JP4738427B2 - 研米方法あるいは無洗米の製造方法及び研米材並びに研米装置 - Google Patents

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Description

本発明は、精米を原料とし、これを更に研米する方法、装置及び炊飯時に洗米をする必要のない清浄な状体の無洗米の製造方法、製造装置並びにこの研米に使用する研米材に関する。本発明は、水を使わずに研米して清浄米あるいは無洗米を乾式法によって製造する技術に関する。
精米した白米の表面には精米機では取りきれない粘性のヌカが残っている。お米をとぎ洗いすることで、このお米の表面についているヌカが洗い落とされ、おいしいご飯になる。お米をとぎ洗いするという手間をなくしたのが無洗米である。無洗米は 洗う必要のない衛生的(きれい)なお米である。袋からお米を出して、水を注ぎ、すぐご飯を炊くことができる。
無洗米を製造する方法として、水を使ってヌカを米の表面から除去して乾燥させた湿式法、水を使わずに研米材などを使用してヌカを落とす乾式法などがある。研米材を使用せず水を利用して精米を水中で摩擦させて研米するいわゆる水洗する湿式法が現在の無洗米の製造方法の主流となっている。しかし、この方法の欠点は食味の低下や精米の劣化等の問題があるが特筆すべきはカビ等の発生の難題がある。
本出願人は、乾式法による無洗米の製造法及び装置に関する発明を提案してきた。即ち、特許2958885号公報「清浄米の製造装置及び製造方法」(特許文献1)および、特開2001−327881号公報「脱脂糠を用いた清浄米の製造装置及び製造方法」(特許文献2)である。
これらの発明は、研米材として脱脂糠に注目して、精米に残っているヌカを取り除こうとするものである。精米と研米材を混ぜ合わせて攪拌することにより、お米の表面に残っているヌカと脱脂糠を接触させるために、回転軸に回転体を装着して攪拌研米する方法である。この研米技術は、研米材が精米と精米の間に介在しながら一体となって回転するものであって精米の濁度を十分に下げる程度まで研米するには、長時間を必要とするなど、改良の余地があるものであった。
特許文献1は、原料精米に、脱脂糠とナット状の加圧材とを配合し、これらの配合物を回転ドラムに投入し、回転攪拌処理し、清浄米、加圧材、並びに清浄材を選別し、米粒に付着する微粉を除去して、無洗米である清浄米を製造する発明である。
特許文献2は、特許文献1で提案した発明を改良した発明であって、加圧材を用いることなく被処理米と脱脂糠を配合して清浄米を製造する製造装置であって、研米手段と装置構成に改良を加えたものである。
一方、脱脂糠は、脱脂されているので精米の表面にある脂質を含むヌカを吸着しやすいこと、強く擦っても米に傷をつけない硬さであること、含水率が米と同程度に調整しやすく米と混ざっても米を乾燥することなく乾燥割れを防止できること、米から得られる天然素材なので安全な材料であること、大量に安価に得られることなどの特徴があって米と馴染みが良いので本発明者は、従来より注目してきた研米材料である。
米と馴染みが良いことは米の表面に付着して、逆に落ちにくいこともあって、先に出願したような工夫を凝らしてきたものである。この発明においては、更に、装置及び脱脂糠にも工夫を加えて更に、効率性とお米の表面の清浄度を向上させた提案をするものである。
特許2958885号公報 2001−327881号
本発明者は、脱脂糠と精米を効率よく接触させ、摩擦して、精米に残存するヌカを脱脂糠に付着させて除去する方法と装置を研究してきている。その成果として、加圧材を介在させることにより脱脂糠を米の表面に押しつける手段を提案し、また、攪拌方法に工夫を加える方法及び装置を提案してきた。更に、研究開発を続けた結果、従来の提案では、多数の精米と脱脂糠を一緒に攪拌するために、個々の米粒に対して確実に脱脂糠を接触させる工夫が不足しているために、長時間の攪拌や仕上がりが不安定になっていることに気づき、個々の米粒に効果的なこすり付けを実現する方法及び装置を開発することが本発明の課題とするものである。
本発明は、研米材である脱脂糠の性状についても詳細に検討し、精米粒に残存するヌカを確実に付着して取り除く性状、及び、米と馴染みがあることによる欠点として微粉化した脱脂糠が米側に付着してしまい再除去に手間がかかることを改善することを本発明の課題とするものである。
本発明者は、研米棒などの攪拌手段と精米と研米材が一体となって回転してしまい、研米材が米粒にこすりつけられる機会が少なくなる弊害を抑制するために、研米槽内での精米の移動を制限する手段を設けるものである。あるいは、個々の米粒に確実に摺り合わせる作用を加えるために、米粒の移動空間の隙間を制限する方法及び機構を設けたものである。本発明は、この方法の精度を向上させるために、個々の米粒にこすりあわせる作用を施すことによって、研米材が米粒に逆に貼り付いてしまう欠点を除去するために、研米材の付着成分であるアルファ化した白色澱粉を除去した脱脂糠を提案するものである。
即ち、本発明は、次の構成による。
1. 間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体間隔に米粒と研米材とを供給して米粒を摩擦研米する研米方法であって、研米材として、脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いた研米材を用いることを特徴とする研米方法あるいは無洗米の製造方法。
