JP5238531B2 - レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法 - Google Patents

レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5238531B2
JP5238531B2 JP2009018096A JP2009018096A JP5238531B2 JP 5238531 B2 JP5238531 B2 JP 5238531B2 JP 2009018096 A JP2009018096 A JP 2009018096A JP 2009018096 A JP2009018096 A JP 2009018096A JP 5238531 B2 JP5238531 B2 JP 5238531B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
data
amplitude
radar
amplitude data
signal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009018096A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010175377A (ja
Inventor
尊宏 小海
裕一 藤田
修 千葉
浩之 伊藤
伸好 金津
泰洋 村田
宏 永松
陽一 村嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagano Japan Radio Co Ltd
Kokusai Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Nagano Japan Radio Co Ltd
Kokusai Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagano Japan Radio Co Ltd, Kokusai Kogyo Co Ltd filed Critical Nagano Japan Radio Co Ltd
Priority to JP2009018096A priority Critical patent/JP5238531B2/ja
Publication of JP2010175377A publication Critical patent/JP2010175377A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5238531B2 publication Critical patent/JP5238531B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A90/00Technologies having an indirect contribution to adaptation to climate change
    • Y02A90/10Information and communication technologies [ICT] supporting adaptation to climate change, e.g. for weather forecasting or climate simulation

Landscapes

  • Indicating Or Recording The Presence, Absence, Or Direction Of Movement (AREA)
  • Radar Systems Or Details Thereof (AREA)

Description

本発明は、所定周期で周波数が掃引される送信信号の反射信号を利用して、所定方向に沿った所定距離毎の海の表層流速を観測するレーダ装置、このレーダ装置を複数備えて面的に海の表層流速を観測する海洋レーダ観測装置、およびこれらの装置に使用されるドップラ周波数データ算出方法に関するものである。
この種のレーダ装置の基本的な構成として、下記特許文献1において従来の技術として開示されたレーダ装置(レーダ局)の構成が知られている。このレーダ装置では、まず、第1回FFT処理において、1掃引単位でFFT解析を行い、掃引回数個のスペクトルを算出する。この場合、このスペクトルは、レンジ(距離)方向のエコーのエネルギー分布を表したものとなっている。次いで、算出された掃引回数個のスペクトルを距離毎に並び換える並び換え処理を実行する。この処理では、第1回FFT処理で算出されたスペクトルから同じ距離のエコーのエネルギー値を集めて時系列を作成する。次いで、この距離毎の時系列に対して第2回FFT処理を実行して、ドップラスペクトルを算出する。最後に、このドップラスペクトルのS/Nを稼ぐため、数個の時系列から算出したドップラスペクトルを平均する。この場合、最終的に算出されたドップラスペクトルは、アンテナの視線方向の流速を示したものとなっている。
特開2000−314773号公報(第3頁、第6図)
ところが、上記の基本的な構成を備えたレーダ装置には、以下の解決すべき課題が存在している。すなわち、このレーダ装置では、上記したようにドップラスペクトルのS/Nを稼ぐため、数個の時系列から算出したドップラスペクトルを平均する処理を行っている。したがって、このレーダ装置には、最終的なドップラスペクトルの算出周期が時系列を数個(必要数)算出する周期によって制限されるため、最終的なドップラスペクトルの算出周期の更なる短縮が容易でなく、津波のような表層流速変化の速い現象の検出が難しいという解決すべき課題が存在している。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、表層流速変化の速い現象を検出し得るレーダ装置および海洋レーダ観測装置、並びに算出周期の短縮を図りつつドップラ周波数データに現れる一次散乱スペクトルピークの周波数を正確に算出可能としてこれらの装置に使用されたときに表層流速変化の速い現象を検出可能にし得るドップラ周波数データ算出方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載のレーダ装置は、所定の掃引周期で周波数が掃引される送信信号についての所定方向からの反射信号をサンプリングして当該反射信号についての振幅を示す第1振幅データに変換し、当該第1振幅データに基づいて当該所定方向における所定距離毎のドップラ周波数データを算出するレーダ装置であって、処理部を備え、当該処理部は、前記第1振幅データに対して、前記掃引周期のn周期(nは2以上の任意の整数)分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化するグループ化処理と、前記グループ毎に、前記第1振幅データに対して前記掃引周期単位でフーリエ変換を施すことにより、前記所定方向における前記所定距離毎の前記振幅を示す第2振幅データを当該掃引周期単位で算出する1次フーリエ変換処理と、前記第2振幅データの各グループに対して、当該各グループに含まれている当該各第2振幅データを前記掃引周期順で前記所定距離毎に並び替えてグループ化する並び替え処理と、当該並び替え処理によってグループ化された前記第2振幅データに対して、グループ毎に振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ付加して新たな第2振幅データとするゼロデータ付加処理と、当該ゼロデータ付加処理がされた前記各グループに含まれている前記第2振幅データに対してフーリエ変換を施して前記所定距離毎の前記ドップラ周波数データを算出する2次フーリエ変換処理とを実行する。
