JP5254517B2 - 新規抗体、イムノアッセイおよび前立腺癌検出方法 - Google Patents

新規抗体、イムノアッセイおよび前立腺癌検出方法 Download PDF

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Description

[技術分野]
本発明は、1本鎖で、完全な(すなわち、内部で開裂していない)形態の前立腺特異抗原(PSAまたはhK3)に対して特異的である、高い親和性の免疫試薬に関する。本発明はまた、1本鎖で、完全な(内部で開裂していない)形態の遊離で複合体でないPSA(遊離SCINT PSA)の特異的決定のための、前記免疫試薬を使用する分析的に高感度なイムノアッセイによって、あるいは、他の形態の前立腺カリクレイン、PSAまたはhK2の種々の比率を形成するか、またはこれらとたとえばロジスティック回帰および/または人工的なニューロネットワークを用いるなどの他の手段とを組み合わせることにより他の形態の前立腺カリクレイン、PSAまたはhK2を測定するイムノアッセイを、前記イムノアッセイから得られる結果と組み合わせることによって、無症候性の健常な男性または良性の前立腺状態と前立腺癌とを区別することに関する。本発明は、臨床的症状(たとえば、下位尿路症状 (lower urinary tract symptoms、LUTS))を呈している男性における良性状態と癌とを区別する際だけでなく、無症候性被験者のスクリーニングの際にも、前立腺癌の検出に使用される。さらに、本発明は、癌の再発を初期段階で検出するための改良された手段を提供したり、疾患の種々段階における治療応答性を監視するための改良された手段を提供するためだけでなく、前立腺癌の段階付けまたは等級付けを改良するためにも用いられる。イムノアッセイ決定のための適当な生物学的標本は、主として、血清、血漿または全血サンプルであるが、本発明は尿や精液サンプルなどの他の生物学的体液にも適用できる。
[発明の背景]
本発明の背景、およびとくに、実施に関する追加的詳細を提供する事例を説明するために本明細書で使用される文献および他の資料は、参考文献により取り込まれる。
前立腺特異抗原(PSA;hK3とも呼ばれる)およびヒト腺カリクレイン2(hK2)は、主に前立腺組織で高度に発現される、2つの密接に関連したセリンプロテアーゼである。(ワング(Wang)ら、Invest Urol 1979; 17:159-163、リルジャ(Lilja)J Clin Invest 1985; 76:1899-1903、チャプデライネ(Chapdelaine)ら、FEBE Lett 1988; 236:205-208)。PSA遺伝子は染色体19番の長腕に位置しており、hK2と84%より高いヌクレオチド配列同一性を有する。2つのタンパク質はまた、アミノ酸配列で高い類似性(79%)を示すが、発現率は全く異なっている(hK2 mRNAレベルはPSA mRNAレベルの〜10〜20%になる)(シェドリッヒ(Schedlich)ら、DNA 1987; 6:429-437)。PSAは261アミノ酸のプレプロ型として合成され、それから17〜21アミノ酸シグナルペプチドが開製して分泌過程で放出される。残留するPSAチモーゲン型は、3〜7アミノ酸プロペプチドの開裂により活性化されて、活性型セリンプロテアーゼになる(レブグレン(loevgren)ら、Biochem. Biophys. Res. Comm. 1977; 238;549-555)。最近、組換えhK2はインビトロで不活性な組換えプロPSAを活性な成熟PSAに変換することが示された(レブグレンら、Biochem Biophys Res Commun 1997; 238:549-555、タカヤマら、J Biol Chem 1997; 272:21582-21588、クマール(Kumar)ら、Cancer Res 1997; 57:3111-3114)。したがって、hK2はプロPSAの生理学的な活性化因子であると思われる。酵素的に活性なPSAは高濃度(0.2〜5mg/mL)で精液中へ分泌される(クリステンソン(Christensson)ら、Eur J Biochem 1990; 194:755-763、アールグレン(Ahlgren)ら、1995 J Androl 16:491-498)。精液では、PSAは精液ベジクル由来ゲル形成タンパク質セメノゲリン(semenogelin)IおよびIIを分解し、精液の液状化(liquifaction)と漸次運動型精子の放出を引き起こす(リルジャ(Lilla)、J Clin Invest 1985; 76:1899-1903)。PSAの作用により、セメノゲリンIおよびIIにおけるあるチロシン残基とグルタミン残基とのペプチド結合の、主にC末端の、加水分解が生じる(マルム(Malm)ら、The Prostate2000; 印刷中)。対照的に、hK2は、PSAの作用により生じたものと比較して、セメノゲリンIおよびIIにおいて明らかに異なった開裂パターンを生じさせるが、ゲルタンパク質に対するhK2作用が生理学的な意味を有するかどうかは現在のところ不明である(レビグレンら、Eur. J. Biochem. 1999; 262; 781-789)。
酵素的に活性なPSAは、キモトリプシン様プロテアーゼと限られた類似性をもつ独特の基質特異性を現すことが示されている(リルジャら、J Biol Chem 1989; 264:1894-1900、クリステンソンら、Eur J Biocchem 1990; 194:755-763、マルムら、The Prostate 2000; 印刷中)。PASの活性な1本鎖型は、α1−アンチキモトリプシン(ACT)、α2−マクログロブリン(AMG)、妊娠ゾーンタンパク質(pregnancy-zone protein)(PZP)、プロテインC阻害剤(PCI)、α1−アンチトリプシン(API)などのいくつかの細胞外プロテアーゼ阻害剤と安定な共有結合の複合体を形成する(クリステンソンら、Eur J Biochem 1990; 194:755-763、スチンマン(Stenman)ら、Cancer Res 1991; 51:222-226、エスパーナ(Espana)ら、ThrombRes 1991; 64:309-320、クリステンソンおよびリルジャ、Eur J Biochem 1994; 220:45-53、ザング(Zhang)ら、Prostate 1997; 33:87-96)。血液中では、PSAの主な免疫検出可能な形態は、ACTとの複合体で共有結合しており、マイナーな分画のみが遊離で、複合体でない形態(PSA−F)にある(ステンマンら、Cancer Res 1991; 51:222-226、リルジャら、Clin Chem 1991; 37:1618-1625)。
LNCaP(前立腺のリンパ節癌)は、確認された転移性前立腺癌患者の針吸引生検から1977年に単離された、ヒトの転移性前立腺癌細胞株である。様々な形態の遊離PSAが、LNCaP細胞の使用済み細胞培養培地で見出されている。コレイ(Corey)らおよびベイセイネン(Vaeisaenem)らは、チモーゲン型PSA(プロPSA)および成熟した完全型PSAを産生するLNCaP細胞を報告した。しかし、主にLys145とLys146との間で内部開製しているために酵素的に不活性な形態として部分的に存在している、精液由来のPSAとは対照的に、LNCaP細胞では、内部開製した形態のPSAを産生しないようである(クリステンソンら、Eur J Biochem 1990; 194:755-763)。チモーゲン型のPSAは、前立腺癌患者の血清でも見出されている。チモーゲン型のPSAは、酵素的に不活性であるので、セルピン(serpin)と複合体を形成できず、循環系では遊離の形態のままであろう。また、血清に生じる遊離PSAの性質について他の正反対の報告があり、そこでは、該PSAは内部開裂により生じた開製した不活性な形態であること、または、該PSAは切りつめられていない(unclipped)成熟した、しかし酵素的には不活性なPSA形態であることが述べられている。
前立腺癌の発生頻度は、主に寿命の延びやスクリーニングの増加により、ここ十年の間に増大してきている。この事実は、改善された診断方法や新しい治療の必要性を表わしている。血清中PSAの分析は、前立腺癌(PCa)患者の診断や監視においてよく確立されている(オエスターリング(Oesterling)J Urol 1991; 145:907-923)。しかしながら、PSA血清濃度の上昇は、他の前立腺疾患、たとえば良性前立腺過形成(BPH)患者にも見出されている(ハドソン(Hudson)ら、J Urol 1989; 142:1011-1017)。血清中で、いくつかの異なった分子形態のPSAが発見されたことにより、PCaに関する診断や監視の特異性が顕著に改良された。BPH患者は、PCa患者に比べて、血清中における遊離PSAの総PSA(すなわち、PSA−F + PSA−ACT + その他量的にそれほど重要でないPSA−セルピン複合体)に対する比率、または遊離PSAの複合体PSAに対する比率がより高い。これにより、血清中でほどほどに(moderately)上昇したPSAレベルの男性におけるBPHとPCaとを区別するするために、遊離PSAの総PSAに対する比(遊離PSA百分率とも呼ばれる)が使用されることになる(ステンマン(Stenman)ら、Cancer Res 1991; 51:222-226、クリステンソンら、J Urol 1993; 150:100-105)。これによりPCaに対する特異性が改良されるが、男性の2つのグループ間にはなお相当な重複があり、したがって、正常な男性または良性の症状を有する男性と癌の男性とを区別するためのさらなる改良を提供するマーカーに対する大きな需要がある。
