自動車の低燃費化、二酸化炭素低減のために自動車エンジンの燃料噴射の木目細かな制御が必要とされ、これに伴ってアクセルペダルの踏み込みによるスロットルバルブ開度調整を電子的に行うことが実用化されている。
エンジンの燃料噴射を電子制御で行う自動車では、アクセルペダルアームとスロットルバルブとの間に配されるアクセルワイヤが通常省かれるが、このアクセルワイヤレスの自動車では、アクセルワイヤ付きの自動車と比較して、ペダル踏み力に対する反力が異なる上に、ペダル踏み込み量とペダル踏み込み力との関係におけるヒステリシス特性が実質的に狭いループ、換言すればペダル踏み込み量に対するペダル踏み込み力特性が直線的になるために、アクセルワイヤ付きの自動車に乗り慣れた一般の運転者がアクセルワイヤレスの自動車を運転すると、アクセルペダルを踏み込み過ぎて、燃料を今まで以上に消費してしまったり、一定のペダル踏み込み量でのアクセルペダルアームの回動位置を維持することが困難となる虞がある。
ペダル踏み力に対して大きな反力を得るために、アクセルペダルアームを初期回動位置に復帰させるリターンスプリングのばね力を単に大きくすると、定速走行時にリターンスプリングからの大きな反力によりペダル踏み足に早期の疲労を生じさせる虞がある。
そこで、一端をコイルばねを介して終端させると共に、固定された螺旋管内を挿通させたダミーケーブルの他端にアクセルペダルアームを連結して、当該ダミーケーブルにより従来のアクセルワイヤ付きのものと同様なペダル踏み込み量とペダル踏み力との関係におけるヒステリシス特性を有する反力が得られるようにすることが提案されているが、このダミーケーブルを用いる解決策は、ダミーケーブルを設置するための比較的大きなスペースを必要とするために、トラックやRV車のようにスペースに十分余裕のある大型車種の自動車にしか採用できず、加えて、ダミーケーブルによる反力調整は比較的困難であって、コスト高となる虞がある上に、ヒステリシス特性を得るために、金属製のダミーケーブルを管の樹脂被覆内面に摺動させて、金属製のダミーケーブルと管の樹脂被覆内面との間に摺動抵抗を生じさせているが、この摺動による摩耗で長期の使用において大きな特性変化が生じる虞がある。
最近では、アクセルペダルアームの回動に従って漸次増大する摩擦抵抗力を軸部材を介して当該アクセルペダルアームに付与するダンパ付きのペダル装置が提案されている。
斯かる提案のダンパ付きのペダル装置では、通常、フレームにダンパを取付け、その後にフレームを自動車の車体に取り付けているために、作業が煩雑となると共に、フレームとダンパとの位置合わせを必要とし、しかも、フレームへの取付用のフランジ部(鍔部)等をダンパに形成しなければならず、ダンパの軸心方向長が長くなり、アクセルペダルアーム周りの狭い空間への取付が困難となる。
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、アクセルペダルの踏み込み過ぎを回避でき、ペダル踏み込み量に応じて、そのペダル踏み込み量でのアクセルペダルアームの回動位置を一定に維持できるペダル踏み込み力の範囲を大きくでき、しかも、組み立て工数を削減できる上に、軸心方向長を短くできて、アクセルペダルアーム周りの狭い空間にも容易に設置でき、コストの削減を図り得る自動車のアクセルペダル装置及びこれに好適なダンパを提供することにある。
本発明の第一の態様の自動車のアクセルペダル装置は、初期回動位置に回動付勢されるアクセルペダルアームと、アクセルペダルアームの初期回動位置からの回動に従って漸次増大する摩擦抵抗力を発生するダンパとを具備しており、アクセルペダルアームには、少なくともその初期回動位置からの回動おいてダンパで発生された摩擦抵抗力が付与されるようになっており、ダンパは、ハウジングを有していると共に支持フレームを介して車体に固定されるようになっており、ハウジングと支持フレームとの組み合わせ体は、一体形成された一体成型品からなる。
第一の態様のアクセルペダル装置によれば、アクセルペダルアームの初期回動位置からの回動に従って漸次増大する摩擦抵抗力を発生するダンパを具備しているために、アクセルペダルの踏み込み過ぎを回避でき、しかも、ハウジングと支持フレームとの組み合わせ体が一体成型品からなるために、組み立て工数を削減できる上に、軸心方向長を短くできて、アクセルペダルアーム周りの狭い空間にも容易に設置でき、コストの削減を図り得る。
本発明において、好ましくは、支持フレームは、少なくとも一対の側板部と、この一対の側板部を橋絡して、当該側板部に一体形成された底板部とを具備しており、ここで、ハウジングは、第二の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、一方の側板部の外面に設けられていても又は第三の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、一対の側板部を橋絡するように設けられていてもよい。
第二の態様のアクセルペダル装置によれば、軸部材を両持ち支持できるために、軸部材をしっかりと回転自在に支持でき、第三の態様のアクセルペダル装置によれば、ハウジングを両持ち支持できるために、ハウジングをしっかりと支持でき、しかも、軸心方向の幅を短くできて更にコンパクトにできる。
本発明では、支持フレームを、第二又は第三の態様のアクセルペダル装置のように一対の側板部と底板部とを具備して構成してもよいが、これに代えて、第四の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、底板部を具備して支持フレームを構成し、この底板部にハウジングを一体形成して設けてもよい。
第四の態様のアクセルペダル装置のように、一対の側板部を設けることなしに、ハウジングを底板部に一体形成すると、軸心方向の幅を更に短くできて更にコンパクトにでき、アクセルペダルアーム周りの狭い空間にも容易に設置でき、コストの削減を図り得る。