また、請求項2記載のレーダ装置は、請求項1記載のレーダ装置において、前記処理部は、前記1次フーリエ変換処理において、前記掃引周期単位でのフーリエ変換に先立ち、当該掃引周期毎に前記振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ充填して新たな第1振幅データとする。
また、請求項3記載のレーダ装置は、請求項1または2記載のレーダ装置において、送信アンテナから海洋に向けて送信されたレーダ信号の反射波を受信した複数の受信アンテナからそれぞれ出力された受信信号をサンプリングして当該受信信号についての振幅を示す受信データにそれぞれ変換するA/D変換部を備え、前記処理部は、前記受信データに対して所定のビーム形成法を適用して前記第1振幅データに変換する方位分解処理を実行する。
また、請求項4記載のレーダ装置は、請求項3記載のレーダ装置において、前記複数の受信アンテナを備え、前記複数の受信アンテナのうちの少なくとも1つは、送信信号を出力する信号発生部と前記A/D変換部とに交互に切り換えて接続可能に構成されて、前記信号発生部に接続されたときには前記送信信号を前記レーダ信号として送信する前記送信アンテナとして機能する。
また、請求項5記載のレーダ装置は、請求項1または2記載のレーダ装置において、送信アンテナから海洋に向けて送信されたレーダ信号の反射波を受信する1本の指向性を有する受信アンテナを備え、前記受信アンテナから出力された受信信号をサンプリングして当該受信信号についての振幅を示す受信データに変換すると共に、当該受信データを前記第1振幅データとして出力するA/D変換部を備えている。
請求項6記載の海洋レーダ観測装置は、請求項1から5のいずれかに記載の複数のレーダ装置と、前記各レーダ装置でそれぞれ算出された前記ドップラ周波数データに基づいて、前記海洋における所望海域の表層海流の流速および流向を算出する処理装置とを備えている。
請求項7記載のドップラ周波数データ算出方法は、所定の掃引周期で周波数が掃引される送信信号についての所定方向からの反射信号をサンプリングして当該反射信号についての振幅を示す第1振幅データに変換し、当該第1振幅データに基づいて当該所定方向における所定距離毎のドップラ周波数データを算出するドップラ周波数データ算出方法であって、前記第1振幅データに対して、前記掃引周期のn周期(nは2以上の任意の整数)分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化するグループ化処理と、前記グループ毎に、前記第1振幅データに対して前記掃引周期単位でフーリエ変換を施すことにより、前記所定方向における前記所定距離毎の前記振幅を示す第2振幅データを当該掃引周期単位で算出する1次フーリエ変換処理と、前記第2振幅データの各グループに対して、当該各グループに含まれている当該各第2振幅データを前記掃引周期順で前記所定距離毎に並び替えてグループ化する並び替え処理と、当該並び替え処理によってグループ化された前記第2振幅データに対して、グループ毎に振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ付加して新たな第2振幅データとするゼロデータ付加処理と、当該ゼロデータ付加処理がされた前記各グループに含まれている前記第2振幅データに対してフーリエ変換を施して前記所定距離毎の前記ドップラ周波数データを算出する2次フーリエ変換処理とを実行する。
請求項1記載のレーダ装置および請求項6記載の海洋レーダ観測装置では、処理部が、所定方向からの反射信号についての振幅を示す第1振幅データに対して、掃引周期のn周期分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化する処理を連続して実行しつつ、このようにしてグループ化された第1振幅データに対して1次フーリエ変換処理を実行して(いわゆる短時間フーリエ変換処理を実行して)距離分解することにより、第2振幅データを算出し、この第2振幅データを掃引周期順で処理距離毎に並び替えしてグループ化し、並び替え後の第2振幅データに対して2次フーリエ変換処理を実行してドップラ周波数データを算出する。したがって、数個の時系列から算出したドップラ周波数データを平均する平均処理を行わないため、最終的なドップラ周波数データの算出周期を十分に短縮することができる。この結果、短時間に表層海流の流速が変化する現象(例えば津波)の検出確度を飛躍的に高めることができる。
また、このレーダ装置および海洋レーダ観測装置によれば、処理部が、2次フーリエ変換処理において、付加されたゼロデータを含む第2振幅データに対してフーリエ変換を施してドップラ周波数データを算出するため、計算上の周波数分解能を向上させることができ、これによってドップラ周波数データ(ドップラスペクトル)に現れる一次散乱スペクトルピークの周波数を正確に算出することができる。この結果、表層海流の発生していない状態において一次散乱スペクトルピークが現れる周波数からのシフト量についても正確に算出することができる結果、このシフト量に基づいて表層海流の流速を正確に算出することができる。
請求項2記載のレーダ装置および請求項6記載の海洋レーダ観測装置によれば、処理部が、1次フーリエ変換処理の対象となる第1振幅データに対してゼロデータを付加してデータ数を増加させることにより、1次フーリエ変換によって算出される第2振幅データの数を増加(距離分解能を向上)させることができる。
請求項3記載のレーダ装置および請求項6記載の海洋レーダ観測装置によれば、送信アンテナから海洋に向けて送信されたレーダ信号の反射波を受信した複数の受信アンテナからそれぞれ出力された受信信号をサンプリングして得られるこの受信信号についての振幅を示す受信データに対して、処理部が、DBF法などのビーム形成法を実行して、方位分解処理を実行するため、時間を要する受信アンテナを実際に回転させる処理を不要にできるため、最終的なドップラ周波数データの算出周期を大幅に短縮することができる。
請求項4記載のレーダ装置および請求項6記載の海洋レーダ観測装置によれば、複数の受信アンテナのうちの少なくとも1つを送信アンテナとして機能させるため、アンテナの数を低減することができる。
請求項5記載のレーダ装置および請求項6記載の海洋レーダ観測装置によれば、1本の指向性を有する受信アンテナを用いて、送信アンテナから海洋に向けて送信されたレーダ信号の反射波を受信するため、方位分解処理を省くことができる。
