JP5260977B2 - 繊維強化複合材料の製造方法および繊維強化複合材料 - Google Patents

繊維強化複合材料の製造方法および繊維強化複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、硬化した樹脂に炭素繊維を含む繊維強化複合材料の製造方法および繊維強化複合材料に関する。
従来、硬化した樹脂にガラス繊維を含む繊維強化複合材料の製造方法であって、表面平滑性に優れた成形品を得ることができるものとして、繊維強化複合材料の表面にゲルコート層を形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この繊維強化複合材料の製造方法は、含フッ素重合体と硬化剤とを含む樹脂組成物を型に塗布し、ガラス繊維からなるマットで裏打ちした後に、樹脂組成物を硬化するものである。
この製造方法では、ゲルコート層を繊維強化複合材料の表面に形成することによって、繊維強化複合材料の表面平滑性を向上させている。
このような繊維強化複合材料は、その強度および弾性率が高いことから自動車のフェンダ、ドア、トランク等の外板として使用されている。
しかしながら、従来のガラス繊維を含む繊維強化複合材料では、ガラス繊維の密度が高いために、比強度および比弾性率が金属材料と同じ程度に止まっている。そこで、ガラス繊維よりも密度が低い炭素繊維を含む繊維強化複合材料を自動車の外板に使用することができれば、車体の軽量化を図ることができるので、燃費向上、エミッションの低減、ハンドリングの向上を図ることができる。
特開平2−173128号公報
しかしながら、硬化した樹脂に炭素繊維を含む従来の繊維強化複合材料は、表面平滑性が不充分であった。さらに詳しく説明すると、樹脂に含ませる炭素繊維は、たとえ予め開繊処理したものであっても、成形時の材料の流動距離が長いと炭素繊維の均一な分散が阻害される場合があった。そして、炭素繊維の分散が阻害されると、樹脂リッチとなった部分で繊維強化複合材料にひけを生じて表面平滑性を損ねることとなる。
また、成形時の材料の流動によって、炭素繊維が繊維強化複合材料の厚さ方向にうねることによって繊維強化複合材料の表面平滑性を損ねることとなる。
そこで、本発明の課題は、硬化した樹脂に炭素繊維を含む繊維強化複合材料であって、表面平滑性に優れた繊維強化複合材料を提供することにある。
前記課題を解決する本発明の繊維強化複合材料の製造方法は、予め開繊した炭素繊維に、質量平均分子量が1000〜10000の収束剤を含有率が3〜10質量%となるように塗布する工程と、前記収束剤を塗布した前記炭素繊維に硬化性樹脂を含ませてプリプレグを得る工程と、前記プリプレグを所定の型内で型締めし、この型締め時の前記硬化性樹脂の流動により前記炭素繊維を分繊化し硬化する工程と、を有することを特徴とする。
また、このような製造方法においては、前記収束剤は、エポキシ系樹脂またはビニルエステル系樹脂であることが望ましい。
そして、前記課題を解決する本発明の繊維強化複合材料は、予め開繊した炭素繊維に、質量平均分子量が1000〜10000の収束剤を3〜10質量%となるように塗布した炭素繊維と、硬化性樹脂とを含むプリプレグを所定の型内で型締めし、この型締め時の前記硬化性樹脂の流動により前記炭素繊維を分繊化し硬化させたことを特徴とする。
本発明によれば、硬化した樹脂に炭素繊維を含む繊維強化複合材料であって、表面平滑性に優れた繊維強化複合材料を提供することができる。
以下に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ここで参照する図面において、図1は、実施形態に係る繊維強化複合材料の製造方法の工程説明図である。
本発明に係る製造方法で得られる繊維強化複合材料は、予め開繊した炭素繊維に、質量平均分子量が1000〜10000の収束剤を含有率が3〜10質量%となるように塗布したことを主な特徴としている。以下に、本発明に係る製造方法を説明しつつ、この製造方法で得られる繊維強化複合材料について説明する。
本実施形態に係る繊維強化複合材料の製造方法は、図1に示すように、炭素繊維を開繊する開繊工程と、開繊された炭素繊維に収束剤を塗布する収束剤塗布工程と、収束剤を塗布した炭素繊維に硬化性樹脂を含ませてプリプレグを得るプリプレグ作製工程と、このプリプレグを積層する積層工程と、このプリプレグを所定の型内で型締め・硬化する成形工程とを有している。