本発明の第五の態様の自動車のアクセルペダル装置では、第一から第四のいずれかの態様のアクセルペダル装置において、ダンパは、ハウジング内に伸長した回転自在軸を有すると共にこの回転自在軸の初期回転位置からの回転に従って漸次増大する摩擦抵抗力を発生するようになっており、ここで、第六の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、アクセルペダルアームと回転自在軸との間に介在されていると共にアクセルペダルアームの少なくとも初期回動位置からの回動を回転自在軸に伝達する伝達機構を当該装置が更に具備し、ダンパが、アクセルペダルアームの初期回動位置からの回動に従う回転自在軸の回転によって漸次増大する摩擦抵抗力を、伝達機構を介してアクセルペダルアームに付与するようになっていると、伝達機構における伝達比を適宜設定することにより、伝達機構を介してアクセルペダルアームに付与される摩擦抵抗力を大きく又は小さくでき、摩擦抵抗力の増大率(減少率)を大きく又は小さくでき、而して、自動車の車種毎に要求されるヒステリシス特性が異なる場合でも、要求される種々のヒステリシス特性に容易に対応できるようになり、種々のダンパを準備する必要がなく、結果として各ダンパのコスト上昇を抑えることができる。
なお、ハウジング内に伸長した回転自在軸は、その両端又は一端で当該ハウジングにより回転自在に支持されるようにようになっていてもよい。
本発明において伝達機構としては、歯車等を用いたものであってもよいが、好ましい例として、伝達機構は、第七の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、アクセルペダルアームの初期回動位置からの回動に加えて、アクセルペダルアームの初期回動位置への回動を回転自在軸に伝達するようになっていても、第八の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、一端部が回転自在軸に固着されたリンク部材と、リンク部材の他端部に設けられていると共にアクセルペダルアームに移動自在に係合する係合部材とを具備していても、第九の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、回転自在軸に固着された一端部を有すると共に二股状他端部を有したリンク部材と、リンク部材の二股状他端部によって形成された空間に配されて、当該二股状他端部に移動自在に係合すると共にアクセルペダルアームに固着された係合部材とを具備していても、そして第十の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、アクセルペダルアームの初期回動位置への回動において、ダンパで発生された摩擦抵抗力をアクセルペダルアームに伝達するようになっていてもよい。
伝達機構が、第七の態様のアクセルペダル装置のようになっていると、アクセルペダルアームの初期回動位置への回動にダンパの特性が付与され、而して、ペダル踏み込み量に応じて、そのペダル踏み込み量でのアクセルペダルアームの回動位置を一定に維持でき、したがって、ダンパのヒステリシス特性がそのままアクセルペダルアームに付与されることとなり、また、第九の態様のアクセルペダル装置のようになっていると、アクセルペダルアームの初期回動位置への回動を回転自在軸に伝達できるために、簡単な構成により第七の態様のアクセルペダル装置と同様の効果を奏し得、第十の態様のアクセルペダル装置のようになっていると、同じく第七の態様のアクセルペダル装置と同様の効果を奏し得る。なお、リンク部材の二股状他端部の自由端は、好ましい例では、例えば非連結になっているが、本発明はこれに限定されず、相互に連結されていてもよく、この場合には、二股状他端部によって形成される空間は閉塞空間となる。
本発明の自動車のアクセルペダル装置は、その第十一の態様のアクセルペダル装置のように、支持フレームに回転自在に支持された軸部材と、アクセルペダルアームを初期回動位置に回動付勢するコイルばねとを更に具備しており、ここで、アクセルペダルアームは軸部材に取り付けられていてもよく、その第十二の態様のアクセルペダル装置のように、コイルばねは、その一端部がアクセルペダルアームに、その他端部が支持フレームに夫々係止されいると共に、ハウジングを取り囲んで巻かれていてもよい。このようにアクセルペダルアームを初期回動位置に回動付勢するコイルばねがダンパのハウジングを取り囲んで巻かれていると、これらコイルばね及びハウジングとの組み合わせ体の軸心方向の幅を短くでき、而して、小さな取付空間でもって車体に取り付けることができる。
本発明の第十三の態様の自動車のアクセルペダル装置は、第五から第十の態様の自動車のアクセルペダル装置において、支持フレームに回転自在に支持された軸部材と、アクセルペダルアームを初期回動位置に回動付勢するコイルばねとを具備しており、ここで、アクセルペダルアームは軸部材に取り付けられており、回転自在軸は、軸部材の軸心と平行な軸心を有しており、斯かる回転自在軸であると、伝達機構を簡単に構成できて安価なアクセルペダル装置を提供でき得る。
第十三の態様のアクセルペダル装置では、第十四の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、コイルばねは、その一端部がアクセルペダルアームに、その他端部が支持フレームに夫々係止されていると共に、ハウジングを取り囲んで巻かれていてもよく、このようにコイルばねがダンパのハウジングを取り囲んで巻かれていると、第十二の態様のアクセルペダル装置と同様に、これらコイルばね及びハウジングとの組み合わせ体の軸心方向の幅を短くでき、而して、小さな取付空間でもって車体に取り付けることができる。
なお、本発明ではその第十五の態様の自動車のアクセルペダル装置のようにアクセルペダルアームを回転自在軸に固着してもよい。
本発明の第十六の態様の自動車のアクセルペダル装置は、第一から第十五のいずれかの態様のアクセルペダル装置において、アクセルペダルアームの回動角を検出する検出手段を更に具備しており、ここで、検出手段は、第十七の態様のアクセルペダル装置のように、ハウジングに内蔵されていてもよく、これに代えて第十八の態様のアクセルペダル装置のように、他の回転自在軸と、アクセルペダルアームと他の回転自在軸との間に配されていると共にアクセルペダルアームの回動を他の回転自在軸に伝達する他の伝達機構とを具備して、アクセルペダルアームの回動角として他の回転自在軸の回転角を検出するようになっていてもよい。
