JP5254047B2 - ミシン - Google Patents
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Description
位置誤差の検出は、縫い上がりの縫製物に対する人による目視検査によることもあるが、目視検査は多大な労力を要する上、検出漏れを生ずることがある。そこで、縫い目をカメラで撮像し、撮像画像内の縫い目の位置と縫製データにおける当該縫い目の位置情報とに基づき目飛びの有無を判断する目飛び検出装置が知られている(例えば特許文献1)。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるミシン1の斜視図である。図2は、ミシン1の制御部40及び制御部40に接続された主要構成を示すブロック図である。
本実施形態のミシン1は、縫製データ51に従って針棒11の上下動タイミングと移動機構20による縫製物の移動タイミングとを制御して縫い目を形成するミシンである。以下の説明において、針棒11の上下動方向に対してほぼ垂直な平面に沿って直交する二方向のうち一方をX軸方向、他方をY軸方向とし、当該平面をX−Y平面と称する。
針棒11は、その下端で縫い針12を保持する。縫い針12は、上糸(図示略)を通すことができる糸通し穴(図示略)を有し、針棒11の上下動により縫い針12は縫製物に対して針落ち、針抜き動作を行う。針棒11の下方に位置する土台部3の上面には針穴を有する針板(図示略)が設けられ、縫い針12は針穴を挿通するように上下動する。針板の下方に位置する土台部3の内部には釜機構(図示略)が設けられており、針棒11の上下動と連動して回転することで縫い針12と協働して縫製物に縫い目を形成する。
移動機構20に縫製物を把持させる場合、布押え22を上昇させて下板21から離隔した状態とし、布押え22と下板21との間に位置するように縫製物を下板21に載置する。その後、布押え22を下降させて布押え22と下板21とにより縫製物を上下から挟みこんで把持する。布押え22及び下板21に把持された縫製物は、X軸モータ25及びY軸モータ26の駆動により布押え22及び下板21がX−Y平面に沿って移動することにより、当該平面に沿って移動する。つまり、X軸モータ25及びY軸モータ26は「二つの駆動モータ」として機能する。
操作パネル30に対する入力操作を介して、後述する縫製データ51の選択や、縫製動作開始の指示を行うことができる。
次に、制御部40について説明する。制御部40は、ミシン1の動作に関する各種演算処理を行うCPU41と、CPU41が行う処理において生じる一時データを格納するRAM42と、CPU41が行う処理において読み出される各種プログラム、データ等を書き換え不能に記憶するROM43と、CPU41が行う処理において読み出される各種プログラム、データ等を書き換え可能に記憶するEEPROM44と、を備える。
次に、縫製データ51及び縫製データ51に基づくミシン1の縫製動作について説明する。図3は表示部31に表示された縫製データ51の針落ち位置情報の一例である。
縫製データ51は、縫製物に対して予め定められた縫い目を形成するための針落ち位置の情報を有する。縫製データ51の各針落ち位置は布押え22及び下板21のX−Y平面上の所定位置(原点P)からの距離に関する情報を有する。最初の針落ち位置は原点PからのX軸方向及びY軸方向の距離に関する情報を有し、二針目以降の針落ち位置は、直前の針落ち位置に対するX軸方向及びY軸方向の距離に関する情報を有する。つまり、縫製データ51が示す針落ち位置は直前の針落ち位置に対する相対位置情報である。制御部40は、最初の針落ち位置から二針目以降の針落ち位置情報を積算して記憶、管理することにより、絶対位置情報も得ることができる。各針落ち位置には、針落ちの順番を示す針落ち番号が付加されている。針落ち番号は、最初の針落ち位置の針落ち番号をゼロとした順増の整数値である。
次に、針落ち位置の位置誤差の有無の判定について説明する。
縫製動作中、縫製データ51が示す各針落ち位置の位置情報に対して実際の針落ち位置が誤差を生じることがある。つまり、各針落ち位置に対応したX軸モータ25及びY軸モータ26の回転角度に対して、その針落ち位置に対する針落ちが行われた際のX軸モータ25及びY軸モータ26の回転角度が偏差を生じることがある。CPU41は、X軸エンコーダ28及びY軸エンコーダ29の検出結果に基づき、縫製データ51が示す各針落ち位置の位置情報に基づくX軸モータ25及びY軸モータ26の回転角度と針落ち時のX軸モータ25及びY軸モータ26の回転角度との偏差を算出する(「誤差検出手段」としての機能)。CPU41は、偏差の算出をX軸モータ25、Y軸モータ26のそれぞれの回転角度について行い、少なくともいずれか一方の偏差が偏差検出閾値D以上であった場合にその偏差を生じた針落ちが位置誤差を生じたと判定する(「判定手段」としての機能)。CPU41は、位置誤差を生じた針落ちについて、その針落ち位置番号と針落ち時のX軸方向及びY軸方向の偏差とを関連付けて偏差記録バッファ44aに記録する。