前記した開繊工程で使用される炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。本実施形態での炭素繊維は、1000〜24000本程度のフィラメントが束ねられて形成されている。
この開繊工程では、炭素繊維の幅が広げられると共に、炭素繊維の厚さが低減される。炭素繊維に開繊を施す方法としては、例えば、炭素繊維にエアを吹き付ける方法が挙げられる。この開繊には、公知のエア開繊装置(例えば、特開平11−172562号公報参照)が使用されてもよい。
前記した収束剤塗布工程で使用される収束剤は、後記する硬化性樹脂に含まれるモノマ(例えば、スチレンモノマ)に不可溶な成分からなるものが望ましく、その表面エネルギが硬化性樹脂の表面エネルギと近いことが望ましい。また、収束剤は、硬化性樹脂の含浸から成形流動までの間、炭素繊維の収束形態を保持できることが必要である。具体的には、エポキシ系樹脂またはビニルエステル系樹脂を主成分とするものが望ましい。
このような収束剤は、硬化性樹脂のモノマに可溶なものと比較して、炭素繊維が軟化するのを防止して型締め時に硬化性樹脂中で炭素繊維同士をほぐれやすくする。
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂が挙げられる。また、エポキシ系樹脂は、市販品を好適に使用することができ、市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のEP1001、DIC社製のEPICLON840、ADEKA社製のアデカレジンEP4500等が挙げられる。
ビニルエステル系樹脂としては、1分子中にアクリル基またはメタクリル基を有するエポキシアクリレート樹脂であって、ビスフェノールA型のビニルエステル樹脂、ノボラック型のビニルエステル樹脂、臭素化ビニルエステル樹脂等が挙げられる。
また、本実施形態での収束剤は、前記したエポキシ系樹脂やビニルエステル系樹脂のウレタン変性樹脂であってもよい。
そして、このような収束剤の質量平均分子量は、1000〜10000である。なお、質量平均分子量が1000以上の収束剤は、後記するように、炭素繊維を型締め工程での型締め圧力で効果的に分繊化することができる。また、質量平均分子量が10000以下の収束剤は、後記するプリプレグ作製工程で、樹脂中の炭素繊維が剛直になることを抑制することができる。
開繊した炭素繊維に塗布する収束剤は、水溶性エマルジョンとなったものが望ましい。このような収束剤は、炭素繊維に塗布する際に、その濃度管理が容易で後記する所定の塗布量の制御を容易にすることができると共に、有機溶剤を使用しないので環境負荷を小さくすることができる。
このような収束剤を開繊した炭素繊維に塗布する方法としては、特に制限はないが、ディッピング法が望ましい。具体的には、炭素繊維を送出しリール側から収束剤を貯留した槽を経由して巻取りリール側に巻き取る方法が挙げられる。
収束剤の塗布量は、収束剤を塗布し、乾燥した後の炭素繊維中の収束剤の含有率で、3〜10質量%、望ましくは5〜10質量%である。
前記したプリプレグ作製工程では、複数の炭素繊維を適切な長さにカットし、これに硬化性樹脂を含ませることでプリプレグが作製される。カットする炭素繊維の長さとしては、12mm〜50mm程度が望ましい。このように炭素繊維の長さを、12mm以上とすることによって成形品(繊維強化複合材料)に引張り強度などといった機械的物性を充分に発揮させることができる。そして、炭素繊維の長さを、50mm以下とすることによって、硬化性樹脂中に炭素繊維をより確実に均一に分散させることができ、得られる成形品(繊維強化複合材料)に良好な表面平滑性を付与することができる。
硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
ちなみに、プリプレグを作製する際に、炭素繊維には、本発明の課題を阻害しないかぎり、前記した熱硬化性樹脂の他に、充填材、熱可塑性樹脂、その他の添加物等を含ませることができる。
このように作製されたプリプレグは、前記した積層工程で複数積層されるとともに、成形工程で型締め・硬化される。この際、型内には、硬化性樹脂が更に加えられてもよい。
型締め圧力は、炭素繊維がより効果的に分繊化する圧力であって、5MPa以上が望ましい。
ここで「炭素繊維の分繊化」について、図2(a)および(b)を参照しながら説明する。図2(a)は、分繊化した炭素繊維の様子を示す図面代用写真である。図2(b)は、分繊化していない炭素繊維が成形工程で樹脂流動に伴って樹脂リッチ部分を形成した様子を比較例として示す図面代用写真である。
