以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の機能を有する部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、明細書中での前後、上下方向は、特に断りがない限り図2に示す方向を指すものと定義して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るブロワ装置1の全体を示す斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係るブロワ装置1の左側面図であり、図3は、図2の状態からノズル18を90度回転させて取り付けた状態を示す側面図である。ブロワ装置1は、主に、メインハウジング2と、メインハウジング2内に収容される2サイクル又は4サイクルのエンジン(図示せず)と、後述する送風用のファンを収納するファンハウジング3と、ファンハウジング3に形成される吸引口を覆う防塵カバー4と、ファンによりおこされた風を排出するための排出管部により構成される。排出管部1bは、本実施形態では、ブロワ装置本体の排出管と、着脱可能な2つのパイプ19と、ノズル18で構成された例を示している。メインハウジング2及びファンハウジング3の下部には2つの脚部6a、6bが形成され、これら脚部の側方には、ハンドルの役目も兼用する脚部6cが取り付けられる。
ハウジングの上部にはブロワ装置1を運搬したり、作業中に保持するためのハンドル部7が形成される。ハンドル部7によって、図32で示したように把持して作業ができる。また、ブロワ装置1を横に倒して右手でハンドル部7を、左手で脚部6cを把持すれば、先端のノズル18の角度を90度回転させることができ、作業環境に応じて多様な持ち方ができる。
図2において、ブロワ装置1は、大きく分けて本体部1aと排出管部1bによって構成される。排出管部1bは、図の構成では本体部1aに形成された後述する排出管と、2本のパイプ19と、その先端(前端)に取り付けられたノズル18からなる。しかし、排出管部1bはこの構成に限られるものではなく、本体部1aの排出管に加えて、任意の本数のパイプ19とノズル18の組み合わせでも、任意の本数のパイプ19でも、又は、ノズル18だけでも良い。本体部1aの排出管、パイプ19、及びノズル18にはそれぞれお互いを接続するための接続部が形成され、これらは着脱可能に構成される。図3は、図2の状態から前端に取り付けられたノズル18を、その後ろのパイプ19に対して90度回転させた状態を示す。
図4は、本発明の実施形態に係るブロワ装置1の本体部1aを示す斜視図であり、図5は、防塵カバー4を開いた状態を示す斜視図である。本体部1aのハンドル7の下側には、スロットルトリガ8が設けられ、ハンドル7の前方左側側面にはスロットルを任意の位置で保持できるスロットル調整レバー9が設けられる。メインハウジング2の右側側方には、図示しないエンジンが収納され、エンジンからの熱を排出するためのスリット5が形成される。メインハウジング2の左側側方には、ファン11(図5)を覆い、ファン11により生成された空気流を円周方向に案内する流路が形成するファンハウジング3が取り付けられる。本体部1aの前側には、ブロワ装置1の排出管17が形成され、ファン11によって排出される空気が、排出管17から前方に排出される。円筒形の排出管17は、軸方向の片面側がメインハウジング2により形成され、他方の面がファンハウジング3によって形成され、それぞれの内周部には複数のリブ81、82、83、84が形成される。排出管17の外周面には、後述するダクトを取り付けるための突出部14が、180度隔てた2カ所に設けられる。防塵カバー4は、取付軸10によって開閉可能となるようにファンハウジング3に固定され、閉状態時には図示しないネジによってねじ穴4cで固定される。
ファンハウジング3の防塵カバー4の外縁部付近には、切り欠きが設けられた複数のリブ3a、3b(図5)が形成され、防塵カバー4を閉めた際に、ファンハウジング3と防塵カバー4の間に空気の流路たる開口3cを形成するようにされる。さらに、防塵カバー4には、空気の通過を可能とし、大きなゴミの進入を防ぐスリット4a、4bが形成される。尚、この防塵カバー4は、防塵のためだけでなく、回転中のファン11に異物が入るのを防ぐためのプロテクターとしての役目も果たす。
図5に示すように、防塵カバー4は取付軸10を中心に回転角で120度くらい開くことができ、その取付部付近にはスイッチユニット48が設けられる。スイッチユニット48は、吸引口13を開放した状態でエンジンを運転することができないようにする、いわゆる安全スイッチであり、防塵カバー4を閉めた際に突出部4dがスイッチユニット48に当接してスイッチをONにすることにより、防塵カバー4が閉まっている時にエンジンの運転を可能とするものである。また、図33で示したように、バキュームパイプ155を吸引口13にセットした際にも、バキュームパイプ155に形成されたプッシュリブがスイッチユニット48に当接してスイッチをONにすることにより、防塵カバー4が開いている時でもエンジンの運転を可能とする。
