JP5256877B2 - 車体後部構造 - Google Patents

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本発明は、車体後部のホイルハウス付近を補強する車体後部構造に関する。
ホイルハウスインナに形成したストラットハウジングの上部とサイドメンバの端部付近とを補強バーで連結してトラス構造を形成することにより、車体のねじれ変形を抑制するようにした車体後部構造が知られている(下記特許文献1)。
特開平8−295263号公報
しかしながら、上記した従来の構造では、単に補強バーの上下両端をストラットハウジングとサイドメンバとにそれぞれ連結するものであるため、補強構造としてさらなる剛性向上を図るためには補強バーの強度を高めるべくその太さを太くしたり、あるいはより強度の高い高価な部材を使用する必要が生じ、車両の重量増しやコスト高を招くものとなる。また、車両後部の側部下方にはジャッキ等の車載部品が収納されていることがあるので、単純に補強バーを大きくすると車載部品の出し入れがしにくくなることにもなる。
そこで、本発明は、車両の重量増しやコスト高を抑えつつ、車体後部の剛性向上を図り、かつ車両後部の側部下方の車載部品の出し入れ性を確保することを目的としている。
本発明は、車体後部のフロア部材と、フロア部材の車両側端部に固定されて車体後部の側部内側を構成し、フロア部材より車両前後方向で短く構成された車体後部内側部材と、車体後部内側部材の車幅方向外側を構成して車両前後方向でフロア部材と略同等の長さを有し、少なくとも車体後部内側部材の車両後方端部より後方で、第一車両搭載部品を搭載可能な収納空間を有するように車両外側に膨出してフロア部材と結合した車体後部外側部材と、を備え、車体後部内側部材の車幅方向内側の室内空間と収納空間を連通する連通部に、車体後部内側部材の上部とフロア部材の後部とを補強部材で連結し、この補強部材の車体後部内側部材側及びフロア部材側の各連結部相互間第二車両搭載部品の車体後方側を取り付け、この第二車両搭載部品の車体前方側車体後部内側部材に連結し、フロア部材と補強部材と第二車両搭載部品と車体後部内側部材とで囲まれる連通部の一部を第一車両搭載部品が挿通可能にしたことを特徴とする。
本発明によれば、補強部材によって車体後部内側部材とフロア部材とを連結すると同時に、補強部材に車体後方側を取り付けた第二車両搭載部品の車体前方側を車体後部内側部材に連結したので、第二車両搭載部品も補強用部材の役目を果たすことになり、したがって補強部材自体の強度を高めるべくその太さを太くしたり、あるいは、より強度の高い高価な部材を使用することによる、車両の重量増しやコスト高を抑えつつ、車体後部の剛性向上を図ることができる。また、車両後部の側部下方に収納される第一車両車載部品の出し入れ性を損なうこともない。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係わる車体後部構造を示す、車体左側を車内側から見た斜視図、図2は、同車体後部構造を車内側から見た正面図である。なお、図中の矢印FRで示す方向が車体前方、矢印LHで示す方向が車体左方、矢印UPで示す方向が車体上方である。
図1に示すように、車体後部に位置して車体後部の床を構成するフロア部材としてのリアフロアパネル1の車体後部側の車幅方向端部と、車体後部外側部材としてのボディサイドアウタパネル3の下端とを互いに連結し、ボディサイドアウタパネル3の図示しないタイヤが位置するホイルハウスに対応する部位には、車体後部内側部材としてのボディサイドインナパネル7を設けている。
このボディサイドインナパネル7は、リアフロアパネル1の車両側端部に固定され、車体後部の側部内側を構成し、リアフロアパネル1より車両前後方向で短く構成されている。また、ボディサイドアウタパネル3は、ボディサイドインナパネル7の車幅方向外側を構成し、車両前後方向でリアフロアパネル1と略同等の長さを有し、少なくともボディサイドインナパネル7の車両後方端部より後方で、後述する第一車両搭載部品である収納物32を搭載可能な収納空間としての物品収納空間33を有するように車両外側に膨出してリアフロアパネル1と結合している。
ボディサイドインナパネル7は、その車体外側にタイヤが位置しているので、車体内側に向けて突出するよう湾曲形成しており、その下端をリアフロアパネル1に連結するとともに、リアフロアパネル1より上部の周縁のフランジ7aを、ボディサイドアウタパネル3に連結している。