検出手段がハウジングに内蔵されていると、アクセルペダル装置をコンパクトに設置できて大幅なスペースの削減を期待できる上に、ダンパと検出手段との相互の動作位置の調整作業を省き得る。
第十八の態様のアクセルペダル装置によれば、アクセルペダルアームと他の回転自在軸との間に他の伝達機構が配されて、検出手段は、アクセルペダルアームの回動角を他の伝達機構及び回転自在軸を介して検出するようになっているために、他の伝達機構における伝達比を適宜設定することにより、アクセルペダルアームの回動角をより細かに又は粗く検出でき、検出分解能を高く又は低くできる。
本発明において他の伝達機構は、好ましくは、第十九の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、他の回転自在軸に固着された一端部を有すると共に二股状他端部を有した他のリンク部材と、この他のリンク部材の二股状他端部によって形成された空間に配されて、当該二股状他端部に移動自在に係合すると共にアクセルペダルアームに固着された他の係合部材とを具備している。
第十九の態様のアクセルペダル装置によれば、検出手段は、他の伝達機構を介してアクセルペダルアームの初期回動角を検出するように確実に復帰される結果、アクセルペダルアームが初期回動位置に復帰されてもそれを検出しないというような不都合な事態を回避できる。なお、他のリンク部材の二股状他端部の自由端は、第九の態様のそれと同様に、好ましい例では非連結になっているが、本発明はこれに限定されず、相互に連結されていてもよく、この場合には、当該二股状他端部によって形成される空間は閉塞空間となる。
本発明において検出手段は、第二十の態様のアクセルペダル装置のように、好ましくは、光学的、磁気的又は電気抵抗的な検出器からなっているが、本発明は、これに限定されない。なお、電気抵抗的な検出器は、いわゆるポテンショメータタイプのものであって、例えば回転自在軸又は軸部材の回転と共に回転する接触子と、この接触子に接触する電気抵抗体とを具備して、接触子が電気抵抗体に接触する位置での電気抵抗に基づいて、回転自在軸又は軸部材の回転角を電気的に検出するようになっている。
第一の態様のアクセルペダル装置では、アクセルペダルアームには、少なくともその初期回動位置からの回動おいてダンパで発生された摩擦抵抗力が付与されるようになっていればよいのであるが、これに加えて、第二十一の態様のアクセルペダル装置のように、アクセルペダルアームには、アクセルペダルアームの初期回動位置への回動おいてもダンパで発生された摩擦抵抗力が付与されるようになっていてもよく、斯かる態様のアクセルペダル装置では、ペダル踏み込み量に応じて、そのペダル踏み込み量でのアクセルペダルアームの回動位置を一定に維持できるペダル踏み込み力の範囲を大きくできる。
本発明においてダンパは、第二十二の態様のアクセルペダル装置のように、好ましくは、軸心方向に移動自在であって軸心周りの方向では不動に配された可動体と、この可動体に対面して軸心周りで回転自在に配されていると共にアクセルペダルアームの回動に基づいて回転される回転体と、可動体を回転体に向かって弾性的に付勢するばね手段と、回転体の回転においてばね手段の弾性力に抗して可動体を回転体から軸心方向に離反させて、ばね手段のばね力を増大させることにより、漸次増大する摩擦抵抗力を発生させる摩擦抵抗力発生手段とを具備しており、可動体、回転体、ばね手段及び摩擦抵抗力発生手段の夫々は、ハウジングに内蔵されている。
本発明において、ダンパの摩擦抵抗力発生手段は、好ましくは、第二十三の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、可動体に対面する回転体の一方の面に、軸心方向であって可動体の一方の面に向かって突出して一体的に形成された突起と、回転体に対面する可動体の一方の面に、軸心方向であって回転体の一方の面に向かって突出して一体的に形成された突起とを具備しており、両突起同士は、面接触するようになっている。
第二十三の態様のアクセルペダル装置では、摩擦抵抗力発生手段を、可動体と回転体との間に配されて、可動体と回転体との夫々に一体形成された突起でもって構成するために、極めてコンパクトなものとすることができ、小さなスペースを有効に利用して設置でき、しかも、両突起同士を面接触させるために、その接触面における摩擦係数を適宜設定することにより概略アクセルペダルアームの回動に付与できる抵抗力を決定し得、ペダル踏み込み量とペダル踏み力との関係におけるヒステリシス特性をもった反力調整を極めて簡単に行うことができる。
本発明の第二十四の態様の自動車のアクセルペダル装置では、上記の第二十二又は第二十三の態様のアクセルペダル装置において、摩擦抵抗力発生手段は、可動体に対面する回転体の一方の面に形成された傾斜面と、回転体に対面する可動体の一方の面に形成されて前記傾斜面に面接触する傾斜面とを具備している。
第二十四の態様のアクセルペダル装置によれば、回転体の一方の面に形成された傾斜面と、可動体の一方の面に形成された傾斜面とにおける摩擦係数を適宜設定することにより概略アクセルペダルアームの回動に付与できる抵抗力を決定し得、ペダル踏み込み量とペダル踏み力との関係におけるヒステリシス特性をもった反力調整を極めて簡単に行うことができる。
本発明の第二十五の態様の自動車のアクセルペダル装置では、第二十二から第二十四のいずれかの態様のアクセルペダル装置において、摩擦抵抗力発生手段は、回転体の他方の面に面接触する固定面を具備している。
第二十五の態様のアクセルペダル装置では、回転体の他方の面と固定面とにおける摩擦係数を適宜設定することにより概略アクセルペダルアームの回動に付与できる抵抗力を決定し得るため、上記と同様に、ヒステリシス特性をもった反力調整を極めて簡単に行うことができる。
