JP5255954B2 - 樹脂製燃料タンク用燃料ホースおよびその製法 - Google Patents

樹脂製燃料タンク用燃料ホースおよびその製法 Download PDF

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本発明は、樹脂製燃料タンクに接続される燃料ホースおよびその製法に関するものである。
自動車用の樹脂製燃料タンクの口部外周部には、燃料ホースを接続するためのジョイントが溶着されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−143171号公報
上記燃料ホースとジョイントとは別部品であるため、樹脂製燃料タンクと燃料ホースとの接続に要する部品点数が多く、その接続構造が複雑になっている。このため、その部品管理コストおよび製造コストが高くかかっている。また、部品点数が多くなる分、接続部分も多くなり、それに伴って、接続部分から燃料が透過するおそれが高くなっている。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ジョイントを介することなく、樹脂製燃料タンクに直接溶着することができる樹脂製燃料タンク用燃料ホースおよびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)からなる略筒状のバリア層と、このバリア層の内周面および外周面に形成された下記の(B)からなる略筒状の溶着層とからなる3層構造を有し、この3層構造の略筒状の一端開口部が、拡径部に形成されているとともに肉厚部に形成され、樹脂製燃料タンクの開口部外周表面のポリエチレン層への溶着部に形成されている樹脂製燃料タンク用燃料ホースを第1の要旨とする。
(A)ポリアミド6と変性高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを主成分とし、上記ポリアミド6の配合割合が30〜45重量%の範囲内に設定され、上記ポリアミド6からなる島相が上記変性高密度ポリエチレンと上記高密度ポリエチレンとからなる海相中に分散した海島構造を形成しているアロイ材料。
(B)高密度ポリエチレン。
また、本発明は、略円柱状の成形空間を形成する一対の上金型と下金型とがそれぞれ複数連結された無端環状の連結上金型と連結下金型とをそれぞれ循環回転させながら、一端部では、上記一対の上金型と下金型とを順次突き合わせて上記成形空間を形成するとともに、その成形空間に燃料ホース用形成材料製の略筒状のホース基体を押出機から押し出し上記成形空間の型面に密着させることにより、そのホース基体を連続的にホース状に成形し、他端部では、上記突き合わされた一対の上金型と下金型とを順次分離することにより、形成されたホースを連続的に脱型する樹脂製燃料タンク用燃料ホースの製法であって、上記複数の上金型と下金型のうちの所定の上金型と下金型とで形成される成形空間の型面に拡径部分が形成されており、上記ホース基体が、上記の(A)からなる略筒状のバリア層基材と、このバリア層基材の内周面および外周面に形成された上記の(B)からなる略筒状の溶着層基材とからなる3層構造を有しており、上記型面の拡径部分に上記ホース基体が押出機から押し出される際に、上記連結上金型と連結下金型との循環回転速度を低下させることにより、上記拡径部分に押し出されたホース基体部分を、拡径部に形成するとともに肉厚部に形成し、脱型後、上記拡径部を周方向に沿って切断する樹脂製燃料タンク用燃料ホースの製法を第2の要旨とする。
すなわち、本発明の樹脂製燃料タンク用燃料ホースは、上記(A)からなる略筒状のバリア層と、このバリア層の内周面および外周面に形成された上記(B)からなる略筒状の溶着層とからなる3層構造を有することにより、上記(A)からなるバリア層が、燃料に対して優れたバリア性を奏し、また、上記(B)からなる溶着層が、樹脂製燃料タンクの表面のポリエチレン層に対して優れた溶着力を奏する。しかも、上記バリア層と溶着層との接着力は大きく、そのため、両層間の界面が剥がれることがなく、その界面から燃料が漏れるおそれもない。さらに、樹脂製燃料タンクとの溶着部が、拡径部に形成されているとともに肉厚部に形成されていることにより、上記バリア層も肉厚になり、そのため、燃料に対するバリア性も向上し、また、上記溶着層と樹脂製燃料タンクとの溶着面積も広くなり、そのため、樹脂製燃料タンクとの溶着力も向上する。
