JP2005241467A - 波浪測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】計測範囲における同時性を保ちつつ、外洋において広範囲に波浪を測定できる方法を提供する。
【解決手段】電波を調整する電波調整工程(S101)と、前記電波調整工程で調整された電波を海面に放射する電波放射工程(S102)と、前記電波放射工程で海面に放出された電波のうち後方散乱したものを受信する電波受信工程(S103)と、前記電波受信工程で受信した電波を電気信号に変換する変換工程(S104)と、前記変換工程で変換された電気信号(ドップラースペクトル)が波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算する解析工程(S105)とを含み、前記海面に放射される電波は波長が32mであり、中心周波数が9.25MHzの変調連続波であり、掃引周波数幅が22kHz以上55kHz以下であり、周波数掃引間隔が0.34秒〜1.38秒で、特にDBF方式を採用した波浪計測方法などに関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、波浪測定方法、及び波浪計測方法に用いられる波浪観測システムなどに関し、特に外洋の広域波浪を計測する方法などに関する。
(表層流の推定)
海面に電波が放出されると、海面波と放出された電波とが干渉し、あらゆる方向に散乱波が発生する。放出された電波の波長の1/2と海面波の波長とが同一の場合に、ブラッグ共鳴散乱となり、強い後方散乱波が生じる。この後方散乱波には、波の移送速度に対応したドップラー周波数付近に一次散乱と呼ばれるピークが表れる。この一次散乱の位置は表層流の大きさによってドップラーシフトする。このシフト量を計測することにより、レーダの視線方向の表層流の流速を推定できる。
(海上の風向推定)
海面に電波が放出されると、海面波と放出された電波とが干渉し、あらゆる方向に散乱波が発生する。放出された電波の波長の1/2と海面波の波長とが同一の場合に、ブラッグ共鳴散乱となり、強い後方散乱波が生じる。この後方散乱波には、波の移送速度に対応したドップラー周波数付近に一次散乱と呼ばれるピークが表れる。レーダによって観測される正と負の一次散乱のピーク強度は、散乱に寄与する波浪の発達度に対応するので、一次散乱波の正と負との強度比から海上の風向を推定できる。
(波浪の物理量推定)
一方、後方散乱波の一次散乱波の周辺には、2次散乱波と呼ばれる弱いピークが現れる。ドップラースペクトル中の2次散乱波に由来するピークを解析することにより、波浪の波高、波周期、波向など波浪の物理量を推定できる。このような解析方法としては、バリック(Barrick)の関係式などが知られている。しかしながら、ドップラースペクトル中の2次散乱波に由来するピーク強度は小さい。このため、波浪の物理量を測定するためには、S/N比のよいデータが要求される。すなわち、ノイズが多くなると波浪の物理量を推定することが困難となる。
(海洋レーダ)
このため、波浪を測定するための海洋レーダでは、波長の短い電波(λ=12m、又はλ=6m)が用いられていた。すなわち、表層流・風向のみならず、波浪の物理量を測定する場合、ノイズが少なくなる短波長の電波を放射する海洋レーダが用いられた。なお、短波海洋レーダを用いて波浪方向スペクトルを抽出する方法は既に知られている(たとえば、下記特許文献1(特開2000-266863号公報)参照。)。
(遠距離海洋レーダ)
一方、表層流・風向のみを分析する際には、遠距離海洋レーダが用いられる。遠距離海洋レーダは、比較的波長の長い電波(λ=32m)を用い、電波の周波数を低くできるので、遠距離における表層流・風向の状況を観測できる。しかしながら、遠距離海洋レーダは、外来ノイズの影響が大きいので、波浪測定には向かないと考えられていた。それゆえ、波浪を観測するために遠距離海洋レーダ(長い波長の電波)を用いることは考えられていなかった。
特開2000-266863号公報
本発明は、波浪を測定する新しい方法を提供することを別の目的とする。
本発明は、外洋において広範囲に波浪を測定できる方法を提供することを別の目的とする。
本発明は、計測範囲における同時性を保ちつつ、波浪を測定する方法を提供することを別の目的とする。
本発明は、レーダの受信信号が波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定した後、波浪の物理量(方向スペクトル、有義波高、有儀周期、主波向)を測定するための新しいシステムを提供することを目的とする。
本発明は、外洋において広範囲に波浪を測定するためのシステムを提供することを目的とする。
本発明は、計測範囲における同時性を保ちつつ、波浪を測定するための新しいシステムを提供することを目的とする。
[1] 上記の課題のうち一つ以上を解決するため、本発明の波浪計測方法は、電波を調整する電波調整工程と、前記電波調整工程で調整された電波を海面に放射する電波放射工程と、前記電波放射工程で海面に放出された電波のうち後方散乱したものを受信する電波受信工程と、前記電波受信工程で受信した電波をドップラースペクトルに変換する変換工程と、前記変換工程で変換されたドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算する解析工程とを含む波浪計測方法であって、前記海面に放射される電波は、波長が32mであり、中心周波数が9.25MHzの変調連続波であり、掃引周波数幅が22kHz以上55kHz以下であり、周波数掃引間隔が0.34秒〜1.38秒である。
