JP5251076B2 - 顔料分散体及びその製造方法、並びにインクジェット用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク記録物 - Google Patents

顔料分散体及びその製造方法、並びにインクジェット用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク記録物 Download PDF

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Description

本発明は、顔料分散体及び顔料分散体の製造方法、並びに該顔料分散体を含むインクジェット用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク記録物に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であるためフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点がある。このようなインクジェット記録に用いられるインクジェット用インクとしては、各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されているが、染料系インクは色調の鮮明性には優れているものの耐光性に劣るという欠点がある。一方、カーボンブラック、又は各種の有機顔料を分散させた顔料系インクは、染料系インクと比較して耐光性に優れるため、盛んに研究されている。
しかし、前記顔料は、染料と異なり水不溶性であるため、該顔料を水中に微粒子状態で安定に分散させることが重要であるが、この分散は必ずしも簡単ではない。特に、顔料分散系に対する温度条件が変化すると分散剤の顔料の吸着平衡がくずれ、これが顔料粒子同士の相互作用に影響を及ぼし、長期の保存において物性の変化及び/又は多量の凝集異物を発生することが多々ある。インクジェット用インクにとって、物性変化(特に、粘度変化)及び/又は多量の凝集異物の発生は致命的である。これらは、ヘッドにおける特性の変化及び/又は吐出ノズルの目詰まりを起こすため、適正な記録が不可能となってしまうからである。また、画像の精細性向上のためにインクの平均粒子径を小さくすることが望まれている。
前記顔料インクの分散においては、分散機の方式、分散プロセス条件等の選択次第では小粒径となると分散液に凝集が発生しやすく、吐出安定性が保証できなくなるという問題がある。このため、ノズルの目詰まり、色域を改善するには顔料の平均粒径を小さくする必要がある。現在多く用いられている、例えばスチレン−アクリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体(特許文献1参照)、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(特許文献2参照)等の高分子分散剤を用いたインク;ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル(特許文献3参照)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル硫酸塩(特許文献4参照)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルリン酸塩(特許文献5参照)等の界面活性剤を用いたインクは、いずれも顔料の平均粒径が大きく、色調の鮮明性、吐出安定性、及び液安定性に劣るものである。
ここで、前記顔料分散とは、凝集体として存在している顔料を一次粒子、又は一次粒子に近い状態まで磨砕乃至解砕する操作を意味する。顔料の一般的な分散方法としては、顔料と分散剤とを分散媒体中で混合した顔料分散混合液をボールミル、サンドミル等の分散装置と、分散メディアとを組み合わせ、磨砕乃至分散するものである。前記分散メディアとしては、ガラス、鉄、セラミックス等の材質からなる直径が数mm〜1mm程度のビーズが使用されている。このようにビーズの直径を小さくすると、幾何級数的に単位体積当たりのビーズ個数が増え、顔料とビーズとの衝突個数が飛躍的に増大し、顔料の微粒子分散が可能になる。
しかし、前記ビーズの直径が小さくなりすぎると、ビーズ1個あたりの質量が小さくなり、顔料との衝突の際に該顔料に対する衝撃力が格段に弱くなり、顔料の分散に長時間を要したり、顔料の微粒子分散ができなくなったりする。また、分散機内部でビーズと顔料分散混合液とを分離することが困難となる。このため、顔料を微粒子分散する場合にはビーズの直径が0.2mm〜1.0mmのものが使用されている。また、直径0.02mm以上0.2mm未満と従来よりも小径のマイクロビーズを使用して分散する製造方法(特許文献6参照)、直径0.01mm〜0.25mmと更に小径のマイクロビーズを使用して分散する製造方法(特許文献7参照)、分散機としてアニュラー型のものを用いる顔料分散システム(特許文献8参照)、セラミックビーズの充填率と周速を規定した製造方法(特許文献9参照)、スラリーの固形分濃度が10〜40質量%でビーズ径、周速を規定した製造方法(特許文献10参照)、周速が0.5〜10m/sと比較的低周速での製造方法(特許文献11参照)、DBP吸油量を規定した高ストラクチャーを用いる製造方法(特許文献12参照)、pHの異なる2種類のカーボンブラックを用いる製造方法(特許文献13参照)、などが提案されている。
しかし、これらの提案の方法では、顔料、分散剤、及び水を含む分散前の混合スラリーの粘度を十分に下げることができず、小径メディア、低周速、及び高充填率では運転できず、得られた顔料分散体の保存性が著しく低下したり、プレ分散などの前処理工程が必要になり、流量を上げないと顔料分散体の生産性を低下させてしまうという問題があり、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
