JP5240181B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置に関するもので、特に少なくとも2つの第1、第2制御弁を使用して制御室内の燃料圧力を制御することで、ニードルの開弁応答性およびニードルの閉弁応答性を改善した燃料噴射装置(インジェクタ)に係わる。
[従来の技術]
従来より、図10および図11に示したように、内燃機関(エンジン)の燃焼室に燃料を噴射する噴孔101を開閉するニードル102と、内部の燃料圧力がニードル102に噴孔開弁方向の油圧力(開弁力:F1)を加えるノズル室103と、内部の燃料圧力がニードル102に噴孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F2)を加える制御室104と、ニードル102に噴孔閉弁方向の付勢力(閉弁力:F3)を与えるスプリング105と、オリフィスプレート106のシート面に対して着座、離脱して燃料排出経路を閉鎖、開放する電磁制御弁とを備えた燃料噴射装置(従来技術1のインジェクタ)が公知である(例えば、特許文献1参照)。
そして、従来技術1のインジェクタは、サプライポンプPからコモンレールRを経てノズル室103に高圧燃料を供給する燃料供給流路111〜113と、燃料供給流路111から制御室104に高圧燃料を流入させる燃料導入流路114、115と、制御室104から燃料タンクへ燃料を排出させる燃料排出流路116、117とを備えている。また、燃料導入流路115には、燃料供給流路111と制御室104とを連通する入口絞り(入口オリフィス118)が設けられている。
なお、電磁制御弁は、制御室104から燃料を排出(流出)させる流出ポート120を開閉するバルブ121、およびこのバルブ121を駆動する電磁アクチュエータを有している。この電磁アクチュエータは、バルブ121を弁孔開弁方向に駆動するアーマチャ122、このアーマチャ122を引き寄せる電磁力を発生する電磁石(ソレノイド)、およびバルブ121を弁孔閉弁方向に付勢するスプリング123等により構成されている。また、ソレノイドは、EDUを内蔵したECU124により通電されるコイル125、およびアーマチャ122の磁極面との間に所定のギャップを隔てて対向する磁極面を有するステータ126等により構成されている。
この従来技術1のインジェクタは、ニードル102の受圧面積が軸方向の上下で同じであるため、圧力バランス型インジェクタと呼ばれている。そして、従来技術1のインジェクタは、ニードル102の受圧面積が軸方向の上下で同じであるため、インジェクタ内部の高圧燃料漏れが少ないという特徴を持っている。
しかし、応答性、特に燃料噴射終了時におけるニードル102の閉弁応答性が遅いという不具合を有している。それは、電磁制御弁のバルブ121が閉弁して制御室104に高圧燃料が流入することで、制御室104内の燃料圧力(制御室圧)が上昇していくが、ニードル102の受圧面積が上下で同じであるため、スプリング105の設定荷重に相当する圧力差に制御室104内の燃料圧力が上昇するまで、ニードル102が閉弁を開始しないことによる。
この不具合を解消するためには、入口オリフィス118の流路断面積を大きくとれば良い。しかし、入口オリフィス118の流路断面積を過剰に大きくすると、例えば燃料の噴射開始時に電磁制御弁のバルブ121がオリフィスプレート106のシート面より離脱することにより開放される燃料排出流路116、117の流路断面積よりも入口オリフィス118の流路断面積の方が大きくなる。すると、制御室104内の燃料圧力が低下不十分となり、ニードル102が開弁できないという課題があった。
この課題を解消するために、図12および図13に示したような中間弁108を備えた燃料噴射装置(従来技術2のインジェクタ)が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
この従来技術2のインジェクタでは、制御室104と燃料排出流路116とを連通する出口絞り(出口オリフィス119)が形成された中間弁108をオリフィスプレート106のシート面にスプリング129の付勢力で押し当てるようにして燃料導入流路115を開閉制御するように構成されている。また、入口オリフィス118を制御室104に向けて開口せず、燃料導入流路114を燃料排出流路116に制御室104を迂回して連通するように形成している。
この従来技術2のインジェクタの構造によれば、電磁制御弁のバルブ121が閉弁して燃料噴射を終了する時、燃料導入流路114内の高圧燃料が入口オリフィス118から燃料排出流路側に抜けなくなり、中間弁108の図示上端面に付加される。このため、中間弁108が押し下げられて、入口オリフィス118のない燃料導入流路115から高圧燃料が制御室104の内部に流入する。これにより、制御室104内の燃料圧力が短時間で昇圧し、ニードル102の閉弁が早くなる。したがって、従来技術1のインジェクタの課題である閉弁応答性を高めることができる。
[従来の技術の不具合]
ところが、従来技術2のインジェクタの場合、電磁制御弁のバルブ121の開弁時においては、制御室104内の燃料が出口オリフィス119から流出して制御室104内の燃料圧力が低下すると同時に、入口オリフィス118からも燃料排出流路116を流れる燃料の流速による吸い出し、所謂霧吹き効果(またはエジェクタ効果)で多くの高圧燃料が低圧側へ排出されてしまう。
また、ニードル102の開弁による噴射水撃(圧力変動)が、燃料供給流路111〜113および燃料導入流路114、115から中間弁108に付加されて中間弁108を開弁させる。この中間弁108の開弁により、燃料噴射の途中に制御室104の内部に高圧燃料が流入して、ニードル102を閉弁させ、燃料噴射を中断させてしまう可能性がある。
さらに、中間弁108が平板形状であり、オリフィスプレート106のシート面への密着(着座)が平面内で行われるため、ニードル102の開弁時における燃料導入流路115から制御室104内への高圧燃料の漏れが発生し易く、安定した燃料噴射を損なう可能性がある。
特開平09−032681号公報 特開昭62−282164号公報 国際公開第2008/046238号パンフレット
本発明の目的は、ニードルの閉弁応答性およびニードルの開弁応答性を向上することのできる燃料噴射装置を提供することにある。また、燃料の噴射期間中にニードルが閉弁するような異常噴射動作を防止することのできる燃料噴射装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明によれば、制御室から燃料を排出させる燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、燃料供給経路から制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備えている。そして、第2制御弁は、スプール、背圧室、圧力室、中間室およびスプール付勢手段を有している。なお、スプール付勢手段は、スプールに弁孔開弁方向の力を与えるスプリング等により構成される。
燃料排出経路は、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りを有している。また、燃料導入経路は、2つの第1、第2燃料導入経路を有し、第2燃料導入経路は、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞り、および燃料供給経路と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りを有している。
そして、第1入口絞りの流路断面積を、出口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。また、第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。
第1制御弁を開弁すると、出口絞りを含む燃料排出経路が連通するため、制御室から燃料排出経路へ燃料が排出される。ここで、出口絞りの流路断面積が第1、第2入口絞りの流路断面積よりも大きいため、制御室内の燃料圧力が低下していく。
このとき、出口絞りを通過する燃料流は、流速が高速になっており、且つ圧力が低下している。このため、霧吹き効果(またはエジェクタ効果)で、出口絞りに向けて開口している第1入口絞りから背圧室内の燃料が吸い出されて燃料排出経路へ排出される。そして、第1入口絞りの流路断面積よりも第2入口絞りの流路断面積の方が小さいため、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力は急激に低下する。
これにより、圧力室内の燃料圧力と背圧室内の燃料圧力との間に圧力差が生じて、スプール付勢手段の付勢力より大きな閉弁力(弁孔閉弁方向の力)が第2制御弁のスプールに作用するので、第2制御弁のスプールが閉弁する。つまり弁孔が閉じて第1燃料導入経路が閉鎖される。すなわち、ニードルを開弁して燃料噴射を開始するという目的で、第1制御弁を開弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(低下)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(低下)することで、ニードルの開弁よりも先に第2制御弁が閉弁する。
そして、第2制御弁の閉弁に伴って第1燃料導入経路が閉鎖するので、制御室に対する実質の高圧燃料の流入が遮断される。したがって、制御室内の燃料圧力が短時間で低下する。つまり制御室内の燃料圧力が急速に低下する。そして、ノズル室内の燃料圧力と制御室内の燃料圧力との圧力差が増加することにより、ニードルに作用する開弁力(噴孔開弁方向の力)が増加して、ニードル付勢手段の噴孔閉弁方向の力(閉弁力)よりも大きくなると、ニードルが開弁する。これにより、ノズル室内の高圧燃料が噴孔から内燃機関の燃焼室に噴射される。つまり内燃機関の燃焼室への燃料噴射が開始される。
したがって、第1制御弁を開弁してからニードルが開弁するまでの期間である開弁応答時間を従来の技術1及び2と比べて短縮できる。これにより、ニードルの開弁応答性を向上できる。
また、第1制御弁が開弁し、第2制御弁が閉弁し、ニードルが開弁している期間(内燃機関の燃焼室への燃料噴射期間中)に、ニードルの開弁に伴って水撃圧力波が発生し、燃料供給経路内の燃料圧力および燃料導入経路内の燃料圧力を大きく変化(圧力変動を発生)させる懸念がある。
しかし、請求項1に記載の発明によれば、燃料噴射期間中には、第2制御弁のスプールが閉弁している。つまり第1燃料導入経路を閉鎖しているため、2つの第1、第2入口絞り(特に流路断面積が最小の第2入口絞り)を有する第2燃料導入経路からしか制御室内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードルの開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室内の燃料圧力は低圧を維持できる。したがって、内燃機関の燃焼室への燃料噴射期間中にニードルが閉弁する、つまり燃料噴射が中断する等の異常噴射動作を防止できる。
次に、第1制御弁を閉弁すると、出口絞りを含む燃料排出経路が遮断するため、制御室から燃料排出経路への燃料の流出が停止する。これにより、第2入口絞りから背圧室に流入する高圧燃料が背圧室内の燃料圧力を回復させ、スプール付勢手段の付勢力(弁孔開弁方向の力)が、圧力室内の燃料圧力と背圧室内の燃料圧力との圧力差による閉弁力(弁孔閉弁方向の力)に勝ると、第2制御弁のスプールが開弁する。つまり弁孔が開いて第1燃料導入経路が開放される。すなわち、ニードルを閉弁して燃料噴射を終了するという目的で、第1制御弁を閉弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(上昇)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(上昇)することで、ニードルの閉弁よりも先に第2制御弁が開弁する。
そして、第2制御弁の開弁に伴って第1燃料導入経路が開放されるので、圧力室から弁孔、中間室を経て制御室に高圧燃料が流入する。ここで、第1、第2入口絞りを有しない第1燃料導入経路から制御室に高圧燃料が流入するため、制御室内の燃料圧力が短時間で上昇する。つまり制御室内の燃料圧力が急速に上昇する。そして、ノズル室内の燃料圧力と制御室内の燃料圧力との圧力差が減少することにより、ニードルに作用する開弁力(噴孔開弁方向の力)がニードル付勢手段の噴孔閉弁方向の力(閉弁力)以下になると、ニードルが閉弁する。これにより、噴孔から内燃機関の燃焼室への燃料噴射が終了する。
したがって、第1制御弁を閉弁してからニードルが閉弁するまでの期間である閉弁応答時間を従来の技術1及び2と比べて短縮できる。これにより、ニードルの閉弁応答性を向上できる。
請求項2に記載の発明によれば、第2燃料導入経路は、燃料供給経路から背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。また、第2入口絞りは、背圧室に臨むように開口し、燃料導入流路に設置されている。ここで、第1入口絞りの流路断面積よりも第2入口絞りの流路断面積の方が小さいため、第1制御弁の開弁時に、第2制御弁の背圧室から第1入口絞りを経て出口絞りを有する燃料排出経路に流出する燃料の流速よりも、燃料供給経路から第2入口絞りを経て背圧室に流入する高圧燃料の流速の方が遅くなる。このため、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力は急激に低下する。これにより、第2制御弁のスプールが閉弁する。
請求項3に記載の発明によれば、第2燃料導入経路は、燃料供給経路から圧力室を経て背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。また、第2入口絞りは、背圧室に臨むように開口し、燃料導入流路に設置されている。ここで、第1入口絞りの流路断面積よりも第2入口絞りの流路断面積の方が小さいため、第1制御弁の開弁時に、第2制御弁の背圧室から第1入口絞りを経て出口絞りを有する燃料排出経路に流出する燃料の流速よりも、燃料供給経路から圧力室、第2入口絞りを経て背圧室に流入する高圧燃料の流速の方が遅くなる。このため、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力は急激に低下する。これにより、第2制御弁のスプールが閉弁する。
請求項4に記載の発明によれば、第2制御弁は、スプールを(その軸線方向に)往復移動可能に収容するスプール孔が形成されたバルブボディを有している。また、スプールは、スプールの移動方向(軸線方向)に貫通する貫通孔を有している。また、貫通孔は、燃料導入流路として使用される。
これにより、スプールの製造時にスプール内部に、第2入口絞りを有する燃料導入流路を形成できるので、内部にスプールの軸線方向に延びるスプール孔が形成されたバルブボディの製造が容易となる。したがって、燃料噴射装置の製造コストを削減できる。
請求項5に記載の発明によれば、第2燃料導入経路は、燃料供給経路から背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路、および背圧室と出口絞りとを連通する連通路を有している。また、第1入口絞りは、連通路(の出口絞り側端部)に設置されている。また、第2入口絞りは、燃料導入流路(の中間部)に設置されている。ここで、第1入口絞りの流路断面積よりも第2入口絞りの流路断面積の方が小さいため、第1制御弁の開弁時に、第2制御弁の背圧室から第1入口絞りを経て出口絞りを有する燃料排出経路に流出する燃料の流速よりも、燃料供給経路から第2入口絞りを経て背圧室に流入する高圧燃料の流速の方が遅くなる。このため、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力は急激に低下する。これにより、第2制御弁のスプールが閉弁する。
請求項6に記載の発明によれば、燃料排出経路は、制御室から燃料を排出する燃料排出流路を有している。また、出口絞りは、燃料排出流路に設置されている。ここで、出口絞りの流路断面積は、2つの第1、第2入口絞りの流路断面積よりも大きく設定されている。
請求項7に記載の発明によれば、燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、燃料導入経路(第1燃料導入経路の弁孔)を開閉制御する第2制御弁と、第1燃料導入経路の燃料導入流路を開閉制御する第3制御弁とを備えている。そして、第2制御弁は、スプール、背圧室、圧力室、中間室およびスプール付勢手段を有している。また、第3制御弁は、プレート、第1圧力室(制御室)、第2圧力室(燃料導入流路)およびプレート付勢手段を有している。なお、プレート付勢手段は、プレートに開口閉弁方向の力を与えるスプリング等により構成される。
第1制御弁を開弁すると、請求項1に記載の発明と同様に、第2制御弁が閉弁する。このとき、第3制御弁のプレートが燃料導入流路を閉じているため、出口絞りおよびオリフィスを介していても制御室内の燃料圧力は早く低下する。これにより、第1制御弁を開弁してからニードルが開弁するまでの期間である開弁応答時間を従来の技術1及び2と比べて短縮できる。したがって、ニードルの開弁応答性を向上できる。
また、第1制御弁を閉弁すると、請求項1に記載の発明と同様に、第2制御弁が開弁する。このとき、弁孔を介して圧力室と燃料導入流路とが連通し、圧力室から弁孔、中間室、燃料導入流路を経て制御室に導入される高圧燃料が第3制御弁のプレートを開弁する。これにより、第1、第2入口絞りを有しない第1燃料導入経路を通って高圧燃料が制御室に導入されるため、制御室内の燃料圧力が早く上昇する。よって、ニードルの閉弁も早くできる。
これにより、第1制御弁を閉弁してからニードルが閉弁するまでの期間である閉弁応答時間を従来の技術1及び2と比べて短縮できる。したがって、ニードルの閉弁応答性を向上できる。
