JP5246342B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関に係り、特に、水冷式の内燃機関に好適な冷却機構を有する内燃機関に関する。
日本実開昭64−34423号公報には、冷却水を、所謂横流しの方法で流通させる内燃機関が開示されている。より具体的には、上記公報には、直列に配置された3つの気筒を備えるシリンダブロックが開示されている。このシリンダブロックには、3つのシリンダの両側に、それぞれ他方から独立した2つの冷却水通路を備えている。一方の冷却水通路には冷却水のインレットが設けられている。他方の冷却水通路には冷却水のアウトレットが設けられている。
シリンダブロックには、シリンダヘッドが装着される。シリンダヘッドには、その内部に収納される弁機構の周囲を冷却するための冷却水通路が設けられる。この冷却水通路は、通常、シリンダブロック内の冷却水通路との間で冷却水を授受する。上記公報に開示された内燃機関によれば、インレットから供給された冷却水は、先ず、シリンダブロックの一方の側(排気側とする)に設けられた冷却水通路内を流通する。次いで、その冷却水は、排気側に設けられた開口部からシリンダヘッド内の冷却水通路に流入する。シリンダヘッド内を流通した冷却水は、吸気側の開口部から、シリンダブロックの他方の側、つまり、吸気側に設けられた冷却水通路に流入する。その後、冷却水は、シリンダの側面に沿って流通し、アウトレットから流出する。このように、上記公報に開示された内燃機関によれば、シリンダの周辺、及び弁機構の周辺に、所謂横流しの手法で冷却水を流通させることができる。
内燃機関の内部に冷却水を流通させる手法としては、上述した横流しの手法の他に、所謂縦流しの手法が知られている。日本特開2002−161743号公報には、冷却水を縦流しの手法で流通させる内燃機関が開示されている。この内燃機関において、シリンダブロックには、複数のシリンダを取り巻くように形成された環状の冷却水通路が形成されている。この場合、冷却水は、吸気側の通路と排気側の通路とを区別することなく、環状の冷却水通路に沿って流通して、複数のシリンダの側面を冷却する。
日本実開昭64−34423号公報 日本特開2002−161743号公報
上述した通り、冷却水を横流しの手法で流通させる場合には、シリンダブロックに、互いに独立した2つの冷却水通路を設ける必要がある。他方、縦流しの手法を用いる場合は、シリンダブロックの吸気側と排気側に、互いに連通した環状の冷却水通路を設けることが必要である。このため、シリンダブロックは、横流しの手法を採用するか、縦流しの手法を採用するかに応じて、それぞれ専用の設計により製造することが必要であった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、縦流しへの転用が可能なシリンダブロックを用いて、冷却水の横流しを可能とする内燃機関を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関であって、
複数のシリンダを取り巻くように形成された環状冷却水通路を備えるシリンダブロックと、
前記シリンダブロックに比して大きな熱膨張係数を有し、前記環状冷却水通路を、当該シリンダブロックの長手方向に延びる長手方向ボアセンター面の一方側に主として延在する第1通路と、前記長手方向ボアセンター面の他方側に主として延在する第2通路とに区分する2つの仕切部材と、
前記第1通路に通じるインレットと、
前記第2通路に通じるアウトレットと、
前記第1通路及び前記第2通路の双方に開口する冷却水通路を備えるシリンダヘッドと、を備え、
前記シリンダブロック及び前記仕切部材は、内燃機関の暖機時に両者間に作用する応力が、前記仕切部材の破壊応力に到達しないように形成されていることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、前記シリンダブロック及び前記仕切部材の少なくとも一方が、冷間時と暖機時の間で両者間に生ずる相対的な寸法変化を弾性変形により吸収する応力低減手段を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記シリンダブロックと前記仕切部材との間には、冷間時においてすき間が形成されていることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、前記シリンダブロックと前記仕切部材との間には、暖機時においてすき間が形成されていることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、前記仕切部材は、剛性を有する本体と、前記本体に装着された弾性部材と、を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、前記仕切部材は、母材と、前記母材に比して高い熱伝導率を有する熱伝導部材とで構成され、前記第1通路と前記第2通路との間で前記母材単体に比して高い熱伝導率を示すことを特徴とする。
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、
前記インレットが、前記シリンダブロックの長手方向の一端付近において、前記他方側に設けられており、
前記2つの仕切部材の一方は、前記インレットと前記環状冷却水通路との連通部より内燃機関センター寄り、かつ、前記他方側に配置されていることを特徴とする。
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明の何れかにおいて、前記インレットが、前記シリンダブロックの長手方向の一端付近に設けられており、
前記アウトレットが、前記シリンダブロックの長手方向の他端付近に設けられており、
前記2つの仕切部材の一方は、前記インレットの付近に配置され、