図2(a)に示すように、炭素繊維1の分繊化とは、硬化性樹脂2中で、炭素繊維1を扇の骨状(フカヒレ状)となるように複数のフィラメント束1aに分けて広げることであって、複数のフィラメント束1aが炭素繊維1の端部側になるほど相互の間隔が広く分かれた状態にすることをいう。このような炭素繊維1の分繊化は、前記した所定の質量平均分子量を有する収束剤が含有率3〜10質量%で炭素繊維に含まれることによって生じる。
これに対して、分繊化していない比較例として示す炭素繊維は、図2(b)に示すように、型締めされた後も開繊された炭素繊維1の幅を維持している。そして、例えば、硬化性樹脂2中で、重なった炭素繊維1同士は、開繊された炭素繊維1の幅を維持するように互いに拘束し合いながら硬化性樹脂2の流動に伴って型内で移動する。その結果、型締めされたプリプレグには、硬化性樹脂が偏在して樹脂リッチ部分3を形成することとなる。
前記した成形工程で、型内のプリプレグを硬化することによって炭素繊維を含む本実施形態に係る繊維強化複合材料が得られる。プリプレグの硬化は、使用する硬化性樹脂の種類に応じて行えばよく、例えば、熱硬化性樹脂を含むプリプレグは、温調金型によるプレスマシンにて所定の圧力下に加熱硬化すればよい。
次に、本実施形態に係る繊維強化複合材料およびその製造方法の作用効果について説明する。
本実施形態に係る製造方法では、前記した収束剤が、予め開繊された炭素繊維に前記した所定の量で塗布されるので、型締め時の樹脂流動で炭素繊維がプリプレグの厚さ方向にうねるように湾曲することが防止される。そして、型締め時の樹脂流動で炭素繊維がうねることが防止されてその直線性が確保されるので、プリプレグの表面近傍で樹脂のひけの原因となる樹脂リッチ部分の形成が抑制される。
その結果、この製造方法で得られる繊維強化複合材料は、前記したように、炭素繊維の湾曲が防止されると共に、樹脂のひけの原因となる樹脂リッチ部分の形成が抑制されるので、その表面平滑性に優れたものとなる。
また、炭素繊維を含む繊維強化複合材料の従来の製造方法では、前記したように、型締め時の樹脂流動で炭素繊維のフィラメントがその間隔を維持しながら型内で広がるために型締めされたプリプレグ内で樹脂リッチ部分が形成される。特に、炭素繊維同士がプリプレグの厚さ方向(積層方向)に重なった部分では、フィラメント同士の間隔が拘束される傾向が顕著となる。
これに対して、本実施形態に係る製造方法では、前記した収束剤が、予め開繊された炭素繊維(フィラメントの束)に前記した所定の量で塗布されるので、型締め時の樹脂流動で炭素繊維が分繊化する。つまり、炭素繊維のフィラメントが炭素繊維の端部側になるほど相互の間隔が広く分かれる。その結果、本実施形態に係る製造方法は、従来の製造方法と比較して、型締めされたプリプレグ内で樹脂リッチ部分が形成されることがより効果的に抑制される。したがって、本実施形態に係る製造方法で得られる繊維強化複合材料は、その表面平滑性に優れたものとなる。
また、本実施形態に係る製造方法で得られた繊維強化複合材料は、前記したように、優れた表面平滑性を有しながらも、ガラス繊維よりも密度が低い炭素繊維を含むので、従来のガラス繊維を含む繊維強化複合材料と比較して軽量となる。
以上のように、本実施形態に係る繊維強化複合材料およびその製造方法によれば、予め開繊した炭素繊維に塗布する収束剤の組成、分子量、および塗布量を前記したように設定することによって、得られる繊維強化複合材料の軽量化を図りつつ、表面平滑性を優れたものとすることができる。
次に、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1から実施例3)
実施例1から実施例3では、炭素繊維として、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(東邦テナックス社製、HTA−12K−E30、収束幅6mm、収束厚さ0.15mm)を使用した繊維強化複合材料を製造した。この炭素繊維には、予め開繊が施された。ちなみに、開繊は、特開平11−172562号公報に記載された開繊装置に準じた開繊装置を使用して行われた。開繊後の炭素繊維の幅は16mmであり、厚さは0.06mmであった。