また、第3制御弁のプレートは、燃料の噴射開始時の第2制御弁が閉弁するまで第1燃料導入経路(燃料導入流路)から制御室への高圧燃料の流入を防止できるので、圧力室内の高圧燃料が噴孔から内燃機関の燃焼室に噴射されることなく、燃料排出経路へ流出する流出量を減少できる利点がある。
請求項8に記載の発明によれば、制御室から燃料を排出させる燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、燃料供給経路から制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備えている。そして、第2制御弁は、スプール、背圧室、圧力室、中間室およびスプール付勢手段を有している。なお、スプール付勢手段は、スプールに弁孔開弁方向の力を与えるスプリング等により構成される。
燃料排出経路は、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞り、および第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りを有している。また、燃料導入経路は、2つの第1、第2燃料導入経路を有し、第2燃料導入経路は、燃料供給経路と第2制御弁の中間室とを連通する第2入口絞りを有している。
そして、第1入口絞りの流路断面積を、出口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。また、第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。
そして、第2燃料導入経路に、燃料供給経路と中間室とを連通する第2入口絞りを設けることにより、第1制御弁を閉弁した際に、第2制御弁の背圧室内の燃料圧力の低下を一層早くできる。この結果、請求項1に記載の発明よりも背圧室内の燃料圧力が早く低下するため、第2制御弁の閉弁を請求項1に記載の発明よりも早くできる。したがって、燃料噴射の開始を請求項1に記載の発明よりも早めることができる。
請求項9に記載の発明によれば、燃料排出経路は、制御室から燃料を排出する燃料排出流路を有している。また、出口絞りは、燃料排出流路に設置されている。ここで、出口絞りの流路断面積は、2つの第1、第2入口絞りの流路断面積よりも大きく設定されている。
請求項10に記載の発明によれば、第1燃料導入経路および第2燃料導入経路は、中間室から制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。
請求項11に記載の発明によれば、第1燃料導入経路は、中間室から制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。また、出口絞りの流路断面積は、燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されている。
請求項12に記載の発明によれば、背圧室の容積は、制御室の容積よりも小さく形成されている。これにより、ニードルを開弁して燃料噴射を開始するという目的で、第1制御弁を開弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(低下)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(低下)することで、ニードルの開弁よりも先に第2制御弁が閉弁する。また、ニードルを閉弁して燃料噴射を終了するという目的で、第1制御弁を閉弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(上昇)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(上昇)することで、ニードルの閉弁よりも先に第2制御弁が開弁する。
請求項13に記載の発明によれば、制御室から燃料を排出させる燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、燃料供給経路から制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備えている。そして、第2制御弁は、プレート、背圧室、圧力室およびプレート付勢手段を有している。なお、プレート付勢手段は、プレートに弁孔開弁方向の力を与えるスプリング等により構成される。
燃料排出経路は、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りを有している。また、燃料導入経路は、2つの第1、第2燃料導入経路を有し、第2燃料導入経路は、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞り、および第2制御弁の圧力室と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りを有している。
そして、第1入口絞りの流路断面積を、出口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。また、第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定している。
ここで、請求項1及び8に記載の発明と異なるのは、燃料導入経路が、圧力室から弁孔を経て制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および圧力室から背圧室、燃料排出経路を経て制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有する点と、入口絞りが、背圧室と出口絞りとを連通する第1入口絞り、および圧力室と背圧室とを連通する第2入口絞りを有する点とである。
この場合、請求項1及び8に記載の発明と同様な開弁応答性および閉弁応答性を備えると共に、第2制御弁の構造および燃料導入経路の製造(形成)が容易になるので、製造コストを削減できる効果を備える。
請求項14に記載の発明によれば、プレートは、その板厚方向に貫通する貫通孔を有している。また、貫通孔は、第2入口絞りとして使用される。
これにより、プレートの製造時に、同時に第2入口絞りをプレートに形成できるので、第2入口絞りの製造(形成)が容易となる。したがって、燃料噴射装置の製造コストを削減できる。
請求項15に記載の発明によれば、第1燃料導入経路は、圧力室から弁孔を経て制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。これにより、第2制御弁の開弁時には、第1、第2入口絞りを有しない燃料導入流路を通って高圧燃料が制御室に導入されるため、制御室内の燃料圧力が早く上昇する。よって、ニードルの閉弁も早くできる。
請求項16に記載の発明によれば、燃料導入流路は、圧力室の壁面、あるいはプレートが着座可能なシート面で開口している。
請求項17に記載の発明によれば、第1燃料導入経路は、圧力室から弁孔、背圧室を経て制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有している。これにより、第2制御弁の開弁時には、第1、第2入口絞りを有しない燃料導入流路を通って高圧燃料が制御室に導入されるため、制御室内の燃料圧力が早く上昇する。よって、ニードルの閉弁も早くできる。
請求項18に記載の発明によれば、燃料導入流路は、背圧室の壁面で開口している。
請求項19に記載の発明によれば、出口絞りの流路断面積は、燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されている。
請求項20に記載の発明によれば、背圧室の容積は、制御室の容積よりも小さく形成されている。これにより、ニードルを開弁して燃料噴射を開始するという目的で、第1制御弁を開弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(低下)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(低下)することで、ニードルの開弁よりも先に第2制御弁が閉弁する。また、ニードルを閉弁して燃料噴射を終了するという目的で、第1制御弁を閉弁させた際に、制御室内の燃料圧力の制御(上昇)に先立ち背圧室内の燃料圧力を制御(上昇)することで、ニードルの閉弁よりも先に第2制御弁が開弁する。
コモンレール式燃料噴射装置を示した概略構成図である(実施例1)。 (a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図で、(b)はストッパに形成される十字溝を示した平面図である(実施例1)。 インジェクタの作動状態を示したタイミングチャートである(実施例1)。 (a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図で、(b)はストッパに形成される十字溝を示した平面図である(実施例2)。 インジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図である(実施例3)。 (a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図で、(b)はストッパに形成される十字溝を示した平面図である(実施例4)。 (a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図で、(b)はストッパに形成される十字溝を示した平面図である(実施例5)。 (a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図で、(b)はストッパに形成される十字溝を示した平面図である(実施例6)。 (a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した要部断面図で、(b)はストッパに形成される十字溝を示した平面図である(実施例7)。 従来技術1のインジェクタを示した模式図である(従来の技術)。 従来技術1のインジェクタの作動状態を示したタイミングチャートである(従来の技術)。 従来技術2のインジェクタを示した模式図である(従来の技術)。 従来技術2のインジェクタの作動状態を示したタイミングチャートである(従来の技術)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、ニードルの閉弁応答性およびニードルの開弁応答性を向上するという目的、また、燃料の噴射期間中にニードルが閉弁するような異常噴射動作を防止するという目的を、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りの流路断面積を、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りの流路断面積よりも小さく設定し、燃料供給経路と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定することで実現した。
また、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りの流路断面積を、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りの流路断面積よりも小さく設定し、燃料供給経路と第2制御弁の中間室とを連通する第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定することで実現した。
さらに、第2制御弁の背圧室と燃料排出経路の出口絞りとを連通する第1入口絞りの流路断面積を、制御室と第1制御弁とを連通する出口絞りの流路断面積よりも小さく設定し、第2制御弁の圧力室と第2制御弁の背圧室とを連通する第2入口絞りの流路断面積を、第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定することで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1はコモンレール式燃料噴射装置を示した図で、図2(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図2(b)はストッパに形成される十字溝を示した図で、図3はインジェクタの作動状態を示したタイミングチャートである。
本実施例の内燃機関の燃料供給装置は、自動車等の車両のエンジンルームに搭載されるもので、複数の気筒を有するディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)用の燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射システム)によって構成されている。
コモンレール式燃料噴射システムは、吸入した燃料を加圧するサプライポンプ1と、このサプライポンプ1の吐出口から高圧燃料が導入されるコモンレール2と、このコモンレール2の各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数個の燃料噴射装置(以下インジェクタと言う)と、燃料タンクから各インジェクタまで延びる燃料供給配管と、サプライポンプ1、コモンレール2および各インジェクタ等の燃料供給機器(燃料噴射機器)から溢流(リーク)または排出(流出)された余剰燃料を燃料タンクに戻す燃料戻し配管とを備えている。
ここで、コモンレール式燃料噴射システムは、コモンレール2の内部に蓄圧された高圧燃料を各インジェクタを介してエンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
燃料供給配管は、サプライポンプ1の吐出ポートからコモンレール2のインレットポートに高圧燃料を供給する供給配管、およびコモンレール2の各アウトレットポートから複数個のインジェクタの各インレットポートに高圧燃料を供給する供給配管等を有している。
サプライポンプ1は、燃料タンクから燃料を汲み上げる周知の構造のフィードポンプ(低圧燃料ポンプ)を内蔵している。このサプライポンプ1は、フィードポンプから電磁弁を経て加圧室内に吸入した燃料を加圧して高圧化し、この高圧燃料をコモンレール2へ圧送供給する高圧燃料ポンプである。サプライポンプ1の電磁弁は、フィードポンプから加圧室内への燃料の吸入量を調整することで、サプライポンプ1の吐出口(吐出ポート)より吐出される燃料吐出量を制御する燃料調量弁である。
コモンレール2の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧室が形成されている。
なお、サプライポンプ1またはコモンレール2は、高圧燃料を発生する高圧発生部を構成する。
エンジンの各気筒毎に対応して搭載されるインジェクタは、コモンレール2の内部に蓄圧された高圧燃料を、直接燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの燃料噴射弁(内燃機関の燃料噴射弁)である。このインジェクタは、燃料を噴射する噴孔3を開閉するニードル4と、このニードル4(またはこのニードル4に連結するコマンドピストン)を摺動自在に支持するシリンダ5と、このシリンダ5を有するノズルボディ6と、内部にオリフィスが構成されるオリフィスプレート7と、電磁制御弁を内蔵するインジェクタボディ8とを備えている。
また、インジェクタは、オリフィスプレート7のバルブシート面に対して着座、離脱して弁孔(燃料流路孔、燃料排出流路)を閉鎖、開放する電磁制御弁(第1制御弁)と、オリフィスプレート7のバルブシート(シート部)に対して着座、離脱して弁孔(燃料流路孔、燃料導入流路)を閉鎖、開放する逆止弁(第2制御弁)とを備えている。なお、電磁制御弁は、エンジン制御ユニット(ECU9)から印加されるソレノイド駆動信号(インジェクタ駆動電流)によって電子制御されるように構成されている。
また、インジェクタは、ニードル4に噴孔閉弁方向の付勢力(閉弁力)を与えるスプリング(閉弁力付与手段)10と、内部の燃料圧力がニードル4に噴孔開弁方向の油圧力(開弁力)を加えるノズル室11と、内部の燃料圧力がニードル4に噴孔閉弁方向の油圧力(閉弁力)を加える制御室12と、高圧発生部(サプライポンプ1、コモンレール2)からノズル室11に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、この燃料供給経路から制御室12に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、制御室12から燃料を燃料タンクへ排出させる燃料排出経路とを備えている。
ニードル4は、シリンダ5内に摺動自在に支持される摺動部を有し、ノズルボディ6のシート面に対して着座、離脱して複数の噴孔3を閉鎖、開放する。また、ニードル4の軸線方向の中央部には、円環状のフランジ13が設けられている。また、ニードル4の軸線方向の先端部(図示下端部)には、円錐形状面が設けられている。そして、ニードル4の円錐形状面と円形状面(曲面)との間に形成される円環状のエッジは、ノズルボディ6のシート面に液密的に当接(着座)するシート部として機能する。
シリンダ5は、ノズルボディ6の軸線方向に延びるノズル孔の内部においてノズルボディ6に対して移動自在(または摺動自在)に収容されている。このシリンダ5は、スプリング10の付勢力によってオリフィスプレート7の第1密着面に押し付けられている。また、シリンダ5には、ニードル4の軸線方向の図示上端側が摺動するシリンダ孔(摺動孔)14が形成されている。
ノズルボディ6の軸線方向の先端側(図示下方側)には、内部に円錐形状空間を形成する逆円錐形状のシート面(弁座)が設けられている。このシート面には、エンジンの各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射するための複数の噴孔3が設けられている。また、ノズルボディ6の軸線方向の後端面(図示上端面)には、オリフィスプレート7の第1密着面に液密的に結合する第1結合面が設けられている。
