JP2014098686A - 海洋レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 海面により反射する電波を分析し、海流の流速の変化を高感度で検出し、津波を高感度で検出できる海洋レーダ装置を得る。
【解決手段】 観測する海面を区切るセル毎に海面からの反射電波を分析し、前記反射電波のドップラ分布を前記セル毎に算出する信号処理装置と、地震の発生位置および規模から予測された津波の流速の海面上の分布をもとに、前記津波の流速が所定の流速から一定の範囲内である、前記津波の前縁部に位置する複数の前記セルを選択し、この選択した複数の前記セルからなる積分区間を設定する積分区間設定手段と、前記信号処理装置が算出したドップラ分布を前記積分区間について積分し、積分結果を算出する積分手段と、前記積分結果から、前記積分区間で振幅が最大となるドップラ周波数を求め、このドップラ周波数の変化を検出する検出手段とを備えるようにした。
【選択図】 図2

Description

この発明は、観測海域に電波を送信し、その反射信号を分析することで津波を検出する海洋レーダ装置に関する。
津波は、その構成する海水の量が膨大なものであることなどから、大きな被害をもたらすものとなりうる。このため、防災の対象となる地域では、津波の到来前に十分な対処する時間を得るため、できるだけ遠方から津波を検出する必要がある。津波を探知する方法としては、固定的に設けられたレーダ(例えば、特許文献1参照)、波浪計、監視カメラなどが有り、また、特に遠方の津波を探知する方法としては、地震発生情報を基に津波の発生が予測される地域を航空機により監視する方法なども知られている(例えば、特許文献2参照)。これらの手段を比較すると、天候に左右されにくく、連続した時間の観測が可能で、監視対象を広い範囲にできるなどの理由で、防災の対象付近の固定した位置に設けたレーダ装置により監視を行なうことが他の方法に比べて有利な面が多い。
津波の周期は短くとも数分、長い場合には数時間になることもあり、波長は数kmから数百kmに及ぶ。また、津波は、孤立波として伝わり、その水平方向の流速成分は、津波の前縁で激しく変化するという特徴を持つ。このため、レーダにより津波を監視する方法としては、海洋に電波を送信し、その反射波を分析することで、海面の距離分解能等に対応したセル毎に流速を検出し、その流速のセル同士の速度偏差などにより流速の急激な変化を検出することで津波の検出を行なっている(例えば、特許文献1参照)。この為、津波検出の感度は、電波の海面でのレーダ電波の反射信号のドップラをいかに高感度で精度良く探知できるかに左右される。
特開平8−292273号公報(段落0019〜0054) 特開2009−229424公報(第1〜第3図)
従来の海洋レーダ装置では、津波を遠距離から探知するためには、海面から反射する電波を受信し、海流の流速の変化を検出することを高感度で行なう必要がある。なお、ここでは、海流とは、海面の海水の流れを意味するものとする。反射信号の検出を高感度で行なうためには、長時間の信号を集積することが一般的であるが、長時間の信号を集積することは、津波の到来前に十分な対処する時間を得ることの必要性から制限される。
この発明は、上記のような問題を解決するためのもので、海面により反射する電波を分析し、海流の流速の変化を高感度で検出し、津波を高感度で検出できる海洋レーダ装置を得ることを目的とする。
この発明に係る海洋レーダ装置は、上記のような課題を解決するため、観測する海面を区切るセル毎に海面からの反射電波を分析し、前記反射電波のドップラ分布を前記セル毎に算出する信号処理装置と、地震の発生位置および規模から予測された津波の流速の海面上の分布をもとに、前記津波の流速が所定の流速から一定の範囲内である、前記津波の前縁部に位置する複数の前記セルを選択し、この選択した複数の前記セルからなる積分区間を設定する積分区間設定手段と、前記信号処理装置が算出したドップラ分布を前記積分区間について積分し、積分結果を算出する積分手段と、前記積分結果から、前記積分区間で振幅が最大となるドップラ周波数を求め、このドップラ周波数の変化を検出する検出手段とを備えるようにしたものである。
この発明に係る海洋レーダ装置は、津波の前縁部の、津波の流速が所定の流速から一定の範囲内である複数のセルを積分区間として海水の流速を測定し分析したドップラ分布データを積分するため、各セルのドップラ成分の振幅が最大となるドップラ周波数は積分する範囲で積分することにより積み上がり強調される。このため、積分により積み上がったドップラ周波数の変化を検出することで、海水の流速の変化を高感度で検出することができる。
本発明の海洋レーダ装置の検出する津波の発生、伝搬の概念図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の一例を表す系統図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の信号処理装置の出力を表す図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の海流によるドップラ分析の概念を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の津波検出の概念を表す図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の津波検出における積分区間の概念を表す図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の津波検出における積分効果の概念を表す図である。 本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の処理の流れを表す図である。 本発明の実施の形態2に係る海洋レーダ装置の一例を表す系統図である。 本発明の実施の形態3における海洋レーダ装置の分析するドップラ分布の概念図である。 本発明の実施の形態3に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態3に係る海洋レーダ装置のドップラ周波数の補正の概念を示す図である。 本発明の実施の形態3に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態3に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態4に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態4に係る海洋レーダ装置のドップラ変動周期分離手段の構成の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態4に係る海洋レーダ装置のドップラ変動周期分離手段の構成の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態4に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態4に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。 本発明の実施の形態4に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。
実施の形態1.
