JP5254097B2 - 植物病害防除剤 - Google Patents
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Description
このような病害は、農業生産に甚大な被害をもたらすことが問題となっている。
<1> 下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含有することを特徴とする植物病害防除剤である。
本発明の植物病害防除剤は、下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
以下、下記構造式(1)で表される化合物を「シグナーマイシン(signarmycin)A」、下記構造式(2)で表される化合物を「シグナーマイシン(signarmycin)B」と称することがある。
−シグナーマイシンA−
前記シグナーマイシンAの物理化学的性状としては、次の通りである。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C22H33NO4
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 398.2302 (C22H33NO4Naとして)
実験値 398.2296 (M+Na)+
(4) 比旋光度 : [α]D 20 = +65.74°(c=0.46、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2963、2873、
1689、1655、1603、1458、
1377、1340、1294、1234、
1207、1034
図1にシグナーマイシンAのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンAのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 221(sh)、285(12,300)
0.005M NaOH : 243(9,500)、285(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図2に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図3に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
前記シグナーマイシンBの物理化学的性状としては、次の通りである。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C23H35NO4
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 412.2458 (C23H35NO4Naとして)
実験値 412.2456 (M+Na)+
(4) 比旋光度 : [α]D 20 = +66.40°(c=0.42、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2956、2871、
1697、1655、1603、1458、
1377、1338、1292、1232、
1209、1034
図4にシグナーマイシンBのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンBのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 222(sh)、285(11,700)
0.005M NaOH : 243(9,500)、284(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図5に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図6に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
前記シグナーマイシンA、シグナーマイシンBの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成による方法、シグナーマイシンA、シグナーマイシンBを生産する微生物から入手する方法などが挙げられる。
前記シグナーマイシンA、シグナーマイシンBを生産する微生物としては、例えば、ストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)MK851−mF8株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター:受託番号 NITE P−612)が挙げられる。
また、前記植物病害防除剤中の前記シグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBの少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、製剤の剤型、使用方法に応じて適宜選択することができ、例えば、植物病害防除剤全体量に対して0.1質量部〜90質量部とすることができる。
前記植物病害防除剤中のシグナーマイシンAと、シグナーマイシンBとの配合比(シグナーマイシンA/シグナーマイシンB)としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、任意の農薬成分、農薬補助剤などが挙げられる。
前記植物病害防除剤中の前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記農薬成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の農薬の有効成分が挙げられる。
前記農薬としては、例えば、殺かび剤、殺細菌剤、抗ウィルス剤、植物抵抗性誘導剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、昆虫生育調整剤、昆虫誘引剤、除草剤、植物生長調整剤、共力剤、薬害軽減剤、鳥類忌避剤、肥料、土壌改良剤などが挙げられる。