オリフィスプレート7の軸線方向(板厚方向)の両側には、ノズルボディ6の第1結合面に密着する第1密着面、およびインジェクタボディ8の第2結合面に密着する第2密着面が設けられている。そして、オリフィスプレート7の第2密着面の中央部には、平面化されたバルブシート面が形成されている。また、オリフィスプレート7は、逆止弁のバルブボディとして使用されている。
インジェクタボディ8は、ノズルボディ6との間にオリフィスプレート7を挟み込んだ状態で、リテーニングナット15によりノズルボディ6の図示上端部に締結固定されている。このインジェクタボディ8の軸線方向の先端面(図示下端面)には、オリフィスプレート7の第2密着面に液密的に結合する第2結合面が設けられている。
スプリング10は、ニードル4のシート部をノズルボディ6のシート面に押し付ける方向(噴孔閉弁方向)に付勢するニードル付勢手段を構成する。このスプリング10は、シリンダ5のスプリング座部とフランジ13のスプリング座部との間に設置されている。
ノズル室11は、シリンダ5とノズルボディ6との間に形成されている。このノズル室11内の燃料圧力は、上述したように、ニードル4に噴孔開弁方向の油圧力(開弁力:F1)を加える。また、ノズル室11は、オリフィスプレート7よりも燃料流方向の下流側に形成されている。
制御室12は、シリンダ5とオリフィスプレート7との間に形成されている。この制御室12内の燃料圧力は、上述したように、ニードル4に噴孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F3)を加える。
ここで、オリフィスプレート7の内部には、燃料導入経路(2つの第1、第2燃料導入経路)が形成されている。第1燃料導入経路は、燃料供給経路(燃料供給流路16〜18)から制御室12に高圧燃料を導入(流入)させる燃料導入流路22を有している。また、第2燃料導入経路は、燃料供給経路(燃料供給流路16〜18)から燃料導入流路22を迂回(バイパス)して制御室12に高圧燃料を導入(流入)させる燃料導入流路23を有している。
インジェクタボディ8には、燃料供給配管を介してコモンレール2の各アウトレットポートに接続するインレットポート、および燃料戻し配管を介して燃料タンクに接続するアウトレットポートが形成されている。
また、オリフィスプレート7の内部には、燃料供給経路(燃料供給流路16〜18)から制御室12に導入(流入)する燃料流量を規制する入口絞り、および制御室12から燃料排出経路(燃料排出流路27〜29)へ排出(流出)する燃料流量を規制する出口絞りが形成されている。
入口絞りは、制御室12に燃料を導入する燃料流路(連通路、燃料導入流路23)の流路断面積を絞る2つの第1、第2入口オリフィス(以下第1、第2オリフィス31、32と言う)等によって構成されている。また、出口絞りは、制御室12から燃料を排出する燃料流路(燃料排出流路27、28)の流路断面積を絞る少なくとも1つの出口オリフィス(以下第3オリフィス33と言う)等によって構成されている。
なお、オリフィスプレート7、各流路16〜18、22、23、27〜29および第1〜第3オリフィス31〜33の詳細は後述する。
電磁制御弁は、燃料排出経路に設置されて、燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁を構成する。この電磁制御弁は、高圧側の第1燃料排出経路(燃料排出流路27、28)と低圧側の第2燃料排出経路(燃料排出流路29)との間の連通状態と遮断状態とを切替制御する。
電磁制御弁は、制御室12から燃料を排出(流出)させる弁孔(排出孔、流出ポート:以下燃料排出流路28と言う)を開閉するバルブ35、およびこのバルブ35を駆動する電磁アクチュエータを有している。
電磁アクチュエータは、内部に燃料排出流路29が形成されたバルブボディとしても使用されるインジェクタボディ8と、燃料排出流路28の開口周縁部にバルブ35が着座可能なバルブシート面を有するオリフィスプレート7と、バルブ35をオリフィスプレート7のバルブシート面から離脱させる側(弁孔開弁方向)に駆動するアーマチャ36と、このアーマチャ36を引き寄せる電磁力を発生する電磁石(ソレノイド)と、バルブ35をオリフィスプレート7のバルブシート面に押し付ける側(弁孔閉弁方向)に付勢するスプリング(バルブ付勢手段、第1スプリング)37とを備えている。
バルブ35は、燃料排出流路28を開閉する半球面体状のボールであって、アーマチャ36の収容凹部の底面に当接する当接部、およびオリフィスプレート7のバルブシート面に当接(着座)するシート部を有している。
バルブ35のシート部がオリフィスプレート7のバルブシート面に着座することにより、燃料排出流路28を閉鎖すると、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29との連通状態が遮断される。
また、バルブ35のシート部がオリフィスプレート7のバルブシート面より離脱(離座)することにより、燃料排出流路28を開放すると、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29とが連通する。
これにより、制御室12から燃料排出流路27、第3オリフィス33、燃料排出流路28を経て燃料排出流路29へ燃料が流出する。
インジェクタボディ8の内部には、燃料排出流路27、28を介して、制御室12に連通する燃料排出流路29が形成されている。この燃料排出流路29は、アーマチャ36を往復移動可能に収容するアーマチャ収容室を有している。このアーマチャ収容室には、アーマチャ36が摺動する摺動孔が形成されている。
アーマチャ36は、インジェクタボディ8の摺動孔内に摺動自在に支持される摺動部を有している。このアーマチャ36の軸方向部の先端側には、バルブ35を収容する収容凹部が設けられている。
スプリング37は、バルブ35に弁孔閉弁方向の付勢力(閉弁力)を与える閉弁力付与手段である。
ソレノイドは、二重円筒状のステータ38の環状空間部にコイル39を巻回したもので、コイル39に接続されるコイルリード線を介して供給電流量が供給される。
ここで、サプライポンプ1の電磁弁のコイルへの供給電流量、および複数個のインジェクタの各電磁制御弁のコイル39への供給電流量は、インジェクタ駆動回路(EDU)を含んで構成されるECU9によって制御されるように構成されている。
ECU9には、EDUの他に、CPU、ROM、RAM等を含んで構成される周知のマイクロコンピュータ、サプライポンプ1の電磁弁に接続するポンプ駆動回路が内蔵されている。そして、コモンレール2に取り付けられたコモンレール圧力センサからのセンサ信号や、各種センサからのセンサ信号は、A/D変換回路でA/D変換された後にマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。ここで、マイクロコンピュータの入力部には、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温度センサ、燃料温度センサおよび吸入空気温度センサ等が接続されている。
また、マイクロコンピュータは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、コモンレール圧力センサや上記の各種センサからのセンサ信号とメモリ(ROM、RAM)内に格納された制御プログラムとに基づいて、最適な燃料噴射特性を演算し、サプライポンプ1の電磁弁のコイルへの供給電流量(所謂ポンプ駆動電流)、および複数個のインジェクタの各電磁制御弁のコイル39への供給電流量(所謂インジェクタ駆動電流)を電子制御するように構成されている。
なお、最適な燃料噴射特性とは、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射圧力(指令噴射圧力)、各インジェクタの燃料噴射開始時期(指令噴射時期)、各インジェクタの開弁期間(燃料噴射量と指令噴射圧力とから求められる指令噴射期間)等の最適値のことである。
逆止弁は、燃料流入経路に設置されて、燃料流入経路を開閉制御する第2制御弁を構成する。この逆止弁は、内部にスプール孔(内部空間)およびこのスプール孔よりも開口断面積が大きい圧力室41が形成されたバルブボディと、燃料供給流路16から燃料導入流路22を経て制御室12に高圧燃料を導入する弁孔(供給孔、流入ポート:以下クリアランス42と言う)を開閉する円柱状のスプール(スプールバルブ)43と、このスプール43をそのスプール軸の軸線方向の一方側(弁孔開弁方向)に付勢するスプリング(スプール付勢手段、第2スプリング)44とを備えている。
本実施例では、スプール43の摺動部(以下中径ランド45と言う)をそのスプール軸の軸線方向に往復摺動自在に支持するバルブボディとしてオリフィスプレート7を使用している。このオリフィスプレート7のスプール孔は、スプール43の中径ランド45等によって、背圧室46と中間室47とからなる2つの部屋(空間)に区画形成されている。
また、圧力室41の開口部は、プラグによって液密的に塞がれている。このプラグのスプール孔側面には、スプール43の移動範囲(特に全開位置)を規制する円板状のストッパ(規制部)48が設けられている。
ここで、ストッパ48は、スプール43のスプール軸の図示右端部よりも大きい外径を有している。このストッパ48には、少なくともスプール43のスプール軸がストッパ48に当接している際(スプール43の開弁時)に、内部を高圧燃料が流通する十字溝49が形成されている。この十字溝49は設けなくても構わない。
なお、逆止弁の詳細は後述する。
次に、本実施例の燃料供給経路の詳細を図1および図2に基づいて説明する。
燃料供給経路は、コモンレール2から供給配管を経て逆止弁の圧力室41に高圧燃料を供給する燃料供給流路16、およびこの燃料供給流路16または圧力室41からノズル室11に高圧燃料を供給する燃料供給流路17、18等を有している。
燃料供給流路16は、インジェクタボディ8の内部およびオリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料供給流路16は、各インジェクタボディ8の図示上端面で開口したインレットポートと逆止弁の圧力室41とを連通する燃料流路孔である。
燃料供給流路17は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料供給流路17は、燃料供給流路16または圧力室41とノズル室11とを連通する燃料流路孔である。
燃料供給流路18は、ノズルボディ6の内部(シリンダ5との間に形成される筒状の燃料流路孔を含む)に形成されている。この燃料供給流路18は、燃料供給流路17とノズル室11とを連通する燃料流路孔である。
次に、本実施例の燃料導入経路の詳細を図1および図2に基づいて説明する。
燃料導入経路は、燃料供給流路16から圧力室41、クリアランス42、中間室47を経て制御室12に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および燃料供給流路16から背圧室46、第3オリフィス33、燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有している。
第1燃料導入経路は、燃料供給流路16と燃料供給流路17との間に形成された圧力室41、この圧力室41から中間室47に高圧燃料を導入するクリアランス42、中間室47から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)22を有している。燃料導入流路22は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路22は、中間室47の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
第2燃料導入経路は、燃料供給流路16から背圧室46に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第2燃料導入流路)23、この燃料導入流路23から連通路に高圧燃料を導入する背圧室46、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する連通路、および第3オリフィス33と制御室12とを連通する燃料排出流路27を有している。
燃料導入流路23は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路23は、燃料供給流路16の分岐部と背圧室46の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。また、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端には、燃料供給流路16と背圧室46とを連通する第2オリフィス32が設けられている。この第2オリフィス32は、スプール43の軸線方向に対して直交する方向に形成されて、背圧室46に直接連絡している。また、第2オリフィス32は、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端の流路断面積を絞るように設けられている。また、第2オリフィス32は、背圧室46に臨むように背圧室46のスプール孔壁面で開口している。
連通路は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の合流部(断面T字型の合流部)とを連通する燃料流路孔である。また、本実施例の連通路は、この連通路全体が、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31を構成している。この第1オリフィス31は、連通路の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、連通路の一端から他端に向かってスプール43の軸線方向に沿うように真っ直ぐに形成されて、背圧室46と第3オリフィス33とを直接連絡している。そして、第1オリフィス31の一方側は、背圧室46に臨むように背圧室46のスプール孔壁面で開口している。また、第1オリフィス31の他方側は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
次に、本実施例の燃料排出経路の詳細を図1および図2に基づいて説明する。
燃料排出経路は、制御室12から電磁制御弁に燃料を排出(流出)させる第1燃料排出経路、および電磁制御弁からインジェクタボディ8のアウトレットポートに燃料を排出(流出)させる第2燃料排出経路を有している。
第1燃料排出経路は、燃料排出流路(第1燃料排出流路)22を有している。また、第1燃料排出経路は、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29とを連通する第3オリフィス33を有している。
燃料排出流路27、28は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料排出流路27、28は、制御室12と燃料排出流路29とを連通する燃料流路孔である。また、燃料排出流路27、28は、オリフィスプレート7の板厚方向の両端面(第1、第2密着面)を連通するようにオリフィスプレート7の板厚方向に貫通している。
第3オリフィス33は、第1燃料排出経路の燃料流方向の中間部(燃料排出流路27、28の燃料流方向の上流側と下流側とを連通する連通路)の流路断面積を絞るように設けられている。この第3オリフィス33は、燃料排出流路27、28の中間部に形成されている。また、第3オリフィス33の流路断面積は、第1、第2オリフィス31、32の流路断面積よりも大きく設定されている。
第2燃料排出経路は、アーマチャ収容室を含む燃料排出流路(第2燃料排出流路)29を有している。燃料排出流路29は、インジェクタボディ8の内部に形成されている。この燃料排出流路29は、電磁制御弁の燃料排出流路28とアウトレットポートとを連通する燃料流路孔である。
そして、制御室12から燃料排出流路27、28を経て燃料排出流路29の内部に流入した燃料は、インジェクタボディ8に設けられるアウトレットポートからインジェクタの外部に排出される。なお、アウトレットポートは、インジェクタから溢流または排出された燃料を燃料タンクに戻すための燃料戻し配管(リターンパイプ、オーバーフローパイプ)に接続されている。
次に、本実施例のオリフィスプレート7の詳細を図1および図2に基づいて説明する。 オリフィスプレート7は、高圧側の制御室12と低圧側の燃料排出流路29とを区画する区画部材を構成する。このオリフィスプレート7の内部には、2つの第1、第2密着面を連通するように貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、制御室12から第2燃料排出経路(燃料排出流路29)へ燃料を流出させる第1燃料排出経路(燃料排出流路27、第3オリフィス33、燃料排出流路28)として使用される。
また、オリフィスプレート7の内部には、逆止弁のスプール43の中径ランド45が摺動するスプール孔、および燃料供給流路16に連通し、高圧発生部(サプライポンプ1、コモンレール2)から高圧燃料が供給される圧力室41が形成されている。このスプール孔は、第1燃料排出経路の軸線方向(オリフィスプレート7の板厚方向)に対して直交する垂直方向に延びるように形成されている。
また、開口断面積の小さいスプール孔と、このスプール孔よりも開口断面積の大きい圧力室41との間には、円環状の段差が形成されている。この段差には、逆止弁の閉弁時にスプール43のバルブ頭部(大径ランド)51の円錐台形状の円錐シート面(テーパ面)52が当接(着座)する円環状のシート部53が設けられている。
