JP5252409B2 - 微細気泡発生装置 - Google Patents
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Description
これらの目的のためには、気泡の浮力を小さくして液中により長く滞留させ、かつ液体と接触する表面積をより大きくして反応効率を上げるように、気泡のサイズはできるだけ微細にすることが望ましい。
しかし、これらの方法においては、設備のコストが嵩みメンテナンスも面倒であるのみならず、単に細孔から放出したり水中で混合撹拌した程度では、微細化作用が不十分で発生気泡は比較的大きいままであり、微細気泡の発生は困難であるという欠点があった。
(1)液体と気体を混合して加圧し、液体中に気体を溶解させたのち、その気液混合体を減圧することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献1参照)
(2)ノズルから液体を急速に噴出させつつ気体を混入することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献2参照)
(3)容器内で液体の旋回流を発生させて、混入気体を撹拌・剪断することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献3参照)
(4)静止型ミキサーを設置して、その邪魔板や衝突突起に気液混合体を衝突させ撹拌することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献4参照)
(1)は、加圧タンクなどの設備そのものが大規模になってコスト高となる上、加圧に時間もかかり不経済である。
(2)は、液体と気体をノズルから噴出させているだけなので、微妙な調節を要し、微細気泡を短時間に大量に発生させることは難しい。
(3)は、微細気泡の安定的発生のためには微妙な調節を要し、無人の長時間運転は難しい。又、渦巻き状の流入路を備えたサイクロン式の旋回機構が用いられており、液体自身の運動エネルギーによる旋回力に頼ったものであるために、エネルギー不足により十分な旋回力が得られない場合があり、微細気泡を短時間に大量に発生させることは難しい。
(4)は、単純な衝突に頼るので微細化作用が十分でない。又、静止型ミキサーの抵抗によるエネルギーロスが大きく、それだけ気液混合体を送り込むための動力を必要とする。
更には、食品や高純度液を取り扱うプロセスに適用する場合に、洗浄が容易でないという問題がある。通常このような目的に使用される装置は、「サニタリー仕様」として、接液表面が平滑に仕上げされるのみならず、定置洗浄(分解しないまま内部洗浄)、分解洗浄及び再組立が簡単に行える構造となっていることが必須であるが、従来技術の装置では、複雑な構造であったり流路中に隘路があったりするため、分解作業は煩雑であり、定置洗浄により接液部を影なく洗浄することも困難である。又、目詰まりも起こりやすい。
このように、上記の従来技術のいずれも、コストと性能という両面での限界があるという課題があった。
流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなるよう形成されていることを主な特徴としている。
又、この発明に係る装置は、
流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、撹拌羽根部については、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなる一方、吐出羽根部については、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも外向きとなるよう形成されていることを主な特徴としている。
又、この発明に係る装置は、
流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、撹拌羽根部については、放射羽根形状となる一方、吐出羽根部については、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなるよう形成されていることを主な特徴としている。
又、この発明に係る装置は、
流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、吐出羽根部において、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなる羽根と、反射方向が回転接線方向よりも外向きとなる羽根とが、交互に配置され併存していることを主な特徴としている。
又、前記羽根車の回転中心線の近傍に通気口が設けられ、該通気口は、真空装置、気体注入装置、大気開放口のいずれかに連通されてもよい。
内蔵の羽根車は、気液混合・気泡の微細化を併せて行い、微細気泡を発生させるのみならず、ポンプ作用により流体に吐出圧力を与えることも、自吸することもできる。
又、構造が簡単で、装置が小型でも大型でも安価に製造でき、サニタリー仕様を満足できる定置洗浄や分解洗浄が容易に行えて、多様な用途や液質にも適用できる。
送液用のポンプ12の吸込側の流路中に微細気泡発生装置が介設されており、流体入口aと流体出口bとを備えた容器1の中には、適宜の枚数の羽根を備えた羽根車2が設けられ、該羽根車2は、容器1を密封的に貫通する回転軸3を介して原動機6によって回転駆動される。
