JP5256667B2 - 回路遮断器 - Google Patents

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Description

本発明は、低圧配電路に適用する配線用遮断器を対象に、各極の電流遮断部に2対の開閉接点を直列に組み合わせて過電流を遮断する2点切り方式の回路遮断器に関し、詳しくはその電流遮断部のユニット構造に係わる。
各極の電流遮断部に2対の開閉接点を直列に組み合わせて過電流を遮断するようにした2点切り方式の回路遮断器が公知である(例えば、特許文献1参照)。
この2点切り回路遮断器の電流遮断部は、左右に並べてその先端に固定接点を固着した第1および第2固定接触子と、U字状アームの先端に前記固定接点に接離する可動接点を固着した回動式の橋絡形可動接触子と、第1,第2の固定接触子と個々に対応して可動接触子の開極移動経路の前方に配した消弧装置から構成されている。次に、前記2点切り回路遮断器を図7に、その電流遮断部の従来構造を図8に示す。
まず、図7において、10は回路遮断器の本体ケース、11は操作ハンドル、12は開閉機構部、13は電流遮断部、14は過電流引外し装置である。ここで、電流遮断部13は、後記のように電源側,および負荷側端子に連なる左右一対の固定接触子と、固定接触子に対向して開閉機構部(開閉ばねで蓄勢されたトグルリンク機構)12に連繋した橋絡形の可動接触子と、消弧装置とから構成されている。
図8は前記した電流遮断部13の構成図で、1は電源側端子と一体になる第1の固定接触子、2は過電流引外し装置14(図7参照)の作動素子を経由して負荷側端子に通じる第2の固定接触子、1a,2aは固定接触子1,2の先端に固着した固定接点、3はU字状アームの先端に前記固定接点1a,2aと接離する可動接点3a,3bを固着した橋絡形の可動接触子、4は固定接点1a,2aと個々に対応させて可動接触子3の開極移動経路の前方に配した消弧装置、4aは消弧装置4の左右側壁間に跨がって上下段に配列した消弧グリッド板(deion plate)、5は可動接触子3の接触子ホルダー、5aはその支軸であり、接触子ホルダー5は図7の開閉機構部12にリンク結合されている。なお、固定接触子1,2および消弧装置4は、図示してないユニット組立フレーム(モールド樹脂製)に搭載してユニットを構成し、このユニットを回路遮断器の本体ケース1(図6参照)の内部に装着するようにしている。一方、可動接触子3は支軸5aを介して回路遮断器の本体ケースに組み付けられている。
上記構成になる回路遮断器の過電流保護動作は周知であり、配電路に過電流(短絡電流など)が流れると、固定接触子1,2と可動接触子3との間に電磁反発力が働いて可動接触子3が開極し始め、可動接点3a,3bが固定接点1a,2aから開離する。同時に開閉機構部12がトリップ動作して可動接触子3を開極終端位置に向けて駆動する。
また、この開極動作過程では、図9で示すように第1,第2固定接触子1,2の固定接点1a,2aと可動接触子3の可動接点3a,3bとの間に発弧した2本のアークarcが図中のIからIIに伸長し、電磁駆動力を受けて消弧装置4に押し込まれる。これにより、アークは消弧装置4のグリッド板4aにより分断されてアーク電圧が高まるとともに、冷却効果も加わってアークが消滅し、過電流が限流遮断されることは周知の通りである。しかも、この直列2点切り方式は通常の1点切り方式と比べて発生アークのアーク電圧が高く(2倍)なるので、高い限流遮断性能が得られる。
一方、前記した2点切り方式の回路遮断器とは別に、過電流の通電時に可動接触子に作用する電磁反発力を高める磁気駆動手段として、固定接触子の接点部周域を囲んで可動接触子3の開極方向に起立延在するU字形の磁気ヨーク(magnetic yoke)を設けた構成の回路遮断器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