特開昭56−147863号公報 特開昭61−83267号公報 特開平5−105837号公報 特開平10−168367号公報 特開平10−88050号公報 特開2005−240027号公報 特開2007−92059号公報 特開2006−7128号公報 特開2000−44856号公報 特開2006−188626号公報 特開2006−176722号公報 特開2006−8865号公報 特開2006−111691号公報
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ブラック顔料としてカーボンブラックを使用した場合にも、顔料分散体及びインクの高温保存時での特性変化がなく、良好な吐出性及び高画質画像が得られる顔料分散体及び顔料分散体の製造方法、並びに該顔料分散体を含むインクジェット用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク記録物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 少なくともブラック顔料、分散剤、及び水を含む混合スラリーの分散前の粘度が25℃で10mPa・s〜500mPa・sであり、
前記混合スラリーを、直径0.01mm〜0.3mmのジルコニアビーズを充填率が50%〜90%となるように充填したメディアミルを用いて、周速3m/s〜12m/sの条件で分散することを特徴とする顔料分散体の製造方法である。
<2> ブラック顔料が、カーボンブラックである前記<1>に記載の顔料分散体の製造方法である。
<3> カーボンブラックが、BET比表面積が100m/g〜400m/gであり、平均一次粒子径が10nm〜30nmである前記<2>に記載の顔料分散体の製造方法である。
<4> カーボンブラックが、pHが7〜11であり、DBP吸収量が80g/100g〜150g/100gである前記<2>から<3>のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法である。
<5> カーボンブラックが、pHが1〜5であり、DBP吸油量が300g/100g〜1000g/100gである前記<2>から<3>のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法である。
<6> ブラック顔料の固形分濃度が、10質量%〜40質量%である前記<1>から<5>のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法である。
<7> 分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であり、該ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物が、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、及び4量体の合計含有量が20質量%〜80質量%であり、
前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の添加量が、ブラック顔料1質量部に対し0.01質量部〜2質量部である前記<1>から<6>のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法により製造されたことを特徴とする顔料分散体である。
<9> 前記<8>に記載の顔料分散体を少なくとも含有することを特徴とするインクジェット用インクである。
<10> 前記<9>に記載のインクジェット用インクを容器内に収容してなることを特徴とするインクカートリッジである。
<11> 前記<9>に記載のインクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
<12> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<11>に記載のインクジェット記録装置である。
<13> 前記<9>に記載のインクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<14> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<13>に記載のインクジェット記録方法。
<15> 記録媒体上に前記<9>に記載のインクジェット用インクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物である。
<16> 記録媒体が紙である前記<15>に記載のインク記録物である。
本発明の顔料分散体の製造方法は、少なくともブラック顔料、分散剤、及び水を含む混合スラリーの分散前の粘度が25℃で10mPa・s〜500mPa・sであり、
前記混合スラリーを、直径0.01mm〜0.3mmのジルコニアビーズを充填率が50%〜90%となるように充填したメディアミルを用いて、周速3m/s〜12m/sの条件で分散する。その結果、ブラック顔料としてカーボンブラックを使用した場合にも、顔料分散体及びインクの高温保存時での特性変化がなく、良好な吐出性及び高画質画像が得られる顔料分散体を効率よく製造できる。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、ブラック顔料としてカーボンブラックを使用した場合にも、顔料分散体及びインクの高温保存時での特性変化がなく、良好な吐出性及び高画質画像が得られる顔料分散体及び顔料分散体の製造方法、並びに該顔料分散体を含むインクジェット用インク、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法、及びインク記録物を提供することができる。
(顔料分散体及び顔料分散体の製造方法)
本発明の顔料分散体の製造方法は、少なくともブラック顔料、分散剤、及び水を含む混合スラリーの分散前の粘度が25℃で、10mPa・s〜500mPa・sであり、
前記混合スラリーを、直径0.01mm〜0.3mmのジルコニアビーズを充填率が50%〜90%となるように充填したメディアミルを用いて、周速3m/s〜12m/sの条件で分散する。
