JP5252364B2 - ガラス溶融設備及びガラスの溶融方法 - Google Patents

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本発明は、ガラス溶融設備、ガラスの溶融方法及びガラスに関し、特に、各種セラミックパッケージ、磁気ヘッド等の電子部品の封着、各種表示デバイスの封着及び魔法瓶の金属二重容器の封止に好適なガラスを得るためのガラス溶融設備、ガラスの溶融方法に関するものである。
セラミックパッケージ、磁気ヘッド等の電子部品及び表示デバイスに使用される封着材料には、ICや水晶振動子等の素子に悪影響を及ぼさないように低温で封着できることや、熱膨張係数が被封着物の熱膨張係数に整合していることが要求される。
これまで、これらの特性を満足する封着材料として、PbO−B23系ガラス、或いは、これらのガラスに耐火性フィラーを添加してなる複合材料が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、最近、環境的観点から、環境負荷物質である鉛をガラスから除くことが求められており、PbO−B23系ガラスの代替材料として、Bi23−B23系ガラスが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
ところで、通常、PbO−B23系ガラスは、耐熱性と耐食性に優れた白金製溶融容器内でガラス原料を溶融することによって作製される。一般に、PbO−B23系ガラスは、溶融温度が低いため、溶融後の白金製溶融容器の浸食量が少なく、溶融容器の破損等の問題は生じない。
一方、Bi23−B23系ガラスは、溶融時に白金製溶融容器を浸食しやすく、白金製溶融容器にクラックが発生することがあるため、長期間にわたって白金製溶融容器を使用できないという問題がある。また、白金は非常に高価な金属であり、白金製溶融容器を短期間で取り替えると、溶融コストの高騰を招くことになる。
このような事情から、特許文献4に記載されているようなジルコニア製溶融容器を用いて溶融することが検討されている。
特開平2−229738号公報 特開2000−128574号公報 特開2006−143480号公報 特開平6−72766号公報
しかしながら、特許文献4に記載されているようなジルコニア製溶融容器を用いて、Bi23−B23系ガラスを溶融すると、ガラス中にジルコニアが溶け出して、ガラスの軟化点が高くなり低温で封着し難くなったり、熱膨張係数が被封着物の熱膨張係数に整合し難くなる。また、ガラスが不安定になって失透したり、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得られないといった問題も生じる。
また、ジルコニア製溶融容器以外にも、シリカ(石英)製溶融容器やアルミナ製溶融容器を使用することも考えられるが、これらの溶融容器を用いて溶融した場合でも、ジルコニア製溶融容器を用いて溶融した場合と同様の問題が生じる。また、シリカ製溶融容器は、熱膨張係数が小さいため、溶融されたガラスを流し出した後に溶融容器内に残存するガラスの熱膨張係数と整合し難く、シリカ製溶融容器と残存するガラスとの熱膨張係数差によって割れやすくなり、長期間にわたって溶融容器を使用することができない。しかも、シリカ製溶融容器は高価であり、短期間で取り替えることになると、溶融コストの高騰を招くという問題も生じる。
本発明の目的は、白金製溶融容器を腐食させやすいBi−B系ガラスを長期間にわたって繰り返し溶融できるとともに、溶融時に溶融容器の構成成分が溶融ガラス中に溶出した場合であっても、溶出成分がガラスを変質させることがないガラス溶融設備及びガラスの溶融方法を提供することである。
本発明者等は、種々の実験を行った結果、溶融容器として、鉄または鉄合金からなる溶融容器を用いると、腐食性の強いBi23−B23系ガラスを溶融しても、溶融容器が侵食され難いとともに、溶融容器が破損しにくく、しかも、溶融時に溶融容器の構成成分がガラス中に溶出した場合であっても、溶出成分がガラスを変質させないことを見出し、本発明として提案するものである。
即ち、本発明のガラスの溶融設備は、調合したガラス原料を溶融するための溶融容器を備えてなるガラス溶融設備であって、溶融容器が鉄または鉄合金で作製されていることを特徴とする。
また、本発明のガラスの溶融方法は、上記のガラス溶融設備を用いて、調合したガラス原料を溶融することを特徴とする。
