JP2016085206A - 津波監視システム - Google Patents

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Abstract

【課題】到来する津波の波高を十分な精度で直接的に予測することができる津波監視システムを提供する。【解決手段】津波を検出するための送信信号を電波として海面に向かって放射する送信アンテナと、津波に反射された反射波を受信信号として受信する受信アンテナとを備えた津波監視システムにおいて、所定の周波数を有する送信信号を発生する信号発生手段と、送信信号と受信信号との周波数差の周波数を有するビート信号を生成する信号処理部と、電波照射領域を複数の領域に分割し、各領域ごとに、ビート信号に基づいて、津波の海面の流速を算出する波高推定部と、算出された津波の海面の流速に基づいて、津波の挙動のシミュレーションを計測サンプル周期ごとに実行して各時刻での津波の波高を算出し、算出された各時刻での津波の波高に基づいて、各時刻での津波の到達波高を算出する津波シミュレーション部と、算出された各時刻での津波の到達波高に基づいて、津波に対する到達時間及び到達波高を予測する到達予測部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、レーダによって津波の海面流速を計測し、波高および陸上への到達時刻を予測するための津波監視システムに関する。
近年、日本の沿岸部においては、大地震の発生により津波が来襲することが懸念されている。津波が沿岸に到達する前に、可能な限り早く精度良く到来を予測することは、効率のよい避難行動や対応を行うために重要である。従来、到来する津波を予測するため、幾つかの方法が提案されている。
例えば、現在の気象庁における津波予報システムでは、予め、津波を発生させる可能性のある断層を設定して津波の数値シミュレーションを行っておき、その結果を津波予報データベースとして蓄積している。実際に地震が発生した時はこのデータベースから発生した地震の位置や規模などに対応する予測結果を検索し、津波警報もしくは注意報の発表を行っている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、発生する津波の大きさを予測するのに必要な断層の位置やずれ量は、地震発生時に正確にわかるものではなく、後日のデータ分析に委ねられるため、津波の大きさや到達時刻などの発表値には誤差が大きいという問題があった。
また、別の方法としては、到来する津波を計測することができる、ブイなどの複数個のセンサを海上や海中に配置し、沖合で津波そのものを捕らえる試みも行われている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この方法では空間的に点のデータしか得られないため、広い範囲にわたって到来する津波の波高や到来方向を詳細に予測するには十分とはいえなかった。さらに、電源の確保及び信号伝播路の確保に多額の費用を要し、また海上及び海中のセンサが必要なため、そのメンテナンスが容易でないという問題があった。
上述した問題を解決するために、近年、海洋レーダによる津波の監視が始められつつある(例えば特許文献3参照)。海洋レーダは、陸上に設置したアンテナから海面に電波を照射し、海面の波浪による後方散乱波を受信して周波数解析することにより百km程度の幅広い領域における海流、波浪、海上風などを測定することができる。海洋レーダは広範囲を同時間に観測できるという特徴があり、陸上から観測できるため長期間の観測にも適している。しかしながら、海洋レーダにおいては、アンテナから照射される電波の視線方向の海面流速成分のみしか計測することができず、到来する津波の波高を直接計測することはできない。
従って、特許文献3記載の津波監視システムにおいては、計測された流速や地形モデル等の条件に基づき、予め用意された津波の経験則(例えば波高=流速v×ある関数F、到達時間T=距離/位相速度など。)から、近傍の海岸の津波到達時間と波高の予測値を算出する必要があり、事前に津波の流速パターンから津波特性を予測するのに必要なデータベースを構築し、算出された流速分布をこれらデータベースに照合する必要がある。
特開2013−40898号公報 特許第3512330号公報 特許第2721486号公報 特許第4534200号公報
高橋智幸著、「津波防災における数値計算の利用」、日本流体力学会数値流体力学部門Web会誌、2004年11月、第12巻、第2号、p.23−32 F. Imamura, Ahmet Cevdet Yalciner and Gulizar Ozyurt、"TSUNAMI MODELLING MANUAL (TUNAMI model)"、[online]、2006年4月、[2013年4月8日検索]、インターネット<URL : http://www.tsunami.civil.tohoku.ac.jp/hokusai3/J/projects/manual-ver-3.1.pdf> Kenji SATAKE,"INVERSION OF TSUNAMI WAVEFORMS FOR THE ESTIMATION OF A FAULT HETEROGENEITY: METHOD AND NUMERICAL EXPERIMENTS", J.Phys. Earth, 35, 241-254, 1987
しかしながら、特許文献3記載の津波監視システムでは、全ての津波のパターンに対して事前にシミュレーションを行うことは事実上不可能であるので、十分な精度で津波を予測することができないという問題があった。また、想定外の規模の津波においては精度がさらに悪化するという問題があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、到来する津波の波高を十分な精度で直接的に予測することができる津波監視システムを提供することにある。
本発明に係る津波監視システムは、
津波を検出するための送信信号を電波として海面に向かって放射する送信アンテナと、津波に反射された反射波を受信信号として受信する受信アンテナとを備えた津波監視システムにおいて、
所定の周波数を有する送信信号を発生する信号発生手段と、
送信信号と受信信号との周波数差の周波数を有するビート信号を生成する信号処理部と、
電波照射領域を複数の領域に分割し、各領域ごとに、ビート信号に基づいて、津波の海面の流速を算出する波高推定部と、
算出された津波の海面の流速に基づいて、津波の挙動のシミュレーションを計測サンプル周期ごとに実行して各時刻での津波の波高を算出し、算出された各時刻での津波の波高に基づいて、各時刻での津波の到達波高を算出する津波シミュレーション部と、
算出された各時刻での津波の到達波高に基づいて、津波に対する到達時間及び到達波高を予測する到達予測部とを備えたことを特徴とする。
本発明に係る津波監視システムによれば、電波によって計測された海面の流速分布から津波の波高を直接的に予測することができるので、想定外の規模の津波を含めた全ての津波の到達時間と到達波高とを精度良く予測することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る津波監視システム1及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図1の津波7の波高η及び全水深Dを説明するための断面図である。 図1の送受信アンテナ2から発射された送信電波5の照射領域を説明するための平面図である。 図1の津波シミュレーション部15が伝播する津波7の挙動をシミュレーションする領域を説明するための平面図である。 図1の津波シミュレーション部15による、任意の位置での各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示す時間軸波形図である。 図1の波高データメモリ20に格納される、各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示す表である。 図1の津波シミュレーション部15による、任意の位置での各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示すグラフである。 図1の津波監視システム1により実行される津波波高分布並びに津波到達時刻及び到達波高の予測処理を示すフローチャートである。 図8AのフローチャートにおけるステップS102の波高推定処理を詳細に示すフローチャートである。 図1の津波シミュレーション部15により予測される津波到達時刻及び到達波高の精度を示すグラフである。 本発明の第2の実施の形態に係る津波監視システム1A及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図10の波高データメモリ20に格納される、各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示す表である。 