そして、上記したリアフロアパネル1の車体後方側の端部付近と、ボディサイドインナパネル7の車両後方側のボディサイドアウタパネル3との接合部位となっている上記したフランジ7aの上部とを、補強部材としての補剛バー9で互いに連結している。この補剛バー9は、上部のボディサイドインナパネル7側が、下部のリアフロアパネル1側よりも車体前方となるよう傾斜して取り付けてあり、その上下の各取付部は、ボルトなどの締結具11,13によって着脱可能としている。
リアフロアパネル1の上方にはリアパーセル15を設けてあり、リアフロアパネル1とリアパーセル15との間に室内空間である荷室空間17を形成している。
図3(a)は、補剛バー9のリアフロアパネル1側との連結部の構造を簡略化して示す斜視図であり、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。すなわち、補剛バー9の下端は、連結ブラケット19を介してリアフロアパネル1側に連結している。
リアフロアパネル1は、車幅方向端部を、車外側が低くなるような傾斜部1bを介して下方に向けて屈曲した屈曲部1aを有し、この屈曲部1aの下部外側と、ボディサイドアウタパネル3の車幅方向内側に向けて屈曲させて形成した下端フランジ3aとを接合固定している。
一方連結ブラケット19は、補剛バー9が連結される、上下方向に延びかつ車幅方向に対向する連結面19aと、連結面19aの下端から車幅方向内側に屈曲して傾斜する傾斜面19bと、傾斜面19bの下端から連結面19aと平行に下方に向けて延び、前記したリアフロアパネル1の屈曲部1aの上端外側面に溶接により接合固定される下部接合面19cと、前記連結面19aの上端から車幅方向外側に延びる水平面19dと、水平面19dの端部から上方に向けて屈曲してボディサイドアウタパネル3の内面に溶接により接合固定される上部接合面19eと、連結面19aの車体後端側から車内側に向けて屈曲してボディサイドアウタパネル3の後端フランジ3bに接合される後端下部接合面19fと、水平面19dの車体後端側から上方に向けて屈曲してボディサイドアウタパネル3の後端フランジ3bに接合される後端上部接合面19gとを、それぞれ備えている。
このように、下端が連結ブラケット19を介してリアフロアパネル1側に連結している補剛バー9は、図1,2に示すように、長手方向ほぼ中間部位に、第二車両搭載部品としての車両搭載部品21を取り付けている。車両搭載部品21は、搭載部品本体22と、搭載部品本体22が図示しないねじなどによって固定される取付具としての取付ブラケット23とを有している。
上記した搭載部品本体22は、例えば車両の電装部品を制御するコンロールユニットなどであり、図4に示すように、取付ブラケット23に固定した上で、補剛バー9にあらかじめ取り付けておいて組立部品化して一体化し、この一体化した組立部品25を車体側に取り付けるものとする。
搭載部品本体22は扁平の直方体の箱形状を呈しており、取付ブラケット23は、搭載部品本体22と外形がほぼ同形状で外周縁部が搭載部品本体22の外周縁部より外側に突出するように外形をやや大きく形成した、ほぼ長方形状の搭載部品固定部23aを有している。
そして、この搭載部品固定部23aの補剛バー9側に突出する縁部23a1の上下の角部を、ボルトなどの締結具27によって補剛バー9に締結固定する。また、搭載部品固定部23aの補剛バー9と反対側の縁部23a2のほぼ中央部位からは、補剛バー9と反対側に突出する連結用突起23bを形成し、この連結用突起23bの先端を、前記したボディサイドインナパネル7のフランジ7aの下部にボルトなどの締結具29によって締結固定する。
すなわち、本実施形態では、補強部材である補剛バー9に、車両搭載部品21の一部位である取付ブラケット23の縁部23a1を取り付け、車両搭載部品21の他の部位である取付ブラケット23の連結用突起23bをホイルハウス部材であるボディサイドインナパネル7に連結したことになる。
ここで、上記した車両搭載部品21は、図2に示すように、ボディサイドインナパネル7との連結部から、前記傾斜している補剛バー9への連結部に向けて車両後方側が前方側より車両上方となるよう傾斜している。これにより、図2に示すように、補剛バー9と車両搭載部品21と下部のリアフロアパネル1との間に、ほぼ三角形状の連通部としての隙間31が形成される。
また、補剛バー9と、この補剛バー9の車外側のボディサイドアウタパネル3との間には、例えばジャッキなどの収納物32(図8参照)を収納する物品収納空間33を設けてあり、この物品収納空間33は上記した隙間31を介して前記した荷室空間17に連通している。
すなわち、本実施形態では、ボディサイドインナパネル7の車幅方向内側の荷室空間17と物品収納空間33を連通する隙間31において、ボディサイドインナパネル7の上部とリアフロアパネル1の後部とを補剛バー9で連結していることになる。