請求項7記載のドップラ周波数データ算出方法では、所定の掃引周期で周波数が掃引される送信信号についての所定方向からの反射信号をサンプリングして反射信号についての振幅を示す第1振幅データに変換し、第1振幅データに基づいて所定方向における所定距離毎のドップラ周波数データを算出するに際して、第1振幅データに対して、掃引周期のn周期分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化するグループ化処理と、グループ毎に、第1振幅データに対して掃引周期単位でフーリエ変換を施すことにより、所定方向における所定距離毎の振幅を示す第2振幅データを掃引周期単位で算出する1次フーリエ変換処理と、第2振幅データの各グループに対して、各グループに含まれている各第2振幅データを掃引周期順で所定距離毎に並び替えてグループ化する並び替え処理と、並び替え処理によってグループ化された第2振幅データに対して、グループ毎に振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ付加して新たな第2振幅データとするゼロデータ付加処理と、ゼロデータ付加処理がされた各グループに含まれている第2振幅データに対してフーリエ変換を施して所定距離毎のドップラ周波数データを算出する2次フーリエ変換処理とを実行する。
したがって、このドップラ周波数データ算出方法によれば、数個の時系列から算出したドップラ周波数データを平均する平均処理を行わないため、最終的なドップラ周波数データの算出周期を十分に短縮することができる。また、2次フーリエ変換処理において、付加されたゼロデータを含む第2振幅データに対してフーリエ変換を施してドップラ周波数データを算出するため、計算上の周波数分解能を向上させることができ、これによってドップラ周波数データ(ドップラスペクトル)に現れる一次散乱スペクトルピークの周波数を正確に算出することができる。
海洋レーダ観測装置1および海洋レーダ局2の構成図である。 方位分解された状態の第1振幅データD1を模式的に示した説明図である。 図2の1方向分の第1振幅データD1をグループ化処理によってグループ化する内容を模式的に示した説明図である。 図3のグループ化された第1振幅データD1を1次フーリエ変換処理によって距離分解して第2振幅データD2とする内容を模式的に示した説明図である。 図4の距離分解された第2振幅データD2を並び替え処理によって並び替える内容を模式的に示した説明図である。 図5の並び替えられた第2振幅データD2にゼロデータ付加処理によってゼロデータv(0)を付加する内容を模式的に示した説明図である。 2次フーリエ変換処理によって得られるドップラスペクトルDdpを示す特性図である。 第1のシミュレーションにおいて、基準となる表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第1のシミュレーションにおいて、ゼロデータv(0)を付加したシミュレーションによって得られた表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第1のシミュレーションにおいて、ゼロデータv(0)を付加しないシミュレーションによって得られた表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第2のシミュレーションにおいて、基準となる表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第2のシミュレーションにおいて、ゼロデータv(0)を付加したシミュレーションによって得られた表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第2のシミュレーションにおいて、ゼロデータv(0)を付加しないシミュレーションによって得られた表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第3のシミュレーションにおいて、基準となる表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第3のシミュレーションにおいて、ゼロデータv(0)を付加したシミュレーションによって得られた表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第3のシミュレーションにおいて、ゼロデータv(0)を付加しないシミュレーションによって得られた表層海流の流速Vrについての時間的変化を示す特性図である。 第1振幅データD1にゼロデータ付加処理によってゼロデータu(0)を付加する内容を模式的に示した説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るレーダ装置および海洋レーダ観測装置の実施の形態について説明すると共に、このレーダ装置において使用されるドップラ周波数データ算出方法の実施の形態について説明する。
図1に示す海洋レーダ観測装置1は、複数(一例として2つ)の海洋レーダ局2A,2B(以下、特に区別しないときには「海洋レーダ局2」ともいう)、および基地局(本発明における処理装置の一例)3を備えて、海洋上の任意の海域Aにおける表層海流の海流ベクトルV(流速および流向)を観測可能に構成されている。
各海洋レーダ局2は、本発明におけるレーダ装置で構成されて、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式またはFMICW(Frequency Modulated Interrupted Continuous Wave)方式などの所定の掃引周期で周波数が掃引される送信信号(レーダ信号)を海面に照射し、海面においてブラッグ後方散乱して戻ってくる反射信号(エコー)を受信して、方位分解処理、距離分解処理、およびドップラ周波数分解処理を実行することにより、後述する観測海域におけるすべての単位海域内の表層海流についてのドップラスペクトル(本発明におけるドップラ周波数データ)Ddpを算出する。
具体的には、各海洋レーダ局2は、図1に示すように、1本の送信アンテナ21、信号発生部22、複数(本例では一例として8本)の受信アンテナ23、受信アンテナ23と同数の信号受信部24、および1つの処理部25をそれぞれ備えている。この場合、信号発生部22は、FMCW方式またはFMICW方式により、所定の掃引周期で周波数が掃引される(周波数変調された)短波帯の送信信号Stxを生成して、送信アンテナ21に出力する。一例として、信号発生部22は、レーダ周波数が周波数f0(例えば、24.5MHz)の信号を、±f1(例えば、±150KHz)の周波数掃引幅で周波数変調することにより、送信信号Stxを生成する。送信アンテナ21は、一例として八木アンテナであり、入力した送信信号Stxを海上にレーダ信号としてブロードビームの状態で送信する。例えば、海洋レーダ局2の正面方向を基準角(0°)としたときに−45°〜45°の走査角範囲に含まれる海域が観測海域であるときには、送信アンテナ21は、少なくともこの走査角範囲を含む範囲(例えば、基準角0°を中心として±90°の範囲(走査角−90°〜90°の範囲))にレーダ信号を送信する。