また、オリフィスプレート7の内部には、コモンレール2からノズル室11に高圧燃料を供給する燃料供給流路16、17が形成されている。また、オリフィスプレート7の内部には、燃料供給流路16から逆止弁を経て制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路22が形成されている。また、オリフィスプレート7の内部には、燃料供給流路16から逆止弁、第3オリフィス33を経て制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路23が形成されている。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
また、第3オリフィス33の流路断面積は、燃料導入流路22の流路断面積よりも小さく設定されている。また、燃料導入流路22の流路断面積は、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積(総断面積)よりも小さく設定されている。また、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積は、燃料供給流路16〜18の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第3オリフィス33の流路断面積をS3とし、燃料導入流路22の流路断面積をS4とし、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積をS5とし、燃料供給流路16〜18の流路断面積をS6としたとき、S3<S4<S5<S6の関係を満足している。
次に、本実施例の逆止弁の詳細を図1および図2に基づいて説明する。
逆止弁は、内部に中空部が形成されたオリフィスプレート7、このオリフィスプレート7の中空部内を往復移動するスプール43、およびスプール43とスプール孔壁面との間に設置されたスプリング44等により構成されている。
オリフィスプレート7の中空部は、圧力室41およびスプール孔(背圧室46、中間室47)等を有している。
スプリング44は、スプール43に弁孔開弁方向の付勢力(開弁力:F4)を与える開弁力付与手段である。また、背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)は、スプール43に弁孔開弁方向の油圧力(開弁力:F5)を加える。また、圧力室41内の燃料圧力(高圧室圧)は、スプール43に弁孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F6)を加える。
背圧室46は、スプリング44を収容するスプリング収容室を構成する。また、背圧室46の容積は、制御室12の容積よりも極めて小さく形成されている。
スプール43は、スプール孔内を軸線方向に往復移動するスプール軸を有している。このスプール軸の軸線方向の図示左側には、スプール孔内に摺動自在に支持される摺動部(中径ランド)45が設けられている。また、スプール軸の軸線方向の図示右側には、スプール軸の外周部より半径方向の外径側に向けて突出する鍔状のバルブ頭部(大径ランド、最大外径部)51が設けられている。
また、スプール軸は、中径ランド45と大径ランド51との間に径小部を有している。この径小部の周囲には、環状溝が形成されている。この環状溝は、スプール孔壁面との間に円筒状の中間室47を形成する。
中径ランド45は、スプール孔を、背圧室46と中間室47とに区画形成する。
大径ランド51は、中径ランド45の外径およびスプール孔の孔径よりも大きい外径を有している。この大径ランド51の環状溝側には、オリフィスプレート7のシート部53(圧力室41と中間室47との間に形成されるエッジ)に対して着座、離脱してクリアランス42を閉鎖、開放する円錐台形状の円錐シート面(テーパ面)52が形成されている。
ここで、逆止弁の開弁時、つまりスプール43の全開時には、オリフィスプレート7のシート部53と大径ランド51の円錐シート面52との間に、燃料が通過可能なクリアランス42が形成される。
逆止弁が開弁すると、つまりスプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53より離脱(離座)して、スプール43のスプール軸がストッパ48に当接すると、燃料供給流路16と燃料導入流路22とが連通する。これにより、燃料供給流路16から圧力室41に供給されている高圧燃料が、クリアランス42を通って中間室47に流入する。そして、中間室47に流入した高圧燃料は、固定絞りが形成されていない燃料導入流路22を通って制御室12に導入される。
また、逆止弁が閉弁すると、つまりスプール43のスプール軸がストッパ48より離脱(離座)して、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53に当接(着座)すると、燃料供給流路16と燃料導入流路22との連通状態が遮断される。これにより、燃料導入流路22から制御室12への高圧燃料の導入がなくなる。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。ここで、図2は電磁制御弁が閉弁し、逆止弁が開弁した状態を示している。
サプライポンプ1の吐出口より吐出された高圧燃料は、供給配管を経て、コモンレール2の内部(蓄圧室)に流入し、この蓄圧室内で一時的に蓄圧される。そして、コモンレール2から供給される高圧燃料は、インジェクタのインレットポートから燃料供給流路16の内部に流入する。この燃料供給流路16の内部に流入した高圧燃料は、圧力室41の内部に流入する。
そして、圧力室41の内部に流入した高圧燃料は、圧力室41から燃料供給流路17→燃料供給流路18を経てノズル室11の内部に流入する。
また、圧力室41の内部に流入した高圧燃料は、逆止弁が開弁しているので、圧力室41からクリアランス42→中間室47→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に流入する。
一方、燃料供給流路16の内部に流入した高圧燃料は、燃料供給流路16から燃料導入流路23→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する。この背圧室46の内部に流入した高圧燃料は、背圧室46から第1オリフィス31→第3オリフィス33→燃料排出流路27を経て制御室12の内部に流入する。
これによって、ニードル4は、ノズル室11内の燃料圧力によって押し上げる方向(噴孔開弁方向)の開弁力を受けると共に、制御室12内の燃料圧力によって押し下げる方向(噴孔閉弁方向)の閉弁力を受けることになる。
ここで、ECU9により電磁制御弁のソレノイドのコイル39への通電が成されず、電磁制御弁のバルブ35がオリフィスプレート7のバルブシート面に着座して燃料排出流路28を塞いでいる場合には、逆止弁が開弁しているので、ノズル室11の内部および制御室12の内部が高圧燃料で満たされている。このときニードル4には、スプリング37によってニードル4を噴孔閉弁方向に付勢する付勢力(閉弁力)が加わっている。
すなわち、ニードル4には、ノズル室11内の燃料圧力による開弁力(F1)と、スプリング37の付勢力(スプリング荷重)による閉弁力(F2)と、制御室12内の燃料圧力による閉弁力(F3)とが作用しており、F1<F2+F3が成立している。このため、ECU9により電磁制御弁のソレノイドのコイル39への通電が成されず、電磁制御弁が閉弁している場合には、全体として図2(a)にて図示下向きの力が勝ることになる。
その結果、電磁制御弁の閉弁時には、ニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面に押さえ付けられて(着座し)、ニードル4のシート部がノズルボディ6の各噴孔3を塞いでいる。
したがって、当該インジェクタは、ニードル4が閉弁した閉弁状態となり、エンジンの気筒の燃焼室内には燃料の噴射が成されない。
なお、電磁制御弁の閉弁時には、スプリング44の付勢力(スプリング荷重)による開弁力(F4)と、逆止弁のスプール43に、背圧室46内の燃料圧力による開弁力(F5)と、圧力室41内の燃料圧力による閉弁力(F6)とが作用しており、F4+F5>F6が成立している。このため、逆止弁のスプール43は、図2に示したように、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53より引き離されて、開弁している。
一方、当該インジェクタからの噴射タイミング(燃料の噴射時期)になり、ECU9から燃料噴射開始指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がONされる。つまり電磁制御弁のソレノイドのコイル39への通電が成されて、バルブ35がアーマチャ36と共にスプリング37の付勢力(スプリング荷重)に抗して引き上げられる。これにより、バルブ35がオリフィスプレート7のバルブシート面より引き離されて電磁制御弁のバルブ35が開弁する。このため、バルブ35が燃料排出流路28を開放し、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28を低圧側の燃料排出流路29に連通させる。
そして、電磁制御弁が開弁すると、コモンレール2から導入されて制御室12の内部に充満していた高圧燃料は、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て電磁制御弁側(低圧側)の燃料排出流路29に流出する。
ここで、制御室12内の高圧燃料は、第3オリフィス33の流路断面積に比例して、高圧側の制御室12と低圧側の燃料排出流路29との圧力差の平方根に比例した流量の燃料が制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て燃料排出流路29に流れ出していく。このとき、第3オリフィス33を通過する燃料の流速は、高速になっており、且つ燃料の圧力が低下していることによる霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出される。この第3オリフィス33の内部に吸い出された背圧室46内の燃料は、第1オリフィス31→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て燃料排出流路29に排出される。
ここで、第2オリフィス32の流路断面積が、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さくなるように形成されている。これにより、燃料供給流路16から燃料導入流路23→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する燃料の流量よりも、背圧室46から第1オリフィス31を経て燃料排出流路28、29に流出する燃料の流量の方が多いので、背圧室46内の燃料圧力は急激に低下する。
これによって、背圧室46と圧力室41との間に圧力差が生じて、スプリング44の弁孔開弁方向の付勢力よりも大きな閉弁力が逆止弁のスプール43に作用する。そして、F4+F5<F6が成立すると、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によってスプール43が図示左側に移動し、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53に着座する。これにより、逆止弁のスプール43が閉弁するため、スプール43がクリアランス42を閉鎖し、圧力室41と中間室47との連通状態が遮断される。
そして、逆止弁が閉弁すると、制御室12の内部に充満していた燃料は、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28→燃料排出流路29→アウトレットポート→燃料戻し配管を経て燃料タンクに戻される。
このため、制御室12内の燃料圧力は急速に低下する。そして、ノズル室11と制御室12との間の圧力差が増加して、ニードル4に働く開弁力が増加し、スプリング37の弁孔閉弁方向の付勢力よりも大きくなる。そして、F1>F2+F3が成立すると、ノズル室11内の燃料圧力による押し上げる方向(噴孔開弁方向)の開弁力によってニードル4が上昇し(リフトを開始し)、ニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面から離れる(離脱する、離座する)。その結果、ニードル4が開弁した開弁状態となり、ノズル室11内の高圧燃料が各噴孔3から噴射される。
したがって、当該インジェクタは、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射を開始する。
そして、噴射タイミングから当該インジェクタの開弁期間(燃料噴射量と指令噴射圧力とから求められる指令噴射期間:所定のECU駆動パルス時間)が経過すると、ECU9から燃料噴射終了指令が出力される。この燃料噴射終了指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がOFFされるため、アーマチャ36を吸引する力が消える。すると、アーマチャ36がスプリング37の付勢力(スプリング荷重)によってステータ38の磁極面より遠ざかる方向へ移動する。
すなわち、スプリング37がその付勢力でアーマチャ36を押し下げ、電磁制御弁のバルブ35がオリフィスプレート7のバルブシート面に着座する。これにより、電磁制御弁のバルブ35が閉弁する。このため、電磁制御弁のバルブ35が、電磁制御弁の弁孔である燃料排出流路28を閉鎖し、高圧側の制御室12および燃料排出流路27、28と低圧側の燃料排出流路29との連通状態が遮断される。
これによって、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路23→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これにより、スプリング44の付勢力が背圧室46と圧力室41との圧力差による閉弁力に勝ると、スプリング44の付勢力による開弁力が逆止弁のスプール43に作用する。そして、F4+F5>F6が成立すると、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によってスプール43が図示右側に移動し、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52がオリフィスプレート7のシート部53より離脱する。このため、逆止弁のスプール43が開弁するため、スプール43がクリアランス42を開放し、圧力室41と中間室47とが連通状態となる。
そして、逆止弁が開弁すると、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52とオリフィスプレート7のシート部53との間に形成されるクリアランス42を介して、圧力室41内の高圧燃料が中間室47の内部に流入する。この中間室47の内部に流入した高圧燃料は、中間室47から燃料導入流路22を経て制御室12の内部に流入し、制御室12内の燃料圧力を急速に上昇させる。
そして、ノズル室11と制御室12との間の圧力差が減少し、ニードル4を開弁する開弁力がスプリング37の弁孔閉弁方向の付勢力以下になると、つまり制御室12内の燃料圧力を急速に上昇し、F1<F2+F3が成立するため、ニードル4が噴孔閉弁方向に移動してニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面に着座する。その結果、当該インジェクタは、ニードル4のシート部がノズルボディ6のシート面に押さえ付けられ、各噴孔3を塞ぎ、ニードル4が閉弁した閉弁状態に戻ることになる。よって、各噴孔3からの燃料噴射は終了する。
次に、本実施例のインジェクタにより得られる効果を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。ここで、図3は実施例1のインジェクタの作動状態を示したタイミングチャートである。
先ず、従来技術1のインジェクタ(圧力バランス型インジェクタ)の詳細を図10および図11に基づいて説明する。
ECU124からのソレノイド駆動信号がONすると、電磁制御弁のソレノイドのコイル125にインジェクタ駆動電流が流れる。そして、コイル125に発生する電磁力によりアーマチャ122を吸引し、電磁制御弁のバルブ121が磁気特性の遅れ分だけ遅れて開弁する。電磁制御弁が開弁すると、燃料排出流路116の流路断面積が入口オリフィス118の流路断面積よりも大きいため、制御室104内の燃料圧力が低下していく。そして、ニードル102が開弁する条件の燃料圧力まで制御室104内の燃料圧力が低下すると、開弁応答時間(To)の経過後にニードル102が開弁する。
ここで、開弁応答時間(To)とは、電磁制御弁のソレノイドのコイル125への通電を開始(ON)してから、ニードル102が実際に開き始めるまでの経過時間のことである。
そして、ECU124からのソレノイド駆動信号がOFFすると、電磁制御弁のソレノイドのコイル125へのインジェクタ駆動電流の供給が遮断される。すると、吸引力が消えて電磁制御弁のバルブ121が閉弁する。これにより、流出ポート120が閉じて燃料排出流路116と燃料排出流路117との連通状態が遮断される。このため、制御室104内の燃料圧力が入口オリフィス118からの高圧燃料の流入により上昇する。なお、入口オリフィス118は、燃料導入流路114、115の流路断面積を絞っているため、ニードル102が閉弁を開始する燃料圧力までの制御室104内の圧力上昇が遅くなる。これにより、ニードル102は、長い閉弁応答時間(Tc)の経過後に閉弁する。
ここで、閉弁応答時間(Tc)とは、電磁制御弁のソレノイドのコイル125への通電を停止(OFF)してから、ニードル102が実際に閉弁するまでの経過時間のことである。
そして、従来技術1のインジェクタは、ニードル102の軸方向上下の受圧面積が同じため、スプリング105の付勢力だけで閉弁していく。このため、制御室104内の燃料圧力がニードル102の閉弁圧力に早く到達するように、電磁制御弁が閉弁した後に、制御室104の内部に流入する高圧燃料を増加させる必要がある。
この不具合を対策したのが、図12に示した従来技術2のインジェクタである。
