以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る液晶プロジェクタ1の全体構成を表すものである。液晶プロジェクタ1は、反射型の液晶パネルを用いて映像の投射表示を行う液晶プロジェクタである。なお、本発明の映像表示方法は、本実施の形態の液晶プロジェクタ1の説明によって具現化されるため、その説明を省略する。
液晶プロジェクタ1は、ランプ11、コリメータレンズ12、色分解光学系13、フライアイレンズ部14、コンデンサレンズ15、フィールドレンズ16、偏光分離プリズム17、液晶パネル18A,18B、位相差板19、投射レンズ20を備えている。このような構成により、ランプ11からの光を液晶パネル18A,18Bによって変調、反射させて映像光を生成し、これを偏光スクリーン21に投射して表示が行われるようになっている。そして、この液晶プロジェクタ1によって偏光スクリーン21に映し出された映像光を、偏光めがね(後述)を用いて観察することで、人間の眼には3次元の映像として認識される。なお、以下、「光軸」という場合には、上記光学系の光学中心同士を結んだ軸をいうものとする。
ランプ11は、白色光を発する光源であり、例えば発光体と凹面鏡(反射鏡)とを含んで構成されている。発光体としては、可視光の全波長領域に亘って連続な発光スペクトルを有するランプ、例えば、UHPランプなどの高圧水銀ランプが用いられる。この他に、メタルハライド系のランプ、超高圧水銀ランプ、高圧ナトリウムランプ、蛍光ランプなどを用いてもよい。凹面鏡は、できるだけ集光効率の高い形状、例えば、楕円面鏡(楕円REF)であることが望ましい。また、このようなランプを光源として用いた場合には、光発散角が大きくなり、混色を生じて色純度が低下することがあるため、アパーチャ11Aを設けることが好ましい。
コリメータレンズ12は、ランプ11からの発散光束を光軸とほぼ平行な光束に変換するものである。このコリメータレンズ12は、ランプ11に楕円REFランプを用いた場合には、その第2焦点位置に配置されるようにするとよい。なお、ランプ11とコリメータレンズ12との間には、図示しない紫外線カットフィルタや赤外線カットフィルタなどの光学フィルタが設けられていてもよい。
色分解光学系13は、例えば色分解プリズム13−1、ダイクロイックミラー13R,13Bにより構成され、ランプ11からの光L1を、赤色(R:Red)の光LR、緑色(G:Green)の光および青色(B:Blue)の光LBの3色の光に分解するようになっている。
色分解プリズム13−1は、特定の波長領域の光を透過させ、それ以外の波長領域の光を反射させるダイクロイックプリズムであり、例えば、光LGを光L1の入射方向に平行な方向(図1のZ方向)に透過させる一方、光LR,LBを光L1の入射方向と直交する方向(図1のX方向)に反射させるようになっている。
ダイクロイックミラー13R,13Bは、特定の波長領域の光のみを反射し、それ以外の波長領域の光を透過させるミラーである。上記色分解プリズム13−1によりx方向に反射された光LRおよび光LBはそれぞれ、ダイクロイックミラー13Rおよびダイクロイックミラー13Bによって、Z方向に向けて反射される。
フライアイレンズ部14は、第1レンズアレイ141および第2レンズアレイ142から構成されている。このフライアイレンズ部14は、光束を拡散させ、液晶パネル18A,18Bにおける面内輝度分布を均一化するためのものである。
コンデンサレンズ15は、フライアイレンズ部14から射出された複数の小光束を集光するためのものである。このコンデンサレンズ15により、光LGは光軸に平行な方向、光LRおよび光LBは光LGに対して斜め方向に屈折されて射出される。
フィールドレンズ16は、コンデンサレンズ15によってそれぞれ集光された光LR,LG,LBを平行光に近づけるために設けられるものである。また、このフィールドレンズ16、前述のフライアイレンズ14およびコンデンサレンズ15によって、液晶パネル18A,18Bへ入射する際の入射角および光発散角α(いずれも後述)が決定される。
偏光分離プリズム17は、一方の偏光を透過させ他方の偏光を反射させることにより、フィールドレンズ16から出射した光LR,LG,LBをそれぞれ、p偏光(図1中、点線で示す)とs偏光(図1中、一点鎖線で示す)とに分離するようになっている。この偏光分離プリズム17の詳細な構成については後述する。
液晶パネル18A,18Bは、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの反射型の光変調素子であり、偏光分離プリズム17によって分離されたp偏光およびs偏光をそれぞれ所定の映像信号に基づいて変調させつつ、反射させることにより、入射側と同一の側へ映像光を射出させるようになっている。この液晶パネル18A,18Bの詳細な構成については後述する。
位相差板19は、例えば広帯域(広波長範囲対応)の1/4波長板であり、複屈折現象を呈する合成樹脂等によって構成されている。また、その光学軸が、入射光の偏光方向と45°の角度をなすように配置されており、これにより、入射光LR,LG,LBが円偏光に変換されて射出されるようになっている。
投射レンズ20は、位相差板19から射出した光LR,LG,LBを集光して偏光スクリーン21上に投射するものである。
偏光スクリーン21は、偏光方向を保存反射可能なスクリーン、例えばアルミニウム(Al)などにより構成されている。この偏光スクリーンとしては、例えば(株)有沢製作所製の偏光スクリーンなどを用いることができる。但し、偏光方向を保存反射可能なものであれば、部屋の壁、机の天板などを利用することもできる。
偏光めがねは、右眼と左眼に互いに直交する偏光成分をそれぞれ透過させることができるものであり、偏光透過軸が互いに直交するように左右に配置された一対の偏光フィルタなどから構成されている。例えば、本実施の形態では、右眼用の映像光A1がs偏光、左眼用の映像光B1がp偏光となっている(後述)ため、右眼側でs偏光、左眼側でp偏光のみを透過するように構成されている。
次に、図1〜図3を参照して、偏光分離プリズム17および液晶パネル18A,18Bの詳細な構成について説明する。図2は、液晶パネル18Aの概略構成を表す断面図である。図3は、マイクロレンズアレイをX方向からみた平面図である。但し、液晶パネル18Aと液晶パネル18Bの基本的な構成は同じであるため、以下では、主に液晶パネル18Aを例に挙げて説明する。