各受信アンテナ23は、例えば、無指向性のアンテナで構成されている。また、各受信アンテナ23は、例えば、後述の方位分解処理において必要な角度分解能を確保し得る受信アンテナのビームパターンを形成可能とするため、0.5λ(λは、送信信号Stxの波長)間隔で一列に、基準角0°に対して直交する仮想直線上に配設されている。また、各受信アンテナ23は、海面で反射されたレーダ信号(反射波)をそれぞれ受信して、対応する信号受信部24に出力する。また、各信号受信部24は、対応する受信アンテナ23から出力される信号に対して中間周波との混合を行うことにより、ベースバンド信号に復調して、受信信号Srxとして出力する。
処理部25は、図1に示すように、信号受信部24と同数(受信アンテナ23と同数でもある)のA/D変換器(同図中では「A/D」と表記する)25a、信号処理プロセッサ(同図中では「DSP」と表記する)25bおよびメモリ25cを備えて構成されている。この場合、各A/D変換器25aは、対応する信号受信部24から出力された受信信号Srxを所定のサンプリング周期でサンプリングすることにより、受信信号Srxの振幅を示す受信データDrを生成する。信号処理プロセッサ25bは、各A/D変換器25aから出力される受信データDrを入力してメモリ25cに記憶させる。また、信号処理プロセッサ25bは、メモリ25cに記憶されている各受信信号Srxの受信データDrに対して方位分解処理を実行すると共に、この処理によって算出される振幅データに対して、本発明に係るドップラ周波数データ算出方法を実行することにより、すなわち、グループ化処理、1次フーリエ変換処理(距離分解処理)、並び替え処理、ゼロデータ付加処理、および2次フーリエ変換処理(ドップラ周波数分解処理)を実行することにより、方位分解処理における方位分解能および距離分解処理における距離分解能で観測海域を分割して得られる最小海域(単位海域)内の表層海流についてのドップラスペクトルDdpを観測海域全域に亘り算出して、メモリ25cに記憶させる。また、海洋レーダ局2Aでは、信号処理プロセッサ25bは、メモリ25cに記憶されているこのドップラスペクトルDdpをドップラスペクトルDdp1として基地局3に出力し、海洋レーダ局2Bでは、信号処理プロセッサ25bは、メモリ25cに記憶されているこのドップラスペクトルDdpをドップラスペクトルDdp2として基地局3に出力する。
基地局3は、各海洋レーダ局2A,2Bと通信回線を介して接続されて、各海洋レーダ局2A,2Bから出力される観測海域内のすべての単位海域の表層海流についてのドップラスペクトルDdp1,Ddp2を受信する。また、基地局3は、これらのドップラスペクトルDdp1,Ddp2に基づいて、所望の海域(単位海域)Aにおける表層海流の流速および流向(海流ベクトルV)を算出する。
次に、海洋レーダ局2A,2Bおよび海洋レーダ観測装置1の動作について、図面を参照して説明する。
この海洋レーダ観測装置1の動作状態において、各海洋レーダ局2A,2Bでは、それぞれの送信アンテナ21からレーダビームを海面に照射し、その反射波を各受信アンテナ23が受信し、各信号受信部24が受信信号Srxとして出力し、この受信信号Srxに基づいて処理部25がドップラスペクトルDdp1,Ddp2をそれぞれ生成して基地局3に出力する動作を繰り返し実行する。
具体的に、各海洋レーダ局2A,2Bにおける処理部25の詳細な動作について図面を参照して説明する。なお、海洋レーダ局2A,2Bの動作は同一であるため、海洋レーダ局2Aを例に挙げてその動作を説明する。海洋レーダ局2Aでは、信号発生部22が、送信信号Stxを生成して、送信アンテナ21に出力する。これにより、送信信号Stxが、送信アンテナ21からブロードビームの状態でレーダ信号として海上に照射される。次いで、照射されたレーダ信号は、海面で散乱波となり、その一部が海洋レーダ局2Aに反射波として戻って来る。海洋レーダ局2Aで観測される反射波は、散乱波のうちの海洋レーダ局2Aの視線方向(レーダ視線方向)に沿った成分であるが、図7に示すように、そのドップラスペクトルには、ブラッグ散乱現象により、2つの一次散乱スペクトルピークP1,P2が、送信信号Stxの周波数f0を基準(ゼロ)としたときに、そのプラス周波数領域とマイナス周波数領域とに現れる。具体的には、2つの一次散乱スペクトルピークP1,P2は、表層海流が存在しないときにも周波数(±fd0)の位置に現れるが、表層海流が存在しているときには、表層海流の流向に応じた方向にシフトして周波数(±fd)の位置に現れる。詳細には、表層海流の流向が海洋レーダ局2に近づくものであるときには、図7に示すように、プラス周波数にシフトして現れ、遠ざかるものであるときには、図7とは逆にマイナス周波数にシフトして現れる。また、このときの表層海流の流速(視線流速)Vrは、下記式に示すように、表層海流の存在に起因して生じる周波数のシフト量(fd−fd0)に基づいて算出される。
流速Vr=光速×(fd−fd0)/(2×f0)
各受信アンテナ23は、すべての海域からの反射波(すべての角度から到来するすべての距離からの反射波)を受信すると共に、受信した信号を対応する信号受信部24に出力する。各信号受信部24は、対応する受信アンテナ23から入力した信号をベースバンド信号に復調することにより、受信信号Srxとして出力する。この場合、各受信アンテナ23は、上記したように所定の間隔(0.5λ)を空けて設置されているため、同一の海域からの反射波であっても、その設置位置の差に従い、位相差が生じた状態でこの反射波を受信する。これにより、各受信信号Srx間にも、同様の位相差が発生している。
処理部25では、各A/D変換器25aが、対応する信号受信部24から出力される受信信号Srxを入力すると共にA/D変換することにより、受信信号Srxの振幅(レベル)を示す受信データDrを生成して信号処理プロセッサ25bに出力する。信号処理プロセッサ25bは、各受信データDrをメモリ25cに記憶する。次いで、信号処理プロセッサ25bは、メモリ25cに記憶した各受信データDrに対するデータ処理を実行する。
このデータ処理では、信号処理プロセッサ25bは、まず、メモリ25cに記憶した各受信データDrに対して方位分解処理を実行する。この方位分解処理では、信号処理プロセッサ25bは、一例として、一掃引周期分の送信信号Stxについての受信データDrをメモリ25cに記憶する都度、これらの受信データDrに対してビーム形成処理(本例では一例として、ビーム形成法としてのDBF法)を施して、所定の視線方向に主ビームが向くビームパターンを形成し、このビームパターンのアンテナで海域からの反射波を受信したときに得られる受信データとしての第1振幅データD1(u(1),u(2),・・・,u(j)。jは、一掃引周期中でのA/D変換器25aのサンプリング数)を各受信データDrに基づいて算出して、所定の視線方向(走査角)に対応させてメモリ25cに記憶させる。信号処理プロセッサ25bは、このビーム形成処理、および第1振幅データD1の算出・記憶処理を、予め規定された走査角範囲(例えば、−45°〜45°)に亘り、ビームパターンにおける主ビームの視線方向(走査角)を所定の走査角(任意の単位走査角。例えば5°)ずつ増加させながら実行する。これにより、メモリ25cには、図2に示すように、単位走査角毎(視線方向毎)に方位分解された1掃引周期分の第1振幅データD1が、掃引回数順に連続して記憶されていく。