本発明の顔料分散体は、本発明の前記顔料分散体の製造方法により製造される。
以下、本発明の顔料分散体の製造方法の説明を通じて、本発明の顔料分散体の詳細についても明らかにする。
<混合スラリー>
本発明の顔料分散体の製造方法に用いられる混合スラリーは、少なくともブラック顔料、分散剤、及び水を含み、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明においては、分散前の混合スラリーの粘度は、25℃で10mPa・s〜500mPa・sが好ましく、15mPa・s〜100mPa・sがより好ましい。前記分散前の混合スラリーの粘度が、10mPa・s未満であると、分散機構はビーズとの衝撃による体積粉砕が主体となり顔料表面から顔料誘導体が脱離しやすく、顔料活性面を必要以上に発生させてしまい、経時保存性を悪くさせてしまう。また生産効率からも好ましくない。一方、前記粘度が500mPa・sを超えると、分散機構はビーズと顔料との摩擦による混練が主体なり、過大な動力と発熱が発生するため、生産安定性の点からも好ましくなく、また、周速3m/s付近、直径0.01mm付近のジルコニアビーズを使用すると高密度のジルコニアビーズでも混合スラリーとともに運動してしまい、顔料とビーズの相対速度差がほぼ0に近くなるため、顔料粒子の粉砕能力が著しく低下するだけでなく、スラリーとビーズとの分離も困難となる。
前記混合スラリーを、直径0.01mm〜0.3mmのジルコニアビーズを充填率が50%〜90%となるように充填したメディアミルを用いて、周速3m/s〜12m/sの条件で分散する。
前記メディアミルとしては、ビーズを用いることができる分散機であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Getzmann社製「TORUSMILL」、アシザワ株式会社製「スターミル」、アイメックス株式会社製「ビスコミル」、シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」、三菱重工株式会社製「ダイヤモンドファインミル」、コトブキ技研工業株式会社製「アペックスメガ」、浅田鉄工株式会社製「ピコミル」、ユーロテック社製「OBビーズミル」、三井鉱山株式会社製「SCミル」、などが挙げられる。
前記メディアミルを用いると、分散媒体(ビーズ)の大きさ(直径)を調節することによって顔料分散体の平均粒子径を制御可能である。この場合、顔料分散体の平均粒子径(D50)を200nm以下にするにはビーズの直径を0.01mm〜0.3mmにすることが必要であり、0.01mm〜0.1mmが好ましい。これにより、顔料分散体における平均粒子径の標準偏差を平均粒子径(D50)よりも小さくすることができる。
ここで、前記顔料分散体の平均粒子径の測定は、例えば日機装株式会社製の粒度分析計UPA150などを使用して測定したものであり、体積分布による平均粒子径である。
前記ジルコニアビーズの充填率は、50%〜90%、周速3m/s〜12m/sの条件で分散することを特徴とする。前記ジルコニアビーズの充填率が60%〜80%、周速3m/s〜8m/sがより好ましい。両者の低い条件では、ビーズと顔料との相対速度及びビーズの運動エネルギーが小さくなりすぎて、衝突や磨砕による分散が効果的に進まないことがある。一方、両者の高い条件では、ビーズの運動エネルギーが大きくなりすぎて、顔料粒子の粒径分布もブロードになるとともに、顔料表面が必要以上に荒れて、分散安定性が低下する。前記周速が3m/sよりも小さいと、ベッセル内の遠心力が下がり、ビーズが分散液に混入し、顔料分散体を作製できないことがある。
−ブラック顔料−
前記ブラック顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像、特に色調面からカーボンブラックを使用することが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法又はチャネル法で製造されたカーボンブラックなどが好適に挙げられる。該カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば#45L、MCF88、#990、MA600、#850(いずれも、三菱化学株式会社製);NIPEX90、NIPEX150、NIPEX160、NIPEX170、NIPEX180、Color Black FW200、Printex25、Special Black250(いずれも、デグサ社製);REGAL400R、REGAL600R、MOGUL L(いずれも、キャボット社製)、などが挙げられる。
前記カーボンブラックの平均一次粒子径は10.0nm〜30.0nmで、BET比表面積は100m/g〜400m/gであることが好ましく、カーボンブラックの平均一次粒子径は15.0nm〜20.0nmで、BET比表面積は150m/g〜300m/gであることがより好ましい。
前記平均一次粒子径は、例えば電子顕微鏡を用いてカーボンブラック粒子を撮影し、撮影画像のカーボンブラック粒子の粒子径と数から算出することで測定できる。また、BET比表面積は、窒素吸着によるBET法によって測定することができる。
前記カーボンブラックとしては、第1態様では、pH7〜11、DBP吸収量が80g/100g〜150g/100gが好ましく、pH8〜10、DBP吸収量が100g/100g〜140g/100gがより好ましい。
前記カーボンブラックとしては、第2態様では、pH1〜5、DBP吸油量が300g/100g〜1000g/100gが好ましく、pH2〜4、DBP吸油量が350g/100g〜850g/100gがより好ましい。
前記カーボンブラックの表面の化学的特性についてはpHで表すのが一般的であり、該カーボンブラックは、表面にカルボキシル基、フェノール基、キノン基、などの酸素含有官能基の状態で存在する。酸素含有量の高いカーボンブラックほどpHが低く、揮発分含有量が多くなる。pHは20質量%のカーボンブラックの水溶性懸濁液又は泥状物を調整し、JIS Z8820に記載の方法で測定することができる。前記カーボンブラックのpHについては、画像濃度の観点からpHが低い方が比較的良好な傾向がある。