津波は、図1に示すように、地震による短時間での広範に及ぶ地殻変動により震源地の上に存在する海水が海面隆起となることで発生し、海上を伝播するものである。海洋レーダ装置100は、図1に示す防災対象に対し、海洋から伝わる津波に対する対策を行なうため、防災対象の付近の場所に固定して設置し、海洋に対して電波を送信し、反射波を受信、分析することにより防災対象に向けて到来する津波を検出する。
図2は、本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。図2に示す海洋レーダ装置100において、送信機1は津波を検出しようとする海洋(図2には記載していない)に向けてFM変調を行ったCW(Continuous Wave)信号を送信し、反射した電波を受信機2で受信する。受信機2は、複数の受信アンテナ(図2には記載していない)で反射した電波を受信し、それぞれ送信機1の送信するFM変調を行ったCW(Continuous Wave)信号と混合し、複数の受信アンテナに対応した複数のチャネルのビート信号を生成する。このようにして生成した複数のチャネルのビート信号は、それぞれが信号の反射点とレーダとの間の距離に対応した周波数の信号となる。受信機2では、それぞれのビート信号にA/D変換を行ない、複数のチャネルのデジタル信号を信号処理装置3に出力する。
信号処理装置3は、複数のチャネルのデジタル信号を入力して、方位分離手段6では、DBF(デジタルビームホーミング)により方位ごとに合成して分離し、さらに、距離分離手段7では、FFTを行い、信号を周波数すなわち距離により分離する。このようにして、受信信号を、方位分離手段6のDBFおよび、距離分離手段7のFFTの分解能に応じた、方位および距離のセル毎のデータに分離する。ドップラ分離手段8では、方位および距離のセル毎のデータに分離したデータを複数回収集し、FFTを行うことで、海流の流速により生じたドップラ成分に分離する。なお、距離と方位で区切られたセルでは、セルの中でもその場所により海流の速度に微妙な違いがある。このセルの中の海流の速度の違いのため、それぞれのセルで観測される反射波のドップラ周波数は、1つの周波数に揃わない。それぞれのセルの中では、海流がそれぞれの速度で流れる面積が、速度に対して分布することに対応して、受信信号がそれぞれのドップラ周波数を持つ信号成分の振幅は、ドップラ周波数に対し分布を持つ。この、ドップラ周波数に対する振幅の分布を、以後ドップラ分布とよぶ。また、それぞれのセルにおけるドップラ周波数の観測値は、ドップラ分布で振幅が最大(ピーク)となる周波数で定義される。また、それぞれのセルにおける流速の観測値は、レーダ電波の反射波に対して上記のドップラ周波数の観測値をもたらす速度で定義される。信号処理装置3は、距離と方位で区切られたセル毎の海流のドップラ分布となったデータを検出装置4に出力し、検出装置4で津波の検出を行なう。
津波予測装置5は、検出装置4で津波を検出する際に使用する津波の流速予測データを作成する。津波予測装置5にある津波予測処理9は、地震発生位置および地震規模を入力すると、津波の伝搬計算等による津波シミュレータ10によるシミュレーションを実施するかまたは、予め予想される地震発生地点についてシミュレーションを行なった結果を纏めた津波データベース11を検索するなどにより津波の現れる位置の海流の流速の予測を求める。津波の到来方向、速度および形状は事前に津波シミュレーション等を使用して算出し、その結果を震源の位置、震度によって複数のケースに分けて記憶しておく事が出来る。そのため、津波データベース11では、事前に複数のケースの津波の到来方向、速度および形状を算出して準備しておき、地震発生時に震源、震度等の情報が得られた際、この各ケースの中で震源、震度等の条件が最も近しいものを引用することが出来、各時刻における波面の位置を予測することができる。津波予測処理9では、このようにして津波の現れる位置の海流の流速の予測を求め、求めた海流の流速を、信号処理装置3がドップラ分布を出力する距離と方位で区切られたセル毎のデータに変換し、検出装置4に出力する。検出装置4では、信号処理装置3から入力するドップラ分布から津波を検出する際に、津波予測装置5から入力する津波の現れる位置の海流の流速の予測を使用する。
ここで、本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の検出する対象となる津波の特徴とその検出原理を示す。図3は、信号処理装置3の出力するドップラ分布の概念を示したものである。図3(a)の扇形の部分全体は、測定地点から測定する海面を表す。信号処理装置3は、図3(a)に示すように、海面を海洋レーダ装置の探知可能な、測定地点からの距離、方位で分割したセルに分割し、セル毎にドップラ分布を算出して出力する。このため、1つ1つのセルは、図3(b)に示すようなドップラ分布を持つ。ところで、海面に送信した電波は、ブラッグ散乱により、(1)で示すブラッグ散乱周波数fに対して、±fで示すドップラ周波数を持つ成分が反射され、観測される。
Figure 2014098686
但し、gは重力加速度、λは、海洋レーダ装置の使用している電波の波長を示す。このため、レーダ装置で観測されるドップラ分布は、1つ1つのセルについて、図3(b)のように、±f付近にピーク(振幅の最大値)を持つ分布となる。更に、海面による反射には、海流による影響が加わり、海洋レーダ装置で観測されるドップラ分布は、海流の流速による(2)に示すドップラ周波数fによりシフトされるため、観測される電波は、±f+fにそれぞれピークを持つ。
Figure 2014098686
ここで、vは、海面の流速を示す。
次に図4および図5により、海面の流速の変化を分析することの概念を示す。図4は、海洋レーダ装置の測定する範囲に津波の波面が無い場合の流速の変化の分析の例を表す。図4(a)は、図3(a)と同様に、海洋レーダ装置の測定する海面を表す。図4(a)に示すように、レーダの信号処理装置3は、海面を海洋レーダ装置の探知可能な、測定地点からの距離、方位で分割したセルに分割し、セル毎にドップラ分布を算出して出力する。図4(b)は、測定地点方向に進行する津波を検出するため、信号処理装置3の出力するドップラ分布を距離方向のセルについて並べ、図4(c)は更に、図4(b)を距離とドップラの関係をコンタープロット(等高線)で表すことでその分布量の多い部分を示し、距離に対するドップラ分布の変化を表したものである。図4(a)の様に津波が存在しない場合は、海流の流速によるドップラ分布は急激な変化を示さない。このため、信号処理装置3の出力するドップラ分布を距離方向のセルについて並べた結果は、図4(b)および図4(c)で示すとおり、ドップラ分布のピークの、振幅が最大となるドップラ周波が直線状に並ぶ。
津波が存在する場合、津波の前縁部では、海流の流速が急激に変化する。図5(a)は、図4(a)と同様に、海洋レーダ装置の測定する海面を表す。図5(a)に示すように、レーダの信号処理装置3は、海面を海洋レーダ装置の探知可能な、測定地点からの距離、方位で分割したセルに分割し、セル毎にドップラ分布を算出して出力する。図5(b)は、測定地点方向に進行する津波を検出するため、信号処理装置3の出力するドップラ分布を距離方向のセルについて並べ、図5(c)は更に、図5(b)を距離とドップラの関係をコンタープロット(等高線)で表すことでその分布量の多い部分を示し、距離に対するドップラ分布の変化を表したものである。図5(a)の様に、距離方向のセルの並びを津波の前縁部が通過する場合は、図5(b)および図5(c)では、Aで示したとおり、津波の前縁部の通過する部分について、流速の急激な変化に従いドップラ分布のピークの、ドップラ分布の振幅が最大となるドップラ周波数が距離と共に激しく変化する。図4(b)と図5(b)、図4(c)と図5(c)を比較することにより明らかな通り、津波が到来すると、図5(b)および図5(c)の様に津波の前縁部でドップラ分布のピークが激しく変化するため、この変化を検出することにより、津波の検出を行なう。
