JP5249741B2 - 管ライニング材引き込み装置及び引き込み方法 - Google Patents

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本発明は、管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み装置及びその引き込み方法に関する。
地中に埋設された上水道、下水道等の管路が老朽化した場合、管路を地中から掘出することなく、その内周面にライニングを施して管路を補修する管ライニング工法が知られている。
たとえば、従来から、熱硬化性樹脂を含浸させた筒状の管ライニング材をマンホールから本管あるいは枝管内に挿入し、管ライニング材を膨張させて管壁に押し当てた状態で、管ライニング材を加温し、そこに含浸された熱硬化性樹脂を硬化させて管路内周面をライニングし補修している。
管ライニング材を管路に挿入するのに、管ライニング材を反転させて管路内に挿入する工法と、管ライニング材を引き込んで管路内に挿入する工法が実施されており、反転挿入工法では、一箇所から管ライニング材を挿入できるのに対して、引き込み工法では、他方の箇所から管ライニング材を引っ張る必要があるとされている。
引き込み工法では、通常、管路内にスリップシートと呼ばれる滑りやすいプラスチックシートを敷き、このスリップシート上に管ライニング材を載せ、管ライニング材を他方から引っ張ってスリップシート上で滑らせながら管ライニング材を管路に挿入している。
また、管ライニング材全体を保護ライナーで包み、管ライニング材を引き込むことも行われている(特許文献1)。
特開2007−253509号公報
しかしながら、従来、管ライニング材を管路に引き込むために、スリップシートを用いる場合には、スリップシートの敷設が困難であったり、スリップの滑りが悪くて管ライニング材を損傷させてしまう、という欠点があり、また管ライニング材の全体を袋などで包んで管路内に引き込む場合には、引き込みが完了した後、管ライニング材を包んでいた袋を引き剥がす必要がある、などの問題があった。
本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、管ライニング材を円滑に管路内に引き込むことが可能な管ライニング材引き込み装置及びその引き込み方法を提供することを課題とする。
本発明(請求項1)は、
管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み装置であって、
シャフトを中心にして回転自在なローラーの一端側並びに他端側にそれぞれ該ローラーに対して独立して回転可能な車輪を取り付けてなる複数の引き込みユニットと、
各引き込みユニットをそれぞれ連結するための可撓性で柔軟な連結具と、を備え、
引き込みユニットのローラー上に管ライニング材を載せ、引き込みユニットを各車輪が管路内壁面に摩擦接触するように管路に配置して、引き込みユニット又は管ライニング材を引っ張ることにより管ライニング材を管路内に引き込むことを特徴とする。
また、本発明(請求項5)は、
管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み方法であって、
シャフトを中心にして回転自在なローラーの一端側並びに他端側にそれぞれ該ローラーに対して独立して回転可能な車輪を取り付けてなる複数の引き込みユニットのそれぞれを可撓性で柔軟な連結具を介して連結し、
連結された引き込みユニットを引き込みユニットの各車輪が管路内壁面に摩擦接触するように管路に配置するとともに、該配置した引き込みユニットのローラー上に管ライニング材の一端を取り外し可能に取り付け、
引き込みユニットを引っ張ることにより管ライニング材を管路内に引き込むことを特徴とする。
また、本発明(請求項6)は、
管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み方法であって、
シャフトを中心にして回転自在なローラーの一端側並びに他端側にそれぞれローラーに対して独立して回転可能な車輪を取り付けてなる複数の引き込みユニットのそれぞれを可撓性で柔軟な連結具を介して連結し、
連結された引き込みユニットを引き込みユニットの各車輪が管路内壁面に摩擦接触するように管路に配置して引き込みユニットを引っ張ることにより、各引き込みユニットを順次管路内に敷設し、
前記敷設した引き込みユニットのローラー上に管ライニング材を載せて引っ張ることにより管ライニング材を管路内に引き込むことを特徴とする。
