JP5260256B2 - 光照射装置 - Google Patents

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本発明は、光照射装置に関し、特に、液晶により光線の進行方向を偏向させる光偏向を行う光照射装置に関する。
車両用灯具の一態様である車両用前照灯の光源として、例えばハロゲンランプなどの白熱電球、あるいはメタルハライドランプなどの高圧放電灯が知られている。
近年、車両用前照灯の分野において、上述のような白熱電球や放電灯に替えて、発光ダイオード(LED)を光源として用いることが考えられている。LEDは、小型かつ軽量な光源であり、また、上記の従来の光源に対して高寿命かつ低消費電力であるので、新たな前照灯用光源として期待されている。
ところで、車両用前照灯は、走行用配光とすれ違い用配光との2種類の配光を得ることが要求される。このような配光の切り替え方法には、例えば以下のような方法がある。
第1の切り替え方法は、走行用配光に対応した光源とすれ違い用配光に対応した光源との2種類の光源を用いて、それぞれの配光に応じて光源を切り替えるものである。この方法は白熱電球を用いた前照灯でよく用いられている。
また、第2の切り替え方法は、2種類の配光を切り替えるために可動式の遮光部を用いるものである。この方法は放電灯を用いた前照灯によく用いられている。
しかしながら、これらの配光切り替え方法を用いた場合には、2種類の光源または可動式の遮光部を用意するため、前照灯全体としての構成要素が大きくかつ重量も嵩んでしまう。
このような点の解決が期待される配光切り替え方法として、液晶光学素子を用いた方法が提案されている。例えば特許文献1は、一対の基板の一方の内面にプリズムを形成した液晶セルを用いて、光偏向を行う技術を開示する。電圧無印加状態と電圧印加状態とを切り替えて、液晶層の屈折率を切り替えることにより、光の進行方向を切り替える。
特開2006−147377号公報
しかし、特許文献1が開示する技術では、同文献の図10や、明細書の段落[0053]、[0016]等に示されているように、液晶セルに入射する光線の、偏光方向が相互に直交する2つの偏光成分うち、一方の偏光成分しか偏向させることができない。液晶セルに入射する光線の両方の偏光成分を偏向させることができる技術が望まれる。
本発明の一目的は、液晶セルを用いて、入射光線の両方の偏光成分を偏向させることにより、光照射方向を変えることができる光照射装置を提供することである。
本発明の一観点によれば、光線が入射する第1の光偏向液晶セルであって、相互に対向する一対の第1及び第2の透明基板と、前記第1及び第2の透明基板上に形成され、前記第1及び第2の透明基板間に電圧を印加する一対の第1及び第2の透明電極と、前記第1及び第2の透明基板の一方の上方に形成され、第1の方向に長いプリズムを有する第1のプリズム層と、前記第1及び第2の透明基板間に挟まれ、前記第1のプリズム層と接する界面で長軸方向が前記第1の方向に配向する液晶分子を有する第1の液晶層とを含む第1の光偏向液晶セルと、前記第1の光偏向液晶セルを透過した光線が入射する第2の光偏向液晶セルであって、相互に対向する一対の第3及び第4の透明基板と、前記第3及び第4の透明基板上に形成され、前記第3及び第4の透明基板間に電圧を印加する一対の第3及び第4の透明電極と、前記第3及び第4の透明基板の一方の上方に形成され、第2の方向に長いプリズムを有する第2のプリズム層と、前記第3及び第4の透明基板間に挟まれ、前記第2のプリズム層と接する界面で長軸方向が前記第2の方向に配向する液晶分子を有する第2の液晶層とを含む第2の光偏向液晶セルと、前記第1〜第4の透明電極に電圧を印加する電圧印加装置と、前記第1の光偏向液晶セルに光線を入射させる入射光学系と
を有し、前記第1及び第2の光偏向液晶セルの面内で、前記第1の方向と前記第2の方向とが45°〜135°の範囲の角度をなすように、該第1及び第2の光偏向液晶セルが配置されている光照射装置が提供される。
第1の方向と第2の方向とが45°〜135°の範囲の角度をなすように、第1及び第2の光偏向液晶セルが配置されていることにより、偏光方向が相互に直交する2つの偏光成分を偏向させることができる。印加電圧に応じて、偏向方向を変化させることができる。
