JP6173043B2 - 撹拌機及びその洗浄方法 - Google Patents
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Description
また、液体の流れを剪断するために設けられている棒状の腕翼棒(特許文献1参照。)は、液体の流れと同じ方向に、かつ、液中で回転することになるため、液体の性状や液体に混入される固形物の性状によっては、十分な剪断効果、ひいては、液体の混合や溶解効果を得にくいという問題があった。
これにより、撹拌機の製造コストが上昇したり、撹拌槽内の構造が複雑になるため、撹拌機の洗浄に手数を要するといった従来の撹拌機の有する問題点を解消することができる。
この撹拌機は、円筒状の側壁を備えた撹拌槽1に貯留された液体に、撹拌槽1の側壁に沿う上昇流と撹拌槽1の中心付近で下降する下降流とからなる、流れに回転方向の成分を含む循環流を発生させる回転撹拌手段、具体的には、上部回転撹拌手段2と、下部回転撹拌手段3とを備え、上部回転撹拌手段2には、撹拌槽1の内面に摺接するスクレーパ4を配設し、さらに、循環流に剪断力を作用させるバッフル、具体的には、上部バッフル5aと、下部バッフル5bを、撹拌槽1内に撹拌槽1の側壁から離れた位置に鉛直方向に配設するようにしている。
このため、底壁は、液体の排出を円滑にできるように、コニカル(円錐台又は円錐)で構成しているが、平板又は鏡板で構成することもできる。
また、側壁は、必要に応じて、ジャケット構造(図示省略)とし、ジャケット内に熱媒体を流通させることにより、撹拌槽1に貯留された液体を加熱又は冷却するようにすることができる。
底翼21は、撹拌槽1の周壁の内径に対して0.70〜0.98倍、好ましくは、0.90〜0.95倍程度の翼径を有するとともに、撹拌槽1の底壁に対して均一で微小な隙間を維持して回転するように、下辺を撹拌槽1の底壁に沿った形状に形成し、隙間の寸法は、撹拌槽1の周壁の内径の0.02〜0.05倍程度となるように設定するようにしている。
ここで、底翼21は、翼径をできるだけ大きくした方が、また、撹拌槽1の底壁と底翼21の隙間はできるだけ小さくした方が、撹拌効率が向上し、低速の回転による撹拌が可能となる(これにより、例えば、焼肉のたれの粒ゴマは壊さずに形状を維持するようにすることができる。)が、スクレーパ4を取り付ける際の作業性等を考慮して設定するようにする。
また、底翼21には、後述の撹拌槽1の底壁に設けた下部回転撹拌手段3及び下部バッフル5bと干渉しないように切欠部22、23を形成するようにしている。
ここで、上記切欠部22、23は、できるだけ小さくした方が、撹拌効率が向上し、低速の回転による撹拌が可能となるが、ブレによる干渉や摩耗、メンテナンスの際の作業性等を考慮して設定する(例えば、下部回転撹拌手段3に対応する切欠部22の上端は、撹拌槽1の底壁から撹拌槽1の周壁の内径の0.15〜0.25倍程度が好ましい。)ようにする。
回転撹拌手段3は、具体的には、撹拌槽1の中心軸の下方から鉛直方向に配設した回転軸30の上端に設けた固形物を粉砕するためのカッタ歯31と、その下方に設けた撹拌槽1に貯留された液体に下降流を生じさせる半椀状の液体導入部32aを形成した円板32と、液体導入部32aから導入された液体に剪断力を作用させて分散や乳化を行う円板32に下向きに垂設した回転子33aと、撹拌槽1の底壁に上向きに垂設した固定子33bとで構成するようにしている。
ここで、回転子33a及び固定子33bは、周面に多数のスリットや小孔を形成した円筒体や隙間をあけて円形に配列したバー部材で構成するようにしている。
この場合、下部回転撹拌手段3の回転軸30の回転数は、上部回転撹拌手段2の回転軸20の回転数よりも高速回転するように、それぞれの駆動手段(いずれも図示省略)を構成するようにする。
また、カッタ歯31、液体導入部32aを形成した円板32、回転子33a及び固定子33bの形状や設置の有無は、適宜選択することができ、例えば、固形物の粉砕の有無及びその程度、液体の混合と粉体の溶解(ダマをつぶす)の程度、乳化の有無等に応じて任意に決定することができる。
この場合、スクレーパブレード42は、撹拌槽1の周壁又は底壁に摺接するように設置するほか、撹拌槽1の周壁又は底壁と微小な隙間を隔てて移動するように設置することもできる。
