JP5241856B2 - 高張力鋼線を有する水産養殖ネット - Google Patents

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Description

本発明は、鋼線を有する水産養殖ネットに関する。
水産養殖ネット又は養魚ネットが、魚等の水生生物を飼育するために使用されている。水産養殖ネットは、水生生物を管理及び閉じ込められた状態に保ち、水生生物をサメ及びオオカミウオ等といった捕食者からネットの内側にて保護するように構成されている。
このような水産養殖ネットの寸法は、非常に大きくなっている。典型的な寸法の例としては、30m×30m×15mであり、この最後の寸法は水中のネットの深さであり、この最初の2つの寸法は水面におけるネットの幅及び長さとなっている。ネットを、ポリマー又は亜鉛めっき鋼線で形成することができる。あくまでも例として、亜鉛めっき鋼線で作製された上述の寸法のネットは、4メートルトン(metric Tonnes)を超える重量を有している。
水産養殖ネットは、通常は、金網フェンスの形式となっている。これは、ダイアモンド状のパターンに編まれた鋼線からなるフェンスとなっている。網目が、魚の寸法よりも小さい寸法を有している。各々の鋼線が、最高点及び最低点を有する波状パターンを呈するように曲げられることによって前もって形成される。鋼線の最高点が隣の鋼線の最低点に組み合わせられ、ダイアモンドの連なりからなるパターンが形成されることとなる。
金網フェンス形式の水産養殖ネットは、水生生物の管理及び捕食者に対する保護を首尾よく達成することが実証されている。亜鉛めっき鋼線を有する水産養殖ネットは、生物付着に対して(すなわち、網目構造上に成長しうる付着物質に対して)、満足できる耐性を提供する。本発明の文脈において、用語「付着物質」は、網目構造の線材料へと付着して成長する可能性があるフジツボ、藻類、又は軟体動物等といった付着生物を指す。この付着のメカニズムは、網目の開口の全体がふさがれて、網目構造の内側の体積への新鮮な水又は栄養素の導入が妨げられる可能性があるほどに頑固なものとなっている。
しかしながら、金網フェンスの形式の水産養殖ネットが、いくつかの欠点を抱えることも、実験によって示されている。鋼線のうちの1つ以上が短い寿命で破損してしまった水産養殖ネットが、発見されている。
本発明の目的は、従来技術の欠点を回避することにある。
さらに、本発明の目的は、寿命の長い水産養殖ネットを提供することにある。
破損した水産養殖ネットを調査したところ、特に水産養殖ネットの上部の鋼線が破損していることが明らかになった。実際、海洋又は海岸は、耐食性に関して巨大な課題を形成する。この高度に腐食性な環境に加えて、波動及び潮流によって、水産養殖ネットが連続的な繰り返しの運動にさらされることとなる。金網フェンス形式の水産養殖ネットにおいては、各々の鋼線が、ネットの下方の残りの部分の重量を支持しなければならない。上方の素線が、直下の素線と点接触している。これらの点接触は、上方の素線及び直下の素線の両方に曲げ及びねじりの両方の変形が加わる地点に位置している。この厳しい環境において連続的に繰り返し加わる運動が、点接触の位置に腐食を生じさせることとなる。
0.15重量%以下という典型的な炭素含有量を有する普通低炭素鋼で作製された金網フェンスは、重量が大きく、強度が低い。
本発明の一態様は、広くは金網フェンス、特に水産養殖ネットの重量を小さくし、ネットの引張強度及び/又は破壊荷重を高めることにある。
本発明による水産養殖ネットは、より高い引張強度を有する鋼線を、少なくともその上部に有している。このより高い引張強度を、より高い炭素含有量の鋼線を使用することによって、鋼線により強い引き伸ばしを加えることによって、又は両者によって、得ることができる。1つ以上の鋼線の引張強度がより高いことで、より破壊荷重の大きい鋼線及び/又はより重量の軽い鋼線をもたらすことができる。得られる水産養殖ネットを、破壊荷重の大きい鋼線を使用することによってより強くすることができ、又はより小径の鋼線を使用することによってより軽くすることができる。