前記カーボンブラックは、高ストラクチャー顔料原末を用いた方が高画像濃度のインク記録物を得ることが可能であり、前記DBP吸収量の範囲であるのが好ましい。
前記ブラック顔料の前記顔料分散体における固形分濃度は、10質量%〜40質量%が好ましく、15質量%〜35質量%がより好ましい。前記固形分濃度が、10質量%未満であると、粘度が低すぎて、ビーズとの衝突による粉砕が主体となり、顔料表面が必要以上に荒れて、分散安定性が低下することがあり、40質量%を超えると、粘度が高すぎて、ビーズと顔料との摩擦による混練が主体となり、過大な動力と発熱が発生するため、生産安定性からも好ましくない。
−分散剤−
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物が好適に用いられる。
前記ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの縮合物であり、上記縮合物の繰り返しからなるものであれば特に限定されない。
前記スルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物における、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、及び4量体の合計含有量が、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物全体に対し20質量%〜80質量%であり、35質量%〜65質量%がより好ましい。
前記合計含有量が20質量%未満であると、分散性が悪くなり顔料分散液及びインクの保存安定性が劣り、その結果ノズルの目詰まりが発生しやすくなることがあり、80質量%を超えると、粘度が高くなり、分散が困難になることがある。
前記分散剤の添加量は、前記カーボンブラック1質量部に対し0.01質量部〜2質量部が好ましく、0.05質量部〜0.5質量部がより好ましい。前記添加量が、0.01質量部未満であると、本発明の効果が達成されにくいことのほか、水系顔料分散体及びインクの保存安定性が劣り、その結果、ノズルの目詰まりが発生しやすい傾向があり、2質量部を超えると、水系顔料分散体及びインクの粘度が高すぎてインクジェット方式での記録が困難になる傾向がある。
本発明の顔料分散体は、前記ブラック顔料としてのカーボンブラック、前記分散剤、及び水以外にも、更に必要に応じて水溶性有機溶剤、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、防腐剤等の各種添加剤を添加することができる。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;N−メチルピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン誘導体;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、などが挙げられる。
得られる本発明の顔料分散体は、保存安定性に優れているので、特に顔料系インクジェット用インクとして好適に使用することができる。
(インクジェット用インク)
本発明のインクジェット用インクは、少なくとも本発明の前記顔料分散体を含有し、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤、水、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記ブラック顔料としてのカーボンブラックの前記インクにおける含有量は、1質量%〜20質量%が好ましく、3質量%〜15質量%がより好ましい。前記カーボンブラックの含有量が、1質量%未満であると、画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠けることがあり、20質量%を超えると、インクの粘度が高くなる傾向があるばかりでなくノズルの目詰まりが発生しやすくなる。
−湿潤剤−
前記湿潤剤の沸点は180℃以上のものが好ましい。該湿潤剤が水系顔料インク中に含有されていると、インク組成物の保水と湿潤性を確保することができ、その結果、水系顔料インクを長期間保存しても色材の凝集や粘度の上昇がなく、優れた保存安定性を実現できる。また、インクジェットプリンタのノズル先端等で開放状態に放置されても、乾燥物の流動性を長時間維持するインクジェット用インクが実現できる。更に記録中もしくは記録中断後の再起動時にノズルの目詰まりが発生することもなく、高い吐出安定性が得られる。
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチルグリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ぺトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノべンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、インクの乾燥による目詰まり(即ち水分蒸発による噴射特性不良の防止)、及び画像の彩度を向上させる上で優れた効果が得られる点から1,3−ブチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンが特に好ましい。
前記湿潤剤の含有量は、前記インク全量に対して50質量%以下が好ましく、5質量%〜40質量%がより好ましい。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル;アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等のノニオン系界面活性剤、などが挙げられる。
−界面活性剤−