なお、第二十五の態様のアクセルペダル装置において、互いに面接触する回転体の他方の面と固定面との夫々を、傾斜面で形成してもよく、また、固定面を軸心方向に関して位置決め調整自在にしてもよく、このように固定面を軸心方向に関して位置決め調整自在にすると、ばね手段によって発生される初期弾性力、換言すれば初期抵抗力を任意に調整、設定でき、最適な初期抵抗力を得ることができる。
ばね手段としては、ゴム又は板ばねを利用したもの等のいずれでもよく、好ましくは、少なくとも一個のコイルばねを具備して構成することにより、耐久性に優れ且つ構造の簡単なものとし得、また、第二十六の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、同心に配された少なくとも一対のコイルばねを具備して構成してもよく、この場合、少なくとも一対のコイルばねが、第二十七の態様の自動車のアクセルペダル装置のように、互いに異なる弾性係数を有していると、一方のコイルばねを微調整用に用いることができ、抵抗力の設計、調整を簡単になし得、この観点からは極めて好ましい。
なお本発明において、検出手段が、軸部材の回転角を検出してアクセルペダルアームの回動角を検出するようになっていると、アクセルペダルアームの回動角を、バックラッシュ等に影響されることなしに、そのまま検出できる。
伝達機構が一方向クラッチとして構成されている場合であって、検出手段が軸部材の回転を検出するようになっている場合には、故障などの何らかの原因で回転自在軸が初期回転位置へ復帰回転できなくなっても、アクセルペダルアームのみを独立に初期回動位置へ復帰回動でき、検出手段からアクセルペダルアームの初期回動角を検出した検出信号を確実に送出できることとなり、ダンパの故障等でアクセルペダルアームを初期回動位置へ復帰回動できなくなって、検出手段から異常な検出信号が送出されるような事態を回避できる。
本発明によれば、アクセルペダルの踏み込み過ぎを回避でき、ペダル踏み込み量に応じて、そのペダル踏み込み量でのアクセルペダルアームの回動位置を一定に維持できるペダル踏み込み力の範囲を大きくでき、しかも、組み立て工数を削減できる上に、軸心方向長を短くできて、アクセルペダルアーム周りの狭い空間にも容易に設置でき、コストの削減を図り得る自動車のアクセルペダル装置及びこれに好適なダンパを提供することができる。
次に本発明及びその実施の形態を、図に示す好ましい例を参照して説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
図1から図9において、本例の自動車のアクセルペダル装置1は、一対の側板部2及び3並びに側板部2及び3を橋絡して、当該側板部2及び3に一体形成された底板部4を有した支持フレーム5と、支持フレーム5の側板部2及び3に軸心6を中心としてR方向に回転自在に支持されており、後述のダンパ10の回転自在軸を兼ねる軸部材7と、軸部材7に取り付けられたアクセルペダルアーム8と、アクセルペダルアーム8を初期回動位置に回動付勢するコイルばね9と、軸部材7を介するアクセルペダルアーム8の初期回動位置からの回動に従って漸次増大する摩擦抵抗力を発生するダンパ10と、アクセルペダルアーム8の初期回動位置への復帰においてアクセルペダルアーム8のそれ以上の回動を禁止するストッパ11と、アクセルペダルアーム8の回動角を検出する検出手段12とを具備している。
支持フレーム5は、車体にリベット又はボルト13等によりその底板部4で固定されるようになっており、軸部材7を側板部2及び3で回転自在に支持している。
アクセルペダルアーム8は、一端部にアクセルペダル14を有しており、軸部材7に固着されて、当該軸部材7を介して支持フレーム5に軸心6を中心としてR方向に回動自在に支持されている。本例では、アクセルペダルアーム8には、その初期回動位置からの回動とその初期回動位置への回動とにおいて、換言すれば、両方向の回動でダンパ10で発生された摩擦抵抗力が付与されるようになっている。
コイルばね9は、捩りコイルばねからなり、その一端部15がアクセルペダルアーム8に、その他端部16が支持フレーム5の底板部4に夫々係止されていると共に、図2においてアクセルペダルアーム8をR方向において反時計回りの方向に常時弾性的に付勢している。コイルばね9の一端部15側は、側板部3の凹所22を通って伸長しており、凹所22は、コイルばね9の一端部15側がアクセルペダルアーム8のR方向の回動に連れて回動できるように形成されている。なお、他端部16を、支持フレーム5の底板部4に係止させる代わりに、側板部2に係止させてもよい。
ダンパ10は、環状の一端部17で支持フレーム5の側板部2の外面46に一体形成されていると共に他端部19に底部20を一体的に有する有底円筒状のハウジング21と、ハウジング21内まで伸張し、回転自在軸として用いられている軸部材7と、軸部材7と同心に配されたハウジング21内に、当該ハウジング21に対して軸心6方向に移動自在であって軸心6周りの方向、すなわちR方向では不動に配された円環板状の可動体23と、一端部24がハウジング21の底部20に、他端部25が可動体23に夫々当接して、ハウジング21内において可動体23と底部20との間に配されたばね手段としてのコイルばね、特に好ましくは圧縮コイルばね26と、ハウジング21内に、可動ばね受けとしての可動体23に対面して且つハウジング21に対してR方向に回転自在に配されていると共に、軸部材7の回転により回転される回転体28と、ハウジング21内に配されており、回転体28のR方向の回転においてコイルばね26の弾性力に抗して可動体23を回転体28から軸心6方向に離反させてハウジング21の底部20に接近させて、コイルばね26のばね反力を増大させることにより、漸次増大する摩擦抵抗力を発生させる摩擦抵抗力発生手段29と、ハウジング21の一端部17に締め付け、固着された環状の蓋部材34とを具備している。
本例のハウジング21は、円筒部31と、円筒部31の他端部19に一体的に形成された底部20とを具備して、支持フレーム5と一体形成されており、而して、ハウジング21と支持フレーム5との組み合わせ体111は、一体形成された一体成型品からなる。
