JP5261294B2 - 研米装置 - Google Patents
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Description
無洗米を製造する方法として、水を使ってヌカを米の表面から除去して乾燥させた湿式法、水を使わずに研米材などを使用してヌカを落とす乾式法などがある。研米材を使用せず水を利用して精米を水中で摩擦させて研米するいわゆる水洗する湿式法が現在の無洗米の製造方法の主流となっている。しかし、この方法の欠点は食味の低下や精米の劣化等の問題があるが、特筆すべきはカビ等の発生の難題がある。
本出願人は、乾式法による無洗米の製造法及び装置に関する発明を提案してきた。即ち、特許2958885号公報「清浄米の製造装置及び製造方法」(特許文献1)、特開2001−327881号公報「脱脂糠を用いた清浄米の製造装置及び製造方法」(特許文献2)、および特許4153844号公報「研米方法、研米装置、研米材並びに無洗米の製造方法及び無洗米製造装置」(特許文献3)である。
これらの発明は、研米材として脱脂糠に注目して、精米に残っているヌカを取り除こうとするものである。精米と研米材を混ぜ合わせて攪拌することにより、お米の表面に残っているヌカと脱脂糠を接触させるために、回転軸に回転体を装着して攪拌研米する方法である。この研米技術は、研米材が精米と精米の間に介在しながら一体となって回転するものであって精米の濁度を十分に下げる程度まで研米するには、長時間を必要とするなど、改良の余地があるものであった。
特許文献2は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、加圧材を用いることなく被処理米と脱脂糠を配合して清浄米を製造する製造装置であって、研米手段と装置構成に改良を加えたものである。
特許文献3は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体間隔に米粒と脱脂糠とを供給して米粒を摩擦研米する発明である。
米と馴染みが良いことは米の表面に付着して、逆に落ちにくいこともあって、先に出願したような工夫を凝らしてきたものである。 本発明者は、脱脂糠と精米を効率よく接触させ、摩擦して、精米に残存する澱粉を脱脂糠に付着させて除去する方法と装置を研究してきている。その成果として、脱脂糠を米の表面に押しつける手段を提案し、また、攪拌方法に工夫を加える方法及び装置を提案し、個々の米粒に効果的なこすり付けを実現する方法及び装置を提案してきた。そして、脱脂糠を循環使用することを提案している。
1.精米を、脱脂糠を用いて研米する装置において、研米処理後に脱脂糠を循環使用する循環処理系を備えた研米装置であって、循環処理系に精米から剥離した澱粉を除去する装置として、メッシュスクリーンの後方から吸引して除去する分級機を設けたものであって、当該分級機は、分級機筐体内にメッシュスクリーンを備えて前後の空間に二分し、前方空間が脱脂糠通過空間であって、後方空間が吸引機に接続された吸引空間であり、メッシュスクリーンの後方に向けてエアを噴射する回転スクレーパをメッシュスクリーンの背面に設けたことを特徴とする研米装置。
2.分級機は、脱脂糠通過空間の上部に脱脂糠散乱用のエア吸引口を設けたことを特徴とする1.記載の研米装置。
3.脱脂糠の循環処理系は、
研米後に精白米と分離された脱脂糠を含む再利用脱脂糠を、
新脱脂糠供給機、砕け米や細粒粉となった脱脂糠を分離除去する第1篩い工程、澱粉を分離除去する分級工程、再生した脱脂糠を貯留する循環脱脂糠タンク、分級機に負圧を与える集塵機及びこれらを連結して脱脂糠を移送する経路から構成され、
該移送経路には、第1篩い工程後に再利用脱脂糠を吸い込む吸引口を設け、分級機の直後にロータリーバルブを設けて、集塵機から生ずる吸引力によって、該経路内の脱脂糠を移送することを特徴とする1.又は2.記載の研米装置。
4.循環使用する脱脂糠の量を安定に保つために、循環脱脂糠タンクに糠レベル検知センサー設け、該センサーからの信号に基づいて、新脱脂糠供給機から新脱脂糠の供給量を制御することを特徴とする3.記載の研米装置。