前記2つの仕切部材の他方は、前記他端に最も近いシリンダのボアセンターを通り、前記長手方向ボアセンター面に垂直な他端短手方向ボアセンター面より前記アウトレット寄り、かつ、前記一方側に配置されていることを特徴とする。
第1の発明によれば、インレットから供給される冷却水を、シリンダブロックの一方側に設けられた第1通路から、シリンダヘッドに流通させ、更に、シリンダヘッドから、シリンダブロックの他方側に設けられた第2通路に流通させることができる。また、この発明に用いられるシリンダブロックは、環状冷却水通路を備えているため、仕切部材を装着しなければ、所謂縦流し用のブロックに転用することができる。そして、シリンダブロック及び仕切部材には、両者の熱膨張係数が異なるにも関わらず、暖機時にも破壊応力は加わらない。このため、本発明によれば、十分な耐久性を伴って、冷却水を横流しの手法で流通させることができる。
第2の発明によれば、シリンダブロック及び仕切部材の少なくとも一方が、弾性変形することができる。このため、本発明によれば、両者間に作用する応力が仕切部材の破壊応力に達するのを確実に防ぐことができる。
第3の発明によれば、シリンダブロック及び仕切部材が、冷間時に、両者間にすき間が生ずるように形成されている。このため、本発明によれば、仕切部材をシリンダブロックに容易に組み付けることができる。また、仕切部材の箇所には、例えば冷却水の交換に伴って混入した気泡が停滞することがある。本発明によれば、冷間始動の直後に、そのような気泡を排除することができ、気泡による冷却能力の低下を防ぐことができる。更に、上記のすき間は、暖機が進むと、仕切部材が膨張することにより縮小される。このため、暖機時には、第1通路から第2通路に直接流れ込む冷却水量は十分に少なくなり、十分な量の冷却水をシリンダヘッドに流通させることができる。
第4の発明によれば、シリンダブロックと仕切部材との間に、暖機時においてすき間が形成される。本発明によれば、第3の発明により達成される効果に加えて、暖機時に仕切部材の周辺に冷却水の流れを生じさせることができる。このため、本発明によれば、仕切部材の過熱を防ぎ、その耐久性を高めることができる。
第5の発明によれば、仕切部材が、剛性を有する本体の他に、弾性部材を備えている。このため、本発明によれば、熱膨張率の差に伴って仕切部材に生ずる寸法の変化、或いは製造公差によって生ずる仕切部材の寸法バラツキを、弾性部材によって吸収することができる。
第6の発明によれば、仕切部材によって仕切られている第1通路と第2通路との間で、熱伝導部材を介して、効率的な熱交換を生じさせることができる。このため、本発明によれば、熱伝導率の低い母材で仕切部材を構成しつつ、第1通路と第2通路の双方で冷却水温が大きく異なってしまうのを有効に防ぐことができる。
第7の発明によれば、第1通路に連通させるべきインレットが、種々の制約により、第2通路側に配置される場合に、環状冷却水通路のインレットと連通する部分を第1通路の一部とすることができる。このため、本発明によれば、上記の制約の下でも効率的な冷却機構を実現することができる。
第8の発明によれば、上流側の端部(一端)付近からシリンダブロックの第1通路に流入した冷却水は、シリンダヘッドを通って第2通路に流入した後、下流側の端部(他端)付近で、再びシリンダヘッドに戻され、その後、シリンダヘッドに設けられたアウトレットから流出する。本発明によれば、アウトレットに近い下流側の他端付近において、シリンダブロックの端部と端部のシリンダとの間に、第2通路を大きく回り込ませることができる。十分な冷却水排出能力を得るためには、第2通路を、上記他端の付近において、アウトレットに通じるシリンダヘッド内の通路に大きく開口させる必要がある。本発明の構成によれば、上記他端に付近で環状冷却水通路の幅を広げる等の措置を講ずることなく、その開口を大きく確保することができる。このため、本発明によれば、冷却水容量を無駄に増やすことなく十分な排出能力を得ることができ、その結果、内燃機関の暖機性を改善することができる。
本発明の第1実施形態で用いられるシリンダブロックと仕切部材とを示す図である。 本発明の第1実施形態に係る内燃機関が備えるシリンダブロックに仕切部材を装着した状態を示す図である。 本発明の第1実施形態で用いられる仕切部材の斜視図である。 本発明の第1実施形態における冷却水流通経路を排気弁側の側面から示した図である。 本発明の第1実施形態における冷却水流通経路を正面から示した図である。 本発明の第1実施形態における冷却水流通経路を吸気弁側の側面から示した図である。 本発明の第2実施形態で用いられるウォータージャケットスペーサ(W/Jスペーサ)の下斜め方向からの斜視図である。 本発明の第2実施形態で用いられるW/Jスペーサの上斜め方向からの斜視図である。 本発明の第3実施形態で用いられるシリンダブロックと仕切部材とを示す図である。 本発明の第3実施形態で用いられる仕切部材の斜視図である。 本発明の第4実施形態で用いられるW/Jスペーサの下斜め方向からの斜視図である。 本発明の第5実施形態で用いられるシリンダブロックと仕切部材とを示す図である。 本発明の第6実施形態で用いられる仕切部材の斜視図である。 本発明の第6実施形態で用いられる仕切部材の第1変形例の斜視図である。 本発明の第6実施形態で用いられる仕切部材の第2変形例の斜視図である。 本発明の第6実施形態で用いられる仕切部材の第3変形例の斜視図である。 本発明の第7実施形態で用いられるシリンダブロック、そのシリンダブロックに装着された仕切部材、及びシリンダヘッドを示す図である。
10;90 シリンダブロック
12,14;48,50;68,70;76;80,84;88 仕切部材
44,46;60,62;仕切突起
16;92 環状冷却水通路
20;94 連通部
22;98 第1通路
24;100 第2通路
25;102 回り込み部
54;64,66;72,74 弾性部材
78 コーティング
82;86 芯
実施の形態1.