円筒部31は、その内周面32に、ねじ部33に加えて、軸心6方向に伸びて形成された少なくとも一つ、本例では6個の溝41(1個のみ図示)を具備しており、溝41は、R方向において等角度間隔で配されている。
蓋部材34は、その外周面にねじ部50を、中央に軸部材7が余裕をもって通る貫通孔51を夫々有しており、ねじ部50がねじ部33に螺合されて、円筒部31の一端部17に締め付け、固着されている。
可動体23は、図4、図5及び図6に特に詳しく示すように、中央に貫通孔55を有した円環板状の本体56と、本体56の外周面57に一体的に形成された少なくとも一個、本例では6個の突起58と、底部20に面した面59に形成された環状の凹所60とを具備しており、各突起58は、R方向において等角度間隔に配されており、各溝41に軸心6方向に可動に配されて、これにより可動体23は、軸心6方向に移動自在であってR方向では不動にされており、凹所60においてコイルばね26の他端部25が本体56に着座している。
コイルばね26は、円筒部31内に円筒部31と同心に且つ可動体23を底部20から軸心6方向において離反させるように、弾性的に縮められて配されている。
回転体28は、特に図7、図8及び図9に詳細に示すように、円筒部65と、円筒部65の外周面66の一端部側に一体的に形成された環状板部67とを具備しており、円筒部65は、貫通孔55を通って且つ当該貫通孔55を規定する本体56の内周面68と軸心6方向及びR方向に相対的に摺動自在に接触して伸びており、円筒部65には、その中央円孔69において、互いに対面する平坦面70及び71が形成されており、平坦面70及び71により規定された中央円孔69に軸部材7の二面取りされた部位が嵌入されて、これにより、アクセルペダルアーム8のR方向の回動で軸部材7が図2において時計回りの方向に回転されると、斯かる軸部材7の回転で回転体28は同じく同方向に回転されるようになっている。
なお、貫通孔55を貫通するように円筒部65を長く形成すると、回転体28の軸心6方向の移動及びR方向の回転を本体56の内周面68により案内できるために好ましいが、これに代えて、貫通孔55まで伸びることなしに円筒部65を短く形成し又は省略し、回転体28の軸心6方向の移動及びR方向の回転を円筒部31の内周面32により案内させるようにしてもよい。
摩擦抵抗力発生手段29は、可動体23の本体56の環状の面81に対面する回転体28の環状板部67の環状の面82の外周側に、軸心6方向であって可動体23の面81に向かって突出し且つ傾斜面83を有して一体的に形成された少なくとも一個、本例では3個の突起84と、回転体28の環状板部67の面82に対面する可動体23の本体56の面81の外周側に、軸心6方向であって回転体28の面82に向かって突出し且つ傾斜面83に面接触する傾斜面85を有して一体的に形成された少なくとも一個、本例では3個の突起86と、回転体28の環状板部67の環状の面87と、当該回転可能な面87に面接触するように、固定面88とを具備している。
3個の突起84は、面82においてR方向に等角度間隔に配されて、環状板部67に一体的に形成されており、同じく突起86は、面81においてR方向に等角度間隔に配されて、本体56に一体的に形成されており、傾斜面83及び85は、互いに面接触するように相補的に且つ好ましくは軸心6に関して約45°の傾きで傾斜して形成されている。
面81には、夫々の突起84の軸心6方向の先端が落ち込む凹所91と、凹所91を規定する段部92が突起86に連接して形成されており、面82にも、夫々の突起86の軸心6方向の先端が落ち込む凹所93と、凹所93を規定する段部94とが突起84に連接して形成されており、段部92及び段部94により傾斜面83と傾斜面85との初期面接触位置が規定されている(図5及び図9においては、突起84及び86等は省略されている)。
固定面88は、円筒部31の内周面32に形成されたねじ部33に螺合して、円筒部31の一端部17に固着された蓋部材34の一方の面からなる。なお、固定面88を構成する蓋部材34を省いて摩擦抵抗力発生手段29を構成してもよく、この場合には、回転体28が軸心6方向であって可動体23から離反する方向には移動しないように当該回転体28を回転自在軸122に固着する。
ストッパ11は、底板部4又は側板部3に一体形成された支持部101と、支持部101にナット102を介して取り付けられた受け部材103とを具備しており、受け部材103にアクセルペダルアーム8の他端部104が当接することにより、アクセルペダルアーム8の初期回動位置への復帰において当該アクセルペダルアーム8のそれ以上の回動を禁止するようになっている。
検出手段12は、本例では、ハウジング21に内蔵されたポテンショメータタイプの検出器からなり、底部20の中央の凹所105に固着されて電気抵抗体が形成された固定板106と、一端部が固定板106の電気抵抗体に摺動自在に接触すると共に、他端部が軸部材7に固着された接触子107とを具備しており、軸部材7のR方向の回転を電気的に検出して、而して、アクセルペダルアーム8の回動角を検出し、この電気的検出信号を図示しない自動車エンジンの燃料噴射制御装置に出力するようになっている。燃料噴射制御装置は、検出手段12からの電気的検出信号に基づいてスロットルバルブ開度調整を電子的に行うようになっている。
以上のアクセルペダル装置1を具備した自動車では、アクセルペダル14の踏み込みで、アクセルペダルアーム8が、コイルばね9の弾性力に抗して図2においてR方向において時計回りの方向に回動されると、アクセルペダルアーム8の回動角を検出する検出手段12からの電気的検出信号に基づいて燃料噴射制御装置によりエンジンに対する燃料噴射が促進されて加速され、逆に、アクセルペダル14の踏み込み解除で、アクセルペダルアーム8が、コイルばね9の弾性力により図2におけるR方向において反時計回りの方向に回動されると、検出手段12からの電気的検出信号に基づいて燃料噴射制御装置によりエンジンに対する燃料噴射が減少されて減速される。