まず、本発明の実施例による光偏向液晶セルの構造及び作製方法について説明する。
図1は、実施例の光偏向液晶セルを概略的に示す厚さ方向断面図である。透明電極が形成された一対のガラス基板(透明電極2が形成されたガラス基板1、及び、透明電極12が形成されたガラス基板11)を用意した。ガラス基板1、11は、それぞれ、厚さ0.7mmtであり、材質は無アルカリガラスである。透明電極2、12は、それぞれ、厚さ150nmであり、材質はインジウムスズ酸化物(ITO)であり、所望の平面形状にパターニングされている。
片側のガラス基板1の透明電極2上に、プリズム層3を形成した。プリズム層3は、ベース層3b上にプリズム3aが並んだ形状を有する。ベース層3bの厚さは、例えば30μm〜40μm程度である。
図2は、プリズム層3の概略斜視図であり、右側部分にプリズム3aの断面形状の拡大図を示す。各プリズム3aは、頂角75°、底角が15°及び90°の三角柱状であり、複数のプリズム3aが、プリズム長さ方向と直交する方向(この方向を、プリズム幅方向と呼ぶこととする)に、方向を揃えて並んでいる。プリズム3aの高さは約5.2μmであり、プリズム3aの底辺の長さ(プリズムのピッチ)は20μmである。
図3は、ガラス基板1上のプリズム層3の概略平面図である。プリズム層3の作製方法について説明する。ガラス基板1(縦150mm×横150mm×厚さ0.7mmt)の透明電極2上に、所定量の紫外(UV)硬化性樹脂3R(ロックタイト製376L)を滴下し、その上の所定位置に、プリズム層3の型が形成された金型を置き、厚手の石英部材などを基板の裏側に配置して補強した状態でプレスを行った。金型のサイズ(プリズム形成領域のサイズ)は、縦80mm×横80mmである。
プレスして1分以上放置し、UV硬化性樹脂を十分広げた後、ガラス基板1の裏側から紫外線を照射し、UV硬化性樹脂を硬化させた。紫外線の照射量は500mJ/cmとした。紫外線の照射量は、樹脂が硬化するように適宜設定すればよい。なお、ITOは紫外線を吸収するため、透明電極の膜厚が変われば紫外線照射量も変える必要があろう。
液晶素子の外周シールの密着性を上げ、セル厚の制御をしやすくするために、プリズム形成領域全体A1(縦80mm×横80mm)から不要部分を取り除き、必要な領域A2(縦60mm×横60mm)を残した。必要部分A2と不要部分との境界にカッター刃などにより切り込みを入れ、不要部分に接着テープなどを貼って引っ張り上げることにより、不要部分のみ除去することができた。
次に、プリズム層3にラビング処理を行った。液晶分子の長軸方向がプリズム3aの長さ方向と平行に並ぶように、ラビング方向をプリズム3aの長さ方向と平行にした(図2参照)。
図1に戻って説明を続ける。もう一方のガラス基板11の透明電極12上に、ポリイミド等により配向膜13を形成した。ここでは、日産化学製のSE−410をフレキソ印刷法で厚さ80nm形成して、180℃で1.5時間焼成を行った。焼成後、配向膜13にラビング処理を行った。配向膜13のラビング方向は、両ガラス基板を重ね合わせてセルを形成したとき、プリズム層3のラビング方向とアンチパラレルとなるように定めた。
次に、プリズム層3を形成した側のガラス基板1上に、ギャップコントロール剤を2wt%〜5wt%含んだメインシール剤を形成した。形成方法として、スクリーン印刷やディスペンサが用いられる。プリズム層3から配向膜13までの液晶層15の厚さが、例えば5μm〜15μmとなるように、ギャップコントロール剤を選択した。なお、プリズム層3は位置によって高さが変化するので、それに応じて液晶層15の厚さも変化する。
ここでは、ギャップコントロール剤として径が50μmの積水化学製のプラスチックボールを選択し、これを三井化学製のシール剤ES−7500に4wt%添加して、メインシール剤とした。
プリズムを形成しない側のガラス基板11上には、ギャップコントロール剤14として径が10μmの積水化学製のプラスチックボールを、乾式のギャップ散布機を用いて散布した。
次に、両ガラス基板1、11の重ね合わせを行い、プレス機などで圧力を一定に加えた状態で熱処理することにより、メインシール剤を硬化させた。ここでは、150℃で3時間の熱処理を行った。
このようにして作製された空セルに、液晶を真空注入して、液晶層15を形成した。実施例では、液晶として、Δεが正でΔn=0.298の大日本インキ化学工業製のものを用いた。