精製したPSAによるマウスの免疫感作により、PSAおよびhK2に対するモノクロナール抗体が産生される。多くのモノクローナル抗体は、2つのタンパク質の一次構造がはなはだしく同一性を有するために、PSAおよびhK2と交差反応する。しかしながら、遊離PSA、複合体型PSAおよびhK2を選択的に測定する特異的イムノアッセイが、本発明者らその他により開発された。現在、遊離PSAの各種候補形態を特異的に認識する、利用可能なイムノアッセイはない。
[目的および概要]
本発明の目的は、ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開裂していない、成熟型および/またはチモーゲン型の前立腺特異抗原(SCINT PSA)を含有するサンプルを用いて、該抗原の決定を可能にすることである。
本発明の他の目的は、SCINT PSAを含有するサンプル中の該抗原の量的決定のためのイムノアッセイを提供するものである。
本発明のさらなる目的は、良性前立腺過形成(BPH)患者および/または前立腺癌(PCa)でない健康な男性被験者からPCa患者を、無痛性PCa患者から攻撃性PCa患者を、および/またはPCaの前立腺外延長(extraprostatic extension)患者および/またはリンパ節もしくは骨髄への転移進展(metastatic spread)を有する患者から臨床的に局在化されたおよび/または場所的に限られたPCaの患者を、それぞれ識別する方法を提供することである。
本発明はしたがって、抗体であって、ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開製していない、成熟型および/またはチモーゲン型の前立腺特異抗原(SCINT PSA)に高親和性で結合する抗体に関する。該抗体は、非開裂型PSAで免疫感作することにより得られ、そして完全な形態のものと内部開製した形態のものとの特異な反応性(differential reactivity)により選択されるものであるが、ニックが入ったPSA(PSA−N)には結合しない。ここで該PSA−NはSCINT PSAの内部ペプチド結合開裂により形成され、その結果2本鎖または多重鎖PSAになる。
本発明はまた、ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開製していない、成熟型および/またはチモーゲン型の前立腺特異抗原(SCINT PSA)の、あるいはニックが入ったPSA形態(PSA−N)(該PSA−NがSCINT PSAの内部開裂により形成されており、その結果2本鎖または多重鎖の前立腺特異抗原(PSA)形態であり、このSCINT PSAまたはPSA−Nが遊離および/または複合体型で生じ得る)のサンプル中での量的決定のためのイムノアッセイに関する。本イムノアッセイは、該SCINT PSAに高親和性で結合するが、PSA−Nには結合しない抗体を使用する。
本発明はさらに、
i)良性前立腺過形成(BPH)患者および/または前立腺癌(PCa)でない健康な男性被験者からPCa患者を、
ii) 無痛性PCaの患者から攻撃性PCaの患者を、および/または、
iii) PCaの前立腺外延長患者および/またはリンパ節もしくは骨髄への転移進展を有する患者から臨床的に局在化されたおよび/または場所的に限られたPCaの患者を、
識別する方法に関する。
本発明は、
a)ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開裂していない、遊離型および/または複合体型前立腺特異抗原(SCINT PSA)を決定し、
b)決定されたSCINT PSAの関数であるマーカー値を確立し、ついで
c)確立されたマーカー値を該患者の識別に使用する
工程からなる。
表の簡単な説明
表1 免疫感作および融合の結果のまとめ。
表2 抗体特性のまとめ。
表3 5μg/Lより低いPSA−T範囲における単一のまたは組み合わせたパラメーターを用いる、癌および非癌の識別。統計分析はノンパラメトリックなマン−ウィットニー−U検定法(Mann-Whitney-U test)を用いて実施した。
表4 10μg/Lより低いPSA−T範囲における単一のまたは組み合わせたパラメーターを用いる、癌および非癌の識別。統計分析はノンパラメトリックなマン−ウィットニー−U検定法を用いて実施した。
表5 PSA−Tの濃度に関する制限なしで単一または組み合わせパラメーターを用いる、癌および非癌の識別。統計分析はノンパラメトリックなマン−ウィットニー−U検定法を用いて実施した。
[発明の詳細な説明]
遊離PSAの様々な形態の性質に向けた分析手法の設計および開発により、前立腺癌の診断に対する新たな特有の情報が加えられた。抗プロPSA抗体はチモーゲン型タンパク質の特異的でかつ高感度の測定を可能にする。LNCaP PSAの高い免疫原性の性質にもかかわらず、本発明者らは、PSA−チモーゲンに対して特異的な、または強い優先性を有する抗体、たとえば、PSA−プロペプチド全体またはこのペプチドの一部分を特異的に認識する抗体を産生することができなかった。このプロジェクトの目的は、転移性癌細胞株LNCaPにより生産される様々なPSA形態に対する抗PSA抗体を開発することであり、また、酵素的に不活性な(それゆえに、ACT、AMGまたはAPIなどの様々なセルビンタイプの複合体リガンドと共有結合を形成できない、たとえば、PSA−チモーゲン型(すなわち、プロPSA)、酵素的に不活性な1本鎖の成熟型、様々な内部開裂型、またはまだ同定されていない理由で血清中に非複合体型で留まっているその他の不活性型)様々なPSA分画の濃度の特異的検出および定量を提供するイムノアッセイにおいて、これらの抗体を採用することである。
本発明者らは、本明細書でつぎの点を報告する。
1.1本鎖の、完全な(すなわち、内部で開裂していない)成熟型および/またはチモーゲン型PSAを特異的にかつ高親和性で認識するが、内部で開裂した2本鎖または多重鎖型は認識しないモノクローナル抗体の開発および生産。
2.1本鎖の、完全な(すなわち、内部で開製していない)成熟型および/またはチモーゲン型のものを選択的に認識する抗体を用い、そして遊離の非複合体型PSAを認識した抗体と組み合わせて、1本鎖の、完全な(すなわち、内部で開裂していない)成熟型および/またはチモーゲン型の遊離で非複合体型のPSA(遊離の1本鎖INTact非複合型PSAまたは遊離SCINT−PSA)を測定する、高感度ツーサイトイムノアッセイ(two-site immunoassay)の最適化。このアッセイは血清、血漿、または全血だけでなくその他の生物学的体液にも適用できる。
3.当初は3μg/Lまたはそれより大きい総PSA濃度を示した、50〜66歳の自覚症状のない男性から採取した血清または血漿サンプルの研究母集団(N=281)に対する本アッセイの適用。PCの診断は、六分割生検(sextant biopsy)に基づいていた。PCから非癌を分離するための、本アッセイ単独の、または他の形態のカリクレイン(PSAまたはhK2)と組み合わせた実施を検討し、確立されているほかの診断方法と比較した。
4.1本鎖の、完全な(すなわち、成熟型およびチモーゲン型)、遊離型でも複合体型でも生じるPSAを測定するための高感度ツーサイトイムノアッセイの設計。これは、1本鎖の、完全な(すなわち、内部で開製していない)成熟型およびチモーゲン型を選択的に認識する抗体を用いて達成される。これらの抗体は、遊離型および複合体型PSAをともに等しい親和性で認識する、独立して結合する抗体と組み合わせられる。このアッセイは、血清、血漿または全血だけでなく、他の生物学的体液にも適用できる。
5.遊離型PSAであるか複合体型PSAであるかにかかわらず、内部で開裂したPSA形態(すなわち、ニックの入ったPSAまたはPSA−N)を選択的に測定する高感度ツーサイトイムノアッセイの設計。このアッセイ設計は、まず、1本鎖の、完全な(すなわち、内部で開裂していない)成熟型およびチモーゲン型のものを選択的に認識する抗体を、大過剰使用する。これは、第一の遮断抗体により定義されるエピトープと重複するエピトープでPSAと結合する他の抗体による完全な1本鎖PSAの結合を、阻害または遮断するために実施される。そのような重複する抗体(検出または捕捉用に使用される)を添加したのち、第二抗体に対するサンドイッチパートナーとして適した、独立して結合する第三抗体が免疫反応を完結させるために添加される。本アッセイの設計により、遊離型または複合体型のいずれで生じるかにかかわらず、Lys145−Lys146の部位で内部開裂しているPSAのみがもっぱら測定される。