この構成により、電路の短絡事故などで固定接触子に過電流が流れると磁気ヨークに磁束が発生し、この磁束が可動接触子に作用して電磁反発力を高める。これにより、可動接触子の開極速度が増して遮断性能が向上する。
特開平11−273536号公報 特開平6−283090号公報
図7,図8で述べた2点切り方式の回路遮断器について、その電流遮断部に配した第1,第2の固定接触子に特許文献2に開示の磁気ヨークを組み合わせることにより、トリップ動作時に可動接触子の開離初期速度が早くなって遮断性能の更なる向上が期待される。
そこで、発明者等は前記電流遮断部の第1,第2固定接触子に磁気ヨークを付設して遮断性能を検証したところ、固定接触子の接点部を左右から囲んで磁気ヨークを追加装備すると絶縁性確保の面で次記のような課題が生じることが判った。すなわち、図8に示した従来の電流遮断部(磁気ヨーク無し)では、回路遮断器を小形コンパクトに構成するために、各極ごとに左右に並べて配置した第1の固定接触子1と第2の固定接触子2との間を絶縁確保に必要な最小間隔に設定している。
この場合に、第1の固定接触子1と第2の固定接触子2との間の絶縁距離(空間距離,沿面距離)が十分に確保されてないと、可動接触子3の開極移動の途中で第1と第2の固定接触子の間が絶縁距離の短い経路を通じてフラッシュオーバーし、開極動作の開始直後に固定接触子1,2の接点と橋絡形可動接触子3の接点間に発弧して伸長した2本のアークが固定接触子の間に転流し、可動接触子3を経由せずに第1の固定接触子1と第2の固定接触子2の接点間がアークで直接繋がってしまうようになる。このような状態になると、アークを消弧装置4に駆動して分断,冷却させることもできず、さらに直列2点切り機能も働かなくなって所定の遮断性能が発揮できなくなる。
ところで、第1,第2の固定接触子1,2に対してその接点部を左右から包囲するようにU字形の磁気ヨークを固定接触子に組み付けると、磁気ヨークの側辺部が固定接触子の側縁から左右に張り出すために、従来構造のままでは固定接触子1と2の間の間隔がさらに狭まって絶縁距離が縮小する。このために、固定接点の間に前記したアーク転流が生じ易くなる。また、このようなアークの転流を防ぐように左右に並ぶ固定接触子1と2の間に大きな間隔(絶縁距離)を設定すると、各極の電流遮断部が占有する幅寸法が大きくなって回路遮断器の小形コンパクト化が困難となる。
また、磁気ヨーク(磁性材)は、電磁反発力の増強機能を発揮させるために、固定/可動接点間に発弧したアークの発弧点が磁気ヨークに転流しないように固定接点から絶縁隔離させる必要がある。この点について、先記の特許文献2では遮断器の本体ケースに絶縁壁で囲まれた凹状陥没部を形成してここに磁気ヨークを収容配置して固定接触子との間を絶縁隔離するようにしているが、この組立構造では本体ケースの形状が複雑となるほか、回路遮断器の組立工数も増えるために従来構造に代わる改善策が望まれる。
さらに、図8の2点切り回路遮断器では、可動接触子3の開離に伴い固定接点1a,2aと橋絡形可動接触子3の可動接点3a,3bとの間に伸長したアーク(2本)のアーク電圧が、固定接触子1の固定接点1aと固定接触子2の固定接点2aとの間に直列に印加されることになる。このアーク電圧はアークの伸長とともに高まり、可動接触子3の全開離位置付近でアーク長が最長となる。このために、固定/可動接点間に伸長するアークのアーク電圧が左右に並ぶ固定接触子1と2の間の絶縁強度以上になると、固定接点の間が絶縁破壊して第1の固定接触子1と第2の固定接触子2の接点間がアークで直接繋がってしまい、その結果として2点切り回路遮断器の遮断性能が発揮できなくなる問題がある。