5.研米手段として、櫛歯状に固定棒が設けられた筐体とこの固定棒間を回転することができる移動棒が回転軸に設けられた研米槽であって、該研米槽は水平あるいは垂直に設けられていて、回転軸にかかる負荷を検知するセンサーを設け、該センサーの信号によって、研米槽の供給及び搬出量を制御する研米手段であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の研米装置。
6.研米処理後の精白米は、2回以上篩いにかけて、夾雑物や微粉を除去することを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の研米装置。
脱脂糠の再生処理をメッシュスクリーンをエア吸引する一方メッシュスクリーンの後方から筋条にエアを回転しながら吹き出してメッシュの目詰まりを防止することにより、特に、分離しにくい澱粉(肌糠)を分離できる。さらに、分級機上部で脱脂糠拡散することにより、澱粉の分離精度を高めることができた。
脱脂糠循環糠系内の脱脂糠を移送する手段として、分級機に使用するエア吸引力を活用した。
脱脂糠タンクにレベルセンサーを設けて、その信号に基づいて新糠を補給することとしたので、消耗廃棄される脱脂糠の補給を自動的に制御できるようにした。
研米槽の回転負荷を検知して、研米度合いを設定するようにしたので、研米槽の制御を自動的に行うことができるようにした。
脱脂糠処理工程の効率性と脱脂糠の再生品質を向上させることができたので、研米装置の小型化及び生産性を向上させることができ、さらに、自動運転が容易に行うことができる研米装置を実現できた。
<研米方法、無洗米の製造方法>
本発明は、脱脂糠を研米材として米粒に接触作用、即ちこすり合わせて、米粒の表面に残っているヌカ分(「澱粉」又は「肌糠」)を引き剥がし、この澱粉を脱脂糠から効果的に除去する装置を発明したものである。まず、本発明の前提となる研米方法の概略を説明する。本発明の研米装置は、本出願人が提案した特許4153844号公報(特許文献3)に開示した方法、装置を基礎としている。
2.研米材を用いる研米方法は、米粒の表層を削り取るのではなく、精米後の米粒に残存するヌカ(「ヌカ」は、精米表面に残っている米糠を意味し、澱粉質を多く含み肌糠とも言われている。精米時に出る糠と区別し、強調するためにあえてカタカナ表記にした。本出願明細書では、「ヌカ」、「澱粉」、「肌糠」は同義に用いる。)を引き剥がすために、研米材を用いるものである。たとえて曰く、米粒の表面を布巾で拭き取り磨きをする様な行為である。このためには、米粒を捕まえて一粒毎に磨けば良いが、甚だ非効率で、経済的に成立しない。
3.従来の研米材を用いない研米方法を採用して、圧力をかけて攪拌し、米粒同士の摩擦を利用する手法は、(1)研米槽の外周に孔を開けると研米材が排出してしまうので採用できないこと、(2)研米槽の外周に孔を開けずに強圧摩擦をすると、熱の除去ができず、米の劣化をきたすこと、(3)最大の問題は、脱脂糠などの米粒よりもやや柔らかい研米材を使用すると、研米材が緩衝材の役割をして、十分な圧力が加わらないこと、(4)米粒のラグビーボールのような形は、圧力がかかっても、一定の姿勢を保つことが無く、十分な研磨作用を与えることができない。
4.米粒よりも固い研米材を用いることは、米粒の表面を傷つけることとなり好ましくない。
5.研米材として脱脂糠を用いる研米方法は、多量の米を短時間に処理する効率性を有し、各米粒の表面に磨きを掛けてきれいにでき、精米を研米して、米粒表面からにヌカ分などを除去して、炊飯時に洗米の必要のない程度の清浄米にできるが、研米処理に用いた脱脂糠を循環利用して研米処理に用いるに際し、この脱脂糠に澱粉が付着したままでは、研米処理精度が上がらず好ましくない。
6.研米処理に用いる脱脂糠の量は、嵩にして米と同程度の量が用いられるので、廃棄せずに循環利用することは運転効率、ストックヤード、研米の品質に大きな影響を与えるので、研米装置の実機開発にあたっては重要な要素技術である。本出願人は、脱脂糠から効果的に澱粉を除去でき、清浄米の研米度をより向上できる脱脂糠の再生し循環使用できる装置を開発して、本発明の研米装置を完成したものである。清浄米として「無洗米」が市場で流通しており、「無洗米」として(社)日本精米工業会の定義にしたがっている。