又、流体入口aの側には、入口弁8と、ポンプ12のポンプ作用による揚液の流れに伴って混入される気体の量を調節するための気体注入弁7が設けられている。
又、容器1の内壁部についても、流体を撹拌するための凹凸部もしくは凹凸部材を備えることが好ましく、本実施例においては、その一例として、板状の凹凸部材1uを容器1の内壁に沿って配置してあるが、このほかにも、各種の凹凸部を形成したり凹凸部材を装着してもよい。
そして、羽根車2と凹凸部材1uとの間隙は小さく設定されている。従って、凹凸部2u及び凹凸部材1uによる撹拌・剪断効果に加え、羽根車2と凹凸部材1uとの間隙が小さいことによる両部材間での剪断も強力に働くこととなり、これらが相まって、気泡の微細化が極めて強力に行われるものである。
なお、空洞受け15は、気泡が羽根車2の中央部近傍に集積し竜巻状空洞を形成した場合に、その竜巻状空洞の尾底部を受け止めて効率よく通気口eに導くためのものである。
真空装置9は、液封式真空ポンプでもよいし、その他の形式の真空ポンプでも負圧発生装置でもよく、気体注入装置10は、コンプレッサーでもよいし、その他の形式の圧力発生装置でもよい。
その際に、揚液及び気泡は羽根車2によって強制的に旋回させられ、しかも羽根車2から旋回エネルギーを与えられ続けるので旋回エネルギー不足となることもなく、単なるサイクロン式等に比べるとはるかに強力な旋回力が発生する。
又、本実施例の羽根車2の形状は、一般のポンプ羽根車のようなポンプ効率を考慮した抵抗・損失の少ない流線型の遠心羽根と比較すれば、正反対とも言うべき性質を備えている。即ち、意図的に効率を下げ、抵抗を増やし、乱流を生むように形成されたものであり、従って極めて強力な渦流・乱流が得られる。
更には、渦流・乱流はキャビテーションをも発生させ、それによって更なる気泡の破壊と微細気泡の発生が促進される。これらが相まって、気泡の微細化が極めて強力に行われるのである。
即ち、本装置を定置洗浄する場合には、容器1が一体的で仕切り壁や狭隘部のないわずか1つの室空間を形成しているため、本装置を運転しながら流体入口aから洗浄液を注入して、流体出口b及び通気口e(大気開放口gに連絡)から排出させることにより、簡単にしかも隅々までくまなく洗浄することができる。
又、本装置を分解洗浄する場合には、容器1を例えば図示のように胴体部と蓋部とに分割可能にしておくことにより、簡単にしかも中の部材が引っ掛かることなく分割でき、分割時には羽根車2が全て露出するので、接液部を影なく洗浄することができ、再組立も容易である。
又、揚液は羽根車2によって強制的に旋回させられるので、流体入口aについては、その流路形状や流入角度は適宜に選択して差し支えなく、本図中には、流体入口aの流路が羽根車2の回転方向に沿って巻き込まれる形状に形成されたものが例示されている。
流体入口aと流体出口bを備えた容器(ケーシング)は、1aと1bとに分割可能で、且つそれらが接合されたときには略円筒状の1つの室を構成するように形成され、このケーシング1a;1bの中には、適宜の枚数の羽根を備えた羽根車2が設けられている。羽根車2は、ねじ込み式あるいは図示のような羽根車ナット2nにより回転軸3に装着される。回転軸3は、軸受部5に支持され、軸封部4によりケーシング1bを密封的に貫通しており、図示しない原動機によって回転駆動される。
又、流体入口aの側には、入口弁8と、本装置のポンプ作用による揚液の流れに伴って混入される気体の量を調節するための気体注入弁7が設けられている。
回転軸3の軸封部4及び軸受部5はケーシング1bの側に付設したものを図示したが、逆にケーシング1aの側に付設してもよく、この場合は回転軸3が通気口e部分を貫通するよう設計すればよい。
その他の構成及び作用は第1実施例と同様である。
本実施例は、第2実施例の装置における羽根車2について、乱流を発生させる羽根形状の他の一例として、撹拌羽根部2mについては、第2実施例と同様に、羽根に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなるよう形成する一方、吐出羽根部2dについては、通常のポンプ羽根車と同様に、羽根に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも外向きとなるよう形成することによって、流体中に相反する方向の動きをあえて生み出すようにしたものである。
そして、ケーシング内に流体が流入する箇所、すなわち流体入口aや洗浄液注入口cについては、その流路形状や流入角度は適宜に選択してよく、例えば流体入口aがケーシング1a内に接線方向から巻き込まれる流路形状に形成されることなく単純に開口したものでもよいことが例示されている。
その他の構成及び作用は第2実施例と同様である。
本実施例は、第2実施例の装置における撹拌羽根部2mについて、流体入口aの延長線上の部分をほぼ取り去ったものである。この場合も、依然として羽根車2としては共通ボス部を有する一体構造のままで回転軸3からの引き抜き分解は簡単なので、洗浄効率は高い上、揚液が流体入口aから抵抗なくケーシング1a内に流入できるようになるので、処理流量等の性能の向上が図れる。
その吐出羽根部2dについては、吐出圧力の得やすい側板(シュラウド)付きとし、又、側板付きの場合でも、その側板の周縁部に適宜の形状、個数の切り欠きを形成し、側板前後を連通させることによって、定置洗浄の際に洗浄液注入口cから注入される洗浄液が滞留することなくスムーズにドレン口dに向かって流れて行けるよう配慮したものを例示した。