2. 間隔を開けて配置した2つの物体の一方が間隔を空けて櫛歯状に配置した複数の固定棒であり、他方が該固定棒間の間隔をすり抜け移動する移動棒体であって、該固定棒と該移動棒が設けられた研米容器内に精米と研米材を投入し、研米容器内において、前記移動棒体によって、固定棒による抵抗を負荷しながら精米と研米材を移動させる処理を行うことを特徴とする1.記載の研米方法あるいは無洗米の製造方法。
3. 脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いたことを特徴とする研米材。
4. 精米と脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いた研米材を研米容器に収納し、精米と研米材とを回転攪拌することによって精米を研米する装置であって、研米容器内壁に長さ方向に間隔を空けて固定して設けられた複数本の抵抗体と、研米容器内に該間隔に対向して棒状体の研米棒を配置し、研米容器と研米棒とは、相対移動するように構成された研米機を備えたことを特徴とする研米装置。
5. 4.に記載された研米機を備えた研米装置において、精米ストッカーから供給される原料精米と研米材ストッカーから供給される研米材とを所定量供給する定量供給機(A)、該定量供給機からホッパーを介して原料精米と研米材を研米容器に受け入れ、抵抗体と研米棒によって攪拌研米する前記研米機(B)、該研米機(B)から排出された精米と研米材を廃棄微粉と精白米と再利用研米材とに選別分離する篩(C)、再利用研米材に新規研米材を追加して定量供給機に送り出す研米材補充機構(D)、精白米を微粉除去用の篩(E)及び/又は微粉吸引機(F)を介在させるか又は介在せずに収容する精白米タンク(G)を設けたことを特徴とする研米装置。
・乾式法による無洗米品質を向上させることができる。従来の脱脂糠を使って得られた清浄米に認められた多少の濁りも、アルファ化白色澱粉を除去した脱脂糠を用いることによって、解消できる。
・保存性を高め、食味を落とさずに無洗米を製造できる。
(社)日本精米工業会によると、夏季条件下において、1ヶ月保管しても品質が保持されることも無洗米の条件の一つとされているが、十分にクリアするものである。
・定量供給機を開発し、2種類の粉粒体を一定比率で配合しながら供給可能とし、連続運転を可能とした。
・研米材を循環使用するに当たり、新研米材を一定以上追加補充を自動的に行う機構を開発し、連続運転を可能とした。
・研米機構の改善及び後工程の研米材と精白米との分離選別手法に改善を加え、従来の脱脂糠を用いた本装置にて、得られた精白米の濁度は低下させることができ、清浄なお米を提供できる。
・精米と研米材とを自動的に配合して、研米効率・精度を維持する手段を発明し、システムとしての研米装置を提供するものである。
・研米材を循環利用して、廃棄物の発生を少なくし、低価の原料コストを提供することで
ある。
以下に本発明を詳細に説明する。
<研米方法、無洗米の製造方法>
本発明は、米粒に如何にして、研米材(脱脂糠)を接触作用させるか、即ちこすり合わせる方法、手段そして米粒の表面に残っているヌカ分を引き剥がす最良の研磨材を発明したものである。まず、本発明の概略を説明する。
1.研米材を用いない従来の研米機:酒米などに用いられる米粒表層を研磨する方法は米粒同士を強くこすり合わせることによって、米粒同士の相互研磨作用を利用したもの。これは、米の表層を削り取ってしまうもので、研米槽の研米部に圧力をかけて攪拌して、研磨力を出すものである。この結果、摩擦熱と削り粉が発生し悪影響を及ぼすので、中心から冷却用の空気を送り込み、研米槽の外周に設けた微細孔から、空気を吸引すると共に削り粉も排出する手段がとられている。
2.研米材を用いる本発明は、米粒の表層を削り取るのではなく、精米後の米粒に残存するヌカ(「ヌカ」は、精米表面に残っている米糠を意味し、区別し、強調するためにあえてカタカナ表記にした。以下同。)を引き剥がすために、研米材を用いるものである。たとえて曰く、米粒の表面を布巾で拭き取り磨きをする様な行為である。このためには、米粒を捕まえて一粒毎に磨けば良いが、甚だ非効率で、経済的に成立しない。
3.従来の研米材を用いない研米方法を採用して、圧力をかけて攪拌し、米粒同士の摩擦を利用する手法は、(1)研米槽の外周に孔を開けると研米材が排出してしまうので採用できないこと、(2)研米槽の外周に孔を開けずに強圧摩擦をすると、熱の除去ができず、米の劣化をきたすこと、(3)最大の問題は、脱脂糠などの米粒よりもやや柔らかい研米材を使用すると、研米材が緩衝材の役割をして、十分な圧力が加わらないこと、(4)米粒のラグビーボールのような形は、圧力がかかっても、一定の姿勢を保つことが無く、十分な研磨作用を与えることができないこと、の問題点があった。
4.米粒よりも固い研米材を用いることは、米粒の表面を傷つけることとなり好ましくない。
5.多量の米を短時間に処理する効率性と、各米粒の表面に磨きを掛けてきれいにする手法、構成、研米材料を開発して、本発明は完成したものである。