本発明の波浪計測方法では、特殊な電波を用いるので、沿岸から150km程度沖合の外洋(特に、水深の深い海域)において、適切に波浪を計測できる。
[2] 本発明の波浪計測方法の好ましい態様は、海面に放射される電波の波長が、32mである上記[1]に記載の波浪計測方法である。このように波長の長い電波を用いるので、長距離にわたって電波を伝達することができ、したがって、広範囲における波浪を計測できる。また、従来波浪観測には、短波長の電波が用いられ、長波長は向かないと考えられていた。しかし、上記[1]に記載の電波を用いれば、特に日中において適切に波浪を計測できる。
[3] 本発明の波浪計測方法の好ましい態様は、前記海面に放射される電波の周波数が、9.25MHzである波浪計測方法である。この態様の波浪計測方法では、周波数が低い
電波を用いるので従来の海洋レーダに比べ広範囲に波浪を観測できる。
[4] 本発明の波浪計測方法の好ましい態様は、前記変換工程が、受信アンテナが受信した電波を整合するための整合回路と、前記整合回路からの出力信号が入力される複数の受信機と、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを含む信号変換手段を用い、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号ごとに、前記複数のA/D変換器がデジタル信号に変換する工程を含むDBF(デジタルビームフォーミング)方式により電波の到来方向を分離し、ドップラースペクトルを形成する工程である。
従来の波浪計測は、狭ビーム走査方式の海洋レーダを用いていた。そのため、従来の波浪観測では、全計測範囲を走査するのに時間がかかっていた。このため、計測地点ごとに計測時間がずれており、計測の同時性(計測地点によって時間的ずれがないこと)を保てなかった。[4]に記載の態様の波浪計測方法は、DBF方式を取り入れた波浪計測システムである。すなわち、様々な方位からの電波を同時に受信し処理できるDBF方式を採用するので、この態様の波浪計測方法では、広範な計測領域における波浪情報を一度に測定でき、計測の同時性を保つことができる。
[5] 本発明の波浪計測方法は、受信信号に混入するノイズの影響を評価(ドップラースペクトルの一次散乱のピークを二次散乱の最小値との比が30dB以上ある場合に限って解析する)することにより、遠距離海洋レーダによって波浪観測を実施するものである。
[6] 本発明の波浪計測方法における別の態様としては、海岸から150kmまでの波浪を計測することが可能である。
[7] 本発明の波浪計測システムは、遠距離海洋レーダを2局以上用いた波浪計測システムであって、前記遠距離海洋レーダは、電波を放射する電波放射手段と、前記電波放射手段が放射する電波となる信号を発生する信号発生手段と、前記信号発生手段が発生した信号の周波数を変調し、前記電波放射手段に供給する信号変調手段と、前記電波放射手段が放射した電波であって後方散乱したものを受信する電波受信手段と、前記電波受信手段が受信した電波をドップラースペクトルに変換する信号変換手段と、前記信号変換手段が変換したドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推定する解析手段とを具備し、前記信号発生手段は、電波放射手段が放射する電波のキャリア周波数となる周波数を有する信号を発生し、前記電波受信手段は、複数の受信機と、複数のA/D変換器とを具備し、前記海面に放射される電波は、波長が32mであり、中心周波数が9.25MHzの変調連続波であり、掃引周波数幅が22kHz以上55kHz以下であり、周波数掃引間隔が0.34秒〜1.38秒である。
この波浪計測システムは、DBF方式を用いるので広範囲にわたる波浪の同時計測が可能であり、特定の電波を用いるので遠距離における波浪をも測定できる。
すなわち、本発明は、以下の効果のうち少なくともひとつを奏することができる。
本発明によれば、外洋まで広範囲に波浪(特にその物理量)を測定できる方法を提供できる。
本発明によれば、計測範囲における同時性を保ちつつ、波浪を測定する方法を提供できる。
本発明によれば、外洋まで広範囲に波浪を測定するための新しいシステムを提供できる。
本発明によれば、計測の同時性を保ちつつ、波浪を測定するシステムを提供できる。
本発明は、基本的には遠距離海洋レーダを用いても、所定の電波(特に長波長の電波)を用いることにより、外洋においても波浪を計測できるという知見に基づくものであり、さらにはDBF方式を採用することにより計測の同時性を達成できるというものである。
(1. 波浪計測方法の概略)
図1は、波浪計測方法の各工程を示すフローチャートである。図1に示されるように、本発明の波浪計測方法は、たとえば、電波を調整する電波調整工程(S101)と、前記電波調整工程で調整された電波を海面に放射する電波放射工程(S102)と、前記電波放射工程で海面に放出された電波のうち後方散乱したものを受信する電波受信工程(S103)と、前記電波受信工程で受信した電波を電気信号に変換する変換工程(S104)と、前記変換工程で変換された電気信号(ドップラースペクトル)が波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推定する解析工程(S105)とを含む。