[実施の形態1の構成]
図1(A)は、本発明の第1実施形態において用いられるシリンダブロック10と、そこに装着される2つの仕切部材12,14とを示す。図1(A)に示すように、シリンダブロック10は、直列に並んだ4つのシリンダ♯1〜♯4を備えている。4つのシリンダ♯1〜♯4の外側には、それらの全てを取り巻くように環状に形成された環状冷却水通路16が形成されている。環状冷却水通路16の更に外側には、ほぼ等間隔に、複数のヘッドボルト孔18が形成されている。
シリンダブロック10の上面には、図示しないシリンダヘッドが装着される。ヘッドボルト孔18は、シリンダヘッドを固定するヘッドボルトを締め付けるために用いられる。シリンダヘッドには、内燃機関の燃焼圧が作用する。このため、ヘッドボルトを介して、ヘッドボルト孔18の周辺には大きな力が作用する。この力が、シリンダ♯1〜♯4の壁面に直接伝達されると、その壁面の形状に変化が生ずる。そこで、上述した環状冷却水通路は、ヘッドボルト孔18の周辺に作用する力が、シリンダ♯1〜♯4の壁面に直接伝達されるのを抑えるために、十分な深さに形成されている。
図1(A)において、シリンダ♯1〜♯4には、それぞれ、紙面奥側に吸気弁(図示せず)が配置され、紙面手前側に排気弁(図示せず)が配置される。以下、シリンダブロック10の長手方向に延び、シリンダ♯1〜♯4のボアセンターを通る面を「長手方向ボアセンター」と称す。また、長手方向ボアセンターを挟んで紙面奥側を「吸気側」、紙面手前側を「排気側」と称す。
シリンダ♯1の排気側には、冷却水のインレットと環状冷却水通路16とを連通させる連通部20が設けられている。環状冷却水通路16には、インレットを介して、その連通部20から冷却水を供給することができる。
本実施形態において、環状冷却水通路16には、2つの仕切部材12,14が装着される。仕切部材12,14は、環状冷却水通路16の深さに対応する長さと、その幅に対応する厚みを有している。
図1(B)は、仕切部材12,14が環状冷却水通路16に装着された状態を示す。図1(B)に示すように、一方の仕切部材12は、環状冷却水通路16の、長手方向におけるシリンダ♯1側の端部に装着される。他方の仕切部材14は、シリンダ♯4側の端部付近において、排気側(紙面手前側)に設けられたヘッドボルト孔18の近傍に装着される。仕切部材12,14は、上述した通り、環状冷却水通路16の深さ及び幅に対応する長さと厚みを有している。このため、仕切部材12,14が装着されると、環状冷却水通路16は、実質的に2つの通路に区分される。以下、それらの通路のうち、主として紙面手前側(排気側)に延在する通路を「第1通路22」と称し、主として紙面奥側(吸気側)に延在する通路を「第2通路24」と称す。
仕切部材12,14が上記の位置に装着されることにより、環状冷却水通路16のうち、主としてシリンダの排気側を延在する領域が第1通路22となる。また、環状冷却水通路16のうち、主としてシリンダの吸気側を延在する領域が第2通路24となる。そして、環状冷却水通路16のうち、シリンダ♯4側の端部付近に設けられた2つのヘッドボルト18に挟まれる領域は、第2通路24の一部となる。以下、2つのヘッドボルト18に挟まれたその領域を「回り込み部25」と称す。
図1(C)は、仕切部材12の拡大図を示す。仕切部材12には、図1(C)に示すように、凸状に張り出したレール部26が設けられている。環状冷却水通路16の壁面には、仕切部材12が装着される位置に、レール部26に対応する凹状の溝が形成されている。仕切部材12は、レール部26が、その溝に沿って侵入するように、環状冷却水通路16に挿入される。
シリンダブロック10は、鋳鉄やアルミなどの金属により構成されている。他方、仕切部材12は、シリンダブロック10の材質に比して熱膨張係数の大きな材質、例えば、PP、PA66、PA6、PA66GF33により構成されている。仕切部材12の組付けは常温で行われる。仕切部材12は、常温下で環状冷却水通路16に装着された際に、その壁面との間に1mm弱のすき間が形成されるように形成されている。
本実施形態において、環状冷却水通路16は、6〜8mm程度の幅を有している。環状冷却水通路16の壁面と仕切部材12とのすき間が1mm弱であるから、多量の冷却水通路の流通が要求される内燃機関の運転時には、環状冷却水通路16は、実質的には、仕切部材12の両側で区分されているとみなすことができる。尚、仕切部材12は、環状冷却水通路16の一部を実質的に遮断するための要素であり、本実施形態のように、常温下で、環状冷却水通路16の有効面積を、1/6以下、或いは1/8以下程度に減少させることができればよい。また、内燃機関において要求される冷却水能力によっては、仕切部材12は、環状冷却水通路16の有効面積を1/4程度に減少させ得るものであっても、本実施形態において用いることができる。
内燃機関の暖機過程において、仕切部材12は、シリンダブロック10に比して大きく膨張する。暖機が完了した段階で、仕切部材12は、85°C程度の冷却水に晒されることになる。本実施形態において、仕切部材12は、そのような温度環境においても、環状冷却水通路16の壁面との間にすき間が残存するように形成されている。
[実施の形態1における冷却水の流れ]
図2(A)乃至図2(C)は、本実施形態に係る内燃機関の内部を流れる冷却水の経路を説明するための図である。これらの図において、シリンダブロック16の上にはシリンダヘッド28が搭載されている。また、シリンダヘッド28の上部は、ヘッドカバー30によって覆われている。
図2(A)は、本実施形態に係る内燃機関の、排気側の側面を示す。シリンダブロック16は、上述した通り(図1(B)参照)、排気側の側面に第1通路22を備えている。第1通路22は、シリンダブロック16の長手方向に延在していると共に、その一端において、連通部20を介して冷却水のインレット32に連通している。
シリンダヘッド28には、第1通路22と対応する開口を備える冷却水通路34が設けられている。インレット32から供給される冷却水は、第1通路22を流れることでシリンダブロック16の一側面(排気側の側面)に行き渡り、その後、第1通路22の全領域から、冷却水通路34へ、つまり、シリンダヘッド28へ流れ込む。
図2(B)は、本実施形態に係る内燃機関を正面から表した図である。図2(B)に示すように、冷却水通路34は、シリンダヘッド28を短手方向に横断して、シリンダの吸気側(図中左側)で、シリンダブロック16の第2通路24に連通するように形成されている。このため、冷却水は、シリンダの排気側(図中右側)においてシリンダブロック16からシリンダヘッド28に流れ込み、その後、シリンダの吸気側においてシリンダヘッド28からシリンダブロックに流出する。