偏光分離プリズム17は、例えば45度の底角を有する2つの三角プリズムの斜面同士を接合して構成されたものであり、その接合面は、PS分離膜が形成されたPS分離面17aとなっている。これにより、入射方向と平行な方向にp偏光を透過させる一方、入射方向と直交する方向にs偏光を反射させ、偏光分離を行うようになっている。また、この偏光プリズム17では、後述の液晶パネル18A,18Bでそれぞれ生成された右眼用の映像光A1と左眼用の映像光B1とを同一の光路上に合成するようになっている。
この偏光分離プリズム17で分離された3色の光LR,LG,LBのp偏光およびs偏光はそれぞれ、液晶パネル18A,18Bに互いに異なる角度で入射する。例えば、液晶パネル18Aに対して光LGのp偏光が入射角0°で入射する一方、光LRおよび光LBのp偏光の入射角は、それぞれ+ψ,−ψとなっている。なお、具体的には、ψ=5°、8°とすることができる。但し、液晶パネル18Aへの入射角は、基板面に垂直な方向(液晶パネル18AではZ方向に平行な方向)を0°とし、XZ平面上で時計回りをプラス、半時計回りをマイナス(以下、同様とする)とする。
液晶パネル18Aは、複数の表示単位Pを有しており、例えば1.0型のXGA(eXtended Graphics Array)パネルである。この他にも、VGA(Video Graphics Array)やSXGA(Super Extended Graphics Array)などのパネルを用いるようにしてもよい。表示単位Pは、赤(R:Red)を表示する画素PR、緑(G:Green)を表示する画素PGおよび青(B:Blue)を表示する画素PBの3つの画素から構成されている。この液晶パネル18Aは、対向する一対の基板、例えばTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板180(反射側基板)と対向基板181(入射側基板)との間に、液晶層188を封止して構成されている。
このような液晶パネル18Aでは、上述の偏光分離プリズム17によって偏光分離された3色のp偏光を対向基板181側から入射させたのち、右眼用の映像信号に基づいて液晶層188によって変調してTFT基板180側で反射させることにより、右眼用の映像光A1を生成し、対向基板181の側から射出するようになっている。また、本実施の形態では、液晶パネル18Aへ入射する光に対して、液晶パネル18Aから出射する光の偏光方向が90°回転するようになっている。すなわち、p偏光として入射した光は、s偏光となって射出されるようになっている。但し、液晶パネル18Bでは、s偏光を左眼用の映像信号に基づいて変調し、p偏光としての左眼用の映像光B1を生成し射出するようになっている。
TFT基板180は、例えば基板182に、図示しない画素駆動回路が形成され、各画素をそれぞれ駆動するゲート・ソース・ドレイン等を備えたTFTスイッチング素子や、これらに接続されるゲート線やデータ線などの各種配線が設けられ、画素ごとに画素電極183が形成されている。基板182としては、例えば単結晶シリコンや、石英などを用いることができる。画素電極183は、例えばアルミニウム(Al)などの光反射可能な金属により構成され、マイクロレンズの焦点面に配置されている。
液晶層188は、例えばネマティック液晶などの液晶材料により構成され、例えば、VA(Vertical Alignment:垂直配向)モード、TN(Twisted Nematic:ねじれネマティック)モードなどの駆動モードが用いられる。また、この液晶層188において、駆動モードを適宜選択することにより、上述したように、液晶パネル18A,18Bでの入射光と出射光の偏光方向を90°回転させることができる。
対向基板181は、例えば基板184上に、マイクロレンズアレイML1、樹脂層185、マイクロレンズアレイML2、樹脂層186および対向電極187がこの順に形成されたものであり、いずれも光透過性を有する材料により構成されている。また、対向電極187は、各画素PR,PG,PBに共通の電極として設けられ、例えばITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電材料により構成されている。
マイクロレンズアレイML1,ML2はそれぞれ、複数のマイクロレンズが2次元配列したものであり、1つのマイクロレンズに対して、画素PR,PG,PBからなる表示単位Pが割り当てられるようになっている。ここで、図3に、X方向からみたマイクロレンズの平面形状の一例を示す。このように、マイクロレンズの平面形状は、例えば正6角形となっている。この場合、画素PR,PG,PBごとに表示される像(イメージ)は、ドット状(スポット状)となる。なお、このマイクロレンズのレンズ面は、球面収差を抑制するために非球面形状とすることが好ましい。
次に、上記のような構成を有する液晶プロジェクタ1の作用、効果について図1〜3を参照して説明する。
液晶プロジェクタ1では、ランプ11から射出された光L1は、アパーチャ11Aおよびコリメータレンズ12を通過することにより、略平行な光束とされたのち、色分解光学系13としての色分解プリズム13−1に入射する。この色分解プリズム13−1により、光L1のうち、緑色の光LGは入射方向に平行な方向(Z方向)に透過される一方、赤色の光LRおよび青色の光LBは入射方向と直交する方向(X方向)に反射される。このうち、光LRおよび光LBはそれぞれ、ダイクロイックミラー13Rおよびダイクロイックミラー13Bによって、Z方向に進行するように反射される。このようにして、光L1はR,G,Bの3色の色光LR,LG,LBに分解される。
色分解光学系13によって分解された光LR,LG,LBは、フライアイレンズ部14に入射する。これにより、それぞれの光束が拡散されて射出される。よって、液晶パネル18A,18Bへの入射光束が均一化され、面内輝度分布が均一となる。
フライアイレンズ部14を出射した光LR,LG,LBは、コンデンサレンズ15に入射し、このコンデンサレンズ15により集光される。このとき、光LGは、光軸に平行な方向(Z方向)、光LRおよび光LBの主光線は斜め方向に屈折される。
コンデンサレンズ15を出射した光LR,LG,LBは、フィールドレンズ16に入射すると、平行光に近づけられ、所定の角度方向に射出される。これにより、液晶パネル18A,18Bへの入射角が決定される。