本発明の波浪計測方法では、前記海面に放射される電波は波長が32mであり、中心周波数が9.25MHzの変調連続波であり、掃引周波数幅が22kHz以上55kHz以下であり、周波数掃引間隔が0.34秒〜1.38秒である。この電波(9.25MHz)は、通常遠距離海洋レーダなどのレーダにより海面へ放出される。
(1.1. 電波調整工程)
電波調整工程(S101)は、電波放射工程で海面に放射される電波を調整する工程である。具体的には、後述する本発明の波浪計測システムが、電波を調整する。より具体的には、以下のようにして電波を調整するものがあげられる。信号源が、波形(中心周波数9.25MHz)を記憶したROMから波形情報を読み出し、送信波信号を作る。すなわち、チャープ信号の位相をROMに設定しておき、クロックで読み出すことによって送信波の正弦波形を生成する。信号源から出力された信号は、変調回路によって変調される。この変調は、演算部によって演算された変調信号に基づく。変調回路によって変調された信号は、増幅回路によってその強度が増幅される。増幅回路は、増幅した信号を送信アンテナ内の整合回路に供給する。
(1.2. 電波放射工程)
電波放射工程(S102)は、電波調整工程で調整された電波を海面に放射する工程である。より具体的には、整合回路が、供給された信号を整合して、アンテナに供給する。アンテナは、整合回路から供給された信号に基づき電波を放射する。このようにして送信アンテナから電波が海面に向かって放射される。以下、電波放出工程で放出される電波の特性について説明する。
(1.2.2.波長)
本発明の波浪計測方法は、従来の波浪計測方法に比べて、長波長の電波を使用する。電波の波長としては、30m〜100mがあげられ、具体的には32mがあげられる。
(1.2.3.周波数)
本発明の波浪計測方法では、従来の波浪計測方法に比べて、長波長の電波を放出するので、電波の周波数を低くすることができる。電波の周波数としては、3〜50MHzがあげられ、好ましくは5〜15MHzであり、より好ましくは8〜10MHzであり、9.5MHz以下でもよく、特に好ましくは9MHz〜9.5MHzである。本発明のレーダは、周波数を低くできるので、遠距離にわたる測定が可能となる。本発明の波浪計測方法では、好ましくはFMICW(Frequency Modulated Interrupted Continuous Wave:周波数変調連続波)を用いる。
(1.2.4. 掃引周波数幅)
電波の掃引周波数幅は、これが高いほど分解能が向上するので好ましい。掃引周波数幅としては、10kHz〜1MHzがあげられ、より好ましくは20kHz〜1MHzであり、特に好ましくは22kHz〜55kHzである。
(1.2.5. 周波数掃引間隔)
電波の周波数掃引間隔は、これが短いほど分解能が向上するので好ましい。周波数掃引間隔としては、0.01秒〜1.5秒があげられ、具体的には0.34、0.68、1.38秒があげられる。
(1.2.6. 出力強度)
電波の出力強度が、強いほど遠くまで電波を飛ばすことができる。一方、電波の出力強度が強いほど多くの電力を消費する。したがって、電波の出力強度としては、ピーク時で、100Wから10kWがあげられ、又は500Wから2kWがあげられる。電波の出力強度の平均値としては、50Wから5kWがあげられ、又は250Wから1kWがあげられる。
(1.2.7. 測定距離)
本発明の波浪計測方法では、沿岸から200kmまでの領域において波浪計測が可能であり、好ましくは100km以下であり、10km〜150kmの領域を測定してもよい。
(1.3. 電波受信工程)
電波受信工程(S103)は、電波放射工程で海面に放出された電波のうち後方散乱したものを受信する工程である。より具体的には、受信アンテナが、海面から後方散乱された電波を受信するものがあげられる。
(1.4. 変換工程)
変換工程(S104)は、電波受信工程で受信された電波を電気信号に変換する工程である。変換工程は、好ましくは、受信アンテナが受信した電波を整合するための整合回路と、前記整合回路からの出力信号が入力される複数の受信機と、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを含む信号変換手段を用い、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号ごとに、前記複数のA/D変換器がデジタル信号に変換すし、DBF処理により各観測方位の受信信号に変換する。様々な方位からの電波を同時に受信し処理できるDBF方式を採用するので、この態様の波浪計測方法では、広範な計測領域における波浪情報を一度に測定でき、計測の同時性を保つことができる。
より具体的な変換工程は、以下のものがあげられる。整合回路が、アンテナが受信した電波を、たとえば16個の電気信号に変換し、16個の受信機(アンテナ素子)に供給する。それぞれの受信機には、対応するアナログデジタル(A/D)変換器が設けられている。それぞれのA/D変換器は、アナログ信号を、デジタル信号に変換する。すなわち、アンテナ素子毎に受信機とA/D変換器とを備えており、各々のアンテナ素子が受信した信号をDBF処理することにより各観測方位の受信信号に変換する。このように、直線状に配置された複数のアンテナで受信した受信信号から電波の到来方向を推定する方式をDBF方式という。DBF方式は、観測領域内の全てのビームを任意の方向に、かつ同時に合成できるので、海流や海上風等の変化の早い物理量を検出でき、観測領域内での同時性が求められる情報の取得に適している。なお、受信機の数としては、8個〜32個、又は8個〜16個があげられる。A/D変換器が変換したデジタル信号は、演算部に供給される。演算部は、記憶部に記憶された情報と制御部からの制御信号とに従って、供給されるデジタル信号を解析し、ドップラースペクトルを得る。