図2(C)は、本実施形態に係る内燃機関の、吸気側の側面を示す。シリンダヘッド28からシリンダブロック16に戻された冷却水は、第2通路24を通って、シリンダブロック24の他方の側面(吸気側の側面)に行き渡る。シリンダブロック16の第2通路24は、上述した通り(図1(B)参照)、シリンダ♯4と、シリンダブロック16の端部との間に回り込む回り込み部25を有している。シリンダヘッド28には、回り込み部25において第2通路24に連通する排出通路36が設けられている。また、その排出通路36には、冷却水のアウトレット38が設けられている。回り込み部25は、冷却水の流れにおいて、最も下流となる位置に設けられている。このため、インレット32から流入した冷却水は、シリンダブロック16及びシリンダヘッド28の内部を流通した後、最終的には回り込み部25に辿り着き、シリンダヘッド28の排出通路36を通ってアウトレットから排出される。
[横流しに伴う課題]
上述した通り、本実施形態の内燃機関は、シリンダブロック排気側→シリンダヘッド排気側→シリンダヘッド吸気側→シリンダブロック吸気側の順で冷却水を流通させることができる。つまり、この内燃機関は、所謂横流しの手法で冷却水を流通させることができる。このような冷却水の横流しは、排気側の第1通路22と吸気側の第2通路24とを区分する仕切を、鋳造等の段階でシリンダブロックに作り込むことによっても実現できる。
しかしながら、冷却水中には、冷却水の入れ替え等に伴って気泡が混入することがある。仕切は、冷却水の流れを遮断するものであるから、仕切に一旦到した気泡は、なかなかそこから排出されない。この場合、その気泡が原因となり内燃機関の冷却性能が悪化することがある。気泡の問題は、特に、V型機関等、シリンダが傾斜するようにシリンダブロックが配置される内燃機関において顕著に現れる。
上述した気泡の問題は、例えば、鋳造等により初めから作り込む仕切に、気泡の流通を許容する程度のすき間を設けておくことにより解決することができる。一方で、そのようなすき間は、第1通路22から第2通路24に冷却水が直接流通するのを許容する通路となる。つまり、そのすき間は、横流しの手法を用いる冷却水機構では、シリンダヘッド内部の冷却水通路をバイパスする通路となる。従って、シリンダヘッドの冷却効率を上げるためには、そのすき間は小さいことが望ましい。特に、そのすき間は、高い冷却効率が要求される暖機後においては、十分に小さいことが望ましい。
シリンダブロック内の冷却水通路を2つに区切る仕切を、鋳造等の過程で作り込むとすれば、仕切の材質は、シリンダブロック本体の材質と同じになる。このような条件下で仕切の箇所にすき間を設けた場合、その大きさは、冷間時でも、暖機時でも、ほぼ同じである。従って、気泡の排出性を高めるためにすき間を大きくすれば、暖機時における冷却能力が損なわれることになり、他方、暖機時の冷却能力を重視すれば、気泡の排出能力が低くなる。
これに対して、冷却水通路を区分する仕切を、シリンダブロックの材質に比して熱膨張率の高い材質で形成すると、冷間時には大きなすき間を確保し、暖機が進むに連れてそのすき間を小さくすることができる。このため、そのような仕切によれば、冷間時には高い気泡排出能力を実現し、かつ、暖機完了時には、高い冷却能力を実現することができる。
そこで、本実施形態では、上述した通り、下記要件が満たされるように仕切部材12,14を形成することとした。
要件1.仕切部材12,14を、シリンダブロック10の材質に比して熱膨張率が高い材質で形成する。
要件2.常温下で(冷間始動時に)、環状冷却水通路16の壁面と仕切部材12,14との間に(好ましくは1mm弱程度の)すき間が形成される。
上記の要件が満たされていることにより、本実施形態の構成によれば、下記の効果を得ることができる。
効果1.冷却水に混入した気泡の排出能力が高い。
効果2.暖機完了後の冷却能力を十分に確保できる。
更に、上述した要件1、2が満たされることにより、下記のような効果も得ることができる。
効果3.常温下での、仕切部材12,14のシリンダブロック10への組み付け性が良好になる。
効果4.仕切部材12,14を装着しないことにより、或いは、それらの一方を装着しないことにより、シリンダブロック10を、所謂縦流しの手法を用いる内燃機関のブロックとして流用することが可能となる。冷却水を流通させる手法として縦流しを用いるか、横流しを用いるかは、種々の条件に応じて決定される。本実施形態の構成によれば、縦流し専用のシリンダブロックと、横流し専用のシリンダブロックとを、別個独立に製造する必要を無くすことができるため、多品種の内燃機関を製造することを前提とすると、極めて大きなコスト削減を実現することができる。
また、本実施形態では、上述した要件1,2に加えて、下記の要件3を仕切部材12,14に課している。
要件3.仕切部材12,14と環状冷却水通路16の壁面との間に、暖機完了後にもすき間が残存する。
上記の要件3が課されることにより、本実施形態の構成によれば、更に、下記のような効果を得ることができる。
効果5.暖機完了の段階で、仕切部材12,14とシリンダブロック10との間に応力が働くのを防止する。つまり、仕切部材12,14に、熱膨張に起因する破壊応力が作用するのを阻止して、仕切部材12,14の耐久性を十分に確保する。
効果6.暖機完了の段階において、仕切部材12,14の付近に、適量の冷却水を流通させることができる。仕切部材12,14の近傍を冷却水が流通しない構造では、その近傍に熱がこもり、仕切部材12,14に過熱によるダメージが生じ易い。これに対して、その付近に冷却水が流通すると、上記の熱こもりを防いで、仕切部材12,14が過熱によって劣化してしまうのを阻止することができる。
[変形例]
ところで、上述した実施の形態1では、環状冷却通路16の壁面と仕切部材12,14との間に、暖機完了時にもすき間を残存させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、熱こもりによる仕切部材12,14の過熱の問題が暖機完了時に生じない場合には、熱膨張による破壊応力が作用しない限りにおいて、暖機完了時には上記のすき間が消滅していてもよい。
また、上述した実施の形態1では、仕切部材12,14を、シリンダブロック10に比して大きな熱膨張率を示す材質で構成することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、冷間時のすき間と暖機完了時のすき間が同じであっても、十分な気泡排出効果と十分な冷却能力とが得られる条件下では、着脱自在な仕切部材12,14をシリンダブロック10と同じ材質で構成して、適当なすき間が生ずるようにその仕切部材12,14の装着することとしてもよい。
更に、上述した実施の形態1では、環状冷却通路16の壁面と仕切部材12,14との間に、常温下で、すき間を発生させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シリンダが垂直に配置される内燃機関等において、気泡の残存が問題とならない場合には、仕切部材12,14を、シリンダブロック10と同じ材質で形成し、更に、すき間が生じないように、仕切部材12,14を環状冷却水通路16に装着することとしてもよい。
実施の形態2.