本発明の樹脂製燃料タンク用燃料ホースは、樹脂製燃料タンクとの溶着部が、上記(A)からなる略筒状のバリア層と、このバリア層の内周面および外周面に形成された上記(B)からなる略筒状の溶着層とからなる3層構造を有し、さらに、拡径部に形成されているとともに肉厚部に形成されているため、樹脂製燃料タンクの開口部外周表面のポリエチレン層に直接溶着することができ、しかも、優れた溶着力および燃料に対するバリア性を奏する。また、ジョイントを用いないようにできるため、ジョイントとホースとの接続がなくなり、その結果、Oリング等の部品点数を削減することができ、また、シール性,引き抜き強度等を向上させることができる。
また、本発明の樹脂製燃料タンク用燃料ホースの製法では、所定の上金型と下金型とで形成される成形空間の型面に拡径部分が形成されており、押出機からのホース基体が上記拡径部分に押し出される際に、上下金型の移動速度を低下させることにより、上記拡径部分に押し出されたホース基体部分を、拡径部に形成するとともに肉厚部に形成することができるため、本発明の樹脂製燃料タンク用燃料ホースを簡単に製造することができる。
なお、本発明において、上記「上金型」と「下金型」とは、その配置方向を上下に限定するものではなく、対向する一対の金型を意味するものであり、例えば、配置方向が左右となっているもの(「左金型」と「右金型」)等も含む意味である。
特に、上記拡径部の切断が、高圧噴射水により行われる場合には、切断の際の発熱を防止することができるため、切断面の酸化等の変質を防止することができる。そして、これにより得られた樹脂製燃料タンク用燃料ホースを樹脂製燃料タンクに溶着した溶着部では、溶着力および燃料に対するバリア性が低下しない。
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
図1は、本発明の樹脂製燃料タンク用燃料ホースの一実施の形態を示している。この実施の形態の樹脂製燃料タンク用燃料ホース(以下、単に「燃料ホース」と略す)は、略円筒状のバリア層1と、その内周面および外周面に形成された溶着層2とからなる3層構造になっている。上記バリア層1の形成材料は、後に詳述するように、ポリアミド6と変性高密度ポリエチレン(変性HDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)とを主成分とし、上記ポリアミド6の配合割合が30〜45重量%の範囲内に設定されているアロイ材料である。また、上記溶着層2の形成材料は、高密度ポリエチレン(HDPE)である。さらに、燃料ホースの一端開口部(図1では下端開口部)は、拡径部に形成されているとともに肉厚部に形成されている。この肉厚部(拡径部)では、バリア層1も溶着層2も肉厚になっている。そして、その拡径部かつ肉厚部に形成されている一端開口部が、図2に示すように、後に詳述する樹脂製燃料タンク(以下、単に「燃料タンク」と略す)10の口部11の外周部表面の高密度ポリエチレン(HDPE)層12に溶着するようになっている。
上記燃料ホースは、コルゲータ等の成形機,3次元ブロー成形機等を用いて製造することができ、この実施の形態では、図3に示すように、その成形機として、つぎのような押出機20と金型とを備えている成形機が用いられる。
上記押出機20は、先端の押出ヘッド21から、上記3層構造の略円筒状のホース基体(後に燃料ホースに形成される基となるもの)Bを連続して押し出すことができるものとなっている。また、その押し出された略円筒状のホース基体Bの中空部にエアを送り込むエア供給管22が、上記押出ヘッド21と同軸的に設けられている。なお、図3では、上記ホース基体Bの3層構造を省略して図示している。
上記金型は、略円柱状の成形空間を形成する一対の上金型と下金型とがそれぞれ複数連結された無端環状の連結上金型31と連結下金型32とからなっている。そして、それら連結上金型31と連結下金型32とが循環回転することにより、上記押出機20の押出ヘッド21付近で、一対の上金型と下金型とが順次突き合わさり、上記成形空間が形成されるようになっている。この成形空間は、この実施の形態では、蛇腹部分,ストレート部分,拡径部分33がそれぞれ所定位置に形成されたものとなっている。そして、上金型と下金型とが突き合わさると、その状態でしばらく、上記押出機20の押出ヘッド21から遠ざかるように直線的に移動し、その後、上金型と下金型とは順次分離するようになっている。さらに、上記成形空間の型面には、上下各金型の背面に連通する細いスリットが多数形成されており、そのスリットを介して真空引きすることにより、型面に押し出されたホース基体Bが型面に吸着され密着するようになっている。
