JP5255549B2 - 液晶滴下工法用シール剤 - Google Patents
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このような滴下工法による液晶表示装置の製造において、シール剤は未硬化の状態で直接液晶と接するが、その際に樹脂成分が液晶に溶出することで汚染が発生し、液晶表示装置の表示不良を引き起こすという問題があった。
以下に本発明を詳述する。
更に、水酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレートの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートは、シール剤のガラス転移温度(Tg)を一定水準以上に保って液晶表示装置を高温や長期間の使用に対する信頼性の高いものとすることができ、かつ、原料の入手が容易であることから、硬化性樹脂の主成分とすることが好ましいと考えられる。
しかしながら、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又は、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートは粘度が高く、硬化性樹脂の主成分として用いた場合にはシール剤の粘度調整が困難となり、実質上配合の自由度が制限されるという問題があった。
上記硬化性樹脂は、光、熱等によって単独又は他の化合物と硬化反応を起こす反応基(以下、硬化性反応基ともいう)を有する樹脂であり、例えば、不飽和二重結合、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等の反応基を有する樹脂が挙げられ、反応の制御が容易であることから(メタ)アクリル基及び/又はエポキシ基を有する樹脂であることが好ましい。
なお、本明細書において上記(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。
なお、本明細書において上記エポキシ(メタ)アクリレートとは、エポキシ樹脂中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートは、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等で鎖延長した構造を有さないことが好ましい。上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートは、このような鎖延長した構造を有していると、液晶汚染の原因となることがある。
上記環状骨格を有し、官能基数が2以上である(メタ)アクリル酸エステルは、環状骨格を有することによりTgが高く、官能基数が2以上であることにより液晶汚染を抑制することができる。
具体的には、1分子中にエポキシ基を2つ有する樹脂1モルと(メタ)アクリル酸1モルとを反応させて得られる化合物は、特別な処理を行わない限り、2つのエポキシ基の両方がアクリル化された化合物を約25モル%、1つのエポキシ基がアクリル化され、1つのエポキシ基は未反応のまま残った化合物を約50モル%、2つのエポキシ基が両方とも未反応のまま残った化合物との3種の化合物を約25モル%含有する混合物となる。
つまり、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸とを、等しいモル比で反応させた場合に得られる化合物は、上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートを約25モル%含有する混合物となる。
上記エポキシ基を有する樹脂として上記1分子中に2以上のエポキシ基を有する樹脂のエポキシ基の一部を(メタ)アクリル酸と反応させることにより得られる部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂を用いる場合、上記硬化性樹脂中における上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は40重量%である。上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満であるとシール剤の接着性を向上させる効果が充分に得られないことがある。上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量が40重量%を超えると、上記硬化性樹脂の液晶に対する溶解性が高くなって液晶汚染を引き起こし、得られる液晶表示装置の表示性能が低下することがある。上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂の含有量のより好ましい範囲は10重量%、より好ましい上限は30重量%である。
なお、この例では、50%アクリル変性蒸留ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、2つのエポキシ基の両方がアクリル化された化合物(分子量456で1分子中の水酸基数が2の化合物)を25モル%、1つのエポキシ基がアクリル化され、1つのエポキシ基は未反応のまま残った化合物(分子量384で1分子中の水酸基数が1の化合物)を50モル%、及び、2つのエポキシ基が両方とも未反応のまま残った化合物(分子量312で水酸基を有さない化合物)を25モル%含有するとみなしたので、50%アクリル変性蒸留ビスフェノールF型エポキシ樹脂中における、2つのエポキシ基の両方がアクリル化された化合物の含有割合を0.2033重量%、1つのエポキシ基がアクリル化され、1つのエポキシ基は未反応のまま残った化合物の含有割合を0.5重量%、2つのエポキシ基が両方とも未反応のまま残った化合物の含有割合を0.2967重量%として計算した。
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア907、イルガキュア2959、イルガキュアOXE01(いずれもチバ・ジャパン社製)、ベンソインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(以上、いずれも東京化成工業社製)、ルシリンTPO(BASF Japan社製)等が挙げられる。
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、パーブチルO、パーヘキシルO、パーブチルPV(いずれも日油社製)、V−30、V−501、V−601、VPE−0201、(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
上記熱硬化剤は特に限定されず、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、固形の有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
上記フィラーは特に限定されず、例えば、タルク、石綿、シリカ、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、モンモリロナイト、珪藻土、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、窒化珪素、硫酸バリウム、石膏、珪酸カルシウム、セリサイト活性白土、窒化アルミニウム等の無機フィラーや、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等の有機フィラーが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、「EPICLON EXA−830CRP」)312gをトルエン600mLに溶解させ、この溶液にトリフェニルホスフィン0.2gを加え、均一な溶液とした。得られた溶液にアクリル酸72gを還流撹拌下において2時間かけて滴下した後、更に還流撹拌を6時間行った。次に、トルエンを除去することによって、50モル%のエポキシ基をアクリルに変性した樹脂(50%部分アクリル変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂)を得た。