次に、図3(A)及び図3(B)を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。図3(A)は、本実施形態で用いられるウォータージャケットスペーサ(W/Jスペーサ)40を下斜め方向から見ることで得られる斜視図である。また、図3(B)は、そのW/Jスペーサ40を上斜め方向から見ることで得られる斜視図である。
本実施形態に係る内燃機関は、上述した実施の形態1の構成において、仕切部材12,14の代わりに、W/Jスペーサ40をシリンダブロック10に装着することにより実現することができる。W/Jスペーサ40は、図1(A)に示す環状冷却水路16に収納される本体部42を備えている。本体部42には、2つの仕切突起44,46が設けられている。本体部42及び仕切突起44,46は、実施の形態1における仕切部材12,14と同様の材質、つまり、PP、PA66、PA6、PA66GF33のような、シリンダブロック10に比して熱膨張率の高い材質で構成されている。
W/Jスペーサ40の本体42は、その全域において、環状冷却水通路16の有効面積を、所望の割合で減少させるように構成されている。より具体的には、本体42は、いかなる箇所においても、環状冷却水通路16を実質的に遮断してしまうことがないように形成されている。実施の形態1において、仕切部材12,14には、環状冷却水通路16の有効面積を1/4以下に減少させることが要件として課されている。これに対して、本体42は、如何なる箇所においても、環状冷却水通路16の有効面積を、1/4にまで減少させてしまうことはない。
上述した通り、環状冷却水通路16には、ヘッドボルト孔18に作用する応力が、シリンダの外壁に不当に伝達されてしまうのを避けるために、十分な深さが与えられている。その結果、環状冷却水通路16には、必要とされる冷却能力に対して過剰な容積が与えられることがある。環状冷却水通路16が過剰な容積を有すると、必然的に冷却水量も過剰となり、内燃機関の暖機性能が無駄に悪化し、また、車両重量が無駄に増加する、といった問題が生ずる。このため、環状冷却水通路16の容積は、必要な冷却能力に対して必要十分であることが望ましい。
W/Jスペーサ40の本体42は、そのような要求を満たすために設計された要素である。このため、W/Jスペーサ40を環状冷却水通路16に装着すると、その通路の深さを十分に確保しつつ、その通路の有効容積を、所望の冷却能力に応じた適正量とすることができる。
W/Jスペーサ40において、仕切突起44,46は、実施の形態1における仕切部材12,14と同じ要件を満たすように設けられている。つまり、仕切突起44,46は、W/Jスペーサ40が環状冷却水通路16に装着された場合に、実施の形態1における仕切部材12,14と同様に、その通路を第1通路22と第2通路24に区分する。このため、本実施形態の構成によれば、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。
[変形例]
ところで、上記の説明によれば、実施の形態2では、実施の形態1の場合と同様に、環状冷却通路16の壁面と仕切突起44,46との間に、暖機完了時にもすき間が残存することになる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、熱こもりによる仕切突起44,46の過熱の問題が暖機完了時に生じない場合には、熱膨張による破壊応力が作用しない限りにおいて、暖機完了時には上記のすき間が消滅していてもよい。
実施の形態3.