図10の津波シミュレーション部15による、各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示すグラフである。 図10の到達予測部12Aの動作を説明するためのグラフである。 本発明の第3の実施の形態に係る津波監視システム1B及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図14の津波シミュレーション部15Aが伝播する津波7の挙動をシミュレーションする領域を説明するための平面図である。 図14の津波監視システム1Bにより実行される津波波高分布並びに津波到達時刻及び到達波高の予測処理を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施の形態に係る津波監視システム1C及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態に係る津波監視システム1D及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 本発明の第6の実施の形態に係る津波監視システム1E及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。 図19の津波シミュレーション部15Cが伝播する津波7の挙動をシミュレーションするシミュレーション領域16を説明するための平面図である。 図20の津波シミュレーション領域16の詳細を説明するための平面図である。 図19の津波シミュレーション部15Cにより予測される津波7の到達時刻及び到達波高の精度を示すグラフである。 本発明の第7の実施の形態に係る津波監視システム1F及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施の形態において、同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る津波監視システム1及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図1の津波監視システム1は、送信電波5が海上を走査できるような位置に設けられた送受信アンテナ2と、送受信部8と、信号処理部9と、演算部10と、表示部13とを備えて構成される。また、演算部10は、計算機とプログラムとからなる波高推定部11、到達予測部12、津波シミュレーション部15を含む。また、演算部10は、送受信アンテナ2が配置される例えば数十〜数百キロメートル四方の海域の水深分布や海岸線の位置を記憶した水深分布メモリ17、地形データメモリ19、さらに津波シミュレーション部15にて計算された各位置での波高の時間変化を格納しておく波高データメモリ20を備えて構成される。なお、水深分布データメモリ17や地形データメモリ19はシミュレーションを実施するために必要なものであるが、水深分布データメモリ17に格納された水深分布が十分詳細で、水深0メートルの位置で十分に海岸線の位置が特定できるとみなされる場合には地形データメモリ19は必ずしも必要では無く、水深分布データメモリ17で代用される。
また、送受信アンテナ2は、陸18上に設置されるが、送受信アンテナ2の位置は送信電波5が海上を走査できるような位置であればどこでもよく、例えば海4に設置してもよい。また、図1において送受信アンテナ2の形状を円柱形状ないしは線形状としたが、電波を送受信できればどのような種類や形状であってもよい。例えば、送受信アンテナ2の種類はアレー状のアンテナであってもよい。さらに、送受信アンテナ2は送信アンテナと受信アンテナとを一体としたが、送信アンテナと受信アンテナとは別々に設けられてもよい。
送受信部8は、所定の周波数を有する送信信号を発生し、当該送信信号を送受信アンテナ2に出力する信号発生手段を含む。また、送受信部8は、後述する送受信アンテナ2から受信信号を受信し、当該受信信号を信号処理部9に出力する受信手段を含む。なお、図1において送受信部8は一体の場合について記載したが、送信部と受信部との2つに分かれた構成としてもよく、送受信部8および信号処理部9の構成がどのような構成であっても本発明を適用することができる。
送受信アンテナ2は、津波7を検出するための送信信号を海上(海面3)に送信電波5として放射する。さらに、送受信アンテナ2は、海面3上で強く後方散乱された受信電波6を受信信号として受信し、当該受信信号を送受信部8に出力する。なお、この後方散乱はブラック散乱と呼ぶ。
信号処理部9は、送受信部8が生成した送信信号と、送受信アンテナ2が受信した受信信号とを乗算し、当該乗算された結果の信号をビート信号として波高推定部11に出力する。すなわち、信号処理部9は、送信信号と受信信号との周波数差の周波数を有するビート信号を生成する。ここで、受信電波6はドップラー効果を受けて変調されており、その変調量は海面3の流速に依存し、ビート信号として算出する。さらに、信号処理部9には、送信信号と受信信号との乗算結果の信号からその高調波成分をフィルタリングで除去する機能を有する。
波高推定部11は、信号処理部9からビート信号を受信して、当該ビート信号に基づき、津波7の海面3の流速を算出し、この流速及び水深分布データメモリ17に格納された海4の静水深hの分布データに基づいて、例えば後述する方法にて津波7の波高ηを推定し、推定された波高ηのデータを表示部13及び津波シミュレーション部15に出力する。ここで、送信電波5の電波照射領域14を後述する図3のように複数の領域に分割し、各領域ごとに津波7の海面3の流速を算出して、その領域での津波7の波高ηを推定する。また、表示部13は、波高推定部11から入力された波高ηのデータを表示する。
津波シミュレーション部15は、波高推定部11から津波7の波高ηのデータを初期条件として入力し、当該波高ηのデータと水深分布データメモリ17に格納された静水深hの分布データと地形データメモリ19に格納された地形データとに基づいて、時間経過に伴って伝播する津波7の波高ηの分布を計測サンプル周期Δtごとにシミュレーションして津波の波高ηを算出し、当該計測サンプル周期Δtごとに算出された津波の波高ηのデータを波高データメモリ20にそれぞれ格納する。また、津波シミュレーション部15は、算出された各時刻tでの津波の波高に基づいて、各時刻tでの津波の到達波高をさらに算出して波高データメモリ20にそれぞれ格納する。ここで、シミュレーション結果は、後述する津波シミュレーション領域16の各領域での各時刻での津波の波高ηの変化を示した波高分布データである。
ここで、時間経過に伴って伝播する津波7の挙動をシミュレーションするための初期条件として、後述する図4の斜線で図示された領域40において波高推定部11において推定された波高ηの分布を有する津波7が発生するように設定される。なお、シミュレーションは、例えば非特許文献2記載の長波理論に基づく津波の基礎方程式を用いて実施されるが、津波の基礎方程式を解いて、後述する図4の電波照射領域14内の全領域での波高ηを求めることができればどのような方法を用いてもよい。
到達予測部12は、各時刻tでの津波の到達波高のデータを入力し、その到達波高のデータに基づいて、津波7に対する到達時間や到達波高を予測し、当該予測された到達時間及び到達波高のデータを表示部13に出力する。すなわち、シミュレーション結果から、送受信アンテナ2の設置位置での水位の時間変化を算出することによって、津波7の到達時間と到達波高とを予測する。また、表示部13は、計測サンプル周期Δtごとの津波7の到達波高データ並びに予測された到達時間及び到達波高のデータを表示する。
以上のように構成された津波監視システム1の波高推定部11の動作について以下に説明する。
図2は、図1の津波7の波高η及び全水深Dを説明するための断面図である。図2において、hは静水深を示し、ηは津波7の波高を示す。なお、静水深hは波が立っていない場合の海底22から海面3までの水深であって、津波7の波高ηは波が立っている場合の静水深hから海面3までの水深のことである。従って、波が立っている場合の海底22から海面3までの全水深Dは波高ηと静水深hとの和となる。なお、一般に津波7の波長λは、静水深hより十分に大きい(h<<λ)。従って、津波7の挙動は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸を有し、当該z軸は重量方向と逆向きであると仮定すると、x軸及びy軸を有する2次元直交座標系では以下の質量保存式(1)と運動方程式(2)及び(3)とから構成される長波理論の基礎方程式(以下、津波の基礎方程式と呼ぶ。)によって表現できる(例えば非特許文献1及び2参照。)。なお、重量方向は、x軸方向及びy軸方向と直交するものとする。
Figure 2016085206