そして、上記成形機を用いて、つぎのようにして上記燃料ホースを製造することができる。すなわち、まず、上記連結上金型31と連結下金型32とを循環回転させながら、上記押出機20の押出ヘッド21から、上記3層構造のホース基体Bを連続して押し出す。このホース基体Bの押し出し量は、単位時間あたり一定である。この状態において、上記押出機20のエア供給管22からホース基体Bの中空部にエアを送り込むとともに、上記金型で真空引きすることにより、ホース基体Bが型面に密着されるようにする。そして、ホース基体Bが金型の成形空間の型面の上記拡径部分33に押し出される際に、連結上金型31と連結下金型32との循環回転速度(上金型と下金型の移動速度)を低下させる。これにより、上記拡径部分33には、他の部分よりも多くのホース基体Bが供給され、その拡径部分33におけるホース基体B部分は、肉厚部に形成される。その後、上金型と下金型とが分離すると、それと共に、形成されたホースが脱型される。その脱型されたホースは、上記成形空間の型面に対応した形状に成形されており、蛇腹部,ストレート部,拡径部(肉厚部)がそれぞれ所定位置に形成されたものとなっている。図3では、形成されたホースにおける上記拡径部は、2本の燃料ホースの一端開口部(拡径部)が突き合わさった部分となっており、ストレート部は、2本の燃料ホースの他端開口部が突き合わさった部分となっている。そして、その拡径部の軸方向中央(一点鎖線L1 )とストレート部の軸方向中央(一点鎖線L2 )とを周方向に沿って切断する。このようにして上記燃料ホースを連続して製造することができる。
なお、上記燃料ホースの製造において、形成されたホースの切断は、まず、数単位毎(数本の燃料ホースが連なった状態で)、ストレート部(一点鎖線L2 )で切断する。ついで、その中空部に詰め物を入れ、ホースの形状を適正に維持させる。そして、拡径部(一点鎖線L1 )で切断した後、上記詰め物を除去する。このようにして切断すると、拡径部の切断精度が向上する観点から好ましい。
また、形成されたホースの切断は、水圧を高めた高圧噴射水により行われることが好ましい。その理由は、切断の際の発熱を防止することができ、切断面の酸化等の変質を防止することができるからであり、これにより、燃料ホースと燃料タンク10との溶着部の溶着力および燃料に対するバリア性が低下しないようにすることができるからである。なお、このような切断機としては、例えばアクア・ジェットカッタRb(スギノマシン社製)等があけられ、切断する際の上記高圧噴射水の水圧は、200MPa〜400MPaの範囲内に設定される。
このようにして製造される燃料ホースについて、より詳しく説明すると、上記燃料ホースの周壁の厚みは、肉厚部(拡径部)では、3〜20mmの範囲内に設定され、蛇腹部およびストレート部では、その10〜30%程度の厚みに設定される。そのうち、上記バリア層1の厚みは、肉厚部(拡径部)では、300〜2000μmの範囲内に設定され、蛇腹部およびストレート部では、その10〜30%程度の厚みに設定される。また、上記溶着層2の厚み(1層分の厚み)は、肉厚部(拡径部)では、1.3〜9.0mmの範囲内に設定され、蛇腹部およびストレート部では、その10〜30%程度の厚みに設定される。そして、上記燃料ホースの外径は、拡径部(肉厚部)では、10〜80mmの範囲内に設定され、ストレート部では、その40〜95%程度の外径に設定される。
上記燃料ホースの3層構造のうちのバリア層1の形成材料は、ポリアミド6と変性HDPEとHDPEとを主成分とし、上記ポリアミド6の配合割合が30〜45重量%の範囲内に設定されているアロイ材料である。なかでも、より優れた燃料低透過性(バリア性)を奏し、さらに、燃料タンク10の最外層であるHDPE層12に対して優れた溶着力を奏する観点から、ポリアミド6がドメイン、変性HDPEとHDPEとがマトリクスを形成(ポリアミド6からなる島相が、変性HDPEとHDPEとからなる海相中に微分散した海島構造を形成)したアロイ材料とすることが好ましい。なお、上記主成分とは、全体の過半を占める成分のことをいい、全体が主成分のみからなる場合も含める趣旨である。