液晶注入後、注入口にエンドシール剤を塗布し、封止した。封止後、120℃で1時間の熱処理を行い、液晶の配向状態を整えた。このようにして、2つの光偏向液晶セルを作製した。
実施例の光偏向液晶セルにおいて、電圧無印加状態で、液晶分子の長軸がプリズム長さ方向に沿い、電圧印加により、液晶分子の長軸が基板法線方向に立ち上がる。実施例に用いた液晶は、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に平行な偏光成分に対して、屈折率1.823を示し、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対して、屈折率1.525を示す。
プリズム層3を構成するUV硬化性樹脂の屈折率は、1.51であり、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する液晶の屈折率と同等である。なお、第1の材料の屈折率と第2の材料の屈折率との差が、第1の材料の屈折率または第2の材料の屈折率に対して3%以内(より好ましくは2%以内)であるとき、両材料の屈折率が同等であるとする。
なお、プリズム層のラビングにより、プリズム長さ方向に液晶分子長軸方向を配向させる例について説明したが、プリズム層のラビングを行わないこともできる。プリズムによる形状効果や、液晶注入方向(液晶が流れ込む方向)がプリズム長さ方向になるよう注入口を設けることによっても、プリズム界面での液晶分子長軸方向をプリズム長さ方向にできることを確認している。なお、プリズム層のラビングを行わず、対向基板側の配向膜のラビングを行なう場合のラビング方向は、セル形成時にプリズム長さ方向と平行になるよう定めるのが好ましい。
なお、プリズム形成用の金型にはエア抜き用の微小な溝を形成してもよい。また、金型と基板とは真空中で重ね合わせてもよい。なお、液晶の注入方法は真空注入に限らず、例えばOne Drop Fill(ODF)法を用いてもよい。
なお、実施例の光偏向液晶セルでは、プリズムパターンより広く上下基板間で90°に交差した長方形状の電極パターンを用い、両基板側から端子を取り、また、メインシール部分で上下基板の電極が交差しないようにした。メインシール部分で上下基板の電極を交差させないことにより、短絡が抑制される。なお、片側から端子を取りたい場合は、メインシールに上下導通用の金ボールを添加する構造等とすればよい。
第1及び第2の光偏向液晶セルを積層して、積層セルを作製した。
図4は、実施例の積層セルの写真である。積層セルは、第1及び第2の光偏向液晶セルを、面内でプリズムの長さ方向が直交するように重ねたものである。また、両液晶セルとも、プリズム形成側の基板を下側、配向膜形成側の基板を上側として重ねている。第1及び第2の光偏向液晶セルに同じ電圧を印加できるように、各セルの電極にピン端子をつなげて導通が取られている。
さらに、積層セルを光源と組み合わせて、車両の前照灯を想定した第1の光照射装置を作製した。
図5は、第1の光照射装置を概略的に示す横方向断面図(上面断面図)である。光源21として、高輝度放電(HID)ランプを用いた。光源21から放出された光線が、楕円型リフレクタ22で反射され、楕円型リフレクタ22の焦点に配置されたシェード23に集光される。シェード23を透過した光線が、レンズ24でほぼ平行光にされて、実施例の積層セル25に入射する。積層セル25を経て、光照射装置から光が出射される。積層セル25への印加電圧を、電圧印加装置26が切り替える。
図6A〜図6Cを参照して、第1の光照射装置の積層セルにおける第1及び第2の光偏向液晶セルの姿勢について説明する。ここで、左右方向に沿ったX軸方向、前後方向に沿ったY軸方向、及び、上下方向に沿ったZ軸方向を有する座標系を導入する。地面に対して上方をZ軸正方向、光源から見て前方をY軸正方向とする。また、右方をX軸正方向とする。
さらに、XZ面内で、Z軸正方向を基準として回転角度を定め、反時計周りを正方向とする。45°方向を左斜め上方向、135°方向を左斜め下方向、225°方向を右斜め下方向、315°方向を右斜め上方向と呼ぶこともある。
図6Aは、第1の光偏向液晶セルを光源側から見た正面図である。45°方向の視線で見た厚さ方向断面を右下部分に、315°方向の視線で見た厚さ方向断面を左下部分に示す。
