JP5242749B2 - 水溶性または水分散性ポリイソシアネート架橋剤およびこれを用いた撥水撥油剤組成物並びにその撥水撥油剤組成物を用いた繊維の撥水撥油加工方法 - Google Patents
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Description
また、これら従来のブロック化ポリイソシアネート架橋剤を繊維の撥水撥油加工に使用した場合においても、フッ素エマルジョン樹脂などとの相溶性が良くないことから、十分な撥水撥油性能を発現しないことが多い。
また、かかるポリイソシアネート架橋剤を繊維の撥水撥油加工に使用した場合には、分子骨格内に第三級アミンを有していることから繊維への撥水撥油加工時に黄変の問題が生じるという問題があった。
しかし、特許文献3〜5に記載されているアニオン形成性基を含有する化合物を結合させたポリイソシアネート架橋剤は、イソシアネート基に対するアニオン形成性基の含有量が多くなっている(特許文献4、5の特許請求の範囲のm≧0.25の記載参照)。
ここで、一般的に撥水撥油剤成分として使用されるフッ素エマルジョン樹脂は、弱カチオン性を示す化合物であることから、特許文献3〜5に記載のポリイソシアネート架橋剤をこれら弱カチオン性を有するフッ素エマルジョン樹脂とともに使用すると、かかるフッ素エマルジョン樹脂と結合して沈殿を生じてしまい使用できなくなるという問題がある。
また、特許文献4、5においては、アニオン形成性基を含有する化合物として、アミノカルボン酸類やアミノスルホン酸類の記載があるが(特許文献4、5の特許請求の範囲の記載参照)、モノアミノ酸、モノスルホン酸以外のアミノ基を複数個含有するカルボン酸もしくはスルホン酸を使用すると、当該カルボン酸またはスルホン酸が鎖伸長剤の役割を果たしてポリイソシアネートを形成することから、所望する構造の架橋剤が得られないばかりか、分子量の増大を伴うことによる増粘の発生や、アニオン形成性基の含有量の低下による親水性の低下などが発生して架橋剤として使用できなくなるという問題もある。
さらに、特許文献5に記載されているポリイソシアネート架橋剤については、繊維への撥水撥油加工に使用する場合には、N,N−ジメチルエタノールアミンなどの化合物が原因となり黄変を起こすという問題もある。
R1−(CH2CH2O)n−(CH2CHCH3O)m−H
(ここで、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜25の整数であり、mは0〜25の整数であり、n+mは10〜50の整数である)
また、後記する撥水撥油剤成分と混合して撥水撥油剤組成物を作製した際に相分離を起こすことなく水中に均一な状態で安定に存在することができるという意でもある。
すなわち、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がポリオール類の水酸基に対して過剰になるように配合されて合成されることによって、得られるイソシアネートプレポリマーの末端には必ずイソシアネート基が形成されるのである。
また、ポリアミン類またはポリフェノール類とアルキレンオキサイドとの重合体、ポリカルボン酸とアルキレンオキサイドとの重合体なども挙げられる。
そして、これらのポリオール類の中でも、水溶性または水分散性の点や後記する撥水撥油剤成分との相溶性の点からポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールの中から選ばれる1種または2種以上の化合物を使用することが好ましい。
ポリエチレングリコールの分子量が100より低くなると良好な水溶性または水分散性、あるいは相溶性を得ることができず、ポリエチレングリコールの分子量が2000より高くなると水溶性または水分散性が高くなりすぎて、繊維の加工時に撥水撥油性能が低下するからである。
なお、製造したイソシアネートプレポリマーは、後記するように、さらにブロック剤(A)とポリオール類(B)、化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物を反応させることから、イソシアネートプレポリマーの末端にはイソシアネート基が形成されるように、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がポリオール類の水酸基に対して過剰になるように反応させる必要がある。
そして、これらのブロック剤の中でも、低温解離性などの点からメチルエチルケトンオキシム、1H−ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールの中から選ばれる1種または2種以上の化合物を使用することが好ましい。
また、ブロック化反応についても、適当な不活性溶媒の存在下において必要に応じてトリエチルアミン等の触媒を用いて加熱するなど公知の方法によって行うことができる。ここで、反応温度としては50〜70℃の範囲であることが好ましい。
R1−(CH2CH2O)n−(CH2CHCH3O)m−H
(ここで、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜25の整数であり、mは0〜25の整数であり、n+mは10〜50の整数である)
ポリオール類(B)、化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物のモル比が2より低くなると良好な水溶性または水分散性、あるいは相溶性を得ることができず、ポリオール類(B)、化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物のモル比が50より高くなると水溶性または水分散性が高くなりすぎて、繊維の加工時に撥水撥油性能が低下するからである。
また、ポリオール類(B)、化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)については、単独で用いてもよいし、併用してもよい。
すなわち、一部の末端イソシアネート基がブロック剤(A)によってブロックされ、残りの末端イソシアネート基がポリオール類(B)、化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物によって結合されているポリイソシアネート組成物と、全ての末端イソシアネート基がブロック剤(A)によってブロックされているポリイソシアネート組成物との混合物であることを特徴とする。
