JP5250415B2 - ジイモニウム化合物及びその用途 - Google Patents

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Description

本発明は近赤外領域に吸収を有するジイモニウム化合物及びその用途に関する。さらに詳しくは耐久性及び、特に溶剤に対する溶解度に優れたジイモニウム化合物及びそれを用いた近赤外線吸収フィルター、光記憶媒体及びその樹脂組成物に関する。
従来、近赤外線吸収剤であるジイモニウム化合物は、近赤外線吸収フィルター、断熱フィルム及びサングラス等に広く利用されており、様々な種類のものが報告されている。これらのジイモニウム化合物としては、対イオンとしてナフタレンジスルホン酸イオン等の二価の対イオンを有するもの(例えば特許文献1を参照)や、六フッ化アンチモン酸イオン等の一価の対イオンを二つ有するもの(例えば特許文献2を参照)などが知られている。しかしながら、前者の場合、特許文献1に記載の化合物はモル吸光係数が低く、化合物自体が緑味を帯びている為、実用上使用可能な分野が限られている。
また後者の場合、特許文献2に記載の化合物のように、対イオンとしては同一のイオンを2つ有するジイモニウム化合物のみが報告されている。上記のフィルターなどを作製する場合、ジイモニウム化合物をフィルムなどに塗工する目的で、一般的にはメチルエチルケトン(MEK)が溶剤として使用される。しかしながら、上記のように同一の2つの対イオンを有するジイモニウム化合物の場合、用いられるMEKに対する溶解度が不十分であり、充分な化合物濃度を有する塗工液を得ることがしばしば困難であるという問題があった。
さらに、従来公知のジイモニウム化合物は、前記したような溶解性の問題ばかりでなく、それらの化合物を樹脂バインダー等に配合して、樹脂フィルム等の基材に被覆を行う等により近赤外線吸フィルターを得た場合、ジイモニウム化合物が一般的に耐熱安定性や、耐湿熱安定性に対して不十分であるという安定性に対する問題が指摘されている。
特開平10−316633号公報 特許第3699464号公報 特公昭43−25335号公報 国際公開WO03/005076 国際公開WO2005/044782 国際公開WO2006/028006 国際公開WO2006/120888 特開2003−292936号公報 米国特許出願公開US2007/0090331
本発明は前記したような状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、優れた溶剤溶解性を示し、なおかつ耐久性を有する近赤外線吸収化合物を提供すること、さらにはそのような溶解性と耐久性に優れた近赤外線吸収化合物を用いた、近赤外線吸収フィルター及び樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意努力した結果、特定の構造を有するジイモニウム化合物が前記諸課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、
(1)下記式(1)で表されるジイモニウム化合物、
Figure 0005250415
(式(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素残基を表し、環A及び環Bは置換基を有していてもよい。XアニオンおよびYアニオンは互いに同一ではない一価の陰イオンを表す。)
(2)Xアニオン及びYアニオンが、それぞれ六フッ化アンチモン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、又はペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドのアニオンから選択されるアニオンである、上記(1)に記載のジイモニウム化合物、
(3)R1〜R8がそれぞれ独立に置換基を有していてもよいC1−C6の直鎖、分岐鎖、環状または不飽和の脂肪族炭化水素残基であり、環Aおよび環Bの置換基がそれぞれ独立に水素原子、C1−C4のアルキル基、ハロゲン原子およびシアノ基よりなる群から選択される基である、上記(1)または(2)に記載のジイモニウム化合物、
(4)R1〜R8の置換基が、C1−C4のアルコキシ基、シアノ基、フッ素原子よりなる群から選択される基である、上記(3)に記載のジイモニウム化合物、
(5)R1〜R8がそれぞれ独立にiso−ブチル基、n−ブチル基、n−プロピル基、シアノプロピル基又はiso−アミル基のいずれかである、上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のジイモニウム化合物、
(6)樹脂及び上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のジイモニウム化合物を含有する樹脂組成物、
(7)上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のジイモニウム化合物を含有する層を有する近赤外線吸収フィルター、及び、
(8)上記(7)に記載の近赤外線吸収フィルターを備えたプラズマディスプレー、
に関する。
本発明のジイモニウム化合物は、下記のジイモニウムカチオンと、対イオンとしての互いに異なる一価のアニオン2個とを有するものであり、下記式(1)で表される。
Figure 0005250415