図4に示すように、偏差検出閾値が「10」の場合、図5に示すように、偏差記録バッファ44aに記録される位置誤差の針落ち情報は、X軸方向の偏差(偏差X)、Y軸方向の偏差(偏差Y)の少なくともいずれか一方の偏差が10以上である。なお、偏差検出閾値の単位ならびに偏差X及び偏差Yの数値及び単位は任意であるが、本実施形態では回転角度を検出するに際し各エンコーダが出力するパルス数である。
以上のように、偏差記録バッファ44aを有するEEPROM44は「誤差針落ち位置情報記憶手段」として機能する。
CPU41は、主軸エンコーダ7が検出する主軸の回転角度を監視して針棒11の上下動位置が所定の位置(縫い針が布から抜けている所定のタイミング)の時に移動機構20による送り動作を制御する。具体的には、主軸の回転角度が所定のデータ出力角度を上回ると、CPU41は次の針落ち位置の位置情報を読み出す。その後、主軸の回転角度が所定の送り開始角度を上回ると、そのときのX軸モータ25及びY軸モータ27の回転角度をX軸エンコーダ28及びY軸エンコーダ29により検出し、その後に送り動作を行う。そして、CPU41は送り動作後にさらにその次の針落ち位置の位置情報を読み出すタイミングまでに、X軸エンコーダ28及びY軸エンコーダ29の検出結果に基づき針落ち位置の位置誤差の有無を判定し、位置誤差があった場合には偏差記録バッファ44aに記録する。例えば、二針目の位置情報を読み出した後、二針目の針落ちのための送り動作前にX軸エンコーダ28及びY軸エンコーダ29の検出結果を得ることで最初の針落ち(一針目)が行われた際のX軸モータ25及びY軸モータ27の回転角度を得、その後二針目の針落ちから三針目の位置情報の読み出しまでの間に一針目の位置誤差の判定及び位置誤差時の記録を完了させる。なお、各針落ち位置のX軸エンコーダ28、Y軸エンコーダ29の検出結果を記憶しておき、縫製動作後に一括で位置誤差判定を行ってもよい。
データ出力角度及び送り開始角度はROM43又はEEPROM44のいずれか一方に記憶されており、縫製動作開始時にCPU41に読み出される。
本実施形態では、縫製動作が続くに従ってX軸モータ25、Y軸モータ26の回転角度の偏差が徐々に大きくなった結果位置誤差を生じた結果、絶対位置座標として位置誤差を生じた場合には、CPU41はその針落ち位置が位置誤差を生じたものとして判定する。例えば、一針目が位置情報通りであり、二針目以降に偏差X、偏差Yの少なくともいずれか一方が2ずつ偏差を増加させていった場合、六針目に位置誤差を生じることとなる。この場合、六針目は五針目に対して偏差を2しか生じさせていないので相対的に位置誤差を生じていないことになるが、位置誤差が累積されたことにより、縫製データ51の位置情報に基づく六針目の絶対位置に対しては偏差の累積により位置誤差を生じている。この場合、CPU41は六針目について位置誤差が生じたものと判定する。
相対位置誤差と絶対位置誤差の複合判定条件は、任意に定められる。例えば、相対位置誤差の判定のための閾値と、絶対位置誤差の判定のための閾値を個別に設け、いずれか一方または両方の閾値以上となった場合に位置誤差を生じたものと判定するようにしてもよいし、他の判定方法によってもよい。無論、相対位置誤差又は絶対位置誤差のいずれか一方のみを判定するようにしてもよい。
次に、位置誤差を生じた針落ち位置に関する情報の表示について説明する。
縫製データ51に基づき行われた縫製作業について、位置誤差を生じた針落ちがあった場合、制御部40は位置誤差を生じた針落ち位置を示す画面(エラーイメージ表示画面)を操作パネル30の表示部31に表示させる。つまり、表示部31は「表示手段」として機能する。
図6に、エラーイメージ表示画面の一例を示す。
図6に示すように、エラーイメージ表示画面は、縫製データ51に設定された全ての針落ち位置の位置関係を画面上の点で表示すると共に、そのうち縫製動作において位置誤差を生じた針落ち位置と位置誤差を生じていない針落ち位置とを識別可能な状態で表示する。本実施形態では、位置誤差を生じた針落ち位置に対応する点を、他の針落ち位置と異なる色で表示する。なお、図6では位置誤差を生じた針落ち位置を円(内部が空白の点)で、位置誤差を生じていない針落ち位置を点で示しているが、実際の表示画面では位置誤差を生じた針落ち位置を赤色、位置誤差を生じていない針落ち位置を黒色で表示する等により識別可能とする。無論、位置誤差の有無を識別できれば表示方法は問わない。
上記処理により、制御部40のCPU41は誤差表示制御手段として機能する。