したがって、前記のような固定接点の間にアークが転流する挙動を防ぐには、固定/可動接点間に発生したアークが限流遮断に必要なアーク長以上に伸長する前に消弧装置側に転流させてアークを限流消弧させる必要がある。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、小形コンパクトな構成で高い限流遮断性能が得られるように電流遮断部のユニット構造を改良した回路遮断器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明によれば、電流遮断部が左右平行に並べてその先端部に固定接点を固着した第1および第2の固定接触子と、U字形アームの先端に可動接点を固着して前記固定接点に対向させた回動式の橋絡形可動接触子と、第1および第2の各固定接触子に対応して前記可動接触子の開極移動経路の前方に配置し、かつ複数のグリッド板を側壁の間に隙間を介して上下段に配列した消弧装置からなり、前記固定接触子,消弧装置をモールド樹脂製のユニット組立フレームに搭載した2点切り方式の回路遮断器において、
前記第1および第2の固定接触子の先端部に、固定接点を左右から包囲して可動接触子の開極移動方向に側辺部が起立延在するU字形の磁気ヨークを配置し、前記第1および第2の固定接触子を前記ユニット組立フレームに左右からそれぞれ搭載する。さらに、ユニット組立フレームには、第1の固定接触子と第2の固定接触子との間に分け入って可動接触子の開極移動経路全域に延在して第1の固定接触子と第2の固定接触子の間を隔離する絶縁バリアと、該絶縁バリアの左右両側に配置して第1および第2の固定接触子の先端部に設けた前記磁気ヨークの左右側辺部を内側から覆う絶縁材のヨークカバーを設けるとともに、前記消弧装置のグリッド板の最上段に、第1、第2の固定接触子と個々に対応する左右の消弧室に跨がるアーク転流板を設ける(請求項1)。
また、前記のユニット構造において、ヨークカバー,消弧装置は具体的に次記のような態様で構成する。
(1)ヨークカバーは、可動接触子の開極移動経路に沿ってその領域を左右から覆う逆U字形の絶縁壁で構成し、その左右側壁の先端部を磁気ヨークの左右側辺部の内側に嵌合した上で、前端を消弧装置に入口側に連ねてユニット組立フレームに装着する(請求項2)。
また、このヨークカバーは、固定/可動接点間に発弧したアークの熱を受けてアブレーションガス(ablation gas)を溶発する有機高分子材で構成する(請求項3)。
(2)消弧装置のグリッド板の最上段に設けたアーク転流板には開極終端位置に移動して来た可動接触子のアーム先端に向けて突き出す左右一対のアークランナーを形成し、固定/可動接点間に発生したアークが可動接触子の全開離位置近傍でアーク転流板に転流させるようにする(請求項)。
上記の構成により、次記の効果が得られる。
(1)ユニット組立フレームに設けた絶縁バリアを挟んで、その左右に並ぶ第1,第2の固定接触子および各固定接触子に付設した磁気ヨークの間、および各固定接触子に対応する橋絡形可動接触子の開極移動経路を絶縁隔離することにより、過電流の遮断動作時に固定/可動接点間に発弧したアークが可動接触子の開極移動の途中で固定接点側に転流し、第1の固定接触子と第2の固定接触子の間が直接アークで繋がるのを阻止して信頼性の高い絶縁強度を確保できる。また、絶縁バリアを設けることで、その両側に配置する固定接触子の相互間隔を小さく設定できる。
(2)また、ヨークカバーを、可動接触子の開極移動経路に沿って上方に延在する逆U字形の絶縁壁で構成し、その側壁の下端側先端部を磁気ヨークの内側に嵌入するようにしたことで、ヨークカバーを電流遮断部のユニット組立フレームへ簡単に組み付けて磁気ヨークを接点から絶縁隔離することができる。
そして、このヨークカバーを、アーク熱を受けてアブレーションガスを溶発する有機高分子材で構成することで、電流遮断時にヨークカバーが細隙消弧壁として機能して限流遮断性能をより一層高めることができる。