次に、図4(A)及び図4(B)を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。図4(A)は、本実施形態で用いられるシリンダブロック10と仕切部材48,50とを示す図である。また、図4(B)は、本実施形態で用いられる仕切部材48の斜視図である。本実施形態に係る内燃機関は、実施の形態1の構成において、仕切部材12,14を仕切部材48,50に変更することにより実現することができる。
図4(A)に示すように、仕切部材48,50は、実施の形態1における仕切部材12,14と同様の位置において、環状冷却水通路16に装着される。このため、仕切部材48,50が装着されると、環状冷却水通路16は、本実施形態においても第1通路22と第2通路24(図1(B)参照)に区分される。
本実施形態における仕切部材48は、図4(B)に示すように、高い剛性を有する本体52と、高い弾性を有する弾性部材54とを備えている。本体52は、実施の形態1における仕切部材12,14と同様に、PP、PA66、PA6、或いはPA66GF33などにより構成されている。一方、弾性部材54は、耐熱ゴムなどにより構成されている。
上記構成を有する仕切部材48は、例えば、成型した本体52に、ゴムなどの弾性体を射出形成することにより製造することができる。また、そのような仕切部材48は、本体52に溝を設けておき、ゴムなどの弾性体をその溝に嵌め込むことによっても製造することができる。更には、本実施形態の仕切部材48は、本体52と弾性部材54の一方に凹部を、他方に凸部を設けておき、それらを嵌め込むことによっても製造することができる。
弾性部材54は、図4(B)に示すように、断面が波形となるように構成されている。また、本実施形態において、仕切部材48は、常温下で環状冷却水通路16に挿入された場合に、弾性部材54の山の部分が僅か変形するように形成されている。この場合、環状冷却水通路16の壁面と仕切部材54との間には、弾性部材48の谷の部分によってすき間が確保される。
更に、本実施形態において、弾性部材54は、暖機の過程で仕切部材48に生ずる熱膨張を、山の部分の変形によって吸収できるように形成されている。このため、本実施形態の構成によっても、実施の形態1の場合と同様に、暖機完了の時点で、仕切部材48の近傍にすき間が残存すると共に、仕切部材48に破壊応力が作用することはない。
以上説明した通り、本実施形態における仕切部材48は、実施の形態1における仕切部材12,14に課された要件1〜3を全て満たしている。本実施形態において用いられる他方の仕切部材50も、仕切部材48と同様の構成を有している。このため、本実施形態の構成によれば、実施の形態1の構成が達成する効果を、全て達成することができる。
更に、本実施形態の構成によれば、仕切部材48,50が環状冷却水通路16の中でがたつくのを防ぐことができる。このため、この構成によれば、実施の形態1の場合に比して、内燃機関の静粛性を高めることができる。
[変形例]
ところで、上述した実施の形態3では、環状冷却通路16の壁面と仕切部材48,50との間に、暖機完了時にもすき間を残存させることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、熱こもりによる仕切部材48,50の過熱の問題が暖機完了時に生じない場合には、熱膨張による破壊応力が作用しない限りにおいて、暖機完了時には上記のすき間が消滅していてもよい。
また、上述した実施の形態3では、仕切部材48,50の本体52を、シリンダブロック10に比して大きな熱膨張率を示す材質で構成することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、冷間時のすき間と暖機完了時のすき間が同じであっても、十分な気泡排出効果と十分な冷却能力とが得られる条件下では、仕切部材48,50の本体52をシリンダブロック10と同じ材質で構成してもよい。
また、上述した実施の形態3では、本体52の一方の面にだけ弾性部材54を装着することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本体52の他方の面に弾性部材54を装着してもよい。更には、本体52の両側に弾性部材54を装着することとしてもよい。
実施の形態4.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。図5は、本実施形態で用いられるW/Jスペーサ56を下斜め方向から見ることで得られる斜視図である。本実施形態のW/Jスペーサ56は、本体58と仕切突起60,62を備えている。仕切突起60,62は、環状冷却水通路16の壁面と接する部位に、それぞれ弾性部材64,66を備えている。弾性部材64,66は、実施の形態3における弾性部材54と同様に、射出成形、溝を用いた嵌め込み、或いは凹凸を用いた嵌め込みなどにより、本体58に装着することができる。本実施形態の構成は、W/Jスペーサ56に弾性部材64,66が装着されている点を除いて、実施の形態2の構成と同様である。
弾性部材64,66は、上述した実施の形態3における弾性部材54と同様の要件を満たしている。その結果、本実施形態のW/Jスペーサ56は、上述した実施の形態2のW/Jスペーサ40に課される要件を全て満たすことになる。このため、本実施形態の構成によれば、上述した実施の形態2の構成により達成される効果、及び上述した実施の形態3の構成により達成される効果を、全て実現することができる。
[変形例]
ところで、上記の説明によれば、実施の形態4では、実施の形態1の場合と同様に、環状冷却通路16の壁面と仕切突起60,62との間に、暖機完了時にもすき間が残存することになる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、熱こもりによる仕切突起60,62の過熱の問題が暖機完了時に生じない場合には、熱膨張による破壊応力が作用しない限りにおいて、暖機完了時には上記のすき間が消滅していてもよい。
実施の形態5.
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。図6は、本実施形態で用いられるシリンダブロック10と仕切部材68,70とを示す図である。本実施形態に係る内燃機関は、実施の形態1の構成において、仕切部材12,14を仕切部材68,70に変更することにより実現することができる。
本実施形態における仕切部材68,70は、その上面に弾性部材72,74を備えている。弾性部材64,66は、実施の形態3における弾性部材54と同様に、射出成形等の手法で装着することができる。本実施形態の構成は、仕切部材68,70に弾性部材72,74が装着されている点を除き、実施の形態1の構成と同様である。
シリンダブロック10の上には、ヘッドガスケットを介してシリンダヘッドが搭載される(図示略)。ヘッドガスケットの密着性は、仕切部材68,70の上面位置が、シリンダブロック10の面と一致するほど良好となる。弾性部材72,74を用いずにその要求を満たすためには、シリンダブロック10、仕切部材68,70(の本体)、及びヘッドガスケットの製造公差を厳しく管理することが必要である。
これに対して、仕切部材68,70の上面に弾性部材72,74を装着することとすると、製造公差による面のズレを、弾性部材72,74によって吸収させることができる。このため、本実施形態の構成によれば、製造公差の厳しい管理を要することなく、ヘッドガスケットにおいて、十分な密着性を得ることができる。
ところで、上述した実施の形態5は、実施の形態1の構成に対して、ヘッドガスケットと接する弾性部材72,74を組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ヘッドガスケットと接する弾性部材72,74は、実施の形態2乃至4の構成の何れと組み合わせることとしてもよい。
実施の形態6.