式(1)において環A及び環Bはそれぞれ、1,4−位以外に1〜4個の置換基を有していてもよい。該置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、シアノ基、低級アルキル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等のC1〜C5のアルコキシ基が挙げられ、メトキシ基が好ましい。
低級アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基等のC1〜C5のアルキル基が挙げられ、メチル基が好ましい。
より好ましいものとしては環A及び環Bが共に置換基を有していないか、又はハロゲン原子、特に塩素原子、臭素原子、フッ素原子が置換したもの、メチル基若しくはシアノ基で置換されているものが挙げられる。
なお、環Bに置換基を有する場合は、4つのB環上の置換基がすべて同じであるもの、更に置換基の位置はA環のフェニレンジアミン骨格に結合する窒素原子に対してメタ位であるものが好ましい。
特に好ましいものは環A及び環Bの置換基が全て水素原子のものである。
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素残基を表す。脂肪族炭化水素残基とは、飽和又は不飽和の、直鎖、分岐鎖又は環状の脂肪族炭化水素から水素原子1個を除いた基を意味する。炭素数としては1〜36、好ましくは炭素数が1〜20、特に好ましくは炭素数が1〜6であるものが挙げられる。
置換基を有しない飽和脂肪族炭化水素残基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシル等の直鎖のもの;iso−プロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ペンチル、t−ペンチル等の分岐鎖のもの;シクロペンチル、シクロヘキシル等の環状のもの;等が挙げられる。
不飽和の脂肪族炭化水素残基の具体例としては、ビニル、アリル、プロペニル、ペンチニル、ブテニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、エチニル、プロピニル、へキシニル等の直鎖のもの;イソプロペニル、イソへキセニル、シクロへキセニル、イソへキシニル等の分岐鎖のもの;シクロペンタジエニル、シクロへキシニル等の環状のもの;等が挙げられる。
これらの中で、好ましいものとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等のC1−C6の直鎖のもの;iso−プロピル、iso−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ペンチル、t−ペンチル等のC3−C5の分岐鎖のもの;等の飽和脂肪族炭化水素残基、および、ビニル、アリル、プロペニル、ペンチニル等のC1−C6の不飽和の脂肪族炭化水素残基等が挙げられる。
本発明においては、R1〜R8のうち少なくとも1つが直鎖又は分岐鎖のC1−C6のアルキル基であるもの、さらにはR1〜R8のうち少なくとも1つが直鎖のC1−C4のアルキル基であるものが好ましく、又、R1〜R8のうち少なくとも1つが分岐鎖のアルキル基であるもの、とりわけR1〜R8がすべて末端で分岐しているアルキル基であるものがより好ましい。R1〜R8がすべて末端で分岐しているアルキル基であるものとしては、iso−プロピル、iso−ブチル、iso−アミル、iso−ヘキシルなどが挙げられ、R1〜R8がすべてiso−ブチルであるものが特に好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素残基における置換基の例としては、例えばハロゲン原子(例、F、Cl、Br)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、イソブトキシなど)、アルコキシアルコキシ基(例、メトキシエトキシなど)、アリール基(例、フェニル、ナフチルなど。これらのアリール基はさらに置換基を有していてもよい)、アリールオキシ基(例、フェノキシなど)、アシルオキシ基(例、アセチルオキシ、ブチリルオキシ、ヘキシリルオキシ、ベンゾイルオキシなど。これらのアリールオキシ基はさらに置換基を有していてもよい)、アミノ基、アルキル置換アミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノなど)、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなど)、アシル基、アミド基(例、アセトアミドなど)、スルホンアミド基(例、メタンスルホンアミドなど)、およびスルホン酸基が挙げられる。これらの置換基のうち、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボンアミド基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アリール基又はアルコキシ基等が好ましい。
より好ましいものとしてはC1−C4のアルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子があげられ、特に好ましいものはメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、シアノ及びフッ素原子である。
これらの基はそれぞれ独立して存在しうるものである。例えば、R1とR2、R3とR4、R5とR6およびR7とR8のそれぞれの組合せが異なる基の組合せであってもよい。すなわち1個のアミノ基に無置換の直鎖アルキル基とシアノ置換アルキル基が置換したもの、無置換の分岐鎖アルキル基とシアノ置換アルキル基が置換したもの、無置換の直鎖アルキル基と無置換の分岐鎖アルキル基が置換したものなどでもよい。