液体クロマトグラフィーにより分析した結果、得られた50%部分アクリル変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、2つのエポキシ基が両方ともアクリル化された化合物(分子量456)を約22モル%(約26.3重量%)、1つのエポキシ基がアクリル化され、1つのエポキシ基は未反応のまま残った化合物(分子量384)を約53モル%(約53.3重量%)、及び、2つのエポキシ基が両方とも未反応のまま残った化合物(分子量312)を約25モル%(約20.4重量%)含有する混合物であった。
硬化性樹脂として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート(ダイセルサイテック社製、「エベクリル3700」)85重量部、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(ダイセルサイテック社製、「IRR214」)5重量部、及び、合成した50%部分アクリル変性ビスフェノールF型エポキシ樹脂10重量部と、ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン社製、「イルガキュア184」)1重量部と、熱硬化剤としてアジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製、「ADH」)1.2重量部と、フィラーとしてシリカ(アドマテックス社製、「アドマファインSO−C2」)25重量部と、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、「KBM−403」)1重量部とを、遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、3本ロールを用いて更に混合することによりシール剤を調製した。
また、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートは、分子量304の化合物でほぼ構成されていた。
用いる材料及び配合量を表1、2に示したものとしたこと以外は、実施例1と同様にしてシール剤を調製した。
なお、実施例4〜6、及び、比較例4で用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂はEPICLON EXA−850CRP(DIC社製)であり、比較例1で用いたプロピレングリコールエポキシアクリレートはエポキシエステル70PA(共栄社化学社製)であり、比較例3で用いたイソボルニルアクリレートはライトアクリレートIB−XA(共栄社化学社製)である。
また、プロピレングリコールエポキシアクリレートは、分子量332の化合物を約52モル%(約44.9重量%)、分子量424の化合物を約33モル%(約36.3重量%)、及び、分子量516の化合物を約14モル%(約18.8重量%)含有する混合物であった。分子量332の化合物がプロピレングリコールエポキシアクリレートであり、分子量424の化合物及び分子量516の化合物は、前駆体であるエポキシ化合物のエピクロロヒドリン異常付加物であると考えられる。
更に、イソボルニルアクリレートは、分子量208の化合物でほぼ構成されていた。
実施例及び比較例で得られたシール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
得られたシール剤を真空脱泡した後、E型粘度計(ブルックフィールド社製、「DV−III」)を用い、25℃、1rpmの条件で粘度を測定した。
得られたシール剤をシリンジに入れ、ディスペンサ(武蔵エンジニアリング社製)を用いて80mm/sec、ノズル径0.2mm、塗布圧250kPaの条件で直線の描画を行った。
切れ、かすれが全くなく直線を描けた場合を「◎」、ややかすれがあるが、切れなく直線を描けた場合を「○」、切れがあった場合を「△」、ほとんどノズルからシール剤が出なかった場合を「×」として評価した。
得られたシール剤100重量部に対して平均粒径5μmのポリマービーズ(積水化学工業社製、「ミクロパールSP」)3重量部を遊星式撹拌装置によって分散させ均一な液とした。得られた液の極微量をガラス基板コーニング1737(20mm×50mm×0.7mmt)の中央部に取り、同型のガラス基板をその上に重ね合わせて液晶滴下工法用シール剤を押し広げた。その状態で紫外線を100mW/cm2で20秒照射した。その後、120℃で1時間加熱を行い、接着試験片を得た。得られた接着試験片について、テンションゲージを用いて接着強度を測定した(比較単位:N/cm2)。
透明電極と配向膜(「SE−7492」、日産化学社製)とを有する基板の配向膜上に、得られたシール剤を、正方形の枠を描くようにディスペンサーで塗布した。続いて液晶(チッソ社製、「JC−5004LA」)の微小滴を基板上のシール剤の枠内に滴下塗布し、真空中にて別の透明電極と配向膜とを有する基板を重ね合わせた。真空解除後、シール剤に2000mJ/cm2の紫外線を照射した後、120℃で1時間加熱することによりシール剤を硬化させ、液晶表示パネルを得た。
得られた液晶表示パネルについて、シール剤周辺の液晶に生じる色むらを点灯状態及び非点灯状態で目視にて観察した。色むらが全くなかった場合を「◎」、色むらがほとんどなかった場合を「○」、少し色むらがあった場合を「△」、色むらがかなりあった場合を「×」として評価した。
また、得られた液晶表示パネルについて、80℃の条件で500時間放置した後にも同様にして評価した。
Claims (4)
- 硬化性樹脂とラジカル重合開始剤とを含有する液晶滴下工法用シール剤であって、
前記硬化性樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートと、環状骨格を有し、官能基数が2以上である(メタ)アクリル酸エステルとを含有し、
前記硬化性樹脂の硬化性反応基の70モル%以上が(メタ)アクリル基であり、
前記硬化性樹脂中におけるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を原料とするエポキシ(メタ)アクリレートの合計の含有量が50重量%以上であり、かつ、前記硬化性樹脂中における環状骨格を有し、官能基数が2以上である(メタ)アクリル酸エステルの含有量が0.5〜10重量%である
ことを特徴とする液晶滴下工法用シール剤。 - 硬化性樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の液晶滴下工法用シール剤。
- 環状骨格を有し、官能基数が2以上である(メタ)アクリル酸エステルは、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶滴下工法用シール剤。
- 硬化性樹脂の水酸基価が2.5×10−3〜4.5×10−3モル/gであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液晶滴下工法用シール剤。
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