ところで、津波の前縁部でドップラ分布が激しく変化することを検出するためには、ドップラ分布のピークの、ドップラ分布の振幅が最大となるドップラ周波数を2箇所以上で検出し、そのピーク同士が異なることを検出する必要がある。ドップラ分布のピークの検出を高感度で行なうためには、検出に使用する信号をより多く集積するため、広い面積からの反射信号を集積するなどが必要となる。広い面積からの反射信号を集めることは、多数のセルを集めて積分区間とし、積分区間内のセルの信号を積分することに相当する。ところで、流速が激しく変化する津波の前縁部においては、隣接する範囲のセルであっても、流速が大きく異なるセルも流速がほぼ等しいセルも存在する。積分区間内に流速が大きく異なるセルを多数含んでしまうと、積分することにより流速が相殺し合い、振幅のピークを強調する効果が得られない。このため、ドップラ分布のピークの検出を高感度で行なうためには、流速がほぼ等しいと推定されるセルを集めて積分区間を構成し、そのようにして構成した積分区間について積分した結果からピークの検出を行なう必要がある。
図6は、津波による海面のドップラ分布の変化を検出する原理を示したものである。図6(a)に示すように、津波の進行方向にほぼ垂直方向に波面が形成されるが、前述の通り、津波の前縁部では海面の流速が激しく変化する。このため、津波の進行方向に沿う方向に並んだセルについて比較すると観測されるドップラ周波数の変化が激しいが、波面に沿う方向に並んだセルについて比較すると海流の変化は少なく、観測されるドップラ周波数は一定している。
ここで、図6(a)の様に、波面に平行な方向に並んだセルを集めて第1の積分区間31および、第2の積分区間32を設けると、波面に平行な方向については、海流の変化は少ないため、第1の積分区間31を構成するセルで観測されるドップラ分布は互いに同じ周波数にピークを持つ。また、同様に、第2の積分区間32を構成するセルで観測されるドップラ分布についても、互いに同じ周波数にピークを持つ。また、津波の進行方向に沿う方向では海面の流速が激しく変化するため、第1の積分区間31を構成するセルで観測されるドップラ分布と第2の積分区間32を構成するセルで観測されるドップラ分布を比較すると、図6(b)の様に、異なる位置にピークを持つ。
このことから、図7に示すように、それぞれが同じ位置にドップラ分布のピークを持つセルで構成された第1の積分区間31でドップラ分布を積分することにより、ドップラのピークは積み上がり強調される。同様に、それぞれが同じ位置にドップラ分布のピークを持つセルで構成された第2の積分区間32でドップラ分布を積分することにより、ドップラのピークは積み上がり強調される。それぞれの積分区間を構成するセルのピークが異なるため、第1の積分区間31と第2の積分区間32では、積み上がり強調されるピークの位置は、異なるものとなる。このため、観測されるドップラ分布について、第1の積分区間31で積分を行なった結果と、第2の積分区間32で積分を行なった結果を比較することで、海流の変化を高感度で検出することができる。
上記原理を踏まえ、図2で示される検出装置4の動作を説明する。検出装置4は信号処理装置3からドップラ分布を入力し、メモリ12に記憶する。他方、検出装置4では、積分区間設定手段13により、津波予測装置5の出力を基に波面に平行な方向に並んだセルを選択し、第1の積分区間31および、第2の積分区間32として設定する。積分区間設定手段13は、信号処理装置3がドップラ分布を出力する距離と方位で区切られたセル毎のデータとして津波予測装置5から海流の流速の予測値を入力する。入力した流速予測値をセル毎に相関を行い、同じ積分区間内で流速が一定の範囲内であって、流速が同じと予測されるセル同士を集めることで、それぞれ津波の波面に沿う方向に広がりを持つ積分区間とする。その積分区間を、流速が同じと予想されるセル同士を集めた第1の積分区間31と、流速が、第1の積分区間とは異なる流速と同じと予想されるセル同士を集めた第2の積分区間32とを設定する。
例として、海流の流速の極大値に対して、流速が極大値から一定の範囲内であるセルを選択して集めて第1の積分区間31を設定し、海流の流速の極小値に対して、流速が極小値から一定の範囲内であるセルを選択して集めて第2の積分区間32を設定するなど、ドップラ分布で違いが判別できる2つの流速について、セル内の流速がそれぞれの流速になると予想される2つの積分区間を設定する。ここで、セルを集めて積分区間を設定する際に規準とする流速の差についての「一定の範囲」としては、例えば、信号処理装置3のドップラ分離手段8の速度分解能や、受信機2と信号処理装置3の周波数精度を含めた海流の速度の分解能、検出装置4で津波を検出した結果から類推できる値などを設定する。
積分手段(空間積分手段14)は、距離、方位でセルに分割した各セルのドップラ分布をメモリ12より入力し、入力したドップラ分布を第1の積分区間31および第2の積分区間32それぞれの積分区間について積分し、その積分結果を検出手段15に出力する。検出手段15は、ドップラ分布を第1の積分区間31および第2の積分区間32それぞれの積分区間について積分した積分結果からそれぞれドップラ分布のピークを検出し、それぞれのピークを比較する。このとき、積分区間設定手段13の設定した第1の積分区間31および第2の積分区間32を津波の前縁が通過すると、それぞれの積分区間におけるドップラ分布のピークが積み上がり強調され、その変化を高感度で検出することができる。
尚、本発明の実施の形態1に係る発明の構成では、積分手段(空間積分手段14)と検出手段15を第1の検出系とすると、それ以外にも、第2の検出系として、検出手段16でも津波の検出を行い、更に、第3の検出系として、時間積分手段17と検出手段18でも津波の検出を行なう。第2の検出系に係る検出手段16は、距離、方位でセルに分割した各セルのドップラ分布をメモリ12より入力し、入力したドップラ分布のピークの、最大となるドップラ周波数をそれぞれのセル間で比較し、海流の流速の変化を検出する。
また、第3の検出系では、時間積分手段17は、距離、方位でセルに分割した各セルのドップラ分布をメモリ12より入力し、入力したドップラ分布をそれぞれのセルについてそれぞれ一定時間蓄積し、積分することでドップラ分布のピークを強調し、検出手段18でそれぞれのセル間で比較し、海流の流速の変化を検出する。検出手段15、検出手段16、検出手段18のそれぞれで検出された津波は、検出結果統合手段19で同一のものについては1つにまとめ、メモリ20に記憶する。メモリ20に記憶した津波検出内容は、図2には表示されていないが、表示や警報の発信など各種の処理に使用される。このように、第1ないし第3の検出系を用いることで、それぞれの検出系の長所を組合せ、広範囲の津波を高感度で、高い信頼度で検出することができる。
図8は、本発明の実施の形態1に係る海洋レーダ装置の動作の一例を表す。最初に、津波を検出する対象となる海域に対して、送信機1により電波を送信し、その反射波を受信機2で受信することで測定を行なう(ST801)。次に、受信機2の受信信号を信号処理装置3で分析し、方位および距離のセル毎のデータに分離し、さらに、各セル毎のデータについて、FFTにより、流速により生じたドップラ成分の分布を算出する(ST802)。ST802により算出した各セル毎のドップラ成分の分布をST821以下による検出、ST831以下による検出、ST841以下による検出の3通りの方法で検出を行なう。
ST821以下では、セル毎のドップラ成分の分布の空間積分を使用するが、積分区間として、津波予測装置5による予測結果を使用する。地震が発生すると、地震発生位置、規模などのデータが津波予測装置に入力される(ST811)。津波予測装置5は、入力されたデータを基に津波の流速分布を求めるが、このとき、津波シミュレータ10によりリアルタイムのシミュレーションを行なうかまたは、津波データベース11に事前に算出して蓄積した地震発生地点と津波到達時間のデータを津波データベース11から最も条件が近しいケースを求め、シミュレーション結果とデータベースの検索結果のいずれかまたは両方の結果を、信号処理装置3がドップラ分布を出力する距離と方位で区切られたセル毎のデータに変換し、検出装置4に出力する(ST812)。