置換基を有する脂肪族炭化水素残基の好ましい具体例としては、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−シアノプロピル、4−シアノブチル、3−シアノブチル、2−シアノブチル、5−シアノペンチル、4−シアノペンチル、3−シアノペンチル、2−シアノペンチル、3,4−ジシアノブチル等のシアノ置換(C1〜C6)アルキル基、メトキシエチル、エトキシエチル、3−メトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−メトキシブチル、4−エトキシブチル、5−エトキシペンチル、5−メトキシペンチル等のアルコキシ置換(C1〜C6)アルキル基、トリフルオロメチル、モノフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、テトラフルオロエチル、トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、ペルフルオロブチルエチル、ペルフルオロヘキシル、ペルフルオロヘキシルエチル、ペルフルオロオクチル、ペルフルオロオクチルエチルなどのフッ化(C1〜C8)アルキル基等も挙げられる。より好ましいものは、3−シアノプロピルである。
Xアニオン及びYアニオンは、それぞれ一価のアニオンであるが、XとYが同一であることはない。これらのアニオンとしては、例えば無機のアニオン及び有機酸のアニオン及び有機金属のアニオンなどが挙げられる。
上記の有機酸および有機金属のアニオンとしては、例えば酢酸、乳酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、シュウ酸、コハク酸、ステアリン酸等の有機カルボン酸のアニオン、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンモノスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸のアニオン、テトラフェニルホウ酸、ブチルトリフェニルホウ酸、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸等の有機ホウ酸のアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド等の含フッ素有機酸のアニオンが挙げられ、好ましいものとして強酸のアニオンであるテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドに対応する各アニオンが挙げられる。
無機のアニオンとしては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンのアニオン、チオシアン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、過塩素酸、過ヨウ素酸、硝酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、モリブデン酸、タングステン酸、チタン酸、バナジン酸、リン酸、ホウ酸、テトラフルオロタンタル酸、テトラフルオロニオブ酸のアニオン等があげられ、好ましいものとしては強酸のアニオンであり、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸に対応する各アニオン等があげられる。
これらのアニオンのうち、六フッ化アンチモン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドに対応する各アニオンが特に好ましい。上記のR〜R、環A、環B、X及びYのうち、好ましいもの同志を組合せた化合物はより好ましく、より好ましいもの同志を組合せた化合物はさらに好ましい。特に好ましいもの等についても同様である。
本発明の式(1)で表されるジイモニウム化合物は、例えば特許文献3に記載された方法に準じて合成される下記式(2)で表されるアミニウム塩化合物を、Yアニオンの供給源の存在下に、酸化することにより合成することができる。
即ち、本発明のジイモニウム化合物は、有機溶媒中、好ましくはジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、N−メチルピロリドン(NMP)等の水溶性極性溶媒中、0〜100℃、好ましくは5〜70℃で、Yアニオンに対応する酸化剤(例えば銀塩)を1当量加え、引き続き、特許文献3の方法に準じて合成したアミニウム塩を加え、酸化することにより得ることができる。硝酸銀等の酸化剤と、Yアニオンに対応する酸もしくは塩の混合物に上記の方法で合成したアミニウム塩を加えることによっても同様のジイモニウム化合物を得ることができる。
Figure 0005250415
(式(2)中、環A及び環B、R1〜R8およびXは、上記式(1)におけるのと同じ意味を表す。)
次に、式(1)で表される本発明のジイモニウム化合物の具体例を表1及び21に示す。表中、R1〜R8に関し、i−は「iso−」のように分岐鎖の状態を、Cyは「cyclo−」のように環状基の状態を、それぞれ表す。
環A及び環Bに関し、1位および4位以外が無置換の場合は「4H」と表記し、またすべてがメチル基で置換されている場合は「4CH3」と表記し、「3−CN」などのように置換基の前に数字のある場合、数字は置換位置を表す。その置換位置はB環のフェニレンジアミン骨格に結合するR1〜R8が置換した窒素原子の位置を4位とし、これに対する置換位置である。また、R1〜R8に関し、R1〜R8が全てn−ブチル基である場合には「4(n−C49,n−C49)」と略記する。