オペレータによって移動機構20に縫製物がセットされ、操作パネル30の入力を介して縫製データ51が選択されて縫製動作開始の指示入力がなされると、CPU41は針数カウンタAを初期値ゼロで設定する(ステップS1)。その後、オペレータによりペダル8の踏み込み動作が行われると、CPU41はミシンモータ6を駆動して主軸を回転させる(ステップS2)。
CPU41は、針落ち番号を参照するためのポインタCを初期値ゼロで設定する(ステップS21)。そして、CPU41はポインタCの針落ち番号の針落ち位置の位置情報を縫製データ51から取得する(ステップS22)と共に、その針落ち番号のデータが偏差記録バッファ44aに記録されているか否か判定する(ステップS23)。ポインタCの針落ち番号のデータが偏差記録バッファ44aに記録されている場合(ステップS23:YES)、その針落ちを示す点を赤色で表示部31に描画する(ステップS24)。ポインタCの針落ち番号のデータが偏差記録バッファ44aに記録されていない場合(ステップS23:NO)、その針落ちを示す点を黒色で表示部31に描画する(ステップS25)。
本実施形態によれば、縫製データ51に基づく針落ち位置と縫製物に形成された縫い目の針落ち位置との誤差が偏差検出閾値D以上であるとCPU41が判定した場合、CPU41はその針落ち位置が位置誤差を生じたものと判定し、EEPROM44の偏差記録バッファ44aにその針落ち位置及びその針落ち位置が有する誤差を示す情報を記憶する。そして、CPU41はエラーイメージ表示画面を表示部31に表示する。これによって、オペレータは位置誤差を生じた針落ち位置の有無を把握することができると共に、位置誤差を生じた針落ち位置がどの針落ち位置であるかを把握することができる。よって、縫製パターンで位置誤差を生じやすい針落ち位置の特定、把握を行うための目視検査が不要となり、目視検査に伴う多大な労力の消費や縫製不良の検出漏れを生ずることがある問題点を解消でき、位置誤差を生じた針落ち位置の選別が容易となる。
なお、本発明によるミシンは、本発明の特徴を逸脱しない範囲で上述の実施形態とは異なる実施形態をとってもよい。
例えば、CPU41がソフトウェア処理によって行っている各種処理について、その一部又は複数の処理を担うための専用の装置を設けてもよい。また、アナログ回路によってもよい。
11 針棒
12 縫い針
20 移動機構
21 下板
22 押え板
25 X軸モータ
26 Y軸モータ
28 X軸エンコーダ
29 Y軸エンコーダ
30 操作パネル
31 表示部
40 制御部
41 CPU
44 EEPROM
Claims (4)
- ミシンモータにより回転駆動される主軸と、
前記主軸と連結されて前記主軸の回転角度に応じて上下動する針棒と、
前記針棒の下方で縫製物を保持する保持部を前記針棒の上下動方向と直交する平面に沿って移動させる移動機構と、
前記縫製物に形成する縫い目の針落ち位置に関する情報を含む縫製データを記憶する縫製データ記憶手段と、
前記縫製データに基づき前記ミシンモータ及び前記移動機構の動作を制御する制御部と、を備えるミシンにおいて、
各針落ち位置について前記縫製データに基づく針落ち位置と前記縫製物に形成された縫い目の針落ち位置との誤差を検出する誤差検出手段と、
所定の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
前記誤差が前記所定の閾値以上か否か判定する判定手段と、
前記誤差が前記所定の閾値以上の場合、当該誤差を生じた縫い目の針落ち位置を示す情報を記憶する誤差針落ち位置情報記憶手段と、
前記縫製データに基づく縫製パターンの表示を行うと共に、前記誤差を生じた針落ち位置と誤差を生じていない針落ち位置とを視覚的に識別可能に表示手段に表示させる誤差表示制御手段と、を備えることを特徴とするミシン。 - 前記判定手段は、前記縫製データにおいて所定の原点を基準として定められた絶対位置としての針落ち位置とその針落ち位置に対応する前記縫製物に対する針落ち位置との誤差により判定することを特徴とする請求項1記載のミシン。
- 前記判定手段は、前記縫製データにおいて連続する二箇所の針落ち位置間の相対位置関係と前記縫製物に施された縫い目において当該二箇所の針落ち位置に対応する縫い目の針落ち位置間の相対位置関係との誤差により判定することを特徴とする請求項1記載のミシン。
- 前記移動機構は、前記保持部を前記針棒の上下動方向と直交する平面に沿い、かつ、直交する二方向のそれぞれに駆動する二つの駆動モータと、
前記二つの駆動モータのそれぞれに設けられ、各駆動モータの回転軸の回転角度を検出する二つの回転角度検出手段と、を備え、
前記誤差検出手段は、前記二つの回転角度検出手段によって検出された回転角度に基づき前記誤差を検出することを特徴とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のミシン。
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