次に、開繊を施した炭素繊維には収束剤が塗布された。この収束剤としては、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂(HEXION社製、水溶性エポキシ樹脂 エピレッツ(登録商標)3540WY−55(質量平均分子量2000))が使用された。
なお、収束剤の塗布は、炭素繊維を送出しリール側から前記した開繊装置および前記した収束剤の水溶性エマルジョンを貯留した槽をそれぞれ経由して巻取りリール側に巻き取ることによって行われた。
実施例1から実施例3のそれぞれでは、収束剤の塗布量を表1に示すように設定した。なお、この塗布量は、収束剤の水溶性エマルジョンを塗布し乾燥させた後の炭素繊維(以下、単に「収束剤を含む炭素繊維」ということがある)中の収束剤の含有率(質量%)で示す。
次に、収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重を測定した。この曲げ荷重の測定は、図3に示すように行われた。ここで参照する図3は、収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重を測定する様子を示す概念図である。なお、この測定で使用された収束剤を含む炭素繊維(幅16mm)の測定片は、その長さが30mmに切断されたものである。
図3に示すように、この測定片10を使用した曲げ荷重の測定は、測定片10の端部を10mmの長さで挟持する治具11で片持ち支持されたものについて行われた。そして、この測定は、治具11から20mmの長さで延出する測定片10の先端に分銅12を載置し、分銅12の重さに応じて撓む測定片10から滑り落ちた分銅12の最小重さを曲げ荷重(g)として求めた。その結果を表1および図4に示す。ここで図4は、収束剤の塗布量と収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重との関係を示すグラフであり、縦軸は炭素繊維の曲げ荷重(g)を示し、横軸は炭素繊維に含む収束剤の塗布量(質量%)を示す。
次に、実施例1から実施例3のそれぞれで得られた収束剤を含む炭素繊維に、樹脂液を含浸させてプリプレグが作製された。樹脂液は、不飽和ポリエステル(熱硬化性樹脂)100質量部、炭酸カルシウム120質量部、および酢酸ビニル系エラストマ6質量部を混合して調製された。炭素繊維に対する樹脂液の含浸は、月島機械(株)製のSMC含浸機に炭素繊維を5m/分の速度で供給して行われた。なお、この含浸機に供給される炭素繊維の状態が次に説明する判断基準で目視によって評価された。その結果を表1に示す。
前記した炭素繊維の状態は、毛羽立ちが無かったものを良好と評価して「○」と表1に記し、毛羽立ちが発生したものを悪いと評価して「△」と表1に記し、著しく毛羽立ちが発生したもの(フィラメントの破断が著しいもの)を最も悪いと評価して「×」と表1に記した。
次に、得られたプリプレグを金型面積に対して20%の大きさとなるように100mm×150mm×20mmの大きさでセットした。ちなみに、金型としては、表面が所定の曲率で湾曲する曲面を有するものであって、自動車の外板を模擬した擬似金型を使用した。そして、川崎油工(株)製のプレス機(200t)を使用して型締め圧力が10MPaとなるようにプリプレグを加圧して硬化させて繊維強化複合材料を得た。なお、このときの型締め時間は、4分であり、プリプレグを硬化させるための金型温度は、140℃に設定された。
得られた繊維強化複合材料について、繊維強化複合材料中の炭素繊維の体積分率(Vf:%)、および密度(g/cm)が測定されると共に、繊維強化複合材料の断面を目視で観察して炭素繊維の状態、および硬化性樹脂の含浸状態が次に説明する判断基準で評価された。その結果を表1に示す。なお、密度(g/cm)の測定には、MIRGE社製の密度測定機(SD−120L)が使用された。
繊維強化複合材料の前記した炭素繊維の状態は、炭素繊維が湾曲していないものを良好と評価して「○」と表1に記し、炭素繊維が湾曲しているものを悪いと評価して「×」と表1に記した。
繊維強化複合材料の硬化性樹脂の含浸状態は、炭素繊維同士の間に硬化性樹脂が充分に含浸しているものを良好と評価して「○」と表1に記し、炭素繊維同士の間に硬化性樹脂が充分に含浸せずに、その空隙部分によって生じた膨れで繊維強化複合材料の表面に凹凸が発生したものを悪いと評価して「×」と表1に記した。
(比較例1)
この比較例1では、収束剤を含む炭素繊維に含浸させる樹脂液中の炭酸カルシウムの配合量を「実施例1から実施例3」での120質量部に代えて180質量部とした以外は、「実施例1から実施例3」と同様に収束剤を含む炭素繊維を作製するとともに、この炭素繊維を使用して繊維強化複合材料を得た。収束剤の塗布量を表1に示す。