このような車体後部構造によれば、補剛バー9によってボディサイドインナパネル7の上部とリアフロアパネル1の後端部付近とを連結すると同時に、補剛バー9に一部位を取り付けた車両搭載部品21の他の部位をボディサイドインナパネル7に連結したので、車両搭載部品21も補強用部材の役目を果たすことになり、したがって補剛バー9自体の強度を高めるべくその太さを太くしたり、あるいは、より強度の高い高価な部材を使用することによる、車両の重量増しやコスト高を抑えつつ、車体後部の剛性向上を図ることができる。
このとき、前記図3(b)に示したように、補剛バー9の下端が連結される連結ブラケット19の連結面19aは、連結ブラケット19のリアフロアパネル1に対する下部接合部面19cとほぼ平行としているので、図3(c)に示すように、車体本体から補剛バー9への荷重入力Fが、下部接合面19c及びリアフロアパネル1の屈曲部1aを介して矢印Sのように同一方向の面内で伝達されることになり、荷重伝達が効率よくなされるものとなる。
図5は、車両自重入力P及びタイヤからの荷重入力Qによる車体後部の下方へ下がる変形状態を、本実施形態による補剛バー9を設定しない第1比較例(a)と、補剛バー9を設定しているが補剛バー9に本実施形態による車両搭載部品21を取り付けていない第2比較例(b)と、前記した本実施形態(c)とを比較して示した模式的な変形状態図である。
すなわち、上記図5(a),(b)(c)は、車体後部の実線で示す変形前の形状Bに対し、変形後は2点鎖線で示す形状Cに変形するものとしてあり、図6(a),(b)(c)は、この変形前の形状Bと変形後の形状Cのみを取り出して記載したものである。
これによれば、補剛バー9を設定しない第1比較例(a)の変形が最も大きく、補剛バー9を設定しているが車両搭載部品21を取り付けていない第2比較例(b)は、補剛バー9の折れ変形によって、本実施形態(c)よりも変形が大きくなっており、したがって、本実施形態(c)の変形が最も小さくなっている。
なお、図6では、第2比較例(b)は本実施形態(c)よりも上下方向寸法H1だけ変形量が大きく、第1比較例(a)は第2比較例(b)よりも上下方向寸法H2だけ変形量が大きくなっていることを示している。
また、本実施形態では、搭載部品本体22を、取付ブラケット23を介して補剛バー9及びボディサイドインナパネル7に取り付けているので、車両衝突などで車体に衝撃荷重が入力したときに、その衝撃荷重が取付ブラケット23を介して車体へ入力されることになり、搭載部品本体22を保護する上で有効となる。
また、図4に示したように、車両搭載部品21を補剛バー9にあらかじめ取り付けておいて組立部品化することで、図2の簡略化したD−D断面図である図7(a)に示すように、車両搭載部品21を、本実施形態のように、補剛バー9に対して荷室空間17側に取り付ける構造とするほかに、図7(b)に示す第2の実施形態のように、補剛バー9に対して荷室空間17と反対の車外側に取り付ける構造とすることも容易にできる。
なお、図7において、符号35は、物品収容空間33を閉塞する取り外し可能なカバーであり、このカバー35は、図1,2では省略している。
車両搭載部品21を、上記図7(b)のように補剛バー9に対して車外側に設けた場合には、図7(a)のように補剛バー9に対して荷室空間17側に設けた場合に比較して、カバー35(車室内壁)の車幅方向位置を長さTだけより車外側とすることができるので、荷室空間17をより広くすることが可能である。
また、本実施形態では、車両搭載部品21を、補剛バー9にあらかじめ取り付けておいて組立部品化して一体化し、この一体化した組立部品25を車体側に取り付けるようにすることで、限られた荷室空間17内での難作業が、組立部品25の車体への取り付けだけとなって車両搭載部品21の補剛バー9への取付作業が不要となり、作業時間を短縮することができる。この場合、補剛バー9に取り付ける車両搭載部品21などの部品の数が多くなればなるほど作業時間の短縮効果は高くなる。
さらに、本実施形態では、前記した図2に示すように、車両搭載部品21の車体後方側を前方側より上方となるよう傾斜させて補剛バー9と車両搭載部品21とリアフロアパネル1との間に、ほぼ三角形状の隙間31を形成しているので、前記図7(a)とほぼ同様な断面図である図8に示すように、物品収納空間33に収納するジャッキなどの収納物32の出し入れが、上端部の出し入れ軌跡Eで示すように、車両搭載部品21の車体後方側を上方位置とした分容易になるとともに、図2に示すように、車両搭載部品21によって補剛バー9とボディサイドインナパネル7とをトラス状に連結固定することになるので、車両衝突時などにおける車体への衝撃荷重入力を効率的に受けることができる。