(3)さらに、第1および第2の固定接触子に対応する消弧装置について、その開極端側に左右の消弧室に跨がるアーク転流板を設けて固定/可動接点間に生じたアークを可動接触子から消弧装置のアーク転流板側に転流させることにより、このアーク転流板を中継点として第1,第2の固定接触子との間に伸長するアークをグリッド板で分断して
限流消弧させることができる。
しかも、アークの転流後は可動接触子にアーク電流が流れなくなるので、アーク発弧による可動接点の損耗量を低くことができる。
以上のように、本発明の構成によりトータル的に小形コンパクトな構成で遮断性能の高い回路遮断器を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1は電流遮断部の組立ユニット構造を表す分解斜視図、図2はユニット組立状態の外観図、図3(a),(b)はユニット組立フレームに固定接触子,磁気ヨークの部品を組み付けた状態の側面図,および平面図、図4(a)〜(d)はユニット組立フレームに消弧装置,磁気ヨーク,ヨークカバーを組み付けた状態での側面図,平面図,端面図,および矢視X−X断面図、図5は第1,第2の固定接触子と橋絡形可動接触子との配置斜視図、図6は電流遮断時に固定/可動接点間に伸長したアークが消弧装置側に転流する過程を表した動作説明図であり、図8に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
まず、図1において、8はモールド樹脂製のユニット組立フレームであり、このユニット組立フレーム8に第1,第2の固定接触子1,2、消弧装置4,固定接触子1,2の接点部に付設する磁気ヨーク6,およびヨークカバー9の各部品を搭載し、図2で表すような電流遮断部のユニット7を組立構成している。
ここで、磁気ヨーク6は磁性板をU字形に曲げ加工したもので、その左右に起立する側辺部を上に向けて固定接点1a,2aを左右から囲むように固定接触子1,2の底面側に重ね合わせる。そして、図3で示すように固定接触子1,2をユニット組立フレーム8に装着した状態で、固定接触子1,2とユニット組立フレーム8との間に挟持して所定位置に保持している。なお、図中で1b,2bは固定接触子1,2の先端に形成したアークランナー、1cは電源側端子である。
また、前記ユニット組立フレーム8の中央には前後方向に延在する衝立状の絶縁バリア8aが形成されている。この絶縁バリア8aは、壁の下端部が図3で示すように第1の固定接触子1と第2の固定接触子2との間に分け入って上方に延び、後端が後記する可動接触子3の開極移動経路の領域まで延びている。
一方、消弧装置4は、第1の固定接触子1,第2の固定接触子2と個々に対応する左右の消弧室に仕切られており、その側壁の間には上下段にグリッド板4aを配列し、さらに最上段には左右の消弧室の間に跨がるアーク転流板4bを備えている。また、このアーク転流板4bには後記する可動接触子3の開極移動経路に向けて突き出す左右一対のアークランナー4b−1が形成されている。
この消弧装置4は、ユニット組立フレーム8の絶縁バリア8aを上方から跨ぐようにして組み付け、その左右の消弧室をそれぞれ固定接触子1,2の先端に形成したアークランナー1b,2bの上方に対向位置させている。
次に、ヨークカバー9の構造,および組み付け手順について述べる。このヨークカバー9は、図示のように左右側壁が上下方向に延在する断面逆U形のモールド樹脂成形品で構成され、その左右側壁の先端部(下端側)の外表面には磁気ヨーク6の側辺部に対応した形状の凹部9aが形成されている。また、ヨークカバー9の高さ寸法は可動接触子3の全開離位置に対応し、奥行き寸法はヨークカバーの側壁により可動接触子の開極移動経路を左右から覆うように定めている。
このヨークカバー9は、次記のような手順でユニット組立フレーム8に装着される。すなわち、先記の固定接触子1,2、磁気ヨーク6、および消弧装置4をユニット組立フレーム8に取付けた組立段階で、その絶縁バリア8aの左右両側に2組のヨークカバー9を上方から装着する。この際にヨークカバー9の側壁先端部に形成した凹部9aを磁気ヨーク6の位置に合わせ、上向きに起立するヨーク側辺部の内側にカバー側壁を差し込んでユニット組立フレーム8に装着保持させる。