アクセルペダル装置1では、ペダル踏み込みによるアクセルペダルアーム8の初期回動位置からの回動で、軸部材7を介して回転体28がR方向に回転されると、突起84もR方向に回転されて、突起84のR方向の回転により、傾斜面85で傾斜面83に面接触した突起86を一体的に有した可動体23は、図10に示すように、軸心6方向においてコイルばね26の弾性力に抗して底部20に向かって移動され、逆に、ペダル踏み込みが解除されると、コイルばね9の弾性力によりアクセルペダルアーム8は、元の位置に復帰され、同じく、可動体23は、図1に示すように、元の位置に復帰される。
そしてアクセルペダル装置1では、ペダル踏み込みでは、コイルばね26の漸次増大する弾性力により互いに押し付けられた傾斜面83と傾斜面85とにおける摩擦抵抗並びに面87と固定面88とにおける摩擦抵抗により、アクセルペダルアーム8のペダル踏み込みに基づく回動に適宜の漸次増大する抵抗力(反力)がアクセルペダルアーム8に付与され、而して、アクセルペダル14を踏み込み過ぎて、燃料を必要以上に消費するような事態をなくし得、また、ペダル踏み込み解除では、傾斜面83と傾斜面85とにおける摩擦抵抗並びに面87と固定面88とにおける摩擦抵抗は極めて小さくなり、アクセルペダルアーム8は、コイルばね9の弾性力により小さな抵抗力をもって早期に初期位置に回動復帰されることになり、しかも、ペダル踏み込み後、その位置でペダル踏み込みを維持する場合には、ペダル踏み込み力を多少減少させても、傾斜面83と傾斜面85とにおける摩擦抵抗並びに面87と固定面88とにおける摩擦抵抗に基づくペダル踏み込み量とペダル踏み力との関係におけるヒステリシス特性により、そのペダル踏み込み量でのアクセルペダルアーム8の回動位置を維持できるために、ペダル踏み足に早期の疲労を生じさせる等の不都合を解消できる。すなわちアクセルペダル装置1では、ペダル踏み込み量に応じてそのペダル踏み込み量でのアクセルペダルアーム8の回動位置を一定に維持できるペダル踏み込み力の範囲を大きくできる結果、低速から高速までの各速度での定速走行時に当該速度に応じてペダル踏み込み量を容易に一定に維持でき、ペダル踏み足に早期の疲労を生じさせる等の不都合を解消できる。またアクセルペダル装置1では、アクセルペダルアーム8の回動角を検出する検出手段12がハウジング21に内装されているために、コンパクトに設置できて大幅なスペースの削減を期待できる上に、ダンパ10と検出手段12との相互の動作位置の調整作業を省き得る。
更に本アクセルペダル装置1によれば、傾斜面83と傾斜面85とにおける摩擦抵抗並びに面87と固定面88とにおける摩擦抵抗により概略アクセルペダルアーム8の回動に付与できる抵抗力を決定し得るため、ヒステリシス特性をもった反力調整を極めて簡単に行うことができ、加えて、夫々の値を適宜設定することにより、極めてコンパクトなものとすることができ、小さなスペースを有効に利用して設置できる。
その上、アクセルペダル装置1によれば、コイルばね26からはアクセルペダルアーム8を初期位置に復帰させる復帰力を殆ど生じさせないため、定速走行時にはアクセルペダルアーム8に反力を実質的に発生させず、したがって、ペダル踏み足に早期の疲労を生じさせないという更なる利点がある。
またアクセルペダル装置1によれば、コイルばね26は、相互に相対回転しない可動体23と底部20との間に配されているために、回転体28の回転においても捩られることがなく、而して、コイルばね26の捩じれによる作動不良等の不都合が生じることがない。
更にアクセルペダル装置1によれば、検出手段12が、ダンパ10の回転自在軸を兼ねた軸部材7を介してアクセルペダルアーム8の回動角を検出するようになっているために、アクセルペダルアーム8の回動角を、バックラッシュ等に影響されることなしに、そのまま検出できると共に、軸部材7が回転自在軸を兼ねることになるので部品点数を削減でき、加えて軸部材7を側板部2及び3で両持ち支持しているために、軸部材7をしっかりと回転自在に支持できる上に、回転体28の他方の面87と固定面88とにおける摩擦係数を適宜設定することによっても、アクセルペダルアーム8の回動に付与できる抵抗力を決定し得るため、ヒステリシス特性をもった反力調整を極めて簡単に行うことができる。
なお、蓋部材34の円筒部31への軸心6方向の固定位置を調節することにより、コイルばね26によって発生される初期弾性力、換言すれば初期抵抗力を任意に調整、設定でき、最適な初期抵抗力を得ることができる。
またアクセルペダル装置1では、ハウジング21と支持フレーム5との組み合わせ体111が一体成型品からなるために、組み立て工数を削減できる上に、軸心6方向長を短くできて、アクセルペダルアーム8周りの狭い空間にも容易に設置でき、コストの削減を図り得、加えて、合成樹脂等の一体成型品からなる組み合わせ体111を用いることにより、製作費を削減できて、しかも、堅牢なものとし得る。
上記のアクセルペダル装置1では、側板部2の外面46にハウジング21を一体に設けたが、図11に示すように、一対の側板部2及び3を橋絡するように、これら一対の側板部2及び3に底部20と円筒部31とからなるハウジング21を一体的に形成して、ハウジング21を設けてもよく、斯かる合成樹脂等の一体成型品からなる一対の側板部2及び3とハウジング21との組み合わせ体111を用いることにより、製作費を削減できて、しかも、堅牢なものとし得る上に、ハウジング21を両持ち支持できるために、ハウジング21をしっかりと支持でき、しかも、軸心6方向の幅を短くできて更にコンパクトになる。
また上記のアクセルペダル装置1では、ダンパ10とコイルばね9とを軸心6方向に互いに隣接させて並置したが、これに代えて図12に示すように、一端部15がアクセルペダルアーム8に、他端部16が支持フレーム5に夫々係止されたコイルばね9を、図11の組み合わせ体111においてハウジング21の円筒部31を取り囲んで巻いて、配置してもよい。図12に示すアクセルペダル装置1によれば、コイルばね9と組み合わせ体111との軸心6方向の幅を短くでき、而して、小さな取付空間でもってアクセルペダル装置1を車体に取り付けることができる。なお、図12において、支持フレーム5の側板部2を省いてアクセルペダル装置1を構成してもよい。