本発明の基本構成は次のとおりである。
原料精米と脱脂糠を研米槽に投入し、研米槽内で両者を摩擦して精米に付着している澱粉質の多いヌカ(肌糠)を引き剥がして、脱脂糠に付着させて研米槽から排出し、その後精米は精白米として分離され、さらに夾雑物を取り除いて清浄米として回収され、一方、精白米以外の脱脂糠等は、破砕された米粒や摩滅して細かくなった脱脂糠、精米から分離された澱粉を取り除く再生処理を施して再利用する脱脂糠として精製される。本発明は、この脱脂糠の再利用する循環糠系を改良する提案をする。また、新脱脂糠の補給や研米槽の稼働を自動化することにより、制御系の改良を図っている。
研米装置の機器構成は、前述のとおり、本出願人が提案した特許4153844号公報(特許文献3)に開示した装置を使用できる。この研米装置において、澱粉を取り除く脱脂糠の再処理機器としてメッシュスクリーンの後ろから吸引する分級機を採用したものである。
この分級機としては、分級機筐体の内部に垂直にメッシュスクリーンを備えており、このメッシュスクリーンによって前後に空間が二分され、前方空間が脱脂糠通過空間、後方空間が吸引機に接続された吸引空間とされている。研米処理にて精米から剥離させた粘性を有する澱粉を、メッシュスクリーンの後方からの吸込機による負圧によって、脱脂糠通過空間を通過していく脱脂糠から澱粉を吸い込んで回収する。静置型の篩いあるいは振動篩いでは、篩いが目詰まりすること、嵩が多く比重が同程度であって、脱脂糠と馴染みの高い澱粉を分離回収するには、長時間あるいは大面積が必要となることが判明し、エアによって強制的に吸引する分級機を開発した。この分級機の採用によって、効率良く除去できるため、この脱脂糠からの澱粉の分離精度を口上を実現したものである。
この回転スクレーパは、メッシュスクリーンの背面に沿って回転し、筋条にエアを吹き出すので、スクレーパが背面に存在しないメッシュスクリーンの大部分は吸い込み機能を維持することができる。
エア吸引口から脱脂糠通過空間にエアを吸引させることによって、脱脂糠通過空間でのエアの流れ、すなわち脱脂糠の流れが拡散されるため、脱脂糠通過空間において脱脂糠を拡散させない場合に比べ、脱脂糠通過空間を通過していく脱脂糠からの澱粉の除去を効率良くできる。
なお、分級機筐体内を気密状態にし、脱脂糠通過空間を外気よりも負圧にし、この外気との気圧差を用いてエア吸引口からエアを吸引させてもよいし、エア吸引口に送風機を取り付けて強制的に脱脂糠通過空間にエアを吸引させてもよい。
研米槽から出た脱脂糠を再生して再使用する循環系を構築するには、損耗した脱脂糠を新脱脂糠で補給し、再投入準備用のストックタンクまで移送する循環系を備えている。本発明では、この移送の主動力として分級機で使用する吸引力を発生させる集塵機のパワーを活用している。負圧を利用するためにエアの進入を制限する区間を設定する必要がある本発明では、研米槽から排出された直後に精白米と分離し、さらに次の篩いを通した後から分級機で分級した直後の領域を制御領域に構成している。構成する機器としては、脱脂糠の受け入れ側を吸気開口とし排出側にロータリーバルブを設けることにより、進入するエアを制御し、吸い上げて搬送することができるようにする。この領域内に取り入れられるエアは、分級機上部に設けられた拡散用のエアと吸気開口からの脱脂糠吸塵用エアーである。
補給用の新脱脂糠は、この脱脂糠エア搬送領域の外で追加供給されることが好ましく、本実施例では、脱脂糠エア搬送領域の前の篩いに供給される形式を採用している。これは、米糠油の精製工場などから供給される脱脂糠から微粉などを取り除き、無用な負荷を分級に与えることが無く、また、不用意に紛れ込んだ夾雑物を研米槽に投入しないようにしている。
分級機から排出された再生脱脂糠がストックされている量を検知し、この研米処理へ供給される脱脂糠が不足しないように新脱脂糠を補給し供給する。脱脂糠タンクにレベル検知器を設け下限を切ったときに補給信号を出し、新脱脂糠タンクの供給バルブを開閉制御することにより実行することができる。
