銑16の上方には、溶銑16と共に貯銑炉本体14内に混入したスラグ22がある。
【0012】
次に、本発明の一実施の形態に係る加熱式貯銑炉の操業方法について、上記した加熱式貯銑炉10を参照しながら説明する。
まず、高炉から出銑した溶銑をトピードカー(例えば、容量が300トン)に受銑し、予備処理場(脱燐及び脱硫処理場、ORP処理場)に搬送する。そして、トピードカー内の溶銑に、生石灰を主成分にした脱燐脱硫用フラックスをランスを介して吹き込むことで、溶銑に予備処理を施す。この予備処理は、溶銑中の燐及び硫黄を除去して溶銑の燐量及び硫黄量の各成分量が必ず目標値(例えば、数ppm〜数十ppmレベル)以下になるように施されるため、目標値に対して過剰な処理(低燐、低硫黄化)となる。なお、各成分量は、目標値以下になればよいため、溶銑を受銑したトピードカー毎にバラツキが生じている。
【0013】
予備処理後の溶銑を、トピードカーで更に加熱式貯銑炉10まで搬送した後、クレーン(図示しない)で開閉蓋17を吊上げ、トピードカー内の溶銑を溶銑鍋を介して受銑口18から貯銑炉本体14(例えば、容量が2000トン)内に装入する。なお、貯銑炉本体14内が空の状態の場合、これを複数回繰返して貯銑炉本体14内に溶銑16を貯銑する。このように、貯銑炉本体14内に貯留可能な溶銑量は、トピードカーから貯銑炉本体14内に装入される1回分の溶銑量の数倍であり、しかも各溶銑に含まれている燐量及び硫黄量は微量であるため、複数台のトピードカーから貯銑炉本体14内に溶銑を装入することで、トピードカー毎の燐量及び硫黄量のバラツキが平準化され、調整される。
【0014】
ここで、貯銑炉本体14内の溶銑の燐量及び硫黄量が、予め設定した設定値になるように、トピードカー毎の溶銑の燐量及び硫黄量に基づき、貯銑炉本体14に供給する溶銑を選択して供給し、貯銑炉本体14内で溶銑の成分量を調整することも可能である。
なお、貯銑炉本体14内の溶銑の温度は、貯銑炉本体14に設けられたインダクションヒータ15によって均一な温度、即ち転炉(精錬炉の一例)に供給可能な温度に調整されている。
このように、貯銑炉本体14内の溶銑16の温度及び成分量が均一化され、しかも、転炉に供給する溶銑の配合量に見合う量の溶銑(ORP銑)を、常時転炉へ供給できるので、転炉での炭材の節減や操業の安定化(整流化も含む)が可能になる。
【0015】
予備処理後のトピードカー内に形成されるスラグは、その塩基度が3〜5程度と極めて高く、トピードカーから貯銑炉本体14内に溶銑を供給する際、この高塩基度のスラグも共に貯銑炉本体14内に混入する。この状態では、貯銑炉本体14内の高塩基度のスラグ22の滓化ができないので、Al2 O3 濃度が5〜15質量%となるように、Al灰(アルミドロス)などのAlあるいはAl2 O3 含有物を添加し、低融点化を図った低融点スラグを生成させる。ここで、アルミドロスを添加すると、Alのテルミット反応による発熱とスラグの低融点化を図ることができるので、経済的でしかも好ましい結果を得ることができる。
また、貯銑炉本体14内に、例えば電磁鋼板や珪素鋼板等の珪素の含有量が高い鉄屑や珪石を添加して、塩基度が0.8〜2.0となるようにし、スラグ22の融点の低下と流動性を良好にすることも可能である。
【0016】
このように、貯銑炉本体14内に混入したスラグ22の塩基度を調整して低融点スラグに改質した後、開閉蓋19を開けて装入口20から例えば市中の回収屑であるスクラップ(屑鉄の一例)を添加すると、スクラップが溶銑16と速やかに接触する。これにより、溶銑中の炭素がスクラップの表面から浸炭してスクラップの溶解温度が低下し、溶銑温度が1250〜1400℃の低温域でスクラップは溶銑16に容易に溶解するので、低電力でこの浸炭と溶解を繰り返しながら多量のスクラップを溶解した擬似溶銑を増産することができる。
なお、スクラップの溶解により、溶銑16の炭素濃度が低下するので、溶銑16の炭素濃度が例えば4.0質量%を切った時点で、新しい溶銑を開閉蓋17を開けて受銑口18から装入する。これにより、予め貯銑炉本体14内に貯留されていた溶銑16と混合されるため、溶銑の燐及び硫黄の各成分量は、貯銑炉本体14内に貯留されていた溶銑の燐量及び硫黄に平準化され調整される。
このように、スクラップの添加と新しい溶銑の添加を繰返し行うことで、スクラップの多量溶解による擬似溶銑の増産ができ、転炉への擬似溶銑の配合量を転炉の必要量に見合う量だけ供給することができるので、配合条件の安定化、吹錬の安定化による吹き止め成分や温度の的中率を高め、効率良く、品質の高い溶鋼を製造することができる。
そして、この製造した擬似溶銑を、転炉が必要とする量だけ、出銑口21から供給する。