6.本発明は、精米を研米して、米粒表面からにヌカ分などを除去して、炊飯時に洗米の必要のない程度の清浄な米を提供する方法及び装置、研米材を提供するものである。このような清浄米として「無洗米」が市場で流通しており、本発明では、「無洗米」として(社)日本精米工業会の定義を用いている。
[無洗米の定義]
(社)日本精米工業会内に設けられた無洗化処理精米検討会が平成13年10月26日付けで報告した「無洗化処理精米検討会の検討取りまとめ結果について」による。この報告書によると、2.無洗化処理精米(無洗米)の定義として次のように定義される。
(1) 無洗化処理精米(無洗米)の一般的定義
「無洗化処理精米(無洗米)とは、普通の精米を専用の無洗化処理装置により処理し、炊飯の際、水洗を必要としない程度に精製された精米をいう。」とする。
そして、3.無洗化処理精米(無洗米)の品質基準として、イ.に「炊飯の際、水洗を必要としない程度に精製されていること。また、専用装置で処理する前の精米と同程度の食味であること。ただし、乾式研米仕上げ方式のものにあっては、2回程度洗米すること。
(1)工業化が定めた計測法「洗米水乾固物試験法:後掲」を本件として計測し、「濁度試験法:後掲」は併用することとする。・・・(2)洗米水濁度試験法に準拠した方法よる濁度が試料20g中70ppm以下であること。なお、原料となる精米及び環境条件により5%程度の補正が生じてもやむをえない。ただし、乾式研米仕上方式にあっては濁度が試料20g中90ppm以下であること。」などが記載されている。
更に、この報告書の別紙として、(社)日本精米工業会の名前で平成13年10月26日付け「洗米水乾固物試験方法と洗米水濁度試験方法について」がある。
洗米水濁度試験方法は次のとおり
1.米試料20gを三角フラスコに入れ、200mlの水を注いだ後、ゴム栓をして振とう機(注1)により10分間振とう(注2)する。
2.振とう後、溶液をビーカーに取り、これから50mlをさらに水で10倍(500ml)に希釈する。
3.希釈後濁度計(注3)により3回測定し、その平均値を測定値とする。
本発明では、この洗米水濁度試験方法に準拠して濁度を計測している。なお、濁度は「ppm」で示される数値である。
<基本構成例>
具体的な、研米方法、研米装置、研米材並びに無洗米の製造方法及び無洗米製造装置について、説明する。
第1に、多数の米粒の各粒に研米材を確実に作用させるために、米粒を挟む狭い間隔を開けて2つの面を対向させて、一方あるいは異なる方向に面を移動させることによって、確実に米粒に研磨作用を施すことができる。この隙間は、米粒の短径から長径の3倍程度が適当である。穀粒は、品種によっても大きさが違うので一概には規定できないが、概ね2mm〜20mm程度とすることができる。
面の形は、平面、曲面、あるいは、間隔を変動させてバリエーションを付けても良い。平面の場合は、傾斜させて面を往復動させ、上方から下流側に原料精米を移動しながら研磨作用を施すことができる。曲面の場合は、外側円筒と内側円筒によって、2重円筒によって構成することができる。2重円筒の隙間を米粒が通過することによって研磨作用を施すこととなる。円筒の場合は、どちらかの円筒を回転させるか、双方を回転数に差を持たせて回転させるか、逆回転させるかなど、動作にバリエーションを付加することができる。
どちらの場合も、研磨作用面に米粒が滞留することが必要であるので、バッチで処理するか、出口側を絞って米粒の滞留時間(=研磨時間)を制御することが必要である。
研磨間隔の構成として、面に凸状部を付けて、凸状部の先端と対向面との隙間を前記の間隔とすることもでき、凸状部と凸状部の間に米粒が溜まるポケット部が形成され、ポケット部とネック部が交互に連続して形成されることとなるので、それぞれのネック部で徐々に研磨が進められる。突状は、点在、粗密、線条に設けることができる。
この突起を、毛状のブラシで形成することは、毛の間に、研米材などの粉体がつまり、研磨作用が低下するので好ましくない。また、脱脂糠や米の表面から剥落した微粉がブラシの間に溜まり、放置すると雑菌の繁殖や異臭の原因となるので、衛生面やメンテナンスの面で適当ではない。
第2の手法として、第1の突起による研磨間隔を設ける手法を発展させ、さらに大量の穀粒を処理する手法として、研米槽に米粒を入れ、前記の間隔を開けて干渉しないように配置した棒状体を相対移動させて、相対移動する棒状体が接近した隙間に米粒が挟まれた時に研磨作用が発揮されるようにするものである。
棒状体を相対移動させると、対向する棒状体同士がすれ違う際に、研米槽において、研米材と米粒が挟まれて、抵抗が発生して研磨作用を与えることができる。この棒状体の一方を固定し回転させる場合において、間隔を空けて櫛歯状に配置した複数の固定棒と該固定棒間の間隔をすり抜け移動する棒体が設けられた研米容器内に、該研米容器内に精米と研米材を投入し、研米容器内において、前記移動棒体によって、固定棒による抵抗を負荷しながら精米と研米材を移動させる処理を行うことができる。
さらに、研米槽の研米部分への送り込み手段と研米槽の出口の開閉度合いを制御して、回転攪拌される精米に圧力を加えて研米作用を高めることができる。
このような、研米処理の後に、精米と研米材は篩により分離し、分離された研米材は再度循環使用され、一方精米は微粉を除去して、表面を清浄な状体とする。研米材は再利用して、廃棄物を減少させ、コストを下げることができる。