次に、図7を参照して本発明の実施の形態6について説明する。図7は、本実施形態において用いられる仕切部材76の斜視図である。本実施形態に係る内燃機関は、実施の形態1の構成において、仕切部材12,14を、図7に示す仕切部材76に変更することにより実現することができる。
本実施形態における仕切部材76は、PPなどによって構成された本体と、その本体の周囲に形成されたコーティング膜78とを備えている。コーティング膜78は、銅などの高熱伝導物質で形成されている。仕切部材76によれば、第1通路22と第2通路24との間で、冷却水の温度や壁面の温度が過大になるのを防ぐことができる。
特に、冷寒地仕様の内燃機関には、始動時にエンジンブロックを暖めるためのヒータが装着されることがある。上述した実施の形態1の構成において、例えば、内燃機関の吸気側にヒータを装着すれば、第2通路の冷却水は暖めることができる。しかしながら、仕切部材12,14によって熱伝導が妨げられているため、そのヒータによって第1通路22の冷却水を効率的に暖めることはできない。
これに対して、本実施形態の構成によれば、仕切部材76のコーティング膜78によって、第1通路22と第2通路24との間での効率的な熱交換が可能とされる。このため、この構成によれば、内燃機関の一方の側にだけ配置したヒータにより、第1通路22内の冷却水と、第2通路24内の冷却水を、共に効率的に暖めることができる。このため、この構成によれば、冷間始動時のフリクションを効率的に低下させることができ、オイル消費量の削減効果をも達成することができる。
また、このような仕切部材76によれば、仮にその周辺において、冷却水が良好に循環できないような場合においても、その流路を変更することなく、冷却水が局所的に過熱状態になるのを防ぐことができる。
図8乃至図10は、本実施形態において用いることのできる仕切部材76の変形例を示す。図8に示す仕切部材80は、本体を貫通して吸気側と排気側の双方に露出する芯部材82を備えている。図9に示す仕切部材84も同様の心部材86を備えている。これらの例において、芯部材82,86は、銅などの高熱伝導物質で構成される。また、図10に示す仕切部材88は、吸気側と排気側との間で高い熱伝統率が確保されるように、母材にカーボンナノチューブを配向分散させた材料で形成されている。これらの仕切部材76,80,84,88によれば、図7に示す仕切部材76と同様の効果を達成することができる。
ところで、上述した実施の形態6は、仕切部材の熱伝導率を高める構成を、実施の形態1の構成に組み合わせることとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、仕切部材の熱伝導率を高める構成は、実施の形態2乃至5の構成の何れと組み合わせることとしてもよい。
実施の形態7.
次に、図11を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。図11は、本実施形態に係る内燃機関の構成を説明するための図である。本実施形態の内燃機関は、シリンダブロック90を備えている。図1と同様に、図11は、紙面手前側が内燃機関の排気側となり、紙面奥側が内燃機関の吸気側となるようにシリンダブロック90を示している。
シリンダブロック90は、4つのシリンダ♯1〜♯4を取り囲むように形成された環状冷却水通路92を備えている。シリンダ♯1の吸気側(紙面奥側)には、冷却水のインレット(図示せず)を環状冷却水通路92に連通させるための連通部94が設けられている。本実施形態のシリンダブロック90は、このように、連通部94が吸気側に設けられている点において、実施の形態1におけるシリンダブロック10と相違している。
環状冷却水通路92には、実施の形態1で用いられたものと同様の仕切部材12,14が装着されている。一方の仕切部材12は、♯1側端部の付近に配置されており、他方の仕切部材14は、♯4側端部の付近に配置されている。
より具体的には、仕切部材12は、以下の2つの要件を満たす位置に配置されている。
1.シリンダブロック90の長手方向ボアセンター面より吸気側(紙面奥側)であること。
2.インレットに通じる連通部94よりエンジンセンター96寄りの位置であること。
但し、エンジンセンター96は、シリンダブロック90の長手方向の中心、つまり、本実施形態ではシリンダ♯2とシリンダ♯3の中間を指すものとする。
また、仕切部材14は、以下の2つの要件を満たす位置に配置されている。
1.シリンダブロック90の長手方向ボアセンター面より排気側(紙面手前側)であること。
2.最もアウトレット側に位置するシリンダ(ここではシリンダ♯4)の短手方向ボアセンター面よりアウトレット側であること。
但し、本実施形態において、冷却水のアウトレットは、内燃機関の、シリンダ♯4側の端面に設けられ、上記のアウトレット側とは、そのアウトレットが設けられる端面側を指すものとする。また、短手方向ボアセンター面とは、シリンダのボアセンターを通り、長手方向ボアセンター面に垂直な面を指すものとする。
仕切部材12,14が上記のように装着されることにより、環状冷却水通路92は、主として排気側(紙面手前側)に延在する第1通路98と、主として吸気側(紙面奥側)に延在する第2通路100とに区分される。より具体的には、第1通路98は、シリンダ♯1の吸気側において連通部94と連通し、シリンダ♯1の側面を回り込んでシリンダ♯1〜♯4の排気側を延在するように形成される。他方、第2通路100は、シリンダ♯1の側面に僅かにかかり、シリンダ♯2〜♯4の吸気側を延在し、シリンダ♯4の側面を回り込み、長手方向ボアセンター面を超えて排気側の領域にまで至るように形成される。以下、第2通路100のうち、長手方向ボアセンター面を超えて排気側に回り込んでいる領域(長手方向ボアセンター面から仕切部材14までの領域)と、長手方向ボアセンター面に対して、その領域と対称となる吸気側の領域とを合わせて「回り込み部102」と称す。
本実施形態において、シリンダブロック90の上には、シリンダヘッド104が搭載される。シリンダヘッド104は、上述した実施の形態1におけるシリンダヘッド28(図2(A)参照)と同様に、排気側と吸気側とをつなぐ冷却水通路(図示せず)を有している。この冷却水通路は、シリンダヘッド104がシリンダブロック90も搭載されることにより、排気側において第1通路98に連通し、また、吸気側において第2通路100に連通する。シリンダヘッド104には、また、その状況下で第2通路の回り込み部102と連通する排出通路(図示せず)が設けられている。その排出通路は、シリンダヘッド104に設けられるアウトレットに連通する。