次に、従来技術2のインジェクタ(中間弁付の圧力バランス型インジェクタ)の詳細を図12および図13に基づいて説明する。
電磁制御弁の作動は、従来技術1のインジェクタと同じであるため、説明を省略する。電磁制御弁の閉弁時における、制御室104内の圧力低下は、オリフィスプレート106に形成された入口オリフィス118と中間弁108に形成された出口オリフィス119との流路断面積関係で変わるが、基本的に従来技術1のインジェクタと同じと考えて良い。 制御室104内の圧力低下でニードル102が開弁すると、燃料噴射が開始される。開弁応答時間(To)は、基本的に従来技術1と変わらない。
ECUからのソレノイド駆動信号がOFFし、電磁制御弁が閉弁すると、燃料導入流路114、115から中間弁108の図示上端面に電磁制御弁の閉弁による正の水撃が加わる。これにより、中間弁108が開弁して、燃料導入流路114、115と制御室104とが連通状態となる。
なお、燃料供給流路111および燃料導入流路114、115には、流路断面積を絞るオリフィス(固定絞り)が設けられていないため、燃料導入流路114、115から制御室104に高圧燃料が短時間に流入し、制御室104内の燃料圧力が短時間で高圧となるので、ニードル102の閉弁が早くなる。これにより、従来技術1のインジェクタよりも従来技術2のインジェクタの方が、電磁制御弁のソレノイドのコイル125をOFFしてから、ニードル102が実際に閉弁するまでの閉弁応答時間(Tc)を短縮できるので、閉弁応答性を向上することができる。
ところが、従来技術2のインジェクタは、ニードル102の開弁による噴射圧力の負の水撃が、従来技術2のインジェクタ、あるいは従来技術2のインジェクタとコモンレールとを結ぶ供給配管からの開口端反射により正の水撃に反転し、この水撃が中間弁108に付加されることである。
そして、この水撃圧と制御室104内の燃料圧力との圧力差による中間弁108に対する開弁力が、スプリング129の設定荷重を超えて中間弁108を開弁してしまう。そして、中間弁108の開弁によって燃料供給流路111および燃料導入流路114、115に絞りが無いため、制御室104に高圧燃料が流入して、制御室104内の燃料圧力が高圧になり、ニードル102を閉弁して燃料噴射を中断してしまう異常噴射を発生させるという問題がある。
そこで、上記のような問題を解決するという目的で、本実施例のインジェクタは、制御室12内の燃料圧力の増減制御に先立ち背圧室46内の燃料圧力を制御している。
図2に示したように、ニードル4の開弁による水撃は、インジェクタの内部に形成される各流路16〜18、22、23、27〜29および第1〜第3オリフィス31〜33のうちで、流路断面積が最も小さい第2オリフィス32を介して、燃料供給流路16から燃料導入流路23を経て背圧室46の内部に導入されている。このため、背圧室46内の燃料圧力は、逆止弁の開弁に影響を与える程には変化させないだけでなく、逆止弁の圧力室41側(高圧供給側)に水撃が加わり、弁孔閉弁方向に逆止弁のスプール43を付勢する。
このため、従来技術2のインジェクタで起きるような燃料噴射が中断するような異常噴射は発生しない。ソレノイド駆動信号がOFFされてソレノイドのコイル39への通電が止まると、電磁制御弁が閉弁する。
上述したように、逆止弁を開弁することで、圧力室41の高圧燃料が固定絞りのない燃料導入流路22を介して制御室12の内部に流入して制御室12内の燃料圧力を短時間で高め、ニードル4を閉弁させる。
したがって、従来技術2のインジェクタのように中間弁108の半径方向を迂回して高圧燃料が流入する必要がないため、従来技術2のインジェクタよりも閉弁応答時間(Tc)を短縮できる。これにより、本実施例のインジェクタにおいては、従来技術2のインジェクタよりも閉弁応答性をより向上することができる。
[実施例1の効果]
先ず、燃料の噴射開始時には、第3オリフィス33の霧吹き効果によって、逆止弁の背圧室46の燃料圧力(背圧室圧)を素早く低下させることで、逆止弁を閉弁させる。そして、逆止弁を閉弁することで、大流路断面積を有する燃料導入流路22を閉鎖し、制御室12への実質の高圧燃料の流入を遮断する。これにより、制御室12内の燃料圧力(制御室圧)を素早く低下させることで、ニードル4の開弁応答性を高めることができる。
また、入口絞りとして働く2つの第1、第2オリフィス31、32は、図1および図2に示したように、背圧室46を挟んで直列配置になっている。このため、背圧室46から第1オリフィス31を通って第3オリフィス33に流出していく燃料は少なく、且つ第2オリフィス32の流路断面積が第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。これにより、逆止弁の閉弁時に、背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)が低い状態のまま維持される。
また、燃料の噴射期間中には、ニードル4の開弁による水撃圧力波が発生して圧力室41内の燃料圧力(高圧室圧)を大きく変化させる可能性がある。しかし、逆止弁が閉弁しているため、流路断面積が最小である第2オリフィス32からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、制御室12内の燃料圧力(制御室圧)は、低圧状態を維持できるので、燃料の噴射期間中にニードル4を閉弁するような異常噴射を防止することができる。
また、燃料の噴射時、特に逆止弁の閉弁時には、制御室12よりも容積の小さい背圧室46が更に逆止弁の行程容積分だけ容積を減じており、燃料の噴射終了時には、第2オリフィス32からの高圧燃料の流入により背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)がより早く上昇して逆止弁の開弁時間を短縮することができる。これにより、逆止弁の開弁により流路断面積の大きい燃料導入流路22から制御室12へ高圧燃料が流入し、制御室12内の燃料圧力(制御室圧)をより素早く上昇させることで、ニードル4の閉弁応答性を高めることができる。
また、ニードル4の閉弁時にも水撃圧力波が発生し、逆止弁の中間室47を経て制御室12の内部にも水撃圧力波が付加される可能性がある。しかし、その水撃圧力波は、ニードル4の噴孔閉弁方向に力が働くため、ニードル4の閉弁時に2次噴射が発生することはない。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、上述の説明で明らかなように、従来技術1のインジェクタ(圧力バランス型インジェクタ)の課題であったニードル102の開弁応答性および閉弁応答性の遅さと、従来技術2のインジェクタ(中間弁付の圧力バランス型インジェクタ)の課題であった不安定な燃料噴射を改善し、安定性と制御性の良いインジェクタを提供することができる。
また、従来技術1のインジェクタの長所である静的な燃料漏れが無いことを維持している。
また、背圧室46内の燃料圧力を霧吹き効果、また、小容積による素早い圧力低減効果で、大流路断面積の燃料導入流路22を逆止弁が瞬時に閉じる。その上、2つの第1、第2オリフィス31、32が直列配置されているため、第2オリフィス32、第1オリフィス31、第3オリフィス33を通過する燃料量の増加を妨げている。これにより、動的な燃料漏れも少なく維持されている。
また、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタは、従来技術2のインジェクタに設けられる中間弁108に代えて、スプール43によって燃料供給流路16と燃料導入流路22および制御室12との間を連通、遮断(燃料供給流路16から燃料導入流路22を経て制御室12に高圧燃料を導入するクリアランス42を開閉制御)する逆止弁をオリフィスプレート7の内部に設けた構造を採用している。
また、逆止弁は、平面シート形状ではなく、スプール43の大径ランド51の環状溝側にオリフィスプレート7のシート部53に着座する円錐形状の円錐シート面52を形成し、高圧供給側の圧力変動は逆止弁のスプール43を弁孔閉弁方向に付加する構造としている。
この構造により、逆止弁の閉弁時におけるシート部53と円錐シート面52との間の漏れをなくすと共に、指令噴射期間、つまり電磁制御弁の開弁時には逆止弁が閉弁していて、背圧室46内の燃料圧力が低圧に保持されている。このため、高圧供給側の圧力変動で逆止弁が開弁して、制御室12内の燃料圧力が上昇してしまい、燃料噴射を中断させる不具合を防止することができる。
また、燃料の噴射終了時には、逆止弁が開弁して、流路断面積が大きい燃料導入流路22から制御室12に高圧燃料が流入して、制御室12内の燃料圧力を高圧に素早く上昇させる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を高めることができる。
また、燃料の噴射開始指令時には、第1オリフィス31を第3オリフィス33に臨むように開口することで、第1オリフィス31よりも燃料流方向の上流側、つまり背圧室46内の燃料を、制御室12から第3オリフィス33を通過する燃料の流れによる霧吹き効果で吸い出している。これにより、背圧室46内の燃料圧力が素早く低下するため、逆止弁の閉弁を早くできる。このため、流路断面積が大きい燃料導入流路22から制御室12への高圧燃料の流入が遮断され、制御室12から燃料排出流路27、28を経て燃料排出流路29側に燃料が流出し、制御室12内の燃料圧力が素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁応答性を高めることができる。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、霧吹き効果(エジェクタ効果)で逆止弁の閉弁を早くでき、また、逆止弁のスプール43により流路断面積の大きい燃料導入流路22を開閉制御していることから、制御室12内の燃料圧力の上昇および下降を素早くできる。
この構造により、電磁制御弁のソレノイドのコイル39をONしてから、ニードル4が実際に開弁するまでの開弁応答時間(To)を短縮できるので、ニードル4の開弁応答性を向上することができる。また、電磁制御弁のソレノイドのコイル39をOFFしてから、ニードル4が実際に閉弁するまでの閉弁応答時間(Tc)を短縮できるので、ニードル4の閉弁応答性を向上することができる。
さらに、インジェクタの内部の漏れを低いままに維持して、噴射作動時に漏れる燃料も低減できる製造容易なインジェクタを得ることができる。これにより、エンジンの燃料消費の低減を実現することができる。このように、燃料供給流路16から制御室12に高圧燃料を流入させる燃料導入経路の途中に逆止弁を配置し、ニードル4の開弁応答性および閉弁応答性が向上し、漏れの少ないインジェクタを得ることで、燃費の良い高性能なエンジンを提供することができる。
図4は本発明の実施例2を示したもので、図4(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図4(b)はストッパに形成される十字溝を示した図である。ここで、図4(a)は、電磁制御弁が閉弁し、逆止弁が開弁し、ニードル4が閉弁している状態を示している。
本実施例の逆止弁は、内部に中空部(スプール孔、圧力室41)が形成されたオリフィスプレート(バルブボディ)7、燃料供給流路16から燃料導入流路22を経て制御室12に高圧燃料を導入するクリアランス(弁孔)42を開閉する円筒状のスプール(スプールバルブ)43、およびこのスプール43を弁孔開弁方向に付勢するスプリング(スプール付勢手段)44を有している。
スプール孔は、逆止弁のクリアランス42を開閉するスプール43をそのスプール軸の軸線方向(移動方向)に往復移動可能に収容している。また、スプール孔は、実施例1と同様に、スプール43の大径ランド51よりも外径の小さい中径ランド45等によって背圧室46、中間室47等に区画形成されている。
また、スプール43の中径ランド45は、オリフィスプレート7のスプール孔内を往復摺動自在に支持されている。また、スプール43の大径ランド51の環状溝側には、実施例1と同様に、円錐形状の円錐シート面52が形成されている。
また、逆止弁のスプール43の内部には、そのスプール軸の軸線方向(移動方向)に貫通する貫通孔54が形成されている。この貫通孔54は、圧力室41を介して、燃料供給流路16と背圧室46とを連通する燃料流路孔(燃料導入流路23)として使用される。そして、貫通孔54の燃料流方向の下流端には、圧力室41を介して、燃料供給流路16と背圧室46とを連通する第2オリフィス32が設けられている。また、オリフィスプレート7の内部には、実施例1と同様に、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する連通路が形成されている。この連通路は、実施例1と同様に、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31を構成している。
すなわち、オリフィスプレート7の内部には、燃料供給流路16から圧力室41→燃料導入流路23としての貫通孔54→第2オリフィス32→背圧室46→第1オリフィス31→第3オリフィス33→燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路が設けられる。
本実施例の逆止弁は、十字溝49が形成された円板状のストッパ48を有している。なお、十字溝49は設けなくても構わない。十字溝49を設けない場合、逆止弁の開弁時に、燃料導入流路23としての貫通孔54の圧力室側開口部がストッパ48により液密的に閉鎖されるため、燃料の噴射開始時における背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)の低下が実施例1よりも一層早くなる。これにより、ニードル4の開弁応答性を実施例1よりも向上することができる。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、実施例1と同様に、スプール43によって燃料供給流路16と燃料導入流路22および制御室12との間を連通、遮断(燃料供給流路16から燃料導入流路22を経て制御室12に高圧燃料を導入するクリアランス42を開閉制御)する逆止弁をオリフィスプレート7の内部に設けた構造を採用している。
これによって、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間)中には、逆止弁が流路断面積の大きい燃料導入流路22およびクリアランス42を閉鎖している。このため、2つの第1、第2オリフィス31、32を有する第2燃料導入経路からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
また、本実施例のインジェクタにおいては、実施例1と異なり、燃料導入流路23として使用される貫通孔54を逆止弁のスプール43の内部に設けているので、逆止弁のスプール43に加工を集中することができる。これにより、実施例1と比べて、インジェクタ、特にオリフィスプレート7の製造コストを低減することができる。
図5は本発明の実施例3を示したもので、インジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図である。ここで、図5は、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁して、燃料を噴孔3から噴射している状態を示している。
本実施例の逆止弁は、内部に中空部(スプール孔、圧力室41)が形成されたバルブボディ、燃料供給流路16から燃料導入流路22を経て制御室12に高圧燃料を導入するクリアランス(弁孔)42を開閉する円柱状のスプール(スプールバルブ)43、およびこのスプール43を弁孔開弁方向に付勢するスプリング44を有している。
バルブボディは、オリフィスプレート7およびインジェクタボディ8等により構成されている。
中空部は、オリフィスプレート7の第2密着面で開口した凹部(スプール孔)、およびインジェクタボディ8の第2結合面で開口した凹部(圧力室41)等により構成されている。
また、スプール孔は、オリフィスプレート7の板厚方向(燃料排出流路27、28の軸線方向に対して平行な方向、ニードル4の移動方向に対して平行な方向)に延びるように設けられている。また、スプール孔は、実施例1と同様に、スプール43の大径ランド51よりも外径の小さい中径ランド45等によって背圧室46、中間室47等に区画形成されている。
スプール43は、オリフィスプレート7の板厚方向に延びるスプール軸を有している。また、スプール43の中径ランド45は、オリフィスプレート7のスプール孔内を往復摺動自在に支持されている。また、スプール43の大径ランド51の環状溝側には、オリフィスプレート7のシート部(エッジ)53に着座可能な円錐形状の円錐シート面52が形成されている。
本実施例の燃料導入経路は、燃料供給流路16から逆止弁(圧力室41→クリアランス42→中間室47)を経て制御室12に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および燃料供給流路17から逆止弁(背圧室46)、第3オリフィス33、燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有している。
第1燃料導入経路は、燃料供給流路16から圧力室41に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)21、圧力室41から中間室47に高圧燃料を導入するクリアランス42、中間室47から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)22を有している。
燃料導入流路21は、オリフィスプレート7の第2密着面とインジェクタボディ8の第2結合面で開口した連通溝の溝底面との間に形成されている。この燃料導入流路21は、燃料供給流路16の分岐部と圧力室41の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔(連通路)である。