確実に研磨作用を各米粒に作用させることができるので、処理された精白米は、無洗米として十分に基準を満たすものである。本発明では、被処理精米を精白米、清浄米、無洗米と状況に応じて使い分けているが、全て、研米処理された精米を指している。
棒状体の形状としては、丸棒、角棒があるが、丸状は最接近間隔が点状であるので、研磨作用は短く、効率性は上がりにくい。角棒は、断面長方形、面取りして角を落とすなどの変化を持たせることができる。棒体としては、丸棒の一部を研削して平面を形成したもの(略半円形など)、楕円形の断面も含まれる。
<製造工程例>
本発明の工程にしたがって説明する。
図1は、本発明の工程図を示す。図2は、本発明の実施例の研米装置の全体構成図を示す。図3は、本発明の実施例に使用する研米機を示す。図4は、本発明の実施例に使用する定量供給機を示す。図5は、本発明の実施例に使用する再利用研米材に新研米材を添加して研米材の循環供給する研米材混合機構を示す。図6は、図3の研米機の研米処理部(円A表記部)の拡大図を示す。
本発明の実施例の装置を図1〜6にしたがって、説明する。
原料精米Aと研米材である脱脂糠Bを定量供給機Cで一定比率で配合し、昇降機Dを介して研米槽のホッパーEに供給する。ホッパーEから研米機の研米槽Fに投入され、攪拌研米処理を経て、選別篩Gにて、精白米と廃棄微粉Jと再利用して循環研米材として利用する循環研米材糠Kの3つに選別する。選別された精白米は、更に精白米に混在している微粉を微粉除去篩H、風力微粉末除去器Lを経由して除去した清浄な状態の精白米を製造して清浄米貯蔵槽Mに貯蔵する。一方、循環研米材糠Kは、研米処理工程で微粉化するなどして、一部が廃棄されているので不足分として新研米材を補充して定量供給機へ循環させる。
本実施例では、定量供給機を研米槽のホッパーよりも下段側に配置している。配合された原料精米と脱脂糠は、昇降機で移送される間やホッパーに投入されることによって、混ざり合って研米処理部に送り込まれる。
<研米装置構成(無洗米製造装置)例>
本発明の一実施例の装置構成が図2に示されている。
1は原料精米と研米材を定量供給機から研米槽のホッパー2へ運び揚げて投入する昇降機、2は研米槽の投入用のホッパー、3は新規の研米材を供給するホッパー、4は精白米と研米材と廃棄微粉の3者に選別する篩、5、6、7はそれぞれ篩の4の精白米排出口、循環研米材排出口、廃棄研米材排出口、8、9は篩4、28に振動を付与する振動モーター、10、11は篩4の精白米及び研米材を選別する選別篩、12は攪拌棒、13は抵抗体、14はモーター、15は篩4の底面、16は微粉捕り用のネット、17は微粉捕り用のエアー吸引口、18は清浄米を収容する製品タンク、19は原料精米タンク、20は篩の精白米排出口、21は精白米を送り上げる昇降機の受け入れ用ホッパー、22は振動フィーダー、23は昇降機1の受け入れ用ホッパー、24は再利用研米材を送るシュート、25は再利用研米材のオーバーフロー孔、26は昇降機1と34の駆動用モーター、27は原料精米を送り出すシュート、28は微粉除去用の篩、29はシュート27aと24の下端を上下位置調整をする長穴、30は新研米材
を送るシュート、31は送り用のスクリュー、32はスクリュー31と攪拌棒12を取り付けたシャフト、33は研米槽、34は精白米を貯留タンク18に送り込む昇降機、35は供給される研米材を受ける調整板、36は定量供給機、37は再利用研米材と新研米材との追加補充量を調整する混合調整機構である。
お米の動きを順に沿って説明すると次のようである。
原料精米タンクから送り出された精米は、シュート27を経由して、定量供給機36にて一定量の送り量にされ、一方研米材もこの定量供給機36にて一定量の送り量にされて、精米と研米材が一定比率に配合されて、昇降機1で運び上げられて研米槽のホッパー2に投入される。ホッパーに投入された精米は、研米槽33に落下し、スクリュー31によって、研米槽33の研米処理部に密集状体で順次送り込まれる。研米処理部において、櫛状に多数設けられている攪拌棒12によって攪拌されながら、抵抗体13によって移動を妨げられ、攪拌棒と抵抗体との為す間隔や研米槽内壁と攪拌棒の先端との為す間隔又はシャフト表面と抵抗棒先端との為す間隔の間を順次すり抜けながら研磨作用をうけて、ホッパー側から出口に向かって移動する。
研米槽を出た精米は、研米された米粒と研米材と摩耗した研米材や米粒から剥落したヌカなどの微粉が混じった状体となって篩4に入ってくる。篩4内では、2段に設けられた選別篩10、11によって米粒、再利用される研米材、廃棄される微粉の3種類に篩い分けられて、それぞれの排出口5、6、7から放出され次工程に送られる。篩4は、震動式の篩であって、モーター8によって駆動される。
篩4から出た精米には、まだ微粉が混在していることがあるので、篩28を通して微粉を取り除き、清浄にされた米を貯蔵する製品タンク18に送る昇降機34の受け入れホッパーに送られる。昇降機34で上端まで持ち上げられた精白米は、製品タンク19に投入される前に、エア吸引口17とジグザグに設けられた微粉捕り用のネット16を備えた仕上げの微粉吸引部を経由させる。篩4以降の仕上げの微粉捕りは、省略することもできるし、また、さらに追加することができる。
