JP4979158B2 - 攪拌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は攪拌装置に関し、より詳しくは層流域から乱流域に至る攪拌操作条件下における攪拌処理を効率良く行うことのできる攪拌装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、中高粘度の液体混合等の攪拌処理を行うものとして、例えばアンカー翼を備えた攪拌装置(以下、「従来装置」という。)が広く用いられている。この従来装置は、竪型円筒状の攪拌槽の中心部に回転自在に垂設される攪拌軸を備え、この攪拌軸にその攪拌槽の底壁および側壁に沿う正面視略U字状に形成されたアンカー翼が装着されて構成されるものである。
【0003】
前記従来装置は、前記攪拌槽内の液体が一般に層流から乱流への遷移域での攪拌となる中高粘度液であっても、前記アンカー翼の回転によりその液全体を強制的に流動させることができるため、スラリー、中高粘度液の攪拌によく用いられている。また、前記アンカー翼の回転によって攪拌槽内壁近傍の液を強制的に更新できることから、攪拌槽壁からの伝熱性能が良好であるという特徴を有している。このため、反応を伴う攪拌処理にも用いられている。また、比較的低速で固液攪拌ができ、翼がスクレーパとして機能して攪拌槽内壁の付着物を掻き取ることができるという利点を有することから、晶析操作を伴う攪拌処理にも広く用いられている。
【0004】
一方、近年、高分子・無機材料の高機能化・高品質化に伴い、攪拌装置における混合等の性能についての要求はより厳しいものとなっている。また、多様化する製品を一台の攪拌装置により製造することが要求されている。また、反応操作においては、液粘度が低粘度から中高粘度に変化する場合がある。したがって、層流域から乱流域に至る攪拌操作条件下における攪拌処理を効率良く行うことのできる攪拌装置が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来装置においては、前記アンカー翼の回転で発生する流動は主に攪拌翼周りの旋回流であり、軸方向流れ(上下方向流れ)は発生しにくいため、総じて上下方向の混合速度が遅いという問題点がある。このため、一般に乱流域での攪拌となる低粘度液を攪拌する場合には、パドル翼、タービン翼、プロペラ翼等、低粘度液によく用いられる攪拌翼より混合性能が低い。また、一般に層流域での攪拌となる中高粘度液を攪拌する場合には、攪拌軸部分における軸方向流れが極端に少なくなるため、攪拌槽内に混合不良が発生する。したがって、一種類の攪拌装置で層流域から乱流域に至る攪拌操作条件下における攪拌処理を効率良く行うことが困難であるという問題点がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、低粘度液から高粘度液で層流域から乱流域に至る条件下における広範囲な領域の攪拌処理を効率良く行うことのできる攪拌装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明による攪拌装置は、
竪型円筒状の攪拌槽の中心部に回転自在に垂設される攪拌軸を備える攪拌装置において、
前記攪拌軸の下端部にアンカー翼を装着するとともに、前記攪拌槽内に円周方向に等ピッチで配される邪魔板を設けてなり、前記アンカー翼が、前記攪拌槽の底壁に沿って半径方向に延びる第1翼部と、この第1翼部の先端部から前記攪拌槽の側壁に沿って鉛直上方に延びる第2翼部とからなり、前記第1翼部における前記攪拌槽の底壁に直交する方向の巾を前記第2翼部における前記攪拌槽の側壁に直交する方向の巾に対して大きくすることにより、前記攪拌槽の底部においてより多くの液体を半径方向に吐出させるように構成し、前記邪魔板を、前記第2翼部の回転軌跡より前記攪拌槽の中心側で、かつその第2翼部が近接して通過するように第2翼部の下部まで延設し、
前記アンカー翼の回転により前記攪拌槽内に旋回流が発生し、この旋回する液体の一部が前記邪魔板で遮られて該邪魔板に沿う上下方向流れが生じるように構成することを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、前記攪拌槽内で半径方向に旋回する液体の一部は、前記邪魔板によって上下方向の流れに変換され、混合が促進されるという効果を奏する。また、その旋回する液体の回転速度は前記邪魔板によって抑制されるので、前記アンカー翼がその旋回する液体と共廻りするといった不具合を防止でき、その旋回する液体に所望の攪拌作用を付与することが可能となる。