Figure 2016085206
Figure 2016085206
ここで、ηは津波7の波高であり、Mはx軸方向の線流量であり、Nはy軸方向の線流量であり、nは海底摩擦係数(マニングの粗度係数)であり、Dは全水深であり(静水深h及び波高ηを用いると、D=h+ηとなる。)、tは時間であり、gは重力加速度である。
なお、上述した長波理論では、津波の流速は深さ方向(z軸方向)に一定と仮定できるので、津波7のx軸方向の流速U及びy軸方向の流速VはそれぞれU=M/D、V=N/Dとして算出される。すなわち、津波監視システム1によって計測された海面3のx軸方向の流速U及びy軸方向の流速Vは、xy平面上の座標により決定付けられる。従って、波高推定部11では、x軸方向の流速U及びy軸方向の流速Vと津波7の波高ηとを関連付けるためのデータベースや経験式を必要とすることなしに、上述した津波の基礎方程式に基づいて、津波監視システム1により計測された津波7のx軸方向の流速U及びy軸方向の流速Vから波高ηを算出できる。
図3は、図1の送受信アンテナ2から発射された送信電波5の照射領域を説明するための平面図である。図3において、送受信アンテナ2からの送信電波5は送受信アンテナ2を中心とする扇形の電波照射領域14に照射される。ここで、送受信アンテナ2を設置した場所を原点(0,0)として、原点(0,0)からの半径r及びz軸を中心とした時計回りの回転角θを用いて、電波照射領域14を距離幅Δr及び角度幅Δθの幅で番号I=1〜II、J=1〜JJの領域に区分する。なお、各領域での流速は一定の計測サンプル時間Δtでの平均値として計測される。この計測サンプル時間Δtは津波監視システム1の処理時間や電波照射領域14の大きさによって異なるが、一般に数十秒から数分の範囲とされる。また、計測条件によって異なるが、電波照射領域14の半径rの最大値は数十〜百キロメートルとされ、距離幅Δrは数キロメートル以下、角度幅Δθは25度以下とされるのが一般的である。また、図3では簡単のため、距離幅Δrと角度幅Δθを一定としたが、電波照射領域14の位置に応じてそれぞれに大きさを変化させてもよい。
図3において、半径r方向の線流量M及び回転角θ方向の線流量Mθは次式から算出される。
Figure 2016085206
ここで、Uは計測された半径r方向の流速であって、Uθは回転角θ方向の流速であって、Dは全水深である。
本実施の形態では、説明を簡単にするため、半径r方向の流速Uを計測するための送受信アンテナ2を1台だけ設置した場合を例とする。従って、回転角θ方向の流速Uθは計測しないで、半径r方向の流速Uのみを計測する場合について説明する。送受信アンテナ2が2台以上の場合には、半径r方向の流速UとUθとの両方を計測することができるが、その場合でも同様の方法でよい。
半径r方向の流速Uを用いて津波7の波高ηを算出する方程式(5)は、上述した津波の基礎方程式から以下のように導かれる。
先ず、上述した運動方程式(2)を円筒座標系に変換し、回転角θ方向成分を削除する。次に、全水深Dの大きさに比べて波高ηの大きさは十分に小さいと仮定すると、全水深Dの大きさは静水深hの大きさとほぼ等しくなるので、すなわちD=hを上記変形された運動方程式代入すると以下の式(4)が導かれる。
Figure 2016085206
次に、静水深hが十分大きいものとし、M=UD≒Uhとして単純化して整理すると、次式(5)が導かれる。この式(5)を解くことによって、半径r方向の流速Uから津波7の波高ηを算出することができる。
Figure 2016085206
ここで、式(5)の右辺は半径r方向の流速Uの時間変化であり、時間t及び時間(t−Δt)において津波監視システム1によって計測された2つの半径r方向の流速Uの値を用いて算出することができる。
上述した式(5)を例えば差分法などの数値解析手法を用いて解くことによって、図3の電波照射領域14での津波7の波高ηの分布を算出することができる。ここで、図3の領域において差分した次式(6)を、I=1〜II、J=1〜JJの全領域について順に解くことによって津波7の波高ηの分布を算出することができる。
Figure 2016085206
ここで、kは時間tに対応する値、(k−1)は時間(t−Δt)に対応する値を意味する。
なお、上述した式(6)の差分式は一例であって、式(5)を波高ηについて数値的に解き、I=1〜II、J=1〜JJの全領域において津波7の波高ηを算出できれば、これ以外の方法であってもよい。
また、波高ηの分布を求める別の方法として、津波の波高ηが静水深hに比べて十分小さいと仮定することで、次式(7)で表される津波の波速(特許文献4参照。)、
Figure 2016085206
を用いて、
Figure 2016085206
によって波高分布を求めることもできる。この式を用いれば、ある1つの時刻における1地点での流速Uと静水深hのみから波高ηを求めることができるため、差分法などの数値解析手法を用いずとも、図3の電波照射領域14での津波7の波高ηの分布を算出することができる。このように、波高ηの分布を求める方法はどのような方法を用いても問題は無い。
次に、津波シミュレーション部15の動作について以下に詳細に説明する。
図4は、図1の津波シミュレーション部15が伝播する津波7の挙動をシミュレーションする領域を説明するための平面図である。図4において、津波シミュレーション領域16が設けられ、シミュレーション用の計算格子が形成される。津波シミュレーション領域16の大きさや形状は、どのような大きさや形状であってもよいが、一般的には電波照射領域14と同等かもしくはそれ以上の大きさが用いられる。また、形成される計算格子の座標系はどのような座標系であってもよいが、一般的には直交座標系または円筒座標系が用いられる。さらに、計算格子により形成された評価領域21の寸法も、どのような大きさや形状であってもよいが、大きすぎるとシミュレーションの精度が悪化するので、一般的には数キロメートル角以下とする。
先ず、時間経過に伴って伝播する津波7の波高ηをシミュレーションするための初期条件として、図4の津波シミュレーション領域16での領域40において波高推定部11によって推定された波高分布を設定してシミュレーションを実施する。ここで、津波シミュレーションは、例えば非特許文献2記載の方法などに基づいて、前述の式(1)〜(3)の長波理論に基づく津波の基礎方程式を計算機によって数値的に解くことにより求められる。なお、津波の基礎方程式を解いて、図4の全領域での波高ηを求めることができればどのような方法であってもよく、例えば差分法、有限体積法及び有限要素法などの方法を用いてもよい。さらに、上述した式(4)から式(5)への変形のように静水深hが十分大きいと仮定して基礎方程式を簡略化してもよいし、線形化してもよい。
また、時間経過に伴って伝播する津波7をシミュレーションするための初期条件として、前述では推定された波高ηのデータのみとする例について説明したが、さらに計測された流速分布データも用いてもよい。このようにすることで、より精度が高いシミュレーションが可能となる。
また、津波シミュレーション部15では、推定された波高分布に基づいて、常にシミュレーションを実施してもよいが、推定された波高が津波と判断される波高の場合に限り、当該津波シミュレーションを実施するようにしてもよい。ここで、例えば推定された波高や計測された流速の大きさなどが所定のしきい値を超えるときに津波と判断される。なお、しきい値は、津波監視システム1が設置される海域において、風や潮流によって発生する波の高さや流速分布の計測誤差を考慮して予め決定する。
なお、上述したシミュレーションは、波高推定部11による津波7検知直後だけに実施するのではなく、津波監視システム1による計測サンプル周期Δt、例えば1分ごとに実施する。この時、計測サンプル周期Δtごとに計測される流速分布や推定された波高分布に基づいて、図4の津波シミュレーション領域16の領域40において波高推定部11によって推定された波高分布を再設定し、時々刻々と最新のデータへと更新する。すなわち、シミュレーションは計測サンプル周期Δtより短い時間で完了するように、図4における計算領域の大きさや計算格子数を事前に決定しておく。
また、計測サンプル周期Δtごとのシミュレーションから算出された波高分布データは波高データメモリ20に送られて格納される。ここで、波高データメモリ20に送られる波高分布データは、津波の到達波高と到達時刻とを求める位置、例えば図4における送受信アンテナ2の設置位置における波高のみとしてもよいが、図4の津波シミュレーション領域16の全領域あるいは任意の複数個所の波高分布データとしてもよい。津波シミュレーション領域16の全領域あるいは任意の複数個所の波高分布データとすることで、複数個所の津波の到達波高と到達時刻とを同時に求めることが可能となる。