本発明による水産養殖ネットの例を、通常の炭素の組成を有する従来からのネットと比べると、引張強度及び重量は、以下のとおりである。従来からのネットは、0.05重量%の炭素を有し、約600MPaの引張強度を有し、ネットの重量は、使用されるケージの形式によって変化する。直径が30メートルであって深さが20メートルである典型的なケージシステムでは、この「公称」重量は、5トンの範囲にある。本発明によるネットは、典型的には0.6重量%〜0.9重量%の範囲の炭素含有量を含み、1600MPa〜2500MPaの間の範囲の引張強度を有し、結果として、同じケージシステムについて少なくとも50%の総重量の削減が可能となっている。
本発明の第1の態様によれば、1500MPaよりも大きく、好ましくは1900MPaよりも大きく、より好ましくは2500MPaよりも大きく、例えば3000MPaよりも大きい引張強度を有する1つ以上の鋼線を少なくとも上部に備える水産養殖ネットが提供される。
本発明の利点は、ネットの鋼線が、従来からのネットの素線と同じ破壊荷重において、より小さな直径を有することができる点にある。したがって、水産養殖ネットの重量が軽くなるとともに、鋼線を容易に取り扱ってネットへと織り上げることができる。さらに、より小径の素線を有するネットは、疲労に対する耐性が高い。
あるいは、個々の線径を小さくせず、水産養殖ネットの重量を同じままに保つことができる。しかしながら、より高い引張強度ゆえ、破壊荷重が高くなり、鋼線の割れの数が少なくなるため、寿命の延長につながる。
特定の実施形態においては、水産養殖ネットが金網フェンスとして構成されている。
本発明の第2の態様によれば、0.40重量パーセントよりも大きい炭素含有量(例えば、0.50重量パーセント、0.80重量パーセント、0.92重量パーセント)を有する1つ以上の鋼線を少なくとも上部に備える水産養殖ネットが提供される。
特定の実施形態においては、該鋼線が、0.45重量パーセント〜0.57重量パーセントの範囲の炭素含有量を有する。この特定の炭素含有量の範囲は、依然として金網フェンスの作製を可能にする。
好ましい実施形態においては、鋼線が、3.0mm未満の線径を有する。
本発明による水産養殖ネットは、好ましくは、正方形又は矩形の箱の形状を有するが、円錐、球、又は任意の他の形状として形作ることも可能である。一実施形態においては、この水産養殖ネットが、1m×1m×1m(長さ×幅×深さ)よりも大きい寸法を有している。
より高い引張強度は、常温引き伸ばしのプロセスによって達成可能である。したがって、好ましい実施形態において、本発明による水産養殖ネットは、常温引き伸ばしの飽和段階(最終段階、最終的な状態、final stage)にある鋼線を備えている。これらの鋼線は、好ましくは、亜鉛、亜鉛アルミニウム合金、亜鉛アルミニウムマグネシウム合金、及び銅合金で構成されるグループから選択される金属コーティングを有している。
本発明による高炭素含有量の金網フェンスを、例えば坑道における取り扱い及び設置を容易にするために金網の重量を減らし、さらには網目の強度及び破壊荷重を増すという目的で、鉱業において使用することも可能である。
設置された状態にある水産養殖ネット(水上の支持体)の上面図を示している。 設置された状態にある水産養殖ネット(水上の支持体)の上面図を示している。 設置された状態にある、本発明に係る水産養殖ネットの側面図を示している。 本発明に係る金網フェンス水産養殖ネットの側面図を示している。 本発明に係る素線の断面を示している。
ネットを、例えば普通炭素鋼線等の鋼線からなる金網フェンスで作製することができ、鋼線には、耐食コーティング及び/又は付着防止コーティングが設けられる。
図1が、本発明によって記載される水産養殖ネットのための浮き(ラフト、raft)10について、正方形の実施形態を示している。浮きは、HDPE浮き装置によって支持された亜鉛めっき棒鋼22を備える。プラットホーム14が、そこに接続されている。人々は、プラットホーム14上を歩き回ることができる。ネットを、ロープ又はワイヤによって棒鋼22へと直接接続することができる。