なお、スクレーパブレード42が、撹拌槽1の周壁又は底壁に摺接する場合には、スクレーパブレード42の周速が3m/s以下となるように上部回転撹拌手段2の回転軸20の回転数を設定し、スクレーパブレード42の極度の摩耗を防止することが好ましい。
このため、上部バッフル5aは、撹拌槽1の上壁若しくは上蓋又は撹拌槽1の側壁に設けたブラケット(いずれも図示省略)から下向きに垂設するようにする。
なお、上部バッフル5aは、溶接により固設するほか、着脱可能に配設することもでき、これよりの配設位置や配設数を変更することができる。
この場合、上部バッフル5aは、端部を閉塞したパイプ、丸棒、断面形状が正方形、長方形、六角形等の多角形、半円形等の曲面を含む異形の棒状の部材や平板(湾曲したものを含む。)等の板状の部材で構成することができるが、撹拌槽1をCIP(Cleaning in Place=定置洗浄)することを考慮すると、洗浄性の良いパイプ又は丸棒で構成することが好ましく、また、剪断作用を高めるためには、断面形状を大きくしたり、板状の部材をその長辺側が液体の流れの方向を向くように設置するようにする。
また、上部バッフル5aは、配設数を多くすることにより、剪断作用を高めることができるが、循環流に与える抵抗値の増加による循環流の流速の低下や原料投入口等のアクセサリ(図示省略)の撹拌槽1の上壁又は上蓋への配置等を考慮すると、配設数は1〜4程度とし、等角度間隔に配設するようにすることが好ましい。本実施例においては、配設数を2とし、直径が撹拌槽1の周壁の内径の0.03〜0.10倍、好ましくは、0.04〜0.08倍程度、下端が底翼21の上辺近傍に達する長さのパイプ又は丸棒を、同内径の0.6〜0.9倍、好ましくは、0.7〜0.8倍程度の円周上に、等角度間隔に配設するようにしている。
なお、下部バッフル5bは、溶接により固設するほか、着脱可能に配設することもでき、これよりの配設位置や配設数を変更することができる。
この場合、下部バッフル5bは、端部を閉塞したパイプ、丸棒、断面形状が正方形、長方形、六角形等の多角形、半円形等の曲面を含む異形の棒状の部材や平板(湾曲したものを含む。)等の板状の部材で構成することができるが、下部バッフル5bとの干渉を防止するために底翼21に形成する切欠部23との関係(切欠部23が大きくなると底翼21の撹拌力が低下することとなる。)から、小さい断面形状で高い剪断作用を得ることができる断面形状が多角形の棒状の部材や平板(湾曲したものを含む。)等の板状の部材で構成することが好ましい。
また、下部バッフル5bは、配設数を多くすることにより、剪断作用を高めることができるが、循環流に与える抵抗値の増加による循環流の流速の低下や排出部6、温度計、レベル計等のアクセサリの撹拌槽1の底壁への配置等を考慮すると、配設数は1〜4程度とし、等角度間隔に配設するようにすることが好ましい。本実施例においては、配設数を3とし、一辺が撹拌槽1の周壁の内径の0.03〜0.10倍、好ましくは、0.04〜0.08倍程度、撹拌槽1の周壁に対する上端の高さが同内径の0.2倍程度の角棒又は平板を、同内径の0.4〜0.6倍、好ましくは、0.45〜0.55倍程度の円周上に、等角度間隔に配設するようにしている。
撹拌槽1をCIPする場合は、下部バッフル5bが浸されるまで洗浄液を張り、底翼21を低速で回転させることで十分に洗浄することができる。
例えば、撹拌槽1の周壁及び底壁に物質が付着しにくい液体(粘度1000mPa・s以下の液体)を対象とし、撹拌槽1に貯留された液体を加熱処理しない場合は、スクレーパ4を省略することができる。
また、図2(a)に示す第1変形例のように、下部回転撹拌手段3を省略したり、図2(b)に示す第2変形例のように、上部回転撹拌手段2を省略したり、上部バッフル5a及び下部バッフル5bのいずれか一方を省略すること(図示省略)もできる。
なお、下部回転撹拌手段3や下部バッフル5bを省略する場合には、これらの機構と干渉しないように底翼21に形成するようにしていた切欠部22、23も省略するようにする。
・回転撹拌手段に、上部回転撹拌手段2及び多機能型の下部回転撹拌手段3を備えることにより、水相当の粘度の液体から、高粘度(粘度20000mPa・s以上)の液体を均一に混合でき、特に、多機能型の下部回転撹拌手段3によって、増粘材等の難溶性の粉体の溶解、水と油の分散や乳化、チョコレート、バター、チーズ、野菜等の固形物の破砕、ペースト化を併せて行うことが可能となり、また、少ない仕込量でもすべてのプロセスが可能となるため、1台の装置で性状の異なる多種類、少量の液体に対応し、多種類の製品、例えば、固形物入り製品やスラリー製品を製造することができる。