およびYは対イオンであるアニオンを表し、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオンはTFSI、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオンはFSI、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオンはTFSM、ペンタフルオロフェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオンはZ、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオンはWとそれぞれ略記する。
Figure 0005250415
Figure 0005250415
Figure 0005250415
なお、上記表21中、式(201)とは、下記式(201)の化合物を表す。
Figure 0005250415
次に、上記式(2)で表されるアミニウム塩化合物の具体例を下記表22に示す。
表中の略号等については、上記表1及び21の表記と同じ意味を有する。
Figure 0005250415
本発明の樹脂組成物は、樹脂及び前記式(1)で表される本発明のジイモニウム化合物を含有することを特徴とする。
本発明の樹脂組成物に用いうる樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリシアン化ビニリデン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、シアン化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物及び/又はフッ素系不飽和化合物の共重合体、ポリトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素を含む樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリペプチド、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
これらの樹脂を、目的とする成形品に応じて、前記式(1)で表される本発明のジイモニウム化合物と所定の割合で混合することにより、本発明の樹脂組成物が調製される。また、成形品の形状としては、板状、フィルム状、積層状等が適用出来る。
本発明の樹脂組成物の成形品を作製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば次のような、それ自体公知の方法が利用できる。
(1)樹脂と本発明のジイモニウム化合物とを混練し、加熱成形して樹脂板又はフィルムを作製する方法、
(2)本発明のジイモニウム化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体とを混合し、重合触媒の存在下にキャスト重合し、樹脂板又はフィルムを作製する方法、
(3)本発明の樹脂組成物を含有する塗料(塗工液)を調製し、透明樹脂板、透明フィルム、又は透明ガラス板にコーティングする方法。
上記(1)の成形品作製方法としては、用いる樹脂によって加工温度、フィルム化(樹脂板化)条件等が多少異なるが、通常、本発明のジイモニウム化合物を基材樹脂の粉体又はペレットに添加し、150〜350℃に加熱し、溶解させた後、成形して樹脂板を作製する方法、あるいは押し出し機によりフィルム化(樹脂板化)する方法等が挙げられる。本発明のジイモニウム化合物の添加量は、作製する樹脂板又はフィルムの厚み、吸収強度、可視光透過率等によって異なるが、通常、基材樹脂の質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.03〜15質量%使用される。
上記(2)の成形品作製方法では、上記の化合物と樹脂モノマー又は樹脂モノマーの予備重合体を重合触媒の存在下に型内に注入し、反応させて硬化させるか、又は金型に流し込んで型内で硬い製品となるまで固化させて成形する。多くの樹脂がこの過程で成形可能であり、その様な方法を採用しうる樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコン樹脂等が挙げられる。その中でも、硬度、耐熱性、耐薬品性に優れたアクリルシートが得られるメタクリル酸メチルの塊状重合によるキャスティング法が好ましい。
重合触媒としては公知のラジカル熱重合開始剤が利用でき、例えばベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物などが挙げられる。その使用量は混合物の総量に対して、一般的に0.01〜5質量%である。熱重合における加熱温度は、通常40〜200℃であり、重合時間は通常30分〜8時間程度である。また熱重合以外に、光重合開始剤や増感剤を添加して光重合する方法も採用できる。
上記(3)の成形品作製方法としては、本発明のジイモニウム化合物をバインダー樹脂及び有機溶媒に溶解させて塗料化する方法、上記化合物を樹脂の存在下に微粒子化して分散させ、水系塗料とする方法等がある。このうち本発明のジイモニウム化合物をバインダー樹脂及び有機溶媒に溶解させて塗料化する方法では、例えば、脂肪族エステル樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニル系樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル変性樹脂等、又はそれらの共重合樹脂をバインダーとして用いることができる。