<製造工程例>
本発明の工程にしたがって説明する。
図1にしたがって基本工程を説明する。
原料精米Aと研米材である脱脂糠Bとを研米槽Cに投入して、攪拌・摩擦研米されて、研米槽から排出され、研米された精白米と脱脂糠等は分離Dされて、精白米はさらに不用物を取り除いて清浄米Eとして回収される。脱脂糠は、循環系にて再生されて再利用される。循環系においては、損耗した分を新脱脂糠Kで補給して、再利用脱脂糠Gとして分級機Mに導入して、澱粉など付着物を分離して再生された脱脂糠Bとなる。廃棄物となる廃棄微粉は代表して分離Dから排出されるように表記しているが、各処理工程から廃棄される物を象徴している。ただし、分級機で分離されて集塵される澱粉Nは別系統として表している。
研米槽Cから排出された精白米と脱脂糠等は、最初に篩Hで分離され、精白米はさらに篩I、篩Jを通過させて混入している微粉等を取り除いて無洗米として使用できる清浄米Eとして製品回収される。篩I、Jは同じ構造でも、また異なる構造でも良いが、本実施例では、篩Iは傾斜網、篩Jは内部に攪拌用のスクリューを備えた円筒網を使用して、より周到に不用な微粉を取り除き、清浄米の品質を維持向上させている。
脱脂糠は、篩Hの後に新脱脂糠Kを補給して、振動篩い形式などの篩Lに送られ、脱脂糠と付着性が弱い夾雑物をこの篩で取り除き、その後ロータリーバルブを経由して分級機にMに送られて、空気の吸引力によって、澱粉を主とする微粉を集塵し、不要物を取り除いて再生された脱脂糠Bとなる。
廃棄微粉Fは、篩H,I,J、Lから排出されてくることとなる。
本発明の一実施例の装置構成が図3に示されている。
お米の動きを順に沿って説明すると次のようである。
原料精米タンク10から送り出された原料精米Aは、一定量の送り量に調整されながら研米槽1に投入される。一方、脱脂糠Bは、研米槽1内での原料精米Aと脱脂糠Bとの配合が一定比率となるように、循環脱脂糠タンク11内の量がレベルセンサー12にて検知されながら研米槽1に投入される。
研米槽1に投入された原料精米Aおよび脱脂糠Bは、研米槽1の研米処理部に順次送り込まれる。研米処理部において、櫛状に多数設けられている攪拌棒2によって攪拌されながら、抵抗体3によって移動を妨げられ、攪拌棒2と抵抗体3との為す間隔や研米槽1内壁と攪拌棒2の先端との為す間隔またはシャフト6表面と抵抗棒3先端との為す間隔の間を順次すり抜けながら研磨作用を受けて、下方に向かって移動していき、原料精米Aの表面に付着している澱粉(ヌカ)Nが削り取られて除去されて研米処理される。
篩13から出た精白米Pには、まだ廃棄微粉Fが混在していることがあるので、分離機16へ送られ、斜めに設置された篩17の上方から落下させて廃棄微粉Fが取り除かれてから、それぞれの排出口18,19から放出される。分離機16から出た精白米Pは、揚穀機21のバケット22にて清浄篩23へと送られて、残っている廃棄微粉Fがさらに除去されて清浄米Eとされ、それぞれの排出口24,25から排出されて、製品タンク26に投入されて収容される。
一方、篩13の排出口15から排出された再利用脱脂糠Gは、振動篩33に供給される。再利用脱脂糠Gには、研米槽1での研米処理にて磨耗した脱脂糠や小さく砕けた米片あるいは脱脂糠などの廃棄される廃棄微粉Fが混在しているので、この廃棄微粉Fが振動篩33にて除去されて、それぞれの排出口34,35から排出される。このとき、レベルセンサー12にて検知した循環脱脂糠タンク11内の脱脂糠Bの量が所定量より少ない場合には、循環利用される脱脂糠Bが所定量となるように、新脱脂糠タンク31の供給バルブ32の開閉をフィードバック制御して調整して、不足分の新しい脱脂糠Kが新脱脂糠タンク31から振動篩33へ供給される。
このようにして、本装置例は連続して運転できるシステムであるが、研米槽1および分級機41と、脱脂糠Bの循環機構に独自の工夫を凝らしているので、具体的な構造について説明する。
研米槽の構成は図3に示す。