本発明インクでは、インク特性に影響を及ぼさない範囲内で界面活性剤を添加してもよい。前記界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが用いられる。具体的には、ノニオン系界面活性剤としては、BTシリーズ(日光ケミカルズ株式会社製)、ノニポールシリーズ(三洋化成工業株式会社製)、D−シリーズ、O−シリーズ(竹本油脂株式会社製)、サーフィノールシリーズ(エアープロダクツ社製)、オルフィンシリーズ(日信化学株式会社製)、EMALEX DAPEシリーズ(日本エマルジョン株式会社製)、などが挙げられる。また、シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング株式会社製)、フッ素系界面活性剤(ネオス社製、住友3M株式会社製、DuPont社製、ダイキン株式会社製)、などが挙げられる。
前記その他の成分としては、例えば消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤、比抵抗調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、粘度調整剤などが挙げられる。
前記インクジェット用インクは、特に制限はなく、公知の方法により製造することができ、例えば本発明の前記顔料分散液、水、湿潤剤、浸透剤、及び界面活性剤等を攪拌混合し、金属フィルター、メンブレンフィルター等を用いた減圧濾過、加圧濾過、遠心分離機による遠心濾過を行い、粗大粒子、異物(ほこり、ごみ)等を除去し、必要に応じて脱気することによって得られる。
本発明のインクジェット用インクは、後述するように該インクを収容するインクカートリッジに好適に用いることができる。また、本発明のインクジェット用インクは、後述するように、紙等の記録媒体上に吐出させるインクジェット記録装置により、画像形成することができる。
(インクカートリッジ)
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット用インクを容器中に収容してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋を少なくとも有するもの、プラスチックケース、などが好適に挙げられる。
本発明のインクカートリッジは、本発明の前記インクジェット用インクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができる。また、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
(インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法)
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の前記インクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記インク飛翔手段としては、連続噴射型、又はオンデマンド型が挙げられる。前記オンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
前記ピエゾ方式は、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるものである(特開平2−51734号公報参照)。
前記サーマル方式は、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させてインク滴を吐出させるものである(特開昭61−59911号公報参照)。
前記静電方式は、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるものである(特開平6−71882号公報参照)。
前記刺激としては、例えば、刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
前記インクジェット用インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクジェット用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクジェット用インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクジェット用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクジェット用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
本発明のインクジェット用インクを収容した本発明のインクジェット記録装置を用いて記録媒体上に画像を記録すると、オンデマンドで記録媒体上にインク記録物が得られる。また、インクジェット用インクの補充はインクカートリッジ単位で取り替えることが可能である。
ここで、本発明のインクカートリッジ及びインクジェット記録装置について、図1を参照して説明する。
図1において、本発明の前記インクジェット用インクが収容されるインクカートリッジ20は、キャリッジ18内に収納される。ここで、インクカートリッジ20は便宜上複数設けられているが、複数である必要はない。このような状態でインクジェット用インクが、インクカートリッジ20からキャリッジ18に搭載された液滴吐出ヘッド18aに供給される。なお、図1において、吐出ノズル面は下方向を向いた状態であるため見えない状態であるが、この吐出ノズル18aからインクジェット用インクが吐出される。
キャリッジ18に搭載された液滴吐出ヘッド18aは、主走査モータ24で駆動されるタイミングベルト23によってガイドシャフト21、22にガイドされて移動する。一方、特定のコート紙(画像支持体)はプラテン19によって液滴吐出ヘッド18aと対面する位置に置かれる。なお、図1中、1はインクジェット記録装置、2は本体筐体、16はギア機構、17は副走査モータ、25及び27はギア機構、26は主走査モータをそれぞれ示す。