そして、収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重、繊維強化複合材料中の炭素繊維の体積分率(Vf:%)、および密度(g/cm)が「実施例1から実施例3」と同様に測定されると共に、含浸機に供給される炭素繊維の状態、繊維強化複合材料の炭素繊維の状態、および繊維強化複合材料の硬化性樹脂の含浸状態が「実施例1から実施例3」と同様の判断基準で評価された。その結果を表1に示すと共に、収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重の測定結果については図4に併記する。
(比較例2および比較例3)
この比較例2および比較例3では、収束剤の塗布量を表1に示すように変更した以外は、「実施例1から実施例3」と同様に収束剤を含む炭素繊維を作製するとともに、この炭素繊維を使用して繊維強化複合材料を得た。
そして、収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重、繊維強化複合材料中の炭素繊維の体積分率(Vf:%)、および密度(g/cm)が「実施例1から実施例3」と同様に測定されると共に、含浸機に供給される炭素繊維の状態、繊維強化複合材料の炭素繊維の状態、および繊維強化複合材料の硬化性樹脂の含浸状態が「実施例1から実施例3」と同様の判断基準で評価された。その結果を表1に示すと共に、収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重の測定結果については図4に併記する。
(実施例1〜3、比較例2〜3での繊維強化複合材料等の評価)
表1に示すように、収束剤の塗布量が3質量%〜10質量%の炭素繊維を使用して作製された繊維強化複合材料(実施例1から実施例3)は、炭素繊維の湾曲がなく、硬化性樹脂の含浸状態も良好であった。また、プリプレグを作製するために含浸機に送出す炭素繊維には、毛羽立ちが認められなかった。これに対し、収束剤の塗布量が3質量%未満の炭素繊維(比較例1および比較例2)には、毛羽立ちが認められた。そして、収束剤の塗布量が最も少ない炭素繊維を使用して作製された繊維強化複合材料(比較例1)は、炭素繊維が湾曲していた。
また、収束剤の塗布量が10質量%を超える炭素繊維を使用して作製された繊維強化複 合材料(比較例3)は、炭素繊維に対する硬化性樹脂の含浸が不充分となって、繊維強化複合材料の表面に凹凸が生じた。
そして、図4に示すように。収束剤の塗布量が5質量%以上の炭素繊維を使用して作製された繊維強化複合材料(実施例2および実施例3)は、炭素繊維の曲げ荷重が5gを超えると共に、収束剤の塗布量が10質量%を超えても炭素繊維の曲げ荷重が横ばいとなることが判明した。つまり、前記したように、収束剤の塗布量が15質量%の炭素繊維を使用した繊維強化複合材料(比較例3)の表面に凹凸が生じたことを考慮すると、収束剤の塗布量が3質量%〜10質量%、望ましくは5質量%〜10質量%の炭素繊維を使用した繊維強化複合材料が好適であることが確認された。
(実施例4から実施例11、および比較例4から比較例6)
ここでの実施例および比較例では、表2に示す質量平均分子量の収束剤を使用し、収束剤の塗布量を表2に示すように設定した以外は、「実施例1から実施例3」と同様に収束剤を含む炭素繊維を作製するとともに、この炭素繊維を使用して自動車の外板を模擬した繊維強化複合材料を得た。
なお、実施例4から実施例11、および比較例4から比較例6の収束剤は、DIC社製のEPICLON(液状エポキシ樹脂)より表2に示す質量平均分子量のものを選択して使用した。
そして、得られた繊維強化複合材料について、繊維強化複合材料中の炭素繊維の体積分率(Vf:%)、表面粗さRa(μm)、および表面のうねり(μm)が測定されると共に、繊維強化複合材料の表面の状態が次に説明する判断基準で評価された。その結果を表2に示す。なお、表面粗さRa(μm)の測定には、ミツトヨ(株)製の表面粗さ測定機(SV3000CNC)が使用された。そして、表面のうねり(μm)は、得られた繊維強化複合材料の表面を直線で30mmにわたって測定した凹凸の最大高さと最小高さとの差(絶対値)として求めた。