前記農薬成分は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記農薬補助剤は、担体と、界面活性剤と、その他の補助剤とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記担体としては、農園芸用に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体担体、固体担体が挙げられる。
前記液体担体としては、例えば、水;イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;シクロヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのエーテル類;ケロシン、軽油などの脂肪族炭化水素類;キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、メチルナフタリン、ソルベントナフサなどの芳香族炭化水素類;N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類;脂肪酸のグリセリンエステルなどのエステル類;大豆油、ナタネ油などの植物油などが挙げられる。
前記固体担体としては、例えば、澱粉、活性炭、大豆粉、小麦粉、木粉、魚粉、粉乳などの動植物性粉末;タルク、カオリン、ベントナイト、ゼオライト、珪藻土、ホワイトカーボン、クレー、アルミナ、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫安などの鉱物性粉末などを用いることができる。
これらの担体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、ポリオキシエチレンアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどが挙げられる。
前記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェートなどが挙げられる。
前記陽イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩アルキルベタイン、アミンオキサイドなどが挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記粘結剤、増粘剤、固着剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
前記植物病害防除剤の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乳剤、懸濁剤、水和剤、水溶剤、液剤、ゾル剤(フロアブル剤)、顆粒水和剤、粉剤、細粒剤、粒剤、錠剤、油剤、噴霧剤、煙霧剤、エアゾール剤、ペースト剤などが好ましい。
前記各剤の製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
前記植物病害防除剤の施用方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記植物病害防除剤をそのまま、又は水等で希釈した状態の植物病害防除剤を、散布(例えば噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粉、散粒、水面施用、箱施用等)する方法、土壌施用(例えば混入、潅注等)する方法、表面施用(例えば塗布、粉衣、被覆等)する方法、浸漬する方法などが挙げられる。
前記植物病害防除剤の施用量としては、特に制限はなく、植物病害防除剤中の有効成分の濃度、製剤の形態、対象病害や作物の種類、病害による被害の程度、施用場所、施用方法、施用時期、混用あるいは併用する薬剤や肥料などの種類や使用量、気象などの種々の条件に応じて、適宜選択することができるが、1ヘクタール当たり、本発明の有効成分化合物量にして、1g〜100,000g程度が好ましく、10g〜10,000g程度がより好ましい。
また、前記植物病害防除剤の施用濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記植物病害防除剤が、液剤、乳剤、水和剤、ゾル剤(フロアブル剤)剤、顆粒水和剤など、水で希釈されて用いられる場合、その施用濃度は0.1質量ppm〜10,000質量ppm程度が好ましく、1質量ppm〜1,000質量ppm程度がより好ましい。
本発明の植物病害防除剤は、他の殺菌剤(殺かび剤、殺細菌剤、抗ウィルス剤、植物抵抗性誘導剤)、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、昆虫生育調整剤、昆虫誘引剤、除草剤、植物生長調整剤、共力剤、薬害軽減剤、鳥類忌避剤、肥料、土壌改良剤等との混用あるいは併用することもできる。
前記植物病害防除剤は、植物病原菌によるエンドガラクツロナーゼ(ペクチナーゼ)の産生抑制作用を有するものである。
前記植物病害防除剤により防除することができる植物病害としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、イネ内頴褐変病(Erwinia ananas)、イネ白葉枯病(Xanthomonas campestris pv. oryzae)、カンキツかいよう病(Xanthomonas campestris pv. citri)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、タマネギりん片腐敗病(Burkholderia gladioli)、ナス青枯病(Ralstonia solanacearum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、トマトかいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)などが挙げられる。
これらの中でも、前記植物病害防除剤は、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)に対し、特に好適である。