また、当該撥水撥油剤組成物に用いられる撥水撥油剤成分についてはフッ素エマルジョン樹脂を用いることが好ましいが、撥水撥油効果を有し、かつ水系において使用できるものであれば、水溶性フッ素樹脂やシリコン系樹脂など、他の撥水撥油剤成分を用いることもできる。
このような工程を経ることによって、塗布または含浸によって繊維に適用された撥水撥油剤組成物が加熱され、ブロック剤が解離して活性なイソシアネート基が再生される。そして、再生したイソシアネート基が撥水撥油剤成分の水酸基および繊維表面と化学的または物理的に架橋することにより、繊維に撥水撥油加工を施すことができるのである。
すなわち、イソシアネートプレポリマーの一部の末端イソシアネート基を親水性のポリオール類(B)、一般式(1)で表される化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物で結合し、残りの末端イソシアネート基をブロック剤でブロックしたポリイソシアネート組成物と、イソシアネートプレポリマーの全ての末端イソシアネート基をブロック剤でブロックしたポリイソシアネート組成物との混合物であることを特徴としているので、水溶性または水分散性を付与しつつ、他の水溶性樹脂または水分散性樹脂と良好な相溶性を有するポリイソシアネート架橋剤を得ることができる。
(イソシアネートプレポリマーの合成)
原料としてピュアMDI(P−MDI)50重量部と分子量600のポリエチレングリコール(PEG600)60重量部を、反応溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)55重量部を4つ口フラスコに仕込み、撹拌機、温度計、滴下ロート、マントルヒーターを取り付けた後、温度65〜70℃に保持して45分間撹拌を行って反応させることでイソシアネートプレポリマーを合成した。
次に、ポリエチレングリコール(PEG600)23.5重量部とメチルエチルケトンオキシム(MEKO)14重量部をメチルエチルケトン(MEK)11重量部に溶解させて滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記イソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を600重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで水溶性を示す実施例1のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は20重量%であった。
(イソシアネートプレポリマーの合成)
原料としてピュアMDI(P−MDI)50重量部とトリメチロールプロパン・EO−20(TMP−20)68重量部を、反応溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)50重量部を4つ口フラスコに仕込み、撹拌機、温度計、滴下ロート、マントルヒーターを取り付けた後、温度65〜70℃に保持して45分間撹拌を行って反応させることでイソシアネートプレポリマーを合成した。
次に、ポリエチレングリコール(PEG600)24重量部とメチルエチルケトンオキシム(MEKO)14重量部をメチルエチルケトン(MEK)90重量部に溶解させて滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記イソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から4時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を840重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで水溶性を示す実施例2のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は20重量%であった。
(イソシアネートプレポリマーの合成)
原料としてピュアMDI(P−MDI)50重量部とポリエチレングリコール(PEG600)20重量部とトリメチロールプロパン・EO−20(TMP−20)70重量部を、反応溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)70重量部を4つ口フラスコに仕込み、撹拌機、温度計、滴下ロート、マントルヒーターを取り付けた後、温度65〜70℃に保持して45分間撹拌を行って反応させることでイソシアネートプレポリマーを合成した。
次に、ポリエチレングリコール(PEG600)16重量部とメチルエチルケトンオキシム(MEKO)9.4重量部をメチルエチルケトン(MEK)30重量部に溶解させて滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記イソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を700重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで水溶性を示す実施例3のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は20重量%であった。
実施例1のイソシアネートプレポリマーを得た後、ポリエチレングリコール(PEG600)60重量部とメチルエチルケトンオキシム(MEKO)9重量部をメチルエチルケトン(MEK)11重量部に溶解させて滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記イソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を430重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで水溶性を示す実施例4のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は30重量%であった。
実施例1のイソシアネートプレポリマーを得た後、ポリエチレングリコール(PEG600)65重量部とメチルエチルケトンオキシム(MEKO)8重量部をメチルエチルケトン(MEK)11重量部に溶解させて滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記イソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を420重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで水溶性を示す実施例5のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は30重量%であった。