(インク記録物)
本発明のインク記録物は、記録媒体上に本発明の前記インクジェット用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙等のインクに対して吸収性を有するもの、インクに対して実質的に非吸収性のもののいずれであっても好適に用いられる。
前記記録媒体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリサルフォン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル等を基材とするプラスチックシート;黄銅、鉄、アルミニウム、SUS、銅等の金属表面又は非金属の基材に蒸着等の手法により金属コーティング処理をした記録媒体;紙を基材として撥水処理などがなされた記録媒体、無機質の材料を高温で焼成した、いわゆるセラミックス材料からなる記録媒体などが挙げられる。これらの中でも、紙が経済性の点と画像の自然さの点で特に好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例において、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物における、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、及び4量体の合計含有量、カーボンブラックの平均一次粒子径、並びにカーボンブラックのBET比表面積の測定は以下のようにして行った。
<ナフタレンスルホン酸縮合物のHPLC分析>
・装置:LC−10vp(島津製作所製)
・カラム:ZORBAX BP−ODS(4.6id×150mm、GLサイエンス社製)
・ガードカラム:ZORBAX BP−ODS(4.0id×10mm、GLサイエンス社製)
・検出機:UV(237nm)
・移動相:CHCN / 0.005M PIC水溶液 = 25/75
・流速:1ml/min
・サンプル調製:200ppm soln
・注入量:20μL
<カーボンブラックの平均一次粒子径>
カーボンブラックの平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いてカーボンブラック粒子を撮影し、撮影画像のカーボンブラック粒子の粒子径と数から算出することで測定した。
<カーボンブラックのBET比表面積>
カーボンブラックのBET比表面積は、窒素吸着によるBET法によって測定した。
(実施例1)
−顔料分散体(A)の作製−
・カーボンブラック(NIPEX160、degussa社製、BET比表面積150m/g、平均一次粒子径20nm、pH4.0、DBP吸油量620g/100g)・・・175質量部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(竹本油脂株式会社製、パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量=50質量%)・・・175質量部
・蒸留水・・・650質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(a)を作製した。ディスクタイプのメディアミル(アシザワ・ファインテック株式会社製、DMR型)で0.05mmジルコニアビーズ、充填率55%を用いて周速10m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、実施例1の顔料分散体(A)を作製した。
(実施例2)
−顔料分散体(B)の作製−
・カーボンブラック(NIPEX150、degussa社製、BET比表面積110m/g、平均一次粒子径29nm、pH4.0、DBP吸油量400g/100g)・・・200質量部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(竹本油脂株式会社製、パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量=30質量%)・・・12.5質量部
・蒸留水・・・788質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(b)を作製した。ディスクタイプのメディアミル(三井鉱山株式会社製、MSC型)で0.015mmジルコニアビーズ、充填率70%を用いて、周速8m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、実施例2の顔料分散体(B)を作製した。
(実施例3)
−顔料分散体(C)の作製−
・カーボンブラック(NIPEX170、degussa社製、BET比表面積200m/g、平均一次粒子径17nm、pH5.0、DBP吸油量760g/100g)・・・250質量部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(竹本油脂株式会社製、パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量=70質量%)・・・250質量部
・蒸留水・・・500質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(c)を作製した。ディスクタイプのメディアミル(寿工業株式会社製、UAM型)で0.03mmジルコニアビーズ、充填率60%を用いて、周速4m/s、液温10℃で3分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、実施例3の顔料分散体(C)を作製した。
(実施例4)
−顔料分散体(D)の作製−
・カーボンブラック(NIPEX180、degussa社製、BET比表面積260m/g、平均一次粒子径15nm、pH4.5、DBP吸油量840g/100g)・・・150質量部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(竹本油脂株式会社製、パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量=50質量%)・・・250質量部