この組立状態(図4(a)〜(d)参照)では、ヨークカバー9の左右側壁が磁気ヨーク6の側辺部を内側から覆い、ここに配置される固定接触子1,2および可動接触子3の接点との間を絶縁隔離している。また、ヨークカバー9の前端は消弧装置4の入口側に突き合わせ、左右の消弧室とヨークカバー9の内空間とが前後に連なるよう配置している。
上記の構成になる電流遮断部の組立ユニット7は、図7に示した従来の回路遮断器と同様に本体ケース1の底部側に装着し、開閉機構部12に連繋して本体ケースに組み込んだ可動接触子3を固定接触子1,2の上方に対向配置させる。図5はこの組立状態での固定接触子1,2と可動接触子3との配置を表している。
上記構成による電流遮断動作は、図8,図9で述べた従来構造と基本的に同様であり、配電路に過電流(短絡電流など)が流れると、固定接触子1,2と可動接触子3との間に電磁反発力が働いて可動接触子3が開極し始め、可動接点3a,3bが固定接点1a,2aから開離する。同時に開閉機構部12がトリップ動作して可動接触子3を開極終端位置に向けて駆動する。
この場合に、図示実施例では可動接触子1,2の接点部には磁気ヨーク6が追加装備されている。これにより、固定接触子1,2に過電流が流れると磁気ヨーク6に発生した磁束が可動接触子3に作用して電磁反発力を強め、可動接触子3の開極速度を高める。
また、可動接触子3の開離に伴い固定接触子1,2の固定接点1a,2aと橋絡形可動接触子3の可動接点3aとの間にはアークが発弧し、可動接触子3の開極移動に連れてアークが伸長してアーク電圧も増加する。この場合に、図示実施例の構成では、左右に並ぶ第1の固定接触子1と第2の固定接触子2との間、および可動接触子3の開極移動経路がユニット組立フレーム8に形成した絶縁バリア8aにより絶縁隔離されている。さらに、可動接触子3の開極移動経路も絶縁材のヨークカバー9で左右から覆われ、固定接触子1と2の間には可動接触子3の移動経路を含めた領域で十分な絶縁強度が確保されている。したがって、固定/可動接点間に伸長したアークが可動接触子3の開極移動の途中で固定接点側に転流し、固定接触子1と2とが直接アークで繋がれるような状態になるのを確実に防止できる。
そして、可動接触子3が全開離位置の近くまで開極移動すると、固定/可動接点間に伸長したアークは、図6で表すように可動接触子3のアーム先端から消弧装置4に設けたアーク転流板4bに転流する。この場合にアーク転流板4bには可動接触子3の開極移動経路に向けてアークランナー4b−1が突き出しているので、アークarcが可動接触子3からアーク転流板4bにスムーズに転流する。また、固定接触子側では、アークarcの発弧点が固定接点1aから先端のアークランナー1bに移動する。
これにより、アークは可動接触子3の開極移動経路側から消弧装置4に引き込まれ、左右の消弧室に跨がって最上段に配したアーク転流板4bを中継して第1の固定接触子1と第2の固定接触子2との間に伸長したアークがグリッド板4aの間に分断され、その限流作用により消弧に至る。
このように、可動接触子3の開極動作で固定/可動接点間に発弧,伸長したアークを可動接触子3の開極終端位置近傍で可動接点3aから消弧装置4のアーク転流板4bに転流させることにより、このアーク転流板4bを中継点として第1,第2の固定接触子1,2との間に2本のアークが左右の消弧室内で伸長し、消弧装置のグリッド板4aにより分断されて限流作用を受ける。また、アーク長はアーク転流板4bと固定接触子1,2との間の距離範囲に収まるので、そのアーク電圧の上昇も自ず限流遮断能力に見合った値となる。したがって、アーク電圧の過大な上昇で固定接触子の間が絶縁破壊されるおそれはない。さらに、このアーク転流により可動接触子3にはアーク電流が流れなくなるので、可動接点3aの損耗量を低減して接点の寿命が向上する。