実施例1のイソシアネートプレポリマーを得た後、ポリエチレングリコール(PEG600)70重量部とメチルエチルケトンオキシム(MEKO)7重量部をメチルエチルケトン(MEK)10重量部に溶解させて滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記イソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を740重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで水溶性を示す実施例6のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は20重量%であった。
(イソシアネートプレポリマーの合成)
原料としてヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体100重量部と平均分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル7.3重量部およびジエチレングリコール10重量部を4つ口フラスコに仕込み、攪拌機、温度計、冷却管、マントルヒーターを取り付けた後、温度を90〜95℃に保持して2時間撹拌を行って反応させることで、イソシアネートプレポリマーを合成した。
次に、上記イソシアネートプレポリマーに、反応溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)56重量部仕込み、温度を40℃にした後、3,5−ジメチルピラゾール35重量部を3回に分けて添加した。その後、温度を65〜70℃に保持して1時間撹拌を行って反応させた。反応終了後、冷却を行い、水を480重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで実施例7のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを15重量部、水を520重量部にした以外は、実施例7と同様にして実施例8のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを18重量部、3,5−ジメチルピラゾール27を重量部、水を530重量部にした以外は、実施例7と同様にして実施例9のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル22重量部、3,5−ジメチルピラゾールを27重量部、水を540重量部にした以外は、実施例7と同様にして実施例10のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを25重量部、3,5−ジメチルピラゾールを27、水を550重量部にした以外は、実施例7と同様にして実施例11のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
ポリエチレングリコールモノメチルエーテルを30重量部、3,5−ジメチルピラゾールを26重量部、水を580重量部にした以外は、実施例7と同様にして実施例12のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
(イソシアネートプレポリマーの合成)
原料としてヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体100重量部とジエチレングリコール10重量部を4つ口フラスコに仕込み、撹拌機、温度計、冷却管、マントルヒーターを取り付けた後、温度を90〜95℃に保持して、2時間撹拌を行って反応させることで、イソシアネートプレポリマーを合成した。
次に、上記イソシアネートプレポリマーに、反応溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)55重量部仕込み、温度を40℃にした後、3,5−ジメチルピラゾール34重量部を3回に分けて添加した。その後、温度を65〜70℃に保持して1時間撹拌を行って反応させた。反応終了後、冷却を行い、25%のグリシンソーダ水溶液7.3重量部を加え、35〜40℃に保持して30分間撹拌した。その後、水を455重量部加えた後、メチルエチルケトンを減圧蒸留することで実施例13のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
グリシンソーダ水溶液の代わりに、40%の2−アミノエタンスルホン酸ナトリウム水溶液を7重量部使用し、水を460重量部にした以外は、実施例13と同様にして実施例14のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は25%であった。
ピュアMDI(P−MDI)100重量部と酢酸エチル400重量部を4つ口フラスコに仕込み、撹拌機、温度計、滴下ロート、マントルヒーターを取り付けた後、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)73重量部を滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、生じた沈殿を濾過した。生じた沈殿に対し、水を260重量部と界面活性剤(花王製:エマルゲンA−90)を10重量部加えて、水に強制的に乳化させたものを作製した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は40重量%であった。
実施例1のイソシアネートプレポリマーを得た後、メチルエチルケトンオキシム(MEKO)19重量部を滴下ロートに仕込み、温度を40℃にした上記実施例1のイソシアネートプレポリマーに15分間かけて滴下し、滴下終了から1時間撹拌を続けて反応させた。その後、冷却を行い、水を260重量部と界面活性剤(花王製:エマルゲンA−90)を10重量部加えて、水に強制的に乳化させたものを作製した。メチルエチルケトンを減圧蒸留することで比較例2のポリイソシアネート架橋剤を合成した。なお、合成したポリイソシアネート架橋剤の固形分は35重量%であった。
貯蔵安定性試験については、合成したポリイソシアネート架橋剤を50℃で7日間放置した後の試験液の状態によって評価した。なお、評価については外観に変化がない場合を○、わずかに濁りが生じた場合を△、沈殿物が析出した場合を×と評価することにより行った。