(1.5. 解析工程)
解析工程(S105)は、信号変換工程で変換されたドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を解析する工程である。具体的には、先に説明したドップラースペクトルの1次散乱波、及び2次散乱波から波浪状況を把握する(波浪情報を抽出する)。上記のような工程を経るので、本発明の波浪計測方法では、広範囲における波浪観測が可能となる。
ドップラースペクトルから波浪の物理量を推算するためには、非線形非適切逆問題を解かなければならない。具体的には、ドップラースペクトルの一次散乱成分と二次散乱成分を使い、波浪の方向スペクトルの先験条件(方向スペクトルが滑らかに変化する)を与えることにより、この逆問題を解き波浪の方向スペクトルを推定している。
なお、ドップラースペクトルから波浪情報を抽出する解析方法としては、公知の抽出方法があげられる。このような波浪情報の抽出方法としては以下の方法があげられる。
バリック(Barrick)の抽出法 (Barrick, D. E.(1972):Remote sensing of sea state by radar, Remote sensing of the Troposphere, V. E. Dorr, Editor, U. S. Govt. Printing Office, Washington, D. C. , 12.)
ワイアット(Wyatt) の抽出法 (Wyatt, L. R. (1990): A relaxation method for internal invention applied to HF radar measurement of the ocean wave directional spectra, int. J. Remote sensing, vol. 11, pp. 1481-1494)
ハウエルとワルス(Howell & Walsh)の抽出法、(Howell. R. and J. Walsh (1993): Measurement of ocean wave spectra using narrow-beam HF radar, IEEE. J. Ocean. Eng., vol. 18, pp. 296-305)
久木(Hisaki)の抽出法 (Hisaki, Y.(1996):Nonlinear inversion of the integral equation to estimate ocean wave spectra from HF radar, Radio Science, vol. 31, No. 1, pp. 25-39)
橋本・徳田の抽出法 (橋本典明・徳田正幸(1998):海洋短波レーダによる方向スペクトルの推定,海岸工学論文集,pp.1271-1275)
児島・橋本の抽出法 (児島正一郎・橋本典明・佐藤裕司:一次散乱を考慮した海洋短波レーダによる波浪の方向スペクトルの推算法,海岸工学論文集,第48巻,2001年, pp.1436-1440.)
(2.波浪計測装置用のレーダの概要)
図2は、本発明の波浪計測装置用のレーダ(以下、本発明のレーダともいう。)の基本構成を示す概略図である。図2に示されるとおり、本発明の波浪計測装置用のレーダ(1)は、海面に向かって電波を放射する電波放射手段(2)と、前記電波放射手段が放射する電波となる信号を発生する信号発生手段(3)と、前記信号発生手段が発生した信号の周波数を変調し、前記電波放射手段に供給する信号変調手段(4)と、前記電波放射手段が放射し、海面から後方散乱された電波を受信する電波受信手段(5)、前記電波受信手段が受信した電波をドップラースペクトルに変換する信号変換手段(6)と前記変換手段が変換したドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算するための解析手段(7)とを具備する。
(2.1.波浪計測装置用の遠距離海洋レーダの基本作用)
本発明のレーダは、上記のような構成を具備し、以下のとおり作用する。すなわち、信号発生手段が、電波放射手段が放射する電波となる信号を発生する。信号変調手段が、信号発生手段が発生した信号の周波数を変調し電波放射手段に供給する。電波放射手段が、信号変調手段から供給された電波を海面に向かって放射する。電波受信手段は、前記電波放射手段が放射し、海面から後方散乱された電波を受信する。信号変換手段は、前記電波受信手段が受信した電波をドップラースペクトルに変換する。解析手段は、前記信号変換手段が変換したドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算する。
(2.2.電波放射手段)
電波放射手段は、信号変調手段から供給された電波を海面に向かって放射する手段である。電波放射手段は、たとえば、電波信号を整合する整合回路と、電波を放射するためのアンテナとからなる。