本発明はSCINT−PSAに特異的な高親和性免疫試薬の開発に関する。本発明はまた、これらの高親和性抗体を使用することにより、健康な、自覚症状のない男性または良性の前立腺症状の男性と前立腺癌患者とを識別するために用いられる、遊離SCINT−PSAおよびSCINT−PSAの濃度測定に対して高い特異性のある非常に高感度のイムノアッセイの確立に関する。本発明は、自覚症状のない個体をスクリーニングする際にも、また臨床的な徴候(たとえば、下位尿路症状、LUTS)を呈している男性の良性症状と癌とを識別する際にも、PCa検出のために用いることができる。加えて、本発明は、癌の再発を初期段階で検出するための改良された手段を提供したり、疾患の種々段階における治療応答性を監視するための改良された手段を提供するばかりでなく、前立腺癌の段階付けまたは等級付けを改良するためにも用いられる。
本発明によれば、1本鎖の、完全な(すなわち、内部で開裂していない)成熟型および/またはチモーゲン型PSAを高親和性で検出する、特異的なモノクローナル抗体を開発できる。このような抗体のより詳細な分析により、該抗体はLys145とLys146のあいだでの内部開裂を呈示する2本鎖型PSAを認識できないことが示されている。この形態は、循環系だけでなく精漿でも共通して生じる1つのニック型(すなわち、内部で開裂した)PSAを構成している。
本発明によれば、遊離SCINT−PSAを特異的に検出するイムノアッセイは、血清、血漿および全血サンプルばかりでなく、検討下にある個体から採取した尿または精漿などの他の生物学的体液でも実施することができる。さらに、遊離SCINT−PSAとPSA−Fとのあいだでの計算された相違は、ニックの入ったPSA(PSA−N)の別の重要なパラメーターを提供するであろう。
前記したように、SCINT−PSA特異的抗体の入手はまた、特許請求の範囲に記載のSCINT−PSA特異的抗体の助けによりSCINT−PSAを完全に遮断することによってニックの入ったPSAが特異的に定量され、ついで完全で遊離のまたは完全で複合体型のPSAとはもはや反応しないPSA抗体の使用によりニックの入ったPSA形態の検出を進められるイムノアッセイを設計する機会(本発明で記載されている)をも提供する。このような設計により、ニックの入ったPSA(遊離であるか複合体型であるかにかかわらず)を遊離PSA抗体を使用することなく測定することが可能になる。
本発明の中心的な知見によれば、効率的な腫瘍マーカーとしての遊離SCINT−PSAに特異的なイムノアッセイの使用は、遊離SCINT−PSAまたは計算されたPSA−Nだけを使用するか、またはこれらのパラメーターのいずれかを、遊離型、複合体型または総PSAおよび/またはhK2などの様々な形態のもの(たとえば、総PSAまたは総hK2、複合体型PSAまたは複合体型hK2、PSAと複合体を形成している特異的プロテアーゼ阻害剤またはhK2と複合体を形成している特異的プロテアーゼ阻害剤、遊離PSAの総濃度(すなわち、1本鎖の完全な成熟型およびチモーゲン型 + 様々な内部で開製した2本鎖または多重鎖型)または遊離hK2の総濃度、および/または様々な内部で開裂した2本鎖または多重型の遊離PSAまたは様々な内部で開製した2本鎖または多重型の遊離hK2)と組み合わせて使用することにより実現される。
本発明のさらなる側面によれば、遊離SCINT−PSA、SCINT−PSAまたはPSA−Nと他の測定されるPSA形態との組み合わせは、つぎのような測定されたパラメーターの様々な比率またはアルゴリズムをつくることによって実施される。
遊離SCINT−PSAまたはPSA−Nの総遊離PSAに対する比率
遊離SCINT−PSAまたはPSA−Nの総PSAに対する比率
遊離PSAの総濃度で割って得られる遊離SCINT−PSAの比に遊離PSAの総濃度で割って得られる総PSAの比を乗じたもの
遊離PSAの総濃度で割って得られる遊離SCINT−PSAの比に総PSAを乗じたもの
あるいは、
様々な測定されるパラメーターのロジスティック回帰分析のレシーバーオペテイティングチャラクタリスティクス(receiver operating characteristics)(ROC)分析への使用、
人工ニューロネットワークなどの様々な人工知能アプローチの使用
本発明のさらなる側面によれば、総PSAまたは複合体型PSAの値がほどほどに上昇していること、すなわち総PSAまたは複合体型PSAのみでは癌と非癌状態の診断的識別がほとんど信頼できず、検出された癌が臓器限定的で治療的処置にふさわしいと思われるようなPSA濃度であること、によって主に特徴付けられる患者サンプルのサブセットに、本発明は優先的に適用される。このような領域は、しばしば、3または4から20μg/Lの総PSA範囲として定義されるが、それとは異なって、下限(たとえば、2.0または2.5μg/Lといったさらに低い値であり得る)または上限(さらに高い、またはさらに低い、たとえば、8.0、10、12または15μg/Lといった値であり得る)の両者に関して定義することもできる。
本発明のさらに別の側面によれば、SCINT−PSAまたはPSA−Nの濃度は、それ単独で、または、たとえば、様々な比率、ロジスティック回帰分析、あるいは人工知能アプローチなどの使用による他の測定されるパラメーターとの組み合わせで、確認済み前立腺癌患者のサブグループを確認するために、より詳細には、より悪性に進展する可能性のある前立腺癌から、無痛性のままであるかまたはゆっくりとしか進展しないと思われる前立腺癌を確認するために、用いることができる。本発明の他の臨床的適用は、前立腺外進展した疾患段階、局所的に進行したまたは転移性の疾患と、病理学的に臓器限定的な疾患とを識別することに関する。本発明のさらに別の臨床的適用は、治療処置行為後の早期癌再発の検出、または疾患の様々な段階における治療応答性の監視における改良された手段を提供することに関する。
異なった免疫原構造が、異なった遊離型PSAに対するモノクローナル抗体を開発するために用いられた;(i)LNCaP細胞からアフィニティー精製され、その半分のタンパク質は成熟した1本鎖型で回収され、残り半分は−5または−7チモーゲン型で回収されたPSA。第二の免疫原構造は、PSAのプロ配列、ならびにKLBおよびBSAにコンジュゲートする最初の7個のアミノ末端アミノ酸を含む14アミノ酸合成ペプチド(APLILSRIVGGWEC)からなっていた。様々なスクリーニング法が抗体を同定するのに用いられ、その抗体は、精漿由来のPSAとは異なったシグナル強度を有する、LNCaP細胞から単離されるPSAを検出する。
線状ペプチド配列に結合する抗体を用いる3−Dモデル構造におけるPSAエピトープ群の特徴付けにより、新しい5H6 Mabは、以前に特徴付けられたMab E73のエピトープに非常に近いペプチド配列aa225〜237にマップされることが明らかになった。Mab 4D4および5C3はペプチド配列136〜144に結合した。これは、以前認識されていなかった、PSA上の抗原性エピトープであり、このエピトープはLys145とLys146のあいだの内部開裂部位にも、またMab 4D4およびMab 5C3エピトープの近辺にある触媒部位にも近接している。Mab 4D4、5C3および5H6は、遊離PSAおよびPSAを同様の親和性をもって認識したが、hK2を認識しなかった。
Mab 4D4および5C3は、プロPSAおよび完全型PSAに対して、それぞれ2.5×109 1/Mおよび2.7×109 1/Mの親和定数を有していた。これらモノクロナール抗体は、プロPSAの認識よりも精漿PSAの認識の方が著しく低く、Lys145−Lys146で内部開製したPSAを主として(95%)含む分画と結合したMab 4D4、5C3の量は、完全型PSAのみを含むプールに結合した抗体量に比べて、わずか5%に過ぎなかった。
以下の実験の部により、本発明をより詳細に説明する。
実験の部
方法および材料
試薬および器具