上記アロイ材料におけるポリアミド6の配合割合は、上記のように30〜45重量%の範囲内に設定されている。これは、ポリアミド6の配合割合が30重量%を下回ると、溶着層2に対して溶着するものの、燃料に対するバリア性が低下し、45重量%を上回ると、燃料に対するバリア性は向上するものの、上記溶着層2に対する溶着性が低下するからである。
上記変性HDPEは、主成分が、マレイン酸無水物基,マレイン酸基,アクリル酸基,メタクリル酸基,アクリル酸エステル基,メタクリル酸エステル基,酢酸ビニル基,エポキシ基およびアミノ基のいずれか、もしくは2種以上の官能基を有する変性HDPEであることが好ましい。また、上記変性HDPEは、例えば、HDPEに、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体の少なくとも一方、またはアミン含有化合物(メチレンジアミン等)等の変性用化合物を、ラジカル開始剤の存在下、グラフト変性することによって得ることができる。さらに、上記変性HDPEの変性率は、0.1〜5.0重量%の範囲内に設定することが好ましく、より好ましくは0.2〜3.0重量%の範囲内である。この理由は、変性率が0.1重量%を下回ると、上記ポリアミド6と変性HDPEとの親和性が悪くなって燃料に対するバリア性が劣る傾向にあり、5.0重量%を上回る場合も、燃料に対するバリア性が劣る傾向にあり、しかも、混練,成形等の作業環境が悪化する傾向にあるからである。また、上記変性HDPEとしては、融点(ISO 3146)が100〜145℃の範囲内のものが好ましく、特に好ましくは110〜135℃の範囲内のものである。なお、上記変性HDPEにおけるHDPE(高密度ポリエチレン)とは、通常、比重(ISO 1183)が0.93〜0.97、好ましくは0.93〜0.96の範囲内であり、かつ、融点(ISO 3146)が120〜145℃の範囲内のものをいう。
そして、上記アロイ材料は、上記ポリアミド6,変性HDPEおよびHDPEを混練することにより得られ、特に、その混練が高剪断をかけて行われると、上記海島構造が形成されたアロイ材料を得ることができる。その高剪断をかけた混練は、例えば、二軸押出機(混練機)等を用いることにより実現できる。また、上記混練により、ポリアミド6の水酸基と、変性HDPEの変性基とが、水素結合もしくは共有結合を形成すると思われる。その結果、ポリアミド6と、変性HDPEとの親和性が高くなり、微分散の海島構造を示す。そのため、バリア層1は、燃料透過量が小さくなり、燃料低透過性(バリア性)に優れると考えられる。
また、上記燃料ホースの3層構造のうちの溶着層2の形成材料は、HDPEである。このため、上記バリア層1に対しては、そのアロイ材料に同様のHDPEが含有されていることにより、バリア層1と溶着層2とはなじみ性が良好であり、接着力も強くなっている。このため、各界面が剥がれることがなく、各界面から燃料が漏れるおそれもない。
さらに、上記バリア層1のアロイ材料は、ポリアミド6を有するため、吸湿し易く、その吸湿により、接着力が低下するおそれがあるが、上記燃料ホースは、そのバリア層(アロイ材料)1の表面に、遮水性を奏する溶着層(HDPE)2が形成されているため、溶着される前の保管状態等では、吸湿が防止され、溶着後には、吸湿による溶着力の低下のおそれもない。
なお、燃料タンク10は、通常、燃料の蒸散防止を考慮して、EVOH等の燃料低透過材料からなる燃料低透過層を組み込んだ多層構造とされ、その最外層には、耐衝撃性,耐薬品性,耐水性,経済性等の理由から、HDPE等が材料として用いられている。図2では、燃料タンク10として、外側から、HDPE層12/接着層(図示せず)/EVOH層/接着層(図示せず)/HDPE層の5層構造のものを図示している。
そして、上記燃料ホースを燃料タンク10の口部11の外周部表面に溶着する方法としては、特に限定されないが、高い接合強度が得られる観点から、熱板溶着法,振動溶着法,超音波溶着法,レーザー溶着法等が好適であるが、ホットガス溶着法,回転溶着法であっても差し支えない。