一方、篩4の排出口6から排出された再利用用の研米材は、シュート24を経由して定量供給機36に供給される。再利用研米材は、研磨処理によって消耗し廃棄される分があるので、シュート24の途中で新研米材を収容しているホッパー3に繋がるシュート30と合流させて、不足する研米材を補充する。また、再利用研米材は循環利用によって、研磨能力が落ちていくので、常に、一定比率で新規の研米材を補充することとしている。その具体的な構成は、特開2001−327881号公報に開示された機構を使用することができる。
このようにして、本装置例は連続して運転できるシステムであるが、研米槽と連続運転するための定量供給機、研米材の循環機構に独自の工夫を凝らしているので、具体的な構造について説明する。
<研米機の例>
研米槽の構成は図3及びその一部拡大した構成を図65に示す。
研米槽33は、外径が円筒形であって、図3の右側上部に精米受け入れ口33aが設けられ、左端には出口33bが設けられ、研米槽の精米受け入れ口側を除いて、研米槽の内壁に棒状の抵抗体13を櫛歯状に多数設置し、円筒の中心軸部に回転するシャフト32を挿通し、該シャフトには、精米受け入れ口側に送り込み用のスクリュー31と多数の攪拌棒を櫛歯状に設けて、抵抗体13と攪拌棒12は干渉しないように互いに櫛歯状の間隔に入り込み、シャフトの回転ができるように構成されている。
攪拌棒12と抵抗体13は、精米を出口側に搬出力が加わるように傾斜して設けられている。傾斜角は特に特定されるものではないが、30〜80度程度が適当であって、本実施例で約60度に設定している。スクリュー31の送り込み力は、抵抗体と攪拌棒による搬出力よりも大きくなるように設定して、研米処理される精米に圧力が加わるように設定する。
本実施例の装置では、攪拌棒12と抵抗体13は細長い板状であって、角部は面取りされている。また、円周方向には、1本に限らず複数本放射状に設けることも可能である。 図6に示す部分拡大図を参照すると、主に研米処理が作用する部位は抵抗体13と攪拌棒12との隙間Δd2、攪拌棒12の先端と攪拌槽の内壁との隙間Δd1、抵抗体13の先端とシャフト32の隙間Δd3であって、その間隔は、米粒がすり抜けられる最小間隔である米粒の幅から米粒の長さの2乃至3倍程度とすることができる。多数の米粒が隙間Δd1〜Δd3に幾重にも介在すると効果的に米粒に摩擦圧力を加えることができず、さらに研米材が緩衝材となって研磨力が発生しない。米粒の大きさは、品種によって異なるので一概にはいえないが、日本の米粒の大きさは、玄米の長さが4.9mm〜6mmで幅の1.6〜2倍とされている。これから、隙間Δd1〜Δd3は、2.5mm〜20mm程度に設定する。本実施例では、約6mmに設定している。
シャフトの回転数は、研米処理の精米温度の上昇を抑えた方が、米の劣化をきたすことが無く望ましく、特に、澱粉が糊化し始める54℃以下に抑えることが重要である。この精米温度に注意してなるようにシャフトの回転数を設定するが、従来の研削する研米装置の回転数よりも少なくすることができる。
研米槽の大きさは、処理能力や用途に応じて、円筒の外径を500〜50mm、回転体の軸径は485〜5mmとし、研米容器殻内壁に設ける棒状体の幅は、10〜100mmとし、回転体に設けられる棒状体の幅は、5〜50mmとし、両棒状体の厚みは、回転抵抗によって、破損しない強度とすることができる。円筒の長さは、研米処理の目的に応じて設計することができる。研米処理の送りスピードが速ければ長くなり、遅くなれば短くて済む。棒状体の角度にもよるので、一概にはいえないが、長さは、100cmでも業務用として設計できる。大型はお米屋さんが用いる業務用、小型は家庭用とすることもできる。小型は、一回の炊飯用分の無洗米を製造する能力としては、シャフトを手動回しでも可能であり、後段の選別篩を特に設けなくても良い。
<定量供給機の例>
定量供給機の例は図4に示されている。
粉体を振動フィーダーを利用して供給する装置は、特開平9−5148号公報にあるように知られているが、振動フィーダーそのもので計量と配合を実現できる装置は見られない。本発明は、2種類の粉体を定量的に連続して供給できるように工夫して、2種類の粉粒体を一定比率に配合して供給して連続運転できるようにしたものである。本例は原料精米と研米材の2種類に着目しているが、これらの物質に限らず、粉粒体一般に適用できるものである。例えば、塩と胡椒、小麦粉と砂糖、七味などを挙げることができる。七味などの2種以上の場合も、原料供給部を増やすことで対応できる。
定量供給機36は、振動フィーダー22と原料精米供給シュート27から続く原料供給用の先端シュート27aと研米材供給シュート24の先端シュート24aとを備えている。先端シュート27a、24aには振動フィーダー側の先端部位置を上下動調整可能に長穴29が設けられ、この長穴と螺子などを利用して固定する。先端シュート27aの先端は、間隔ΔSを空けて振動フィーダーの樋の平らな底面22aと対向し、この間隔ΔSが原料精米の供給間隔となる。単位時間あたりの供給量は、振動フィーダーの送り速度とこの間隔ΔSに依存することとなる。