吸引口13は、ファンハウジング3からファン11の軸方向に延びる円筒形の開口であり、開口付近の円周方向3カ所に、軸方向に延びる突出部13aが形成され、防塵カバー4を閉めたときでも突出部13aの間の空隙から空気が吸引できる構造になっている。このような吸引口13の形状は、例えば、プラスチックにてファンハウジング3と一体的に成型することにより容易に製造できる。
図6は、ブロワ装置の本体部1aの防塵カバー4を閉めた状態を示す左側面図であり、図7は本体部1aの防塵カバー4を開いた状態を示す側面図である。図6において、ファンハウジング3は、5つのネジ、15a、15b、15c、15d及び15e(図7)によってメインハウジング2に固定される。防塵カバー4の取付軸10は、ネジ52によってファンハウジング3に固定される。取付軸側壁3eは、ファンハウジング3の側方に延ばして形成されたリブ状の部材である。
図7において、排出管17の先端側には接続部16が形成され、装着されるパイプ19の端部を位置決めするための円環状に突出したストッパ16aが形成される。
図8は、本体部1aの防塵カバー4及びファンハウジング3を取り外した状態を示す左側面図である。例えば遠心ファンであるファン11は、図示しないエンジンのクランク軸に直接又は間接的に固定される。固定方法は、例えばボルト71による。図8では、ファン11は反時計回りに回転して円周方向に空気流を発生させ、ハウジングの形状により図中の矢印で示す方向に強い空気流を発生させる。排出管17には、ハウジングの強度を向上させる複数のリブ81、82が形成される。リブ81、82はメインハウジング2の排出管17の強度向上を図るだけでなく、空気流の整流効果を持たせることも可能である。このリブ81、82の形状については後述する。
図9は、本発明の実施形態に係るパイプ19とノズル18の形状を示す斜視図である。パイプ19は、本体部19bの両端に接続部19a、19cが形成される。本体部19bは、円筒状でストレート或いは略ストレート状のパイプであり、円周方向に一定の間隔で形成された複数の長リブ23aと、長リブ23aの間に長手方向に複数(本図では4つ)形成される短リブ23bと、突出部20の位置を示すための位置マーク23cが形成される。長リブ23aと短リブ23bは、滑り止めや強度向上のために形成されるもので、樹脂製のパイプ19を成型する際に一体的に成型される。
パイプ19の後端側の接続部19aには、側面から見た際の形状が略L字状のL形取付溝22が、円周方向に2カ所形成される。また、パイプ19の前端側の接続部19cには、連結される別のパイプ19またはノズル18に接続するために外径が小さくなっており、2カ所の突出部20が形成される。L形取付溝22や突出部20は、樹脂製のパイプを成型する際に一体的に成型されるもので、例えば、パイプ19は、プラスチック樹脂などで半周分ずつを別々に成型し、それらをつなぎ合わせることにより円筒状のパイプ19が製造できる。
ノズル18は、先端(前端)が絞られた形状の偏向部18cを有し、後端にパイプ19と連結される接続部18aが形成される。接続部18aと偏向部18cの間には、排出管路を所望の角度(本実施形態では約10度)で屈曲させるための屈曲部18bを有する。接続部18aには、側面から見た形状が略T字状のT形取付溝21が形成される。尚、ここでいう“溝”とは、ノズル18とパイプ19の内周側からみた状態(形状)を指し、図から理解できるように、外周側から見た場合は突起であるように見える。
図10(1)は、本実施形態にかかるノズル18の詳細を示す斜視図である。T形取付溝21の形状を模式的に示したのが図10(2)である。(2)に示すように、T形取付溝21は、溝入口25から長手方向に延びる軸方向溝27と、軸方向溝27の前端付近から左右に分岐し、円周方向に円周角で約90度分延びる2つの円周方向溝26により形成された略T字状の形態である。尚、図10においては、説明の便宜上、軸方向溝27と円周方向溝26を離して描いているが、実際には図10(1)から理解できるように、これらは接続されているものである。円周方向溝26の左右の端部から突出部20の直径分を残した付近に溝の深さが低い段差部28(図10(1)参照)が形成される。この段差部28により、突出部20が端部付近に安定して保持される。また、段差部28は、溝の深さが低いため外周側の高さが低くなっているので、ノズル18を手で回転させるときにその低い部分を手で押さえやすい形状となっている。