【0017】
【実施例】
本発明に係る加熱式貯銑炉の操業方法を適用し、試験を行った結果について説明する。
まず、トピードカーが高炉から300トンの溶銑を受銑し、このトピードカーを予備処理場に搬送して、この溶銑に生石灰や酸化鉄を吹き込み溶銑の〔S〕を0.010%以下、〔P〕を0.020%以下になるように処理した。
この予備処理後のスラグの組成は、CaOが60質量%、SiO2 が15質量%であり、塩基度が4.0となっており、溶銑処理後の温度が1300℃であった。
この溶銑を、2000トンの容量を備えた貯銑炉本体14内に受銑口18から溶銑鍋を介して装入した。
【0018】
ここで、貯銑炉本体14内の溶銑16に、スラグ中のAl2 O3 濃度が5〜15質量%になるようAl灰(アルミドロス)を添加し、テルミット反応による発熱と、Al2 O3 の生成によるスラグ22の低融点化を行った。同時に、珪石や珪素鋼板屑を添加してスラグ22の塩基度が0.8〜2.0以内になるように調整してスラグ22の低融点化と流動性を改善した。
そして、1基当りの出力が4.5MWのインダクションヒータ15に通電して、溶銑を加熱しながら20トン/30分間隔でスクラップを添加して溶解した。
溶銑の貯銑炉本体14への装入は、スクラップ添加の間の時間帯で行われ、貯銑炉本体14内の擬似溶銑の炭素濃度が低下するのを抑制しながら、前記動作を繰り返し行った。
その結果、擬似溶銑の温度が1330〜1350℃、炭素濃度が3.9〜4.1%の擬似溶銑を溶製することができた。なお、この擬似溶銑中の硫黄は0.010%以下、燐は0.020%以下で、いずれもそのバラツキを±0.002%以内にすることができた。
【0019】
ここで、比較例について説明する。
まず、前記した予備処理を行った溶銑を貯銑炉本体に入れ、スラグの改質を行うことなく、スクラップを前記と同様に添加して誘導加熱を行うインダクションヒータで加熱溶解した。この場合、予備処理後の溶銑に微量に混入する高い塩基度のスラグ(塩基度4.0を超える)が、貯銑炉本体内で徐々に蓄積され、固化する。このように、高塩基度のスラグの蓄積量が増加すると、スクラップがスラグ面上に堆積したまま溶銑中に入らず、徐々に酸化してスラグと化すだけで溶解し難くなる。これにより、スラグ中の酸化鉄成分が10%〜20%となるので、鉄分ロスが生じて経済的でない。
【0020】
そこで、予備処理場において、脱燐及び脱硫用の生石灰の使用量を減じることで、生成するスラグの塩基度を低くし、この溶銑を適当に混合することで貯銑炉本体内のスラグの塩基度上昇を抑えた。この結果、貯銑炉本体内のスラグ中の酸化鉄成分は5%以下となりスラグの鉄分ロスを抑えることができた。しかし、生石灰使用量を減じると予備処理後の溶銑の成分(S、P)が低位に安定し難いため、炉内の擬似溶銑の不純物成分(S、P)も増加し、前記した目標値以下の条件を満足できなくなる。このように、予備処理しない溶銑と比較すると、転炉での処理負荷は多少軽減するものの、擬似溶銑の不純物成分が上昇しバラツキが生じる(S=0.010〜0.015%、P=0.020〜0.060%)。このため、特に低燐、低硫黄を要求される鋼を生産する場合に使用が制限され、生産の整流化の面で問題がある。
【0021】
以上、本発明を、一実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の加熱式貯銑炉の操業方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、予備処理として脱燐及び脱硫の双方を行った場合について説明したが、溶銑中の燐及び硫黄の各成分量に応じて、予備処理として脱燐のみ又は脱硫のみを行うことも可能である。
【0022】
また、前記実施の形態においては、溶銑炉内に混入したスラグの塩基度を低下させるため、溶銑にアルミドロスを添加し、Al2 O3 を含む低融点スラグを生成させた場合について説明した。しかし、溶銑炉内に混入したスラグの塩基度を低下させることが可能であれば、例えば溶銑にFeO等を添加し低融点スラグを生成させることも勿論可能である。
そして、前記実施の形態においては、屑鉄として鉄のスクラップを使用した場合について説明したが、例えばダスト、スラジ、型銑等の炭素含有量の多い鉄を溶銑に溶解させることも可能である。
更に、前記実施の形態においては、精錬炉として転炉を使用した場合について説明したが、例えば上吹き転炉、電気炉等を使用することも可能である。