シャフト6の回転数は、研米処理の精米温度の上昇を抑えた方が、米の劣化をきたすことが無く望ましく、特に、澱粉Nが糊化し始める54℃以下に抑えることが重要である。この精米温度に注意してなるようにシャフト6の回転数を設定するが、従来の研削する研米装置の回転数よりも少なくすることができる。
研米槽1の下部の出口1cには、回転レーキ7が取り付けられ、研米槽1にて研米処理される精米Pおよび脱脂糠Bの一定量となるように送り量が調整されながら、研米槽1の出口1cの下部の篩13へ送られていく。
研米槽1のシャフト6を回転させるモーター4には、負荷センサー8が取り付けられ、モーター4の回転負荷を測定し、この検知に基づいて研米槽1内の原料精米Aおよび脱脂糠Bの量の調整、研米時間の調整を行って研米度合いを制御する。具体的には、主に、研米槽の出口から排出する回転レーキ7の送り出し量を調整することによって制御されることとなる。あるいは、精米の供給量を制御することによって、研米度合いを制御することができる。
分級機の例は図3、及び拡大した構成が図4および図5に示されている。
原料精米Aを研米するための研米材として脱脂糠Bを用い、この脱脂糠Bを研米処理後に再利用脱脂糠Gとして循環利用する循環処理系を備え、研米にて原料精米Aから剥離させた澱粉(ヌカ)Nを再利用脱脂糠Gから除去する装置は、本出願人が先に提案した特許4153844号公報では、振動篩いなどを採用していたが、原料精米Aから剥離させた澱粉Nは、脱脂糠との愛着性が高く、離れにくいこと、また、澱粉自体粘着力があって、目詰まりしやすく、篩では除去しにくい。
脱脂糠は米と同程度の嵩量を使用するので、そのまま廃棄することにすると、廃棄量が大量となってしまう。そこで、前の提案でも脱脂糠を再利用すること提案しているが、この再生品質が悪いと研米の品質に影響を及ぼすこととなる。本発明は、この脱脂糠の再生を効率よく実施する技術を開発できたことにより、実現できた。即ち、集塵機51による風圧を利用して再利用脱脂糠Gから澱粉Nを分離すること、澱粉Nによる目詰まりを防止する技術を開発して連続運転できるようにしたものである。
メッシュスクリーン42の背面、すなわち吸引空間41c側には、メッシュスクリーン42の後方に向けてエアを噴出するスリットを設けた回転スクレーパ43が周方向に回転可能に取り付けられている。回転スクレーパ43は、メッシュスクリーン42のメッシュ体42bの直径寸法より若干大きな長手寸法を有する平面視長方形状のスクレーパ本体43aの中心部に回転駆動軸43bが取り付けられている。回転駆動軸43bを回転させることによって回転スクレーパ43がメッシュスクリーン42に沿って周方向に回転される。
スクレーパ本体43aの内側面の幅方向の両側部には、スクレーパ本体43aの長手方向に沿った一対のエアノズルとなるエア吹付口43c,43dが設けられている。各エア吹出口43c,43dは、スクレーパ本体43aの長手方向の一端から他端までに亘った直線状のスリット状に形成されており、幅方向の両側に設けられている。回転駆動軸43bには、この回転駆動軸43bを回転駆動させるためのモーター44が接続され、この回転駆動軸43bを内装する筒体を介して回転スクレーパ43の各エア吹付口43c,43dからメッシュスクリーン42の背面に向けてエアを吹き付けるためのブロア45が取り付けられている。
分級機筐体41aの吸引空間41cの下部には、メッシュスクリーン42にて除去した澱粉Nを排出させるための澱粉排出口41fが設けられ、この澱粉排出口41fは集塵機51の吸込口51aに接続されている。よって、この澱粉排出口41fからは、分級機筐体41aの脱脂糠通過空間41bを通過する脱脂糠Bからメッシュスクリーン42にて除去し回転スクレーパ43にてメッシュスクリーン42から取り除いた澱粉Nが排出され、集塵機51の吸込口51aへと吸い込まれて集塵されて集塵バック52に収容される。
分級機筐体41aの脱脂糠通過空間41bが外部の気圧より負圧な状態に維持されていることにより、拡散用エアバルブ41を開くことによって脱脂糠拡散口41gから外部のエアが吸引されるように構成されている。