燃料導入流路22は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路22は、中間室47の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
第2燃料導入経路は、燃料供給流路17から逆止弁の背圧室46に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第2燃料導入流路)23、および背圧室46と第3オリフィス33とを連通する連通路24を有している。
燃料導入流路23は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路23は、燃料供給流路17の分岐部と背圧室46の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。また、燃料導入流路23の途中には、燃料供給流路17と背圧室46とを連通する第2オリフィス32が設けられている。この第2オリフィス32は、燃料導入流路23の流路断面積を絞るように設けられている。
連通路24は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路24は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の合流部(T字型の合流部)とを連通する燃料流路孔である。また、連通路24の第3オリフィス側端部には、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31が設けられている。この第1オリフィス31は、連通路24の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
また、第3オリフィス33の流路断面積は、燃料導入流路21、22の流路断面積よりも小さく設定されている。また、燃料導入流路21、22の流路断面積は、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積よりも小さく設定されている。また、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積は、燃料供給流路16〜18の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第3オリフィス33の流路断面積をS3とし、燃料導入流路21、22の流路断面積をS4とし、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積をS5とし、燃料供給流路16〜18の流路断面積をS6としたとき、S3<S4<S5<S6の関係を満足している。
また、背圧室46の容積は、制御室12の容積よりも小さく形成されている。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、実施例1と同様に、燃料供給流路17から燃料導入流路22を経て制御室12に高圧燃料を導入するクリアランス42を開閉制御する逆止弁をオリフィスプレート7の内部に設けた構造を採用している。
これによって、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(燃料の噴射期間)中には、逆止弁が流路断面積の大きい燃料導入流路22を閉鎖している。このため、2つの第1、第2オリフィス31、32を有する第2燃料導入経路からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
また、本実施例のインジェクタは、逆止弁のスプール43の移動範囲(特に全開位置)を規制するストッパ(規制部)をインジェクタボディ8の圧力室41の壁面により構成している。これにより、実施例1及び2のストッパ48を廃止できる。また、スプール43の大径ランド51の円錐シート面52が着座するシート部53をオリフィスプレート7の第2密着面に設けているので、シート部53の加工作業を容易化できる。これにより、更なる製造コストの低減が可能となる。
なお、実施例2のように、スプール43の内部にスプール軸を貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔を第2オリフィス32を有する燃料導入流路23として使用しても良い。
図6は本発明の実施例4を示したもので、図6(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図6(b)はストッパに形成される十字溝を示した図である。ここで、図6(a)は、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、中間弁が閉弁し、ニードル4が開弁して、燃料を噴孔3から噴射している状態を示している。
本実施例のインジェクタは、オリフィスプレート7の第2密着面の中央部に設けられたバルブシート面(第1シート部:以下シート面55と言う)に対して着座、離脱して燃料排出流路(第1弁孔)28を閉鎖、開放する電磁制御弁(第1制御弁)と、オリフィスプレート7のシート部(第2シート部)56に対して着座、離脱してクリアランス(第2弁孔)42を閉鎖、開放する逆止弁(第2制御弁)と、オリフィスプレート7の第1密着面の中央部に設けられたバルブシート面(第3シート部:以下シート面57と言う)に対して着座、離脱して燃料導入流路(第3弁孔)22を閉鎖、開放する中間弁(第3制御弁)とを備えている。
中間弁は、制御室12の内部に設置されて、燃料導入流路22を開閉制御する第3制御弁を構成する。この中間弁は、燃料導入流路22を開閉するプレート(プレート状のバルブ)61、およびこのプレート61を弁孔閉弁方向に付勢するスプリング(プレート付勢手段、第3スプリング)62を有している。
プレート61は、制御室12の内部を図示上下方向に往復移動する。つまりプレート61は、オリフィスプレート7のシート面57に対して着座、離脱して燃料導入流路22を閉鎖、開放するプレート状のバルブである。また、プレート61には、その板厚方向(移動方向)に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、制御室12と第3オリフィス33を有する燃料排出流路27、28とを連通する第4オリフィス34として使用される。なお、第4オリフィス34の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されており、また、第2オリフィス32の流路断面積よりも大きく設定されている。
ここで、制御室12は、内部の燃料がプレート61に弁孔閉弁方向の閉弁力(油圧力)を加える第1圧力室を構成している。また、燃料導入流路22は、内部の燃料がプレート61に弁孔開弁方向の開弁力(油圧力)を加える第2圧力室を構成している。
スプリング62は、プレート61に弁孔閉弁方向の付勢力(閉弁力)を与える閉弁力付与手段である。
なお、ニードル4の軸線方向の図示上端部(ニードル4の頭頂部)には、中間弁のプレート61の移動範囲(特に全開位置)を規制する円板状のストッパ(規制部)63が設けられている。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、ECU9から燃料噴射開始指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がONされて、図6(a)に示したように、電磁制御弁が開弁する。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例1と同様に、第3オリフィス33を通過する燃料による霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出され、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁が閉弁する。
このとき、中間弁のプレート61が燃料導入流路22を閉じている。このため、制御室12が、第4オリフィス34、燃料排出流路27、第3オリフィス33、背圧室46、第2オリフィス32、燃料導入流路23を介して燃料供給流路16に連通していても、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
また、ECU9から燃料噴射終了指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がOFFされて、電磁制御弁が閉弁する。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例1と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路23→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から圧力室41→クリアランス42→中間室47→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。このとき、燃料導入流路22より制御室12の内部に流入する燃料圧力によって、中間弁のプレート61が押し下げられる。これによって、中間弁のプレート61が開弁するため、燃料導入流路22からプレート61の外周とシリンダ5の内周との間のクリアランスを経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。このため、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
ここで、中間弁のプレート61は、燃料の噴射開始時に逆止弁が閉じるまで、燃料供給流路16から圧力室41→クリアランス42→中間室47→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に高圧燃料が流入することを防止できる。これにより、燃料の噴射開始時に逆止弁が閉じるまでの期間における、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て電磁制御弁側の燃料排出流路29側への燃料流出量を減少できる利点がある。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、中間弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(燃料の噴射期間)中には、逆止弁および中間弁が流路断面積の大きい燃料導入流路22を閉鎖している。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
図7は本発明の実施例5を示したもので、図7(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図7(b)はストッパに形成される十字溝を示した図である。ここで、図7(a)は、電磁制御弁が閉弁し、逆止弁が開弁し、ニードル4が閉弁している状態を示している。
本実施例の燃料導入経路は、燃料供給流路16から逆止弁(圧力室41、クリアランス42、中間室47)を経て制御室12に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および燃料供給流路16から逆止弁(中間室47)を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有している。
第1燃料導入経路は、燃料供給流路16から高圧燃料が導入される圧力室41、この圧力室41から中間室47に高圧燃料を導入するクリアランス42、中間室47から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)25を有している。燃料導入流路25は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路25は、中間室47の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
第2燃料導入経路は、燃料供給流路16から逆止弁の中間室47に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第2燃料導入流路)23、および第1燃料導入経路と兼ねる燃料導入流路(第2燃料導入流路)25を有している。
燃料導入流路23は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この燃料導入流路23は、燃料供給流路16の分岐部と中間室47の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。また、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端には、燃料供給流路16と中間室47とを連通する第2オリフィス32が設けられている。この第2オリフィス32は、スプール43の軸線方向に対して直交する方向に形成されて、中間室47に直接連絡している。また、第2オリフィス32は、燃料導入流路23の燃料流方向の下流端の流路断面積を絞るように設けられている。また、第2オリフィス32は、中間室47に臨むように中間室47のスプール孔壁面で開口している。
本実施例の燃料排出経路は、制御室12から電磁制御弁に燃料を排出(流出)させる第1燃料排出経路、および電磁制御弁からインジェクタボディ8のアウトレットポートに燃料を排出(流出)させる第2燃料排出経路を有している。
第1燃料排出経路は、燃料排出流路(第1燃料排出流路)27、28、および背圧室46と第3オリフィス33とを連通する連通路を有している。また、燃料排出流路27と燃料排出流路28との間、つまり第1燃料排出経路の中間部には、第1、第2オリフィス31、32の流路断面積よりも大きい流路断面積を有する第3オリフィス33が設けられている。
連通路は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の合流部とを連通する燃料流路孔である。また、本実施例の連通路は、この連通路全体が、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31を構成している。この第1オリフィス31は、連通路の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31の一方側は、背圧室46に臨むように背圧室46のスプール孔壁面で開口している。また、第1オリフィス31の他方側は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
また、第3オリフィス33の流路断面積は、燃料導入流路25の流路断面積よりも小さく設定されている。また、燃料導入流路25の流路断面積は、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積よりも小さく設定されている。また、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積は、燃料供給流路16〜18の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第3オリフィス33の流路断面積をS3とし、燃料導入流路25の流路断面積をS4とし、逆止弁の開弁時におけるクリアランス42の流路断面積をS5とし、燃料供給流路16〜18の流路断面積をS6としたとき、S3<S4<S5<S6の関係を満足している。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、ECU9から燃料噴射開始指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がONされて、電磁制御弁が開弁する。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例1と同様に、第3オリフィス33を通過する燃料による霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出され、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁が閉弁する。
ここで、第2オリフィス32の流路断面積が、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さくなるように形成されている。これにより、燃料供給流路16から燃料導入流路23→第2オリフィス32→中間室47→燃料導入流路25を経て制御室12の内部に流入する燃料の流量よりも、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28を経て燃料排出流路29側に流出する燃料の流量の方が多いので、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
また、ECU9から燃料噴射終了指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がOFFされて、図7(a)に示したように、電磁制御弁が閉弁する。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例1と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路23→第2オリフィス32→中間室47→燃料導入流路25→制御室12→燃料排出流路27→第3オリフィス33→第1オリフィス31を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から圧力室41→クリアランス42→中間室47→燃料導入流路25を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。これによって、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