(2.3.信号変調手段)
信号変調手段は、信号発生手段が発生した信号の周波数を変調し電波放射手段に供給する手段である。信号変調手段としては、制御信号に従って信号発生手段が発生した信号を変調するための信号変調回路と、信号強度を増幅する信号増幅器とからなるものがあげられる。
(2.4.信号発生手段)
信号発生手段は、電波放射手段が放射する電波となる信号を発生する手段である。信号発生手段は、波形を記録した記録媒体を用い、記録媒体に記録された波形情報を読み出すことにより信号を発生するもの(ROM方式)や、電波放射手段が放射する電波のキャリア周波数となる周波数を有する信号を発生するもの(DDS方式)があげられ、好ましくはDDS方式である。
(2.5.電波受信手段)
電波受信手段は、電波放射手段が放射し、海面から後方散乱された電波を受信する手段である。電波受信手段としては、アンテナがあげられる。
(2.6.信号変換手段)
信号変換手段は、電波受信手段が受信した電波を波浪スペクトルに変換する手段である。信号変換手段としては、アンテナなどの電波受信手段と連結した、整合器、受信機、及びA/D変換回路を含むものがあげられる。信号変換手段としては、デジタル信号をDBF処理するためのDBF処理手段と、距離情報に関してフーリエ変換処理(高速フーリエ変換処理)を施すための距離FFT処理手段と、速度情報に関してフーリエ変換処理(高速フーリエ変換処理)を施すための速度FFT処理手段とを具備するものがあげられる。この信号変換手段は、信号発生手段における同期信号をも利用して、ドップラースペクトルを得ることができる。
より具体的な、信号変換手段としては、受信アンテナが受信した電波を整合するための整合回路と、前記整合回路からの出力信号が入力される複数の受信機と、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを具備するものがあげられる。この信号変換手段は、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号ごとに、前記複数のA/D変換器がデジタル信号に変換する工程を含む工程により、ドップラースペクトルを得ることができる。
(2.7.解析手段)
解析手段は、信号変換手段が変換したドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算する手段である。具体的な解析手段としては、コンピュータの演算部などがあげられる。
(3.本発明の波浪測定システム)
本発明の波浪測定システムは、本発明のレーダを2局以上備える装置(システム)である。すなわち、本発明のレーダを離れた位置に設置し、同時観測を行い、それぞれのレーダから供給されるドップラースペクトル情報などに基づいて、波浪に関する物理量(方向スペクトル)を実施できるSN比が確保されているかどうかを判定し、十分なSN比(ドップラースペクトルの一次散乱ピークと二次散乱の最小値との比が30dB以上)が確保されている場合のみ解析を行う。一局だけだと、レーダに向かってくる波と、遠ざかる波との判断がつかない。このため、波浪の方向を特定するためには、二局以上必要となる。
(本発明のレーダを用いて、波浪を測定できるドップラースペクトルを得ることができることについて)
図3に、遠距離海洋レーダのアンテナ設置位置(石垣島と与那国島)とその観測範囲及び遠距離海洋レーダの波浪計測精度検証用に設置したCOMPASS ブイの位置を示す。図中黒星が、コンパスブイの位置である。また、表1に遠距離海洋レーダの主要諸元を示す。
表1 遠距離海洋レーダの主要諸元
レーダの形式 FMICW
周波数(中心) 9.25MHz
掃引周波数幅 22kHz、55kHz
周波数掃引間隔 0.34s、0.68s、1.38s
送信出力 ピーク時:1kW、平均:500W
距離分解能 7km、2.8km
速度分解能 2.5cm/s
アンテナ DBF方式
ビーム幅 8〜10度
観測範囲 ±60 度
COMPASS ブイでは、海上風の風向・風速、表層(水深:4m)の流速、ブイの運動(5 自由度運動計測が可能なジャイロによって)の計測を行った。本実施例では、波浪の方向スペクトルをブイの運動データ(前後揺、上下揺、縦揺)から推定した。この推定は、「小寺山亘,中村昌彦,池淵哲朗,高津尚之,藤井智史,佐藤健治「波浪計測用ブイシステムの開発研究」,日本造船学会論文集第191 号,pp.57-67,2002」に従って行った。
本実施例における遠距離海洋レーダでは、アンテナ方式としてデジタルビームフォーミング(DBF)方式を採用しているため、計測範囲の同時性を保った計測が可能(狭ビーム走査方式の海洋レーダでは全計測範囲を走査するのに時間を要するため、計測範囲の同時性を保つことができなかった。)である。また、遠距離海洋レーダでは使用する電波の周波数を低く(9.25MHz)することにより、従来の海洋レーダより広範囲の観測が可能となった。このような特徴を有する一方、電離層の状態によっては、受信信号に混入する外来ノイズのノイズレベルが上昇して波浪計測を行うことが困難になる場合がある。これは、遠距離海洋レーダで使用する電波の周波数が電離層の反射を利用した無線通信で利用されている周波数と同じために生じている。