次いで、信号処理プロセッサ25bは、単位走査角毎(視線方向毎)に方位分解された第1振幅データD1に対して、方位毎にグループ化処理を実行する。このグループ化処理では、信号処理プロセッサ25bは、掃引周期のn周期(nは2以上の任意の整数)分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化する処理を連続して実行する。図3に示す例では、n(=256)周期分ずつを、一例として128(=256/2)掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化する。本例では、一例として、256周期分の第1振幅データD1は、2分間分のデータに相当するため、1分間分ずつオーバーラップさせつつグループ化することになる。なお、図3では、発明の理解を容易にするため、1つの方位の第1振幅データD1についてのグループ化処理を示しているが、グループ化処理は、すべての方位の第1振幅データD1について実行される。
続いて、信号処理プロセッサ25bは、グループ化処理においてグループ化された各方位の第1振幅データD1に対して1次フーリエ変換処理(距離分解処理)をグループ毎に実行する。この1次フーリエ変換処理では、信号処理プロセッサ25bは、図4に示すように、第1振幅データD1のグループ毎に、第1振幅データD1に対して掃引周期単位でフーリエ変換(窓関数は一例としてハミング窓関数)を施すことにより、所定方向(所定の視線方向)における所定距離毎の受信信号Srxの振幅を示す第2振幅データD2(v(1),v(2),・・・,v(k)。kは、距離分解能によって決定される2以上の整数)を掃引周期単位で算出してメモリ25cに記憶させる。なお、同図では、発明の理解を容易にするため、1つの方位の第1振幅データD1に対する1次フーリエ変換処理を示しているが、1次フーリエ変換処理は、すべての方位の第1振幅データD1について実行される。
次いで、信号処理プロセッサ25bは、グループ化された各方位の第2振幅データD2に対して、各グループ内で並び替える並び替え処理を実行する。この並び替え処理では、信号処理プロセッサ25bは、図5に示すように、各グループにおいて、破線枠で囲んだようにして同じ距離の第2振幅データD2同士を組にすると共に、各組を距離の順に並べることにより、各第2振幅データD2を並び替える。この場合、1つの距離の組に含まれる各第2振幅データD2(例えば、v(1),・・・,v(1))は、掃引回数の早い順に並べられる。なお、同図では、発明の理解を容易にするため、1つの方位の第2振幅データD2に対する並び替え処理を示しているが、並び替え処理は、すべての方位の第2振幅データD2について実行される。
続いて、信号処理プロセッサ25bは、並び替え処理が施された各方位の第2振幅データD2の各グループに対して、図6に示すように、振幅がゼロを示すゼロデータv(0)を所定数ずつ付加して新たな第2振幅データD2とするゼロデータ付加処理を実行する。具体的に、このゼロデータ付加処理では、信号処理プロセッサ25bは、図5に示す各グループに含まれる第2振幅データD2の各組(v(1),・・・,v(1)の組など)に対して、図6に示すように、所定数(一例として、各組の第2振幅データD2と同数)ずつゼロデータv(0)を付加して、各組に含まれる第2振幅データD2の数を、後述する2次フーリエ変換処理において必要とする精度を確保し得る数まで増加させる。なお、同図では、発明の理解を容易にするため、1つの方位の第2振幅データD2に対するゼロデータ付加処理を示しているが、ゼロデータ付加処理は、すべての方位の第2振幅データD2について実行される。また、同図では、各組の第2振幅データD2に対して、同図中の上側にゼロデータv(0)を付加しているが、同図中の下側にゼロデータv(0)を付加する構成を採用することもできる。
次いで、信号処理プロセッサ25bは、2次フーリエ変換処理を実行する。この2次フーリエ変換処理では、信号処理プロセッサ25bは、各方位の各グループの各組に含まれる第2振幅データD2(付加されたゼロデータv(0)を含む)に対してフーリエ変換を施して、各方向における所定距離毎のドップラスペクトルDdp(図7参照)を算出する。この算出されたドップラスペクトルDdpの算出については、上記したように2次フーリエ変換処理が施される各組に含まれる第2振幅データD2の数がゼロデータv(0)の数分だけ増加させられているため、ゼロデータv(0)を付与しない状態において2次フーリエ変換処理を施して得られたドップラスペクトルと比較して、計算上の周波数分解能が高められている。このため、ドップラスペクトルに現れる一次散乱スペクトルピークP1,P2の周波数(±fd)が一層正確に算出可能となっている。また、信号処理プロセッサ25bは、算出した各方向における所定距離毎のドップラスペクトルDdpを、方向(視線方向)および所定距離に対応させてメモリ25cに記憶させる。
信号処理プロセッサ25bは、このドップラスペクトルDdpの算出およびメモリ25cへの記憶を、観測海域のすべての単位海域について、つまり、走査角範囲に規定されたすべての方向におけるすべての距離に位置する単位海域について実行する。また、信号処理プロセッサ25bは、観測海域のすべての単位海域についてのドップラスペクトルDdpの算出およびメモリ25cへの記憶を完了した後に、すべての単位海域についてのドップラスペクトルDdpをメモリ25cから読み出して、ドップラスペクトルDdp1として基地局3に出力する。なお、海洋レーダ局2Bも海洋レーダ局2Aと同様にして、ドップラスペクトルDdpを算出して、算出したドップラスペクトルDdpをドップラスペクトルDdp2として基地局3に出力する。
基地局3は、各海洋レーダ局2から受信した各ドップラスペクトルDdp1,Ddp2に基づいて、所望の単位海域における表層海流の流速および流向(海流ベクトルV)を算出する。例えば、海洋レーダ局2Aにおける走査角θ1の視線方向と、海洋レーダ局2Bにおいて走査角θ2の視線方向との交点に所望の単位海域(海域A)が位置しているときには、基地局3は、まず、海洋レーダ局2Aから海域Aまでの距離L1と走査角θ1とを算出すると共に、海洋レーダ局2Bから海域Aまでの距離L2と走査角θ2とを算出する。次いで、海洋レーダ局2Aから受信したドップラスペクトルDdp1の中から、視線方向が走査角θ1と一致し、かつ距離L1に位置する単位海域についてのドップラスペクトルDdpを特定して、走査角θ1に沿った表層海流の流速Vrと流向とを算出する。また、海洋レーダ局2Bから受信したドップラスペクトルDdp2の中から、視線方向が走査角θ2と一致し、かつ距離L2に位置する単位海域についてのドップラスペクトルDdpを特定して、走査角θ2に沿った表層海流の流速Vrと流向とを算出する。最後に、算出した2つの流速Vrを、互いの流向を考慮して合成する。これにより、海域Aにおける表層海流の流速および流向が観測(測定)される。