本発明のジイモニウム化合物を含む塗料(塗工液)を調製する際に使用し得る有機溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系の溶媒、又はそれらの混合物の溶媒を用いることができる。
ハロゲン系溶媒としては塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエチレン、トリクレンなどが挙げられる。アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、テトラフルオロプロパノール(TFP)、t−ブタノール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブなどが挙げられる。ケトン系溶媒としてはMEK、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられる。エステル系溶媒としては酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。脂肪族炭化水素系溶媒としてはペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテルなどが挙げられる。芳香族炭化水素系溶媒としてはトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼンなどが挙げられる。エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、1、4−ジオキサンなどが挙げられる。その他の有機溶媒としては、アセトニトリルが挙げられる。
上記の有機溶媒のうち、好ましいものとしてはMEK、MIBK、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、酢酸エチル、トルエン、及びこれらの混合物が挙げられる。
一般的に塗工液の調製によく用いられる溶媒としてMEKが挙げられる。溶媒中の本発明のジイモニウム化合物の濃度は、作製するコーティングの厚み、吸収強度、可視光透過率によって異なるが、バインダー樹脂に対して、一般的に0.1〜30質量%である。MEKなどの溶媒に本発明のジイモニウム化合物を溶解させることにより、コーティングに用いる塗料が調製できる。この際、化合物濃度の高い塗料(塗工液)を得るためにはMEKなどに対して高い溶解度を示す化合物を用いる必要がある。本発明のジイモニウム化合物は従来品と比較して、高い溶媒溶解性を示すことからこれらの用途に好適に用いることができる。
このように調製した塗料を用いて透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明ガラス等の上にスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、スプレー等でコーティングして近赤外線吸収フィルターを得ることができる。
前記の成形品作製方法(1)〜(3)において、それぞれの方法で混練、混合の際、紫外線吸収剤、可塑剤等、樹脂成形に用いる通常の添加剤を加えてもよい。
このようにして得られる樹脂組成物の成形品の好ましい用途は近赤外線吸収フィルターである。このような近赤外線吸収フィルターは、本発明の化合物を含有する樹脂層を基材上に設けたものでもよく、また基材自体が近赤外線吸収化合物を含有する樹脂組成物(又はその硬化物)からなる層であってもよい。
基材としては、一般に近赤外線吸収フィルターに使用し得るものであれば特に制限されないが、通常、樹脂製の基材が使用される。本発明の化合物を含有する層の厚みは、通常0.1μm〜10mm程度であるが、近赤外線カット率等の目的に応じて適宜決定される。また、本発明のジイモニウム化合物の含有量も目的とする近赤外線カット率に応じて、適宜決定される。用いる樹脂としては、樹脂板又は樹脂フィルムに成形した場合、できるだけ透明性の高いものが好ましい。
次に前記式(1)で表される本発明のジイモニウム化合物を含有する接着層を有する近赤外線吸収フィルターについて説明する。
この構造の近赤外線吸収フィルターは、本発明の化合物及び接着性樹脂を含有する樹脂組成物を用いて、合わせ樹脂板、合わせ樹脂フィルム、又は合わせガラス板を作製することによって得られる。このような目的で使用される接着性樹脂としては、シリコン系、ウレタン系、アクリル系等の、樹脂用又は合わせガラス用のポリビニルブチラール接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤等の合わせガラス用の公知の透明接着剤が使用できる。本発明の化合物を0.1〜30質量%添加した接着剤組成物を調製し、これを用いて透明な樹脂板同士、樹脂板と樹脂フィルム、樹脂板とガラス、樹脂フィルム同士、樹脂フィルムとガラス、およびガラス同士などを接着することにより上記構造の近赤外線吸収フィルターが得られる。なお、接着剤組成物を調製するに当たり、それ自体公知の紫外線吸収剤、可塑剤等を適宜加えてもよい。
上記のように、本発明のジイモニウム化合物は、基材上の層、ラミネート材の接着層等、或いは近赤外線フィルターを構成する層等の、いかなる層にも使用が可能である。