電波照射領域14の大きさは上述したように半径rの最大値が数十〜百キロメートルであるので、津波7が電波照射領域14に入り、例えば送受信アンテナ2の位置に到達するまでには通常数十分以上かかる。本発明では、シミュレーションが計測サンプル周期Δt、例えば1分以内に完了するので、津波到達前に送受信アンテナ2の位置での到達波高の時間変化、すなわち、到達波高と到達時刻とを知ることが可能となる。
ここで、津波の規模(スケール)が小さい、すなわち津波の規模が電波照射領域14より小さい場合には、上述したシミュレーションを1回だけ行って、到達波高と到達時刻とを求める位置での波高の時間変化から直接、津波の到達時刻と到達波高とを求めることができた。しかし、津波の規模が電波照射領域14より大きい場合には、図4の津波シミュレーション領域16において、波高推定部11によって波高分布を推定できる領域は電波照射領域14内のみであり、電波照射領域14外の領域では波高0メートルと設定せざるを得ない。従って、シミュレーションにおいて、電波照射領域14外の領域に設定される波高分布も津波7の到達波高に影響を及ぼすので、1回だけのシミュレーションでは高い精度で津波の到達時刻と到達波高とを求めることができない。
従って、本発明では、複数のシミュレーションを実施してこれらのシミュレーション結果を用いることにより、電波照射領域14より大きい規模を有する津波7であっても高い精度で到達波高と到達時刻とを予測することを特徴とする。
図5(a)、(b)は、図1の津波シミュレーション部15による、任意の位置での各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示す時間軸波形図である。図5(a)では、時刻t=t0においてシミュレーションが開始され、計測サンプル周期Δtごとに津波の到達波高の変化が示され、図5(b)では、時刻t=t0+Δtにおいてシミュレーションが開始され、計測サンプル周期Δtごとに津波の到達波高の変化が示されている。ここで、時刻t=t0でのシミュレーションにおける到達波高の時間変化が計測サンプル周期Δtごとに波高η1(1)、η1(2)、η1(3)、…の配列として波高データメモリ20に格納され、時刻t=t0+Δtでのシミュレーションにおける到達波高の変化が計測サンプル周期Δtごとに波高η2(2)、η2(3)、η2(4)、…の配列として波高データメモリ20に格納される。同様に、その後の時刻t=t0+2Δt、t=t0+3Δt、t=t0+4Δt、…においてもシミュレーションが開始され、各時刻tでのシミュレーションにおける到達波高の時間変化が計測サンプル周期Δtごとに波高η3(3)、η3(4)、η3(5)、…,波高η4(4)、η4(5)、…,波高5(5)、…の配列としてそれぞれ波高データメモリ20に格納される。なお、本実施の形態では説明を容易にするため、計測サンプル周期Δtごとに到達波高の時間変化を波高データメモリ20に格納するとしたが、この格納される周期は計測サンプル周期Δtと同一とする必要はなく、到達波高の変化を読み取ることができるのであれば計測サンプル周期Δt以外の周期を用いてもよい。
図6は、図1の波高データメモリ20に格納される、各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示す表である。図6に示すように、各時刻tでのシミュレーションから算出された、任意の位置における津波の到達波高の時間変化が各時刻tの配列として格納される。なお、図6の最下段の到達波高予測値η(1),η(2),η(3),…は、後述する到達予測部12により算出された値である。
次に、到達予測部12の動作について以下に説明する。
図7は、図1の津波シミュレーション部15による、任意の位置での各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示すグラフである。図7では、各時刻tでのシミュレーションによる到達波高予測結果が実線で示され、さらに到達波高予測値の時間変化が破線で示されている。本実施の形態では、津波7が0メートル以上の到達波高を有すると仮定する。
ここで、Max(A,B,C)はA,B,Cのうちの最大値を表すと定義すれば、図6の最下段の到達波高予測値η(1),η(2),η(3),…は、
η(1)=Max(0,η1(1))
η(2)=Max(0,η1(2),η2(2))
η(3)=Max(0,η1(3),η2(3),η3(3))
として求められる。すなわち、波高データメモリ20に格納された各時刻tでのシミュレーションによる到達波高予測値の時間変化において、各時刻tごとの最大値をそれぞれ結んだ破線を到達波高予測値の時間変化とする。ここで、到達予測部12は、津波シミュレーション部15により算出された各時刻tでの津波7の到達波高に基づいて、当該各時刻tでの津波7の到達波高の最大値を算出し、当該算出された津波の到達波高の最大値を津波に対する到達波高として予測する。
以上のように構成された津波監視システム1の動作について以下に説明する。
図8Aは、図1の津波監視システム1により実行される津波波高分布並びに津波到達時刻及び到達波高の予測処理を示すフローチャートである。図8AのステップS101において、時刻t(ここで、0<自然数t≦T)にt0を代入する。ここで、時刻tは、シミュレーションを実行する時刻を示す。ステップS102において、波高推定部11が、電波照射領域14内の津波7の波高ηを推定する津波波高推定処理(後述する図8B参照)を実行する。ステップS103において、津波シミュレーション部15が、推定された電波照射領域14内の津波7の波高ηのデータと静水深hの分布データと地形データとに基づき、津波シミュレーション領域16での津波7の波高分布をシミュレーションし、当該シミュレーションされた津波7の波高分布データから各時刻tでの津波7の到達波高を算出して波高データメモリ20に出力する。ステップS104において、波高データメモリ20が、シミュレーションされた津波7の到達波高データを格納する。ステップS105において時刻tに計測サンプル時間Δtを加えて、次のステップS106に移動する。ステップS106において、時刻tが時刻T以上かどうかを判定し、時刻tが時刻T未満であれば、上述したステップS102からステップS106の処理を繰り返し、時刻tが時刻T以上であれば、到達予測部12が、波高データメモリ20に格納された各時刻tでの津波7の到達波高データに基づいて、所定の位置での津波7の到達時刻及び到達波高を予測する(ステップS107)。次に、ステップS108において、表示部13が、計測サンプル周期Δtごとの津波7の到達波高データ並びに予測された津波7の到達時刻及び到達波高のデータを表示し、当該処理は終了する。
図8Bは、図8AのフローチャートにおけるステップS102の波高推定処理を詳細に示すフローチャートである。ステップS201において、送受信部8が所定の周波数を有する送信信号を発生し、当該送信信号を海上に送信電波5として放射する。次に、送受信アンテナ2は、海面3上で強く後方散乱された受信電波6を受信信号として受信する(ステップS202)。送受信部8は、送受信アンテナ2から受信信号を受信する(ステップS203)。ステップS204では、信号処理部9が、送信信号と受信信号との周波数差の周波数を有するビート信号を生成し、当該生成されたビート信号を波高推定部11に出力する。ステップS205では、波高推定部11が、信号処理部9からビート信号を受信して、当該ビート信号に基づき、津波7の海面3の流速を算出する。ステップS206では、波高推定部11は、津波7の海面3の流速及び海4の静水深hの分布データに基づいて、津波7の波高ηを推定する。
図9は、図1の津波シミュレーション部15により予測される津波到達時刻及び到達波高の精度を示すグラフである。図9では、図1の津波シミュレーション部15により予測される到達波高のデータが予測値として破線で示され、事前に詳細なシミュレーションが実施され、その結果が真値として実線で示されている。ここで、真値は、津波の到達波高の実測値に相当する。さらに、図1の津波シミュレーション部15において、時刻0分でのシミュレーションを1回だけ実施して予測される到達波高の予測値の時間変化が黒丸印で示されている。図9に示すように、時刻0分での1回だけのシミュレーションでは、時間の経過に伴って真値とのずれが大きくなり、到達波高を十分な精度で予測できないことが理解される。すなわち、複数のシミュレーション結果を用いることで、到来する津波の波高の時間変化を十分な精度で予測することができる。
以上の実施の形態に係る津波監視システム1によれば、電波によって計測された海面の流速分布から津波の波高を直接的に予測することができるので、想定外の規模の津波を含めた全ての津波の到達時間と到達波高とを精度良く予測することができる。また、海岸での津波の反射など複雑な津波挙動も考慮することができるので、精度高く、津波の到達時間と到達波高とを予測することができる。
第2の実施の形態.