本実施形態では、内燃機関の冷却水を、排気側から吸気側へ向かう横流しの手法で流通させることが要求されているものとする。他方、吸気管や排気管の配置位置、内燃機関の搭載方向などの制約から、ウォータポンプの搭載位置が内燃機関の吸気側に決められたものとする。これらの要求と制約の下では、内燃機関の吸気側から取り込んだ冷却水を、一旦排気側に回りこませてから、横流しの手法で流通させることが必要となる。
本実施形態の構成によれば、シリンダブロック90の排気側の面を主として延在する第1通路98が、シリンダ♯1の側面を回り込んで吸気側の連通部94と連通している。このため、この構成によれば、ウォータポンプと同じ側にある連通部94に冷却水を供給するだけで、その冷却水をシリンダブロック90の排気側に回り込ませることができる。つまり、この構成によれば、新たな誘導配管等を設けることなく、シリンダブロック90の吸気側から排気側に、冷却水を回り込ませることができる。このため、本実施形態の内燃機関によれば、上述した要求及び制約の下で、部品点数や生産コストの大幅増を伴うことなく、効率のより冷却水の横流しを実現することができる。
更に、本実施形態の構成によれば、冷却水を吸気側から排気側に回り込ませるために誘導配管を新たに設ける場合に比して、冷却水通路の総容積を小さく抑えることができる。このため、本実施形態の構成によれば、内燃機関において必要とされる冷却水の総量を減らすことができ、その結果、内燃機関の暖機特性を向上させることができる。
また、本実施形態の構成では、上述した通り、♯4側の仕切部材14を長手方向ボアセンター面より排気側に配置している。その結果、シリンダ♯4の側面に、短手方向に長く延在する回り込み部102が形成されている。つまり、本実施形態の構成では、シリンダ♯4の側面で環状冷却水通路92の幅を広げるなどの措置を講ずることなく、第2通路100をシリンダ♯4の側面で短手方向に長く回り込ませることにより、回り込み部102の面積を大きく確保している。
本実施形態において、インレットから供給された冷却水は、第2通路100に到達した後、回り込み部102を経てシリンダヘッド104の排出通路に流出する。この際、十分な冷却水排出能力を得るためには、回り込み部102の面積を大きく確保する必要がある。しかしながら、シリンダ♯4の側面で環状冷却水通路92の幅を広げることによりその要求を満たそうとすれば、シリンダ♯4からシリンダブロック90の端部までに距離が長くなり、内燃機関が大型化されてしまう。更に、その場合、冷却水通路の総容積も拡大され、冷却機構に収容される冷却水量が増量されてしまう。
これに対して、本実施形態の構成によれば、環状冷却水通路92を拡幅する必要がないため、内燃機関が大型化されることはなく、また、必要な冷却水量が増量されることもない。そして、冷却水量が少なく抑えられれば、内燃機関を軽量化することができ、また、内燃機関の暖機性を向上させることができる。このため、本実施形態の構成によれば、小型かつ軽量であり、更には暖機性に優れた内燃機関を実現することができる。
ところで、上述した実施の形態7においては、環状冷却水通路92を、実施の形態1における仕切部材12,14によって第1通路98と第2通路100に区分することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、第1通路98と第2通路100を区分する仕切部材の構成は、実施の形態1の構成に限られるものではなく、実施の形態2乃至6で用いられる仕切部材や仕切突起の構造の何れであってもよい。

Claims (8)

  1. 複数のシリンダを取り巻くように形成された環状冷却水通路を備えるシリンダブロックと、
    前記シリンダブロックに比して大きな熱膨張係数を有し、前記環状冷却水通路を、当該シリンダブロックの長手方向に延びる長手方向ボアセンター面の一方側に主として延在する第1通路と、前記長手方向ボアセンター面の他方側に主として延在する第2通路とに区分する2つの仕切部材と、
    前記第1通路に通じるインレットと、
    前記第2通路に通じるアウトレットと、
    前記第1通路及び前記第2通路の双方に開口する冷却水通路を備えるシリンダヘッドと、を備えることを特徴とする内燃機関。
  2. 前記シリンダブロック及び前記仕切部材の少なくとも一方が、冷間時と暖機時の間で両者間に生ずる相対的な寸法変化を弾性変形により吸収する応力低減手段を備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関。
  3. 前記シリンダブロックと前記仕切部材との間には、冷間時においてすき間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関。
  4. 前記シリンダブロックと前記仕切部材との間には、暖機時においてすき間が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関。
  5. 前記仕切部材は、
    剛性を有する本体と、
    前記本体に装着された弾性部材と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関。
  6. 前記仕切部材は、
    母材と、前記母材に比して高い熱伝導率を有する熱伝導部材とで構成され、
    前記第1通路と前記第2通路との間で前記母材単体に比して高い熱伝導率を示すことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の内燃機関。
  7. 前記インレットが、前記シリンダブロックの長手方向の一端付近において、前記他方側に設けられており、
    前記2つの仕切部材の一方は、前記インレットと前記環状冷却水通路との連通部より内燃機関センター寄り、かつ、前記他方側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関。
  8. 前記インレットが、前記シリンダブロックの長手方向の一端付近に設けられており、
    前記アウトレットが、前記シリンダヘッドの、前記一端とは反対側に位置する長手方向他端付近に設けられており、
    前記2つの仕切部材の一方は、前記インレットの付近に配置され、
    前記2つの仕切部材の他方は、前記他端に最も近いシリンダのボアセンターを通り、前記長手方向ボアセンター面に垂直な他端短手方向ボアセンター面より前記アウトレット寄り、かつ、前記一方側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の内燃機関。
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