・蒸留水・・・600質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(d)を作製した。ディスクタイプのメディアミル(アシザワ・ファインテック株式会社製、LMZ型)で0.20mmジルコニアビーズ、充填率85%を用いて周速10m/s、液温10℃で5分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、実施例4の顔料分散体(D)を作製した。
(実施例5)
−顔料分散体(E)の作製−
・カーボンブラック(NIPEX90、degussa社製、BET比表面積300m/g、平均一次粒子径14nm、pH9.0、DBP吸油量95g/100g)・・・250質量部
・ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(竹本油脂株式会社製、パイオニンA−45−PN、ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量=35質量%)・・・100質量部
・蒸留水・・・650質量部
上記の混合物をプレミックスし、混合スラリー(e)を作製した。ディスクタイプのメディアミル(アシザワ・ファインテック株式会社製、ZRS型)で0.10mmジルコニアビーズ、充填率70%を用いて周速6m/s、液温10℃で4分間循環分散し、遠心分離機(久保田商事株式会社製、Model−7700)で粗大粒子を遠心分離し、実施例5の顔料分散体(E)を作製した。
(実施例6)
−顔料分散体(F)の作製−
実施例1のカーボンブラックを、Color Black FW200(degussa社製、BET比表面積460m/g、平均一次粒子径13nm、pH2.5、DBP吸油量620g/100g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、混合スラリー(f)、及び顔料分散体(F)を作製した。
(実施例7)
−顔料分散体(G)の作製−
実施例1のカーボンブラックをPrintex25(degussa社製、BET比表面積45m/g、平均一次粒子径56nm、pH9.0、DBP吸油量45g/100g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、混合スラリー(g)、及び顔料分散体(G)を作製した。
(実施例8)
−顔料分散体(H)の作製−
実施例1のカーボンブラックをSpecial Black250(degussa社製、BET比表面積40m/g、平均一次粒子径56nm、pH3.1、DBP吸油量46g/100g)に変更した以外は、実施例1と同様にして、混合スラリー(h)、及び顔料分散体(H)を作製した。
(実施例9)
−顔料分散体(I)の作製−
実施例1のナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量を50質量%から15質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、混合スラリー(i)、及び顔料分散体(I)を作製した。
(実施例10)
−顔料分散体(J)の作製−
実施例1のナフタレンスルホン酸2量体、3量体、及び4量体の合計含有量を50質量%から90質量%に変えた以外は、実施例1と同様にして、混合スラリー(j)、及び顔料分散体(J)を作製した。
(比較例1)
−顔料分散体(K)の作製−
実施例1において、充填率40%、周速15m/sに変えた以外は、実施例1と同様にして、混合スラリー(k)、及び顔料分散体(K)を作製した。
(比較例2)
−顔料分散体(L)の作製−
実施例4において、直径0.50mmのジルコニアビーズに変えた以外は、実施例4と同様にして、混合スラリー(l)、及び顔料分散体(L)を作製した。
(比較例3)
−顔料分散体(M)の作製−
実施例5において、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物450質量部、蒸留水300質量部に変えた以外は、実施例5と同様にして、混合スラリー(m)、及び顔料分散体(M)を作製した。
(比較例4)
−顔料分散体(N)の作製−
実施例2において、カーボンブラックの添加量を125質量部に変えた以外は、実施例2と同様にして、混合スラリー(n)、及び顔料分散体(N)を作製した。
(比較例5)
−顔料分散体(O)の作製−
実施例3において、充填率を95%にした以外は、実施例3と同様にして、混合スラリー(o)、及び顔料分散体(O)を作製した。
次に、上記の方法で得られた混合スラリー(a)〜(o)の分散前の粘度を、以下のようにして、測定した。結果を表1に示す。
<粘度の測定>
温度25℃、湿度55%RHの環境下、粘度計(東機産業株式会社製、RE−80L型)を用いて粘度を測定した。
次に、上記の方法で得られた顔料分散体(A)〜(O)の平均粒子径(D50)及び標準偏差(SD)を粒度分析計(日機装株式会社製、UPA150EX)により測定した。また、粗大粒子数(粒径0.5μm以上)の個数は、粒度分布測定装置(アキュサイザー780、Particle Sizing Systems社製)により測定した。結果を表2に示す。
−顔料インクの作製−
上記の方法で得られた顔料分散液(A)〜(O)を用いて、下記のインク処方により顔料インクを調製し、30分間攪拌後、孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過し、真空脱気して、(α)〜(ο)の実施例及び比較例の顔料インクを作製した。
<インク処方>
・各顔料分散体(顔料濃度25質量%)・・・40.0質量部
・グリセリン・・・7.5質量部
・ジエチレングリコール・・・15.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール・・・3.0質量部