本発明のガラス溶融設備は、腐食性の強いBi23−B23系ガラスを長期間に亘って繰り返し溶融しても、溶融容器が侵食され難く、しかも、溶融時に溶融容器の構成成分がガラス中に溶出した場合であっても、溶出成分がガラスを変質させ難い。
また、この設備を用いて溶融されたガラスは、溶融容器からの溶出物によって、ガラスが失透したり、ガラスの軟化点が上昇するといった問題が生じにくい。
それ故、Bi23−B23系ガラスを溶融するガラス溶融設備、その溶融設備を用いてガラスを溶融するガラスの溶融方法及びその溶融方法によって作製されてなるガラスとして好適である。
以下に、添付した図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のガラス溶融設備の溶融容器の部分を示す概略側面図である。
本発明のガラス溶融設備は、耐熱性及び耐腐食性を有する鉄または鉄合金で作製された溶融容器1を備えてなる。溶融容器1が鉄または鉄合金で作製されているため、700〜1200℃の温度でガラスを溶融しても変形し難い。また、鉄または鉄合金は、優れた展性や加工性を有するため、様々な形状の溶融容器1に加工することができ、しかも、白金に比べ、非常に安価であるため、溶融コストの低廉化を図ることもできる。
尚、溶融容器1として使用する鉄または鉄合金は、純度が90%以上(より好ましくは97%以上)であることが好ましい。純度が低くなると、ガラスを溶融する際に、ガラス中に溶融容器1の不純物が溶け出し、ガラスを変質させる虞があるためである。
また、溶融容器1の厚みとしては、1〜20mm(より好ましくは2〜10mm)にすることが望ましい。溶融容器1の厚みが薄くなりすぎると、溶融時に、溶融容器1が変形しやすくなる。一方、溶融容器1の厚みが厚くなりすぎると、次に述べるように溶融容器1の外表面を冷却しても、その効果が得難くなる。
また、本発明のガラスの溶融設備は、溶融容器1の外側に溶融容器1の外表面を冷却するための冷却装置2を備えてなることが好ましい。溶融容器1の寿命を高めることができ、さらなる溶融コストの低廉化を図ることができる。尚、冷却装置2としては、水冷パイプであってもよいし、溶融容器1の外表面に、水をかけて冷却するような散水装置であってもよいし、冷風をあてて冷却するような送風装置あってもよい。
本発明のガラスの溶融設備を用いてガラス原料を溶融する方法について説明する。
まず、所望のガラス組成となるようように、調合し、混合する。続いて、調合したガラス原料を図1に示すような鉄または鉄合金製の溶融容器1に投入し溶融することで、ガラスを作製することできる。
尚、溶融温度としては、700〜1200℃であることが望ましい。溶融温度が低くなりすぎると、ガラス中にガラス原料の未溶解成分が残存しやすくなり、溶融温度が高くなりすぎると、溶融容器1の侵食が著しくなる傾向にあるためである。
また、ガラスを溶融するにあたり、溶融容器1の外表面を冷却しながらガラスを溶融することが好ましい。特に、腐食性の強いBi23−B23系ガラスを溶融する場合、溶融容器1の外表面を冷却しながらガラスを溶融することで、ガラス3と溶融容器1(鉄)との界面に、ガラスと鉄との反応層4が形成される。ガラス3はこの反応層4の内側で溶融されることになるため、腐食性の強いBi23−B23系ガラスを長期間に亘って繰り返し溶融しても、溶融容器1の腐食を防止することができる。また、溶融容器1の寿命を高めることができるため、さらなる溶融コストの低廉化を図ることもできる。
尚、溶融時に、溶融容器の成分である鉄がガラス中に溶出しないことが望ましいが、工業生産する上で鉄の溶出を防止することは困難である。しかし、Bi23−B23系ガラスの場合、Fe23換算で、3モル%まで許容できる。その理由は、Bi23−B23系ガラスにおいて、Fe23はガラスを安定化させて、封着時における結晶の析出を抑制する成分となるためである。但し、溶出量が多くなりすぎると、逆に、ガラスが不安定になって失透し易くなる。
また、本発明のガラスの溶融設備を用いて作製するガラスは、低融点特性を有するBi23−B23系ガラスであることが好ましい。尚、Bi23−B23系ガラスとしては、被封着物と整合する熱膨張係数を有し、450℃以下の軟化点を有するガラスであれば制限はないが、特に、モル百分率で、Bi23を1〜50%、B23 5〜40%、ZnO 5〜30%の組成範囲からなるガラスであることが好ましい。