その他の構成及び作用は第2実施例と同様である。
円筒状部材2cの内側には、揚液の連れ回り促進のための凸状部、リブ、羽根などを配設してもよい。
その他の構成及び作用は第4実施例と同様である。
容器(ケーシング)の分割箇所については、各図に図示した箇所に限らず、設計上適宜の箇所を選択してよい。分割数についても、2分割に限らず、分解及び洗浄の上で問題がなければ3分割以上にしてもよい。
又、回転軸3を回転させる原動機については、使用条件に応じて適宜選択してよい。例えば、本装置を水中モーターと一体構造にしてそのモーターの回転軸を本装置の回転軸3としてそのまま用いる方法をとれば、コンパクトになる上、洗浄時のモーター防水対策も不要となり、更には、本装置をモーターと共に液中に沈めて設置することも可能となる。
本装置の性能を更に向上させるために、羽根車2を多段としてもよいし、本装置を複数台連結配管して直列運転あるいは並列運転してもよい。又、真空装置や気体注入装置は、各種公知のものが適用でき、個数も1つに限らず任意の真空装置や気体注入装置を追加してもよい。
そこで、この渦流・乱流によるキャビテーションの発生と真空装置による排気に主眼をおいた運転方法(例えば、気体注入弁7などの気体注入経路は完全に閉鎖し、入口弁8は絞り気味としておく、など)を選択すれば、揚液中の溶存気体を析出させて気泡化し、その気泡を遠心分離して収集・排出することも可能である。このことは即ち、本発明の微細気泡発生装置が「微細気泡の発生」という目的のほかに、運転方法の変更によって「脱気・脱泡」の目的に使用することも可能であることを示唆している。
内蔵の羽根車は、気液混合・気泡の微細化を併せて行い、微細気泡を発生させるのみならず、ポンプ作用により流体に吐出圧力を与えることも、自吸することもできる。又、サニタリー仕様を満足できる定置洗浄や分解洗浄が容易に行える構造も備えて、多様な用途や液質にも適用できる。
本装置の用途は、気泡の微細化により液体中に気体を効率よく溶解させるなどの一般的用途のほかにも、気体を溶解させぬまま微粒化しておく用途、例えば泡状クリームの製造など、広い分野にわたる。
本装置は、構造が簡単で、故障が少なく耐久力があり、完全自動運転ができて管理上の手が掛からず、小型化も大型化も容易に且つ安価に実施でき、設備及び管理コストも極めて経済的であり、その実施効果は極めて大きい。
2…羽根車
2f…羽根車端部 2r…羽根車端部
2d…吐出羽根部 2m…撹拌羽根部 2u…凹凸部(凹凸部材)
2c…円筒状部材 2p…邪魔部材 2n…羽根車ナット
3…回転軸 4…軸封部 5…軸受部 6…原動機
7…気体注入弁 8…入口弁
9…真空装置 10…気体注入装置
11…保護手段 12…ポンプ
13;14…弁 15…空洞受け
a…流体入口 b…流体出口
c…洗浄液注入口 d…ドレン口
e…通気口 f…通気路 g…大気開放口
A…流体粒子の反射方向 B…回転接線方向 C…遠心力方向
Claims (6)
- 流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなるよう形成されていることを特徴とする、微細気泡発生装置。
- 流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、撹拌羽根部については、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなる一方、吐出羽根部については、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも外向きとなるよう形成されていることを特徴とする、微細気泡発生装置。
- 流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、撹拌羽根部については、放射羽根形状となる一方、吐出羽根部については、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなるよう形成されていることを特徴とする、微細気泡発生装置。
- 流体入口と流体出口を備えたケーシング内に、回転する羽根車を備え、該羽根車は、流体の撹拌を行う撹拌羽根部と、流体に吐出圧力を与えるよう拡径された吐出羽根部とが一体的に形成されており、この吐出羽根部に相対するケーシング部位に流体出口が配置され、撹拌羽根部に相対するケーシング部位に流体入口が配置され、かつ、該羽根車の羽根形状は、吐出羽根部において、回転中に衝突する流体粒子の反射方向が回転接線方向よりも回転中心寄りとなる羽根と、反射方向が回転接線方向よりも外向きとなる羽根とが、交互に配置され併存していることを特徴とする、微細気泡発生装置。
- 前記ケーシングの内壁部には、凹凸部もしくは凹凸部材を備え、該凹凸部もしくは凹凸部材と前記羽根車との間隙が小さく設定されたことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
- 前記羽根車の回転中心線の近傍に通気口が設けられ、該通気口は、真空装置、気体注入装置、大気開放口のいずれかに連通されたことを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
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