分級機41の脱脂糠吸込口41dから脱脂糠通過空間41bへと吸い込まれた脱脂糠Gは、脱脂糠拡散口41gから吸引されるエアによって脱脂糠通過空間41b内において拡散されながら、吸引空間41c側の集塵機51による吸込力によってメッシュスクリーン42に衝突され、この脱脂糠Bに付着あるいは混入している澱粉Nがメッシュスクリーン42にて除去される。さらに、澱粉Nは、付着力があるので、このメッシュスクリーン42を通過するときに、メッシュスクリーン42に付着し易いが、回転スクレーパ43の各エア吹付口43c,43dからのメッシュスクリーン42の背面へのエアの吹き付けによって、メッシュスクリーン42への澱粉Nの付着が防止されて除去されるため、メッシュスクリーン42の目詰まりを防止しつつ、脱脂糠通過空間41bを通過する脱脂糠Bから澱粉Nを除去し続けることができる。
なお。再利用脱脂糠排出口35の直後に吸気開口36が取り付けられ、分級機41の脱脂糠排出口41e直後にロータリーバルブ46が取り付けられて、集塵機51に吸引によって、分級機筐体内が負圧状態となる。脱脂糠通過空間41bの下方へ流れた脱脂糠は、ロータリーバルブ46を通して循環脱脂糠タンク11へ供給することができる。
研米材は、原料精米(米粒)Aの表面溝に残るヌカや糊化層を除去するために用いるために、米粒よりも小さく、米粒表面を傷つけない硬さをもった研磨材、すなわち脱脂糠Bを使用する。脱脂糠Bは、研米槽1で米粒に圧着、摺擦されて一部は摩耗破損する。十分再利用可能な脱脂糠Gは、新しい脱脂糠Kを補充し、循環利用することにより装置の連続運転が可能となる。脱脂糠は損耗した分が減るので、原料精米Aに加えられる量を確保するには、新しい脱脂糠を補充する必要がある。
振動篩からでた脱脂糠は、脱脂糠循環筒47の吸気開口36から吸い込まれて、分級機へ移送される。吸気開口36は、吸気量および吸引力を調整できるように開口絞りを設けることが好ましい。
また、研米槽1のシャフト6を回転させるモーター4に取り付けられた負荷センサー8によって、モーター4の負荷が測定され、この負荷に基づいて原料精米Aの研米状態を推定し、精白米Pおよび脱脂糠Bを排出する量を回転レーキ7によって調整する。設定した負荷になるように回転レーキをフィードバック制御することにより自動制御が可能となる。
あるいは、精米の供給量をコントロールすることも可能である。
なお、新脱脂糠タンク31は、不足した分の新しい脱脂糠Kを振動篩33に供給しているが、研米槽1と循環脱脂糠タンク11との間であればいずれの位置に取り付けて、不足した分の新しい脱脂糠Kを供給する構成としても良い。
本発明は、一般市販されている精米を製造する精米工程で取りきれずに残っているヌカ成分である米粒胚乳表層にある糊粉層(肌糠)、すなわち澱粉Nを脱脂糠を用いて研磨除去して清浄な表面をもつ清浄米Eに仕上げようとするものである。清浄の程度は目的に応じて調整することができるが、洗米を必要としない程度(前述の無洗米)まで清浄にできるものである。
精米後の残存状体を観察すると、米粒の表面にある筋状の溝部に糠分が残っている。糊化しやすい澱粉Nは、主に胚乳の最外層を形成する糊粉層から遊離する。これは当然、筋状の溝部の糠の下に多く存在する。これらの糊粉をいかにして除去するかが各社の無洗米製造技術である。
本発明は、原料精米(米粒)Aの表面の溝部に脱脂糠Bを研米材として作用させて、糠と糊粉層、すなわち澱粉Nを擦り落とそうとするものである。このような脱脂糠Bとして、溝に入り込む程度の大きさや角や突起をもつことが好ましく、角や突起が米の表面を傷つけることがない様な素材であるので研米材として適している。また、脱脂糠Bは、安全性の観点から、食べても害のないものが好ましい。
本発明者は、元々米由来である米糠、すなわち脱脂糠Bに注目してその効率的な利用を研究してきた。玄米から米糠の大部分を除去した精米米Eの表面には、前述した糠や糊粉層の外に、米糠に含まれている油脂分がある。この油脂分は、微粉類を付着させてしまうので、米の表面を小さい粉粒体で研磨した場合、これらの粉粒体を吸着して分離しにくくなる問題がある。また、摩耗して微粉化した研磨粉粒体や剥落した糠や糊粉層由来の澱粉が再付着してしまい、研米処理の後工程の分離選別工程などでも落ちにくいことがある。これが、乾式法による洗米水濁度を下げられない一因であることを究明した。本発明者は、脱脂糠Bに注目し、油脂分が除去された脱脂糠Bが効率よく米表面の油脂分を吸収する作用を見出し活用している。