遠距離海洋レーダによる広域波浪計測の可能性を明らかにするために、COMPASS ブイの波浪測定結果を用いた遠距離海洋レーダのドップラースペクトルの評価を行った。この評価ためにCOMPASS ブイで測定された波浪の方向スペクトルから遠距離海洋レーダのドップラースペクトルを以下に示すBarrick(1972)の関係式(方向スペクトルとドップラースペクトルの関係式)を用いて算定した。

Figure 2005241467

Figure 2005241467


式(1)、(2)から算定されるドップラースペクトルと実際に遠距離海洋レーダで計測されるドップラースペクトルの比較を行うことにより、遠距離海洋レーダによる広域波浪計測の可能性を評価した。この比較を7日間実施した。比較検証観測を行った結果を以下に示す。
(1)日中と夜間の違い
図4に日中における遠距離海洋レーダ(石垣局)で観測されたドップラースペクトルとCOMPASS ブイから算定されたドップラースペクトルの比較を示す。図5に夜間における遠距離海洋レーダ(石垣局)のドップラースペクトルとCOMPASS ブイから算定されたドップラースペクトルの比較を示す。図4、及び図5より、夜間には遠距離海洋レーダに混入するノイズのレベルが大きくなっていることがわかる。図5のようにノイズレベルが上昇し、大部分のドップラースペクトルの二次散乱成分がノイズレベルに埋もれてしまうと、ドップラースペクトルの二次散乱成分から波浪の物理量を逆推定することが困難になる。特に、ドップラースペクトルの二次散乱成分のすべてを用いて逆推定する方向スペクトルは、図5の状況下においては推定することは不可能である。一方、ドップラースペクトルの一次散乱ピークのシフト量から算定される表層流は、ノイズレベルが上昇する夜間においても計測が可能であった。本検証観測期間中に、ノイズレベルがドップラースペクトルの一次散乱ピークを超えることはなかったからである。
(2)レーダの設置場所及び視線方向の違い
レーダ施設の設置場所や視線方向の違いによって、どの程度ノイズレベルが変化するのかを石垣局と与那国局の遠距離海洋レーダのドップラースペクトルを用いて調査した。その結果、与那国局の方が石垣局よりもノイズレベルが高いことがわかった。
(3) 電離層の影響について
短波帯の電波、特に周波数の低い電波を利用する場合、反射・吸収帯として働く電離層の影響を留意する必要がある。COMPASS ブイを用いた検証観測においても夜間にノイズレベルの急激な上昇傾向があり、電離層の影響を強く受けている可能性がある。そこで、電離層の日変化を確認するとともに、電離層の状態の変化が遠距離海洋レーダの受信信号に及ぼす影響について検討した。具体的には、沖縄の大宜味において電離層観測を実施した。この電離層観測は、パルスレーダを利用して、1MHz〜30MHzの電波を垂直方向に向けて発射し、各電離層から戻ってくる電波の時間と強度を測定した。
電離層は高度が低い方からD 層、E 層、F 層(F1 層とF2 層)に分類されている。D 層は高度60〜90km の範囲に形成される。D 層は昼間太陽の紫外線(ライマン-α 線)やX 線によって、大気が電離することにより形成される。D 層の電子密度はE 層やF 層と比べて低いが、大気と電子の衝突が激しいため、短波帯の電波を吸収して減衰させる。E 層は高度90〜150km の範囲に形成される。E 層は主に分子イオンと電子からなり、D 層と同様に夜間には密度が著しく低下する。同じ高度に突発的に形成されるスポラディックE 層は電子密度が異常に高くなり、VHF 帯の電波まで反射させる場合がある。テレビなどの混信障害は、このスポラディックE 層によって引起されていることがある。F 層は高度200km 以上の上空に存在し、電離層の中で最も電子密度が高い。F 層は主に酸素イオンと電子から成り立っており、夏の日中には分子イオンを主とするF1 層(200〜400km)と酸素イオンを主とするF2 層(400km〜)に分かれる。F 層の特徴として、日没後も完全には電離が消えないことがあげられる。短波帯の電波を利用した長距離通信は、主にF 層による反射を利用している。
図6に沖縄で行われた電離層観測の結果(イオグラフ)を示す。この観測は2001 年11 月4 日の12 時と23 時に実施されたものである。短波帯の電波の反射帯として働く、F 層が夜間においても消えることなく存在している(広い周波数帯にわたり反射帯として働いている)様子を確認することができる。一方、日中のF 層は低周波数側(1〜5MHz)に存在しない。また、夜間に顕著に現れる混信(イオグラフ中の黒い縦線)が日中は減少している。特に、低周波数側の混信が極端に少なくなっている。これは、短波が吸収帯として働くD 層が発達しているために、周波数の低い電波(1〜5MHz)がD 層に吸収され、F 層まで電波が届かないためである。
電波は実際には電離層に対して垂直に入射する場合もあれば、斜めから入射する場合もある。電波が斜めから電離層に入射した場合には、電波が垂直に電離層に入射した場合と反射条件が変わってくる。電波を斜めに電離層に入射させたときの反射条件は、以下に示すセカントの法則によって決まる。
Figure 2005241467