フィールドレンズ16を出射した光LR,LG,LBは、偏光分離プリズム17に入射する。この偏光分離プリズム17によって、光LR,LG,LBはp偏光およびs偏光に分離される。分離された光LR,LG,LBはそれぞれ、p偏光およびs偏光ごとに、上述したように液晶パネル18A,18Bに互いに異なる入射角で入射する。
ここで、図2を参照して、液晶パネル18A,18Bにおける作用について、液晶パネル18Aを例に挙げて説明する。なお、液晶パネル18Bについては、液晶パネル18Aと異なる作用についてのみ説明する。
液晶パネル18Aでは、光LGのp偏光が入射角0°で入射することにより、マイクロレンズアレイML1,ML2によって屈折され、対向電極187、液晶層188を透過したのち、画素PGに対応する領域に集光される。一方、光LRのp偏光は、対向基板181の側に入射角+ψで入射することにより、マイクロレンズアレイML1,ML2によって屈折され、対向電極187、液晶層188を透過したのち、画素PRに対応する領域に集光される。他方、光LRのp偏光は、対向基板181の側に入射角−ψで入射することにより、マイクロレンズアレイML1,ML2によって屈折され、対向電極187、液晶層188を透過したのち、画素PBに対応する領域に集光される。
このように、対向基板181側にマイクロレンズアレイML1,ML2を設け、3色の光LR,LG,LBのp偏光を、互いに異なる角度で入射させることにより、色ごとにそれぞれの画素PR,PG,PBに分配されて集光される。また、マイクロレンズアレイが2層に設けられていることにより、1層とする場合に比べてより所望の画素領域に分配集光され易くなる。
なお、このとき、光LR,LG,LBのp偏光のパネル入射角をそれぞれ+8°,0,−8°とすることで、液晶パネル18Aに入射する際の光発散角αは約3°(半値角、以下同様とする)と小さくなる。あるいは、入射角をそれぞれ+5°,0,−5°とすることで、光発散角αは約2°と小さくなる。これらの入射角と光発散角αの組み合わせは一例であり、特に限定されるものではないが、入射角を小さくすることで、Fナンバーを大きくとることができるため、設計が容易になると共に、投射レンズの小型化、低コスト化につながる。また、光発散角αを小さくすることで、色の混色を防止し、色純度を高めることができる。
そして、液晶パネル18Aでは、各色ごとに右眼用の映像信号に基づいて対向電極187と画素電極183との間に電圧が印加されると、各画素に分配されるp偏光は、液晶層188により透過率が変調されつつ、画素電極183によって反射され、対向基板181の側から右眼用の映像光A1として射出される。但し、s偏光は、液晶パネル18Bにおいて、左眼用の映像信号に基づいて変調されつつ反射され、左眼用の映像光B1として射出される。このとき、液晶パネル18A,18Bにおける液晶層188の駆動モードにより、右眼用の映像光A1はs偏光、左眼用の映像光B1はp偏光となって射出される。以上のようにして、右眼用の映像光A1としてs偏光からなるR,G,Bのカラーの映像光が生成されると共に、左眼用の映像光B1として、p偏光からなるR,G,Bのカラーの映像光が生成される。
液晶パネル18A,18Bによって生成され、射出された映像光A1,B1は、再び偏光分離プリズム17に入射する。そして、この偏光分離プリズム17において、s偏光からなる映像光A1は、PS分離面17aによって入射方向と直交する方向(X方向)に反射される一方、p偏光からなる映像光B1は、入射方向と平行な方向(X方向)に透過される。これにより、液晶パネル18A,18Bにおいて別々に生成された右眼用の映像光A1および左眼用の映像光B1が、同一の光路上に合成され、位相差板19に入射する。
位相差板19に入射した映像光A1,B1は、位相差板19において、それぞれ円偏光に変換される。このとき、その位相軸の方向により、映像光A1,B1はそれぞれ左(右)円偏光、右(左)円偏光となる。そして、円偏光となった映像光A1,B1が投射レンズ20によって、偏光スクリーン21に投射される。
このようにして、映像光A1,B1が偏光スクリーン21に投射されると、映像光A1のs偏光成分と映像光B1のp偏光成分は、それぞれ保存されたまま反射される。なお、このとき、偏光スクリーン21として、有沢製作所製のアルミニウム膜を使用した偏光スクリーンを用いることにより、その偏光成分をほぼ完全に保持した状態で反射させることが可能となる。
そして、上述したような偏光めがねを用いて、偏光スクリーン21で反射した映像光A1,B1のうち、映像光A1を右眼、映像光B1を左眼でのみ観察することにより、人間の眼には、3次元の映像として視認される。
以上説明したように、液晶プロジェクタ1によれば、ランプ11からの光L1を、R,G,Bの3色の光LR,LG,LBに分解したのち、偏光分離プリズム17によって、p偏光およびs偏光に分離し、分離したp偏光から液晶パネル18Aを用いて右眼用の映像光A1を生成する一方、s偏光から液晶パネル18Bを用いて左眼用の映像光B1を生成し、投射するようにしたので、2台の装置を用いることなく、右眼用と左眼用の映像光を同時に表示することができる。そして、これらの映像光A1,B1を、偏光成分を保存反射可能な偏光スクリーン21に投射すれば、映像光A1,B1の偏光成分を保持したまま反射させることができる。この反射光を、上述の偏光めがねをかけて観察すれば、人間の眼には3次元の映像として視認させることができる。
このとき、右眼用の映像光A1と左眼用の映像光B1とが同時に視認されるため、従来の時分割方式のようなフリッカを生じることなく、自然に近い状態で観察することができる。このため、目の疲労感が少なくなる。これは特に、子供がゲーム等で3次元映像を観るような場合に重要となる。よって、簡易かつコンパクトな構成で、人間の眼にとって自然な3次元映像表示を実現できる。
また、映像光A1,B1を位相差板19に透過させて投射するようにすれば、映像光A1,B1はそれぞれ円偏光となる。よって、偏光めがねをかけた観察者が、例えば横に寝そべったり、頭を傾けたりした状態で観察した場合であっても、同じ明るさの3次元映像として認識することができる。
さらに、フライアイレンズ部14によって、光LR,LG,LBそれぞれの光束を拡散させるようにすれば、液晶パネル18A,18Bへの入射光束を均一化し、面内輝度分布を均一にすることができる。