図10(3)は、従来のノズル18aの形状を示す図である。ノズル18aには側面から見た形状が略L字状のL形取付溝22が形成されるが、L形取付溝22の形状は、長手溝から円周方向の一方向に延びる、断面がL字状である。また、開口には、溝入口25が2つしかないため、ノズル18aとパイプ19の取り付けは、通常状態(相対角0度)と、反転状態(相対角180度)の2つしかない。従って、従来のノズル18aでは、縦に細長く空気を排出させたい状況下においては、ブロワ装置1の本体部1aを90度横に傾ける必要があり、作業者にとっては作業しにくい場合があった。
これに対して、図10(1)に示す本実施形態のノズル18では、ノズル18を回転させるだけで通常状態から、相対角で90度回転させることができるので、どのような状況下においてもノズルの向きを所望の回転角に設定できる。
図11(1)は、ノズル18の側面図(右)である。ノズル18の段差部24において、ノズルの外径が狭くなっている。これは、接続部においてパイプ19を挿入した際に、パイプ19の内径と偏向部18cの内径が同一になるようにするためである。ノズル18の底面には、平らな面のほぼ中央部に一定の面積部分が外側に隆起した底面隆起部30が形成される。これは、ノズル18を地面などに沿わせるようにしてブロワ作業を行う場合に、ノズル18が地面に接触したとしても、ノズル18の先端のノズル開口の下面が地面に接触したり、地面に突き刺さったりするのを防止するためである。
図11(2)は、ノズル18の後端側から見た背面図である。接続部18aの開口には180度離れた位置に2カ所の溝入口25が形成され、溝入口25の部分だけ、内径が大きくなっている。図11(3)は、(1)のD−D部の断面図であり、取付溝21の溝の形状を示す。ここで、パイプ19の突出部20は、T形取付溝21の円周方向溝の2カ所において保持されるが、そのために2カ所の段差部28が形成され、その部分の溝の深さが浅くなっている。また、段差部28によって保持される2カ所の保持位置は、回転角で約90度離れているので、パイプ19からノズル18を外すことなく、ノズル18を回転させることによって、ノズル18の向きを変えることが可能である。このように本実施形態では、縦方向に広がる風が必要な場合にも、ブロワ装置1を横にしなくても済むので、使い勝手が良くなる。
図12は、ノズル18とパイプ19の接続状態を示す図であり、(1)は通常の状態を示し、(2)は(1)の状態からノズル18を反時計方向に90度回転させた状態を示し、(3)は(1)の状態からノズル18をパイプ19からいったん外し、180度回転させてから再装着した状態を示す。
以上説明したように、本実施形態の取付溝形状によれば、接続されるノズル18を軸方向に押し込んで時計方向又は反時計方向のいずれかに回転させるだけで、2カ所の円周方向溝26内のいずれかに固定できるので、ノズル18を取り外すことなく回転させるだけで約90度回転させることができる。また、軸方向溝27の先端側から分岐して延びる円周方向溝26は、それぞれ円周方向に回転角で約45度分の長さであるので、着脱の際の円筒部材の回転させる角度は45度と少なくて済むので、着脱動作が容易になる。
尚、本実施形態においては、T形取付溝21をノズル18に設けたが、パイプ19側にも同様に設けるようにしても良い。また、ノズル18にはL形取付溝22を設けて、パイプ19側にだけT形取付溝21を設けても同様の効果が得られる。
次に、図13を用いてノズル18のノズル開口31の形状について説明する。図13(1)は、ノズル18の先端(前端)方向から見た斜視図であり、(2)はノズル開口31からの噴射風を説明するための図である。(1)においてノズル開口31は、略平行の薄く絞られた形状をベースとし、上側中央付近の形状が上方向に大きく突出する隆起部32が形成される。隆起部32は、ノズル開口31から屈曲部18b方向(長手方向)に連続して延び、隆起部32の両側には折り目33が形成される。この折り目33は必須の構成ではないが、折り目33を付けることによってノズル18の強度を高めることができる。ノズル開口31の下側は、ほぼ水平な直線部31aとなっている。このように下側を水平な直線にすることにより、ノズル18を地面に近づけることが容易になり、排出される空気を効率よく対象物に吹き付けることができる。
図13(2)は、(1)で示したノズル開口31の形状において、地面に沿って空気を吹き付ける場合の風の到達状況を示した図であり、斜線部の領域に風が到達することを示す。この断面形状の場合、風の到達範囲は、(2)の斜線のようになる。横軸はノズル開口31の幅(横)方向への広がりを示し、距離は、ノズル開口31の前方の距離を示す。ノズル開口31の場合、中央の隆起部32はこの付近から多くの風が流出されるため、中央部だけ遠方まで届く。尚、図14(1)に示すような公知の形状である開口131は、上側及び下側が直線状である。この形状では、(2)に示すように噴射風の横方向の広がりは十分であるものの、中央部付近先端の風の到達範囲が不十分である。