ここで、f'は電波を斜めから電離層に入射させたときの周波数、fは電波を電離層に垂直に入射させたときの周波数、θは電波の電離層への入射角、D は送受信間の距離、hは電離層の高さをそれぞれ表している。式(3)を用いることによって、斜めから電離層に入射させたときの電波の周波数を垂直に電離層に入射させたときの電波の周波数に変換することができる。この変換によって、イオグラフにおいてどの周波数帯の電離層が反射に寄与するのかを確認することができる。たとえば、遠距離海洋レーダで使用した9.25MHzの電波が斜め60度から電離層に入射した場合の反射条件は、式(3)より4.625MHzの電波を垂直に電離層に入射させたときの反射条件と同じになる。このように、電波が斜めから電離層に入射する場合、低周波数の電波を吸収するD離層の高さをそれぞれ表している。式(3)を用いることによって、斜めから電離層に入射させたときの電波の周波数を垂直に電離層に入射させたときの電波の周波数に変換することができる。この変換によって、イオグラフにおいてどの周波数帯の電離層が反射に寄与するのかを確認することができる。たとえば、遠距離海洋レーダで使用している9.25MHzの電波が斜め45 度から電離層に入射した場合の反射条件は、式(3)より4.625MHzの電波を垂直に電離層に入射させたときの反射条件と同じになる。このように、電波が斜めから電離層に入射する場合、低周波数の電波を吸収するD層が発達しているかどうかで、遠距離海洋レーダに混入するノイズのエネルギーレベルが決定される。
D 層が極端に発達するデリンジャー現象(太陽の放射するX 線の強度は著しく変動し、大きな太陽面爆発(太陽フレア)が発生したときのことをいう。通常の100〜1000 倍のX 線が発生し、D層では異常な電離が起きる。これに伴い、D 層における短波帯の電波の吸収も大きくなる。)には、遠距離海洋レーダに混入するノイズのエネルギーレベルは極端に小さくなる。D 層の発達の状態を定量的に示す指標は存在しないが、定性的な指標としてはFmin(F 層の低周波数側の最小値、D 層が発達している場合には低周波数の電波を鉛直に発射してもD 層によって吸収されてF 層まで到達しないことを利用)という指標がある。図7に検証観測期間におけるFminの時系列変動と一次散乱のピークと二次散乱の最小値との比σ1max/σ2min の変動特性を示す。図7より、Fmin(D 層の発達具合)の変動は太陽の動きに連動していることがわかる。また、石垣局と与那国局におけるσ1max/σ2min はFminに比例して変動しており、遠距離海洋レーダの受信信号に混入するノイズのレベルはD 層の発達具合に比例してそのレベルが決まっていることがわかる。
(4)遠距離海洋レーダによる広域波浪計測
これまでの研究によってドップラースペクトルから方向スペクトルを逆推定する解析方法がいくつか提案されている。それらの中で橋本・徳田(1998)によって提案されたベイズ統計論に基づく方向スペクトルの逆推定法や、児島・橋本(2001)によって提案された一次散乱を考慮したベイズ統計論に基づく逆推定法は理論的には非常に高精度でドップラースペクトルから方向スペクトルを逆推定することができる。
本実施例では一次散乱を考慮したベイズ統計論に基づく逆推定法によってドップラースペクトルから方向スペクトルを逆推定し、逆推定された方向スペクトルから有義波高・有義周期を算定した。逆推定される方向スペクトルはノイズレベルによってその精度が大きく変化し、ノイズレベルが高い場合にはその精度は著しく低下する。そこで、図5で示すσ1max/σ2minが30dB 以上の場合(ノイズレベルが低い)に方向スペクトルを逆推定し、有義波高・有義周期を算定した。このようにして算定した方向スペクトル・有義波高・有義周期とCOMPASS ブイで計測された方向スペクトル・有義波高・有義周期との比較を行うことにより、遠距離海洋レーダによる波浪計測の精度について検討を行った。
図8に遠距離海洋レーダから推算した有義波高とCOMPASS ブイで計測した有義波高の比較を示す。両者を比較すると若干の違いが存在するが有義波高の時間変動のパターンは一致している。図9に遠距離海洋レーダから推算した有義周期とCOMPASS ブイで計測した有義周期の比較を示す。両者を比較すると若干の違いが存在するが有義周期の時間変動のパターンは一致している。
図10に遠距離海洋レーダから推算した方向スペクトルとCOMPASS ブイで計測した方向スペクトルの比較を示す。遠距離海洋レーダでは、図3に示す観測地点(1〜11)における方向スペクトルを推算した。遠距離海洋レーダで推算した方向スペクトルはCOMPASS ブイで計測された方向スペクトルと比較すると、細部のエネルギー分布は異なるがその分布形状は類似している。ノイズのレベルが低い場合には、遠距離海洋レーダによって広域の方向スペクトルの計測が可能である。一方、各観測地点における方向スペクトルの形状は観測地点間で異なっている。特に、観測地点10 の方向スペクトルは他の観測地点の方向スペクトルと大きく異なっている。これは観測地点10 が与那国島に近いため、陸上の影響を受けていると思われる。今回の結果から、ノイズレベルが低い場合には遠距離海洋レーダによって100km沖合の遠距離海洋レーダでは狭ビーム走査方式の海洋レーダと比較して、観測の同時性と観測海域の広域化を実現できる。また、従来の計測器(海底設置型の波高計やブイ)では計測することが困難であった沿岸から100km 沖合の外洋(特に、水深が深い海域)においても波浪計測が可能になり、外洋における波浪特性を把握できるようになる。
このような特徴がある一方で、電離層の状態によっては受信信号に混入するノイズレベルが増大し、波浪の情報を含んでいるドップラースペクトルの二次散乱成分がノイズレベルに埋もれてしまい波浪計測が困難になる場合がある。特に、短波帯の電波を吸収するD 層が消滅する夕方から明け方にかけては受信信号に混入するノイズレベルが大きくなり、事実上、波浪測定を行うことは困難となることがわかった。