Bi23−B23系ガラスのガラス組成を上記のように限定した理由は、次の通りである。
Bi23はガラスの軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は5〜50%である。Bi23の含有量が少なくなると、ガラスの軟化点が高くなりすぎて低温で封着し難くなる。一方、含有量が多くなると、ガラスが不安定になって失透し易くなる。また、失透を生じない場合でも、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得難くなる。Bi23のより好ましい範囲は10〜45%である。
23はガラスの骨格を形成すると共に、ガラス化範囲を広げ、ガラスを安定化させる成分であり、その含有量は5〜40%である。B23の含有量が少なくなると、ガラスが不安定になって失透し易くなる。また、失透を生じない場合でも、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得難くなる。一方、含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなりすぎて低温で封着し難くなる。B23のより好ましい範囲は10〜35%である。
ZnOはガラス化範囲を広げ、ガラスを安定化させると共に、ガラスの軟化点を下げる成分であり、その含有量は5〜30%である。ZnOの含有量が少なくなると、ガラスが不安定になって失透し易くなる。また、失透を生じない場合でも、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得難くなる。また、ガラスの軟化点が高くなりすぎて低温で封着し難くなる。一方、含有量が多くなると、ガラスが結晶化する傾向にあり、所望の流動性が得難くなる。ZnOのより好ましい範囲は10〜30%である。
Fe23は、ガラスを安定化させて、封着時における結晶の析出を抑制する成分であり、その含有量は0.001〜3%である。Fe23の含有量が少なくなると、ガラスが不安定になって失透し易くなる。また、失透を生じない場合でも、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得難くなる。一方、含有量が多くなると、逆にガラスが不安定になって失透し易くなる。ZnOのより好ましい範囲は0.01〜2%である。尚、Fe23は、上記したように、鉄または鉄合金製の溶融容器等を用いて溶融することで、ガラス組成中に導入させることができる。
また、本発明に係るBi23−B23ガラスは、上記成分以外にも、例えば、以下の成分を含有しても良い。
BaO、SrO、MgO及びCaOはガラスを安定化させてガラスの失透を抑制する効果があり、これらの成分は合量で15%まで含有させることができる。これらの成分の合量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなりすぎて低温で封着し難くなる。これらの成分のより好ましい範囲は合量で3〜15%である。尚、BaOの含有量は0〜15%、特に2〜10%であることが好ましい。また、SrO、MgO、CaOのそれぞれの含有量については、0〜5%、特に0〜3%であることが好ましい。
CuOはガラスを安定化させてガラスの失透を抑制する効果があり、15%まで含有させることができる。CuOの含有量が多くなると、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得難くなる。CuOのより好ましい範囲は2〜10%である。
Al23はガラス化範囲を広げ、ガラスを安定化させる効果があり、5%まで含有させることができる。Al23の含有量が多くなると、ガラスの軟化点が高くなりすぎて低温で封着し難くなる。Al23のより好ましい範囲は0〜3%である。
SiO2は耐候性を高める効果があり、2%まで含有させることができる。SiO2の含有量が多くなると、ガラスが不安定になって失透し易くなる。また、失透を生じない場合でも、封着時に結晶が析出しやすくなり、接着、封着、被覆等の作業に必要な流動性が得難くなる。また、ガラスの軟化点が高くなりすぎて低温で封着し難くなる。SiO2のより好ましい範囲は0〜1%である。
Sb23はガラスを安定化させてガラスの失透を抑制する効果があり、7%まで含有させることができる。Sb23の含有量が多くなると、逆にガラスが失透しやすくなる。Sb23のより好ましい範囲は0〜5%である。