フロイントの完全および不完全アジュバンドはシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)(セントルイス、MO)から得た。細胞培養96ウェルプレートはヌンク(Nunc)(デンマーク)から、ローラーボトルはコーニング(Corning)(NY)から、またセリンバイオリアクター(Celline bioreactors)はインテグラ(Integra)(ドイツ)から得た。グルタマックス−1(Glutamax-1)を備えたオプチメム1(Optimem 1)およびHATサプリメント(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン)はライフ テクノロジーズ(Life Technologies)(ギブコ(Gibco)BRL,スコットランド)の製品である。熱不活化ウシ胎仔血清(FBS)はヒクロン(Hyclone)(ローガン(Logan)、UT)から得た。Sp2/0マウスミエローマ細胞はATCC(ロックビル、MD)から得た。合成−7〜+7プロPSAペプチドはハンス リルジャ博士(ルンド大学、マルモ(Malmoe)、スウェーデン)から得た。1234デルフィア プレート(Delfia Plate)蛍光光度計、デルフィア Eu−標識キット、ウサギ抗マウスIgG、抗PSA Mab H117、抗PSA Mab 2E9またはストレプトアビジンをコートしたマイクロタイトレーションプレート、デルフィア アッセイ緩衝液、洗浄液および増強液は、パーキンエルマー ライフ サイエンシーズ(PerkinElmer Life Sciences)(ツルク、フィンランド)からのものである。ハイトラップ プロテインG(HiTrap Protein G)アフィニティーカラム、スペロース(Superose)12HR 10/30 FPLC ゲルろ通用カラム、PBE94ポリバッファー(Polybuffer)交換器および等電点電気泳動用ポリバッファー(Polybuffer)96はアマシャム ファルマシア バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)AB(ウプサラ(Uppsala)、スウェーデン)から得た。アミノ末端配列分析は、オンライン アプライド バイオシステムズ(Applied Biosystems)モデル120Aフェニルチオヒダントイン アミノ酸分析器(パーキンエルマー、ノーウォーク(Norwalk)、CT)に接続したアプライド バイオシステムズ モデル477Aパルス液体シークエンサーで実施した。モノクローナル抗体5A10、2E9、2H11、3C1、4H5および2C1は以前に特徴付けされている。MAb66および10はO.ニルソン(Nilsson)博士(カンAGダイアグノティクス(CanAg Diagnostics)、ゲテボルグ(Goeteborg)、スウェーデン)から贈呈された。MAb H117,H179,H164およびH50はアボット(アボットラボラトリーズ(Abbott laboratories)、アボットパーク、IL)から得た。抗体E73はエリザベス パウス(Elisabeth Paus)博士(ラジウム病院(The Radium Hospital)、オスロ、ノルウェー)から贈呈された。
免疫原
遊離型PSAに対する抗体を開発するために、3種類の免疫原構造を使用した。LNCa PSAは、使用済み細胞培養培地からアフィニティークロマトグラフィーにより以前に精製されていた。タンパク質の約半分は1本鎖の成熟PSAで、半分は−5または−7チモーゲン型であった。第二の免疫原構造は、PSAのプロ配列とそのアミノ末端配列の最初の7つのアミノ酸とを含む14アミノ酸合成ペプチド(APLILSRIVGGWEC)からなっていた。このペプチドは、イムジェクト イムノーゲン EDC コンジュゲーション キット(Imject Immunogen EDC Conjugation Kit)(ピアース(Pierce)、IL)を用いて、KLHおよびBSAとカップリングさせた。使用される第三の免疫原は、プロ配列から2つのアミノ酸が変更されている成熟型のhK2(fXahK2)であった。プロ配列における点突然変異により、hK2はプロ配列の自己活性化および開裂ができなくなる。第二および第三の免疫原構造は、抗プロPSA抗体を産生させるために、免疫感作で使用した。該ペプチドおよびhK2に関する免疫感作および融合は、LNCa PSAのためにつぎに記載されているのと本質的に同様に実施した。
免疫感作
表1は、行った免疫感作をまとめてある。フロイント完全アジュバンド(シグマ)で乳化した種々の量の免疫原を用いる腹腔内注射により、Balb/cマウスを免疫感作した。ブースター量を3〜4週間間隔で与えた。全免疫感作期間は2〜10ヵ月にわたる。最終ブースターはマウスを死亡させる3日前に投与した。以前に記載されたように、脾臓のリンパ系細胞をミエローマ細胞Sp2/0と1:1の比で融合させた。融合細胞は、20%のウシ胎仔血清およびHATサプリメントを含むオプチメンの細胞培養96ウェルプレートにおいて回収した。
Figure 0005254517
スクリーニング法
いくつかの異なったスクリーニング法を使用した。すべての方法に共通な点は、精漿から得られるPSAとは幾分異なって、LNCaP細胞により製造されるPSAを検出する抗体を認識するために設計されたということである。4つのスクリーニング法が図1a〜1dに示されている。すべての方法において、ハイブリドーマ上清は、ウサギ抗マウス抗体でコートしたマイクロタイトレーションウェル(方法1、2および4)中、またはストレプトアビジンおよびビオチン化合成ペプチドでコートしたマイクロタイトレーションウェル(方法3)中、+4℃で一晩インキュベーションした。インキュベーションののち、プレートを4回洗浄した。結合した抗体の検出は図1a〜1dに記載されているように実施した。シグナル発生のため、デルフィア増強液を200μl/ウェルで使用した。シグナルは1234デルフィア蛍光光度計で測定した。
抗体の特徴付け
精製タンパク質。ベイセネン(Vaeisaenen)らにより記載されているように、LNCaP PSAを製造し、精製した。異なるpI値に基づいて分離する等電点電気泳動を用いて、LNCaPプロPSAおよび成熟型PSAを分離した。pH勾配は8.5〜6であり、使用した緩衝液は0.025Mエタノールアミン−CH3COOH pH8.5およびポリバッファー(Polybuffer) pH6(希釈、1:10)であった。等電点電気泳動はC10/40カラムに充填した30mlのポリバッファー交換ゲルおよびエクタエクスプローラー(AEKTAexplorer)100システム(アマシャム ファルマシア バイオテク AB、ウプサラ、スウェーデン)を用いて実施した。流速は0.3ml/分であり、3.6ml分画を集めた。分画を集める前に、1/10量の2M トリス−HCl pH8を各分画管に加えた。各分画について、プロステイタス(Prostatus)PSA遊離/総(free/total) キット(パーキンエルマー ライフ サイエンシーズ、ツルク、フィンランド)を用いて、PSA濃度を測定した。1つのピーク領域由来のPSA含有分画をプールし、アミノ末端配列決定に付した。
精製精漿PSAの別プールは、U−H ステンマン(Stenman)博士の好意により寄贈されたものである。プールA、B、C、DおよびEは、ザングらにより記載されているように、異なる量の内部開裂型PSAを含有する。プールAおよびBは完全型PSAのみを含有する。プールCおよびDは、完全型PSAならびにArg85−Phe86およびLys145−Lys146で内部開裂したPSAを含有する。プールDはLys182−Lys183で内部開裂した少量のPSAをも含有していた。プールEは、ほとんどがLys145−Lys146で内部開製した形態を主に含有していた。SDS−PAGEでの染色強度から、プールC、DおよびEにおける完全型PSAの量が、それぞれ、およそ20%、10%および5%未満であることが示唆された。
HK2をバキュロウィルス発現系で製造し、レブグレン(Loevgren)らにより記載されているようにして精製した。インビトロでのPSA−ACTの調製および精製は、以前に記載されている。
エピトープマッピング
PSA分子上の結合部位を決定するために、以前に特徴付けられたMAbを、検討対象のMAbとの考えられる全ての組み合わせで、サンドイッチ法で使用した。
ペプチドマッピング
連続するエピトープを認識する抗体の特異的結合部位を決定するために、全PSA配列と重複している合成15マーペプチドを使用した。ユーロピウム標識化MAbを、ピイロネン(Piironen)らにより記載されているように、ストレプトアビジンプレートに結合させたビオチン化ペプチドと一緒にインキュベーションした。
様々なPSA形態に対する特異性と結合
適当なパートナー抗体を用い、PSA、hK2およびPSA−ACT複合体を用いて、新規MAbの特異性を決定した。加えて、ザングら記載の精漿から精製したPSAのプールA、B、C、DおよびEを用いて、かつベイセイネンら記載のLNCaP PSAから精製したプロPSAを用いて、様々なPSA形態との結合を決定した。
MAbの親和性
2E9またはH117を捕捉抗体として用い、かつ精漿から精製したPSAまたは精製hK2を用い、以前に記載されたようにして、Eu標識MAbの親和定数を決定した。親和性はスキャッチャード法を用いて計算した。
イムノアッセイ