次に図15を用いて、本発明のノズル形状をさらに説明する。図15(1)は、図13(1)において説明した実施形態のノズル形状である。(1)においては、その形状の説明を容易にするために、輪郭のうち形状の変わる屈曲点に黒丸印を付している。ノズル開口31の輪郭は、下側に直線部31aを有し、上側の両側に直線部31b、31cを有する。直線部31b、31cは、直線部31aと平行又はほぼ平行である。直線部31aと直線部31bの間には、上方に隆起する隆起部32が形成される。ここで、隆起とは、両脇の直線部31b、31cよりも外側(上側)に突出するという意味で、(1)においては、緩やかな円弧状に隆起している。直線部31aと直線部31b、及び、直線部31aと直線部31cは、側部34a、34bにより連結されるが、側部34a、34bの形状は、図のように曲線状でも良いし、直線でも良いし、あるいはなめらかな任意の形状でも良い。
図15(2)は、別の実施形態によるノズル開口35を示す。本実施形態においては、上側の中央部に形成された直線部35aの両脇に2つの隆起部32a、32bが形成される。このように構成すれば、風の到達距離が中央部付近だけちょっと短くなるようにできる。
図15(3)は、さらに別の実施形態によるノズル開口36を示す。本実施形態においては、上側には一つの直線部36aしかなく、隆起部33cが中央部でなく、片側にオフセットして形成されている。このように構成すれば、従来と同様に到達風の横方向の広がりを実現しつつ、特定の1カ所だけの到達距離を延ばすことができる。
図15(4)は、さらに別の実施形態によるノズル開口37を示す。本実施形態においては、基本的には(1)の構成と同じで、上側には2つの直線部37a、37bが形成される。しかし、隆起部33dの形状が円弧状でなく断面が三角形状であり、上端に角部が形成される。
図15(5)は、さらに別の実施形態によるノズル開口38を示す。本実施形態においては、上側には傾斜した2つの直線部38a、38bが形成される。また、2つの直線部38a、38bの間には隆起部33eが形成される。隆起部33eは、上方に隆起する円弧状の形状である。この形状によって、中央部の前方側への空気流の到達距離を延長しつつ、到達風の横方向の広がりを徐々に低下させることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、ノズル開口の断面形状は、下側の形状が直線であり、上側の形状が上側に突出する隆起部(突出部)を有するので、ノズルの中央部付近の空気流が多くなり、中央部付近だけ風の到達距離が長くなるので、落ち葉や刈り草等を吹き寄せるのに好適な空気流を発生することができる。特に、隆起部を上側の中央付近に形成すれば中央部の前方側への空気流の到達距離を延長することができる。
次に、防塵カバー4を開けた際にエンジンの運転ができないようにするスイッチ機構について説明する。本発明の実施形態を説明する前に、図16〜18を用いて従来技術によるスイッチ機構について説明する。図16は従来のブロワ装置101におけるスイッチ機構の配置を示す斜視図である。図17(1)、(2)は、従来のスイッチ機構の組み立て状態を示す斜視図である。図18(1)は従来のスイッチ機構の断面図であり、(2)はバキュームパイプ155を取り付けた際のスイッチ機構の稼働状態を示す図である。
図16において、取付軸を中心に開閉可能に設けられる図示しない開閉カバーは、取り付け位置110部に設けられる図示しない取付軸によって固定される。従来のスイッチ機構は、図16から理解できるように取り付け位置110から約90度離れた位置に取り付けられる。スイッチ機構は、2本のネジ144でスイッチカバー150を固定することによってファンハウジング103に固定される。図17(1)の状態からネジ144を外し、ネジスイッチカバー150を外した状態を示す図が図17(2)である。スイッチカバー150の内側には、プランジャ151aを有するプッシュ式のスイッチ151が設けられる。スイッチ151は、プランジャ151aを押すことによりスイッチがONになり、プランジャ151aがもとの位置に復帰することによりスイッチがOFFになる。プランジャ151aの前面、即ち吸引口113の内周側にはプランジャ151aを押すためのスイッチレバー148が設けられる。
図18(1)においては、スイッチレバー148が押されていない状態(スイッチがOFFの状態)を示している。図18(2)のおいては、吸引口13にバキュームパイプ155が矢印方向に挿入された状態を示しており、この状態ではバキュームパイプ155の外周部によりスイッチレバー148が押されて、スイッチ151のプランジャ151aを押すので、この結果スイッチ151はON状態となり、エンジンの点火プラグへの電圧供給回路が形成される。また、図示していないが、防塵カバーを閉めた際には、バキュームパイプ155と同様に防塵カバーの側部でスイッチレバー148を押すように構成される。
以上のように従来のスイッチ機構においては、設置場所が取付軸から回転角で約90度離れた場所に設けられていた。また、プランジャ151aを押す方向は、防塵カバーの移動方向と一致していなかった。