第1の光偏向液晶セルは、面が地面に対して垂直に配置され、プリズム長さ方向が45°−225°方向となり、各プリズムの高さが315°方向に向けて高くなるように配置されている。光源から遠い側の基板に、プリズムが形成されている。
図6Bは、第2の光偏向液晶セルを光源側から見た正面図である。45°方向の視線で見た厚さ方向断面を右下部分に、315°方向の視線で見た厚さ方向断面を左下部分に示す。
第2の光偏向液晶セルは、面が地面に対して垂直に配置され、プリズム長さ方向が135°−315°方向となり、各プリズムの高さが45°方向に向けて高くなるように配置されている。光源から遠い側の基板に、プリズムが形成されている。
図6Cは、第1及び第2の光偏向液晶セルの積層を光源側から見た正面図である。45°方向の視線で見た厚さ方向断面を右下部分に、315°方向の視線で見た厚さ方向断面を左下部分に示す。
第1及び第2の光偏向液晶セルが平行に配置され、第1の光偏向液晶セルが光源に近い側に、第2の光偏向液晶セルが光源から遠い側に配置されている。第1の光偏向液晶セルと、第2の光偏向液晶セルのプリズム長さ方向が、直交している。
次に、第1の光照射装置の動作実験について説明する。
図7A及び図7Bは、それぞれ、積層セルの印加電圧オフ時及びオン時の投影パターンを示す写真である。写真中の横線は、一定の高さを示す。電圧オフ時は、下方に向き横幅の広い投影パターンとなっており、電圧オン時は、電圧オフ時に比べ、上方に向き横幅の狭い投影パターンとなっている。電圧オフ時とオン時の上下方向の向きの差は、角度5°程度である。
下方への投影時には上方部分の投影成分が残っておらず、上方への投影時には下方部分への投影成分が残っておらず、投影光の全成分を、電圧の切り替えによって偏向できることがわかる。
このように、第1の光照射装置は、光源から出射された光線全体の向きを、印加電圧により上下に切り替えることができ、例えば、ハイビームとロービームを切り替える前照灯として好適であることがわかった。
次に、第1の光照射装置の動作原理について考察する。
図8A及び図8Bは、プリズム3aの長さ方向に平行な視線で見た、第1の光偏向液晶セルの概略断面図であり、図8Aが電圧オフ状態、図8Bが電圧オン状態を示す。
まず、図8Aを参照して、電圧オフ状態の動作について考察する。第1の光偏向液晶セルのガラス基板11に、光源から出射された光線Lが垂直入射する。ガラス基板11、透明電極12、及び配向膜13を透過した光線Lが、液晶層15に入射する。液晶層15を透過した光線Lが、プリズム3aの斜面3cに、斜めに入射する。
オフ状態で、光偏向液晶セルの液晶分子Mの長軸方向は、プリズム長さ方向に揃っている。光線Lのうち、プリズム長さ方向に電気ベクトルが振動する偏光成分LLについて、液晶層15の屈折率とプリズム3aの屈折率とが異なり、プリズム幅方向に電気ベクトルが振動する偏光成分LTについて、液晶層15の屈折率とプリズム3aの屈折率とが同等である。従って、偏光成分LLは、スネルの法則に従って、界面3cにおいて、プリズム長さ方向に垂直な面内で偏向される。一方、偏光成分LTは、液晶層15とプリズム層3との界面3cをそのまま直進して通過する。
本実施例で、偏光成分LLは、液晶層15での屈折率がプリズム層3での屈折率よりも大きいので、プリズム3aにより、界面3cの法線に対する角度が、入射時よりも大きくなる方向に曲げられる。
再び図6Aも参照して説明を続ける。第1の光偏向液晶セルは、プリズム長さ方向が45°−225°方向に設定されており、各プリズムが315°方向(右斜め上)に向けて高くなるように配置されている。第1の光偏向液晶セルで、プリズム長さ方向の偏光成分LLは、135°方向(左斜め下)に偏向されることとなる(偏向方向を矢印で示す)。一方、プリズム幅方向の偏光成分LTは、そのまま直進する。第1の光偏向液晶セルから出射した偏光成分LLとLTが、第2の光偏向液晶セルに入射する。
再び図6Bも参照して説明を続ける。第2の光偏向液晶セルは、プリズム長さ方向が135°−315°方向に設定されており、第1の光偏向液晶セルのそれに対して直交しているので、第1の光偏向液晶セルでのプリズム長さ方向の偏光成分LLが、第2の光偏向液晶セルではプリズム幅方向の偏光成分LTとなり、第1の光偏向液晶セルでのプリズム幅方向の偏光成分LTが、第2の光偏向液晶セルではプリズム長さ方向の偏光成分LLとなる。