【0023】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の加熱式貯銑炉の操業方法においては、温度と成分量が調整された擬似溶銑を精錬炉の必要量に応じて供給することができ、精錬炉で安定した操業を実現できる。また、吹錬の安定化、溶鋼歩留まり、製鋼時間の短縮、連鋳とのマッチングなど歩留まりの向上と生産の整流化が容易になり、溶鋼を効率良く製造できる。
そして、例えば、過剰予備処理された溶銑の精錬炉への払い出しに伴うアンマッチ、残銑の発生に起因する成分量のバラツキ、溶銑の温度低下等を防止できるので、精錬炉での例えば炭材などを用いた熱保障が解消され、より安定した吹錬が可能となり、製造コストを低減することができる。
更に、多量の擬似溶銑の溶製が可能となり、且つ均一な温度及び炭素濃度を備えた擬似溶銑を精錬炉に供給でき、特に、溶銑の配合量が少ない操業の場合に、低硫黄炭材を使用する量を低減でき、炭材などの昇熱コストを低減することができる。
特に、請求項2記載の加熱式貯銑炉の操業方法においては、高塩基度のスラグを低塩基度にすることにより、低融点スラグに改質して粘性を低下させ、溶銑と屑鉄との接触を促進し、溶銑中の炭素による浸炭作用により低温度での屑鉄の多量溶解が可能になり、擬似溶銑を多量に製造することができ経済的である。
【0024】
請求項3記載の加熱式貯銑炉の操業方法においては、貯銑炉内の低融点スラグの流動性が改善され、高塩基度スラグの悪影響を抑制することができる。これにより、貯銑炉内に滞留した低融点スラグの排出が容易になり、貯銑炉内での過剰な低融点スラグの生成を防止できるので、溶銑の昇熱効率を向上させることができる。
請求項4記載の加熱式貯銑炉の操業方法においては、低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度を調整することで、滓化し易い組成にできるので、貯銑炉内に滞留した低融点スラグの排出が容易になる。
請求項5記載の加熱式貯銑炉の操業方法においては、誘導加熱を行うことで、擬似溶銑中の炭素の酸化を抑制できるので、溶銑中の炭素量の低減を抑制でき、後工程での炭材の添加量を低減できる。このため、精錬炉で屑鉄を多量配合した場合のように、炭材の添加量が増加することなく、また吹錬時間の延長や吹酸に伴うダストの発生などの問題も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る加熱式貯銑炉の操業方法に使用される加熱式貯銑炉の平面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
10:加熱式貯銑炉(貯銑炉)、11:鉄皮、12:耐火物、13:支持台、14:貯銑炉本体、15:インダクションヒータ(加熱手段)、16:溶銑、17:開閉蓋、18:受銑口、19:開閉蓋、20:装入口、21:出銑口、22:スラグ
Claims (5)
- 脱燐及び脱硫のいずれか一方又は双方の予備処理を施した溶銑を、加熱手段を備えた貯銑炉に装入し、該貯銑炉内で溶銑の温度及び成分量をそれぞれ調整し、かつ屑鉄を添加して溶解させた擬似溶銑を製造して、この擬似溶銑を精錬炉に供給することを特徴とする加熱式貯銑炉の操業方法。
- 請求項1記載の加熱式貯銑炉の操業方法において、前記貯銑炉内に混入したスラグの塩基度を調整して低融点スラグに改質した後、前記屑鉄を前記貯銑炉内の溶銑に添加して溶解させることを特徴とする加熱式貯銑炉の操業方法。
- 請求項2記載の加熱式貯銑炉の操業方法において、前記低融点スラグの塩基度は0.8〜2.0であることを特徴とする加熱式貯銑炉の操業方法。
- 請求項2及び3のいずれか1項に記載の加熱式貯銑炉の操業方法において、前記低融点スラグに含まれるAl2 O3 濃度を5〜15質量%とすることを特徴とする加熱式貯銑炉の操業方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱式貯銑炉の操業方法において、前記加熱手段による加熱は誘導加熱であることを特徴とする加熱式貯銑炉の操業方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007254865A (ja) * | 2006-03-24 | 2007-10-04 | Jfe Steel Kk | 貯銑炉内スラグの流動性調整方法 |
JP2008240127A (ja) * | 2007-03-28 | 2008-10-09 | Jfe Steel Kk | 貯銑炉とその操業方法 |
JP2011252235A (ja) * | 2011-08-16 | 2011-12-15 | Nippon Steel Corp | 擬似溶銑の製造方法 |
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