次に、図19〜23を用いて、本発明の実施形態によるスイッチ機構について説明する。図19は、本発明の実施形態にかかるスイッチユニット48の配置状態を示す図である。スイッチユニット48は、開いた状態の防塵カバー4と吸引口13の間に設けられる。つまり、スイッチユニット48を防塵カバーの取付軸10の近傍に設けるようにして、防塵カバー4を開いた際にスイッチユニット48を誤って動作させてしまう恐れを少なくした。このように、防塵カバー4によりアクセスしにくい場所にスイッチユニット48が設けられるので、従来のスイッチ構造に比べて誤動作が少なくなるというメリットがある。
スイッチユニット48は、例えば、吸引口13の最大径と防塵カバーの取付軸側壁3eの最大幅を結んだ領域に完全に、或いは、一部が含まれるように構成するのが好ましい。
図20に、スイッチユニット48を構成するパーツの一つであるスイッチカバー50の斜視図を示す。スイッチカバー50は、スイッチの上側全体を覆う略直方体の本体部50cと、本体部50cの前端に設けられる接触部50aと、接触部50aと本体部50cを接続し、接触部50aにかかる力を減衰するための屈曲部50bと、本体部50cの接触部50aとは反対方向に延びる2本のアーム部50dと、スイッチカバー50を取付軸50にて固定するための取付軸貫通部50eを有する。以上の構成により、スイッチカバー50は、取付軸10を軸として揺動可能に固定される。取付軸10は、防塵カバー4を取付ける軸であり、防塵カバーの取付軸貫通部4eを貫通する。この取付軸10を利用してスイッチカバー50も取り付けるので、スイッチを取り付けるための部品点数を削減でき、製造コストを低く抑えることができる。尚、防塵カバー4は開いたときに取付軸10を中心に約90度以上開くので、取付軸10を兼用してスイッチカバー50を取り付けると、スイッチカバー50もそれにつられて大きく開いてしまい、内部に収容するスイッチが脱落する恐れがある。従って、本実施形態では、取付軸貫通部の後端にストッパ部50fを形成し、防塵カバー4を開いたときであってもスイッチカバー50の移動が数度から10数度程度になるように制限し、スイッチの脱落を防止するようにした。
図21は、図7のB−B部の断面を示す断面図である。プッシュ式のスイッチ51の上部がスイッチカバー50により覆われ、下部及び側部がファンハウジングから突出するリブ54a、54bにより保持される。尚、防塵カバー4は、開いたときにその状態を保持するようにバネ39によって防塵カバー4が開く方向に付勢される。本実施形態では、このバネ39を利用して、同様にスイッチカバー50も同じ方向、即ちスイッチを離す方向に付勢するようにする。このように構成することにより、スイッチ51をOFFにするために、スイッチカバー50を付勢するバネ手段を別途設ける必要が無くなり、部品点数を更に減らすことができる。
図22は、図7のC−C部の断面を示す断面図であり、(1)は防塵カバー4を開けた状態を示す図であり、(2)は防塵カバー4を閉めた状態を示す図である。尚、図22〜23においては、上下方向は図示の向きを基準とする。
プッシュ式のスイッチ51は、ファンハウジング3に一体に形成されたスイッチ取り付け用の複数のリブ53a、53b、53cに囲まれるように配置され、その上がスイッチカバー50で覆われる。スイッチカバー50の一方、即ち取付軸貫通部50eは防塵カバー4の取付軸10によって揺動可能に保持される。取付軸10は、ファンハウジング3に一体的に形成されたリブ53d、53eの間にネジ52(図6参照)によって固定される。ファンハウジング3には、さらに防塵カバーの取付部の周囲を覆うための取付軸側壁3eがファンハウジング3と一体的に形成される。スイッチカバー50の先端には、接触部50aがリブ53aよりも吸引口13側に突出するように配置される。
防塵カバー4を開けている状態では、取付軸10を中心に時計回りの力がスイッチカバー50に作用し、スイッチ51のプランジャ51aが離れる方向に移動するので、その結果、スイッチ51はOFF状態となる。尚、スイッチカバー50の移動は、取付軸10に取り付けられたバネ39によって移動するように構成しても良いし、スイッチ51のプランジャ51aの復帰力により移動するようにしても良いし、或いは、スイッチカバー50を移動させるための独立したバネ又はその他の押圧手段を設けても良い。
スイッチ51のON/OFFは、例えばエンジンのイグニッション回路に接続され、スイッチ51がOFFになると、エンジンの点火プラグへの高圧電流の供給が遮断され、エンジンの運転ができなくなる。このように構成することにより、防塵カバー4を開けたままではエンジンの始動ができない。またエンジンの運転中の場合は、防塵カバー4を開けるとエンジンが自動的に停止することになる。
図22(2)は、防塵カバー4を閉めた状態を示す図である。防塵カバー4を閉めると、防塵カバー4の内側に一体的に形成された突出部4dが接触部50aと接触するため、スイッチカバー50が、僅かながら反時計回りに移動するためプランジャ51aが押されてスイッチ51がON状態となる。