・循環流に剪断力を作用させる上部バッフル5a及び下部バッフル5bを、撹拌槽1内に撹拌槽1の側壁から離れた位置に鉛直方向に配設することにより、簡易な構造で、液体に十分な剪断作用を及ぼして、循環流の回転方向の成分から上下循環流を作り出すことができ、比重差の大きい固形物を混入した液体、例えば、粒ゴマを混入した焼肉のたれ、固形物の混入割合が高いスラリー状の液体、低粘度(粘度1000mPa・s以下)の固形物を混入した液体等を均一に混合撹拌することができる。これにより、撹拌機の製造コストが上昇したり、撹拌槽1内の構造が複雑になるため、撹拌機の洗浄に手数を要するといった従来の撹拌機の有する問題点を解消することができる。
・上部バッフル5aを、液面の上方から液中に垂設することにより、液面に浮上しやすい固形物を混入した液体、例えば、粒ゴマを混入した焼肉のたれを、液面に浮上した固形物を液中に引き込むようにして、均一に混合撹拌することができる。
・下部バッフル5bを、撹拌槽1の底壁から液中に垂設することにより、剪断作用を及ぼすことにより均一に混合撹拌した液体、例えば、粒ゴマを混入した焼肉のたれを、そのまま撹拌槽1の底壁に形成した排出部6から排出することができ、特に、バッチ処理の場合には、払い出しの最後まで液体に剪断作用を及ぼして均一に混合撹拌することができ、さらに、必要に応じて、撹拌槽から直接容器に充填するようにすることもできる。
・スクレーパ4を備えることにより、撹拌槽1の周壁及び底壁に付着した物質を掻き取るとともに、撹拌槽1の周壁及び底壁付近での液体の滞留を防止することができ、特に、撹拌槽1に貯留された液体をジャケット内に熱媒体を流通させることにより加熱処理する場合に、焦げが発生することを防止できる。
・底翼21の翼径を撹拌槽1の周壁の内径に対して0.70倍以上とすることにより、高粘度(粘度20000mPa・s以上)の液体を均一に混合できるとともに、撹拌効率を高めることができ、これにより、スクレーパブレード42の周速を3m/s以下となるように上部回転撹拌手段2の回転軸20の回転数を設定することが可能となり、スクレーパブレード42の極度の摩耗を防止することができる。
2 上部回転撹拌手段(回転撹拌手段)
20 回転軸
21 底翼
22 切欠部
23 切欠部
3 下部回転撹拌手段(回転撹拌手段)
30 回転軸
31 カッタ歯
32 円板
32a 液体導入部
33a 回転子
33b 固定子
4 スクレーパ
5a 上部バッフル(バッフル)
5b 下部バッフル(バッフル)
6 排出部
Claims (5)
- 回転撹拌手段により、円筒状の側壁を備えた撹拌槽に貯留された液体に、撹拌槽の側壁に沿う上昇流と撹拌槽の中心付近で下降する下降流とからなる、流れに回転方向の成分を含む循環流を発生させるようにした食品製造用の撹拌機において、
前記回転撹拌手段は底翼を備え、
循環流に剪断力を作用させる下部バッフルが、前記撹拌槽の側壁から離れた位置であって、前記撹拌槽の底壁から鉛直方向に垂設され、
前記底翼には前記下部バッフルが通過する切欠部が形成されることを特徴とする、食品製造用の撹拌機。 - 上部バッフルを、前記撹拌槽内に前記撹拌槽の側壁から離れた位置であって、鉛直方向下向きに垂設したことを特徴とする請求項1記載の食品製造用の撹拌機。
- 前記下部バッフルが、棒状又は板状の部材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の食品製造用の撹拌機。
- 前記上部バッフルが、棒状又は板状の部材からなることを特徴とする請求項2記載の食品製造用の撹拌機。
- 回転撹拌手段により、円筒状の側壁を備えた撹拌槽に貯留された液体に、撹拌槽の側壁に沿う上昇流と撹拌槽の中心付近で下降する下降流とからなる、流れに回転方向の成分を含む循環流を発生させるようにした食品製造用の撹拌機の洗浄方法において、
前記回転撹拌手段は底翼を備え、
循環流に剪断力を作用させる下部バッフルが、前記撹拌槽の側壁から離れた位置であって、前記撹拌槽の底壁から鉛直方向に垂設され、
前記底翼には前記下部バッフルが通過する切欠部が形成され、
前記下部バッフルが洗浄液に浸された状態で前記底翼が回転させられることを特徴とする、食品製造用の撹拌機の洗浄方法。
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