図2は、本発明によって記載される水産養殖ネット用の浮き20について、円形の実施形態を示している。円形の浮き20が、ブラケットによって一体に接続されたいくつかのHDPEチューブから作製されている。ネットを、ロープ又はワイヤによって浮きへと直接接続することができる。水産養殖ネットの底部は、依然として矩形又は正方形の形状を有することができ、上側が円に近い形態となっている。
図3は、本発明による設置後の水産養殖ネット30の実施形態の側面図を示している。水上の支持部10は、図1に示したとおりの正方形の形式である。水産養殖ネット30が、種々のロープ又はワイヤによって浮き10へと直接接続されている。
図4は、本発明による金網フェンス水産養殖ネットの上部の側面図を示している。水産養殖ネットが、金網フェンスの素線(42,44,46)を支えるためのロープ及びワイヤ(図示せず)によって水上の浮きへと接続されている。上述のように、破損した水産養殖ネットを調べたところ、特に水産養殖ネットの上部の鋼線(42,44,46,・・・)が破損していることが明らかになった。
したがって、第1の代案の実施形態においては、金網フェンスの一番上の素線42が、最大の重量を支持することができ、かつ水上の浮きへの取り付けを強化することができるよう、残りの素線よりも高い引張強度Rを有する。さらに本発明によれば、素線44及び下方の素線が、より低い引張強度を有することができる。
他の代案も考えられる。水産養殖ネットを、いくつかの水平部分へと分割することができる。上方の部分は、最大の引張強度を有する鋼線を含むことができ、中央の部分は、最大の引張強度よりも低い中間的な引張強度を有する鋼線を含むことができ、下方の部分は、最低の引張強度を有する鋼線を含むことができる。また、水産養殖ネットは、引張強度がネットにおける位置につれて低くなる(位置が下方であるほど、引張強度が低くなる)鋼線を備えてもよい。
金網フェンスの場合に、水産養殖ネットの種々の水平部分を、らせんワイヤ、ロープ、又は結束ワイヤによって、互いに接続することができる。しかしながら、別の実施形態においては、種々の水平部分が必ずしも別々の部品ではなく、連続的な金網フェンスを形成する。
図5は、本発明による水産養殖ネットにおいて使用される鋼線42の断面を示している。鋼線42は、鋼製の芯50と、亜鉛合金又は銅合金等の耐食付着防止コーティング層52からなる外側層とを有している。コーティングとしては、銅ニッケル合金が、好ましい銅合金となっている。銅が、付着防止機能を引き受けるように構成され、ニッケルが、耐食機能を引き受けるように構成されている。

Claims (9)

  1. 鋼線を備える水産養殖ネットであって、
    前記ネットの少なくとも上部が、1500MPaよりも大きい引張強度を有する鋼線を備え
    前記鋼線の引張強度が前記ネットの上部から下部に向かうに連れて低くなっていることを特徴とする、水産養殖ネット。
  2. 金網フェンスとして構成されている請求項1に記載の水産養殖ネット。
  3. 前記鋼線が0.40重量パーセントよりも大きい炭素含有量を有している、請求項1又は2に記載の水産養殖ネット。
  4. 前記鋼線が0.45重量パーセント〜0.57重量パーセントの範囲の炭素含有量を有している、請求項3に記載の水産養殖ネット。
  5. 前記鋼線が3.0mm未満の線径を有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水産養殖ネット。
  6. 1m×1m×1m(長さ×幅×深さ)よりも大きい寸法を有している請求項1〜5のいずれか一項に記載の水産養殖ネット。
  7. 前記鋼線が常温引き伸ばしの飽和段階にある、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水産養殖ネット。
  8. 前記鋼線が、亜鉛、亜鉛アルミニウム合金、亜鉛アルミニウムマグネシウム合金、及び銅合金で構成されるグループから選択される金属コーティングを有している、請求項7に記載の水産養殖ネット。
  9. 前記鋼線が、1900MPaよりも大きく、好ましくは2500MPaよりも大きい引張強度を有している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の水産養殖ネット。
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