次に、図23を用いて、吸引口13にバキュームパイプ55を取り付けた際のスイッチユニット48の動作について説明する。図23(1)は、吸引口13にバキュームパイプ55を取り付ける状態を示す図であり、(2)は取り付けた状態を示す図である。バキュームパイプ55を取り付けるには、まず防塵カバー4を開けて、この状態のままバキュームパイプ55を吸引口13に差し込む。バキュームパイプ55には外周部に突起55aが一体的に形成されており、所定の位置まで差し込むと、図23(2)に示すように突起55aがスイッチカバー50の接触部50aを下方に押すため、プランジャ51aが押されてスイッチ51がON状態となる。尚、この際の防塵カバー4は、バネ39によって防塵カバー4が閉じる方向に付勢されているため、防塵カバー4がバキュームパイプ55に押しつけられ、作業中に防塵カバー4がばたつくことがない。
以上説明したように、本実施形態によるスイッチユニット48によれば、スイッチ51のプランジャ51aの移動方向が、防塵カバー4の開閉方向とバキュームパイプ55の取り付け方向と同じであるため、スイッチ51を安定して確実に動作させることができる。また、スイッチユニット48が取付軸10付近、即ち、吸引口13と取付軸10の間に設けられるので、防塵カバー4を開けた際に作業者により触れにくく、アクセスしにくい箇所にスイッチ手段が取り付けられるので、スイッチを誤って触れたり、バキュームパイプ55などをぶつけてしまう恐れが少なくなる。従って、スイッチユニット48の信頼性及び寿命を延ばすことができる。
また、スイッチユニット48は、取付軸10を利用して取り付けられ、スイッチ51はハウジングに形成された保持部によって保持されるので、スイッチ51を保持するために専用の部材を準備する必要が無く、スイッチユニット48を取り付けるための別部材を削減できるので、必要とされる部品点数が減少し、コストダウンを図ることができる。
さらに、防塵カバー4は閉状態時にスイッチをONさせる突出部4dを有し、防塵カバーの取付軸10付近にスイッチユニット48及び突出部4dが位置するため、防塵カバー4の取付軸から突出部までの距離が小さく、防塵カバー4の変形によってスイッチ51がON/OFFにならない、あるいは突出部4dがスイッチカバー50に無用に押し付けすぎてしまうといった欠点がなく、スイッチのON/OFF動作の信頼性を向上させることができる。また、突出部4dが取付軸に近い箇所に位置するため、突出部4dへのアクセスが阻害される。この点からも、スイッチのON/OFF動作の信頼性を向上させることができる。
尚、本実地形態では、スイッチカバー50を押した際にスイッチ51がONになるように構成したが、これに限定されるものではなく、スイッチカバー50を押した際にスイッチ51がOFFになるようにしても、OFFの時にエンジンが運転できないような回路構成とすれば全く同じ効果が得られる。同様の理由から、用いられるスイッチ51の種類も、プッシュ式だけに限られず、他の形式のものでも良い。
次に、図24〜29を用いて、本発明の実施形態によるファン11の取り付け構造について説明する。まず、本発明の実施形態を説明する前に、図24を用いて従来技術によるファン169の取り付け構造を説明する。
図24(1)は、従来技術によるファン111の形状を示す斜視図であり、(2)はファン111の取り付け構造を示す断面図である。図24(1)において、ファン111はいわゆる遠心ファンと呼ばれるもので、軸方向に吸引される空気を半径方向外側に導き、円周方向に排出する。そのために半径方向に延びる複数のフィン169が形成される。ファン111の内周側は、平面の円形領域が形成され、この領域の外周付近2カ所にファン111を固定するためのねじ穴176が形成される。
図24(2)において、エンジンのクランク軸173にボルト締めでフライホイール161が固定される。フライホイール161のエンジン側には、エンジンを冷却するための複数のフィン174が形成される。フライホイール161の前端には、2カ所のねじ穴入口が突起状に形成され、ファン111が2つのネジ177によって固定されることにより、ファン111の後端面とフライホイール161が軸方向に接する。このようにファン111を固定すれば、円周方向の2カ所においてファン111が固定されるので芯ぶれが生じにくい。しかしながら、この固定方法では、ファン111の内周側に平面の円形領域が形成され、その領域ではフィン169が設けられていないため、ファン111の効率が十分では無かった。また、風量を確保するため、ファン111を大型化する必要があった。