一方、先端シュート24aの先端は、間隔ΔSを空けて底面22aから上方に設けた調整板35と対向し、この間隔ΔSが研米材の供給間隔となる。調整板35は基端部を振動フィーダーの樋に装着され、上面は平に形成されていて、上流から供給される原料精米流表面よりも上側になるように装着される。先端シュート24aを上下調節することに代えて、調整板35を上下調整できるように構成することも可能である。再利用研米材シュート24には、シュート24内が研米材で充満したときに、研米材を逃がすためのオーバーフロー孔25を上方に設けている。
間隔ΔSと間隔ΔSを調整することによって、原料精米と研米材の配合比率を決め
ることができ、加えて、振動フィーダーの送り速度によって、装置全体への送り量を制御
することができる。
なお、原料精米と研米材は振動フィーダー上である程度は混合されるが、均一な混合状体とならず、次の移送工程で混合が進められ、研米槽内では均一な状体となる。例えば、本実施例では、昇降機はバケットを用いて、比重の違う米と研米材が分離することを防止し、バケットからホッパー2に放出される際には、当たり板を設けて、ばらけるようにするなどの工夫を加えている。
<研米材の循環機構>
研米材は、米粒の表面溝に残るヌカや糊化層を除去するために用いるために、米粒よりも小さく、米粒表面を傷つけない硬さをもった研磨材、例えば、脱脂糠を使用する。研米材は、研米槽で米粒に圧着、摺擦されて一部は摩耗破損する。十分再利用可能な研米材は、新研米材を補充し、循環利用することにより装置の連続運転をする機構を開発した。研米材の性能は、再利用によって徐々に低下するので、一定回数で更新する必要がある。そのため、新研米材は、常に一定比率を追加補充して、研米材の性能を維持することとした。本装置の例では、新研米材を最低精米量とは1kgに対して30g補充するように設定している。
循環機構全体、及び定量供給機については既に説明したので、再利用研米材と新研米材の補給機構は構成例を図5したがって説明する。
篩4で選別された再利用可能な研米材は排出口5からシュート24に送られる。シュート24の途中で新規の研米材を貯留するホッパー3に繋がるシュート30と合流する。合流点には、追加補充量を自動調整する混合調整機構を設ける。この混合調整機構37は、例えば、シュート30合流位置側に回動支点37bを設け、シュート24側に先端側を自由として位置させた調節弁体37aを設け、シュート30の合流点下部に調節螺子37cを設け螺子の先端をシュート30の内側に突出させて該調節弁体37aの下端側に当接して最低開度を調整可能にした構造とする。
この構造によって、新研米材はシュート30内に常に充満して、調節弁体37aに圧力をかけている。一方、シュート24には、排出口5からの再利用研米材が供給され、同様に調節弁体37aに圧力をかけている。両圧力が均衡した角度に調節弁体37a位置して、双方の研米材を定量供給機36へ送ることができる。シュート24側の圧力が強く、シュート30側が全閉となるようなことがないように、螺子37cの先端が調節弁体37a最低開度を保ち、一定量の新研米材は常に供給されるようになっている。この構造によって装置の運転開始時には、全量が新研米材となることは明らかである。
<研米材>
本発明は、一般市販されている精米を製造する精米工程で取りきれずに残っているヌカ成分と米粒胚乳表層にある糊粉層を研磨除去して清浄な表面をもつ米に仕上げようとするものである。清浄の程度は目的に応じて調整することができるが、洗米を必要としない程度(前述の無洗米)まで清浄にできるものである。
炊飯前に洗米をする理由は、米に混じっている夾雑物や糠や表層部の糊化しやすい澱粉を除去し、おいしいご飯を炊きあげることにある。前述した無洗化処理精米検討会の報告書には、無洗化処理精米(無洗米)の学術的定義が参考として次のように紹介されている。「茨城大学・松田教授の定義:「無洗化処理精米(無洗米)とは、専用の無洗化処理装置により、とう精過程で形成された米粒表面の糊化層が完全に除去され、米粒表面には胚乳細胞壁と糊化していない澱粉粒のみが存在し、その他何らの付着物も認められない精米である。」と、している。」
一般に精米処理においては、玄米を構成する糠層(5%)、胚芽(3%)、胚乳(92%)のうち、糠層と胚芽を除去するが、玄米に対するとう精歩留まりは、91%前後となっている。このような精米を炊飯においては、さらに米粒表面に残っている、ヌカや糊化しやすい澱粉を除去する必要があるのである。ちなみに、この糊化しやすい澱粉は、そのままにすると炊飯加熱時に、この米粒の表層部の澱粉が糊化し、それによって米粒の中心部への水の浸透も熱の伝導も妨げられ、芯のある米飯になりやすいとされている。このためにも、水洗と水浸が必要とされている。
無洗米は、参考の学術的定義によれば、このような澱粉を除去する必要があるし、工業会では、洗米水乾固物量や洗米水濁度によって無洗米に基準を定め、洗米をしなくても十分おいしい米飯ができるお米を提供しようとしている。
さらに、詳しく、精米後の残存状体を観察すると、米粒の表面にある筋状の溝部に糠分が残って
いる。糠以外のじゃまになる糊化しやすい澱粉は、主に胚乳の最外層を形成する糊粉層から遊離する。これも当然、筋状の溝部の糠の下に多く存在する。これらの糠と糊粉層をいかにして除去するかが各社の無洗米製造技術である。