【0009】
また、本発明によれば、前記邪魔板と前記攪拌槽側壁との間に挟まれた領域の液体には、前記第2翼部がその領域を通過する際におけるその第2翼部とその邪魔板との間に作用する剪断力と、その第2翼部とその攪拌槽側壁との間に作用する剪断力とが同時に付与されるので、その領域における混合が一層促進され、混合効率を向上させることができる。また、前記第2翼部が前記邪魔板および前記攪拌槽側壁に対して近接して通過するようにされているので、その邪魔板とその攪拌槽との間に挟まれた領域の液体には高剪断力が確実に付与されることとなる。このため、高粘度液を攪拌する場合においても、液の混合を促進することができる。以上述べたことから、本発明によれば、低粘度液から高粘度液の攪拌混合、すなわち層流域から乱流域に至る攪拌処理の効率を向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、前記第1翼部における前記攪拌槽の底壁に直交する方向の巾が前記第2翼部における前記攪拌槽の側壁に直交する方向の巾に対して大きくされているので、動力の低減を図りつつ、前記攪拌槽の底部において液体の半径方向への吐出流を増すことができ、これは、側壁近傍で上昇流となり槽内全体の旋回流を増す効果を奏する。
【0011】
本発明において、前記攪拌軸には、前記アンカー翼の上方に軸方向に沿って螺旋翼が設けられるのが好ましい(第2発明)。このようにすれば、前記攪拌軸の回転により、前記攪拌槽中心部の混合速度が遅い液部分も前記螺旋翼から軸方向の推進力が付与されるので、その攪拌槽中心部に軸方向流れを強制的に発生させることができる。したがって、高粘度液を攪拌する場合でも、前記攪拌槽中心部における上下方向の混合が確実に促進されるという効果を奏する。また、前記螺旋翼によって前記攪拌槽中心部の液体は強制的に攪拌槽底部に押し下げられる。この押し下げられた液体は、前記アンカー翼の第1翼部によって半径方向に吐出され、更に前記攪拌槽側壁に沿って界面付近まで押し上げられて前記攪拌槽上部中心部より吸い込まれる。すなわち、前記攪拌槽内において大きな軸方向循環流が形成されることとなる。その結果、この軸方向循環流と水平方向循環流(旋回流)との相互作用により、前記攪拌槽内の液体は槽内全体に隈なく流動されることとなり、層流域から乱流域に至る攪拌処理の効率をより向上させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による攪拌装置の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1には、本発明の第1の実施形態に係る攪拌装置の概略構成図が示されている。また、図2には、図1におけるX−X視要部断面図が示されている。また、図3(a)(b)には、本実施形態における槽内フローパターンが示されている。
【0016】
本実施形態の攪拌装置1は、図1に示されるように、底部が皿状に形成された竪型円筒状の攪拌槽2と、この攪拌槽2中心部に回転自在に垂設され、可変速電動機(図示省略)によって駆動される攪拌軸3と、この攪拌軸3の下端部に装着され、前記攪拌槽2の底壁および側壁に沿って回転可能に配されるアンカー翼4と、前記攪拌槽2内に円周方向に等ピッチで配設される2枚の邪魔板5,5とを備えて構成されている。
【0017】
前記アンカー翼4は、図1に示されるように、攪拌槽2の底壁に沿って半径方向に延びる第1翼部4aと、この第1翼部4aの先端部から攪拌槽2の側壁に沿って鉛直上方に延びる第2翼部4bとを備え、全体として正面視略U字状に形成されている。また、このアンカー翼4においては、第1翼部4aにおける攪拌槽2の底壁に直交する方向の巾t1が第2翼部4bにおける攪拌槽2の側壁に直交する方向の巾t2に対して大きくされている。これは、動力の低減を図りつつ、攪拌槽2の底部において、より多くの液体を半径方向に吐出させ、その攪拌槽2の側壁に沿って上昇する液体を増加させることにより、上下方向の混合促進が図られている。
【0018】
前記邪魔板5は、図1および図2に示されるように、前記第2翼部4bの回転軌跡より攪拌槽2中心側に配され、かつその第2翼部4bが近接して通過するように設けられる鉛直方向板部5aと、この鉛直方向板部5aの上部と連接され、半径方向に延びて一端部が前記攪拌槽2側壁に固定される水平方向板部5bとからなり、側面視において逆L字状に形成されている。