上記溶着により、燃料ホースの一端開口部と燃料タンク10の最外層であるHDPE層12との当接面部分が溶けて溶着される。この溶着において、燃料ホースのバリア層(ポリアミド6と変性HDPEとHDPEとを主成分とするアロイ材料)1と燃料タンク10の最外層(HDPE層12)とには、いずれにもポリエチレンが含有されているため、両層1,12の界面でのなじみ性が良好になっている。このため、両層1,12の接着力は大きくなり、両層1,12の界面で剥がれることがない。したがって、バリア層1自体が高いバリア性を奏するだけでなく、両層1,12の溶着部分でのバリア性も高くなる。また、上記溶着において、燃料ホースの溶着層(HDPE)2と燃料タンク10の最外層(HDPE層12)とは、いずれもHDPEからなるため、両層2,12の界面でのなじみ性が良好になるだけでなく、膨張率も同様であり、両層2,12の接着力は大きくなり、かつ、接着安定性も増す。
さらに、燃料タンク10との溶着部が、拡径部に形成されているとともに肉厚部に形成されていることにより、上記バリア層1も肉厚になり、そのため、燃料に対するバリア性も向上し、また、上記溶着層2と燃料タンク10との溶着面積も広くなり、そのため、燃料タンク10との溶着力も向上している。
また、燃料ホースを上記3層構造(サンドイッチ構造)とすることにより、比較的柔軟性と耐衝撃性とに富むHDPE(溶着層2)でバリア層1を保護する構造となるため、燃料ホースは、軟性に富み、耐衝撃性を有するものとなる。
なお、上記実施の形態では、燃料ホースを、溶着層2/バリア層1/溶着層2の3層構造としたが、これに限定されるものではなく、溶着層2/バリア層1/溶着層2/バリア層1/溶着層2の5層構造としてもよいし、それ以上の多層構造としてもよい。このようにすると、溶着層2の数が増えるため、溶着の信頼性が増す。
また、上記実施の形態では、燃料ホースとして、蛇腹部が形成されたものについて説明したが、これに限定されるものではなく、蛇腹部が形成されていない燃料ホースでもよい。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、これに限定されるわけではない。
〔ポリアミド6(バリア層の材料)〕
ポリアミド6(宇部興産社製、UBEナイロン1013B)を準備した。
〔変性HDPE(バリア層の材料)〕
HDPE(日本ポリエチレン社製、ノバテックHY430)に、無水マレイン酸0.4重量%および2,5−ジメチル−2,5ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.015重量%を配合し、二軸混練押出機を用いて溶融混練することにより変性HDPEを作製した。これを変性HDPE−1とする。一方、無水マレイン酸2.5重量%を用いた変性HDPEとして市販のユーメックス2000(三洋化成社製)を準備した。これを変性HDPE−2(高変性HDPE)とする。
〔HDPE(バリア層の材料)〕
HDPE(日本ポリエチレン社製、ノバテックHY430)を準備した。
〔実施例1〕
〔アロイ材料(バリア層の材料)〕
上記ポリアミド6を35重量%、変性HDPE−1を30重量%、HDPEを35重量%の割合で配合し、二軸混練押出機を用いて溶融混練し、アロイ材料からなるペレットを作製した。
〔HDPE(溶着層の材料)〕
HDPE(日本ポリエチレン社製、HB122R)を準備した。
〔燃料ホース成形機〕
プラ技研社製、5層押出機を準備した。
〔燃料ホースの製造〕
上記材料および成形機を用い、上記実施の形態と同様にして、溶着層/バリア層/溶着層/バリア層/溶着層の5層構造からなり、中央部が蛇腹部に形成され、両端部がストレート部に形成され、そのうちの一端部が拡径部(肉厚部)に形成された略円筒状の燃料ホースを製造することができた。この製造において、上下各金型の移動速度は、ホース基体の押し出しが蛇腹部分およびストレート部分の時は4m/分、拡径部分の時は0.5m/分とした。また、ホース基体の押し出し時に、エア供給管からホース基体の中空部にエアを送り込むとともに、上記金型で真空引きすることにより、ホース基体を型面に密着させた。その送り込んだエアの圧力は、ホース基体の押し出しが蛇腹部分およびストレート部分の時は0.05MPa(ゲージ圧)、拡径部分の時は0.2MPa(ゲージ圧)とした。そして、製造された燃料ホースの外径は、ストレート部が30mm、蛇腹部が35mm、拡径部が45mmであった。また、バリア層の厚み(1層分の厚み)は、蛇腹部が70μm、ストレート部が150μm、拡径部が600μmであった。また、溶着層の厚み(1層分の厚み)は、蛇腹部が200μmおよびストレート部が400μm、拡径部が1600μmであった。なお、上記外径はノギスを用いて測定し、各層の厚みは、蛇腹部およびストレート部の断面ならびに拡径部の開口面をマイクロスコープ(キーエンス社製、VH−8000)で見て測定した。