本発明は、米粒の表面の溝部に研米材を作用させて、糠と糊粉層を擦り落とそうとするものである。このような研米材として、本発明者は、先に挙げた従来例に開示した、ナチュラルソフトファイバーと称する油脂分を吸収し易い「トウモロコシ粒殻粉、脱脂糠」を使用することが本発明でも使用できる。その他に、おが屑、籾殻、おからなどを使用することができる。研米材は、溝に入り込む程度の大きさや角や突起をもつことが好ましく、角や突起が米の表面を傷つけることがない様な素材であることが好ましい。また、これらの研米材は、安全性の観点から、食べても害のないものが好ましい。
研米材の使用量は、配合比で、脱脂糠は精米に対して容積比で、0.5〜1.5で、例えば、同量程度が適当である。米1リットル(900g)に対して同容積の脱脂糠は約450gに相当し、循環使用に際しては、微粉化されて廃棄される脱脂糠は25〜30gである。したがって、実施例では、脱脂糠の循環利用系においては、新脱脂糠を30g以上追加補充するように設定している。
本発明者は、元々米由来である米糠、特に、脱脂糠に注目してその効率的な利用を研究してきた。玄米から米糠の大部分を除去した精米表面には、前述した糠や糊粉層の外に、米糠に含まれている油脂分がある。この油脂分は、微粉類を付着させてしまうので、米の表面を小さい粉粒体で研磨した場合、これらの粉粒体を吸着して分離しにくくなる問題がある。また、摩耗して微粉化した研磨粉粒体や剥落した糠や糊粉層由来の澱粉が再付着してしまい、研米処理の後工程の分離選別工程などでも落ちにくいことがある。これが、乾式法による洗米水濁度を下げられない一因であることを究明した。本発明者は、脱脂糠に注目し、油脂分が除去された脱脂糠が効率よく米表面の油脂分を吸収する作用を見出し活用している。米表面の油脂分は酸化劣化の原因ともなり精米の保存性も悪くしていたが、これを除くことにより、無洗米の保存性も改善することができた。通常精米では、常温保存で食味変化が小さいとされるのは1ヶ月程度であるが、本発明では3ヶ月と保存期間を延ばすことができた。
脱脂糠は、元来、米由来であるので、米粒との馴染みや硬さも問題なく使用できる点で有利である。米糠には、約20%の油脂分が含まれているとされ、その内の17%前後を原油として脱脂されるとされている。米糠からノルマルヘキサンを用いた脱脂方法による産物である脱脂糠には、食物繊維29.2%(重量%、以下同)、糖質24.6%、タンパク質17.5%、脂質9.9%、灰分12.1%、水分6.7%という分析データがある。
研米材の1例がこの脱脂糠である。脱脂糠を研米処理に用いる場合は、精米水分14.5%前後に調整して用いる。精米は、13%以下となるとひび割れが発生するので、過度な乾燥状態の脱脂糠を使用すると、米から水分を奪い悪影響が発生する。この状態で研米材として使用した場合の、清浄米の洗米水濁度は、90以下を実現でき、工業会の乾式法による無洗米基準を満たしている。
さらに、乾式法によっても洗米水濁度70以下を実現すべく研究した結果、装置的な改
良以外に研米材の改良にも着目し、新たに、脱脂糠に改良を加えることによって、これを実現できたものである。
<精製脱脂糠>
前記した脱脂糠に含まれる糖質には、脱脂工程で加熱処理されてアルファ化した澱粉が含まれることを見出した。アルファ化した澱粉はいわゆる糊化したものであるから付着性が強く、これを含んだ状体で米粒同士を擦り合わせると、一部が米粒表面に付着し剥がれにくくなり、それに他の成分も付着して、洗米水濁度の低下の困難要因となることに気づき、このアルファ化した澱粉を除去した脱脂糠を開発した結果、洗米水濁度を70以下にすることができた。
アルファ化した澱粉は、白色のうどん粉状の微粉として、脱脂糠に混在しているので、篩でふるうことで分離することができる。白色のアルファ化澱粉を除去した脱脂糠と表現することとする。白色のアルファ化澱粉を除去した脱脂糠は、食物繊維が主成分のひとつになっている。
<試験例1>
次の研米槽を使用して研米処理し、篩をかけて得た清浄米の洗米水濁度を計測した。1. 研米槽:直径130mm 長さ600mmの円筒形。
・回転速度250回/分 研米量150kg/時間。
・回転軸にはスクリュー及び左右に攪拌棒である研米棒体を装備。
・櫛歯状の抵抗板体は円内を均等に4分割して投入口より排出口向かって配列して装備したものとの濁度比較。
・研米材として精製脱脂糠とはアルファ化澱粉(白色)を除去した脱脂糠使用。
※ 比較試験:抵抗体を除去した研米槽を使用した。
2. 研米水濁度
財団法人日本精米工業会の規定による方法にしたがって計測した結果を表1に示す。
比較データは、原料精米、抵抗板を除いた研米処理米を用いた。
この結果、濁度は90以下は十分に満足する、74,68,59を実現することができ、抵抗板体を装備した方が濁度は明らかに低下している。
なお、濁度はppm表示である。
Figure 0004738427
<試験例2>
通常脱脂糠と精製脱脂糠を研米材とした研米濁度の比較
1.研米条件
・精製脱脂糠とはアルファ化澱粉(白色)を除去した脱脂糠。
・濁度計測法は財団法人日本精米工業会の規定による方法。
・研米装置は、本発明者が提案した特許No2958885の研米方法採用。
回転ドラム、直径190mm 奥行300mm
加圧材(ナット)4kg 精米及び研米材各1リットル
回転速度36回転/分 研米時間40分