さらに、コンデンサレンズ15およびフィールドレンズ16により、液晶パネル18A,18Bに対してそれぞれ異なる角度で入射させるようにすれば、液晶パネル18A,18Bに形成されたマイクロレンズアレイML1,ML2によって、画素PR,PG,PBごとにR,G,Bの3色の光を分配して集光させることができる。よって、輝度の低減が少なくなる。また、カラー表示のために液晶パネルを3枚設ける必要がなくなるため、光量ロスが低減され、光利用効率が、通常の3板式のものに比べて10〜15%程度向上する。
さらに、コンデンサレンズ15と偏光分離プリズム17との間の光路上に、フィールドレンズ16を設けるようにすれば、偏光分離プリズム17への入射光のテレセントリック性を確保することができる。これにより、偏光分離面17aでの光量ロスを少なくすることができ、偏光分離プリズム17によって分離したp偏光およびs偏光の両方を効率よく活用することができる。
さらに、液晶パネル18A,18Bにおいて、マイクロレンズアレイを2層設けるようにすれば、各色光を所望の画素領域へ分配集光させ易くなる。これは、例えばランプ11として、上述したようなランプを用いた場合など、光源の光発散角が比較的大きな場合に特に有効である。
また、液晶パネル18A,18Bに対して、右眼用と左眼用の映像信号をそれぞれ入力するのではなく、同一の映像信号を入力するようにすれば、カラーの2次元映像の表示することも可能である。従って、2枚の液晶パネル18A,18Bに入力する映像信号を適宜切り替えるようにするだけで、3次元映像と2次元映像との切り替え表示が可能となる。
また、従来のように3D表示のために2台の装置を用いる場合や、カラー表示のために3枚の液晶パネルを用いる場合に比べて、部品点数を少なくすることができる。よって、コンパクトで低コストな3次元表示用の液晶プロジェクタを実現でき、家庭などへの普及が期待できる。
[第2の実施の形態]
図4は、第2の実施の形態に係る液晶プロジェクタ2の概略構成を表すものである。なお、以下では、上記第1の実施の形態の液晶プロジェクタ1と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略するものとする。なお、簡便化のため、偏光分離後の各色の光線については省略し、各偏光成分の進路を模式的に示すものとする(以降の実施の形態も同様とする)。
液晶プロジェクタ2は、赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bの3色のレーザ光源、コリメータレンズ23R,23G,23B、波長板25R,25G,25B、ダイクロイックミラー24R,24G,24B、光拡散素子26、フィールドレンズ27、偏光分離プリズム17、液晶パネル28A,28B、位相差板19および投射レンズ20を備えている。このような構成により、光源からの光を液晶パネル28A,28Bによって変調、反射させて映像光を生成し、これを偏光スクリーン21に投射して表示が行われるようになっている。
赤色レーザ22Rは、赤色(R)のレーザ光LRを射出し、緑色レーザ22Gは緑色(G)のレーザ光LGを射出し、青色レーザ22Bは青色(B)のレーザ光LBを射出するものである。赤色レーザ22Rおよび青色レーザ22Bとしては、例えば半導体レーザを用いることができる。具体的には、赤色レーザ22Rとしては、InAlGaP系、青色レーザ22Bとしては、GaN系やInGaN系のものを用いることができる。また、緑色レーザ22Gとしては、例えば半導体レーザによって励起される固体レーザ、いわゆるDPSS(Diode Pumped Solid State)レーザ、具体的には、YVO4+KTP(KTiOPO4)、結晶PPLN(Periodically Poled LiNbO3)、またはPP(Periodically Poled)MgO・LN(LiNbO3)などを用いることができる。このような赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bはそれぞれ、例えば出力が100mW、垂直方向の光発散角が30度(FWHM)、水平方向の光発散角が10度、横モードがシングルモード、縦モードがマルチモードとなっている。
コリメータレンズ23R,23G,23Bは、赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bから射出された光をそれぞれビーム成形するようになっている。通常、レーザ光源からの光はファーフィールドパターンが異なるので、楕円型ビームを略円形になるように成形する。このようなコリメータレンズ系は、水平、垂直方向に合わせてシリンドリカルレンズ2個で構成することも可能である。また、二次高調波を使用した固体レーザを用いる場合には、一般にビーム径が小さくなり過ぎるため、更にビームエクスパンダなどを使用してビーム径を大きくするとよい。各レーザ光源のビーム径は、最終的に例えば1mmΦ程度となるようにする。
波長板25R,25G,25Bは、例えばXY平面内で回転制御可能な1/4波長板あるいは1/2波長板であり、入射光の偏光方向を回転させることにより、各偏光の偏光軸を揃えたり、あるいは一定の向きにするようになっている。半導体レーザにおいてはキャビティ方向に依存して偏光軸は一定の方向を維持できるが、組み立てあるいは設置機器によっては偏光軸が異なることもある。また、固体レーザにおいては、偏光軸方向が素子毎に異なることがあるため、偏光軸を回転させるようにするとよい。これにより、液晶パネル28A,28Bに入射する各色光の偏光方向を液晶パネル28A,28Bの偏光軸に合致させることができる。また、スペックル対策にも好適となる。
ダイクロイックミラー24R,24G,24Bは、特定の波長領域の光を反射させてその光路を変換するものであり、それぞれ赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bに対応して配置されている。このとき、ダイクロイックミラー24R,24G,24Bが、Z方向に対して互いに異なる角度で配置されることにより、3色の光LR,LG,LBが、第1の実施の形態と同様に、所定の角度で後述の液晶パネル28A,28Bに入射(光LGを入射角0°、光LR,LGの入射角+ψ,−ψ)するようになっている。例えば、光LGを反射するダイクロイックミラー24GはZ方向に対して45°の角度で傾けて配置され、光LRが液晶パネル28A,28Bの基板面に垂直に入射する中心光となっている。一方、ダイクロイックミラー24R,24Bは、ダイクロイックミラー24Gに対してそれぞれ−ψ/2,+ψ/2の角度だけ傾斜して配置され、光LR,LBが液晶パネル28A,28Bの基板面に対して斜めに入射するようになっている。