寒天斜面培地に培養したストレプトマイセス・エスピー(Streptomyces sp.)MK851−mF8株(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター:受託番号 NITE P−612)を、ガラクトース 2%、デキストリン 2%、グリセリン 1%、バクトソイトン(ディフコ社製) 1%、コーン・スティープ・リカー 0.5%、硫酸アンモニウム 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%を含む液体培地(pH7.0に調整)を三角フラスコ(500mL容)に110mLずつ分注して、常法により120℃で20分滅菌した培地に接種した。その後に30℃で4日間回転振とう培養し、種母培養液を得た。
前記粗精製物660mgを少量のメタノールに溶解し、C18逆層カラムクロマトグラフィー(Capcell pak UG120、内径30mm×長さ250mm、資生堂製)でシグナーマイシンAと、シグナーマイシンBとを分離した。即ち、展開溶媒としてアセトニトリル:水:トリフルオロ酢酸=60:40:0.001を用い、流速15mL/分でクロマトグラフィーを行うと、シグナーマイシンAは33分〜34分に、シグナーマイシンBは42分〜48分に溶出し、これらを集めて減圧下で濃縮乾固し、純粋なシグナーマイシンAを22.5mgと、シグナーマイシンBを206.4mgとを得た。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C22H33NO4
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 398.2302 (C22H33NO4Naとして)
実験値 398.2296 (M+Na)+
(4) 比旋光度 : [α]D 20 = +65.74°(c=0.46、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2963、2873、
1689、1655、1603、1458、
1377、1340、1294、1234、
1207、1034
図1にシグナーマイシンAのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンAのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 221(sh)、285(12,300)
0.005M NaOH : 243(9,500)、285(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図2に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図3に、シグナーマイシンAの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(1) 外観 : 無色粉末
(2) 分子式 : C23H35NO4
(3) マススペクトル(HRESI) :
計算値 412.2458 (C23H35NO4Naとして)
実験値 412.2456 (M+Na)+
(4) 比旋光度 : [α]D 20 = +66.40°(c=0.42、MeOH)
(5) 赤外線吸収スペクトル :
νmax(KBr)cm−1 : 3500−3200、2956、2871、
1697、1655、1603、1458、
1377、1338、1292、1232、
1209、1034
図4にシグナーマイシンBのKBr錠剤法で測定した赤外線スペクトルのチャートを示す。
(6)紫外線吸収スペクトル :
シグナーマイシンBのメタノール中での紫外線吸収のピークは、以下の通りである。
λmax nm(ε)
0.005M HCl : 222(sh)、285(11,700)
0.005M NaOH : 243(9,500)、284(13,000)
(7)プロトン核磁気共鳴スペクトル :
図5に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、600MHzにおけるプロトン核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
(8)炭素13核磁気共鳴スペクトル :
図6に、シグナーマイシンBの重クロロホルム中で30℃にて測定した、150MHzにおける炭素13核磁気共鳴スペクトルのチャートを示す。
前記実施例1で得られたシグナーマイシンBを添加(20質量ppm)したジャガイモ煎汁培地で軟腐病菌(Erwinia carotovora subsp. carotovora MAFF 301393)を3日間、27℃で静置培養した。十分生育したこの細菌懸濁液を用い、あらかじめ温室内で直径12cmの大きさのプラスチックポットで栽培したキャベツに針接種し、24℃の接種箱に入れた。接種の4日後に、病斑直径(cm)を測定し、防除効果を調べた。対照としてシグナーマイシンB無添加のジャガイモ煎汁培地で培養した細菌懸濁液を用い同様に試験した。試験の様子、及び結果を図7A〜図7Eに示す。
また、本試験は、1薬液濃度当り、1区1ポットの3連制で行った。その平均の防除効果の評価値を求め、1葉当りの病斑直径(cm)を表1に示す。
図7B、及び図7Cは、シグナーマイシンBを添加(20質量ppm)した細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの様子を示す図であり、図7Bはキャベツ全体の図であり、図7Cはキャベツの葉の拡大図である。図7C中、矢印は、針接種した部分を示す。
図7D、及び図7Eは、シグナーマイシンB無添加の細菌懸濁液を針接種し、4日後のキャベツの様子を示す図であり、図7Dはキャベツ全体の図であり、図7Eはキャベツの葉の拡大図である。なお、針接種した部分は、シグナーマイシンBを添加(20質量ppm)後培養した細菌懸濁液を針接種した場合と同じである。
Erwinia carotovora subsp. carotovora MAFF 301393(以下、「E. carotovora」と称することがある。)をLB培地で30℃、18時間培養した。培養液を遠心分離して培養液を除去した後、培養液の10分の1量の滅菌生理食塩水を加え、懸濁したものをE. carotovora菌体懸濁液として調製した。