そこで、ファンの形状及びその取り付け構造を改良したのが本発明である。図25は、本発明の実施形態によるファン11の形状を示す斜視図である。ファン11の中心部には、貫通孔75と円形の平坦領域70が形成される。平坦領域70は、取り付け時に補強のためのワッシャ75(図26参照)を取り付けるために形成されもので、その大きさは図24で示した従来技術の円形領域に比べて小さくて良い。このように平坦領域70の径が小さいので、フィン69を外周から内周部に大きく延在するように形成できるので、同じ外径のファン11でありながら風量を増大でき、ブロワ装置1の送風効率を上げることができる。尚、ファン11はプラスチックなどの高分子樹脂あるいは金属製で製造できる。
図26は、ファン11の取り付け構造を示す断面図である。本実施形態によるファン11は、貫通孔75の前側及び後側において円環形状のワッシャ75を介してボルト71により取付部材72に固定される。取付部材72は、エンジンのクランク軸73に取り付けられる。フライホイール61の後端面には複数のフィン74が形成され、前端には突出部64が形成され、ファン11の後端側は突出部の内周側まで円筒部65が延びる。即ち、突出部64も円筒部65も共に径方向に接触する。
図27は、ファン11の取り付け部の側面図である。本図においては、説明の都合上メインハウジング2の記載は省略している。フライホイール61の外周側には、その回転位置を検出することによって図示しない点火プラグへの高圧電流の供給を行うタイミングを決定するためのマグネット62が取り付けられる。
次に、図28を用いて、図27のE−E断面を説明する。図28はE−E断面と、E−E断面からフライホイール61を見た状態を示す図で、フライホイール61の前端には、2カ所の突出部64が一体に成型される。また、ファン11には、その後面11aから延長して延びる円筒部65と、円筒部65と一体に成型され円筒部65から半径方向外側に延在する複数のリブ66が形成される。ここで、2つの突出部64の内側の形状は、円筒部65の外径に沿った形の円弧状であり、両者は少なくともファン11の芯ぶれが発生した際に接触して、芯ぶれによる円周方向への移動を制限する働きをする。そのため、通常時から突出部64と円筒部65は接触していても良いし、通常時は微少な距離を隔てて非接触として、芯ぶれ時に接触するように配置しても良い。このように、円周方向に接触する円筒部65とリブ66を設け、これらはファン11がフライホイール61と相対回転した際のファンの周方向の動きを制限するので、ファン11が回転方向に滑りを生じた際にその動きを有効に制限することができる。
図29は、図27のF−F断面と、F−F断面からファン11を見た状態を示す図である。リブ66は軸方向に延びてファン11の後面11aまで延びる。後面11aは部分的に軸方向肉厚が薄くなっている窪み68が形成され、この結果複数の半径方向に延びるリブ67が形成される。
以上説明したように、本実施形態によるファン11の取り付け構造によれば、径方向に接触する部材たる、突出部64と円筒部65が軸方向と鉛直な断面においてそれぞれが半径方向にオーバーラップするように形成されるので、ファンの芯ぶれが発生してもそれぞれ接触して径方向へのファンの移動を制限するので、ファンの振動やぶれなどを効果的に防止することができる。また、突出部64は円周方向に連続して又は非連続で設けられるので、フライホイール61及びファン11の形状に合わせて径方向接触部の形状や配置を決定することができので、これらと一体成型にて簡単に製造することができる。また、一体成型で製造することにより、部品点数を減らすことができる。
尚、本発明によるファン11の取り付け構造は、実施形態の記載に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、突出部64として円周方向の2カ所に設けたが、3カ所以上設けても良い。また、円周方向に断続的に設けるのではなく、連続して設けても良い。さらに、突出部64を円筒部65の外周側に配置したが、円筒部65の内周側に設けても良い。さらに、円筒部65は円周方向に連続した形状であるが、切り欠き等を設けて、連続しない形状とし、円筒部65と接触する箇所にだけ接触部材を設けるようにしても良い。
次に、図30を用いて排出管17の内周側に設けられる複数のリブ81〜84について説明する。図30はリブ81〜84について説明するための図であり、(2)は図6のA−A部を見た図(正面図)であり、(1)は(2)のG−G断面図、(3)は(2)のH−H断面図である。図中の白抜き矢印は、空気の流れる方向を示している。
図30(2)において、排出管17は、正面視左半分がメインハウジング2と一体に成型され、正面視右半分がファンハウジング3と一体に成型され、これらをあわせることによって排出管17が形成される。メインハウジング2側には上下にリブ81とリブ82がそれぞれ形成される。メインハウジング2は、例えばプラスチック等の樹脂により一体成型にて製造されるが、リブ81、82も同様に一体成型されると強度的に好ましい。ここで、リブ81、82は、ハウジング分割面と鉛直方向に延びるよう構成される。この方向に構成すると、ハウジングの成型と共にリブ81、82を一体成型するのに都合がよいばかりか、この方向はファン11の回転軸と平行でもあるので、空気の整流目的においても好ましい。同様に、リブ83、84はプラスチック等の樹脂によりファンハウジング3と一体成型により製造され、その方向はハウジング分割面と鉛直方向に延びる方向である。