以上のように、本実施例のインジェクタにおいては、電磁制御弁の閉弁後における背圧室46内の燃料圧力の低下を実施例1と比べて一層早くできる。その結果として、背圧室46内の燃料圧力が実施例1よりも素早く低下するため、逆止弁の閉弁が早くなり、燃料の噴射開始時刻を早めることができる。つまりニードル4の開弁応答性を向上することができる。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(燃料の噴射期間)中には、逆止弁が流路断面積の大きいクリアランス42を閉鎖している。このため、第2オリフィス32を有する燃料導入流路23からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
図8は本発明の実施例6を示したもので、図8(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図8(b)はストッパに形成される十字溝を示した図である。ここで、図8(a)は、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁して、燃料を噴孔3から噴射している状態を示している。
本実施例のインジェクタは、オリフィスプレート7のバルブシート面に対して着座、離脱して燃料排出流路(第1弁孔)28を閉鎖、開放する電磁制御弁(第1制御弁)と、オリフィスプレート7のバルブシート面に対して着座、離脱して燃料導入流路(第2弁孔)22を閉鎖、開放する逆止弁(第2制御弁)とを備えている。
本実施例の逆止弁は、燃料導入経路に設置されて、燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁を構成する。この逆止弁は、内部に中空部(内部空間)が形成されたバルブボディ、燃料導入流路22を開閉するプレート71、およびこのプレート71を弁孔開弁方向に付勢するスプリング(プレート付勢手段、第2スプリング)72を有している。
バルブボディは、オリフィスプレート7およびインジェクタボディ8等により構成されている。
中空部は、オリフィスプレート7の第2密着面で開口した凹部(スプリング収容室、第1圧力室:以下背圧室46と言う)、およびインジェクタボディ8の第2結合面で開口した凹部(プレート(バルブ)収容室、第2圧力室:以下圧力室41と言う)等により構成されている。また、中空部(圧力室41、背圧室46)は、オリフィスプレート7の板厚方向(燃料排出流路27、28の軸線方向に対して平行な方向、ニードル4の移動方向に対して平行な方向)に延びるように設けられている。
なお、背圧室46は、その流路断面積が、圧力室41の流路断面積よりも小さくなるように設定されている。これにより、オリフィスプレート7は、燃料導入流路22および背圧室46の燃料導入ポートの開口周縁部に、プレート71が着座可能なバルブシート面(以下シート面73と言う)を有している。このシート面73は、平面研削加工等により平面化された平面形状の弁座である。
プレート71は、圧力室41の内部を図示上下方向に往復移動する。つまりプレート71は、オリフィスプレート7のシート面73に対して着座、離脱して燃料導入流路22(圧力室41の燃料流出ポート)および背圧室46の燃料導入ポートを閉鎖、開放するプレート状のバルブである。また、プレート71には、その板厚方向(移動方向)に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、圧力室41と背圧室46とを連通する第2オリフィス32として使用される。
背圧室46の内部に収容されるスプリング72は、逆止弁のプレート71に弁孔開弁方向の付勢力(開弁力:F4)を与える開弁力付与手段である。また、背圧室46内の燃料圧力(背圧室圧)は、逆止弁のプレート71に弁孔開弁方向の油圧力(開弁力:F5)を加える。また、圧力室41内の燃料圧力(高圧室圧)は、逆止弁のプレート71に弁孔閉弁方向の油圧力(閉弁力:F6)を加える。
また、圧力室41の壁面(オリフィスプレート7のシート面73に対向する対向面)には、プレート71の移動範囲(特に全開位置)を規制する円板状のストッパ(規制部)74が設けられている。
ここで、ストッパ74は、円板形状のプレート71よりも小さい外径を有している。このストッパ74には、少なくともプレート71がストッパ74に当接している際(プレート71の開弁時)に、内部を高圧燃料が流通する十字溝75が形成されている。この十字溝75は設けなくても構わない。
なお、逆止弁の燃料導入流路22および背圧室46の燃料導入ポートは、オリフィスプレート7のシート面73で開口している。
本実施例の燃料導入経路は、燃料供給流路16から逆止弁を経て制御室12に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および燃料供給流路16から逆止弁、第3オリフィス33、燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有している。 第1燃料導入経路は、燃料供給流路16から圧力室41に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)21、この燃料導入流路21から高圧燃料が導入される圧力室41、逆止弁の開弁時にプレート71とシート面73との間に形成されるクリアランス(逆止弁のプレート71の外周とインジェクタボディ8の圧力室壁面との間のクリアランスを含む)、このクリアランスを介して圧力室41から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)22を有している。
燃料導入流路21は、オリフィスプレート7の第2密着面とインジェクタボディ8の第2結合面で開口した連通溝の溝底面との間に形成されている。この燃料導入流路21は、燃料供給流路16の分岐部と圧力室41の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔(連通路)である。
燃料導入流路22は、オリフィスプレート7をその板厚方向に貫通するように形成されている。この燃料導入流路22は、背圧室46を迂回して、圧力室41の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
第2燃料導入経路は、第1燃料導入経路と兼ねる燃料導入流路21、この燃料導入流路21から高圧燃料が導入される圧力室41、この圧力室41と背圧室46とを連通する第2オリフィス32、および背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の連通ポートとを連通する連通路24を有している。
連通路24は、オリフィスプレート7の内部に形成されている。この連通路24は、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する燃料流路孔である。また、連通路24の第3オリフィス側端部には、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31が設けられている。この第1オリフィス31は、連通路24の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、ECU9から燃料噴射開始指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がONされて、図8(a)に示したように、電磁制御弁が開弁する。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例1と同様に、第3オリフィス33を通過する燃料による霧吹き効果(エジェクタ効果)で、第3オリフィス33に臨むように開口している第1オリフィス31から背圧室46の内部に充満していた燃料が吸い出され、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁のプレート71がオリフィスプレート7のシート面73に着座する。つまり逆止弁が閉弁する。
そして、逆止弁が閉弁すると、制御室12の内部に充満していた燃料は、制御室12から燃料排出流路27→第3オリフィス33→燃料排出流路28→燃料排出流路29→アウトレットポート→燃料戻し配管を経て燃料タンクに戻される。このため、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
また、ECU9から燃料噴射終了指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がOFFされて、電磁制御弁が閉弁する。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例1と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路21→圧力室41→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁のプレート71がストッパ74に当接する位置までリフトする。つまり逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から燃料導入流路21→圧力室41→クリアランス→燃料導入流路22を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。これによって、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、実施例1と同様に、プレート71によって燃料導入流路22を開閉制御する逆止弁を圧力室41の内部に設けた構造を採用している。
これによって、実施例1と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間)中には、逆止弁が流路断面積の大きい燃料導入流路22を閉鎖している。このため、2つの第1、第2オリフィス31、32を有する第2燃料導入経路からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
また、本実施例のインジェクタにおいては、実施例1〜5に対し、逆止弁を円錐形状のシート面形状から平板形状のシート面73に変更し、また、第2オリフィス32を逆止弁のプレート71の内部に形成している。これにより、実施例1と比べて、インジェクタ、特に逆止弁、オリフィスプレート7の製造コストを低減することができる。
図9は本発明の実施例7を示したもので、図9(a)はインジェクタのオリフィスプレート周辺部を示した図で、図9(b)はストッパに形成される十字溝を示した図である。ここで、図9(a)は、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁して、燃料を噴孔3から噴射している状態を示している。
本実施例の逆止弁は、内部に中空部(内部空間)が形成されたバルブボディ、背圧室46の燃料導入ポート(第2弁孔)を開閉するプレート71、およびこのプレート71を弁孔開弁方向に付勢するスプリング72を有している。
バルブボディは、オリフィスプレート7およびインジェクタボディ8等により構成されている。
なお、背圧室46の燃料導入ポートの開口周縁部には、プレート71が着座可能なシート面73が設けられている。また、背圧室46の燃料導入ポートは、オリフィスプレート7のシート面73で開口している。
プレート71は、オリフィスプレート7のシート面73に対して着座、離脱して背圧室46の燃料導入ポートを閉鎖、開放するプレート状のバルブである。また、プレート71には、その板厚方向(移動方向)に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔は、圧力室41と背圧室46とを連通する第2オリフィス32として使用される。
本実施例の燃料導入経路は、燃料供給流路16から逆止弁を経て制御室12に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および燃料供給流路16から逆止弁、第3オリフィス33、燃料排出流路27を経て制御室12に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有している。 第1燃料導入経路は、燃料供給流路16から圧力室41に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)21、この燃料導入流路21から高圧燃料が導入される圧力室41、逆止弁の開弁時にプレート71とシート面73との間に形成されるクリアランス(逆止弁のプレート71の外周とインジェクタボディ8の圧力室壁面との間のクリアランスを含む)、このクリアランスを介して背圧室46から制御室12に高圧燃料を導入する燃料導入流路(第1燃料導入流路)26を有している。
燃料導入流路21は、燃料供給流路16の分岐部と圧力室41の燃料導入ポートとを連通する燃料流路孔である。
燃料導入流路26は、背圧室46の燃料流出ポートと制御室12の燃料導入ポートとを連通すると共に、オリフィスプレート7の板厚方向に真っ直ぐに延びる燃料流路孔である。
第2燃料導入経路は、第1燃料導入経路と兼ねる燃料導入流路21、この燃料導入流路21から高圧燃料が導入される圧力室41、この圧力室41と背圧室46とを連通する第2オリフィス32、および背圧室46と第3オリフィス33とを連通する連通路24を有している。
連通路24は、背圧室46の連通ポートと第3オリフィス33の連通ポートとを連通する燃料流路孔である。また、連通路24の第3オリフィス側端部には、背圧室46と第3オリフィス33とを連通する第1オリフィス31が設けられている。この第1オリフィス31は、連通路24の流路断面積を絞るように設けられている。また、第1オリフィス31は、第3オリフィス33に臨むように第3オリフィス33の絞り孔壁面で開口している。
また、第1オリフィス31の流路断面積は、第3オリフィス33の流路断面積よりも小さく設定されている。また、第2オリフィス32の流路断面積は、第1オリフィス31の流路断面積よりも小さく設定されている。すなわち、第2オリフィス32の流路断面積をS1とし、第1オリフィス31の流路断面積をS2とし、第3オリフィス33の流路断面積をS3としたとき、S1<S2<S3の関係を満足している。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、ECU9から燃料噴射開始指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がONされて、図9(a)に示したように、電磁制御弁が開弁する。
そして、電磁制御弁が開弁すると、実施例6と同様に、背圧室46内の燃料圧力が急激に低下する。これによって、F4+F5<F6が成立して、圧力室41内の燃料圧力による弁孔閉弁方向の閉弁力によって逆止弁が閉弁する。
そして、逆止弁が閉弁すると、制御室12の内部に充満していた燃料が、制御室12から流出して燃料タンクに戻されるため、制御室12内の燃料圧力は素早く低下する。これにより、ニードル4の開弁を早めることができる。
また、ECU9から燃料噴射終了指令が出力されると、電磁制御弁のソレノイドのコイル39がOFFされて、電磁制御弁が閉弁する。
そして、電磁制御弁が閉弁すると、実施例6と同様に、制御室12から燃料排出流路29への燃料流出が停止するため、コモンレール2から燃料供給流路16→燃料導入流路21→圧力室41→第2オリフィス32を経て背圧室46の内部に流入する高圧燃料が背圧室46内の燃料圧力を回復させる。これによって、F4+F5>F6が成立して、スプリング44の付勢力による弁孔開弁方向の開弁力によって逆止弁が開弁する。
逆止弁が開弁すると、燃料供給流路16から燃料導入流路21→圧力室41→クリアランス→背圧室46→燃料導入流路26を経て制御室12の内部に高圧燃料が導入される。これによって、制御室12内の燃料圧力が素早く上昇する。これにより、ニードル4の閉弁も早めることができる。
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムに使用されるディーゼルエンジン用のインジェクタにおいては、実施例1及び6と同様に、プレート71によって背圧室46の燃料導入ポートを開閉制御する逆止弁を圧力室41の内部に設けた構造を採用している。
これによって、実施例1及び6と同様に、電磁制御弁を開弁してからニードル4が開弁するまでの期間(開弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の開弁応答性を向上できる。また、実施例1及び6と同様に、電磁制御弁を閉弁してからニードル4が閉弁するまでの期間(閉弁応答時間)を短縮できる。これにより、ニードル4の閉弁応答性を向上できる。
また、電磁制御弁が開弁し、逆止弁が閉弁し、ニードル4が開弁している期間(エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間)中には、逆止弁が流路断面積の大きいクリアランスを閉鎖している。このため、少なくとも第2オリフィス32からしか制御室12内の燃料圧力に影響を与えない。これにより、ニードル4の開弁に伴って圧力変動が発生した場合であっても、制御室12内の燃料圧力は、実施例1及び6と同様に、低圧を維持できる。したがって、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射期間中にニードル4が閉弁するような異常噴射動作を防止することができる。
また、電磁制御弁の閉弁時に背圧室46の圧力が制御室12と連通していることから、実施例4よりも背圧室46の圧力低下が遅れるが、制御室12の圧力低下は早まる。故に、噴射開始遅れは、実施例4と同等にできて、燃料導入流路26の形成が容易になり、製造価格を低減することができる。
[変形例]