第1の実施の形態では、0メートル以上の到達波高を予測する場合について説明した。しかしながら、実際の津波では、引き潮の場合が存在し、波高ηが静水深hよりも小さい負の値(0メートル未満の値)となる場合が存在する。本実施の形態では、到達する波高ηが0メートル未満であっても到来する津波7の波高ηを十分な精度で予測することができる。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る津波監視システム1A及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図10の津波監視システム1Aは、図1の津波監視システム1と比較すると、演算部10の代わりに演算部10Aを備えたことを特徴とする。演算部10Aは、演算部10と比較すると、到達予測部12の代わりに到達予測部12Aを備えたことを特徴とする。
図10の到達予測部12Aは、各時刻tでの津波の到達波高のデータを入力し、その到達波高のデータに基づいて、津波7に対する到達時間や到達波高を予測し、当該予測された到達時間及び到達波高のデータを表示部13に出力する。すなわち、シミュレーション結果から、送受信アンテナ2の設置位置における水位の時間変化を算出することによって、津波7の到達時間と到達波高とを予測する。
図11は、図10の波高データメモリ20に格納される、各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示す表である。図11に示すように、各時刻tでのシミュレーションから算出された、任意の位置における津波の到達波高の時間変化は各時刻の配列として格納される。なお、図11における下3段の最大到達波高予測値、最小到達波高予測値、及び到達波高予測値は、到達予測部12Aにより算出された値である。
次に、到達予測部12Aの動作について以下に説明する。
図12は、図10の津波シミュレーション部15による、各時刻tに対する到達波高の変化をシミュレーションした結果を示すグラフである。図12では、到達波高が0メートル以上の場合と0メートル未満の場合とについて、各時刻tでのシミュレーションによる到達波高予測結果が実線で示され、さらに到達波高予測値の時間変化が破線で示されている。
ここで、Max(A,B,C)はA,B,Cのうちの最大値を表し、Min(A,B,C)はA,B,Cのうちの最小値を表すと定義すれば、図11の最大到達波高予測値および最小津波波高予測値は、
ηmax(1)=Max(0,η1(1))
ηmax(2)=Max(0,η1(2),η2(2))
ηmax(3)=Max(0,η1(3),η2(3),η3(3))
ηmin(1)=Min(0,η1(1))
ηmin(2)=Min(0,η1(2),η2(2))
ηmin(3)=Min(0,η1(3),η2(3),η3(3))
としてそれぞれ算出される。
到達予測部12Aは、始めに最大到達波高予測値ηmax(1),ηmax(2),ηmax(3),…及び最小到達波高予測値ηmin(1),ηmin(2),ηmin(3),…を求め、これらの結果を用いて、最下段の到達波高予測値η(1),η(2),η(3),…を求める。すなわち、波高データメモリ20に格納された各時刻tでのシミュレーションによる到達波高予測結果において、到達波高が0メートル以上の場合には各時刻tごとの最大値をそれぞれ結んだ破線を到達波高予測値の時間変化とし、到達波高が0メートル未満の場合には、各時刻tごとの最小値をそれぞれ結んだ破線を到達波高予測値の時間変化とする。ここで、到達予測部12Aは、予測された各時刻tでの津波の到達波高の最大値及び最小値を算出し、当該算出された最大値及び最小値を加算し、当該加算された値を津波に対する到達波高として予測する。
図13(a)〜(c)は、図10の到達予測部12Aの動作を説明するためのグラフである。図13(a)では、到達波高0メートル以上の最大到達波高予測値ηmaxの時間変化が破線で示され、図13(b)では、到達波高0メートル未満の最小到達波高予測値ηminの時間変化が破線で示され、図13(c)では、到達波高予測値ηが実線で示されている。ここで、到達波高予測値ηは、最大到達波高予測値ηmaxと最小到達波高予測値ηminとを加算することにより算出される。すなわち、図11の到達波高予測値η(1),η(2),η(3),…は、
η(1)=ηmax(1)+ηmin(1)
η(2)=ηmax(2)+ηmin(2)
η(3)=ηmax(3)+ηmin(3)
としてそれぞれ算出される。
以上の実施の形態に係る津波監視システム1Aによれば、第1の実施の形態に係る津波監視システム1と比較すると、0メートル未満の到達波高も予測することができるので、さらに広い範囲における津波の到達時間と到達波高とを精度良く予測することができる。
第3の実施の形態.
上述した実施の形態では、図4の電波照射領域14内の領域40において波高推定部11によって推定された波高分布をシミュレーションのための初期条件としたが、本実施の形態では、各時刻tでのシミュレーション結果を各時刻(t+Δt)でのシミュレーションの初期条件として用いることを特徴とする。すなわち、波高推定部11により波高ηを推定することができる電波照射領域14外の波高ηのデータとしてシミュレーションして算出されたデータを用いる。
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る津波監視システム1B及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図14の津波監視システム1Bは、図1の津波監視システム1と比較すると、演算部10の代わりに演算部10Bを備えたことを特徴とする。演算部10Bは、演算部10と比較すると、津波シミュレーション部15の代わりに津波シミュレーション部15Aを備えたことを特徴とする。
図14の津波シミュレーション部15Aは、図1の津波シミュレーション部15と比較すると、時刻tでのシミュレーション結果を時刻(t+Δt)での津波7の挙動のシミュレーションを実行するための初期条件として用いることが相違する。詳細には、シミュレーションを開始する時刻t0でのシミュレーションは、後述する図16の斜線で図示された領域40において波高推定部11において推定された波高ηの分布を有する津波7が発生するように設定される。次に、時刻(t0+Δt)においてシミュレーションを開始するときは、波高推定部11により推定された電波照射領域14内の津波7の波高ηのデータを初期条件として用い、さらに時刻t0においてシミュレーションされて算出された電波照射領域14外の各領域での波高ηのデータをも初期条件として用いる。なお、時刻(t0+2Δt)以降のシミュレーションにおいても同様である。すなわち、津波シミュレーション部15Aは、波高推定部11により推定された津波の波高及び算出された各時刻tでの津波7の波高ηに基づいて、計測サンプル周期Δtごとの津波の挙動のシミュレーションを実行する。
次に、津波シミュレーション部15Aの動作について以下に詳細に説明する。
図15は、図14の津波シミュレーション部15Aが伝播する津波7の挙動をシミュレーションする領域を説明するための平面図である。図15において、津波シミュレーション領域16が設けられ、シミュレーション用の計算格子が形成される。津波シミュレーション領域16の大きさや形状は、どのような大きさや形状であってもよいが、一般的には電波照射領域14と同等かもしくはそれ以上の大きさが用いられる。また、形成される計算格子の座標系はどのような座標系であってもよいが、一般的には直交座標系または円筒座標系が用いられる。さらに、計算格子により形成された評価領域21の寸法も、どのような大きさや形状であってもよいが、大きすぎるとシミュレーションの精度が悪化するので、一般的には数キロメートル角以下とする。
先ず、時間経過に伴って伝播する津波7の波高ηをシミュレーションするための初期条件として、図15の津波シミュレーション領域16内の領域40において波高推定部11によって推定された波高分布データと、時刻t0でのシミュレーション結果の津波シミュレーション領域16の波高分布データを用いる。
以上のように構成された津波監視システム1Bの動作について以下に説明する。
図16は、図14の津波監視システム1Bにより実行される津波波高分布並びに津波到達時刻及び到達波高の予測処理を示すフローチャートである。図16のステップS301において、時刻t(ここで、0<自然数t≦T)にt0を代入する。ここで、時刻tは、シミュレーションを実行する時刻を示す。ステップS102において、波高推定部11が、電波照射領域14内の津波7の波高ηを推定する津波波高推定処理(図8B参照)を実行する。ステップS302において、津波シミュレーション部15Aが、推定された津波7の波高ηのデータと静水深hの分布データと地形データとに基づき、津波シミュレーション領域16での津波7の波高分布をシミュレーションし、シミュレーションされた津波7の波高分布データを波高データメモリ20に出力する。ステップS303において、波高データメモリ20が、シミュレーションされた津波7の波高分布データを格納する。ステップS102において、波高推定部11が、電波照射領域14内の津波7の波高ηを推定する津波波高推定処理を実行する。
ステップS304において、津波シミュレーション部15Aが、時刻tでシミュレーションされた津波7の波高分布データと推定された津波7の波高ηのデータと静水深hの分布データと地形データとに基づき、所定の位置での津波7の到達波高分布をシミュレーションし、シミュレーションされた津波7の波高分布データから各時刻tでの津波7の到達波高を算出して波高データメモリ20に出力する。ここで、時刻t=t0+Δtでのシミュレーション処理について説明する。この場合、すでに時刻t=t0でのシミュレーションは実施済みであり、波高データメモリ20には、電波照射領域14外を含めた津波シミュレーション領域16の全領域の津波7の波高分布データが格納されている。また、波高データメモリ20には、図16のステップS102において波高推定部11によって推定された電波照射領域14内の時刻t=t0+Δtでの波高分布データが格納されている。従って、時刻(t0+Δt)においてシミュレーションを開始するときには、t=t0+Δtでの電波照射領域14内の津波7の波高ηの分布データと、時刻t0でのシミュレーション結果の津波シミュレーション領域16の波高分布データとを初期条件として用いる。
ステップS305において、波高データメモリ20が、シミュレーションされた津波7の到達波高データを格納する。ステップS306において時刻tに計測サンプル時間Δtを加えて、次のステップS307に移動する。ステップS307において、時刻tが時刻T以上かどうかを判定し、時刻tが時刻T未満であれば、上述したステップS102からステップS307の処理を繰り返し、時刻tが時刻T以上であれば、到達予測部12が、波高データメモリ20に格納された各時刻tでの津波7の到達波高データに基づいて、所定の位置での津波7の到達時刻及び到達波高を予測する(ステップS308)。次に、ステップS309において、表示部13が、計測サンプル周期Δtごとの津波7の到達波高データ並びに予測された津波7の到達時刻及び到達波高のデータを表示し、当該処理は終了する。
以上の実施の形態に係る津波監視システム1Bによれば、第1及び第2の実施の形態と比較すると、電波照射領域14外の波高分布も考慮してシミュレーションすることが可能となるので、どのような規模の津波に対しても、より精度高く、津波の到達時間と到達波高とを予測することができる。
なお、時間経過に伴って伝播する津波7をシミュレーションするための初期条件として、前述では推定された波高ηのデータのみとする例について説明したが、さらに計測された流速分布データも用いてもよい。このようにすることで、より精度が高いシミュレーションが可能となる。その場合、波高データメモリ20に各時刻での流速分布を格納できる機能を設ける。
また、津波シミュレーション部15Aでは、推定された波高分布に基づいて、常にシミュレーションを実施してもよいが、推定された波高が津波と判断される波高の場合に限り、当該シミュレーションを実施するようにしてもよい。ここで、例えば推定された波高や計測された流速の大きさなどが所定のしきい値を超えるときに津波と判断される。なお、しきい値は、津波監視システム1Aが設置される海域において、風や潮流によって発生する波の高さや流速分布の計測誤差を考慮して予め決定する。
第4の実施の形態.