ツーサイトイムノアッセイプロトコルは、遊離型SCINT−PSAの特異的決定のために開発されたものである。この設計は、(i)PSAにおけるペプチド配列aa136〜144を含有するエピトープにマッピングされたMab 5C3と、(ii)ペプチド配列aa84〜91を含有するエピトープにマッピングされ、以前に特徴付けられた遊離の特異的Mab(5A10)との組み合わせで用いた。Mab 5C3のビオチン化調製物を、200μLアッセイバッファー(Assay Buffer)中Mab200ngを用い、室温で60分間インキュベーションすることより、ストレプトアビジンでコートしたプレートに固定した。結合しなかったビオチン化Mabを除去する洗浄工程につづき、1ウェルあたり、標準品またはサンプル50μLを添加し、ついでデルフィア緩衝液100μLを添加し、連続振とう下、室温で60分間インキュベーションした。2回洗浄したのち、1ウェルあたり、100ngのEu標識Mab 5A10を含有するデルフィアアッセイバッファー100μLを添加し、連続振とう下、室温で60分間インキュベーションした。最終洗浄(6×)につづいて、1ウェルあたり、200μLのデルフィア増強溶液(Delfia Enhancement solution)を添加した。5分間振とうしたのち、シグナルを1232デルフィアプレート蛍光光度計で測定した。未知サンプルの濃度は、組換えバキュロウィルス産生プロPSAの標準シリーズ(0.05〜200μg/LのPSA)から計算した。
その他に使用したイムノアッセイは、デルフィア プロステイタス(Delfia ProStatus)F/T PSA(パーキン−エルマー、ワラック(Wallac)、ツルク、フィンランド)およびhK2用試験アッセイ(ベッカー(Becker)ら、Clin Chem 2000;46:198-206)であった。
臨床試験母集団
研究母集団は、スウェーデン、ゴーゼンブルグ(Gothenburg)地域で母集団ベースの前立腺癌スクリーニング研究に参加し、当初は3μg/Lより高い総PSA濃度を示した、51〜66歳の291人の男性からなっていた(ベッカー、Urology 2000;55:694-699)。DRE、TRUSおよびTRUS誘導六分割生検(TRUS guided sextant biopsy)を実施する前に、追加的な血清およびEDTA血漿サンプルを採取した。静脈穿刺後3時間以内に実施される(血清)凝固と遠心分離ののち、サンプルを70℃で凍結した。本研究のために、本発明者らは、イムノアッセイ実施直前に解凍したEDTA血漿サンプルを用いた。六分割生検により、被験者291人中79人の男性に前立腺癌が認められた。
統計分析
記述統計は中間、高いおよび低いの4分位(quartiles)(25および75パーセンタイル)として与えられた。PSA−T、PSA−F、遊離SCINT−PSA、PSA−N、hK2、hK2/PSA−F、PSA−F/PSA−T、遊離SCINT−PSA/PSA−F、遊離SCINT−PSA/PSA−T、PSA−N/PSA−T、(遊離SCINT−PSA/PSA−F)×PSA−T、(遊離SCINT−PSA/PSA−F)×PSA−T×hK2、(遊離SCINT−PSA/PSA−F)/(PSA−F/PSA−T)において統計的有意差(p<0.05)があるか否かを試験するために、2つの患者群(癌および非癌)のあいだで、マン−ウィットニーノンパラメトリック検定法を実施した。この解析は、PSA−T範囲を基礎にして選択された様々なサブグループに対してだけでなく、全患者試料に対しても実施した。
結果
免疫感作およびスクリーニング
本発明者らの目的は、癌に特異的に存在するPSAの様々な分子形態を認識する新規抗体を見出すことであった。非常に高い陽性のシグナルを与え、または精液由来のPSAに比べてLNCaP由来の検討されるべきPSA形態を特異的に認識する抗体を製造し、さらに特徴付けをした。表1では、実施された免疫感作、PSA陽性の細胞株の数および各融合からさらに特徴付けられたMAbがまとめられている。最終的に特徴付けのなされたMAbはすべて、LNCaP PSAを免疫原として使用した融合に由来するものであった。ペプチド融合由来の細胞株のうちあるものは、合成ペプチドに対して陽性であったが、さらなるテストにより、抗体はPSA分子全体を認識していないことが示された。また、抗PSA陽性細胞株のあるものはfXahK2融合から取得されが、これら抗体はLNCaP PSAと精漿由来のPSAとを区別できなかったので、それ以上特徴付けを行わなかった。
抗体特性
エピトープマッピング。新規MAbのPSA分子上の結合部位を明らかにするため、様々な抗体組み合わせで該MAbを試験した。その結果に基づき、2−Dエピトープマップを構築した(図2)。新規抗PSA MAbの結合部位を、以前特徴付けされたMAbに関連して提示する。
83個の抗PSAモノクローナル抗体の様々な結合領域は、1〜6の結合領域が2−Dおよび3−DモデルにおいてマッピングされているISOBM研究でパウス(Paus)らにより記載されている。新規抗PSA抗体の結合領域を、以前特徴付けられたMAbの結合部位と比較した。
5F12は、ISOBM研究で以前特徴付けられたMAb 5A10(#25)と同じエピトープに結合する群Iの遊離PSA特異的抗体にマッピングされた。興味あることであるが、5F12はまた、群3aの抗体に属するMAb PSA10(#72)結合を遮断した。7G1は、群3aの抗体において、H50(#57)とPSA10に近いエピトープに結合した。7G1はまた、群5bの抗体に属する抗体2H11(#41)によって幾分阻害された。また、5F7および5H6は、MAb H50およびPSA10結合部位と重複している領域に結合した。さらに、7C4、4D4および5C3は、Mab H164、H50および2H11の結合部位近くの領域に結合し、該領域は群5bの抗体近くに位置する。
ペプチドマッピング。テストした7つのMAbのうち3つが、全PSA配列と重複する線状のビオチン化15マーペプチドに結合した(表1)。
4D4および5C3抗体は共に、15マーペプチド配列130ASGWGSIEPEEFLTP144および136SIEPEEFTLTPKKLQC149に結合した。これら2つの重複する15マーペプチドに共通のアミノ酸配列は136SIEPEEFLTP144配列である。共通の内部PSA開裂部位は、PSAを不活性にするアミノ酸Lys145とLys146のあいだに位置している。
5H6は、PSAのC末端ペプチド(225YRKWIKDTIVANP237)に結合した。別の抗体(E73)はPSA分子のC末端部分近くで結合するという特徴があった(データは示されていない)。MAb E73は、5H6により認識されるものと部分的に重複する15マーペプチド(215RPSLYTKVVHYRKWI229)に結合した。
ペプチド結合研究から得た結果をピイロネンらにより提示されたデータと組み合わせて、PSA部分における独立した7つの抗原ドメインを示す3−Dエピトープマップを作成した(図3)。
抗体の特異性。5F12は遊離PSA特異的抗体であった。7C4、4D4、5C3、5F7および5H6は、遊離PSAおよびPSAS−ACT複合体を同様の親和性で認識したが、hK2は認識しなかった。7G1は、遊離PSA、ACTと複合体を形成したPSAおよびhK2を同様の親和性で認識した。
様々なPSA形態との結合。新規MAbの異なるPSA形態との結合は、以前に特徴付けられた異なる捕捉抗体および新規MAbをトレーサーとするサンドイッチアッセイ法を用いて試験した。結合は、成熟した完全型PSAについて検討し、成熟した内部開裂型PSAおよびプロPSAと比較した。様々なPSAアイソフォームとの結合での有意差は、MAb 4D4および5C3においてのみ見られた。
クローン4D4および5C3は、スクリーニング法4を用いて、プロPSAよりも低いシグナル強度で、精漿PSAを認識した。これらの抗体は、様々な量の内部開裂したPSA、すなわち2本鎖または多重鎖型、を含有した精漿から分離したPSAの各種プールを用いてさらに試験した。完全な、1本鎖PSAのみを含有したプールAおよびBに結合した抗体量(100%とする)に比べて、Lys145とLys146のあいだで内部開裂しているPSAを主として(≒95%)含有するプールEに結合した抗体(4D4、5C3)はわずか5%であった。したがって、これらの抗体は、免疫原として使用されるLNCaP PSAにおけるような、Lys145−Lys146で内部開裂していないPSA形態のみを認識し得る。図4a〜4cは、様々な抗体と精漿PSAのプールA〜Eとの反応性を示している。抗体は、H117でコートしたプレート、または捕捉剤(capture)としてビオチン化5A10でコートしたストレプトアビジンプレートを用いたサンドイッチ法で試験した。抗体は、ISOBM研究で示されている様々な結合領域にしたがって設計される。
Mabの親和性。MAbの親和定数を表2に列挙する。特徴付けられたMAbはすべて、精漿PSAに対して高い親和性を示した(Ka>1×109 1/M)。7G1はPSAおよびhK2に対して非常に高い親和性を示した(Ka=2×1010 1/M)。4D4および5C3は、プロPSAおよび完全型PSAに対して、それぞれ2.5×109 1/Mおよび2.7×109 1/Mの親和定数を有していた。加えて、4D4および5C3は、内部開裂型を含有する精漿PSAのプール(プールC、DおよびE)に対する親和性について試験された。これら2つのMAbの親和定数は、内部開裂型PSAの量が上昇するにつれて減少した。4D4および5C3のプールE PSAに対する親和性は、親和性が非常に低いために(データは示されていない)、スキャッチャード法を用いて決定することができなかった。