光拡散素子26は、例えば屈折型拡散素子または回折型拡散素子(DOE:Diffractive Optical Element)などであり、赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bから射出されたレーザ光を液晶パネル18A,18Bの全面に照射されるように拡散成形するものである。この光拡散素子26は、赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bの配列に対応して、それぞれの色のレーザ光を透過するようになっている。但し、光拡散素子26として回折型光学素子を用いる場合には、各色ごとに個別に設ける必要がある。この回折型光学素子を用いると、回折光がドット状に拡散していき液晶パネル面に各ドットが重なるように均一化されて照明される。
特に、屈折型拡散素子は、回折型拡散素子に比べて、実質的な透過率を高くすることができる。また、屈折型拡散素子を用いることにより、拡散角は15度程度(半値角)となる。一般に、拡散角を大きくすると、光拡散素子26とフィールドレンズ27との間の距離を短くすることができるため、小型化が可能となる。一方で、拡散角を大きくすると、液晶パネル28A,28Bへの入射光の光発散角αが大きくなり、混色の原因となってしまうため、この拡散角については最適化が必要である。屈折型拡散素子としては、例えばRPC photonics社製ED(Engineered Diffuser)を用いることができ、このような素子を用いることにより拡散光の面内強度分布および形状を矩形(アスペクト比を4:3あるいは16:9等)にほぼ任意に変化させることができる。
また、このような屈折型光学素子や回折光学素子は、入射光ビームの形状に対して鈍感であるため、赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bとして、シングルモードのみならずマルチモードの半導体レーザまたは固体レーザを用いることができるようになる。
フィールドレンズ27は、光拡散素子26で拡散された光LR,LG,LBをそれぞれ平行光に近づけるために設けられるものである。また、このフィールドレンズ27および前述のダイクロイックミラー24R,24G,24Bによって、液晶パネル28A,28Bへ入射する際の入射角および光発散角αが決定される。
液晶パネル28A,28Bは、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの反射型の光変調素子であり、偏光分離プリズム17によって分離されたp偏光およびs偏光をそれぞれ所定の映像信号に基づいて変調させつつ、反射させることにより、入射側と同一の側へ映像光を射出させるようになっている。以下、液晶パネル28A,28Bの詳細な構成について、図5〜図10を参照して説明する。図5および図7は、液晶パネル28Aの概略構成を表す断面図である。図6は、図5に示した液晶パネルのTFT基板の詳細な構成を表す断面図である。図8および図9は、図6のTFT基板の形成手順を表すものである。図10は、マイクロレンズアレイをX方向からみた平面図である。なお、液晶パネル28Aおよび液晶パネル28Bの基本的な構成は同様であるため、主に液晶パネル28Aを例に挙げて説明する。
液晶パネル28Aは、上記第1の実施の形態と同様に、Rを表示する画素PR、Gを表示する画素PGおよびBを表示する画素PBの3つの画素から構成された表示単位Pを複数有している。この液晶パネル28Aは、対向する一対の基板、例えばTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)基板190(反射側基板)と対向基板191(入射側基板)との間に、液晶層188を封止して構成されている。
このような液晶パネル28Aでは、偏光分離プリズム17によって偏光分離された3色のp偏光を対向基板191側から入射させたのち、右眼用の映像信号に基づいて液晶層188によって変調してTFT基板190側で反射させることにより、右眼用の映像光A1を生成し、対向基板191の側から射出するようになっている。また、このとき、上記第1の実施の形態と同様に、液晶パネル28Aへ入射する光に対して、液晶パネル28Aから出射する光の偏光方向が90°回転するようになっている。但し、液晶パネル28Bでは、s偏光を左眼用の映像信号に基づいて変調し、p偏光としての左眼用の映像光B1を生成し射出するようになっている。
TFT基板190は、例えば基板182に、上記第1の実施の形態と同様に画素駆動回路が形成され、画素PR,PG,PBごとに画素電極192が設けられている。但し、画素電極192は、例えばITO(インジウム錫酸化物)などの透明導電材料により構成されている。また、この画素電極192の下方に、画素PR,PG,PBごとに光反射層195が設けられている。画素電極192と基板182との間には層間絶縁膜196が形成されている。光反射層195は、光反射側に凹面を向けた曲面ミラーであり、マイクロレンズの焦点面に配置されている。この光反射層195は、例えばアルミニウム、銀などの金属により構成されている。層間絶縁膜196は、例えばシリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)などより構成されている。このTFT基板190の詳細な構成については、後述する。
対向基板191は、例えば基板193上に、マイクロレンズアレイML、樹脂層194および対向電極187がこの順に形成されたものであり、いずれも光透過性を有する材料により構成されている。マイクロレンズアレイMLは、複数のマイクロレンズが2次元配列した構成となっており、1つのマイクロレンズに対して画素PR,PG,PBからなる表示単位Pが割り当てられるようになっている。
次に、TFT基板190の詳細な構成について図6〜図10を参照して説明する。