従って、第2の光偏向液晶セルでは、第1の光偏向液晶セルで曲げられた偏光成分LTがそのまま直進し、第1の光偏向液晶セルで曲げられなかった偏光成分LLが曲げられることとなる。第2の光偏向液晶セルは、各プリズムが45°方向(左斜め上)に向けて高くなるように配置されており、プリズム長さ方向の偏光成分LLが、225°方向(右斜め下)に偏向されることとなる(偏向方向を矢印で示す)。
以上のようにして、光源から出射された光線は、電圧オフ時において、半分の偏光成分が第1の光偏向液晶セルで左斜め下方向に偏向され、それと直交する残り半分の偏光成分が第2の光偏向液晶セルで右斜め下方向に偏向されると理解される。オフ時の投影パターンは、曲げられた2つの偏光成分が真ん中で重なって、下方に配置され横幅の広い形状となったと考えられる。
次に、図8Bを参照してオン状態の動作について考察する。オン状態では、充分な大きさの電圧印加により、第1の光偏向液晶セルの液晶分子の長軸方向が、上下基板の法線方向に揃っている。
このため、第1の光偏向液晶セルに入射する光線のうち、プリズム長さ方向の偏光成分LL、及び、プリズム幅方向の偏光成分LTの双方について、液晶層15の屈折率とプリズム層3の屈折率とが同等である。従って、偏光成分LL及びLTの双方とも、プリズム層3で偏向されず第1の光偏向液晶セルをそのまま直進して通過し、第2の光偏向液晶セルに入射する。
同様に、第2の光偏向液晶セルも、入射した光線をそのまま直進させる。従って、オン時には、光源から出射された光線が、第1及び第2の光偏向液晶セルをそのまま直進透過すると理解され、投影パターンは、オフ時に比べて上方に配置され横幅の狭い形状(カットオフパターンがそのまま投影された形状)となったと考えられる。
次に、第2の光照射装置について説明する。第2の光照射装置は、第1の光照射装置と積層セルの上下を反転させたものである。
図9A及び9Bは、それぞれ、第2の光照射装置の電圧オフ時及びオン時の投影パターンを示す写真である。写真中の横線は、一定の高さを示す。積層セルを第1の光照射装置と上下反転させたことにより、電圧オフ時は、上方に向き横幅の広い投影パターンとなっており、電圧オン時は、電圧オフ時に比べて、下方に向き横幅の狭い投影パターンとなっている。第1の光照射装置と同様に、電圧オフ時とオン時の上下方向の向きの差は、角度5°程度であり、また、投影光の全成分を、電圧の切り替えによって偏向できている。
なお、前照灯への応用において、第1の光照射装置の構造は、電圧オフ時がロービームとなるので、何らかの原因で電圧がオンとならなくなった場合に、ロービームの状態が保たれ、フェイルセーフの観点から望ましいといえる。一方、第2の光照射装置の構造は、電圧オン時のロービームの形状を、カットオフパターンで決めやすい。
以上説明したように、実施例による光照射装置は、2層の光偏向液晶セルで、相互に直交する2つの偏光成分の各々を曲げることにより、照射方向を制御することができる。
各光偏向液晶セルについて、例えばラビング処理により、プリズム長さ方向に液晶分子長軸方向を配向させることができる。光偏向液晶セルのプリズム方向が、面内で交差するように、光偏向液晶セルを積層することで、2つの偏光成分の両方を曲げることができる。
上記実施例では、第1及び第2の光偏向液晶セルのプリズム方向のなす角を90°としたが、90°からずれていても、両液晶セルのプリズム方向が液晶セルの面内で交差していれば、光偏向の効果は得られる。
ただし、0°や180°に近いと、曲げられず直進する偏光成分が増える。両液晶セルのプリズム長さ方向のなす角は、45°〜135°の間が好ましく、90°に近い範囲、例えば80°〜100°の間がさらに好ましい。
上記実施例では、2枚の光偏向液晶セルのプリズム長さ方向を、地面に対する上下方向に対して45°、135°をなすように設定した。これにより、照射方向を上下方向で切り替えることができる。