Li2O、Na2O、K2OおよびCs2Oはガラスの軟化点を低くする成分であるが、ガラスの失透を著しく促進する作用を有するため、これらの成分は合量で2%以下であることが好ましい。より好ましくは合量で1%以下である。
MoO3、La23、Y25及びCeO2はガラスを安定化させる成分であるが、ガラスの軟化点を著しく上昇させる成分でもあるため、これらの成分は合量で2%以下であることが好ましい。より好ましくは合量で1%以下である。
尚、環境上の理由から、ガラス組成中にPbOを実質的に含有させないことが好ましい。ここで、「PbOを実質的に含有しない」とは、積極的に原料として用いず不純物として混入するレベルをいい、具体的には、含有量が0.1%以下であることを意味する。
本発明のガラスは、上記ガラスの溶融方法によって、好適に作製することができる。上記ガラスの溶融方法により得られるBi23−B23系ガラスは、260〜450℃のガラス転移点を有し、約400〜600℃の温度範囲で良好な流動性を示す低融点のガラスである。また、これらのBi23−B23系ガラスは、30〜250℃の温度範囲において90〜130×10-7/℃程度の熱膨張係数を有する。
このような特性を有するBi23−B23系ガラスは、被封着物と熱膨張係数が適合する場合、ガラス粉末とし、単独で封着材料として使用できる。
一方、被封着物と熱膨張係数が整合しない場合、例えばアルミナ(70×10-7/℃)、高歪点ガラス(85×10-7/℃)、ソーダ板ガラス(90×10-7/℃)等を封着する場合には、Bi23−B23系ガラス粉末に耐火性フィラー粉末を加えて複合材料とすればよい。複合材料の熱膨張係数は、被封着物に対して5〜30×10-7/℃程度低く設計することが重要である。このようにすれば、封着層にかかる応力をコンプレッション(圧縮)側にして封着層の破壊を防ぐことができる。この場合、ガラス粉末45〜95体積%、耐火性フィラー粉末5〜55体積%となるように調製すればよい。
特に、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、プラズマディスプレイ(PDP)、陰極線管(CRT)を封着する場合、封着材料の熱膨張係数を60〜100×10-7/℃程度となるように調整することが好ましい。
耐火性フィラーとして、ウイレマイト系セラミック、β−ユークリプタイト、コーディエライト、酸化スズ固溶体、ジルコン系セラミック、ムライト、石英ガラス、アルミナ等の各種耐火性フィラー粉末を添加してもよい。なお、熱膨張係数の調整以外にも、例えば機械的強度の向上のために、耐火性フィラー粉末を添加することもできる。尚、環境的観点から、耐火性フィラー粉末は、実質的にPbOを含まないことが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
表1は本発明の実施例(No.1及び3)及び比較例(No.2及び4)をそれぞれ示すものである。
Figure 0005252364
表の各試料は、次のようにして調製した。
まず、表中のガラス組成になるように、各種酸化物、炭酸塩原料等を調合し、ガラス原料を作製した。このガラス原料を表中に示す溶融容器に投入し、表中の溶融温度で4時間溶融した。尚、資料No.1及び3については、純度99%の鉄を溶融容器として用い、また、溶融容器の外表面に水を掛けて冷却しながら溶融した。
次いで、溶融容器中の溶融ガラスの一部をカーボン製の型枠に流し出して板状のガラスを作製し、ガラス中への溶融容器成分の溶出量を評価した。また、溶融容器に残った溶融ガラスを一対の回転ローラー間に流し出し、回転ローラーで溶融ガラスを急冷しながら、フィルム状のガラス試料を作製した。成形したフィルム状のガラスをボールミルで粉砕した後、目開き105μmの篩を通過させ、平均粒径約10μmのガラス粉末試料を得た。このようにして得られたガラス粉末試料について軟化点、熱膨張係数、流動性及び焼成による結晶の析出を評価した。
表から明らかなように、実施例である試料No.1及びNo.3は、溶融容器の内表面に反応層が形成されており、溶融容器に変形及び割れはなく、溶融容器として十分に耐久性を有するものであった。また、溶融容器の構成成分であるFe23のガラスへの溶出量は0.5〜0.7%と少ないものであった。さらに、溶融して得られたガラスは、軟化点が431℃以下と低く、熱膨張係数が111〜112×10-7/℃であり、ガラス特性も良好であった。しかも、焼成による結晶の析出も認められず、フローボタンテストによる流動径が22.4mm以上であり、流動性にも優れていた。