・2−ピロリドン・・・3.0質量部
・ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)エーテル酢酸ナトリウム・・・0.5質量部
・蒸留水・・・31.0質量部
次に、作製した各顔料インクを用いて、以下のようにして吐出安定性、印字画像、及び保存安定性について評価した。結果を表3に示す。
<評価1:吐出安定性>
吐出安定性については、インクジェットプリンタ(EPSON社製、EM−930C)でPPC用紙(ゼロックス株式会社製、XEROX4024)に印字した後、プリンタヘッドにキャップした状態でプリンタを40℃の環境下で1ヶ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって評価した。
〔評価基準〕
○:1回の動作により回復した。
△:2回〜3回の動作により回復した。
×:3回以上の動作によっても回復がみられなかった。
<評価2:顔料分散体及び顔料インク保存性>
各インクをポリエチレン容器に入れ、密封し、70℃で3週間保存した後の粒径、表面張力、及び粘度を測定し、初期物性との変化率により下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:10%以内
△:30%以内
×:50%を超える
<評価3:画像評価>
画像濃度は、インクジェットプリンタ(EPSON社製、EM−930C)でPPC用紙(ゼロックス株式会社製、XEROX4024)に記録した画像サンプルのベタ画像の測色をXrite濃度計にて測定し、下記の基準で評価した。
〔評価基準〕
○:1.30以上
△:1.20以上1.30未満
×:1.20未満
表2及び表3の結果から、実施例1〜10の本発明の顔料分散液を用いたインクジェット用インクは、高い画像濃度であり、吐出安定性、及び保存安定性において比較例1〜5より優れたものであることが分かった。
本発明の顔料分散液及び該顔料分散液を用いたインクジェット用インクは、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェットプリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、などに好適に適用することができる。
図1は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 本体筐体
16 ギア機構
17 副走査モータ
18 キャリッジ
18a 液滴吐出ヘッド
19 プラテン
20 インクカートリッジ
21 ガイドシャフト
22 ガイドシャフト
23 タイミングベルト
24 主走査モータ
25 ギア機構
26 主走査モータ
27 ギア機構

Claims (13)

  1. 少なくともカーボンブラック、分散剤、及び水を含む混合スラリーの分散前の粘度が25℃で10mPa・s〜500mPa・sであり、
    前記分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であり、該ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物が、ナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、及び4量体の合計含有量が30質量%〜70質量%であり、
    前記混合スラリーを、直径0.01mm〜0.3mmのジルコニアビーズを充填率が50%〜90%となるように充填したメディアミルを用いて、周速3m/s〜12m/sの条件で分散することを特徴とする顔料分散体の製造方法。
  2. カーボンブラックが、BET比表面積が100m /g〜400m /gであり、平均一次粒子径が10nm〜30nmである請求項1に記載の顔料分散体の製造方法。
  3. カーボンブラックが、pHが7〜11であり、DBP吸収量が80g/100g〜150g/100gである請求項1から2のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
  4. カーボンブラックが、pHが1〜5であり、DBP吸油量が300g/100g〜1000g/100gである請求項1から2のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
  5. カーボンブラックの固形分濃度が、10質量%〜40質量%である請求項1から4のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
  6. ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の添加量が、カーボンブラック1質量部に対し0.01質量部〜2質量部である請求項1から5のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の顔料分散体の製造方法により製造されたことを特徴とする顔料分散体。
  8. 請求項7に記載の顔料分散体を少なくとも含有することを特徴とするインクジェット用インク。
  9. 請求項8に記載のインクジェット用インクを容器内に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  10. 請求項8に記載のインクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  11. 請求項8に記載のインクジェット用インクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  12. 記録媒体上に請求項8に記載のインクジェット用インクを用いて形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
  13. 記録媒体が、紙である請求項12に記載のインク記録物。
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