本実施例では、逆止弁をオリフィスプレート7に構成しているが、逆止弁をインジェクタボデー8の内部、あるいはノズルボディ6の内部に構成しても良い。
本実施例では、第1制御弁として、電磁アクチュエータによりバルブが駆動される電磁制御弁を採用しているが、燃料排出経路を開閉して制御室12内の燃料圧力を増減するバルブを駆動できる駆動装置であれば、電動アクチュエータ、ピエゾアクチュエータ、負圧作動式アクチュエータ等の他のアクチュエータを備えた制御弁を採用しても良い。
1 サプライポンプ(高圧発生部)
2 コモンレール(高圧発生部)
3 インジェクタ(燃料噴射装置)の噴孔
4 インジェクタ(燃料噴射装置)のニードル
7 オリフィスプレート(バルブボディ)
10 インジェクタ(燃料噴射装置)のスプリング(ニードル付勢手段)
11 インジェクタ(燃料噴射装置)のノズル室
12 インジェクタ(燃料噴射装置)の制御室(第1圧力室)
16 燃料供給流路(燃料供給経路)
17 燃料供給流路(燃料供給経路)
18 燃料供給流路(燃料供給経路)
21 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路)
22 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路、第2、第3弁孔、第2圧力室)
23 燃料導入流路(燃料導入経路、第2燃料導入経路)
24 連通路(燃料導入経路、第2燃料導入経路)
25 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路)
26 燃料導入流路(燃料導入経路、第1燃料導入経路)
27 燃料排出流路(燃料排出経路)
28 燃料排出流路(燃料排出経路、電磁制御弁(第1制御弁)の弁孔(第1弁孔)) 29 燃料排出流路(燃料排出経路)
31 第1オリフィス(第1入口絞り、第1入口オリフィス)
32 第2オリフィス(第2入口絞り、第2入口オリフィス)
33 第3オリフィス(出口絞り、出口オリフィス)
35 電磁制御弁(第1制御弁)のバルブ
37 電磁制御弁(第1制御弁)のスプリング(バルブ付勢手段、第1スプリング)
39 電磁制御弁(第1制御弁)のコイル(ソレノイド)
41 逆止弁(第2制御弁)の圧力室
42 逆止弁(第2制御弁)のクリアランス(弁孔、第2弁孔)
43 逆止弁(第2制御弁)のスプール(スプールバルブ)
44 逆止弁(第2制御弁)のスプリング(スプール付勢手段、第2スプリング)
45 スプールの中径ランド(摺動部)
46 逆止弁(第2制御弁)の背圧室(スプール孔、中空部)
47 逆止弁(第2制御弁)の中間室(スプール孔、中空部)
61 中間弁(第3制御弁)のプレート(プレート状のバルブ)
62 中間弁(第3制御弁)のスプリング(プレート付勢手段、第3スプリング)
71 逆止弁(第2制御弁)のプレート(プレート状のバルブ)
72 逆止弁(第2制御弁)のスプリング(プレート付勢手段、第2スプリング)

Claims (20)

  1. (a)内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、
    (b)内部の燃料が前記ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、
    (c)内部の燃料が前記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える制御室と、
    (d)前記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するニードル付勢手段と、
    (e)高圧燃料を発生させる高圧発生部から前記ノズル室に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、
    (f)この燃料供給経路から前記制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、
    (g)前記制御室から燃料を排出させる燃料排出経路と、
    (h)この燃料排出経路に設置されて、前記燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、
    (i)前記燃料導入経路に設置されて、前記燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備え、
    前記第1制御弁を閉弁または開弁して前記制御室内の燃料圧力を増減することで、前記ニードルを閉弁または開弁させて燃料の噴射制御を行う燃料噴射装置において、
    前記第2制御弁は、前記制御室に燃料を導入する弁孔を開閉するスプール、内部の燃料が前記スプールに弁孔開弁方向の力を加える背圧室、内部の燃料が前記スプールに弁孔閉弁方向の力を加える圧力室、前記弁孔を介して前記圧力室と前記制御室とを連通する中間室、および前記スプールを弁孔開弁方向に付勢するスプール付勢手段を有し、
    前記圧力室は、前記燃料供給経路に連通し、前記高圧発生部から高圧燃料が供給されており、
    前記燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔、前記中間室を経て前記制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および前記燃料供給経路から前記背圧室、前記燃料排出経路を経て前記制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有し、
    前記燃料排出経路は、前記制御室と前記第1制御弁とを連通する出口絞りを有し、
    前記第2燃料導入経路は、前記出口絞りに臨むように開口し、前記背圧室と前記出口絞りとを連通する第1入口絞り、および前記燃料供給経路と前記背圧室とを連通する第2入口絞りを有し、
    前記第1入口絞りの流路断面積は、前記出口絞りの流路断面積よりも小さく設定されており、
    前記第2入口絞りの流路断面積は、前記第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路から前記背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有し、
    前記第2入口絞りは、前記背圧室に臨むように開口し、前記燃料導入流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路から前記圧力室を経て前記背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有し、
    前記第2入口絞りは、前記背圧室に臨むように開口し、前記燃料導入流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 請求項3に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2制御弁は、前記スプールを往復移動可能に収容するスプール孔が形成されたバルブボディを有し、
    前記スプールは、その移動方向に貫通する貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、前記燃料導入流路として使用されることを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 請求項1に記載の燃料噴射装置において、
    前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路から前記背圧室に高圧燃料を導入する燃料導入流路、および前記背圧室と前記出口絞りとを連通する連通路を有し、
    前記第1入口絞りは、前記連通路に設置されており、
    前記第2入口絞りは、前記燃料導入流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
    前記燃料排出経路は、前記制御室から燃料を排出する燃料排出流路を有し、
    前記出口絞りは、前記燃料排出流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
    前記第1燃料導入経路は、前記中間室から前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有し、
    前記制御室に設置されて、前記燃料導入流路を開閉制御する第3制御弁を備え、
    前記第3制御弁は、前記燃料導入流路の制御室側開口を開閉するプレート、およびこのプレートを開口閉弁方向に付勢するプレート付勢手段を有し、
    前記制御室は、内部の燃料が前記プレートに開口閉弁方向の力を加える第1圧力室を構成し、
    前記燃料導入流路は、内部の燃料が前記プレートに開口開弁方向の力を加える第2圧力室を構成し、
    前記プレートは、その板厚方向に貫通する貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、前記制御室と前記出口絞りとを連通するオリフィスとして使用されることを特徴とする燃料噴射装置。
  8. (a)内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、
    (b)内部の燃料が前記ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、
    (c)内部の燃料が前記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える制御室と、
    (d)前記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するニードル付勢手段と、
    (e)高圧燃料を発生させる高圧発生部から前記ノズル室に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、
    (f)この燃料供給経路から前記制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、
    (g)前記制御室から燃料を排出させる燃料排出経路と、
    (h)この燃料排出経路に設置されて、前記燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、
    (i)前記燃料導入経路に設置されて、前記燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備え、
    前記第1制御弁を閉弁または開弁して前記制御室内の燃料圧力を増減することで、前記ニードルを閉弁または開弁させて燃料の噴射制御を行う燃料噴射装置において、
    前記第2制御弁は、前記制御室に燃料を導入する弁孔を開閉するスプール、内部の燃料が前記スプールに弁孔開弁方向の力を加える背圧室、内部の燃料が前記スプールに弁孔閉弁方向の力を加える圧力室、前記弁孔を介して前記圧力室と前記制御室とを連通する中間室、および前記スプールを弁孔開弁方向に付勢するスプール付勢手段を有し、
    前記圧力室は、前記燃料供給経路に連通し、前記高圧発生部から高圧燃料が供給されており、
    前記燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔、前記中間室を経て前記制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および前記燃料供給経路から前記中間室を経て前記制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有し、
    前記燃料排出経路は、前記制御室と前記第1制御弁とを連通する出口絞り、および前記出口絞りに臨むように開口し、前記背圧室と前記出口絞りとを連通する第1入口絞りを有し、
    前記第2燃料導入経路は、前記燃料供給経路と前記中間室とを連通する第2入口絞りを有し、
    前記第1入口絞りの流路断面積は、前記出口絞りの流路断面積よりも小さく設定されており、
    前記第2入口絞りの流路断面積は、前記第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  9. 請求項8に記載の燃料噴射装置において、
    前記燃料排出経路は、前記制御室から燃料を排出する燃料排出流路を有し、
    前記出口絞りは、前記燃料排出流路に設置されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  10. 請求項8または請求項9に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1燃料導入経路および前記第2燃料導入経路は、前記中間室から前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有していることを特徴とする燃料噴射装置。
  11. 請求項2ないし請求項5、請求項10のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
    前記出口絞りの流路断面積は、前記燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  12. 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
    前記背圧室の容積は、前記制御室の容積よりも小さく形成されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  13. (a)内燃機関の燃焼室に燃料を噴射する噴孔を開閉するニードルと、
    (b)内部の燃料が前記ニードルに噴孔開弁方向の力を加えるノズル室と、
    (c)内部の燃料が前記ニードルに噴孔閉弁方向の力を加える制御室と、
    (d)前記ニードルを噴孔閉弁方向に付勢するニードル付勢手段と、
    (e)高圧燃料を発生させる高圧発生部から前記ノズル室に高圧燃料を供給する燃料供給経路と、
    (f)この燃料供給経路から前記制御室に高圧燃料を流入させる燃料導入経路と、
    (g)前記制御室から燃料を排出させる燃料排出経路と、
    (h)この燃料排出経路に設置されて、前記燃料排出経路を開閉制御する第1制御弁と、
    (i)前記燃料導入経路に設置されて、前記燃料導入経路を開閉制御する第2制御弁とを備え、
    前記第1制御弁を閉弁または開弁して前記制御室内の燃料圧力を増減することで、前記ニードルを閉弁または開弁させて燃料の噴射制御を行う燃料噴射装置において、
    前記第2制御弁は、前記制御室に燃料を導入する弁孔を開閉するプレート、内部の燃料が前記プレートに弁孔開弁方向の力を加える背圧室、内部の燃料が前記プレートに弁孔閉弁方向の力を加える圧力室、および前記プレートを弁孔開弁方向に付勢するプレート付勢手段を有し、
    前記圧力室は、前記燃料供給経路に連通し、前記高圧発生部から高圧燃料が供給されており、
    前記燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔を経て前記制御室に燃料を流入させる第1燃料導入経路、および前記圧力室から前記背圧室、前記燃料排出経路を経て前記制御室に燃料を流入させる第2燃料導入経路を有し、
    前記燃料排出経路は、前記制御室と前記第1制御弁とを連通する出口絞りを有し、
    前記第2燃料導入経路は、前記出口絞りに臨むように開口し、前記背圧室と前記出口絞りとを連通する第1入口絞り、および前記圧力室と前記背圧室とを連通する第2入口絞りを有し、
    前記第1入口絞りの流路断面積は、前記出口絞りの流路断面積よりも小さく設定されており、
    前記第2入口絞りの流路断面積は、前記第1入口絞りの流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  14. 請求項13に記載の燃料噴射装置において、
    前記プレートは、その板厚方向に貫通する貫通孔を有し、
    前記貫通孔は、前記第2入口絞りとして使用されることを特徴とする燃料噴射装置。
  15. 請求項13または請求項14に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔を経て前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有していることを特徴とする燃料噴射装置。
  16. 請求項15に記載の燃料噴射装置において、
    前記燃料導入流路は、前記圧力室の壁面、あるいは前記プレートが着座可能なシート面で開口していることを特徴とする燃料噴射装置。
  17. 請求項13または請求項14に記載の燃料噴射装置において、
    前記第1燃料導入経路は、前記圧力室から前記弁孔、前記背圧室を経て前記制御室に高圧燃料を導入する燃料導入流路を有していることを特徴とする燃料噴射装置。
  18. 請求項17に記載の燃料噴射装置において、
    前記燃料導入流路は、前記背圧室の壁面で開口していることを特徴とする燃料噴射装置。
  19. 請求項15ないし請求項18のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
    前記出口絞りの流路断面積は、前記燃料導入流路の流路断面積よりも小さく設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
  20. 請求項13ないし請求項19のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射装置において、
    前記背圧室の容積は、前記制御室の容積よりも小さく形成されていることを特徴とする燃料噴射装置。
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