前記したような本発明の近赤外線吸収フィルターは、近赤外線吸収化合物として単一の本発明の式(1)のジイモニウム化合物のみを含有していてもよいが、2種類以上の本発明のジイモニウム化合物を併用することも、さらにこれらの化合物と、本発明のジイモニウム化合物以外の近赤外線吸収化合物とを併用して作製してもよい。
併用し得る他の近赤外線吸収化合物としては、例えばフタロシアニン系色素、シアニン系色素、ジチオールニッケル錯体等があげられる。また、併用しうる無機金属系の近赤外線吸収化合物の例としては、例えば金属銅又は硫化銅、酸化銅等の銅化合物、酸化亜鉛を主成分とする金属混合物、タングステン化合物、酸化インジウム錫(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)等が挙げられる。
また、近赤外線吸収フィルターの色調を変えるために、可視領域に吸収を持つ色素、すなわち調色用色素を、本発明の効果を阻害しない範囲で加えてもよい。また、調色用色素のみを含有するフィルターを作製し、後でこれに本発明の近赤外線吸収フィルターを貼り合わせることもできる。
このようにして得られた本発明の近赤外線吸収フィルターの特に好ましい用途はプラズマディスプレーへの使用である。例えばプラズマディスプレーの前面板に用いられる場合には、可視光の透過率は高いほどよく、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上の透過率が必要である。近赤外線のカット領域は、好ましくは750〜1200nm、より好ましくは800〜1000nmであり、その領域の近赤外線の平均透過率が50%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、特に好ましくは10%以下になるのがよい。
本発明のジイモニウム化合物は、近赤外線吸収フィルターの作製や加工時に一般的に用いられる溶媒であるMEKなどに対する溶解性が高く、加工特性に優れている。このような特徴を有していることから、大量に生産する製品に適しており、特にプラズマディスプレー用の近赤外線吸収フィルターに好適である。
本発明の近赤外線吸収フィルターは、プラズマディスプレーの前面板のような前記用途に限らず、近赤外線をカットする必要があるフィルターやフィルム、例えば断熱フィルム、光学製品およびサングラス等にも使用することが出来る。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、「部」、「%」は特に特定しない限り、質量基準である。
実施例で合成した化合物の融点及び融解ピーク温度は、下記の機器および条件を使用して測定した。
測定機器:DSC220 (セイコーインスツルメンツ株式会社製)
測定条件:昇温速度10℃/分
合成例1
特許文献3の方法に準じ、DMF30部中にN,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジアミン6部を加え、60℃に加熱した後、DMF35部に溶解したビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの銀塩2.52部を加え、30分間攪拌した。不溶解分をろ別した後、反応液に水を加え、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンアミニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩6部を得た。
極大吸収波長: 420nm、946nm(アセトン)
実施例1−1
DMF30部中に六フッ化アンチモン酸銀0.58部を加えて攪拌した。引き続いて、合成例1により得られたN,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンアミニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩2部を加え、25℃で15分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、メタノール、次いで水で洗浄後、乾燥し、表1におけるNo.1の化合物1.6部を得た。
融点: 169〜174℃
実施例1−2
DMF30部中に、硝酸銀0.29部、セシウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド0.91部を加えて攪拌した。N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンアミニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩2部を加え、25℃で30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、メタノール、次いで水で洗浄した後、乾燥し、表1におけるNo.2の化合物1.8部を得た。
融点: 203〜209℃
上記表1に記載のその他の化合物についても上記実施例と同様に、対応するアミニウム塩を、対応するアニオンまたはアニオン源の存在下、酸化剤で酸化することにより合成することができる。