繊維強化複合材料の前記した表面の状態は、目視で凹凸が認められないものを良好と評価して「○」と表2に記し、目視で凹凸が認められたものを悪いと評価して「×」と表2に記した。
そして、実施例5および比較例4のそれぞれで得られた繊維強化複合材料の表面の凹凸高さを測定してグラフ化した。この凹凸高さは、繊維強化複合材料の前記した表面のほぼ中央部で、直線で30mmにわたって測定した。図5(a)は、実施例5で得られた繊維強化複合材料の表面における凹凸高さを示すグラフであり、図5(b)は、比較例4で得られた繊維強化複合材料の表面における凹凸高さを示すグラフである。縦軸は、凹凸高さ(μm)を示し、横軸は測定長さ(mm)を示す。なお、縦軸の凹凸高さ(μm)は、測定開始位置の高さを基準(0μm)とした相対値で示した。そして、これらの測定位置に対応する金型の凹凸高さを破線で併記した。
(実施例4〜11、比較例4〜6での繊維強化複合材料等の評価)
表2に示すように、質量平均分子量が1000以上、10000以下の収束剤を含む炭素繊維を使用した繊維強化複合材料(実施例4から実施例11)は、その表面の状態が良好で凹凸が認められず、表面粗さRaおよび表面のうねりが小さいことが確認された。
これに対して、質量平均分子量が1000未満の収束剤を含む炭素繊維を使用した繊維強化複合材料(比較例4)、および質量平均分子量が10000を超える収束剤を含む炭素繊維を使用した繊維強化複合材料(比較例5および比較例6)は、表面のうねりが大きく、目視によっても表面に凹凸が認められた。特に、比較例4および比較例6では、収束剤の塗布量が前記した範囲内(5質量%)であっても、収束剤の質量平均分子量が1000以上、10000以下の範囲を外れると、繊維強化複合材料の表面に凹凸が形成されることが確認された。
そして、質量平均分子量が1000以上、10000以下の収束剤を含む炭素繊維を使用した繊維強化複合材料(実施例4から実施例11)は、表面平滑性に優れることが確認された。
また、図5(a)に示すように、実施例5で得られた繊維強化複合材料の表面は、その凹凸高さが金型での対応した凹凸高さとほぼ同じであった。
これに対し、比較例4で得られた繊維強化複合材料の表面は、図5(b)に示すように、樹脂リッチ部分でひけを形成したと考えられる凹みが形成されていた。
以上のことから、実施例に係る繊維強化複合材料の表面平滑性は、比較例に係る繊維強化複合材料の表面平滑性よりも優れていることが確認された。
実施形態に係る繊維強化複合材料の製造方法の工程説明図である。 (a)は、分繊化した炭素繊維の様子を示す図面代用写真である。(b)は、分繊化していない炭素繊維が型締め工程で樹脂流動に伴って樹脂リッチ部分を形成した様子を比較例として示す図面代用写真である。 収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重を測定する様子を示す概念図である。 収束剤の塗布量と収束剤を含む炭素繊維の曲げ荷重との関係を示すグラフであり、縦軸は炭素繊維の曲げ荷重(g)を示し、横軸は炭素繊維に含む収束剤の塗布量(質量%)を示す。 (a)は、実施例5で得られた繊維強化複合材料の表面における凹凸高さを示すグラフであり、(b)は、比較例4で得られた繊維強化複合材料の表面における凹凸高さを示すグラフである。
符号の説明
10 測定片(繊維強化複合材料)
11 治具

Claims (3)

  1. 予め開繊した炭素繊維に、質量平均分子量が1000〜10000の収束剤を含有率が3〜10質量%となるように塗布する工程と、
    前記収束剤を塗布した前記炭素繊維に硬化性樹脂を含ませてプリプレグを得る工程と、
    前記プリプレグを所定の型内で型締めし、この型締め時の前記硬化性樹脂の流動により前記炭素繊維を分繊化し硬化する工程と、
    を有することを特徴とする繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 前記収束剤は、エポキシ系樹脂またはビニルエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 予め開繊した炭素繊維に、質量平均分子量が1000〜10000の収束剤を3〜10質量%となるように塗布した炭素繊維と、硬化性樹脂とを含むプリプレグを所定の型内で型締めし、この型締め時の前記硬化性樹脂の流動により前記炭素繊維を分繊化し硬化させたことを特徴とする繊維強化複合材料。
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