本発明によれば、引き込みユニットには、管路内壁面に摩擦接触して回転することができる車輪が取り付けられているので、複数の引き込みユニットを連結してなる引き込み装置の管路内への敷設が容易になる。
また、管ライニング材は引き込みユニットの車輪と独立して回転可能なローラー上に載せられて引き込まれるので、管ライニング材の引き込みあるいは引き込みユニットの管ライニング材からの引き抜きが円滑に行われる。
また、引き込みユニットは柔軟で可撓性のある連結具を介して連結されるので、全体をコンパクトに束ねることができ、小型の引き込み装置が得られる。
以下、図面に示す実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。以下の説明では、管路を2つのマンホール間に敷設された下水道などの本管として説明するが、本発明は、このような本管に限定されるものではなく、管ライニング材を管路内に引き込んで挿入し、該管ライニング材により管路の内壁面をライニングするような場合の引き込みに適用できるものである。また、管路は下水道だけでなく、上水道あるいは農業用水管などの管路にも適用できるものである。
図1には、引き込み装置20をマンホール1内に搬送して本管3に敷設し、本管3をライニングするための管ライニング材10を本管3内に引き込む状態が図示されている。
引き込み装置20は、図2に示したように、可撓性のある柔軟で丈夫な繊維などでできた左右のロープ22、22’で縄梯子状に互いに結んで連結された複数の引き込みユニット21から構成される。
引き込みユニット21は、図3に示したように、弾力性があり摩擦係数の大きな材質(例えば、硬質ゴムなど)で作製されたローラー25を有しており、このローラー25は、シャフト23に固定された左右の軸受け24、24’を介してシャフト23を軸中心として回転できるようにシャフト23に取り付けられる。
シャフト23の一方の端部には、弾力性があり摩擦係数の大きな材質(例えば、硬質ゴムなど)でできた車輪27がシャフト23に固定された軸受け26を介してシャフト23を中心にシャフト23に対して回転できるように取り付けられており、またシャフト23の他方の端部には、車輪27と同様な材質でできた車輪27’がシャフト23に固定された軸受け26’を介してシャフト23を中心にシャフト23に対して回転できるように取り付けられている。このような取り付けにより車輪27、27’とローラー25は互いに独立して回転することが可能となる。
ローラー25と車輪27、27’間のシャフト23には、ロープガイド28、28’が固定される。このロープガイド28、28’に沿ってロープ22、22’を巻回して結び目を作り、順次次の引き込みユニット21のロープガイド28、28’にロープ22、22’を掛け渡すのを繰り返して、図2に示したように、複数の引き込みユニット21を互いに連結させることができる。
ローラー25上には、幅が減少するように両端10b、10cを折りたたまれた管ライニング材10が載せられるようになっており、このローラー25に載せられた管ライニング材10の位置ずれを防止するために、ローラー25の両端にはフランジ状のつば29、29’が取り付けられる。
図1、図2に示したように、最初の引き込みユニット21には、引っ張りロープ30が取り付けられ、この引っ張りロープ30の他端はマンホール2内に設置されたガイドローラー31並びにマンホール2上に配置されたガイドローラー32を介して地上のウインチ33に結合され、ウインチ33を駆動することにより引っ張りロープ30を巻き上げて引き込み装置20を本管3内に搬入することができるようになっている。
また、管ライニング材10を搬入するマンホール1には、軸受け35、35’で軸受けされて回転するガイドローラー36が設置され、マンホール1の開口部から挿入される管ライニング材10は、このガイドローラー36を介して本管2内に導かれ、引き込み装置20のローラー25上に載置される。
次に上述のように構成された引き込み装置を用いて管ライニング材を本管内に引き込み本管をライニングする工程を説明する。
本管3を管ライニング材10を用いてライニングする場合、まず、本管3と接続する一方のマンホール1内に引き込み装置20を搬入する。このとき、各引き込みユニット21を図1、図2の右側に図示したように互いに接触するような状態に束ねて全体としてコンパクトな状態にしてマンホール1の開口部よりマンホール1内に搬入する。
続いて、引き込み装置20の最初の引き込みユニット21に結束されている引っ張りロープ30を本管3を通過させ、本管3が終端する側のマンホール2に導き、ガイドローラ31、32を周回させて引っ張りロープ30の他端をウインチ33に取り付ける。