すなわち、本実施形態では、リアフロアパネル1と補剛バー9と車両搭載部品21とボディサイドインナパネル7とで囲まれる隙間31の一部を収納物32が挿通可能にしている。これにより、車両後部の側部下方に収納される収納物32の出し入れ性を損なうこともない。
本発明の一実施形態に係わる車体後部構造を示す、車体左側を車内側から見た斜視図である。 図1の車体後部構造を車内側から見た正面図である。 (a)は、補剛バーのリアフロアパネル側との連結部の構造を簡略化して示す斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(b)において車体本体から補剛バーに入力した荷重の車体への伝達経路を示す説明図である。 補剛バーと車両搭載部品とを一体化して組立部品化する説明図である。 車両自重入力及びタイヤからの荷重入力による車体後部の下方へ下がる変形状態を、本実施形態による補剛バーを設定しない第1比較例(a)と、補剛バーに本実施形態による車両搭載部品を取り付けていない第2比較例(b)と、本実施形態(c)とを比較して示した模式的な変形状態図である。 図5における変形部のみを取り出して示す変形状態図である。 (a)は、図2の簡略化したD−D断面図、(b)は、車両搭載部品を補剛バーに対して荷室空間と反対側に配置した構造を示す、(a)に相当する断面図である。 物品収納空間に収納する収納物を示す断面図である。
符号の説明
1 リアフロアパネル(フロア部材)
3 ボディサイドアウタパネル(車体後部外側部材)
7 ボディサイドインナパネル(車体後部内側部材)
9 補剛バー(補強部材)
17 荷室空間(室内空間)
21 車両搭載部品 (第二車両搭載部品)
22 搭載部品本体
23 取付ブラケット(取付具)
23a1 取付ブラケットの縁部(車両搭載部品の一部位)
23b 取付ブラケットの連結用突起(車両搭載部品の他の部位)
25 組立部品
31 隙間 (連通部)
32 収納物(第一車両搭載部品)
33 物品収納空間 (収納空間)

Claims (5)

  1. 車体後部の床を構成するフロア部材と、
    前記フロア部材の車両側端部に固定され、車体後部の側部内側を構成し、前記フロア部材より車両前後方向で短く構成された車体後部内側部材と、
    前記車体後部内側部材の車幅方向外側を構成し、車両前後方向で前記フロア部材と略同等の長さを有し、少なくとも車体後部内側部材の車両後方端部より後方で、第一車両搭載部品を搭載可能な収納空間を有するように車両外側に膨出して前記フロア部材と結合した車体後部外側部材と、を備え、
    前記車体後部内側部材の車幅方向内側の室内空間と前記収納空間を連通する連通部において、前記車体後部内側部材の上部と前記フロア部材の後部とを補強部材で連結し、
    この補強部材の前記車体後部内側部材側及び前記フロア部材側の各連結部相互間第二車両搭載部品の車体後方側を取り付け、この第二車両搭載部品の車体前方側前記車体後部内側部材の前記補強部材側及び前記フロア部材側の各連結部相互間に連結し、
    前記フロア部材と前記補強部材と前記第二車両搭載部品と前記車体後部内側部材とで囲まれる前記連通部の一部を前記第一車両搭載部品が挿通可能にしたことを特徴とする車体後部構造。
  2. 前記補強部材に前記第二車両搭載部品の一部位を取り付けてこれらを一体化して組立部品化し、この組立部品を車体に対して着脱可能としたことを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
  3. 前記第二車両搭載部品は、搭載部品本体が取付具を介して前記補強部材及び車体後部内側部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車体後部構造。
  4. 前記第二車両搭載部品を、前記補強部材に対して前記収納空間側に配置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車体後部構造。
  5. 前記第二車両搭載部品は、車体前方の前記車体後部内側部材との連結部から、前記補強部材への取付部に向けて車両後方側が前方側より車両上方となるよう傾斜していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車体後部構造。
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