津波予測装置5から津波の流速分布を入力した検出装置4では、積分区間設定手段13が、例えば流速の極大値と極小値など、異なる2つの流速について、流速が同じと予測される方位、距離範囲を纏めてそれぞれ第1の積分区間31、第2の積分区間32とし、空間積分手段14に出力する(ST821)。空間積分手段14では、ST802で算出したセル毎のドップラ分布の内、第1の積分区間31を構成するセルのドップラ分布について、ドップラ成分毎に足し合わせることで積分を行なう。同様に、空間積分手段14では、ST802で算出したセル毎のドップラ分布の内、第2の積分区間32を構成するセルについてもドップラ成分毎に足し合わせることで積分を行なう。このようにして、第1の積分区間31、第2の積分区間32それぞれについてのドップラ分布の積分を行ない、検出手段15に出力する(ST822)。
検出手段15では、ST822で算出した第1の積分区間31、第2の積分区間32それぞれについて、積分区間毎に、ドップラ分布の積分結果を、積分区間について設定したスレショルドと比較し、検出された信号のピークを求める。検出に使用するスレショルドについては、積分結果について、前述の(1)式で示されるブラッグ散乱周波数fについて、±fの前後のドップラ成分をレファレンス信号とし、CFAR(Constant False Alarm Rate)の原理により算出する。さらに、求めたピークの位置すなわち海流の速度を第1の積分区間31と第2の積分区間32とで比較し、その比較結果により急激な流速変化が有れば、津波を検出とする(ST823)。
なお、地震の震源の位置、震度、伝搬条件などにより、複数の津波が予想される場合がある。津波予測装置5は、複数の津波が予想される場合、複数の予測をそれぞれ検出装置4に出力する。検出装置4の積分区間設定手段13では、津波予測装置5の出力する複数の予測それぞれに対して第1の積分区間31および第2の積分区間32を算出する。また、空間積分手段14は、複数の予測に対して、それぞれ第1の積分区間31および第2の積分区間32についての積分を行い、検出手段15は、複数の予測に対して、それぞれ第1の積分区間31の積分結果と第2の積分区間32の積分結果の比較を行い、津波を検出する。
ST821以下では、セル毎のドップラ成分の分布の空間積分を使用するが、それと並行して、ST831では、セル毎のドップラ分布を積分せずに津波の検出を行なう。検出手段16では、信号処理装置3の算出したセル毎のドップラ成分の分布について、セル毎にドップラ分布のピークの、振幅が最大になるドップラ周波数を求め、さらに、そのピークの周波数すなわち海流の速度を隣接するセル同士で比較し、その比較結果により急激な流速変化が有れば、津波を検出とする(ST831)。
さらに、津波の前縁部は数kmの広がりを持ち、津波の周期は数分から長い場合には数時間であることから、津波に係る流速データは比較的長い時間に渡って安定したものであり、このことから、ST841以下では、セル毎に得られるドップラ分布を時間方向に積分し、観測したデータを積み上げることにより、感度の向上を図る。時間積分手段17では、信号処理装置3の算出したセル毎のドップラ成分の分布について、セル毎に所定の時間、ドップラ成分毎に足し合わせることで積分を行なう(ST841)。なお、所定の時間は、津波の想定される周期より十分短い時間で設定される。時間積分手段17の出力するセル毎の積分結果について、検出手段18では、セル毎にドップラ分布のピークを求め、さらに、そのピークの位置すなわち海流の速度を隣接するセル同士で比較し、その比較結果により急激な流速変化が有れば、津波を検出とする(ST842)。
検出結果統合手段19では、検出手段15、検出手段16、検出手段18それぞれに検出した津波について、同一の検出結果を1つに纏める(ST851)。さらに、連続して津波を探知する、一定時間ごとに津波を探知する、または、緊急時に津波を探知するなどの運用に従い、ST801からST851までを繰り返す(ST852)。
なお、上記実施の形態1では、空間積分手段14で積分を行なう積分区間については、第1の積分区間31と第2の積分区間32の2つの積分区間を使用する例を示したが、海流の速度が異なる3つまたはそれ以上の積分区間を設け、その3つ以上の積分区間について積分した結果を比較しても同様の効果を得ることができる。さらに、積分区間を1つのみ設定し、その積分区間のドップラ分布を時間と共に観測し、ドップラ分布のピークの、振幅が最大となるドップラ周波数が変化することから津波を検出することも可能である。また、検出手段16および検出手段18についても同様に、隣接するセル同士で比較するかわりに、同一セルについてドップラ分布のピークの、振幅が最大となるドップラ周波数を時間と共に観測し、ドップラ分布のピークの、振幅が最大となるドップラ周波数が変化することから津波を検出することも可能である。
また、上記実施の形態1では、津波予測装置5の出力する海流の流速の予測については津波予測処理9で流速の予測を、信号処理装置3がドップラ分布を出力する距離と方位で区切られたセル毎のデータに変換した上で検出装置4に出力する例を示したが、津波予測処理9は津波シミュレータ10および津波データベース11固有の座標で算出した海流の流速の予測を検出装置4に出力し、検出装置4では積分区間設定手段13などで、流速の予測を、信号処理装置3がドップラ分布を出力する距離と方位で区切られたセル毎のデータに変換する構成としても良い。また、津波予測処理9は、津波の流速の予測を、任意の座標系で津波の流速の海面上の分布として検出装置4に出力し、検出装置4では積分区間設定手段13などで、流速の予測を、信号処理装置3がドップラ分布を出力する距離と方位で区切られたセル毎のデータに変換する構成としても良い。さらに、上記実施の形態1における信号処理装置がドップラ分布を算出するセルについても、海面を海洋レーダ装置の探知可能な、測定地点からの距離、方位で分割したセルで説明したが、セルは、海面を細かく分割するものであれば、その分割の方法が津波の検出に影響を与えるものではなく、任意の方法で海面を分割したセルにより処理を行ってもかまわない。
以上により、本発明の第1の実施の形態に係る海洋レーダ装置では、津波の前縁部に、海水の流速が同じであるセルを集めた積分区間を1つまたは複数設定し、設定した積分区間についてドップラ分布を積分するため、積分する範囲のドップラ分布のピークを積分することで強調される。このため、強調されたドップラ成分のピークの周波数の変化を検出することで、海流の速度の変化を高感度で検出することができる。また、セル毎のドップラ分布のピークの周波数を直接比較することによる検出と組み合わせること、および、さらに、セル毎のドップラ分布を時間積分し、積分結果を比較することによる検出と組み合わせることにより、広範囲の津波を高感度で、高い信頼度で検出することができる。
なお、上記実施の形態1では、送信機1はFM変調を行ったCW信号を送信し、受信機2は、受信した電波それぞれに送信機1の送信するFM変調を行ったCW信号と混合し、信号の反射した距離と対応する周波数の信号に変換し、信号処理装置3は、送信信号と混合した受信信号の周波数を分離することで受信した信号の距離による分離を行なうFM−CW(または、FM−ICW)方式を使用しているが、レーダとしては、パルスレーダを使用しても良い。パルスレーダを使用する場合、送信機1はパルス信号を送信し、受信機2は反射信号を受信し、信号処理装置3では、距離分離手段7において、周波数の替りに反射信号の反射時間により距離分離を行なう以外は、同様である。