なお、プリズム長さ方向がこのように設定されているとき、例えば、第1の光照射装置において図6Aのプリズム配置はそのままとし、図6Bの第2の光偏向液晶セルを面内で180°回し、プリズム長さ方向は135°−315方向としつつ各プリズムが225°方向に向けて高くなるように配置したとする。電圧オフ時に、第1の光偏向液晶セルが左斜め下への偏向を行い、第2の光偏向液晶セルが左斜め上方への偏向行い、照射方向が左方に曲げられる。電圧オン時は、光源からの光がそのまま直進し、オフ時に比べて右方に光が投影される。従って、照射方向の左右方向の切り替えが行われる。このような光照射装置は、例えば、左右方向に照射方向を切り替える前照灯への応用が考えられる。
2枚の光偏向液晶セルのプリズム方向を、上下方向に対して45°、135°をなすように設定すると、上下方向あるいは左右方向の照射方向切り替えに好適である。なお、厳密に45°、135°としなくとも、例えば40°〜50°、130°〜140°程度とすれば、良好に上下方向あるいは左右方向の切り替えができるであろう。
なお、上記実施例では、三角柱状のプリズムを用い、底角として、15°及び90°であるものを用いたが、底角はこれに限らない。基板に垂直入射した光線について、基板から適当に緩い角度で立ち上がる斜面が光偏向に寄与し、垂直に近い底角で立ち上がる面は光偏向に寄与しない。このような構成により、各セルで一方向への偏向が容易になる。三角柱状のプリズム底角として、一方は5°〜60°の範囲とすることが好ましく、他方は85°〜95°の範囲とすることが好ましい。
上記実施例では、三角柱状プリズムのピッチを20μmとした。プリズムのピッチは1μm〜100μmの範囲であることが好ましい。
なお、上記実施例では、2つの光偏向液晶セルとも、プリズムを形成しない側の基板を光源に近い側に配置し、プリズム形成側の基板を光源から遠い側に配置したが、この逆の配置でも光偏向を行うことは可能である。
なお、実施例の光偏向液晶セル、及びその積層セルは、偏光板を用いる液晶光学素子に比べ、高透過率である。各セルの光透過率として90%以上、反射防止コーティングにより95%以上が見込まれ、積層セルの光透過率としても80%〜90%が見込まれる。
実施例の光照射装置は、機械的な作動部なしに、照射方向を変えることができる。なお、上記実施例では、電圧オフとオンとで照射方向を2方向に切り替える例を説明したが、中間調電圧を印加することにより、連続的に照射方向を制御することも可能である。
なお、実施例の光照射装置は、例えば、プリズムの傾斜角度を45°程度まで大きくすることにより、18°程度の角度範囲まで照射方向を変えられると見込まれる。自動車用の前照灯で求められている角度制御範囲は、オートレベリングで3°程度、アダプティブフロントライティングシステム(AFS)で15°程度であるので、角度制御範囲について、実施例の光照射装置は充分な性能を有しているといえる。
なお、光照射装置に用いる光源として、HIDランプの他に、例えば、発光ダイオード(LED)、電界放射(FE)光源、蛍光灯等が考えられる。
図10は、例えばLEDを用いた光照射装置の例を示す概略断面図である。LED31から放出された光線が、リフレクタ32で反射され、ほぼ平行光にされ、インナーレンズ33を介して実施例の積層セル34に入射する。積層セル34を経て、光照射装置から光が出射される。積層セル34に印加する電圧を変化させることにより、照射方向を変えることができる。
実施例の光照射装置は、例えば、自動車用(普通乗用車、軽自動車、トラック、バス等)の灯具(前照灯、補助灯、フォグランプ、コーナリングライト)や、二輪用(オートバイ、自転車等)の灯具(配光制御部)に応用できる。さらに、一般照明器具(屋内照明、街路灯、懐中電灯)等に応用することもできる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、液晶中に適量のカイラル剤を添加し、液晶層の捩れ角を180°×n倍にするなど、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
図1は、本発明の実施例による光偏向液晶セルの概略断面図である。 図2は、プリズム層の概略斜視図である。 図3は、プリズム層の概略平面図である。 図4は、実施例の積層セルの写真である。 図5は、実施例の光照射装置を示す概略断面図である。 図6A〜図6Cは、第1の光照射装置における光偏向液晶セルの姿勢を示す正面図である。 図7A及び図7Bは、第1の光照射装置の投影パターンを示す写真である。 図8A及び図8Bは、実施例の光偏向液晶セルの動作原理を説明する概略断面図である。 図9A及び図9Bは、第2の光照射装置の投影パターンを示す写真である。 図10は、他の実施例の光照射装置を示す概略断面図である。