E. carotovora菌体懸濁液を表2に示す試験培地に1mL接種した。この接種液を用いてシグナーマイシンAを100μg/mLから12.5μg/mLまで段階的に希釈し、各希釈段階の接種液を96ウェルマイクロプレートにそれぞれ300μL分注したものを30℃、4日間静置条件で培養した。培養終了後、培養液250μLに対して、0.05%ルテニウムレッド溶液、0.6M CaCl2溶液をそれぞれ75μL添加し混合した。遠心分離(13,000rpm、1分)により回収した上清について、遊離するルテニウムレッドを波長570nmで測定することによりペクチナーゼ活性を調べた。
生菌数の測定には、Bioplorer(Panasonic(株)社製)を用いて測定を行った。この結果を図8に示す。
各濃度のシグナーマイシンA処理区にて、生菌数は対照区である無添加区とほぼ同等であった。これよりシグナーマイシンAは、E. carotovoraの生育には影響を及ぼさずにペクチナーゼ産生を抑制していることが確認された。
E. carotovoraをLB培地で30℃、18時間培養した。培養液を遠心分離して培養液を除去した後、培養液の10分の1量の滅菌生理食塩水を加え、懸濁したものをE. carotovora菌体懸濁液として調製した。
E. carotovora菌体懸濁液を前記表2に示す試験培地に1mL接種した。この接種液を用いてシグナーマイシンBを100μg/mLから12.5μg/mLまで段階的に希釈し、各希釈段階の接種液を96ウェルマイクロプレートにそれぞれ300μL分注したものを30℃、4日間静置条件で培養した。培養終了後、培養液250μLに対して、0.05%ルテニウムレッド溶液、0.6M CaCl2溶液をそれぞれ75μL添加し混合した。遠心分離(13,000rpm、1分)により回収した上清について、遊離するルテニウムレッドを波長570nmで測定することによりペクチナーゼ活性を調べた。
生菌数の測定には、Bioplorer(Panasonic(株)社製)を用いて測定を行った。この結果を図9に示す。
各濃度のシグナーマイシンB処理区にて、生菌数は対照区である無添加区とほぼ同等であった。これよりシグナーマイシンBは、E. carotovoraの生育には影響を及ぼさずにペクチナーゼ産生を抑制していることが確認された。
ポリガラクツロン酸を0.25%含む25mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)900μLに同緩衝液に溶解した0.25unit/mLのAspergillus niger由来ペクチナーゼ溶液を100μLと、シグナーマイシンB 50μg/mLを加えた。なお対照区としてペクチナーゼのみを加えた酵素添加区、シグナーマイシンBとペクチナーゼの両方を添加しない無添加区を調製した。
各サンプルを37℃で加温処理し、経時的に処理液を回収した。これらについて、前記試験例2、及び3と同様に遊離するルテニウムレッドを波長570nmで測定することによりペクチナーゼ活性を調べた。この結果を図10に示す。
図10より、シグナーマイシンB添加区、酵素添加区の両区でポリガラクツロン酸の分解が確認された。これよりシグナーマイシンBは、Aspergillus nigerのペクチナーゼに対して酵素阻害活性を持たないことが認められた。
E. carotovoraを含む各種の微生物に対するシグナーマイシンA、及びシグナーマイシンBの抗菌スペクトルを、日本化学療法学会標準法に基づき、農研寒天培地上(表3)で倍数希釈法により測定した。最小発育阻止濃度(MIC)の測定結果を表4に示す。
シグナーマイシンB(20質量部)、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(3質量部)、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(5質量部)、及び白土(72質量部)の混合物を均一に混合し、粉砕することにより、活性成分を20質量%含有する水和剤を得た。
シグナーマイシンB(25質量部)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(1質量部)、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(1質量部)、カルボキシメチルセルロース(1質量部)、及び水(72質量部)の混合物を均一に混合することにより、活性成分を25質量%含有するゾル剤を得た。
Claims (2)
- 下記構造式(1)で表される化合物、及び下記構造式(2)で表される化合物の少なくともいずれかを含有することを特徴とする植物病害防除剤。
- 適用される植物病害が、アブラナ科作物の軟腐病(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、イネ内頴褐変病(Erwinia ananas)、イネ白葉枯病(Xanthomonas campestris pv. oryzae)、カンキツかいよう病(Xanthomonas campestris pv. citri)、キュウリ斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、タマネギりん片腐敗病(Burkholderia gladioli)、ナス青枯病(Ralstonia solanacearum)、イネ苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、イネ褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、及びトマトかいよう病(Clavibacter michiganensis subsp. michiganensis)から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の植物病害防除剤。
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