第1の実施の形態に係る津波監視システム1は、電波によって計測された海面3の流速分布のみから津波7の波高ηを推定する場合について説明した。この場合には、図3の領域において送受信アンテナ2から遠方に向かうにつれて波高推定誤差が蓄積されることとなる。これに対して、本実施の形態の津波監視システム1Bは、波高ηを計測する水位計測部30をさらに備え、当該水位計測部30が配置された位置において推定された波高ηのデータを校正することを特徴とする。
図17は、本発明の第4の実施の形態に係る津波監視システム1C及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図17の津波監視システム1Cは、図1の津波監視システム1に比較して、演算部10の代わりに演算部10Cを備え、電波照射領域14内の任意の位置に配置された水位計測部30をさらに備えたことを特徴とする。また、演算部10Cは、図1の演算部10に比較して、波高推定部11の代わりに波高推定部11Aを備えたことを特徴とする。
図17において、水位計測部30は、水位計測部30が設置された位置での海4の各時刻における波高ηを計測し、当該波高ηのデータを波高推定部11Aに出力する。波高推定部11Aは、信号処理部9からビート信号を受信して、当該ビート信号に基づき、津波7の海面3の流速を算出し、当該流速データ、水深分布データメモリ17に格納された海4の静水深hの分布データ及び当該水位計測部30からの波高ηのデータに基づいて、津波7の波高ηを推定し、推定された波高ηのデータを表示部13及び津波シミュレーション部15に出力する。
以上のように構成された津波監視システム1Cの波高推定部11Aの動作について以下に説明する。
波高推定部11Aは、第1の実施の形態に係る波高推定部11と同様の動作をし、第1の実施の形態に係る波高推定部11と比較すると、水位計測部30が配置された位置での波高ηのデータに基づいて、当該水位計測部30が配置された位置において推定された波高ηのデータを校正することが異なる。この構成とすることにより、送受信アンテナ2近傍の津波の波高が急激に変化した場合でも、水位計測部30により当該水位計測部30が配置された位置での波高ηのデータを校正することができる。例えば、式(6)においては、Iを1〜II−1まで順に増加させれば全領域の波高ηの分布を算出することができるが、I=1すなわち送受信アンテナ2の位置での波高ηが正確にわかり、その値を境界条件とすれば、より精度よく波高ηの分布を求めることができる。
以上の実施の形態に係る津波監視システム1Bによれば、第1の実施の形態に係る津波監視システム1と比較すると、さらに津波の波高を精度良く推定することが可能となる。また、送受信アンテナ2近傍の津波の波高が急激に変化した場合でも、水位計測部30により当該水位計測部30が配置された位置での波高ηのデータを校正することができる。
なお、ここでは、第1の実施の形態に水位計測部30を備えた例について説明したが、第2の実施の形態や第3の実施の形態に水位計測部30を備えた場合についても同様の効果を得ることが可能である。
また、上述した実施の形態において、水位計測部30は、ブイのように海4の上に浮かぶ方式の他、海底に配置された圧力センサによって波高を計測する方式やスポット的に電波を照射するものなど、リアルタイムで海4の局所的な波高を計測することができれば、どのような手段を用いてもよい。当然ながら水位計測部30は電波照射領域14において1箇所でなく複数個所配置してもよい。複数個所配置することで、1箇所の場合より精度良く波高分布を予測することができる。
第5の実施の形態.
第1の実施の形態に係る津波監視システム1は、電波によって計測された海面3の流速分布のみから津波7の波高ηを推定する場合について説明した。また、第4の実施の形態に係る津波監視システム1Cは、波高ηを計測する水位計測部30を備え、当該水位計測部30が配置された位置において推定された波高ηのデータを校正する場合について説明した。これらの場合においては、シミュレーション時には図4の津波シミュレーション領域16の電波照射領域14外では初期条件として波高0メートルと設定した。しかしながら実際には、海4には日ごとや季節ごとの潮の満ち引きなど、津波7以外の水位変化があるため、その水位変化が到達波高や到達時刻の予測誤差に繋がる。これに対して、本実施の形態の津波監視システム1Dでは、波高ηを計測する水位計測部30Aを備え、当該水位計測部30Aが配置された位置において推定された波高ηのデータを校正すること、さらに図4の津波シミュレーション領域16における電波照射領域14外の領域はシミュレーションの初期条件として水位計測部30Aにて計測された水位を設定することを特徴とする。
図18は、本発明の第5の実施の形態に係る津波監視システム1D及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図18の津波監視システム1Dは、図1の津波監視システム1に比較して、演算部10の代わりに演算部10Dを備え、電波照射領域14内の任意の位置に配置された水位計測部30Aをさらに備えたことを特徴とする。また、図18の演算部10Dは、図17の演算部10に比較して、津波シミュレーション部15の代わりに津波シミュレーション部15Bを備えたことを特徴とする。
図18において、水位計測部30Aは、水位計測部30Aが設置された位置での海4の各時刻tにおける波高ηを計測し、当該波高ηのデータを波高推定部11Aに出力する。また、水位計測部30Aは、津波シミュレーション部15Bに現在の水位の値を出力する。
波高推定部11Aは、信号処理部9からビート信号を受信して、当該ビート信号に基づき、津波7の海面3の流速を算出し、当該流速データ、水深分布データメモリ17に格納された海4の静水深hの分布データ及び当該水位計測部30Aからの波高ηのデータに基づいて、津波7の波高ηを推定し、推定された波高ηのデータを表示部13及び津波シミュレーション部15Bに出力する。
以上のように構成された津波監視システム1Dの波高推定部11Aの動作について以下に説明する。
波高推定部11Aは、第1の実施の形態に係る波高推定部11と同様の動作をし、第1の実施の形態に係る波高推定部11と比較すると、水位計測部30Aが配置された位置での波高ηのデータに基づいて、当該水位計測部30Aが配置された位置において推定された波高ηのデータを校正することが異なる。
また、水位計測部30Aが配置された位置での波高ηのデータに基づいて、津波シミュレーション部15Bが図4の津波シミュレーション領域16における電波照射領域14外の領域にシミュレーションの初期条件として水位計測部30Aにて計測された水位を設定することが異なる。なお、水位計測部30Aでの水位は津波到来によって変化する。そのため、ここで使用する水位は現在の時刻での水位ではなく、津波7が到来する前、例えば2時間前の水位、または現在の時刻から津波7が到来する前、例えば2時間前までの時間平均水位を用いる。
以上の実施の形態に係る津波監視システム1Dによれば、第1の実施の形態に係る津波監視システム1と同様の効果を得ることができる。また、第4の実施の形態に係る津波監視システム1Cと同様に送受信アンテナ2近傍の津波の波高が急激に変化した場合でも、水位計測部30Aにより当該水位計測部30Aが配置された位置での波高ηのデータを校正することができる。
また、津波シミュレーション部15Bは、図4の津波シミュレーション領域16における電波照射領域14外の領域はシミュレーションの初期条件として水位計測部30Aにて計測された水位を設定する。次に津波シミュレーション部15Bでシミュレーションを行うことで、潮の満ち引きを考慮した津波7の到達波高および到達時刻を予測することができる。そのため、第1の実施の形態に係る津波監視システム1及び第4の実施の形態に係る津波監視システム1Bと比較すると、さらに津波の波高を精度良く推定することが可能となる。
なお、本実施の形態では、第1の実施の形態に水位計測部30Aをさらに備えた場合について説明したが、第2の実施の形態や第3の実施の形態に水位計測部30Aをさらにそれぞれ備えた場合についても同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施の形態において、水位計測部30は、ブイのように海4の上に浮かぶ方式の他、海底に配置された圧力センサによって波高を計測する方式やスポット的に電波を照射するものなど、リアルタイムで海4の局所的な波高を計測することができれば、どのような手段を用いてもよい。当然ながら水位計測部30は電波照射領域14において1箇所でなく複数個所配置してもよい。複数個所配置する場合には、潮の満ち引きによる水位変化はその平均値とするのが一般的である。複数個所配置することで、1箇所の場合より精度良く波高分布を予測することができる。
第6の実施の形態.