このように、この海洋レーダ局2および海洋レーダ観測装置1では、上記のドップラ周波数データ算出方法を実行する信号処理プロセッサ25bが、単位走査角毎(視線方向毎)に方位分解された第1振幅データD1に対して、掃引周期のn周期(nは2以上の任意の整数)分ずつを、n未満の任意の掃引周期(詳しくは、1以上n未満の任意の整数の掃引周期)でオーバーラップさせつつグループ化する処理を連続して実行しつつ、このようにしてグループ化された第1振幅データD1に基づいて、単位海域でのドップラスペクトルDdpをいわゆる短時間フーリエ変換によって算出する。したがって、この海洋レーダ局2によれば、従来のレーダ装置とは異なり、数個の時系列から算出したドップラスペクトルを平均する平均処理を行わないため、最終的なドップラスペクトルDdpの算出周期を従来のレーダ装置と比較して十分に短縮することができる。この結果、短時間に表層海流の流速が変化する現象(例えば津波)の検出確度を飛躍的に高めることができる。
また、この海洋レーダ局2および海洋レーダ観測装置1によれば、信号処理プロセッサ25bは、2次フーリエ変換処理において、付加されたゼロデータv(0)を含む第2振幅データD2に対してフーリエ変換を施してドップラスペクトルDdpを算出するため、計算上の周波数分解能を向上させることができ、これによってドップラスペクトルDdpに現れる一次散乱スペクトルピークP1,P2の周波数(±fd)を正確に算出することができる。この結果、表層海流の発生していない状態において一次散乱スペクトルピークP1,P2が現れる周波数(±fd0)からのシフト量(fd−fd0)についても正確に算出することができる結果、このシフト量(fd−fd0)に基づいて表層海流の流速Vrを正確に算出することができる。
第2振幅データD2に対してゼロデータv(0)を付加することにより、表層海流の流速Vrの算出精度が向上する様子について、シミュレーションを実施した。その結果を図8〜図16に示す。
第1のシミュレーションは、1つの海洋レーダ局2において、所定の視線方向における所定距離(近距離:1.5km)に位置する単位海域での表層海流の流速Vrが図8に示すように時間的に変化したと仮定したときに、この単位海域での表層海流の流速Vrをゼロデータv(0)を付加して算出した結果と、ゼロデータv(0)を付加しないで算出した結果とをシミュレーションで算出するものである。このシミュレーションの結果によれば、ゼロデータv(0)を付加して算出した場合の単位海域での表層海流の流速Vrについての時間的変化は、図9に示すように、図8に示される基準となる表層海流の流速Vrについての時間的変化に極めて近いものとなり、流速Vrのピークが正確に検出できることが確認される。一方、ゼロデータv(0)を付加しないで算出した場合の単位海域での表層海流の流速Vrについての時間的変化は、図10に示すように、流速Vrのピークが潰れた波形となるため、流速Vrのピークが正確に検出できないことが確認される。
第2のシミュレーションは、1つの海洋レーダ局2において、所定の視線方向における所定距離(中距離:40.5km)に位置する単位海域での表層海流の流速Vrが図11に示すように時間的に変化したと仮定したときに、この単位海域での表層海流の流速Vrをゼロデータv(0)を付加して算出した結果と、ゼロデータv(0)を付加しないで算出した結果とをシミュレーションで算出するものである。このシミュレーションの結果によれば、ゼロデータv(0)を付加して算出した場合の単位海域での表層海流の流速Vrについての時間的変化は、図12に示すように、図11に示される基準となる表層海流の流速Vrについての時間的変化に極めて近いものとなり、流速Vrのピークが正確に検出できることが確認される。一方、ゼロデータv(0)を付加しないで算出した場合の単位海域での表層海流の流速Vrについての時間的変化は、図13に示すように、流速Vrの時間変化が全く再現されておらず、流速Vrのピークが正確に検出できないことが確認される。
第3のシミュレーションは、1つの海洋レーダ局2において、所定の視線方向における所定距離(遠距離:60km)に位置する単位海域での表層海流の流速Vrが図14に示すように時間的に変化したと仮定したときに、この単位海域での表層海流の流速Vrをゼロデータv(0)を付加して算出した結果と、ゼロデータv(0)を付加しないで算出した結果とをシミュレーションで算出するものである。このシミュレーションの結果によれば、ゼロデータv(0)を付加して算出した場合の単位海域での表層海流の流速Vrについての時間的変化は、図15に示すように、ピークが潰れてはいるものの、図14に示される基準となる表層海流の流速Vrについての時間的変化をある程度再現した波形となっているため、流速Vrのピークをある程度正確に検出可能であることが確認される。一方、ゼロデータv(0)を付加しないで算出した場合の単位海域での表層海流の流速Vrについての時間的変化は、図16に示すように、流速Vrの時間変化が全く再現されておらず、流速Vrのピークが正確に検出できないことが確認される。
以上のシミュレーション結果から、第2振幅データD2に対してゼロデータv(0)を付加することにより、近距離から遠距離までの広い距離範囲に亘り、表層海流の流速Vrの算出精度が向上することが確認される。
また、この海洋レーダ局2および海洋レーダ観測装置1によれば、信号処理プロセッサ25bが、DBF法などのビーム形成処理を実行して、方位分解処理を実行するため、時間を要する受信アンテナを実際に回転させる処理を不要にできるため、最終的なドップラスペクトルDdpの算出周期を大幅に短縮することができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、2次フーリエ変換処理の対象となる第2振幅データD2に対してゼロデータv(0)を付加してデータ数を増加させることにより、フーリエ変換によって算出されるドップラスペクトルDdpの計算上の周波数分解能を向上させる構成を採用した例について上記したが、図17に示すように、1次フーリエ変換処理の対象となる第1振幅データD1に対して所定数(一例として、各組の第1振幅データD1と同数)ずつゼロデータu(0)を付加してデータ数を増加させることにより、1次フーリエ変換によって算出される第2振幅データD2の数を増加(距離分解能を向上)させることもできる。
また、2つの海洋レーダ局2A,2Bを備えた例について上記したが、3つ以上の海洋レーダ局2を備えた構成を採用することもできる。また、受信アンテナ23と独立して送信アンテナ21を配設する構成を採用しているが、複数の受信アンテナ23のうちの少なくとも1つを送信時には信号発生部22に切り換えて接続する構成(受信アンテナ23のうちの少なくとも1つを信号発生部22と信号受信部24に交互に接続することで送信アンテナ21として兼用する構成)とすることもできる。これにより、例えば、複数の受信アンテナ23のうちの1つを送信時において信号発生部22に切り換えて接続する構成を採用した場合、その1つの受信アンテナ23は、A/D変換器25a(具体的には、A/D変換器25aに接続される信号受信部24)から信号発生部22に切り換えて接続されたときには、入力した送信信号Stxをレーダ信号として送信する送信アンテナとして機能する。このため、送信アンテナ21を省いてアンテナの数を低減することができる。