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係る海洋レーダ装置の一例を示す系統図である。実施の形態1は、1台の受信機により海面の流速を測定し、津波を検出する構成だが、実施の形態2では、異なる場所に設けた2台の受信機により受信したデータを分析し、合成する。この構成の違いにより、実施の形態1では、レーダの距離方向の海流の流速の成分によるドップラを測定し、実施の形態2では、2つのレーダの距離方向を合成した2次元の海流の流速の成分によるドップラを測定する。このため、実施の形態1の構成では、レーダの距離方向の流速成分の大きい津波は良く検出するが、例えば、レーダの距離方向と垂直方向に伝搬する津波などレーダの距離方向の流速成分が小さい津波については、検出能力が制限される。これに対して、実施の形態2の構成では、津波を検出するに際して、方向による制限が少なく、全方向に対する検出能力が向上する。図9において、送信機1は、図2と同様であるため、説明を省略する。また、津波予測装置5aは、津波予測処理9aが、津波の現れる位置の海流の流速の予測を求め、検出装置4aに出力する際に、求めた海流の流速を、信号処理装置3aが受信機2aと受信機2bに対応してドップラ分布を出力する距離と方位で区切られた2種類のセル毎のデータに変換する以外は図2の津波予測装置5と同様である。
図9において、受信機2aおよび、受信機2bは、それぞれ図2における受信機2と同等の構成であり、それぞれを異なる場所に設置されている。このため、受信機2a、受信機2bで受信した信号は、海面の同一の地点については、別の角度から測定した信号となる。信号処理装置3aは、図2における信号処理装置3を受信機2aの信号を処理する部分、受信機2bの信号を処理する部分の2系統にしたものである。
受信機2aは、複数の受信アンテナ(図9には記載していない)で受信した電波それぞれに送信機1の送信するFM変調を行ったCW(Continuous Wave)信号と混合し、ビート信号を生成する。このようにして生成したそれぞれのビート信号は、信号の反射点とレーダとの間の距離に対応した周波数の信号となる。受信機2aでは、それぞれのビート信号にA/D変換を行ない、複数のチャネルのデジタル信号を信号処理装置3aに出力する。
受信機2bは、複数の受信アンテナ(図9には記載していない)で受信した電波それぞれに送信機1の送信するFM変調を行ったCW(Continuous Wave)信号と混合し、ビート信号を生成する。このようにして生成したそれぞれのビート信号は、信号の反射点とレーダとの間の距離に対応した周波数の信号となる。受信機2bでは、それぞれのビート信号にA/D変換を行ない、複数のチャネルのデジタル信号を信号処理装置3aに出力する。
受信機2aの受信した信号は、信号処理装置3aの方位分離手段6aで、DBF(デジタルビームホーミング)により方位ごとに分離し、さらに、距離分離手段7aでFFTを行い、信号を周波数すなわち距離により分離する。このようにして、受信信号を、方位分離手段6aのDBFおよび、距離分離手段7aのFFTの分解能に応じた大きさの、方位および距離毎のセル毎のデータに分離した後、ドップラ分離手段8aでは、方位および距離毎のセル毎のデータに分離したデータを複数回収集し、FFTを行うことで、海流の流速により生じたドップラ成分に分離し、その結果を検出装置4aに出力する。
受信機2bの受信した信号は、信号処理装置3aの方位分離手段6bで、DBF(デジタルビームホーミング)により方位ごとに分離し、さらに、距離分離手段7bでFFTを行い、信号を周波数すなわち距離により分離する。このようにして、受信信号を、方位分離手段6bのDBFおよび、距離分離手段7bのFFTの分解能に応じた大きさの、方位および距離毎のセル毎のデータに分離した後、ドップラ分離手段8bでは、方位および距離毎のセル毎のデータに分離したデータを複数回収集し、FFTを行うことで、海流の流速により生じたドップラ成分に分離し、その結果を検出装置4aに出力する。
検出装置4aは信号処理装置3aから受信機2aおよび受信機2bのそれぞれで受信した信号のドップラ分布を入力し、メモリ12aに記憶する。他方、検出装置4aでは、津波予測装置5aから受信機2aおよび受信機2bのそれぞれの受信信号に対応するセル毎の海流の流速予測値を基に、積分区間設定手段13aが、検出装置4と同様に、波面に沿った方向に並んだセルを算出し、その範囲のセルを集めて、第1の積分区間31および、第2の積分区間32を受信機2aおよび受信機2bのそれぞれの受信信号に対して設定する。
積分手段(空間積分手段14a)は、距離、方位でセルに分割した各セルの受信機2aおよび受信機2bのそれぞれの受信信号についてのドップラ分布をメモリ12aより入力し、入力したドップラ分布を第1の積分区間31および第2の積分区間32それぞれの積分区間について積分し、その積分結果を受信機2aおよび受信機2bのそれぞれで受信した信号毎に検出手段15aに出力する。検出手段15aは、受信機2aおよび受信機2bのそれぞれで受信した信号について、ドップラ分布を第1の積分区間31および第2の積分区間32それぞれの積分区間について積分した積分結果からそれぞれドップラ分布のピークの、振幅が最大となるドップラ周波数を検出し、それぞれのピークのドップラ周波数を比較し、津波を検出する。検出した津波は、同じセルについて受信機2aと受信機2bで受信したそれぞれの速度を合成し、2次元の速度成分を持った津波のデータとする。
検出手段16aは、距離、方位でセルに分割した、受信機2aおよび受信機2bのそれぞれで受信した信号の各セルのドップラ分布をメモリ12aより入力し、入力したドップラ分布をそれぞれのセル間で比較し、受信機2aおよび受信機2bのそれぞれで受信した信号毎に海流の流速の変化を検出する。検出した津波は、同じセルについて受信機2aと受信機2bで受信したそれぞれの速度を合成し、2次元の速度成分を持った津波のデータとする。
時間積分手段17aは、距離、方位でセルに分割した受信機2aおよび受信機2bのそれぞれで受信した信号の各セルのドップラ分布をメモリ12aより入力し、入力したドップラ分布をそれぞれのセルについて受信機2aおよび受信機2bのそれぞれの受信信号毎に、それぞれ一定時間蓄積し、積分することでドップラ分布のピークを強調し、検出手段18aで受信機2aおよび受信機2bのそれぞれの受信信号毎に、それぞれのセル間で比較し、海流の流速の変化を受信機2aおよび受信機2bのそれぞれの受信信号毎に検出する。検出した津波は、同じセルについて受信機2aと受信機2bで受信したそれぞれの速度を合成し、2次元の速度成分を持った津波のデータとする。
検出手段15a、検出手段16a、検出手段18aのそれぞれで検出された津波は、検出結果統合手段19aで同一のものについては1つにまとめ、メモリ20aに記憶する。メモリ20aに記憶した津波検出内容は、図9には表示されていないが、表示や警報の発信など各種の処理に使用される。
なお、図9では、全方向に向かう津波を検出するため、受信機2aおよび受信機2bの2台の受信機を用いる構成だが、3台以上の受信機により受信し、その検出結果を合成しても良い。
また、図9では、1台の送信機1から送信した電波の海面による反射を受信機2aおよび受信機2bで受信する構成としたが、それぞれの受信機に対して例えば送信機1aと送信機1bなどを設けることにより、送信機1aで送信した電波の海面による反射信号を受信機2aで受信し、送信機1bで送信した電波の海面による反射信号を受信機2bで受信する構成としてもよい。
以上により、本発明の第2の実施の形態に係る海洋レーダ装置では、受信機2aおよび受信機2bなどの異なる場所に設置された2台以上のレーダで受信した受信データから津波を検出し、検出結果を合成することにより、実施の形態1の効果に加え、津波を検出するに際して、方向による制限が改善され、全方向に対する検出能力が向上するという効果がある。
実施の形態3.