これに対し、比較例である試料No.2及びNo.4は、溶融容器にクラックが発生したため、長期間にわたって溶融容器を使用することができないものであった。また、溶融容器の構成成分であるZrO2やSiO2のガラスへの溶出量は1.5%と多く、鉄の溶融容器を用いて溶融したガラス(No.1及びNo.3)に比べ、ガラスの軟化点も高かった。さらに、焼成によって結晶が析出し、フローボタンテストによる流動径が19.8mm以下であり、流動性に劣っていた。
尚、溶融容器成分の溶出量については、蛍光X線分析により測定し、酸化物に換算した値で示した。
ガラスの軟化点については、マクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第四の変曲点の値を軟化点とした。
ガラスの熱膨張係数については、各ガラス粉末試料を粉末プレス成型し、焼成した後、直径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工し、JIS R3102に基づいて測定し、30〜250℃の温度範囲における値を求めた。
流動性については、次のようなフローボタンテストで評価した。まず、ガラス粉末の真比重に相当する質量の粉末を秤量し、金型を用いて、これをφ20mmのボタン状にプレス成型し、ボタン状の粉末成形体を得た。続いて、この粉末成形体を窓板ガラスの上に載置した後、大気中で焼成し、焼成後のボタンの直径をデジタルノギスで測定した。このボタンの直径は、封着材料に用いる場合には20mm以上であることが望ましい。尚、焼成条件として、焼成温度である450℃まで10℃/分の速度で昇温した上で、450℃で10分間保持した後、10℃/分で室温まで降温した。
焼成による結晶の析出については、流動性の評価を行った後のサンプルを顕微鏡で観察し、結晶が析出しているか否かを評価した。結晶の析出が認められなかったものを「○」、結晶が析出したものを「×」とした。
溶融容器の割れについては、溶融容器から溶融ガラスを流し出した後、常温で溶融容器を放置し、溶融容器にクラックが発生しているか否かを目視で判定し、評価した。クラックがないものを「○」、クラックがあるものを「×」とした。
以上説明した通り、本発明のガラス溶融設備及びガラスの溶融方法は、Bi23−B23系ガラスを溶融する設備及び方法として好適であり、また、ガラス溶融設備及びガラスの溶融方法にて作製されたガラスは、各種セラミックパッケージ、磁気ヘッド等の電子部品の封着、各種表示デバイスの封着及び魔法瓶の金属二重容器の封止に好適なガラスである。
ガラス溶融設備の溶融容器の部分を示す概略側面図である。
符号の説明
1 溶融容器
2 冷却装置
3 ガラス
4 反応層

Claims (7)

  1. 調合したガラス原料を溶融するための溶融容器を備えてなるガラス溶融設備であって、
    溶融容器が鉄または鉄合金で作製されていることを特徴とするガラス溶融設備。
  2. 溶融容器の外側に溶融容器の外表面を冷却するための冷却装置を備えてなることを特徴とする請求項1記載のガラス溶融設備。
  3. 純度が90質量%以上の鉄で溶融容器が作製されていることを特徴とする請求項1または2に記載のガラス溶融設備。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガラス溶融設備を用いて、調合したガラス原料を溶融することを特徴とするガラスの溶融方法。
  5. モル百分率で、Biを1〜50%含有するガラスとなるように、ガラス原料を調合することを特徴とする請求項4記載のガラスの溶融方法。
  6. モル百分率で、Biを1〜50%、B5〜40%、ZnO 5〜30%含有するガラスとなるように、ガラス原料を調合することを特徴とする請求項4または5に記載のガラスの溶融方法。
  7. ガラスと溶融容器との界面に、ガラスと鉄との反応層を形成することを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のガラスの溶融方法。
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