上述した実施の形態では、電波照射領域14内で観測された津波7の波高ηに基づいて、津波ηの到達時刻及び到達波高を予測した。従って、当該予測された津波ηの到達時刻及び到達波高の精度は電波照射領域14の寸法に依存する。これに対して、本実施の形態では、電波照射領域14の外側に位置する津波波源領域49(後述する図20及び図21参照)で発生する津波7の波高η(複数の単位波源領域50での初期波高を含む初期波高分布)を算出し、当該算出された津波7の波高ηを津波シミュレーションの初期条件として利用することを特徴とする。従って、電波照射領域14の寸法に依存せずにかつより高精度で津波ηの到達時刻及び到達波高を予測することが可能となる。
図19は、本発明の第6の実施の形態に係る津波監視システム1E及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図19の津波監視システム1Eは、図1の津波監視システム1と比較すると、演算部10の代わりに演算部10Eを備えたことを特徴とする。また、図19の演算部10Eは、図1の演算部10と比較して、波高推定部11の代わりに波高推定部11Bを備え、津波シミュレーション部15の代わりに津波シミュレーション部15Cを備え、流速データメモリ60及び津波波源領域波高算出部61をさらに備えたことを特徴とする。
図19の波高推定部11Bは、図1の波高推定部11と比較すると、推定された波高ηのデータを津波シミュレーション部15に出力する代わりに、算出された津波7の海面3の流速データを流速データメモリ60に格納することが相違する。
津波波源領域波高算出部61は、流速データメモリ60に格納される流速データ及び応答関数メモリ61に格納される応答関数に基づいて、津波波源領域49(後述する図20及び図21参照)の波高ηを算出し、当該算出された波高ηのデータを津波シミュレーション部15Cに出力する。
図19の津波シミュレーション部15Cは、図1の津波シミュレーション部15と比較すると、波高推定部11からの津波7の波高ηのデータを初期条件として入力する代わりに、津波波源領域波高算出部61からの津波波源領域49(後述する図20及び図21参照)の波高ηのデータを初期条件として入力することが相違する。すなわち、時間経過に伴って伝播する津波7の波高ηをシミュレーションするための初期条件として、津波波源領域49(後述する図20及び図21参照)における津波波源領域波高算出部61によって算出された波高分布を設定してシミュレーションを実施する。
図20は、図19の津波シミュレーション部15Cが伝播する津波7の挙動をシミュレーションするシミュレーション領域16を説明するための平面図である。図20において、送受信アンテナ2からの送信電波5は送受信アンテナ2を中心とする扇形の電波照射領域14に照射される。ここで、送受信アンテナ2を設置した場所を原点(0,0)として、原点(0,0)からの半径r及びz軸を中心とした時計回りの回転角θを用いて、電波照射領域14を距離幅Δr及び角度幅Δθの幅で番号I=1〜II、J=1〜JJの区分領域48に区分する。ここで、時刻t及び区分領域48での波高推定部11Bにより算出された津波7の海面3の半径r方向の流速Urj(t)は一定の計測サンプル時間Δtでの平均値として計測される。この計測サンプル時間Δtは津波監視システム1Eの処理時間や電波照射領域14の大きさによって異なるが、一般に数十秒から数分の範囲とされる。また、計測条件によって異なるが、電波照射領域14の半径rの最大値は数十〜百キロメートルとされ、距離幅Δrは数キロメートル以下、角度幅Δθは25度以下とされるのが一般的である。また、図20では簡単のため、距離幅Δrと角度幅Δθを一定としたが、電波照射領域14の位置に応じてそれぞれに大きさを変化させてもよい。
流速データメモリ60は、電波照射領域14内の区分領域48において計測される実際の津波の半径r方向の流速Urj(t)を時系列で蓄積(格納)する。この蓄積時間は任意であるが、津波7の第一波が送受信アンテナ2に到達するまでにかかる時間かもしくは津波7の第一波が送受信アンテナ2に到達して反射するまでの一周期程度の時間に設定してもよい。また、時系列の間隔は計測サンプル周期Δtに設定してもよい。
次に、上述した応答関数の算出方法について以下に説明する。なお、応答関数は、事前に複数回の津波シミュレーションを行うことによって算出される。
図20の津波波源領域49は、津波シミュレーション領域16において、海底の断層が上下にずれることで海面3が上下して津波7が発生する領域を含むように設定される。従って、津波シミュレーション領域16は予め津波7が発生すると予測される領域よりも広く設定される。さらに、津波波源領域49は津波シミュレーション領域16内であれば、どこに設定してもよいし、複数の箇所に設定してもよい。
同図に示すように、津波波源領域49は自然数m個の単位波源領域50(i=1,2,3,4,…,m)に区分される。すなわち、津波波源領域49は(複数行×複数列)のマトリックス状に区分された単位波源領域50から構成される。ここで、津波波源領域波高算出部61により各単位波源領域50の波高(初期波高)ηが算出され、当該算出された初期波高を含む初期波高分布が算出される。なお、本実施の形態では、津波波源領域49は(2行×12列)の24個(m=24)の単位波源領域50(i=1,2,3,4,…,24)から構成される。また、単位波源領域50の寸法は任意であるが、あまり大きすぎると初期波高分布が詳細に表現できず、逆に小さすぎると計算の負荷が増大する。従って、単位波源領域50は1キロメートル〜数十キロメートル角程度の領域とするのがよい。また、波高ηは各単位波源領域50でのそれぞれの波高を示す。
先ず、単位波源領域50のみに波高η=1メートルの単位波高を与え、津波シミュレーションを実施し、区分領域48における流速Urj(t)の時間変化を応答関数メモリ61mに格納する。次に、単位波源領域50から単位波源領域50に対して順番に1メートルの単位波高をそれぞれ与え(波高η〜波高η=1メートル)、各区分領域48における流速Urj(t)の時間変化を応答関数メモリ61mにそれぞれ格納する。このように、応答関数は複数回の津波シミュレーションを実施することによって算出される。
次に、津波波源領域波高算出部61の動作(非特許文献3参照)について以下に説明する。
静水深hが十分に深いと仮定すれば、上述した式(1)〜式(3)の津波の基礎方程式は線形化することができ、津波波源領域49で発生する津波7は、次式のように単位波源領域50で発生する津波7の線形和で表せる、という重ね合わせの原理が成立する。
Figure 2016085206
ここで、A(t)〜A(t)は係数であり、tは時間であり、η(t)は津波波源領域49で発生する津波7の波高である。
次に、単位波源領域50に対する半径r方向の流速Urj(t)の応答関数Gij(t)は次式で表すことができる。
Figure 2016085206
さらに、(10)式は次式に書き直される。
Figure 2016085206
式(10)に対して最小2乗法を適用し、電波照射領域14内の区分領域48において計測される実際の津波の半径r方向の流速Urj(t)と応答関数Gij(t)を用いて、残差の二乗和Eは次式で表すことができる。
Figure 2016085206
残差の二乗和Eが最小となるように、単位波源領域50(i=1,2,3,4,…,m)の波高ηを求めれば、津波波源領域49内の初期波高分布を予測できる。
次に、津波シミュレーション部15Cの動作について説明する。
津波シミュレーション部15Cは、図1の津波シミュレーション部15と比較すると、図20の津波シミュレーション領域16において、津波波源領域波高算出部61で算出された単位波源領域50の波高ηのデータを初期条件として津波シミュレーションを行うことが相違する。
図21は、図20の津波シミュレーション領域16の詳細を説明するための平面図である。図21において、1本の送受信アンテナ2が陸18に設置される。ここで、時間経過に伴って伝播する津波7の挙動をシミュレーションするための初期条件として、津波波源領域49において初期波高5メートルの津波7が発生するように設定した。さらに、津波シミュレーション領域16は125キロメートル×125キロメートル四方の領域に設定され、電波照射領域14は半径30キロメートルの領域に設定され、津波波源領域49は50キロメートル×25キロメートル四方の領域に設定される。
図22は、図19の津波シミュレーション部15Cにより予測される津波7の到達時刻及び到達波高の精度を示すグラフである。図22では、図19の津波シミュレーション部15Cにより予測される到達波高データが予測値として白丸で示され、事前に詳細なシミュレーションが実施され、その結果が津波の到達波高の実測値に相当する真値として実線で示される。ここで、図19の津波シミュレーション部15Cにおいて、津波7が発生してから19分後でのシミュレーションを1回だけ実施して予測される到達波高の予測値の時間変化が白丸で示される。図22に示すように、1回のシミュレーションでも時間の経過に伴って真値とのずれはほとんど観測されず、到達波高を十分な精度で予測できることが理解される。従って、本実施の形態によれば、第1の実施の形態と比較すると、到達波高をさらに長時間に亘って高精度で予測できる。さらに、複数回数の津波シミュレーションに基づいて津波7の到達時刻及び到達波高を予測する第1の実施の形態に係る津波監視システム1と比較すると、1回の津波シミュレーションにより津波7の発生時から津波7の収束時までの長時間にわたって津波7の到達時刻及び到達波高を予測することができる。
以上の実施の形態に係る津波監視システム1Eによれば、第1の実施の形態に係る津波監視システム1と比較すると、津波シミュレーションの初期条件として津波波源領域49での津波の初期波高データを用いるので、津波7の到達時刻及び到達波高をさらに長時間に亘って精度良く予測することが可能となる。さらに、津波監視システム1Eによれば、第1の実施の形態に係る津波監視システム1と比較すると、1回の津波シミュレーションを実施するだけで津波7の発生時から津波7の収束時までの長時間にわたって津波7の到達時刻及び到達波高を予測することができる。
第7の実施の形態.