また、管ライニング材10をマンホール1内に搬入し、その一端10aを最初の引き込みユニット21のローラー25に適当な取付具(たとえばロープなど)で取り外しができるように取り付ける。
なお、管ライニング材10は、その幅が小さくなるように、例えば、両側端10b、10cを内側に折り畳んで(図3)、マンホール1に搬入しローラー25に載せるようにする。
ウインチ33を作動させて引っ張りロープ30を引っ張ると、引っ張りロープ30に結束されている最初の引き込みユニット(図1、図2の最左端の引き込みユニット)21が、本管3内に移動する。本管3に移動した引き込みユニット21は、図3に図示したように、左右の車輪27、27’が本管3の内周壁面に摩擦接触し、引っ張りロープ30により引っ張られることから動力を得てシャフト23を中心にして回転し、本管3内をマンホール2に向かって移動する。
この移動により1番目と2番目の引き込みユニットを結んでいたロープ22、22’は緩んだ状態から緊張した状態になる。このとき、2番目の引き込みユニット21に動力が伝達され、2番目の引き込みユニット21がマンホール1から本管3内に移動する。このように、本管3内に移動した引き込みユニットは、1番目の引き込みユニットと同様に、その車輪27、27’が本管内壁に対して回転することにより本管3内をマンホール2に向かって移動する。以下、同様に、後続する引き込みユニットに至るロープ22、22’が伸びきるときに該後続の引き込みユニットが動力を得て順次本管内に移動していく。
各引き込みユニット21の本管3内への移動につれて、最初の引き込みユニット21のローラー25に取り付けられた管ライニング材10も、各引き込みユニット21のローラー25に載って順次マンホール1から本管3内に引き込まれていく。この状態が、図1に示されている。
最初の引き込みユニット21がマンホール2近辺まで移動したときに、ウインチ33を停止して引き込みユニット21を引っ張るのを中止し、管ライニング材10の先端10aと引き込みユニット21のローラー25を結合していたロープを解いて、管ライニング材10と引き込みユニット21の連結を解除する。
ウインチ33を再駆動すると、各引き込みユニット21は、各車輪27、27’が本管3の内壁に対して回転するので、マンホール2内に引き込まれていく。一方、各引き込みユニット21のローラー25は、管ライニング材10と摩擦接触しており、引き込みユニット21が移動すると、管ライニング材10の重量により各ローラー25がシャフト23に対して回転する。各ローラー25の回転は、車輪27、27’の回転と独立しているので、各引き込みユニット21をマンホール2に向かって移動させると、各引き込みユニット21を管ライニング材10から円滑に引き抜くことができる。管ライニング材10はローラー25が回転しても管軸方向に移動することなく、各引き込みユニットをマンホール2に回収したときには、本管3の底部に引き下ろされ、管ライニング材10の本管内への引き込みが完了する。
なお、管ライニング材10が引き込みユニット21により本管内に引き込まれれるとき、本管の内壁に凹凸があったり、障害物があると、引き込みユニットが予期しない運動を起こし、管ライニング材10が傾いたり、ローラー25からはみ出してしまうことがある。しかし、図3に示したように、引き込みユニット21には、管ライニング材10の位置ずれを防止するつば29、29’が設けられているので、そのような位置ずれを防止することができる。
管ライニング材10の本管3内への引き込みが完了すると、管ライニング材10内へ圧縮空気を供給して管ライニング材を膨張させて本管3の内管壁に押し当てる。そして、この状態で管ライニング材を加温し、そこに含浸された熱硬化性樹脂を硬化させて本管の内周面をライニングして補修を行う。
なお、上述した実施例では、引き込みユニットと管ライニング材は連結されていて、引き込みユニットと管ライニング材の本管への同時引き込みが可能となり、工期を短縮することが可能となる。
しかし、引き込みユニットと管ライニング材を連結させず、最初、上述したような方法で、各引き込みユニット21を本管内に引き込んでおき、続いて、管ライニング材を本管内に引き込むようにすることもできる。
その場合には、最初の引き込みユニット21がマンホール2近辺まで引き込まれたときに、引き込みユニット21を引っ張るのを中止し、マンホール1から管ライニング材10を挿入してガイドローラー36を介して本管3内に導き、その先端をマンホール1に最も近い引き込みユニット21のローラー25上に載せる。そして、管ランニング材10の先端に、図1で仮想線で示したように、引っ張りロープ37を結束させ、この引っ張りロープ37をウインチ33で巻き上げる。