異種のアニオンを対イオンとして含む本発明の実施例の化合物と、従来の同一のアニオンを対イオンとして使用したジイモニウム化合物の融点とを下記表101に記載する。従来のジイモニウム化合物は、例えば合成例1において、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの銀塩を、N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンジアミンに対して2モル当量以上使用することにより、2つの対イオンがいずれもビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンであるものを合成できる。またビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドに対応する、他のアニオンを使用すれば、使用した他のアニオンに対応する対イオンを2つ有する他の従来のジイモニウム化合物が合成できる。
なお表101中で使用した略号、即ちTFSI、SbF6およびTFSMは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、六フッ化アンチモン酸およびトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドのアニオンをそれぞれ表す。また、これらの略号の先頭につけた数字は、対イオンの数を表す。
表101にはそれぞれの化合物のTpm(融解ピーク温度)を記載する。
Figure 0005250415
表101中にて用いた化合物は、下記式(101)におけるXが以下のものである。
2TFSI塩:Xがビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
2SbF6塩:Xが六フッ化アンチモン酸
2TFSM塩:Xがトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド
Figure 0005250415
表101から明らかなように、本発明の実施例の化合物は従来の化合物とは融点が異なることにより、従来の化合物の単なる混合物とは異なるものであることが確認された。
実施例2−1
DMF30部中に、硝酸銀0.29部、カリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート1.2部を加え攪拌した。N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンアミニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩2部を加え、25℃で30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、メタノール、次いで水で洗浄後、乾燥し、上記表21に記載の化合物番号(202)の化合物1.4部を得た。
融点: 154〜166℃
実施例2−2
DMF30部中に、硝酸銀0.29部、上記式(201)で表されるアゾ金属錯体のトリエチルアンモニウム塩[HN(C253 +塩]1.5部を加え攪拌した。N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}−p−フェニレンアミニウムのビストリフルオロメタンスルホニルイミド塩2部を加え、25℃で30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、メタノール、次いで水で洗浄後、乾燥し、上記表21に記載の化合物番号(203)の化合物1.6部を得た。
融点: 171〜180℃
実施例2−3
DMF30部中に、六フッ化燐酸銀0.41部を加え攪拌した。次いで、N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(シアノプロピル)アミノフェニル}−p−フェニレンアミニウムの六フッ化アンチモン酸塩2部を加え、25℃で30分間攪拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾取し、メタノール、次いで水で洗浄後、乾燥し、上記表21に記載の化合物番号(204)の化合物1.8部を得た。
融点: 202〜229℃
比較例2−1
DMF40部中にN,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジアミン2部を加え、40℃に加熱した後、上記式(201)で表されるアゾ金属錯体のトリエチルアンモニウム塩2.1部を加えた。引き続いてDMF40部に溶解した硝酸銀0.82部を加え、120分間加熱撹拌した。不溶解分を濾別した後、反応液に水を加え、析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、水洗、乾燥し、比較例2−1の化合物2.5部を得た。
融点: 203〜223℃
下記表202には各実施例及び比較例で得られた化合物、及び比較用として挙げた従来の化合物のTpm(融解ピーク温度)を記載する。なお表202中の各化合物は、上記式(1)において、R〜Rの全てがイソブチルであり、X及びYアニオンがそれぞれ異なる化合物である。なお表202中にて用いた略号のうち、B(Cがテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを意味する以外は、上記表101中で使用した略号などと同じ意味を有する。
Figure 0005250415
X及びYのいずれもがSbF又はTFSIである従来の化合物と、本願発明の実施例1−1の化合物は、Tpmの値が比較的近いため、波長1000nmにおけるグラム吸光係数(ε)を測定し、これらが異なる化合物であることを確認した。同様の理由により、X及びYのいずれもがTFSI又は上記式(201)である従来の化合物と、本願発明の実施例2−2の化合物についても波長500nmにおける同様の測定を行い、これらも異なる化合物であることを確認した。なお「グラム吸光係数」とは、特定波長における、化合物1gあたりの吸光係数を意味する。結果を下記表203に示す。