Figure 0005254517
SCINT−PSAイムノアッセイ実施
典型的な標準曲線が図5に示されている。分析的検出限界(バックグラウンド+2SD)は0.05μg/L以下であり、標準曲線は、使用した最高標準点(50μg/L)に至るまで直線的に上昇した。分析内および分析間での変動は、0.2〜50μg/Lの濃度範囲にわたって、それぞれ6および8パーセント未満であった。
研究母集団血清おける遊離SCINT−PSA、PSA−F、PSA−TおよびhK2の測定
遊離SCINT−PSA、PSA−F、PSA−TおよびhK2の様々な測定パラメーターの中間濃度(ならびに25および75パーセンタイル)、ならびにそれらを組合せて様々な割合またはアルゴリズムとしたものが、全検討母集団、PSA−Tが10以下の患者およびPSAが5以下の患者について表1〜3に示されている。癌と非癌とのあいだの統計解析は、マン−ホイットニーのノンパラメトリックU−検定法を用いて実施した。
Figure 0005254517
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全臨床試験材料(すなわち、表3に示されているようなPSA−T制限なし)のイムノアッセイ測定の統計解析により、PSA−T(p<0.0001)、遊離SCINT−PSA(p=0.0063)およびhK2(p=0.018)のレベルは、単独パラメーターPSA−N(p=0.0271)と同様、非癌グループと比べて癌で有意差があったが、PSA−F(p=0.435)は2グループのあいだで区別できなかったことが明らかにされている。2つのパラメーター比のすべて、とくにPSA−F/PSA−T、遊離SCINT−PSA/PSA−FおよびPSA−N/PSA−T(すべてp<0.0001)は、2つのグループのあいだをよく識別した。遊離SCINT−PSAのPSA−Fに対する比率(中間値)は、癌では59パーセントであるのに比べて、非癌では47パーセントであった(p<0.0001)。3つまたは4つのパラメーターアルゴリズムも、高い統計的な有意差をもつて癌と非癌とを識別した。
単一パラメーターの10μg/L以下のPSA−T範囲(表4)においては、遊離SCINT−PSAおよびPSA−Nのみが癌と非癌とを識別した。とくに注目に値するのは、PSA−Nの中間濃度が非癌では0.39μg/Lであり、癌では0.27μg/L(p=0.0043)であったという事実である。2つのパラメーター比のうち、PSA−F/PSA−T(p=0.0002)、PSA−N/PSA−T(p=0.0002)、遊離SCINT−PSA/PSA−F(p=0.0018)は、3つおよび4つのパラメーターアルゴリズムのすべてと同様、2つの臨床グループをよく識別した。遊離SCINT−PSAのPSA−Fに対する比(中間値)は、癌において58パーセントであったのに対し非癌で47パーセントであった(p=0.0018)。
単独パラメーターの5μg/L以下のPSA−T範囲(表5)においては、PSA−Nのみが癌と非癌とを識別した。PSA−Nの中間濃度は、非癌で0.32μg/L、癌で0.20μg/Lであった(p=0.0055)。2つのパラメーター比のうち、PSA−F/PSA−T(p<0.0001)、PSA−N/PSA−T(p=0.0001)、遊離SCINT−PSA/PSA−F(p=0.0012)は、3つおよび4つのパラメーターアルゴリズムのすべてと同様、2つの臨床グループをよく識別した。また、このPSA−T範囲においては、遊離SCINT−PSAのPSA−Fに対する比(中間値)はすべての試験材料のそれと非常に類似しており、すなわち、癌で59パーセントであるのに比べて非癌で49パーセントであった。
議論および結論
本発明の1つの目的は、転移癌細胞株LNCaPにより産生される各種形態のPSAに対する抗PSA抗体を製造し、そしてこれらの抗体を、精漿PSAで免疫感作して得られる以前に特徴付けられた多数の抗体と比較することであった。本発明者らは、検出用の特異的イムノアッセイを開発するために、遊離PSAの様々なアイソフォームに対する新規な抗PSA抗体を取得することを望んだ。1つの目標は、抗プロPSA抗体を開発することであった。LNCaP PSAを免疫原として使用する免疫感作に加えて、アミノ酸−7〜+7からなる合成ペプチドをキャリアータンパク質にコンジュゲートさせ、免疫感作に使用した。また、hK2、fXahK2の変異形態を免疫感作に使用した。この形態は、プロペプチドを失うことにより生じるチモーゲンタンパク質の自己活性化を阻害する変異型プロペプチドを含む。hK2とPSAとは79%のアミノ酸同一性を有するので、抗PSA特異的抗体はfXahK2融合から生じると期待された。
精製LNCaP PSAの約50%は1本鎖の成熟型からなり、約50%まではチモーゲン型からなっていた。8つのLNCaP PSA融合物により、1000個より多くのウェルがPSAに対して陽性となった。125個の細胞株を選択し、成育させ、いくつかの異なる方法で試験した。ほとんどの抗体特性は、以前に特徴付けられた抗PSA抗体に非常に類似していた。しかしながら、以前には知られていなかったエピトープ特性を有する3つの新規抗体が取得された。2つの新規抗体(4D4および5C3)は、PSAにおける共通の内部ペプチド開裂部位(Lys145−Lys146)に隣接したエピトープに結合し、もう1つの抗体(5H6)は該タンパク質のC末端ペプチドに結合した。合成ペプチド融合物およびfXahK2融合物は新規な抗PSA抗体を産生しなかった。
4D4および5C3は、Lys145−Lys146開裂部位に隣接する線状ペプチド配列に結合した。これらの抗体は、異なるクローン由来のものであったとしても、PSAアイソフォーム特異性および親和性が非常に類似していた。これらはhK2を認識しなかった。4D4および5C3は色素原ペプチド基質に対するPSAの活性を阻害した(データは示されていない)が、このことは、PSAの触媒活性部位が内部開裂部位Lys145−Lys146の隣にマッピングされていたことから(図3)、期待されていたことであった。これら抗体を様々な量の内部開裂型PSAを含有する精漿PSAプールを用いて試験したところ、これら抗体はLys145とLys146のあいだで内部開裂したPSAを認識しないことが判明した。Lys145−Lys146部位でのPSAの内部開裂は、酵素活性の喪失を引き起こす。したがって、4D4および5C3は、Lys145−Lys146での内部開裂のために不活性であるPSAを認識しない。
別の新規抗体である5H6は、PSA分子上の最後15個のアミノ酸からなるC末端に結合した。このペプチドは天然形態(native form)ではらせん状であり、PSA分子の表面に位置する。PSA分子のアミノ酸234はバリンであるが、hK2ではアラニンである。この1つのアミノ酸の相違により、この抗体はhK2を認識しない。E.パウス博士から入手したもう1つの抗体E73も、PSAのC末端部分にマッピングされたが、ペプチド配列は5H6結合部位と部分的にのみ重複している。
5H6をトレーサー抗体として用いるイムノアッセイを構築した。このアッセイの意図は、PSAのC末端部分での変化を検討することであった。5H6はPSAのC末端ペプチドに結合するので、C末端でのアミノ酸開裂はPSAに対する5H6結合の減少を引き起こすと考えられた。ベイセイネンらは、血清を用いて増大させた成熟型LNCaP PSAは理由不明であるが不活性であることを報告した。また、コレイらは、同様の結果を報告し、PSAの不活性分画の一部はトリプシンで活性化されるが、一部は不活性状態のままであることを示した。PSAのC末端におけるアミノ酸開裂は当該タンパク質のコンホメーションを変化させることができ、おそらくPSAを不活性にするであろう。血清と共にまたは血清なしで増殖させたLNCaP細胞の使用済み細胞培養培地由来のLNCaP PSA形態を、等電点クロマトグラフィーを使用するアフィニティー精製ののちに、当該タンパク質のプロ型と成熟型に分離した。異なるLNCaP PSA形態を、H117を捕捉抗体として、また5H6をトレーサー抗体として用いるイムノアッセイで試験した。本発明者らは、これらの異なるLNCaP PSA形態はC末端アミノ酸配列が異なっているか否かを調べてみたいと考えた。5H6を用いるイムノアッセイは、これらの異なるPSA形態のあいだで相違を示さなかった(データは示されていない)。