TFT基板190は、例えば図6に示したような断面構成となっている。但し、図6には、画素PGに対応する領域についてのみ示している。TFT基板190では、例えば、基板192上に、バッファ層207、迷光入射防止層206などが積層され、この上にTFTが選択的に形成されている。TFTにおいては、チャネル領域としての活性層205上に、酸化膜204、ゲート電極203、ドレイン電極202およびソース電極201が設けられ、それぞれが層間絶縁膜199によって覆われている。ゲート電極203は、例えば不純物をドープした多結晶シリコン(ポリシリコン)などにより構成されている。そして、これらの上には、下層部に光が入射することを防止するためのブラックメタル層198が形成され、層間絶縁膜199を介して、メタル層197が設けられている。このメタル層197上に、上記した層間絶縁膜196、光反射層195G、画素電極192が設けられている。また、層間絶縁膜196には、コンタクトホール196−1が形成されており、このコンタクトホール196−1にはアルミニウムやタングステン(W)などの接続プラグ(図示せず)が埋め込まれている。これにより、画素電極192とソース電極201とが電気的に接続されるようになっている。また、ソース電極201およびゲート電極203は、それぞれ図示しないデータ線およびゲート線に接続されている。このような構成により、各画素電極192に対してR,G,Bの各色に対応した映像信号電圧が印加されるようになっている。
ここで、図7に示したように、光反射層195R,195G,195Bは、光LR,LG,LBのそれぞれの入射角に対応して、画素PR,PG,PBごとに異なる角度で傾斜して配置されている。これら光反射層195R,195G,195Bは、マイクロレンズの主点Hを通って入射する各色光の光路上にそれぞれ配置されている。また、主点Hから光反射層195R,195G,195Bまでの光学的距離は、互いにほぼ等しくなっている。例えば、光反射層195R,195G,195Bは、その曲面が、マイクロレンズの主点Hを中心とし、マイクロレンズの焦点距離(物質内・光学距離換算)にほぼ等しい距離を曲率半径とする球面となっている。なお、図7では、光LR,LG,LBの入射角を、パネル入射角(+ψ,0,−ψ)(空気換算)に対応した物質内入射角(+η,0,−η)で示している。
また、上記のような構成のTFT基板190における光反射層195R,195G,195Bは、例えば次のようにして形成する。まず、図8(A)に示したように、メタル層197上に、上述の材料よりなる層間絶縁膜196を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化処理により形成する。続いて、図8(B)に示したように、平坦化形成した層間絶縁膜196の表面に対して、例えばグレースケールマスクや多重マスクを使用したリソグラフィ法を用いて、例えばドライエッチングを行うことにより、光反射層195R,195G,195Bの傾斜に対応した傾斜面S1,S2,S3を形成する。続いて、図8(C)に示したように、さらに上記と同様のリソグラフィ法を用いて、層間絶縁膜196の傾斜面S1,S2,S3に対して、それぞれの面が所望の曲面となるようにドライエッチングを施す。
次いで、図9(A)に示したように、画素ごとに曲面を形成した層間絶縁膜196の表面に、例えば蒸着法やスパッタリング法などを用いて光反射能を有する金属層195aを形成する。続いて、図9(B)に示したように、例えばリソグラフィ法を用いたドライエッチングにより、金属層195aを画素ごとに分離する。続いて、図9(C)に示したように、これら光反射層195R,195G,195B上にCMPによる平坦化処理を用いて層間絶縁膜196を成膜したのち、画素ごとにコンタクトホール196−1、画素電極192を順に形成する。このとき、コンタクトホール196−1は、図10に示したように、各画素(画素電極192)の隅に形成するようにする。以上のようにして、TFT基板190上に画素ごとに光反射層195R,195G,195Bを形成する。
次に、上記のような液晶プロジェクタ2の作用、効果について図4,図11および図12を参照して説明する。
液晶プロジェクタ2では、赤色レーザ22R、緑色レーザ22Gおよび青色レーザ22Bからそれぞれ射出されたレーザ光LR,LG,LBは、コリメータレンズ23R,23G,23Bによってそれぞれビーム成形されたのち、波長板25R,25G,25Bに入射し、偏光方向が回転される。波長板25R,25G,25Bを出射した光LR,LG,LBは、それぞれ所定の角度で配置されたダイクロイックミラー24R,24G,24Bにおいて、互いに異なる角度方向に反射されたのち、光拡散素子26に入射して拡散成形される。光拡散素子26において拡散成形された光LR,LG,LBは、フィールドレンズ27に入射し、このフィールドレンズ27によって所定の角度方向に屈折される。
そして、フィールドレンズ27によって所定の角度方向に屈折された光LR,LG,LBは、偏光分離プリズム17によりp偏光およびs偏光に分離され、各色光ごとに液晶パネル28A,28Bへ所定の角度で入射する。以下、液晶パネル28A,28Bにおける作用について液晶パネル28Aを例に挙げ、図11および図12を参照して説明する。
液晶パネル28Aでは、画素ごとに設けられた光反射層195R,195G,195Bが、それぞれマイクロレンズの主点Hを中心とし、マイクロレンズの焦点距離にほぼ等しい距離を曲率半径とする球面となっていることにより、これら光反射層195R,195G,195Bで反射される各色のp偏光は、それぞれ入射した方向と同一の方向へ反射される。例えば、図11に示したように、基板面に垂直に入射(入射角0°)したG光は、マイクロレンズの主点面H0に対して入射角(物質内)0°で入射し、光反射層195Gで反射され、主点面H0から垂直の方向に射出される。また、図12に示したように、基板面に入射角−ψで入射したB光は、主点面H0に対して入射角(物質内)−ηで入射し、光反射層195Bで反射され、主点面H0から射出角(物質内)−ηで射出される。また、このとき、パネル入射時の光発散角αは、反射後も同程度に維持される。なお、図示はしないがR光についても同様である。また、マイクロレンズアレイMLと光反射層195R,195G,195Bにおける光反射作用以外は、上記第1の実施の形態と同様の作用となる。
こののち、液晶パネル28A,28Bから射出された右眼用および左眼用の映像光A1,B1は、上記第1の実施の形態と同様に、位相差板19を透過したのち、投射レンズ20によって、偏光スクリーン21に投射される。