管ライニング材10は、間隔を隔てて本管3内に敷設された各引き込みユニット21のローラー25上を順次マンホール2に向かって引き込まれていく。このとき、管ライニング材10と摩擦接触する各ローラー25はシャフト23を中心に回転するので、管ライニング材10の移動が円滑になり、管ライニング材10の本管への引き込みが確実になる。
管ライニング材10を本管内へ引き込んだら、上述したように、各引き込みユニット21を引っ張って管ライニング材10から引き抜き、マンホール2内に回収する。各引き込みユニット21のローラー上に載っていた管ライニング材10は、各引き込みユニットをマンホール2に回収したときには、本管3の底部に引き下ろされ、管ライニング材10の本管内への引き込みが完了する。
管ライニング材を本管内に引き込む状態を示した説明図である。 引き込み装置の全体の構成を概略示した斜視図である。 引き込みユニットの縦断面を示した断面図である。
符号の説明
1、2 マンホール
3 本管
10 管ライニング材
20 引き込み装置
21 引き込みユニット
25 ローラー
27、27’ 車輪

Claims (7)

  1. 管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み装置であって、
    シャフトを中心にして回転自在なローラーの一端側並びに他端側にそれぞれ該ローラーに対して独立して回転可能な車輪を取り付けてなる複数の引き込みユニットと、
    各引き込みユニットをそれぞれ連結するための可撓性で柔軟な連結具と、を備え、
    引き込みユニットのローラー上に管ライニング材を載せ、引き込みユニットを各車輪が管路内壁面に摩擦接触するように管路に配置して、引き込みユニット又は管ライニング材を引っ張ることにより管ライニング材を管路内に引き込むことを特徴とする管ライニング材引き込み装置。
  2. 前記連結具が柔軟なロープであり、ロープで連結された各引き込みユニットが束ねられ、先端の引き込みユニットを引っ張ることにより束ねられた引き込みユニットが順次解きほぐされ、後続の他の引き込みユニットがロープを介して引っ張られ管路内に引き込まれることを特徴とする請求項1に記載の管ライニング材引き込み装置。
  3. 前記車輪は、シャフトに回転自在に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の管ライニング材引き込み装置。
  4. 前記ロープはシャフトに巻きつけられて固定されることを特徴とする請求項2又は3に記載の管ライニング材引き込み装置。
  5. 管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み方法であって、
    シャフトを中心にして回転自在なローラーの一端側並びに他端側にそれぞれ該ローラーに対して独立して回転可能な車輪を取り付けてなる複数の引き込みユニットのそれぞれを可撓性で柔軟な連結具を介して連結し、
    連結された引き込みユニットを引き込みユニットの各車輪が管路内壁面に摩擦接触するように管路に配置するとともに、該配置した引き込みユニットのローラー上に管ライニング材の一端を取り外し可能に取り付け、
    引き込みユニットを引っ張ることにより管ライニング材を管路内に引き込むことを特徴とする管ライニング材引き込み方法。
  6. 管ライニング材の管路内への引き込みが完了したとき、引き込みユニットを引っ張ることにより車輪を管路内壁面に対して回転させるとともに、ローラーを管ライニング材に対して回転させて各引き込みユニットを管ライニング材から引き抜くことを特徴とする請求項5に記載の管ライニング材引き込み方法。
  7. 管路を補修するための管ライニング材を管路内に引き込むための管ライニング材引き込み方法であって、
    シャフトを中心にして回転自在なローラーの一端側並びに他端側にそれぞれローラーに対して独立して回転可能な車輪を取り付けてなる複数の引き込みユニットのそれぞれを可撓性で柔軟な連結具を介して連結し、
    連結された引き込みユニットを引き込みユニットの各車輪が管路内壁面に摩擦接触するように管路に配置して引き込みユニットを引っ張ることにより、各引き込みユニットを順次管路内に敷設し、
    前記敷設した引き込みユニットのローラー上に管ライニング材を載せて引っ張ることにより管ライニング材を管路内に引き込むことを特徴とする管ライニング材引き込み方法。
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