上記のとおり、本発明の波浪計測システムは、電離層の状態によっては、波浪測定を最適な状態では行えなくなるが、特に電離層の影響の少ない日中においては、広範囲にわたっての波浪計測が可能となる。すなわち、本発明の波浪計測システムは、特に外洋など遠距離にある海洋についての波浪計測システムとして有効に用いることができる。
図1は、本発明の波浪計測方法の例を示すフローチャートである。 図2は、本発明の波浪計測用レーダの構成図を示す概略図である。 図3は、遠距離海洋レーダのアンテナ設置位置(石垣島と与那国島)とその観測範囲及び遠距離海洋レーダの波浪計測精度検証用に設置したCOMPASS ブイの位置を示す図である。 図4は、日中における遠距離海洋レーダ(石垣局)で観測されたドップラースペクトルとCOMPASS ブイから算定されたドップラースペクトルの比較を示す図である。 図5は、夜間における遠距離海洋レーダ(石垣局)のドップラースペクトルとCOMPASS ブイから算定されたドップラースペクトルの比較を示す図である。 図6は、沖縄で行われた電離層観測の結果を示すイオグラフである。図6(a)は、日中のものであり、図6(b)は夜間のものである。 図7は、実施例の検証観測期間におけるFminの時系列変動と一次散乱のピークと二次散乱の最小値との比σ1max/σ2minの変動特性を示すグラフである。 図8は、遠距離海洋レーダから推算した有義波高とCOMPASS ブイで計測した有義波高の比較を示すグラフである。 図9は、遠距離海洋レーダから推算した有義周期とCOMPASS ブイで計測した有義周期の比較を示すグラフである。 図10は、遠距離海洋レーダから推算した方向スペクトルとCOMPASS ブイで計測した方向スペクトルの比較を示すグラフである。図10において、図10(ブイ)はブイの方向スペクトルを示し、図10(1)〜図10(11)は、それぞれの観測点における方向スペクトルを示す。
符号の説明
1 レーダ
2 電波放射手段
3 信号発生手段
4 信号変調手段
5 電波受信手段
6 信号変換手段
7 信号検波手段

Claims (7)

  1. 電波を調整する電波調整工程と、前記電波調整工程で調整された電波を海面に放射する電波放射工程と、前記電波放射工程で海面に放出された電波のうち後方散乱したものを受信する電波受信工程と、前記電波受信工程で受信された電波をドップラースペクトルに変換する変換工程と、前記変換工程で変換されたドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算する解析工程とを含む波浪計測方法であって、
    前記海面に放射される電波は、
    波長が32mであり、
    中心周波数が9.25MHzの変調連続波であり、
    掃引周波数幅が22kHz以上55kHz以下であり、
    周波数掃引間隔が0.34秒〜1.38秒である
    波浪計測方法。
  2. 前記海面に放射される電波の波長が、32mである請求項1に記載の波浪計測方法。
  3. 前記海面に放射される電波の中心周波数が、9.25MHzである請求項1に記載の波浪計測方法。
  4. 前記変換工程は、
    受信アンテナが受信した電波を整合するための整合回路と、前記整合回路からの出力信号が入力される複数の受信機と、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する複数のA/D変換器とを含む信号変換手段を用い、
    前記複数のA/D変換器が、前記複数の受信機に入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する工程を含む請求項1に記載の波浪計測方法。
  5. 遠距離海洋レーダを用いた請求項1に記載の波浪計測方法。
  6. 海岸から150kmまでの波浪を計測する請求項1に記載の波浪計測方法。
  7. 遠距離海洋レーダを2局以上用いた波浪計測システムであって、
    前記遠距離海洋レーダは、
    電波を放射する電波放射手段と、
    前記電波放射手段が放射する電波となる信号を発生する信号発生手段と、
    前記信号発生手段が発生した信号の周波数を変調し、前記電波放射手段に供給する信号変調手段と、
    前記電波放射手段が放射した電波であって後方散乱したものを受信する電波受信手段と、
    前記電波受信手段が受信した電波をドップラースペクトルに変換する信号変換手段と、
    前記信号変換手段が変換したドップラースペクトルが波浪の物理量を逆推定することができるレベルにあるのかを判定し、波浪の物理量を推算する解析手段とを具備し、
    前記信号発生手段は、電波放射手段が放射する電波のキャリア周波数となる周波数を有する信号を発生し、
    前記信号変換手段は、複数の受信機と、複数のA/D変換器とを具備し、
    前記海面に放射される電波は、
    波長が32mであり、
    中心周波数が9.25MHzの変調連続波であり、
    掃引周波数幅が22kHz以上55kHz以下であり、
    周波数掃引間隔が0.34秒〜1.38秒である
    波浪計測システム。

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