海面における海水の流れには、地震により発生する津波と、地震の有る無しにかかわらず発生している流れ(以下、通常海流と言う)がある。通常海流には、暖流、寒流、潮汐により発生する潮流、および風により発生する吹走流等が存在する。このため、レーダ装置により観測され、信号処理装置3で分析される海水の流れの速度は、津波による流れと上記の通常海流による流れが重ね合わせされたものとなる。津波による流速をv、通常海流の流速をvとすると、海面の流速vは、(3)式のようになる。
Figure 2014098686
海面における海水の流速と、レーダ装置により観測されるドップラ周波数については、前述の(2)式の関係が有るため、津波によるドップラ周波数の成分をf、通常海流によるドップラ周波数の成分をfとすると、信号処理装置3で算出されるドップラ周波数fSとの関係は、(4)式のようになる。
Figure 2014098686
図10は、通常海流の流速の合計vによるドップラ周波数fの影響を示すものである。f=0であれば、海洋レーダ装置で観測されるドップラ分布のピーク±f+fは、±f+fとなり、ブラッグ散乱周波数±fの周囲で、津波による周波数fの変動が加わった周波数となる。一方、f≠0の場合は、海洋レーダ装置で観測されるドップラ分布のピーク±f+fは、±f+fの周囲で、津波による周波数fの変動が加わった周波数となる。
実施の形態1および実施の形態2に係る海洋レーダ装置では、積分区間設定手段13、13aは、津波による流速が一定と予想されるセルで積分区間を構成する。このため、津波以外の通常海流の流速の合計速度vが積分区間内の各セルで異なる場合は、(4)式のfが積分区間内のセル毎に異なることとなり、レーダ装置で観測され、信号処理装置3で算出されるドップラ周波数fの分布もそれぞれのセルで異なるものとなる。このような場合は、レーダ装置で観測されるドップラ周波数fを積分区間内で積分しても、そのピークが積み上がるという効果を十分に得ることが困難になる場合がある。
実施の形態3に係る海洋レーダ装置では、積分区間設定手段13の設定する積分区間内の各セルについて、通常海流の速度vによるドップラの影響fを予測し、レーダ装置で観測されるドップラ周波数fを津波以外の通常海流の流速によるドップラの影響の予測値だけ差し引き補正する。通常海流の流速vによるドップラ分布への影響fを差し引いた上で、空間積分手段14がドップラ分布を積分することで、通常海流の合計速度vが積分区間内の各セルで異なる場合でも、そのピークが積み上がるという効果を得るものである。
図11は、実施の形態3に係る海洋レーダ装置の構成を示す図である。また、図12は、実施の形態3に係る海洋レーダ装置の、ドップラ周波数の補正の概念を示す図である。図11において、海洋レーダ装置は、送信機1、受信機2、信号処理装置3、検出装置4b、津波予測装置5、および通常流予測装置41を備えている。送信機1、受信機2、信号処理装置3、津波予測装置5は、図2と同様である。また、検出装置4bの各構成要素についても、図2と同一符号のものは、同様の構成を表す。
通常流予測装置41は、潮流予測処理42、吹走流予測処理43、暖流・寒流予測装置44、通常流合成処理45を有し、通常海流の速度vをセル毎に予測する。潮流予測処理42は、潮汐表、気圧情報をもとに各セルについての潮流の速度を予測する。これは、潮流は、潮位変化などによる水圧により発生するためである。また、吹走流予測処理43は、風速、吹続時間、吹走距離をもとに各セルについての吹走流の速度を予測する。これは、吹走流は、海上の風の応力により発生するためである。暖流、寒流予測処理44は、海上保安庁の有する海流情報などの海流情報により暖流、寒流の速度を予測する。通常流合成処理45は、成因の異なる潮流、吹走流、暖流、寒流の速度を合成し、津波以外の通常海流の速度vをセル毎に予測する。例えば、図12(a)に示す第1の積分区間31を構成する各セルをそれぞれセル1、セル2、・・・セルnとすると、通常流合成処理45では、それぞれのセル1、セル2、・・・セルnでの津波以外の通常海流の流速vd1、vd2、・・・vdnを算出する。
検出装置4bでは、それぞれのセルで観測されるドップラ分布は、ドップラ分布シフト手段51を通して空間積分手段14に入力される。空間積分手段14は、ドップラ分布シフト手段51を通して入力されるドップラ分布を積分し、検出手段15は、空間積分手段14の積分結果から津波の検出を行なう。ドップラ分布シフト手段51は、通常流予測装置42の予測した速度vを基に津波以外の通常海流の流速によるドップラfを算出し、メモリ12上のドップラ分布に対してそれぞれ−fの周波数方向のシフトを行い、セル毎に速度vの影響を差し引く。例えば、図12(a)の第1の積分区間31を構成する各セルであるセル1、セル2、・・・セルnについては、図12(b)で示すように、それぞれのセルで観測されるドップラ分布は、津波以外の津波以外の通常海流の流速の合計vd1、vd2、・・・vdnの影響により、それぞれ、fd1、fd2、・・・fdnだけ周波数方向にシフトされたものとなっている。
図12(c)は、ドップラ分布シフト手段51が、それぞれのセルで観測されるドップラ分布を、−fd1、−fd2、・・・−fdnだけ周波数方向にシフトすることにより、津波以外の通常海流の影響を差し引いた結果を示したものである。セル1、セル2、・・・セルnは、それぞれ、津波によるドップラ周波数ft1、ft2、・・・ftnの予測値が同じセルである。セル1、セル2、・・・セルnでは、ドップラシフト手段51により周波数方向にシフトし補正した結果、ドップラ周波数がほぼ同じ値になる。空間積分手段14は、ドップラ分布シフト手段51で周波数方向にシフトを行なったドップラ分布を積分するが、上記のように、補正し津波の流速によるほぼ同じ値となったドップラ周波数を積分するため、積分手段(空間積分手段14)の算出する積分結果において、ドップラ分布のピークは積み上がり強調される。検出手段15は、空間積分手段14の出力である積分結果の変化により津波を検出する。空間積分手段14の出力である積分結果では、ドップラ分布のピークが強調されているため、検出手段15は、津波を高感度で検出することができる。
なお、図11では、検出装置4bは、ドップラ分布シフト手段51によりメモリ12上のドップラ分布のシフトを行い、空間積分手段14に出力し、空間積分手段14により、ドップラ分布シフト手段51からの入力を積分するが、図13に示す構成の様に、検出装置4cは、ドップラ分布シフト手段51によりメモリ12上のドップラ分布のシフトを行ない、その結果をメモリ52に出力し、メモリ52上のドップラ分布を空間積分手段14により積分する構成としても良い。
図13の通常流予測装置41は、図11における通常流予測装置41と同一の構成である。図13のドップラ分布シフト手段51は、図11におけるドップラ分布シフト手段51と同一の構成であり、ドップラ分布から津波以外の通常海流の影響を除いた結果を、直接空間積分手段14ではなく、メモリ52に出力する。直接空間積分手段14は、ドップラ分布シフト手段51からではなく、メモリ52より入力される、津波以外の通常海流の影響を除いたドップラ分布を積分する。
さらに、検出手段16による津波の検出、時間積分手段17と検出手段18による津波の検出も、メモリ12からではなく、メモリ52上のドップラ分布のシフトを行ったドップラ分布により津波の検出に係る処理を行う構成とする。このような構成とした場合、検出手段16による津波の検出、時間積分手段17と検出手段18による津波の検出、および空間積分手段14と検出手段15による津波の検出ではそれぞれメモリ52上の、ドップラ分布から津波以外の通常海流の影響を差し引いたドップラ分布により津波の検出に係る処理を行う。このため、メモリ12上のドップラ分布から津波以外の通常海流の影響を除いたドップラ分布を使用するため、検出手段16、検出手段18における津波の検出においても、津波以外の潮流、吹走流などの流速のセル毎の違いや時間変動に影響されずに検出を行なうことができる。
さらに、通常流予測装置41については、本発明に係る海洋レーダ装置あるいは別途設置された海洋レーダ装置等で計測された海面の流速のデータをデータベース化し、データ取得時の季節、気温、風速、気圧などの条件が一致するデータをデータベースより抽出することで、津波以外の通常海流の速度vをセル毎に予測しても良い。
加えて、実施の形態3に係る海洋レーダ装置の、ドップラ分布シフト手段51により、ドップラ分布から、通常流予測装置41で求めた通常海流の影響を差し引く構成は、図9のように、受信機2aおよび受信機2bなどの異なる場所に設置された2台以上のレーダで受信した受信データから津波を検出し、検出結果を合成する構成に対しても適用することが可能である。図9では、受信機2aで受信された電波は、信号処理装置3a中の方位分離手段6a、距離分離手段7a、速度分離手段8aで処理され、空間積分手段14aで積分される。これらの処理は、図14において、受信機2で受信された電波が、信号処理装置3中の方位分離手段6、距離分離手段7、速度分離手段8で処理され、空間積分手段14で積分されるそれぞれの処理と全く同等である。また、図9における受信機2bで受信された電波についても同様である。このため、図9における受信機2a、受信機2bで受信された電波のそれぞれについても、図14における、受信機2で受信された電波と全く同様に、ドップラ分布シフト手段51により、ドップラ分布から、通常流予測装置41で求めた通常海流の影響を除くことができる。
実施の形態4.