以上のように、液晶プロジェクタ2によれば、R,G,Bの3色のレーザ光源を用い、液晶パネル28A,28Bにおいて、各色光の入射角に対応して光反射層を設けるようにしたので、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、レーザ光源を用いることで、上記第1の実施の形態に比べて光源部の小型化を実現すると共に、高出力が可能となる。さらに、各色光の入射角に対応した光反射層を設けることで、液晶パネル28A,28Bでは、各色光を入射方向と同一の方向に反射させることができると共に、光発散角αを小さくすることができるため、隣接画素への混色を防ぐことができる。例えば、RGBの画素ピッチ(画素電極の短手方向の幅)を10μm、マイクロレンズの焦点距離を空気換算で120μm、レーザビーム径を1mm、R,G,Bの各色光のパネル入射角を、それぞれ+3°,0,−3°とした場合、光発散角αを0.5°〜1.5°程度まで小さくすることができる。
また、レーザ光源を用いることで、装置全体の小型化に有利となり、携帯電話端末、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、モバイルコンピュータ、ゲーム機などに好適に用いることができる。
なお、本実施の形態では、単層のマイクロレンズアレイを有する液晶パネルを例に挙げて説明したが、上記第1の実施の形態の液晶パネル18A,18Bのように、マイクロレンズアレイが2層に形成された液晶パネルを用いるようにしてもよい。逆に、上記第1の実施の形態において、本実施の形態の液晶パネル28A,18Bを用いるようにしてもよい。但し、上記第1の実施の形態では、光源からの光発散角が比較的大きくなるため、2層のマイクロレンズアレイが設けられた液晶パネル18A,18Bを用いることが好ましい。
(変形例)
次に、上記第2の実施の形態の液晶プロジェクタ2における光反射層の変形例について図13を参照して説明する。
図13は、本変形例に係る光反射層295R,295G,295Bを用いた液晶パネルの断面模式図である。この液晶パネルでは、光反射層295R,295G,295B以外は、上記第2の実施の形態の液晶パネルと同様の構成となっている。従って、同一の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
光反射層295R,295G,295Bは、その光反射面が平面となっており、R,G,Bの画素ごとに、各色光の入射角に対応して傾斜して設けられている。これら光反射層295R,295G,295Bは、マイクロレンズの主点Hを通って入射する各色光の光路上にそれぞれ配置されている。また、主点Hから光反射層295R,295G,295Bまでの光学的距離は、互いにほぼ等しくなっている。通常、マイクロレンズの焦点距離は、物質内入射角(例えばη=3°〜5°)によって決まるが、レーザ光源を用いた場合には光発散角が小さいため、入射した光のうち、光反射層によって隣接する画素領域の方向へ反射される光(例えば、図13に示した光G1)は微少となり、あまり混色を生じない。よって、光反射層を各色光の入射角に対応して傾斜して設けるようにすれば、その光反射面を近似的に平面としても、各色光を入射方向とほぼ同一の方向へ反射させることができる。
[第3の実施の形態]
図14は、第3の実施の形態に係る液晶プロジェクタ3の概略構成を表すものである。なお、以下では、上記第1および第2の実施の形態の液晶プロジェクタ1,2と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略するものとする。
液晶プロジェクタ3は、3色のLED(Light Emitting Diode)光源としての赤色LED30R、緑色LED30Gおよび青色LED30B、光拡散素子31、フライアイレンズ部32、コンデンサレンズ33、偏光分離プリズム34-1,34−2,34−3,34−4、フィールドレンズ35A,35B、液晶パネル18A,18B、位相差板19、投射レンズ20を備えている。このような構成により、光源からの光を液晶パネル18A,18Bによって変調、反射させて映像光を生成し、これを偏光スクリーン21に投射して表示が行われるようになっている。
赤色LED30R、緑色LED30Gおよび青色LED30Bは、発光ダイオードにより構成されている。赤色LED30Rは、例えば、AlGaAs(アルミニウムガリウム砒素)、GaAsP(ガリウム砒素リン)、InGaAsP(インジウムガリウム砒素リン)などの半導体材料よりなり、赤色の波長領域の光(LR)を発光するようになっている。緑色LED30Gは、例えば、InGaN(インジウム窒化ガリウム)、GaN(窒化ガリウム)、AlGaN(アルミニウム窒化ガリウム)などの半導体材料よりなり、緑色の波長領域の光(LG)を発光するようになっている。青色LED30Bは、InGaN、GaN、AlGaNなどの半導体材料よりなり、青色の波長領域の光(LB)を発光するようになっている。
光拡散素子31は、例えば屈折型拡散素子であり、赤色LED30R、緑色LED30Gおよび青色LED30Bから射出された光を液晶パネル18A,18Bの全面に照射されるように拡散成形するものである。屈折型拡散素子としては、上記第2の実施の形態の屈折型拡散素子と同様のものを用いることができる。これにより、半値角15°程度の発散角を持つ光をフライアイレンズ部32に照射するようになっている。
フライアイレンズ部32は、液晶パネル36A,36Bに照射される光の面内輝度分布を均一化するためのものである。コンデンサレンズ33は、各色光LR,LG,LBを集光するためのものである。このコンデンサレンズ33によって、各色光LR,LG,LBがそれぞれ所定の角度方向に屈折され、光LGが中心光、光LR,LBが光LGに対して斜め入射光となる。
偏光分離プリズム34−1,34−2,34−3,34−4はそれぞれ、上記第1および第2の実施の形態の偏光分離プリズム17と同様の構成となっている。但し、光軸上最も光源側に配置された偏光分離プリズム34−1において、光LR,LG,LBをp偏光とs偏光に分離するようになっている。また、偏光分離プリズム34−2,34−3において、液晶パネル36A,36Bで反射された各偏光の光路が変換されるようになっている。さらに、偏光分離プリズム34−4において、液晶パネル18A,18Bで別々に生成された右眼用の映像光A1および左眼用の映像光B1が同一の光路上に合成されるようになっている。
フィールドレンズ35A,35Bは、液晶パネル18A,18Bに入射する各偏光を平行光に近づけるために設けられる。