また、複数の受信アンテナ23を備え、処理部25が各受信アンテナ23からの信号に基づく各受信信号Srxの受信データDrに対して方位分解処理を実行して、所定の走査角範囲に含まれる海域(観測海域)についてのドップラスペクトルDdpを算出する構成について上記したが、観測する方向が一方向に限定されているときには、指向性を有する1本の受信アンテナを用いて、この一方向からの反射波を受信する構成を採用することもできる。この構成によれば、1本の受信アンテナから出力される受信信号Srx(具体的には、この受信アンテナに接続された1つの信号受信部24から出力される受信信号Srx)をA/D変換部25aがサンプリングして受信データDrに変換するため、この受信データDrに基づいて、方位分解処理を行うことなく、この一方向についてのドップラスペクトルDdpを算出することができる。
1 海洋レーダ観測装置
2 海洋レーダ局
25 処理部
D1 第1振幅データ
D2 第2振幅データ
Ddp ドップラスペクトル
Srx 受信信号
Stx 送信信号

Claims (7)

  1. 所定の掃引周期で周波数が掃引される送信信号についての所定方向からの反射信号をサンプリングして当該反射信号についての振幅を示す第1振幅データに変換し、当該第1振幅データに基づいて当該所定方向における所定距離毎のドップラ周波数データを算出するレーダ装置であって、
    処理部を備え、
    当該処理部は、
    前記第1振幅データに対して、前記掃引周期のn周期(nは2以上の任意の整数)分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化するグループ化処理と、
    前記グループ毎に、前記第1振幅データに対して前記掃引周期単位でフーリエ変換を施すことにより、前記所定方向における前記所定距離毎の前記振幅を示す第2振幅データを当該掃引周期単位で算出する1次フーリエ変換処理と、
    前記第2振幅データの各グループに対して、当該各グループに含まれている当該各第2振幅データを前記掃引周期順で前記所定距離毎に並び替えてグループ化する並び替え処理と、
    当該並び替え処理によってグループ化された前記第2振幅データに対して、グループ毎に振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ付加して新たな第2振幅データとするゼロデータ付加処理と、
    当該ゼロデータ付加処理がされた前記各グループに含まれている前記第2振幅データに対してフーリエ変換を施して前記所定距離毎の前記ドップラ周波数データを算出する2次フーリエ変換処理とを実行するレーダ装置。
  2. 前記処理部は、前記1次フーリエ変換処理において、前記掃引周期単位でのフーリエ変換に先立ち、当該掃引周期毎に前記振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ充填して新たな第1振幅データとする請求項1記載のレーダ装置。
  3. 送信アンテナから海洋に向けて送信されたレーダ信号の反射波を受信した複数の受信アンテナからそれぞれ出力された受信信号をサンプリングして当該受信信号についての振幅を示す受信データにそれぞれ変換するA/D変換部を備え、
    前記処理部は、前記受信データに対して所定のビーム形成法を適用して前記第1振幅データに変換する方位分解処理を実行する請求項1または2記載のレーダ装置。
  4. 前記複数の受信アンテナを備え、
    前記複数の受信アンテナのうちの少なくとも1つは、送信信号を出力する信号発生部と前記A/D変換部とに交互に切り換えて接続可能に構成されて、前記信号発生部に接続されたときには前記送信信号を前記レーダ信号として送信する前記送信アンテナとして機能する請求項3記載のレーダ装置。
  5. 送信アンテナから海洋に向けて送信されたレーダ信号の反射波を受信する1本の指向性を有する受信アンテナを備え、
    前記受信アンテナから出力された受信信号をサンプリングして当該受信信号についての振幅を示す受信データに変換すると共に、当該受信データを前記第1振幅データとして出力するA/D変換部を備えている請求項1または2記載のレーダ装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の複数のレーダ装置と、
    前記各レーダ装置でそれぞれ算出された前記ドップラ周波数データに基づいて、前記海洋における所望海域の表層海流の流速および流向を算出する処理装置とを備えている海洋レーダ観測装置。
  7. 所定の掃引周期で周波数が掃引される送信信号についての所定方向からの反射信号をサンプリングして当該反射信号についての振幅を示す第1振幅データに変換し、当該第1振幅データに基づいて当該所定方向における所定距離毎のドップラ周波数データを算出するドップラ周波数データ算出方法であって、
    前記第1振幅データに対して、前記掃引周期のn周期(nは2以上の任意の整数)分ずつを、n未満の任意の掃引周期でオーバーラップさせつつグループ化するグループ化処理と、
    前記グループ毎に、前記第1振幅データに対して前記掃引周期単位でフーリエ変換を施すことにより、前記所定方向における前記所定距離毎の前記振幅を示す第2振幅データを当該掃引周期単位で算出する1次フーリエ変換処理と、
    前記第2振幅データの各グループに対して、当該各グループに含まれている当該各第2振幅データを前記掃引周期順で前記所定距離毎に並び替えてグループ化する並び替え処理と、
    当該並び替え処理によってグループ化された前記第2振幅データに対して、グループ毎に振幅がゼロを示すゼロデータを所定数ずつ付加して新たな第2振幅データとするゼロデータ付加処理と、
    当該ゼロデータ付加処理がされた前記各グループに含まれている前記第2振幅データに対してフーリエ変換を施して前記所定距離毎の前記ドップラ周波数データを算出する2次フーリエ変換処理とを実行するドップラ周波数データ算出方法。
JP2009018096A 2009-01-29 2009-01-29 レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法 Active JP5238531B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009018096A JP5238531B2 (ja) 2009-01-29 2009-01-29 レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009018096A JP5238531B2 (ja) 2009-01-29 2009-01-29 レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010175377A JP2010175377A (ja) 2010-08-12
JP5238531B2 true JP5238531B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=42706501