上述した第6の実施の形態では、電波照射領域14の津波7の流速データに基づいて津波波源領域49の津波7の波高ηを算出した。これに対して、本実施の形態では、電波照射領域14の津波7の波高データに基づいて津波波源領域49の津波7の波高ηを算出することを特徴とする。
図23は、本発明の第7の実施の形態に係る津波監視システム1F及びその周辺の構成要素を示すブロック図である。図23の津波監視システム1Fは、図19の津波監視システム1Eと比較すると、演算部10Eの代わりに演算部10Fを備えたことを特徴とする。図23の演算部10Fは、図19の演算部10Eと比較すると、波高推定部11Bの代わりに波高推定部11Cを備え、流速データメモリ60の代わりに波高データメモリ70を備え、津波波源領域波高算出部61の代わりに津波波源領域波高算出部61Aを備え、応答関数メモリ61mの代わりに応答関数メモリ61Amを備えたことを特徴とする。
波高推定部11Cは、図1の波高推定部11と比較すると、算出された津波7の波高データを波高データメモリ70に格納することが相違する。
津波波源領域波高算出部61Aは、波高データメモリ70に格納される波高データ及び応答関数メモリ61Amに格納される応答関数に基づいて、津波波源領域49の波高ηを算出し、当該算出された波高ηのデータを津波シミュレーション部15Cに出力する。
図23の応答関数メモリ61Amに格納される応答関数は、図19の応答関数メモリ61mに格納される応答関数と比較すると、電波照射領域14内の津波7の流速データに基づいて津波波源領域49での津波7の初期波高を算出するための応答関数の代わりに、電波照射領域14内の津波7の波高データに基づいて津波波源領域49での津波7の初期波高を算出するための応答関数であることが相違する。なお、本実施の形態に係る応答関数の算出方法は、上述した第6の実施の形態に係る応答関数の算出方法と同様である。
以上の実施形態に係る津波監視システム1Fによれば、上述した第6の実施の形態と同様の動作及び作用効果を得ることができる。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F 津波監視システム、2 送受信アンテナ、3 海面、4 海、5 送信電波、6 受信電波、7 津波、8 送受信部、9 信号処理部、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F 演算部、11,11A,11B,11C 波高推定部、12,12A,12B 到達予測部、13,13A 表示部、14 電波照射領域、15,15A,15B,15C 津波シミュレーション部、16 津波シミュレーション領域、18 陸、20 波高データメモリ、21 評価領域、22 海底、17,17A 水深分布データメモリ、12,12A 到達予測部、19,19A 地形データメモリ、30,30A 水位計測部、40 領域、41 外領域、48 区分領域、49 津波波源領域、50 単位波源領域、60 流速データメモリ、61,61A 津波波源領域波高算出部、61m,61Am 応答関数メモリ。

Claims (9)

  1. 津波を検出するための送信信号を電波として海面に向かって放射する送信アンテナと、上記津波に反射された反射波を受信信号として受信する受信アンテナとを備えた津波監視システムにおいて、
    所定の周波数を有する上記送信信号を発生する信号発生手段と、
    上記送信信号と上記受信信号との周波数差の周波数を有するビート信号を生成する信号処理部と、
    上記電波照射領域を複数の領域に分割し、各領域ごとに、上記ビート信号に基づいて、上記津波の海面の流速を算出する波高推定部と、
    上記算出された上記津波の海面の流速に基づいて、津波の挙動のシミュレーションを計測サンプル周期ごとに実行して各時刻での津波の波高を算出し、上記算出された各時刻での津波の波高に基づいて、各時刻での津波の到達波高を算出する津波シミュレーション部と、
    上記算出された各時刻での津波の到達波高に基づいて、上記津波に対する到達時間及び到達波高を予測する到達予測部とを備えたことを特徴とする津波監視システム。
  2. 上記波高推定部は、上記算出された上記津波の海面の流速に基づいて、上記津波の各領域ごとの波高を推定し、
    上記津波シミュレーション部は、上記推定された上記津波の各領域ごとの波高に基づいて、津波の挙動のシミュレーションを計測サンプル周期ごとに実行して各時刻での津波の波高を算出することを特徴とする請求項1記載の津波監視システム。
  3. 上記算出された流速に基づいて、上記津波が発生する領域である津波波源領域の波高を算出する津波波源領域波高算出部をさらに備え、
    上記津波シミュレーション部は、上記算出された津波波源領域の波高に基づいて、津波の挙動のシミュレーションを計測サンプル周期ごとに実行して各時刻での津波の波高を算出することを特徴とする請求項1記載の津波監視システム。
  4. 上記波高推定部は、上記算出された上記津波の海面の流速に基づいて、上記津波の各領域ごとの波高を推定し、
    上記算出された上記津波の各領域ごとの波高に基づいて、上記津波が発生する領域である津波波源領域の波高を算出する津波波源領域波高算出部をさらに備え、
    上記津波シミュレーション部は、上記算出された津波波源領域の波高に基づいて、津波の挙動のシミュレーションを計測サンプル周期ごとに実行して各時刻での津波の波高を算出することを特徴とする請求項1記載の津波監視システム。
  5. 上記津波シミュレーション部は、上記推定された津波の波高及び上記算出された各時刻での津波の波高に基づいて、上記計測サンプル周期ごとの津波の挙動のシミュレーションを実行することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の津波監視システム。
  6. 上記到達予測部は、上記算出された各時刻での津波の到達波高に基づいて、当該各時刻での津波の到達波高の最大値を算出し、当該算出された津波の到達波高の最大値を、各時刻での上記津波に対する到達波高として予測することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の津波監視システム。
  7. 上記到達予測部は、上記算出された各時刻での津波の到達波高に基づいて、当該各時刻での津波の到達波高の最大値及び最小値を算出し、当該算出された最大値及び最小値を加算し、当該加算された値を上記津波に対する到達波高として予測することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の津波監視システム。
  8. 上記算出された各時刻での津波の到達波高を格納する記憶部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の津波監視システム。
  9. 上記津波の波高を計測するための1つ以上の水位計測部をさらに備え、
    上記波高推定部は、上記水位計測部により計測される上記津波の波高のデータに基づいて、上記津波の波高を推定することを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載の津波監視システム。
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