相溶性試験については、水に、合成したポリイソシアネート架橋剤を0.5重量%とフッ素エマルジョン樹脂(商品名:アサヒガードAG950)8重量%を溶解した試験液(加工浴用水溶液)を作製し、50℃で7日放置した後の試験液の状態によって評価した。
なお、評価については、外観に変化がない場合を◎、わずかに濁りが生じた場合を○、相分離が生じた場合を△、沈殿物が析出した場合を×と評価することにより行った。
撥水性能試験については、撥水撥油加工直後の試験体と洗濯を30回行った試験体について、JIS L 1092(はっ水度試験、スプレー試験)を行い、5級を◎、4級を○、3級を△、2級以下を×と評価することにより行った。
なお、試験体としては、まず、水に、合成したポリイソシアネート架橋剤を0.5重量%とフッ素エマルジョン樹脂(商品名:アサヒガードAG950)4重量%を溶解した試験液を作製した。次に、綿ブロード、ナイロンタフタ、PETトロピカル繊維の3種の試験布を用意した。加工布の作成は連続法で行い、試験液に浸漬した後、マングルで3気圧の圧力をかけて余分な試験液を絞り、ピンテンターを用いて120℃で3分間乾燥し、さらにピンテンターを用いて170℃で1分間乾燥させることによって作製した。
撥油性能試験については、撥水撥油加工直後の試験体と洗濯を30回行った試験体について、AATCC Test Method 118−1966(Hydrocarbon Resistance Test)に基づく試験を行い、6級以上を◎、5級を○、4級を△、3級以下を×と評価することにより行った。
なお、試験体としては、撥水性能試験の際に作製した試験体と同様の方法によって作製したものを使用した。
バインダー性能評価試験については、水溶性アクリルエマルション(商品名:リカボンドSA−204)と合成したポリイソシアネート架橋剤を固形分比で20:1になるように混合し、試験液を作成した。
試験片の作成は、定量濾紙(ADVANTEC社製、商品名:5C、φ=125mm)を試験液に浸漬した後、マングルで1気圧の圧力をかけて余分な試験液を絞り、オーブンを用いて50℃で3時間乾燥し、さらにオーブンを用いて120℃で30分間加熱処理した。その後、恒温恒湿室(20℃、40%RH)の部屋に24時間静置することで作成した。
バインダー性能の評価は、オートグラフで濾紙の引っ張り試験を行い(引張速度:200mm/min)、破断時応力が40MPa以上のものを○、30MPa以上40MPa未満のものを△、30MPa未満のものを×として評価した。
次に、実施例7〜12のポリイソシアネート架橋剤については、使用において問題のない貯蔵安定性、相溶性、撥水性能、撥油性能、バインダー性能を示した。なお、これらの実施例の中でも、ポリイソシアネート化合物に対する化合物(C)の配合比(重量比)が、ポリイソシアネート化合物100重量部に対して、15重量部(実施例8)〜22重量部(実施例10)である場合には、全ての評価項目において特に安定した結果を示した。
特に、フッ素エマルジョン樹脂などの撥水撥油剤成分と併用することによって、繊維の撥水撥油剤組成物に用いることができる。
また、タイヤコード用架橋剤、FRTP用架橋剤、ゴムマット用架橋剤などの各種の水系において使用される架橋剤に用いることができる。
Claims (6)
- ポリイソシアネート化合物と、
ポリオール類とを、
前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基が前記ポリオール類の水酸基に対して過剰になるように反応させて、
全ての末端にイソシアネート基を有するイソシアネートプレポリマーを得た後、
前記イソシアネートプレポリマーの末端イソシアネート基に、
ブロック剤(A)と、
ポリオール類(B)、一般式(1)で表される化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物とを、
前記(A)と、前記(B)、(C)、(D)、(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物とのモル比が、(A):((B)+(C)+(D)+(E))=80:20〜98:2となるように反応させることによって得られる、
一部の末端イソシアネート基がブロック剤(A)によってブロックされ、残りの末端イソシアネート基がポリオール類(B)、一般式(1)で表される化合物(C)、モノアミノカルボン酸類(D)、モノアミノスルホン酸類(E)の中から選ばれる1種または2種以上の化合物によって結合されているポリイソシアネート組成物と、
全ての末端イソシアネート基がブロック剤(A)によってブロックされているポリイソシアネート組成物との混合物を含むものであることを特徴とする水溶性または水分散性ポリイソシアネート架橋剤。
(化1)
R1−(CH2CH2O)n−(CH2CHCH3O)m−H
(ここで、R1は炭素数1〜5のアルキル基であり、nは0〜25の整数であり、mは0〜25の整数であり、n+mは10〜50の整数である) - 前記ポリオール類および前記ポリオール類(B)が、
ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオールの中から選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の水溶性または水分散性ポリイソシアネート架橋剤。 - 前記化合物(C)が、
ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテルの中から選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水溶性または水分散性ポリイソシアネート架橋剤。 - 前記ブロック剤(A)が、
メチルエチルケトンオキシム、1H−ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾールの中から選ばれる1種または2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水溶性または水分散性ポリイソシアネート架橋剤。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性または水分散性ポリイソシアネート架橋剤とフッ素エマルジョン樹脂とを含有することを特徴とする撥水撥油剤組成物。
- 請求項5に記載の撥水撥油剤組成物を水に溶解希釈し水溶液を作製する工程と、
前記水溶液を繊維に塗布又は含浸する工程と、
前記水溶液が塗布又は含浸した繊維を乾燥または加熱処理する工程とを備えることを特徴とする繊維の撥水撥油加工方法。
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