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009018096A Active JP5238531B2 (ja) 2009-01-29 2009-01-29 レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5238531B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6008136B2 (ja) * 2012-10-15 2016-10-19 三菱電機株式会社 海洋レーダ装置
JP5905646B2 (ja) * 2013-05-31 2016-04-20 三菱電機株式会社 津波監視システム
JP6116398B2 (ja) * 2013-06-21 2017-04-19 三菱電機株式会社 波形推定装置及び波形推定方法
CN110673128B (zh) * 2019-11-11 2022-04-15 南京信息工程大学 一种基于间断上下调频波的x波段岸基雷达测流方法
JP7055491B1 (ja) 2020-12-21 2022-04-18 WaveArrays株式会社 レーダ装置
CN113064151B (zh) * 2021-03-18 2024-01-30 江苏蛮酷科技有限公司 一种细分多普勒速度处理方法和装置
CN114778885B (zh) * 2022-04-28 2023-11-07 珠海微度芯创科技有限责任公司 一种雷达流速仪及控制方法、装置

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU656771B2 (en) * 1991-05-16 1995-02-16 Commonwealth Of Australia, The Oceanographic and meteorological data
JPH09243745A (ja) * 1996-03-11 1997-09-19 Kaijo Corp ドップラー速度計
JP2916120B2 (ja) * 1997-09-11 1999-07-05 国際航業株式会社 短波海洋レーダ観測装置
JP3466908B2 (ja) * 1998-02-20 2003-11-17 長野日本無線株式会社 短波または超短波を用いた海洋レーダ
JP3163297B2 (ja) * 1999-05-07 2001-05-08 国際航業株式会社 短波海洋レーダ観測装置
JP3675443B2 (ja) * 2000-10-13 2005-07-27 ヘレウス・エレクトロナイト株式会社 溶融金属の流速測定方法及びその装置並びにこれに用いる検知棒
JP2005241467A (ja) * 2004-02-26 2005-09-08 National Institute Of Information & Communication Technology 波浪測定方法
JP4378265B2 (ja) * 2004-11-29 2009-12-02 日本無線株式会社 Fm−cwレーダ装置
JP2009300207A (ja) * 2008-06-12 2009-12-24 Nagano Japan Radio Co 海洋レーダ局および海洋レーダ観測装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010175377A (ja) 2010-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5238531B2 (ja) レーダ装置、海洋レーダ観測装置およびドップラ周波数データ算出方法
JP6266103B2 (ja) 角度分解型fmcwレーダセンサ
US7812759B2 (en) Radar apparatus for detection position information of a target by receiving reflection signals reflected by the target with a plurality of reception antennas
US9817110B2 (en) Imaging radar sensor with narrow antenna lobe and wide angle detection range
JP2016151425A (ja) レーダ装置
US9696423B2 (en) Method for improving performance of a Sodar system
JP2007093576A (ja) 距離測定装置、及び距離測定方法
Lopez et al. Calibration, validation, and analysis of an empirical algorithm for the retrieval of wave spectra from HF radar sea echo
JP2017090066A (ja) レーダ装置、レーダ装置の信号処理装置及び信号処理方法
JP2009300207A (ja) 海洋レーダ局および海洋レーダ観測装置
JP2011526371A (ja) 改善された角度形成を持つレーダシステム
CN103308892B (zh) 一种多扫频雷达信号的产生及压缩方法
CN104330787A (zh) 水下运动阵列多目标检测和方位估计一体化方法
CN109085541B (zh) Mimo雷达阵列天线及其信号处理方法
JP2014182010A (ja) レーダ装置
JP2021513657A (ja) 自動車用の角度分解型で広帯域のレーダセンサ
CN103364784A (zh) 一种环视合成孔径成像雷达
Sediono Method of measuring Doppler shift of moving targets using FMCW maritime radar
CN109884337B (zh) 一种利用高频地波雷达探测海面风向的方法
Tian et al. Fully digital multi‐frequency compact high‐frequency radar system for sea surface remote sensing
JP5508877B2 (ja) レーダ装置
JP6586462B2 (ja) 水蒸気観測装置
JP6141714B2 (ja) ドップラー水象レーダー
JP7224292B2 (ja) レーダ装置およびそれを備える自動車
CN106772343A (zh) 相位检测方法及相位检测装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130401

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5238531

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160405

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250