符号の説明
1、11 ガラス基板
2、12 透明電極
3 プリズム層
3a プリズム
3b ベース層
13 配向膜
14 ギャップコントロール剤
15 液晶層
21 HIDランプ
22 楕円型リフレクタ
23 シェード
24 レンズ
25 積層セル
26 電圧印加装置
31 LED
32 リフレクタ
33 インナーレンズ
34 積層セル

Claims (7)

  1. 光線が入射する第1の光偏向液晶セルであって、
    相互に対向する一対の第1及び第2の透明基板と、
    前記第1及び第2の透明基板上に形成され、前記第1及び第2の透明基板間に電圧を印加する一対の第1及び第2の透明電極と、
    前記第1及び第2の透明基板の一方の上方に形成され、第1の方向に長いプリズムを有する第1のプリズム層と、
    前記第1及び第2の透明基板間に挟まれ、前記第1のプリズム層と接する界面で長軸方向が前記第1の方向に配向する液晶分子を有する第1の液晶層と
    を含む第1の光偏向液晶セルと、
    前記第1の光偏向液晶セルを透過した光線が入射する第2の光偏向液晶セルであって、
    相互に対向する一対の第3及び第4の透明基板と、
    前記第3及び第4の透明基板上に形成され、前記第3及び第4の透明基板間に電圧を印加する一対の第3及び第4の透明電極と、
    前記第3及び第4の透明基板の一方の上方に形成され、第2の方向に長いプリズムを有する第2のプリズム層と、
    前記第3及び第4の透明基板間に挟まれ、前記第2のプリズム層と接する界面で長軸方向が前記第2の方向に配向する液晶分子を有する第2の液晶層と
    を含む第2の光偏向液晶セルと、
    前記第1〜第4の透明電極に電圧を印加する電圧印加装置と、
    前記第1の光偏向液晶セルに光線を入射させる入射光学系と
    を有し、
    前記第1及び第2の光偏向液晶セルの面内で、前記第1の方向と前記第2の方向とが45°〜135°の範囲の角度をなすように、該第1及び第2の光偏向液晶セルが配置されている光照射装置。
  2. 前記第1の方向と前記第2の方向とが、80°〜100°の範囲の角度をなす請求項1に記載の光照射装置。
  3. 前記第1及び第2の光偏向液晶セルの面が地面に対して垂直であり、上下方向に対して、前記第1及び第2の方向の一方が40°〜50°傾くとともに、他方が130°〜140°傾いている請求項1または2に記載の光照射装置。
  4. 前記第1及び第2のプリズム層は、5°〜60°の範囲の底角と85°〜95°の範囲の底角を持つ三角柱状のプリズムが方向を揃えて並んだ構造を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の光照射装置。
  5. 前記第1のプリズム層の屈折率と、前記第1の液晶層の、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する屈折率とが同等であり、前記第2のプリズム層の屈折率と、前記第2の液晶層の、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する屈折率とが同等である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光照射装置。
  6. 前記第1及び第2のプリズム層は、屈折率が同等な透明材料で構成され、前記第1及び第2の液晶層は、それぞれの、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に平行な偏光成分に対する屈折率が同等であり、且つそれぞれの、電気ベクトルの振動方向が液晶分子の長軸方向に垂直な偏光成分に対する屈折率同等である液晶材料から構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の光照射装置。
  7. 前記入射光学系は、LED光源を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光照射装置。
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