脱脂糠Bは、元来、米由来であるので、米粒との馴染みや硬さも問題なく使用できる点で有利である。米糠には、約20%の油脂分が含まれているとされ、その内の17%前後を原油として脱脂されるとされている。米糠からノルマルヘキサンを用いた脱脂方法による産物である脱脂糠Bには、食物繊維29.2%(重量%、以下同)、糖質24.6%、タンパク質17.5%、脂質9.9%、灰分12.1%、水分6.7%という分析データがある。
2 攪拌棒
3 抵抗体
4 モーター
6 シャフト
7 回転レーキ
8 負荷センサー(回転負荷)
10 原料精米タンク(精米)
11 循環脱脂糠タンク(脱脂糠)
12 レベルセンサー(量)
13 篩(精白米、脱脂糠)
14 精白米排出口
15 脱脂糠排出口
16 分離機(米微粉除去)
17 篩
18 精白米排出口
19 廃棄微粉排出口
21 揚穀機
22 バケット
23 清浄篩(米微粉除去)
24 清浄米排出口
25 廃棄微粉排出口
26 製品タンク
31 新脱脂糠タンク(新脱脂糠)
32 供給バルブ
33 振動篩(糠微粉除去)
34 廃棄微粉排出口
35 再利用脱脂糠排出口
36 吸気開口
41 分級機(糠澱粉除去)
41a 分級機筐体
41b 脱脂糠通過空間
41c 吸引空間
41g 脱脂糠拡散口(エア吸引口)
42 メッシュスクリーン
43 回転スクレーパ
44 モーター
45 ブロワ
46 ロータリーバルブ
47 脱脂糠循環筒
51 集塵機
52 集塵バッグ
Claims (6)
- 精米を、脱脂糠を用いて研米する装置において、
研米処理後に脱脂糠を循環使用する循環処理系を備えた研米装置であって、
循環処理系に精米から剥離した澱粉を除去する装置として、メッシュスクリーンの後方から吸引して除去する分級機を設けたものであって、
当該分級機は、分級機筐体内にメッシュスクリーンを備えて前後の空間に二分し、前方空間が脱脂糠通過空間であって、後方空間が吸引機に接続された吸引空間であり、メッシュスクリーンの後方に向けてエアを噴射する回転スクレーパをメッシュスクリーンの背面に設けた
ことを特徴とする研米装置。 - 分級機は、脱脂糠通過空間の上部に脱脂糠散乱用のエア吸引口を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の研米装置。 - 脱脂糠の循環処理系は、
研米後に精白米と分離された脱脂糠を含む再利用脱脂糠を、
新脱脂糠供給機、砕け米や細粒粉となった脱脂糠を分離除去する第1篩い工程、澱粉を分離除去する分級工程、再生した脱脂糠を貯留する循環脱脂糠タンク、分級機に負圧を与える集塵機及びこれらを連結して脱脂糠を移送する経路から構成され、
該移送経路には、第1篩い工程後に再利用脱脂糠を吸い込む吸引口を設け、分級機の直後にロータリーバルブを設けて、集塵機から生ずる吸引力によって、該経路内の脱脂糠を移送することを特徴とする請求項1又は2記載の研米装置。 - 循環使用する脱脂糠の量を安定に保つために、循環脱脂糠タンクに糠レベル検知センサー設け、該センサーからの信号に基づいて、新脱脂糠供給機から新脱脂糠の供給量を制御することを特徴とする請求項3記載の研米装置。
- 研米手段として、櫛歯状に固定棒が設けられた筐体とこの固定棒間を回転することができる移動棒が回転軸に設けられた研米槽であって、該研米槽に回転軸にかかる負荷を検知するセンサーを設け、該センサーの信号によって、研米槽の供給及び搬出量を制御する研米手段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研米装置。
- 研米処理後の精白米は、2回以上篩いにかけて、夾雑物や微粉を除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研米装置。
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