血清PSA濃度の上昇は、前立腺癌以外の様々な泌尿器障害から生じている可能性があり、このためPSAは癌特異的ではない。しかしながら、血清中でのPSA−FのPSA−ACT複合体に対する比率は、前立腺癌におけるよりもBPHにおいて有意に高いことが示されている(ステンマンら、Cancer Res 1991; 51:222-226、クリステンソンら、J Urol 1993;150:100-5)。BPHにおける血清遊離PSAの画分増大を引き起こすメカニズムは知られていない。ブジェルク(Bjoerk)ら(ブジェルクら、Urology 1994;43:427-34)は、PSAとACTの両者の産生が検出できる癌組織とは対照的に、PSA含有BPH結節でのACT産生の欠如を報告した。このことは、癌においてはより多くのPSA−ACT複合体形成を生じ、したがって前立腺癌とBPHとの遊離PSA量の差を説明できることになる。しかしながら、ジュング(Jung)ら(ジュングら、Clin Chem 2000;46:47-54)は、前立腺組織における各種形態のPSAの量または比率が、血清中の各種形態のPSAの量または比率と相関しないことを立証した。したがって、血清中で見られるアイソフォームのパターンは、組織におけるPSAアイソフォームのパターンの単なる反映でないと思われる。それよりむしろ、新生良性腫瘍細胞由来の遊離PSAの酵素的に活性なまたは不活性な形態のものが様々な比率で放出することは、PCaやBPHにおける遊離PSA対総PSA比の相違を生じ得るであろう。
血清中の遊離PSAの性質については議論を呼ぶ報告があった。前立腺癌患者の血清中のアミノ酸−4から始まるチモーゲン型PSAが、ミコラジュクジク(Mikolajczyk)らにより報告されている(ミコラジュクジクら、Urology 1997;50:710-4)。LNCaP細胞は、アミノ酸−7または−5から始まるプロ型PSAを産生することが示されている。これらプロ型は高い等電点pI値を有し、これはベイセイネンらによれば、hK2と共にインキュベーションしたのちに消失した。これらの高いpI点はまた、進行した前立腺癌の患者の血清に見出されたが、BPHの患者では見出されなかった(フバー(Huber)ら、Prostate 1995;27:212-9)。しかしながら、ノルダス(Noldus)らは、グレードの高い前立腺癌患者の血清中にチモーゲン型のものを検出しなかった(ノルダスら、J Urol 1997;158:1606-9)。彼らの精製法は、精製工程でおそらくプロPSAを開裂して成熟型にすることができるhK2を除いていなかった。
遊離PSAの様々な形態に関する解決により、前立腺癌の診断に対する新たな識別情報が加わるであろう。抗プロPSA抗体はチモーゲン型タンパク質の特異的かつ高感度な測定を可能にするであろう。LNCaP PSAの高い免疫原性にもかかわらず、本発明者らは、チモーゲン型PSAに対して特異的なまたはより強い優先性をもつ抗体を見出すことができなかった。
抗プロPSA抗体を取得できなかったことについてはいくつかの理由があった。マウスカリクレインのPSAプロ配列はヒトカリクレインのPSAプロ配列に類似することが示されている(フクシマら、Biochemistry 1985;24:8037-43)。このことは、プロペプチドがマウスにおいては免疫原性がないことを意味し得るであろう。また、この相同性のため、マウスカリクレインはおそらくヒトプロPSAを開裂して成熟型PSAとすることができ、その結果、プロ配列を喪失することになろう。加えて、PSA分子のプロ配列の配向(orientation)は知られておらず、またそれが部分的に埋もれていることもありうる。
精漿および前立腺組織由来の様々な形態の遊離PSAの特徴付けは、遊離PSAの様々な分子形態および様々な前立腺疾患におけるそれらの関連性を理解するうえでの1つの研究法であった。不活性な遊離型PSAの1つの説明は、内部開裂型PSAであるということである。精漿PSAは30%までの内部開裂型PSA(最も共通した内部開裂部位はLys145−Lys146である)を含有していることが示されている(クリステンソンら、Eur J Biochem 1990;194:755-63)。ノルダスらは、グレードの高い前立腺癌患者の血清中にこの内部開裂型PSAを検出した(ノルダスら、J Urol 1977; 158:1606-9)。チャリアー(Charrier)らは、BPH血清とPCa血清におけるPSA形態のパターンを比較するのに二次元電気泳動を使用した(チャリアーら、Electrophoresis 1999;20:1075-81)。彼らは、BPH血清はPCa血清に比べてより多くの開裂型遊離PSAを含有していることを立証した。内部開裂部位はArg85−Phe86およびLys182−Ser183でも確認された(ザングら、Clin Chem 1995;41:1567-73、ワット(watt)、Proc Natl Acad Sci USA 1986;83:3166-70)。BPH患者の良性転移ゾーン(benign transition zone)から単離されたものであって、最近特徴付けられた新規なPSA形態「B−PSA」は、Lys182−Ser183の個所に内部開裂部位を有している(ミコラジュシクら、Urology 2000;55:41-5)。チェン(Chen)らは、BPH結節液において、His54−Ser55、Phe57−His58、Lys145−Lys146およびLys146−Leu147に内部開裂部位をもつPSA形態を報告している(チェンら、J Urol 1997:157:2166-70)。Lys145−Lys146を除く他の部位における開裂がPSAを不活化するか否かは知られていない。
ザングらは、ACTと複合体を形成できない、不活性で、成熟型で、切りつめられていない、精漿中のPSA形態を報告した(ザングら、Clin Chem 1995;41:1567-73)。この完全で不活性なPSAは、血清中(ミコラジュクジクら、Urology 1997;50:710-4、ノルダスら、J Urol 1997:158:1606-9、キアン(Qian)ら、Clin Chem 1997;43:352-9)およびLNCaP細胞の使用済み培地中(ベイセイネンら、Prostate Cancer and Prostatic Diseases 1999;6:1-7、コレイら、Prostate 1998;35:135-43)にも見出されている。現時点では、この不活性なPSA型に対する説明はない。
PSA分子には別々の抗原性領域がある(図3)。これら領域の存在は、免疫原性の少ない領域に対する抗体を取得しうる可能性を低下させるであろう。しかしながら、本研究では、以前に認識されていなかった2つの新規なエピトープに対する抗体を見出した。
前に記載した新規でかつユニークな高親和性の5C3または4D4Mabを使用して、本発明者らは、遊離SCINT−PSAに対する簡単で非常に感度のよいアッセイを構築することができた。これらは、一次的には、遊離PSA特異的捕捉Mab5A10と一緒に、検出抗体として使用された。本発明者らが所有している2つのトレーサーMabは同じように作用するので、それらのうちの一方、Mab 5C3のみを継続的に使用した。エピトープマップ(図2)から明らかなように、Mab 5C3と4D4は、他の総PSA特異的抗体と容易に組み合わせることができ、したがって、複合体型および遊離型SCINT−PSAに対するアッセイを提供する。
本発明者らの定義による遊離SCINT−PSAは、PSA−Fのサブフラクションを構成するので、本発明者らは、遊離PSAアッセイにより測定した値から遊離SCINT−PSAの値を引き算することにより、遊離のニックが入ったPSA(PSA−N)濃度を容易に得ることができた。この計算されたパラメーターは、とくに癌と非癌とを区別するためのPSA−N/PSA−T(またはその逆)比率を形成するのに、重要なパラメーターであることが示された。前遮断工程(preblocking step)を使用することにより、たとえばMab 5C3および/または4D4により、ニックの入ったPSAの直接測定を構築することができ、それにより、完全型PSA、すなわちSCINT PSAが免疫検出においてさらに関与することを避ける、すなわち遮断することが、2−Dエピトープマップ(図2)から明らかである。選択されたサンドイッチ用の一対の抗体のうち、一方の抗体(たとえば、2C1)は5C3および4D4特異的エピトープと重複するエピトープを認識することに基づき、他方は良好なサンドイッチ形成可能な他のPSA抗体である。
臨床サンプル、すなわちスクリーニングコホートの分析から明らかなように、遊離SCINT−PSAおよびPSA−Nは、それぞれ単独であるいは様々な組み合わせで、全コホート(whole cohort)のためのみならず、診断的に困難な、PSA−T濃度が低い(5μg/L以下)または中程度(10μg/L以下)のいわゆる灰色ゾーン領域においても、癌と非癌とを非常に有意に識別することを可能にした。