【0019】
次に、このように構成される本実施形態の攪拌装置1による攪拌・混合作用について説明する。
【0020】
可変速電動機(図示省略)の駆動によりアンカー翼4を図1中矢印R方向に回転させると、攪拌槽2内の液体はその回転方向に回転し、図3(a)に示されるように攪拌槽2内に旋回流Aが発生する。この旋回する液体の一部は前記邪魔板5で遮られ、図3(b)に示されるようにその邪魔板5に沿う上下方向流れBとなるため、攪拌槽2内における上下方向の混合が促進される。また、その旋回する液体の回転速度は前記邪魔板5によって抑制され、アンカー翼4とその旋回する液体との間には相対速度が生じるので、両者の共廻りが防止される。これにより、一般に乱流域での攪拌となる低粘度液でも、所望の攪拌作用を付与することができるとともに、上下方向の混合促進を図ることが可能となる。なお、図3(b)中記号Cは、アンカー翼4の第1翼部4aによる半径方向の吐出流により生じる循環流を示している。
【0021】
また、邪魔板5と攪拌槽2側壁との間に挟まれた領域の液体には、第2翼部4bがその領域を通過する際におけるその第2翼部4bとその邪魔板5とによる剪断力が付与されるとともに、その第2翼部4bとその攪拌槽2側壁とによる剪断力も付与されるため、その領域における混合が一層促進され、混合効率が向上する。また、第2翼部4bが邪魔板5および攪拌槽2側壁に対して近接して通過するため、邪魔板5と攪拌槽2側壁との間に挟まれた領域の液体には高剪断力が確実に付与されることとなり、一般に層流域での攪拌となる高粘度液であっても、液の混合が促進される。以上のことから、低粘度液から高粘度液の攪拌混合、すなわち層流域から乱流域に至る攪拌操作条件下での攪拌処理の効率が向上する。
【0022】
次に、本発明による攪拌装置の第2の実施形態について説明する。
【0023】
図4には、本発明の第2の実施形態に係る攪拌装置の概略構成図が示されている。また、図5には、本実施形態における槽内フローパターンが示されている。
【0024】
本実施形態の攪拌装置10は、前記第1実施形態の攪拌装置1に螺旋翼の一種であるヘリカルリボン翼11を2枚付加して構成されるものである。したがって、以下、本実施形態に特有の部分のみについて説明することとし、先の実施形態と共通する部分については図に同一符号を付し、その詳細な説明を省略することとする。
【0025】
前記各ヘリカルリボン翼11,11は、図4に示されるように、アンカー翼4の第1翼部4aの直上から上方に向かって液面近傍に至るまで、互いに180°の位相で対峙するように、攪拌軸3に沿って設けられている。そして、両ヘリカルリボン翼11,11は、4つのステー12を介して攪拌軸3に固定されている。また、各ステー12は、それぞれ攪拌軸3の回転に伴い回転するとその軸方向下方に吐出流が生じるように鉛直より所定角度(本実施形態では45°程度)傾けられた平板状のものである。すなわち、これらのステー12は、両ヘリカルリボン翼11,11を攪拌軸に固定するための固定部材であるとともに、傾斜パドル翼としての機能を有している。これにより、攪拌槽2中心部における混合が助長される。
【0026】
次に、このように構成される本実施形態の攪拌装置10による攪拌・混合作用について説明する。
【0027】
可変速電動機(図示省略)の駆動により、2枚のヘリカルリボン翼11,11が図4中矢印R方向に回転すると、攪拌槽2中心部の液体には両ヘリカルリボン翼11,11から軸方向下方の推進力が付与される。したがって、一般に層流域での攪拌となる高粘度液であっても、攪拌槽2中心部に軸方向下方流れを強制的に発生させ、攪拌槽2中心部における上下方向の混合が促進される。また、両ヘリカルリボン翼11,11によって押し下げられた液体は、アンカー翼4の第1翼部4aによって半径方向に吐出され、更に攪拌槽2側壁に沿って界面付近まで上昇し、そして攪拌槽2中心部に吸い込まれる。すなわち、図5に示されるように攪拌槽2内には大きな軸方向循環流Dが形成され、上下方向の混合が更に促進される。なお、この時、図3(a)(b)に示されるような液流れA、B、Cも同時に発生するので、これら全ての流れの相互作用により攪拌槽2内の液体は槽内全体に隈なく流動されることとなる。
【0028】
本実施形態によれば、攪拌槽2内の液体が高粘度液であっても、その攪拌槽2の中心部に強制的な軸方向下方流れが形成され、またその攪拌槽2内に大きな軸方向循環流Dが形成されるので、層流域から乱流域に至る攪拌操作条件下における攪拌処理の効率を前記第1実施形態よりも更に向上させることができる。