津波の周期は、短いもので数分から長いものは数時間である。それに対して、潮流の周期は、12時間および24時間程度であり、津波の周期とは異なる。実施の形態4では、ノイズとなる津波と津波以外の潮流の影響をドップラ周波数の変動の周期の違いにより除去する。このようにして、ノイズとなる潮流の影響が各セル毎に異なることによる、空間積分手段14により積分への影響を除き、検出手段18における津波の検出においても、潮流の流速のセル毎の違いや時間変動に影響されずに検出を行なうことができるようにするものである。
図15は、実施の形態4に係る海洋レーダ装置および検出装置の構成を示す図である。図15において、海洋レーダ装置は、送信機1、受信機2、信号処理装置3、検出装置4e、および津波予測装置5を備えている。送信機1、受信機2、信号処理装置3、津波予測装置5は、図2と同様である。また、検出装置4eの各構成要素についても、図2と同一符号のものは、同様の構成を表す。
検出装置4eでは、図11における通常流予測装置41のかわりに、ドップラ変動周期分離手段53が、メモリ12上のドップラ分布を元に、潮流などによるドップラfをセル毎に推定する。ドップラ分布シフト手段51bは、ドップラ変動周期分離手段53が推定した潮流などによるドップラfを使用し、メモリ12上のドップラ分布に対してそれぞれセル毎に−fの周波数シフトを行うことで、潮流などの長い周期で速度が変動する流れによる影響を除いたドップラ分布を算出する。空間積分手段14は、ドップラシフト手段51bが潮流などの影響を除いたドップラ分布を積分する。
図16は、ドップラ変動周期分離手段53の構成を示す。ドップラ変動周期分離手段53は、図16の様に、海流のドップラ算出手段61、ドップラ変動解析手段62、流速変動成分抽出手段63、潮流のドップラ算出手段64で構成され、メモリ12上のドップラ分布を分析し、潮流の流速をセル毎に予測する。海流のドップラ算出手段61は、セル毎に図10のドップラ分布からその2つのピークf+f、−f+fを求め、その平均値を求めることで海流の流速によるドップラfを算出する。
ドップラ変動解析手段62は、海流のドップラ算出手段61が算出した海流の流速によるドップラfをセル毎に、例えば数日間などの十分長い時間蓄積し、FFTにより海流の流速の周期毎のスペクトルを算出する。流速変動成分抽出手段63は、ドップラ変動解析手段62が算出した海流の流速の周期毎のスペクトルから、その周期により潮流の成分を抽出する。抽出する基準としては、想定する津波の周期より長い周期の成分を抽出する、潮汐の最短の周期である半日や、その倍数となる周期の成分を抽出するなどがある。抽出成分のドップラ算出手段64は、流速変動成分抽出手段63が抽出した潮流のスペクトル成分から逆FFTにより潮流によるドップラ成分fをセル毎に算出する。
抽出成分のドップラ算出手段64が算出したドップラfすなわちドップラ変動周期分離手段53が算出したドップラfにより、実施の形態3と同様に、ドップラ分布シフト手段51は、ドップラ分布を周波数方向にシフトさせることにより、各セルのドップラ分布から潮流などの影響を除去する。空間積分手段14では、ドップラ分布シフト手段51で周波数シフトを行なった結果を積分することにより、ドップラ分布のピークが積み上がり強調され、検出手段15により、津波を高感度で検出することができる。
なお、ドップラ変動周期分離手段53の構成として、図16では、潮流などの影響を算出する為に、フーリエ変換による周波数解析を行なう構成としたが、図17に示すように、潮流の推定の際に一般によく用いられる調和分解を行なう構成としても良い。図17の構成では、ドップラ変動周期分離手段53は、海流のドップラ算出手段61、調和定数算出手段62a、潮流成分抽出手段63a、および潮流算出手段64aにより構成される。
調和分解は、15日から1年間にわたりセル毎の潮流のドップラ周波数fを蓄積し、蓄積したドップラ周波数fの変動を(5)式にあてはめて、各成分に分解し、潮流などの周期的な変動を行なう成分を抽出するものである。
Figure 2014098686
調和定数算出手段62aは、ドップラ周波数fの変動を最小2乗法などにより(5)式にあてはめて、それぞれの調和定数を算出する。潮流成分抽出手段63aは、算出された調和定数から、潮流などの津波と異なる周期を持つ成分を抽出する。潮流算出手段64aは、潮流成分抽出手段63aが抽出した成分に関する調和定数のみから、(5)式により抽出した潮流などの成分に関する流速を算出する。
ドップラ変動周期分離手段53としては、図16および図17に示す他、ドップラ周波数の周期的変動の違いにより分離する方法であれば、デジタルフィルタなどを使用して分離を行なっても良い。
また、図15の構成では、検出装置4eは、ドップラ変動周期分離手段53により、津波と周期の異なるドップラ成分を抽出するが、図18のように、検出装置4fは、ドップラ変動分離手段53により津波と周期の異なるドップラ成分を抽出し、周期の違いでは分離が困難な場合のある暖流、寒流、吹走流などについては、実施の形態3と同様の吹走流予測装置43と暖流・寒流予測処理44とにより予測を行う構成としても良い。図18では、検出装置4fは、通常流合成装置45aによりドップラ変動分離手段53の抽出結果と吹走流予測装置43と暖流・寒流予測処理44の予測結果とを合成し、ドップラ分布シフト手段51bによりドップラ分布から津波以外の通常海流の影響を差し引く。空間積分手段14は、津波以外の通常海流の流速によるドップラ周波数の影響の予測値が差し引かれたドップラ分布を積分する。このように構成すると、空間積分手段14の出力では、ドップラ分布のピークが積み上がり強調され、検出手段15により、津波を高感度で検出することができる。
さらに、図15の構成では、検出装置4eは、ドップラ分布シフト手段51によりメモリ12上のドップラ分布のシフトを行い、空間積分手段14でドップラ分布の積分を行うが、図19の構成の様に、検出装置4gは、ドップラ分布シフト手段51によりメモリ12上のドップラ分布のシフトを行なった結果をメモリ52に入力し、メモリ52上のドップラ分布を空間積分手段14により積分する構成としても良い。
さらに、検出手段16による津波の検出、時間積分手段17と検出手段18による津波の検出も、メモリ12からではなく、メモリ52上のドップラ分布のシフトを行ったドップラ分布により津波の検出に係る処理を行う構成とする。このような構成とした場合、検出手段16による津波の検出、時間積分手段17と検出手段18による津波の検出、および空間積分手段14と検出手段15による津波の検出ではそれぞれメモリ52上の、ドップラ分布から津波以外の通常海流の影響を差し引いたドップラ分布により津波の検出に係る処理を行う。このため、メモリ52上の、ドップラ分布から津波以外の通常海流の影響を除いたドップラ分布を使用するため、検出手段16、検出手段18における津波の検出においても、津波以外の通常海流の流速のセル毎の違いや時間変動に影響されずに検出を行なうことができる。