このような液晶プロジェクタ3では、赤色LED30R、緑色LED30Gおよび青色LED30Bから放出された光LR,LG,LBは、光拡散素子31によって拡散成形されたのち、フライアイレンズ部32において輝度分布が均一化される。フライアイレンズ部32を出射した光LR,LG,LBは、コンデンサレンズ33により所定の角度方向に屈折され、偏光分離プリズム34−1に入射する。偏光分離プリズム34−1では、その偏光分離面において、p偏光(図中、点線)が入射方向と同一の方向に透過され、s偏光(図中、破線)が入射方向と直交する方向に反射される。
偏光分離プリズム34−1によって分離されたp偏光は、偏光分離プリズム34−2を透過し、フィールドレンズ35Aによって平行光に近づけられ液晶パネル18Aへ入射する。一方、分離されたs偏光は、偏光分離プリズム34−3の偏光分離面において入射方向と直行する方向に反射されたのち、フィールドレンズ35Aによって平行光に近づけられ液晶パネル18Aへ入射する。
液晶パネル18A,18Bにそれぞれ入射したp偏光およびs偏光は、上述したように液晶パネル18A,18Bにおいて、それぞれの映像信号に基づいて変調、反射され、偏光成分が90°回転して、右眼用の映像光A1(s偏光)および左眼用の映像光B1(p偏光)として射出される。
液晶パネル18Aから右眼用の映像光A1として射出されたs偏光は、再び偏光分離プリズム34−2に入射する。そして、偏光分離プリズム34−2の偏光分離面において、入射方向と直行する方向に反射され、偏光分離プリズム34−4へ入射する。一方、液晶パネル18Bから左眼用の映像光B1として射出されたp偏光は、再び偏光分離プリズム34−3に入射する。そして、偏光分離プリズム34−3の偏光分離面において、入射方向と同一の方向に透過され、偏光分離プリズム34−4へ入射する。
偏光分離プリズム34−4に入射した映像光A1としてのs偏光は、偏光分離プリズム34−4の偏光分離面において入射方向と直行する方向に反射される一方、映像光B1としてのp偏光は、入射方向と同一の方向に透過される。これにより、映像光A1,B1が同一光路上(Z方向)に合成されて射出される。
上記のようにして合成された映像光A1,B1は、上述したように、位相差板19を透過したのち、投射レンズ20によって偏光スクリーン21に投射される。
以上説明したように、光源としてR,G,Bの3色の光を発光するLEDを用いて構成するようにしたので、上記第1および第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、LEDを用いることで、光源の小型化に有利となる。
なお、本実施の形態においては、上記第1の実施の形態におけるマイクロレンズアレイを2層設けた液晶パネル18A,18Bを用いた構成を例に挙げて説明したが、上記第2の実施の形態の液晶パネル28A,28Bを用いるようにしてもよい。但し、LEDは光発散角が比較的大きいため、マイクロレンズアレイを2層設けることが好ましい。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、R,G,Bの3色の光LR,LG,LBのうち、光LGを中心光(光軸に沿って平行な方向に進行する光)として液晶パネルに垂直に入射させ、光LR,LBを液晶パネルの垂線に対して斜めに入射するようにしたが、これに限定されず、光LRを中心光、光LG,LBを斜め入射光としてもよく、あるいは光LBを中心光、光LR,LGを斜め入射光としてもよい。
また、上記実施の形態では、光源からの光を分離し、さらに別々に生成した右眼用および左眼用の映像光を合成する光学系として、1つあるいは4つの偏光分離プリズムを用いた構成を例に挙げて説明したが、偏光の分離および合成の光学系はこれに限定されるものではない。
また、上記実施の形態では、光源からの光をR,G,Bの3色に色分解したり、3色のレーザ光源あるいはLED光源を用いることにより、3原色カラーの3次元映像を表示する場合について説明したが、これに限定されず、このような色分解光学系や3色の光源を用いずに、単色の3次元映像を表示するようにしてもよい。あるいは、3色のうちの2色を用いて3次元映像を表示するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、マイクロレンズ195aの平面形状を正6角形としたが、これに限定されず、円形やy方向に長手方向を有する矩形状(シリンドリカルレンズ)でもあってもよい。
また、上記実施の形態では、偏光分離プリズムとして、その偏光分離面において、p偏光を透過させ、s偏光を反射させるものを例に挙げて説明したが、これに限定されず、逆にs偏光を透過させ、p偏光を反射させるものであってもよい。また、s偏光を右眼用の映像光、p偏光を左眼用の映像光として用いているが、これに限定されず、逆にp偏光を右眼用の映像光、s偏光を左眼用の映像光として用いるようにしても本発明と同様の効果を得ることができる。
1,2,3…液晶プロジェクタ、11…ランプ、11A…アパーチャ、12,23R,23G,23B…コリメータレンズ、13…色分解光学系、13−1…色分解プリズム、14,32…フライアイレンズ部、15,33…コンデンサレンズ、16,27,35A,35B…フィールドレンズ、17,34−1,34−2,34−3,34−4…偏光分離プリズム、17a…偏光分離面、18A,18B,28A,28B…液晶パネル、19…位相差板、20…投射レンズ、21…偏光スクリーン、22R…赤色レーザ、22G…緑色レーザ、22B…青色レーザ、24R,24B,24R…ダイクロイックミラー、25…波長板、26,31…光拡散素子、30R…赤色LED、30G…緑色LED、30B…青色LED、180,190…TFT基板、181,191…対向基板、182,184,193…基板、183,192…画素電極、185,186,194…樹脂層、187…対向電極、188…液晶層、194…対向電極、195,19R,195G,195B…光反射層、196,199…層間絶縁膜、196−1…コンタクトホール、197…メタル層、198…ブラックメタル層、201…ソース電極、202…ドレイン電極、203…ゲート電極、204…酸化膜、205…活性層、206…迷光入射防止層、207…バッファ層、ML,ML1,ML2…マイクロレンズアレイ、A1…映像光(右眼)、B1…映像光(左眼)、LR…R光、LG…G光、LB…B光、P…表示単位、PR,PG,PB…画素。