【0029】
以上述べた本実施形態の攪拌装置10について、攪拌性能の検討および比較テストを行った。その比較テスト結果が図6および図7に示されている。この比較テストは、図8(a)に示されるような上下2段パドル翼を備えた攪拌装置(以下、「攪拌装置A」という。)および図8(b)に示されるような格子翼を備えた攪拌装置(以下、「攪拌装置B」という。)を対象にして行った。
【0030】
図6に示されているグラフは、無次元動力数Npについて攪拌装置Aおよび攪拌装置Bそれぞれを比較したものである。層流域において、攪拌装置10は攪拌装置Aよりは小さく、攪拌装置Bよりやや大きいNp値を示した。また、乱流域になると、攪拌装置10はNp≒1.3であるのに対し、攪拌装置AはNp≒10、攪拌装置BはNp≒4.5であり、攪拌装置10は、攪拌装置Aおよび攪拌装置Bの約10〜30%小さい動力で攪拌可能であることが分かった。全体的に見ると、攪拌装置10は、動力特性について、攪拌装置Bよりは優れ、攪拌装置Aとは同等の性能を持つことが分かった。
【0031】
図7に示されているグラフは、混合特性について、攪拌装置Aおよび攪拌装置Bそれぞれを比較したものである。Re<600における無次元混合時間nθmで評価すると、攪拌装置10は、攪拌装置Bより約40〜60%優れ、攪拌装置Aとはほぼ同等の混合性能を示した。一方、7000<Reにおいて、攪拌装置10は、nθm≒4〜5であるのに対して、攪拌装置Bはnθm≒10〜15、攪拌装置Aはnθm≒7〜8であった。このことから、攪拌装置10は、乱流域において、攪拌装置Aおよび攪拌装置Bより優れた混合性能を示すことが分かった。
【0044】
前記各実施形態において、邪魔板は、上記実施形態で説明した邪魔板5に限定されない。すなわち、少ない動力損失で旋回流をスムーズに上下方向流れに変えるという観点から、液体の回転方向に対して傾斜して設けられる傾斜翼を備えた傾斜邪魔板を採用してもよいし、棒材やパイプ材等のように本実施形態に係る邪魔板5とは異なる断面形状をもつ邪魔板を採用してもよく、また、流れ方向に対して角度調整できるように回動機能を有する邪魔板を採用してもよい。また、邪魔板の数も2枚に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第1実施形態に係る攪拌装置の概略構成図である。
【図2】 図2は、図1におけるX−X視要部断面図である。
【図3】 図3(a)(b)は、第1実施形態における槽内フローパターンを表す図である。
【図4】 図4は、本発明の第2実施形態に係る攪拌装置の概略構成図である。
【図5】 図5は、第2実施形態における槽内フローパターンを表す図である。
【図6】 図6は、動力特性の比較を表すNp−Re線図である。
【図7】 図7は、混合特性の比較を表すnθm−Re線図である。
【図8】 図8(a)は、上下2段パドル翼の概略図であり、図8(b)は、格子翼の概略図である。
【符号の説明】
1 第1実施形態の攪拌措置
2 攪拌槽
3 攪拌軸
4 アンカー翼
4a 第1翼部
4b 第2翼部
5 邪魔板
10 第2実施形態の攪拌装置
11 ヘリカルリボン翼
Claims (2)
- 竪型円筒状の攪拌槽の中心部に回転自在に垂設される攪拌軸を備える攪拌装置において、
前記攪拌軸の下端部にアンカー翼を装着するとともに、前記攪拌槽内に円周方向に等ピッチで配される邪魔板を設けてなり、前記アンカー翼が、前記攪拌槽の底壁に沿って半径方向に延びる第1翼部と、この第1翼部の先端部から前記攪拌槽の側壁に沿って鉛直上方に延びる第2翼部とからなり、前記第1翼部における前記攪拌槽の底壁に直交する方向の巾を前記第2翼部における前記攪拌槽の側壁に直交する方向の巾に対して大きくすることにより、前記攪拌槽の底部においてより多くの液体を半径方向に吐出させるように構成し、前記邪魔板を、前記第2翼部の回転軌跡より前記攪拌槽の中心側で、かつその第2翼部が近接して通過するように第2翼部の下部まで延設し、
前記アンカー翼の回転により前記攪拌槽内に旋回流が発生し、この旋回する液体の一部が前記邪魔板で遮られて該邪魔板に沿う上下方向流れが生じるように構成することを特徴とする攪拌装置。 - 前記攪拌軸には、前記アンカー翼の上方に軸方向に沿って螺旋翼が設けられる請求項1に記載の攪拌装置。
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