加えて、実施の形態4に係る海洋レーダ装置の、ドップラ分布シフト手段51bにより、ドップラ分布から、ドップラ変動周期分離手段53で求めた潮流の影響を差し引く構成は、図20のように、受信機2aおよび受信機2bなどの異なる場所に設置された2台以上のレーダで受信した受信データから津波を検出し、検出結果を合成する構成に対しても適用することが可能である。図20では、受信機2aで受信された電波は、信号処理装置3a中の方位分離手段6a、距離分離手段7a、速度分離手段8aで処理され、空間積分手段14aで積分される。これらの処理は、図15において、受信機2で受信された電波が、信号処理装置3中の方位分離手段6、距離分離手段7、速度分離手段8で処理され、空間積分手段14で積分されるそれぞれの処理と全く同等である。また、図20における受信機2bで受信された電波についても同様である。このため、図20における受信機2a、受信機2bで受信された電波のそれぞれについても、図15における、受信機2で受信された電波と全く同様に、ドップラ分布シフト手段51bにより、ドップラ分布から、ドップラ変動周期分離手段53で求めた潮流の影響を除くことができる。
以上のように、実施の形態4に係る海洋レーダ装置は、ドップラ周波数の周期の違いにより津波と津波以外の通常海流の影響によるドップラ周波数fを算出し、ドップラ分布シフト手段51で周波数方向にシフトを行なった結果を積分することにより、ドップラ分布のピークが積み上がり強調され、検出手段15により、津波を高感度で検出することができる。
1、1a、1b 送信機
2、2a、2b 受信機
3、3a 信号処理装置
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f 検出装置
5 津波予測装置
6、6a、6b 方位分離手段
7、7a、7b 距離分離手段
8、8a、8b ドップラ分離手段
9 津波予測処理
10 津波シミュレータ
11 津波データベース
12、12a メモリ
13 積分区間設定手段
14、14a 空間積分手段
15、15a、16,16a、18、18a 検出手段
17、17a 時間積分手段
19、19a 検出結果統合手段
20、20a メモリ
31、32 積分区間
41 通常流予測装置
42 潮流予測装置
43 吹走流予測装置
44 暖流・寒流予測装置
45、45a 通常流合成処理
51、51a ドップラ分布シフト手段
52 メモリ
53、53a ドップラ変動周期分離手段
100 海洋レーダ装置

Claims (8)

  1. 観測する海面を区切るセル毎に海面からの反射電波を分析し、前記反射電波のドップラ分布を前記セル毎に算出する信号処理装置と、
    地震の発生位置および規模から予測された津波の流速の海面上の分布をもとに、前記津波の流速が所定の流速から一定の範囲内である、前記津波の前縁部に位置する複数の前記セルを選択し、この選択した複数の前記セルからなる積分区間を設定する積分区間設定手段と、
    前記信号処理装置が算出したドップラ分布を前記積分区間について積分し、積分結果を算出する積分手段と、
    前記積分結果から、前記積分区間で振幅が最大となるドップラ周波数を求め、このドップラ周波数の変化を検出する検出手段と
    を備えた海洋レーダ装置。
  2. 前記積分区間設定手段は、前記積分区間を、前記津波の流速が第1の流速から一定の範囲内の複数の前記セルからなる第1の積分区間と、前記津波の流速が第1の流速とは異なる第2の流速から一定の範囲内の複数の前記セルからなる第2の積分区間として設定し、
    前記積分手段は、入力されたドップラ分布を前記第1の積分区間と前記第2の積分区間とについて積分し積分結果をそれぞれ算出し、
    前記検出手段は、前記積分手段が算出した、前記第1の積分区間についての積分結果と前記第2の積分区間についての積分結果のそれぞれから、前記第1の積分区間と前記第2の積分区間のそれぞれで振幅が最大となるドップラ周波数を求め、求めたドップラ周波数の前記第1の積分区間と前記第2の積分区間との間の変化を検出する
    請求項1に記載の海洋レーダ装置。
  3. 前記検出手段は、前記積分結果から、前記積分区間で振幅が最大となるドップラ周波数を求め、このドップラ周波数の時間変化を検出することを特徴とする請求項1に記載の海洋レーダ装置。
  4. 通常流予測手段が通常海流の予測速度から算出した、海面からの反射電波の通常海流によるドップラ周波数が入力され、前記信号処理装置が前記セル毎に算出したドップラ分布を、前記通常流予測手段が算出した通常海流によるドップラ周波数によりセル毎に周波数方向にシフトさせ、セル毎の補正されたドップラ分布を前記積分手段に出力する周波数シフト手段を備えた
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の海洋レーダ装置。
  5. 前記信号処理装置がセル毎に算出した前記ドップラ分布から、所定の周期の変動成分を抽出するドップラ変動周期分離手段と、
    前記信号処理装置がセル毎に算出した前記ドップラ分布を、前記ドップラ変動周期分離手段が抽出した前記所定の周期の変動成分の周波数によりをセル毎に周波数方向にシフトさせ、セル毎の補正されたドップラ分布を前記積分手段に出力する周波数シフト手段を備えた
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の海洋レーダ装置。
  6. 観測する海面を区切るセル毎に海面からの反射電波を分析し、前記反射電波のドップラ分布を前記セル毎に算出する信号処理装置と、
    地震の発生位置および規模から予測された津波の流速の海面上の分布をもとに、前記津波の波面に平行な方向に並んだ複数のセルを選択し、この選択した複数の前記セルからなる積分区間を設定する積分区間設定手段と、
    前記信号処理装置が算出したドップラ分布を前記積分区間について積分し、積分結果を算出する積分手段と、
    前記積分結果から、前記積分区間で振幅が最大となるドップラ周波数を求め、このドップラ周波数の変化を検出する検出手段と
    を備えた海洋レーダ装置。
  7. 観測する海面を区切るセル毎に海面からの反射電波を分析し、前記反射電波のドップラ分布を前記セル毎に算出する信号処理装置と、
    地震の発生位置および規模から予測された津波の流速の海面上の分布をもとに、前記津波の流速が所定の流速から一定の範囲内である、前記津波の前縁部に位置する複数の前記セルを選択し、この選択した複数の前記セルからなる積分区間を設定する積分区間設定手段と、
    前記信号処理装置が算出したドップラ分布を前記積分区間について積分し、積分結果を算出する積分手段と、
    前記積分結果から、前記積分区間で振幅が最大となる第1のドップラ周波数を求め、この第1のドップラ周波数の変化を検出する第1の検出手段と、
    前記反射電波のドップラ分布から、前記セル毎に振幅が最大となる第2のドップラ周波数を求め、この第2のドップラ周波数の変化を検出する第2の検出手段と、
    を備えた海洋レーダ装置。
  8. 前記信号処理装置は、前記セル毎の前記反射電波のドップラ分布を、
    第1の受信位置で受信した第1の反射電波を分析し算出した第1のドップラ分布と
    第2の受信位置で受信した第2の反射電波を分析し算出した第2のドップラ分布として算出し、
    前記積分手段は、前記積分区間設定手段の設定した積分区間について、前記信号処理装置が算出した前記第1のドップラ分布と前記第2のドップラ分布とをそれぞれ積分し積分結果を算出し、
    前記検出手段は、前記積分手段が算出した前記第1のドップラ分布の積分結果と前記第2のドップラ分布の積分結果のそれぞれから前記積分区間で分布が最大となるドップラ周波数を求め、この第1のドップラ分布の積分結果から求めたドップラ周波数の変化とこの第2のドップラ偏移の周波数分布の積分結果から求めたドップラ周波数の変化とをそれぞれ検出する
    請求項1に記載の海洋レーダ装置。
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