ここで、図30(2)から理解できるように、リブ81と83は、排出管17の外周側に形成された2つの突出部14の上側に形成され、リブ82と84は、排出管17の外周側に形成された2つの突出部14の下側に形成される。即ち、各リブは、排出管17の円周方向に見た場合、突出部と分割面の間にそれぞれ1つずつ形成されている。このように配置することにより、排出管の外部から強い力が働き、排出管が潰されるような力が働いたとしても、各リブの補強作用により潰されることが無く、強固な排出管構造が実現できる。また、各リブとハウジングの取り付け部付近は、取り付け部付近に近づくにつれて徐々に厚さが増大するようにし、なめらかな形状でハウジングの内面壁と連続するように構成されるので、強度的に強く形成できる。
さらに、複数のリブ81〜84を形成したことにより別の効果も奏する。例えば、複数のリブ81〜84が突出するために、ブロワ装置1の非稼働時に排出管17から大きなゴミが入りにくくなる。このゴミなどの異物混入を防ぐ目的を重要視したい場合は、リブの本数を増やしたり間隔を狭くしたりしても良い。また、更に別の効果として、排出される空気の整流効果を持たせることができる。整流効果を考慮して、各リブ81〜84の形状、位置、長さ、幅、厚さなどを決定すれば、排出管内の空気をより均質な圧力で排出することができる。図30において、各リブ81〜84の形状が、(1)で示す上側のリブ81、83と、(2)で示す下側のリブ82、84で大きく異なることが理解できるであろう。また、上側リブにおいても、リブ81の幅d1とリブ83の幅d3が同一でないことが理解できるであろう。
次に図31を用いてリブ81〜84について更に説明する。図31(2)は図6のA−A部を見た正面図であり、(1)は、(2)のI−I断面図、(3)は(2)のJ−J断面図である。ここで、図31(1)で理解できるように、上側のリブ81の長さL1とリブ82の長さL2は異なり、リブ82の方が長くなっている。また、排出管17の開口からリブ81の下流端までの距離p1は、開口からリブ82の下流端までの距離p2と異なる。さらに、リブ81の上流端81a側の形状は、リブ82の上流端82a側の形状とも同一ではない。これらはすべて、排出管17に流れる空気流の分布を考慮して決定した形状である。さらに、リブ81,82の下流端81b、82b側の形状も、丸みを帯びるようにして空気流の流れを乱さないような形状とすれば好ましい。(3)で示すように、ファンハウジング3側(左側)のリブ83、84の形状についても同様であり、メインハウジング2側(右側)のリブ81、82の形状と同様の思想で設計すれば良い。
以上説明したように、本実施形態によれば排出管17の内側に内周壁から延びる複数のリブ81〜84を設けたので、外観を何ら損ねることが無く、排出管の剛性を高くすることができる。また、リブ81〜84はハウジングの分割面と鉛直な方向に延びるように構成されるので、メインハウジング2及びファンハウジング3と一体成型にて形成できるので、容易に製造できる。さらに、リブ81〜84は、ファン11の回転軸と平行な方向に延びるように構成されるので、ファン11の半径方向外側に集まる空気流を、リブ81〜84によって均一になるように導くことができる。
さらに、本実施形態によれば、リブ81〜84は、それぞれ当接しないので、集塵装置として使用する際の集塵対象の流れを妨げること無く剛性を高めることができる。また、リブ81〜84の長さ、幅、取付位置は、それぞれ異なるので、空気流の偏在にあわせてリブを設定することができる。
以上、本発明の実施形態によるリブ81〜84について説明したが、リブの配置、構成については本実施形態に限られるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、リブ81とリブ83、リブ82とリブ84の間隔をさらに狭くしたり、逆に広くしたりすることも可能である。また、これらリブを接触するようにしても良い。但し、接触させた場合は、図33のように落葉や刈り草等を吸引して集塵バック159に貯めるような使い方をすると、落葉や刈り草等が詰まる恐れがあるので、それらも考慮の上、形状を決定すべきである。さらに、本実施形態では各リブの向きはハウジング分割面と鉛直方向に延びる方向であるが、断面が円形の排出管17の中心点方向に延びる形状であっても良い。さらに、リブの本数も本実施形態の本数(4本)に限るものではなく、任意の本数であっても良く、リブを空気流の上流側と、下流側に別々に分けて設けるようにしても良い。
以上、本発明を各実施形態に基づき説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。