Figure 0005250415
下記表204には実施例2−3及び比較用として挙げた従来の化合物のTpm(融解ピーク温度)を記載する。なお表204中の各化合物は、上記式(1)において、R〜Rの全てがシアノプロピルであり、X及びYアニオンがそれぞれ異なる化合物である。なお表204中にて用いた略号のうち、PFが六フッ化リンを意味する以外は、上記表101中で使用した略号などと同じ意味を有する。
Figure 0005250415
(i)MEK中での溶解度の測定
室温下(20〜25℃)、MEK100部を攪拌し、この溶媒中にジイモニウム化合物を少量ずつ加えた。目視にて不溶解分が出た時点で化合物の添加を終了し、それまでの溶解分の化合物の質量により溶解度を算出した。
本発明の化合物としては実施例1−1の化合物(表1の化合物No.1)を使用した。また比較用の化合物としては、N,N,N',N'−テトラキス{p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル}フェニレンジイモニウムの六フッ化アンチモン酸塩を使用した。この化合物は前記式(101)において、Xが六フッ化アンチモンである化合物である。
結果を表2に示す。
Figure 0005250415
表2より明らかなように、R1〜R8が全てiso−ブチルであるジイモニウム化合物同士でありながら、対イオンとして2つの同一の六フッ化アンチモン酸アニオンを有する比較用の式(101)の化合物に対して、本発明の2つの異なる対イオンを有する実施例1の化合物は、MEKに対する溶解度が5倍もの高い値を示すことが判明した。
(ii)近赤外線吸収フィルターの作製及び耐久性試験
実施例2で得られたジイモニウム化合物0.1部をサンプル瓶に測り取り、つづいてTFP10部を加え、室温下にて超音波を5分間印加して溶解させ、0.45μmのフィルターでろ過し、微細なごみを取り除いた。得られた溶液を縦10cm、横10cm、厚さ1.0mmのポリカーボネート基板上にピペットにて滴下し、スピンコーターにより2000回転10秒で塗布した。塗布後80℃で10分間乾燥させることにより、本発明の近赤外線吸収フィルムを得た。
上記で作成した近赤外線フィルムを100℃のオーブン中に4日間放置し、近赤外領域(1000nm)の吸光度を測定した。オーブンに入れる前の近赤外領域(1000nm)における吸光度をI0、オーブンに入れた後の近赤外領域(1000nm)の吸光度をI1とし、(I1/I0)×100(%)により算出された値を、色素残存率とし、耐久性の目安とした。この色素残存率の数値が大きいほど、耐久性が良好であることを示す。
比較のために、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド塩(2TFSI)についても上記と同様に近赤外線吸収フィルターの作製及び耐久性試験を行った。結果を表3に示す。
なお、N,N,N',N'−テトラキス(p−ジ(iso−ブチル)アミノフェニル)−p−フェニレンジイモニウムのトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド塩についても上記同様に近赤外線吸収フィルターを作製しようと試みたが、溶解度が不足し、近赤外線吸収フィルターを作製することができなかった。
Figure 0005250415
表3より明らかなように、R1〜R8が全てiso−ブチルであるジイモニウム化合物同士でありながら、対イオンとして2つの同一のTFSIアニオンを有する比較用の化合物を用いた近赤外線吸収フィルターに対して、本発明の2つの異なる対イオンを有する実施例2のジイモニウム化合物を用いた近赤外線吸収フィルターは、耐熱性に優れていることがわかる。
またR1〜R8が全てiso−ブチルであるジイモニウム化合物同士でありながら、対イオンとして2つの同一のTFSM塩を有する比較用の化合物に対して、本発明の2つの異なる対イオンを有する実施例2の化合物は、TFPに対する溶解性に優れていることがわかる。
本発明の近赤外線吸収性を示すジイモニウム化合物は、MEK等の通常使用される溶媒に対する溶解性が、従来のものと比較して優れている。そのため、本発明のジイモニウム化合物は、近赤外線吸収フィルター、断熱フィルム、近赤外線吸収フィルム等の材料として好適に用いることができる。また本発明のジイモニウム化合物は耐久性に優れ、実用上の利用価値が高い。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるジイモニウム化合物。
    Figure 0005250415
    (式(1)中、R1〜R8はそれぞれiso−ブチル基を表し、Xアニオンはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのアニオンを表し、Yアニオンは六フッ化アンチモン酸又はトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドのアニオンから選択されるアニオンを表す。
  2. 樹脂及び請求項に記載のジイモニウム化合物を含有する樹脂組成物。
  3. 請求項に記載のジイモニウム化合物を含有する層を有する近赤外線吸収フィルター。
  4. 請求項に記載の近赤外線吸収フィルターを備えたプラズマディスプレー。
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