前述のアクセルペダル装置1では、軸部材7がダンパ10の回転自在軸を兼ねているが、軸部材7の代わりとして、図13及び図14に示すように、軸部材7の軸心6と平行な軸心121を有して、ハウジング21内に伸張した回転自在軸122を具備してダンパ10を構成してもよく、この場合、アクセルペダルアーム8と回転自在軸122との間に、当該アクセルペダルアーム8の初期回動位置からの回動及び初期回動位置への回動、すなわちR方向の両方向の回動を回転自在軸122に伝達する伝達機構123を配し、ハウジング21に内蔵された検出手段12により、アクセルペダルアーム8の回動角として回転自在軸122の回転角を検出するように、アクセルペダル装置1を構成してもよい。
図13及び図14に示すアクセルペダル装置1の伝達機構123は、一端部131が回転自在軸122に固着されたリンク部材132と、リンク部材132の二股状他端部133によって形成された空間134に配されて、当該二股状他端部133に移動自在に摺動係合すると共にアクセルペダルアーム8の他端部104に固着された円柱状の係合部材135とを具備している。
図13及び図14に示すアクセルペダル装置1では、アクセルペダル14の踏み込みで、アクセルペダルアーム8が初期回動位置からR方向に回動されると、係合部材135を介してリンク部材132が軸心121を中心としたr方向において、すなわち図14において反時計回りの方向に回動され、而して、ダンパ10によりペダル踏み込みに基づく回動に適宜の漸次増大する抵抗力(反力)が伝達機構123を介してアクセルペダルアーム8に付与され、ペダル踏み込み後、ダンパ10のペダル踏み込み量とペダル踏み力との関係におけるヒステリシス特性により、そのペダル踏み込み量でペダル踏み込み力を多少減少させてもアクセルペダルアーム8の回動位置を維持できると共に、伝達機構123及び回転自在軸122を介して検出手段12によりアクセルペダルアーム8の回動角を検出することができる。そして図13及び図14に示すアクセルペダル装置1では、アクセルペダル14の踏み込み解除で、アクセルペダルアーム8がコイルばね9の弾性力により初期回動位置に向かって回動されると、リンク部材132もまた図14において時計回りの方向に強制的に回動される。
伝達機構123を具備した図13及び図14に示すアクセルペダル装置1によれば、伝達機構123における回動−回転に関する伝達比を適宜設定することにより、アクセルペダルアーム8の回動角をより細かに又は粗く検出でき、検出分解能を高く又は低くできると共に、アクセルペダルアーム8に付与される摩擦抵抗力を大きく又は小さくでき、摩擦抵抗力の増大率を大きく又は小さくでき、しかも、二股状他端部133付きのリンク部材132を有した伝達機構123によれば、回転自在軸122に、アクセルペダルアーム8の初期回動位置からの回動に加えて、アクセルペダルアーム8の初期回動位置への回動をも伝達できる結果、アクセルペダルアーム8が初期回動位置に復帰されても検出手段12がそれを検出しないというような不都合な事態を回避できる。
伝達機構123では、係合部材135がリンク部材132の二股状他端部133によって形成された空間134に配されて、回転自在軸122にはアクセルペダルアーム8の初期回動位置への回動も伝達されるようになっているために、回転自在軸122の回転が、伝達機構123を介してアクセルペダルアーム8の初期回動位置からの回動に拘束されると共に、同じく伝達機構123を介してアクセルペダルアーム8の初期回動位置への回動に拘束され、しかも、アクセルペダルアーム8の回動が、伝達機構123を介して回転自在軸122の初期回転位置からの回転に拘束されると共に、同じく伝達機構123を介して回転自在軸122の初期回転位置への回転に拘束される結果、アクセルペダルアーム8の初期回動位置からの回動及びアクセルペダルアーム8の初期回動位置への回動の夫々にダンパ10の特性が付与されて、而して、ダンパ10のヒステリシス特性がそのままアクセルペダルアーム8に付与されることになる。
なお、図13及び図14に示すように、アクセルペダルアーム8及びストッパ11を側板部2側に設ける一方、ハウジング21を側板部3の外面に一体的に設けて、ハウジング21と支持フレーム5との組み合わせ体111を一体成型品から構成してもよい。一体成型品からなる組み合わせ体111には、支持部101を含めてもよい。
図13及び図14に示すアクセルペダル装置1では、二股状他端部133を有したリンク部材132を用いて伝達機構123を構成したが、これに代えて図15及び図16に、また図17から図19に夫々示すように、一端部141が回転自在軸122に固着されたリンク部材142と、リンク部材142の他端部143に回転自在に取り付けられて、アクセルペダルアーム8の他端部104に移動自在に転動係合する好ましくはローラからなる係合部材145を用いて伝達機構123を構成してもよい。図15及び図16に示す伝達機構123でも、また図17から図19に示す伝達機構123でも、その回動に関する伝達比を適宜設定することにより、アクセルペダルアーム8の回動角をより細かに又は粗く検出でき、検出分解能を高く又は低くできると共に、アクセルペダルアーム8に付与される摩擦抵抗力を大きく又は小さくでき、摩擦抵抗力の増大率を大きく又は小さくできる。
なお、図15及び図16に示すアクセルペダル装置1の伝達機構123及び図17から図19に示すアクセルペダル装置1の伝達機構123では、これが一方向クラッチとなる結果、アクセルペダルアーム8の初期回動位置への回動に際して、コイルばね9に基づく復帰回動力を回転自在軸122に伝達させることができないが、この場合には、コイルばね26の弾性伸張力に基づく傾斜面83及び85を介する復帰力により、回転自在軸112は初期回転位置に回転復帰される。また、図15及び図16並びに図17から図19の夫々に示す伝達機構123では、アクセルペダルアーム8の初期回動位置への回動に際しては、ダンパ10で発生する摩擦抵抗力をアクセルペダルアーム8に付与することができず、したがって、斯かる図15及び図16並びに図17から図19の夫々に示すアクセルペダル装置1の場合には、ペダル踏み込み後、所望位置でペダル踏み込みを維持する際及びペダル踏み込み後にアクセルペダル14の踏み力を解除してアクセルペダルアーム8を初期回動位置に回動させる際の特性は、上記のその他のアクセルペダル装置1のそれと異なる。