〔試験用ホースの製造〕
下記燃料透過量の測定に用いる試験用ホースとして、上記材料および成形機を用い、ストレート部のみのものを長さ300mmに製造した。
〔実施例2〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を40重量%、変性HDPE−1の配合割合を35重量%、HDPEの配合割合を25重量%に変え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。
〔実施例3〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を45重量%、変性HDPE−1の配合割合を40重量%、HDPEの配合割合を15重量%に変え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。
〔実施例4〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を30重量%、変性HDPE−1の配合割合を25重量%、HDPEの配合割合を45重量%に変え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。
〔実施例5〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を30重量%、変性HDPE−1の配合割合を10重量%、HDPEの配合割合を50重量%に変えるとともに、変性HDPE−2を10重量%の配合割合で加え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。
〔実施例6〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を35重量%、変性HDPE−1の配合割合を33重量%、HDPEの配合割合を30重量%に変えるとともに、変性HDPE−2を2重量%の配合割合で加え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。
〔比較例1〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を50重量%、変性HDPE−1の配合割合を50重量%に変え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。しかし、材料増粘により練り加工および押出加工ができなかった(燃料ホースおよび試験用ホースが製造できなかった)。このため、下記のバリア性等の評価はできなかった。
〔比較例2〕
上記実施例1において、アロイ材料のポリアミド6の配合割合を50重量%、HDPEの配合割合を50重量%に変え、上記実施例1と同様にして燃料ホースおよび試験用ホースを製造した。
〔燃料透過量の測定:バリア性〕
上記実施例1〜6および比較例2の試験用ホース内に、レギュラーガソリン(新日石社製)にエタノールを10vol%混合したガソリン(E10)を封入(試験用ホース両端をスェージロックで密封)した試験体を、40℃で2週間放置した。そして、試験開始時の試験体の質量と4週間後の試験体の質量との差から、燃料透過量を算出した。その結果、燃料透過量が10mg/本/day以下のものは、バリア性に優れるとして○、10mg/本/dayを超え15mg/本/day以下のものは、バリア性に少し劣るとして△、15mg/本/dayを超えるものは、バリア性に大変劣るとして×と評価し、下記の表1に併せて表記した。
〔層間接着性〕
上記実施例1〜6および比較例2の燃料ホースを、超高圧水切断機(スギノマシン社製、アクア・ジェットカッタRb)にセットし、水圧を250MPaに設定して切断した。そして、その断面を観察した。その結果、バリア層と溶着層との界面が剥離することなく、界面以外で破断していたものは、層間接着性に優れるとして○、バリア層と溶着層との界面が剥離していたものは、層間接着性に劣るとして×と評価し、下記の表1に併せて表記した。
〔タンクとの溶着性〕