遊離SCINT−PSAおよびPSA−Nと他の形態のPSAまたはhK2の測定との組み合わせは、比率あるいは他の数学的アルゴリズム以外の方法でも当然遂行できるが、ロジスティック回帰による組み合わせによっても遂行できる。ロジスティック回帰による組み合わせは、しばしば、各患者から得られる個々の測定値から計算される比率よりもいっそう良好な識別を提供する。比率の形成により得られる組み合わせと異なって、ロジスティック回帰による組み合わせは、連続変数を与えないので、カットオフ限界(cut-off limits)はこれらのケースでは定義できない。ロジスティック回帰分析は、様々な“医学的決定サポートを提供しうるリスク分析システム”のための基礎を提供する際の手段となる。このようなデータ取り扱いシステムの他の例は、つぎのものがある:人工ニューロネットワーク(ANN)、ニューロファジーネットワーク(neuro fuzzy networks)(NFN)、多層パーセプトロン(MLP)、学習ベクトル量子化(LVQ)(フリーマン(Freemann)JAら、In:Neural Networks: Algorithms, Applications and Programmikng Techniques,アディソン−ウェスレイ出版社(Addison-Wesley Publishing Company)1991;ザデー(Zadeh) LA、Information and Control,1965, 8:338-353; ザデー LA、IEEE Trans. on System, Man and Cybernetics 1973, 3:28-44; ゲルショー(Gersho) Aら、In: Vector Quantization and Signal Compression, クルイワー アカデミック出版(Kluywer Academic Publishers)、ボストン、ドルドレヒト(Dordrecht)、ロンドン 1992; ハッソウン(Hassoun) M.H.、Foundamentalsof Artificial Neural Networks, The MIT Press, ケンブリッジ、マサチューセッツ、ロンドン 1995)
新規抗PSA抗体のための研究に使用した4つのスクリーニング方法。 新規Mabおよび以前に特徴付けられたMabの、PSAの2−Dモデルにおける相互に関するエピトープマッピング。重複する円はMabが互いに挟み込めないことを示す。接触している円はPSAとの結合で検出可能な干渉(競合)を示し、重複していない円はMabが独立したエピトープを検出しかつ他の重複していない円における他の抗体を挟み込むことが可能であることを示す。白色の円に位置する抗体はPSAに対して特異的であり、黒色の円における抗体はhK2と交差反応する。抗体の円(クロス模様)は本研究で開発された新規抗体を示す。 3−Dモデル構造におけるPSAのエピトープ群。直線ペプチド配列に結合する抗体はこのモデルにマッピングされている。7つの独立した抗原ドメインが示されている。Mab 5A10はアミノ酸84〜91からなるペプチド配列に結合し、Mab 2E9はaa80〜83、Mab 10はaa150〜164、Mab 3C1およびMab 4H5はaa1〜11(すなわち、aa3、5〜6および8〜11)、ならびにMab H164およびMab 2C1はaa50〜64からなるペプチド配列に結合し、これらは以前報告されている(ピイロネンら、Protein Science 1998;7:259-69)。E73はペプチド配列aa215〜229に結合する。新規な5H6 Mabが隣接ペプチド配列aa225〜237に結合したので、5H6はMab E73のエピトープに非常に近いところに位置するエピトープにマッピングされる。Mab 4D4および5C3は、PSA上の以前に認識されていなかった抗原エピトープであるペプチド配列136〜144に結合した。Mab 4D4およびMab 5C3のエピトープの近辺における触媒活性部位と同様、Lys145とLys146のあいだの内部開裂部位も、図に示されている。 イソ酵素とのPSA反応性を有する各抗体の反応性は、全ての抗体のイソ酵素との反応性の中間値と比較された。完全型アイソフォームAとの反応性を100%とした。抗体群は、ISOBMエピトープ命名法にしたがって、抗体結合領域に基づいて1〜5に番号をつけられている。プールA〜Eは1ng/ウェルで、Eu−Mabは50ng/ウェルで使用した。 遊離SCINT−PSAアッセイ標準曲線。

Claims (12)

  1. ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開裂していない、成熟型および/またはチモーゲン型の前立腺特異抗原(SCINT PSA)と結合する抗体であって、非開裂型のPSAでの免疫感作により得られ、そして完全な形態のものと内部で開裂した形態のものとの異なる反応性によって選択され、アミノ酸リジン145とリジン146とのあいだで開裂したニックの入ったPSA(PSA−N)と結合しない抗体(該PSA−Nは、SCINT PSAの内部でペプチド結合開裂して2本鎖または多重鎖のPSAとなることにより形成される)であることを特徴とする抗体。
  2. ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開裂していない、成熟型および/またはチモーゲン型のヒト前立腺特異抗原(SCINT PSA)(該SCINT PSAは遊離型および/または複合体型で生じ得る)のサンプル中での量的測定のためのイムノアッセイ方法であって、該SCINT PSAに結合するが、アミノ酸リジン145とリジン146とのあいだで開裂したニックの入ったPSA(PSA−N)とは結合しない抗体が使用されることを特徴とするイムノアッセイ方法。
  3. アミノ酸リジン145とリジン146とのあいだで開裂したニックの入ったPSA(PSA−N)(該PSA−Nは遊離型および/または複合体型で生じ得る)を測定するイムノアッセイ方法であって、
    a)ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開裂していない、成熟型および/またはチモーゲン型のヒト前立腺特異抗原(SCINT PSAに結合するが、PSA−Nとは結合しない第1抗体をサンプル中に過剰に添加し、サンプル中に存在するSCINT PSAと結合させかつその後
    b)SCINT PSAに第1抗体により定義されるエピトープと重複するエピトープで結合し、かつPSN−Nとも結合するが、該第1抗体にすでに結合しているPSAには結合できない第2抗体を該サンプル中に添加し、PSA−Nにのみ結合させ、
    それによりPSA−Nの測定を可能とする
    ことを特徴とするイムノアッセイ方法。
  4. 遊離のSCINT PSAを測定するイムノアッセイ方法であって、遊離のすなわち複合体を形成していないSCINT PSAの測定を可能にするために、遊離のすなわち複合体を形成していない前立腺特異抗原(PSA−F)に対して特異的な抗体の使用を追加的に含むサンドイッチイムノアッセイ方法であることを特徴とする請求項2記載のイムノアッセイ方法。
  5. 良性前立腺過形成(BPH)患者および/または前立腺癌(PCa)でない健康な男性被験者から前立腺癌(PCa)患者を識別するために有用なマーカー値を取得する方法であって、
    a)ヒトの1本鎖で、完全な、すなわち内部で開裂していない、成熟型および/またはチモーゲン型のヒト前立腺特異抗原(SCINT PSA)を、請求項1記載の抗体を用いて測定し、そして
    b)測定されたSCINT PSAの濃度の関数からマーカー値を確立する
    工程からなることを特徴とする方法。
  6. 工程a)が請求項2にしたがってSCINT PSAを測定することからなることを特徴とする請求項5記載の方法。
  7. 工程a)が請求項4にしたがって遊離の、すなわち複合体を形成していないSCINT PSAを測定することからなることを特徴とする請求項5記載の方法。
  8. 良性前立腺過形成(BPH)患者および/または前立腺癌(PCa)でない健康な男性被験者からPCa患者を識別するために有用なマーカー値を取得する方法であって、
    a)遊離および/または複合体を形成した、リジン145とリジン146との間で開裂したニックの入ったPSA(PSA−N)を、請求項1記載の抗体を用いて測定し、そして
    b)測定されたPSA−Nの濃度の関数からマーカー値を確立する
    工程からなることを特徴とする方法。
  9. 工程a)が請求項3にしたがってPSA−Nを測定することからなることを特徴とする請求項8記載の方法。
  10. 前記関数が他の形態のPSAおよび/またはヒト腺カリクレイン2(hK2)の濃度の関数でもあることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記他の形態のPSAおよび/またはhK2が、
    総PSA(PSA−T)、
    非複合体型、すなわち遊離のPSA(PSA−F)、
    ニックの入ったPSA(PSA−N)および
    ヒト腺カリクレイン2(hK2)
    からなる群から選択されることを特徴とする請求項10記載の方法。
  12. 前記測定されたSCINT PSAの濃度の関数または測定されたPSA−Nの濃度の関数が、SCINT PSAの濃度またはPSA−Nの濃度それ自体;またはSCINT PSAの濃度および/またはPSA−Nの濃度と遊離SCINT−PSA、遊離PSA−N、総遊離PSA、総PSAおよびhK2からなる群より選択される他のパラメーターとの組合せであることを特徴とする請求項10または11記載の方法。
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