またハウジング21に検出手段12を内蔵する代わりに、図15及び図16並びに図17から図19の夫々に示すように、検出手段12をハウジング21外に配してアクセルペダル装置1を構成してもよい。
図15及び図16に示すアクセルペダル装置1では、検出手段12は、側板部2にボルト149等により取り付けられたケース150と、ケース150内に配された前記と同様の固定板及び接触子と、この接触子が固着されて、ケース150に回転自在に支持された回転自在軸151と、アクセルペダルアーム8の回動を回転自在軸151に伝達する伝達機構152とを具備している。伝達機構152は、図13及び図14に示す伝達機構123と同様に構成されており、一端部153が回転自在軸151に固着されたリンク部材154と、リンク部材154の二股状他端部156によって形成された空間157に配されて、当該二股状他端部156に移動自在に摺動係合すると共にアクセルペダルアーム8の他端部104に固着された円柱状の係合部材158とを具備している。
図15及び図16に示す検出手段12は、アクセルペダルアーム8のR方向の回動で回転自在軸151が伝達機構152を介して回転されると、この回転自在軸151の回転を検出してアクセルペダルアーム8のR方向の回動角を検出するようになっており、検出手段12からの電気的検出信号は、前記と同様に、燃料噴射制御装置におけるエンジンに対する燃料噴射の制御に用いられる。
図17から図19に示す検出手段12は、軸部材7の回転角を直接的に検出して、これによりアクセルペダルアーム8の回動角を検出するようになっている。図17から図19に示す検出手段12は、側板部3にボルト149等により取り付けられたケース150と、ケース150内に配された前記と同様の固定板及び接触子とを具備しており、軸部材7は、検出手段12の回転自在軸を兼ねており、軸部材7に検出手段12の接触子が固着されている。
図17から図19に示す検出手段12によれば、アクセルペダルアーム8の回動角をバックラッシュ等に影響されることなしにそのまま検出でき、また、軸部材7が回転自在軸を兼ねることになるので部品点数を削減できる。
上記のアクセルペダル装置1では、一対の側板部2及び3並びに底板部4を有した支持フレーム5を用いて、支持フレーム5の側板部2又は3にハウジング21を一体形成し、而して、ハウジング21と支持フレーム5との組み合わせ体111を一体形成された一体成型品としたものであるが、図20から図22に示すように、支持フレーム5を底板部4のみを具備して構成し、ハウジング21を底板部4に一体形成して、これにより、ハウジング21と支持フレーム5との組み合わせ体111を一体形成された一体成型品としてもよい。
図20から図22に示すアクセルペダル装置1において、ダンパ10は、図1に示すダンパ10と同様に、ハウジング21と、ハウジング21内まで伸張し、回転自在軸として用いられている軸部材7と、軸部材7と同心に配されたハウジング21内に、当該ハウジング21に対して軸心6方向に移動自在であって軸心6周りの方向、すなわちR方向では不動に配された円環板状の可動体23と、一端部24がハウジング21の底部20に、他端部25が可動体23に夫々当接して、ハウジング21内において可動体23と底部20との間に配されたばね手段としての一対のコイルばね、好ましくは一対の圧縮コイルばね160及び161と、ハウジング21内に、可動体23に対面して且つハウジング21に対してR方向に回転自在に配されていると共に、軸部材7の回転により回転される回転体28と、ハウジング21内に配されており、回転体28のR方向の回転においてコイルばね160及び161の弾性力に抗して可動体23を回転体28から軸心6方向に離反させてハウジング21の底部20に接近させて、コイルばね160及び161のばね反力を増大させることにより、漸次増大する摩擦抵抗力を発生させる摩擦抵抗力発生手段29と、ハウジング21の一端部17に締め付け、固着された環状の蓋部材34とを具備しており、アクセルペダルアーム8は、軸部材7の一端に固着されており、軸部材7は、一端では蓋部材34に滑り軸受162を介してR方向に回転自在に、他端ではハウジング21の底部20にR方向に回転自在に夫々支持されて、ハウジング21及び蓋部材34を貫通しており、互いに異なる弾性係数を有しているコイルばね160及び161は、可動体23を底部20から軸心6方向において離反させるように、弾性的に縮められて且つ同心に配されている。
図20から図22に示すアクセルペダル装置1では、ペダル踏み込みによるアクセルペダルアーム8の初期回動位置からのR方向の回動で、軸部材7を介して回転体28がR方向に回転されると、突起84もR方向に回転されて、突起84のR方向の回転により可動体23は図22に示すように軸心6方向においてコイルばね160及び161の弾性力に抗して且つコイルばね160及び161を縮めながら底部20に向かって移動され、逆に、ペダル踏み込みが解除されると、コイルばね9の助力なしでコイルばね160及び161の弾性力によりアクセルペダルアーム8は元の位置に復帰され、同じく、可動体23は図20に示すように元の位置に復帰される。このように図20から図22に示すアクセルペダル装置1では、コイルばね160及び161がアクセルペダルアーム8を初期回動位置に回動付勢するようになっており、したがって、前記のコイルばね9を省き得るので更にコンパクトにし得、加えて、一対のコイルばね160及び161が互いに異なる弾性係数を有してので、一方のコイルばねを微調整用に用いることができ、抵抗力の設計、調整を簡単になし得る。
なお、例えば図20から図22に示すアクセルペダル装置1において、底部20がアクセルペダルアーム8に隣接するようにしてハウジング21を底板部4に一体形成して、底部20に代えて蓋部材34をコイルばね160及び161のばね受けとしてハウジング21の他端部165に締め付け、固着してもよい。