燃料タンクの最外層に相当するHDPE製シート材(厚み8mm)を準備し、このシート材に、上記燃料ホースの拡径部内径と同径の開口部を形成した。そして、この開口部の外周部表面に240℃の熱板を30秒間当てることにより、その部分を加熱溶融し、上記熱板を取り外した後すぐに、その加熱溶融部分に燃料ホースの拡径部を溶着した。そして、室温(25℃)下で充分に冷却した後、それを10mm幅で短冊状に切断し、各短冊状におけるシート材の先端部と燃料ホース部分の先端部とを引張試験機(東洋精機社製)の各チャックに挟み、引張速度50mm/秒の条件で、引張試験を行った。その結果、上記燃料ホースとシート材との界面で剥離することなく、界面以外で破断したものは、タンクとの溶着性に優れるとして○、上記燃料ホースとシート材との界面で剥離したものは、タンクとの溶着性に劣るとして×と評価し、下記の表1に併せて表記した。
Figure 0005255954
上記結果から、実施例1〜6の燃料ホースは、比較例2の燃料ホースと比較して、バリア層と溶着層との層間接着性に優れているとともに、燃料タンクとの溶着性にも優れていることがわかる。
本発明の燃料ホースの一実施の形態を模式的に示す断面図である。 上記燃料ホースが燃料タンクに溶着した状態を模式的に示す断面図である。 上記燃料ホースの製法を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 バリア層
2 溶着層

Claims (4)

  1. 下記の(A)からなる略筒状のバリア層と、このバリア層の内周面および外周面に形成された下記の(B)からなる略筒状の溶着層とからなる3層構造を有し、この3層構造の略筒状の一端開口部が、拡径部に形成されているとともに肉厚部に形成され、樹脂製燃料タンクの開口部外周表面のポリエチレン層への溶着部に形成されていることを特徴とする樹脂製燃料タンク用燃料ホース。
    (A)ポリアミド6と変性高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを主成分とし、上記ポリアミド6の配合割合が30〜45重量%の範囲内に設定され、上記ポリアミド6からなる島相が上記変性高密度ポリエチレンと上記高密度ポリエチレンとからなる海相中に分散した海島構造を形成しているアロイ材料。
    (B)高密度ポリエチレン。
  2. 少なくとも一部が蛇腹状に形成されている請求項1記載の樹脂製燃料タンク用燃料ホース。
  3. 略円柱状の成形空間を形成する一対の上金型と下金型とがそれぞれ複数連結された無端環状の連結上金型と連結下金型とをそれぞれ循環回転させながら、一端部では、上記一対の上金型と下金型とを順次突き合わせて上記成形空間を形成するとともに、その成形空間に燃料ホース用形成材料製の略筒状のホース基体を押出機から押し出し上記成形空間の型面に密着させることにより、そのホース基体を連続的にホース状に成形し、他端部では、上記突き合わされた一対の上金型と下金型とを順次分離することにより、形成されたホースを連続的に脱型する請求項1記載の樹脂製燃料タンク用燃料ホースの製法であって、上記複数の上金型と下金型のうちの所定の上金型と下金型とで形成される成形空間の型面に拡径部分が形成されており、上記ホース基体が、下記の(A)からなる略筒状のバリア層基材と、このバリア層基材の内周面および外周面に形成された下記の(B)からなる略筒状の溶着層基材とからなる3層構造を有しており、上記型面の拡径部分に上記ホース基体が押出機から押し出される際に、上記連結上金型と連結下金型との循環回転速度を低下させることにより、上記拡径部分に押し出されたホース基体部分を、拡径部に形成するとともに肉厚部に形成し、脱型後、上記拡径部を周方向に沿って切断することを特徴とする樹脂製燃料タンク用燃料ホースの製法。
    (A)ポリアミド6と変性高密度ポリエチレンと高密度ポリエチレンとを主成分とし、上記ポリアミド6の配合割合が30〜45重量%の範囲内に設定され、上記ポリアミド6からなる島相が上記変性高密度ポリエチレンと上記高密度ポリエチレンとからなる海相中に分散した海島構造を形成しているアロイ材料。
    (B)高密度ポリエチレン。
  4. 上記拡径部の切断が、高圧噴射水により行われる請求項3記載の樹脂製燃料タンク用燃料ホースの製法。
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