また、本発明の応用実施例として、前記ヨークカバー9をポリアミド系樹脂などの有機高分子材で構成すれば、電流遮断時に固定/可動接点間に発弧,伸長したアーク熱を受けてヨークカバー9の壁面から消弧性のアブレーションガスが発生する。これにより、ヨークカバー9が細隙消弧壁として機能することになって回路遮断器の限流遮断性能をより一層高めることができる。
電流遮断部のユニット組立構造を表す分解斜視図 図1のユニット組立状態の外観図 図1のユニット組立フレームに固定接触子,磁気ヨークの部品を組み付けた組立状態を表す図で、(a),(b)はそれぞれ側面図,および平面図、 図1のユニット組立フレームに消弧装置,磁気ヨーク,ヨークカバーを組み付けた組立状態を表す図で、(a)〜(c)はそれぞれ側面図,平面図,端面図、(d)は(b)の矢視X−X断面図 図1のユニットにおける第1,第2の固定接触子と橋絡形可動接触子との配置を表す斜視図 図1の電流遮断時に固定/可動接点間に伸長したアークが可動接触子から消弧装置に転流する過程を表す動作説明図 従来における2点切り回路遮断器の全体構成図 図7における電流遮断部の構成斜視図 図8の電流遮断部で固定/可動接点間に生じたアークの挙動を示す限流遮断動作の説明 図
符号の説明
1 第1の固定接触子
1a 固定接点
2 第2の固定接触子
2a 固定接点
3 橋絡形可動接触子
3a 可動接点
4 消弧装置
4 消弧グリッド板
4b アーク転流板
4b−1 アークランナー
6 磁気ヨーク
7 電流遮断部の組立ユニット
8 ユニット組立フレーム
8a 絶縁バリア
9 ヨークカバー
9a 凹部

Claims (4)

  1. 電流遮断部が左右平行に並べてその先端部に固定接点を固着した第1および第2の固定接触子と、U字形アームの先端に可動接点を固着して前記固定接点に対向させた回動式の橋絡形可動接触子と、第1および第2の各固定接触子に対応して前記可動接触子の開極移動経路の前方に配置し、かつ複数のグリッド板を側壁の間に隙間を介して上下段に配列した消弧装置からなり、前記固定接触子,消弧装置をモールド樹脂製のユニット組立フレームに搭載した2点切り方式の回路遮断器において、
    前記第1および第2の固定接触子の先端部に、固定接点を左右から包囲して可動接触子の開極移動方向に側辺部が起立延在するU字形の磁気ヨークを配置する共に、前記第1および第2の固定接触子を前記ユニット組立フレームに左右からそれぞれ搭載し、前記ユニット組立フレームには、第1の固定接触子と第2の固定接触子との間に分け入って可動接触子の開極移動経路全域に延在する絶縁バリア、および該絶縁バリアの左右両側に配置して第1および第2の固定接触子の先端部に配した前記磁気ヨークの左右側辺部を内側から覆う絶縁材のヨークカバーを設けるとともに、前記消弧装置のグリット板の最上段に、第1、第2の固定接触子と個々に対応する左右の消弧室に跨がるアーク転流板を設けたことを特徴とする回路遮断器。
  2. 請求項1に記載の回路遮断器において、ヨークカバーは、可動接触子の開極移動経路を左右から覆う逆U字形の絶縁壁であり、その側壁の先端部を磁気ヨークの左右側辺部の内側に差し込み、かつ前端を消弧装置の入口側に連ねてユニット組立フレームに装着したことを特徴とする回路遮断器。
  3. 請求項1または2に記載の回路遮断器において、ヨークカバーを有機高分子材で構成したことを特徴とする回路遮断器。
  4. 請求項1に記載の回路遮断器において、アーク転流板には、開極終端位置に移動して来た可動接触子のアーム先端に向けて突き出す左右一対のアークランナーを形成したことを特徴とする回路遮断器。
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