※ 研米処理温度の上昇影響を排除する為、この機構の試験機を採用した。回転速度の遅い研米機構なので研米上昇温度はほとんどなく、通常の脱脂糠に含まれるアルファ化澱粉を米表面に押しつける作用が少ない装置のほうが、差は出にくいので敢えて、従来の装置で比較試験をした。
2.結果を表2に示す
アルファ化澱粉を除去した方が濁度が低下し、72,64,67を実現することができた。本発明の研米装置を使用することによって、あるいは、原料精米の精製度を上げる洗米水の濁度を70以下、即ち、乾式無洗米以外の装置の無洗米基準も満たすことができる。
回転速度の遅い研米機構なので研米上昇温度はほとんどないので精米に粘着性が生ずることはは考えられず、通常脱脂糠、研米濁度は、不溶性である澱粉の付着によるものと考えられる。
Figure 0004738427
試験例1と試験例2の結果を合わせて評価すると、精製脱脂糠を用いた場合、さらに、精製脱脂糠を研米材に用いた本発明の装置を用いた場合は濁度が低下し、効果があることは明らかである。
<試験例3>
米表面の油脂状体試験
和紙で作った袋に、試験例1で用いた原料精米Bと本試験処理米とを封入して、袋の表面の状体を観察した。原料精米Bは、2,3日経過後に表面に油が染み出したが本試験処理米に以上は認められなかった。1週間観察を継続したが、変化は認められなかった。
<参考例>
前記した報告書の別紙、(社)日本精米工業会の名前で平成13年10月26日付け「洗米水乾固物試験方法と洗米水濁度試験方法について」には、機種別無洗化処理精米の白度、濁度、乾固物量の計測データが添付されているので、参考例として表3に示す。ただし、機種名は、伏せる。
注1:K、S、Tの3種類の無洗米は、湿式法による無洗米であって、洗い無しで濁度の濁度を測定し、R、KPの2種類の無洗米は、乾式法による無洗米であって、2回洗米して計測している。
この参考例と、試験例1,2とを比較すると、本発明は、従来の湿式法と遜色のない濁度が得られていることがわかる。
Figure 0004738427
工程図 研米装置 研米機 定量供給機 研米材混合機構 研米機研米処理部の拡大図
符号の説明
1 昇降機
2 ホッパー(研米材、米)
3 ホッパー(新研米材)
4 篩(研米材、米)
5 米排出口
6 循環研米材排出口
7 廃棄研米材排出口
8 振動モーター
9 振動モーター
10 篩(米材、米)
11 篩(研米材)
12 攪拌棒
13 抵抗体
14 モーター
15 底面
16 ネット
17 エアー吸引口
18 製品タンク
19 原料精米タンク
20 米排出口
21 ホッパー
22 振動フィーダー
23 ホッパー
24 シュート(研米材)
25 オーバーフロー孔
26 モーター
27 シュート(米)
28 篩(米微粉除去)
29 長穴(上下調整)
30 シュート(研米材)
31 スクリュー
32 シャフト
33 研米槽
34 昇降機
35 調整板(流量)
36 調整ネジ(流量)
37 混合調整弁

Claims (5)

  1. 間隔を開けて配置した2つの物体間を相対移動させつつ、2つの物体間隔に米粒と研米材とを供給して米粒を摩擦研米する研米方法であって、研米材として、脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いた研米材を用いることを特徴とする研米方法あるいは無洗米の製造方法。
  2. 間隔を開けて配置した2つの物体の一方が間隔を空けて櫛歯状に配置した複数の固定棒であり、他方が該固定棒間の間隔をすり抜け移動する移動棒体であって、該固定棒と該移動棒が設けられた研米容器内に精米と研米材を投入し、研米容器内において、前記移動棒体によって、固定棒による抵抗を負荷しながら精米と研米材を移動させる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の研米方法あるいは無洗米の製造方法。
  3. 脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いたことを特徴とする研米材。
  4. 精米と脱脂糠からアルファ化した白色の澱粉を取り除いた研米材を研米容器に収納し、精米と研米材とを回転攪拌することによって精米を研米する装置であって、研米容器内壁に長さ方向に間隔を空けて固定して設けられた複数本の抵抗体と、研米容器内に該間隔に対向して棒状体の研米棒を配置し、研米容器と研米棒とは、相対移動するように構成された研米機を備えたことを特徴とする研米装置。
  5. 請求項4に記載された研米機を備えた研米装置において、精米ストッカーから供給される原料精米と研米材ストッカーから供給される研米材とを所定量供給する定量供給機(A)、該定量供給機からホッパーを介して原料精米と研米材を研米容器に受け入れ、抵抗体と研米棒によって攪拌研米する前記研米機(B)、該研米機(B)から排出された精米と研米材を廃棄微粉と精白米と再利用研米材とに選別分離する篩(C)、再利用研米材に新規研米材を追加して定量供給機に送り出す研米材補充機構(D)、精白米を微粉除去用の篩(E)及び/又は微粉吸引機(F)を介在させるか又は介在せずに収容する精白米タンク(G)を設けたことを特徴とする研米装置。
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