JP5237710B2 - 橋梁床版の撤去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、老朽化等により修繕が必要となった高架道路や橋梁等のコンクリート製床版及びジョイントを撤去する方法に関する。
交通荷重により損傷したり、老朽化した橋梁のコンクリート床版及びジョイントを補修・交換するため補修部分を解体撤去する必要がある。また、橋梁の設計基準の変更で設計荷重が引き上げられ、古い基準の床版を撤去して新基準に合わせて打ち替えする必要が生じてきた。
ブレーカ等で床版を破砕撤去するのは騒音・振動が大きく環境問題となったり、また、破砕片が落下しないように防護工事が必要なので効率が悪く、施工期間が長引きコストがかかった。
カッターで床版を切断し、クレーン等で引き上げる方法の場合、床版と桁の連結状態が強固なため、桁上の床版を残して床版を撤去し、残った桁上の床版を破砕して撤去するため安全柵等の防護工事が必要となり効率が悪かった。
そこで、撤去すべき部分の床版を適宜の大きさに切断し、ジャッキと持ち上げ用梁からなる撤去装置を利用し、床版にカッターで切断線を形成して画定した撤去領域を上方に持ち上げて床版と桁との結合を破壊解除する方法が特許文献1(特公平7−26369号公報)、及び、特許文献2(特公平7−26371号公報)で提案されている。
これらの工法は、図4に示すように、コンクリート床版にカッターで切断線を形成してブロックに分割し、ブロックを跨ぐ剥離架台を設置し、この剥離架台に設けたセンターホールジャッキでブロックを引き上げて、桁から床版を引き剥がしたり、図5に示すように、剥離架台をブロックを跨いで架け渡し、剥離架台とブロックを鋼棒で連結し、剥離架台の両端に配置したジャッキで剥離架台を持ち上げ、ブロックを桁から引き剥がすものである。
また、撤去に使用する撤去梁などを小型分割化した方法として特許文献3(特開2001−226914号公報)が提案されている。
特公平7−26369号公報 特公平7−26371号公報 特開2001−226914号公報
コンクリート製の床版は、ジベル等で桁に一体化されており、適宜の大きさに切断分割しても、床版を引き剥がすには大きな力を必要とする。大きな力が床版を持ち上げるジャッキに反力として作用すると、経年変化で劣化した床版が変形したり、床版が抜けるという事故が起きることがある。
本発明は、劣化した床版であっても床版が抜けたりすることがなく、確実にジャッキの反力が取れるようにすると共に、桁と床版の合成度を弱めることによって床版の撤去が容易におこなえるようにするものである。
主桁の上部においてジャッキを設置する領域を床版から縁切りし、平行する主桁上の床版に桁に達する切断線を形成すると共に主桁にほぼ直角に切断線を形成して床版の切断撤去領域を画定し、ジャッキと架台からなる撤去装置のジャッキを床版から縁切りした領域に設置し、ジャッキを作動させて切断線で画定した領域の床版を持ち上げて床版と桁との結合を解除することによって床版を簡易に撤去できるようにしたものである。
ジャッキが主桁の直上に設置してあり、床版を剥離する際のジャッキの反力が主桁に負担されるので、床版が抜け落ちるというようなことは排除することができると共に、主桁の上において床版に切断線を形成して床版と主桁の部分が他の床版部分と縁が切ってあることから、床版を桁から確実に剥離することができ、床版を確実かつ容易に撤去することができる。
実施例1
図1及び図2に示すように、切断領域の主桁2の上の床版1にφ110mm〜φ200mmのホールソーで主桁2に達する円形切断線20を形成し、この円形切断線20の内側領域を床版1から縁を切った状態とする。この円形切断線20の直径は床版1の撤去に使用するジャッキ3の大きさに応じて選定するもので、円形切断線20内の領域にジャッキ3が納まるようにし、床版1を持ち上げる際にジャッキ3が床版1に干渉しないようにするものである。
図1の断面図及び図2の平面図に示すように、撤去する床版1の領域を画定するため、主桁2に沿って1点鎖線で示す切断線C1、C2を形成する。これらの切断線は主桁2に達する深さであり、床版1と主桁2の結合度を弱めることになる。次に横桁(図示しない)の上に切断線C1、C2に直角に切断線C3、C4を形成する。切断線C3、C4も横桁に達する深さであり、C1、C2、C3及びC4の切断線で、床版1に撤去領域が画定される。
なお、切断線C3、C4は横桁の上部に形成せずに任意の位置に形成してもよく、その場合は、切断線の形成の際の冷却水が床版1の底面から落下しないように、床版1の底面に切断線に沿って厚さ5cmの平板発泡スチロールを変成シリコーンで接着し、円形のカッターを高速回転させてコンクリート構造物を切断する。コンクリートカッター刃が床版1の底面から突出するが、発泡スチロールに切れ目が形成されるだけであり、冷却水が外部に流出することはない。
円形切断線20、または、主桁2の対向する位置に設けた円形切断線20、20の中間部の床版1にφ50mmの穴22を形成し、穴22の深さを計測して床版1の厚さを計測し、コンクリートカッターの切断深さを調節してコンクリートカッターが桁2に衝突して損傷することがないようにして主桁2に沿って床版1をカッターで切断して切断線を形成する。
次に、形成した穴22にネジ付き鋼棒42を挿入し、床版1の底面にナットで固定する。
ついで、円形切断線20の内側にジャッキ3をセットし、ジャッキ3の間に、軸方向にスリット41が形成されている剥離架台4を架け渡して固定し、スリット41に既に床版1に固定してあるネジ付き鋼棒42を通して剥離架台4の上面にナットで固定する。
ジャッキ3を作動させ剥離架台4を上昇させ、この上昇力をネジ付き鋼棒42を介して床版1の下面に伝達して床版1の切断線C1〜C4で画定された領域を主桁2及び横桁から引き剥がし、床版1と主桁2及び横桁との結合が解除されたことを確認し、ジャッキ3の作動を解除して剥離した床版1の領域を元に戻し、剥離架台4とジャッキを移動させ、剥離された床版領域をフォークリフトやクレーンで撤去する。
実施例2
実施例1と同様に切断領域の主桁2の上の床版1にφ110mm〜φ200mmのホールソーで主桁2に達する円形切断線20を形成し、この円形切断線内部の円柱状のコアを撤去し、主桁2の上部の床版にジャッキ3を設置するための穴を形成したものであり、この穴内に設置したジャッキ3は、床版1とは縁を切った状態である。
この後の工程は、実施例1と同様であり、主桁2の上に主桁2に沿って切断線を形成し、更にこの切断線に直角に切断線を床版に形成して剥離領域を画定し、ジャッキ3を作動させて剥離領域の床版と桁の結合を解除するものである。
主桁の上のコンクリート床版に円形切断線を形成してジャッキを設置する領域を床版から縁切りし、剛性の大きな桁上に直接ジャッキを設置するようにしたので、十分大きな反力が得られ、能力の大きなジャッキの使用が可能となり、また、主桁上に切断線を形成して床版と桁の結合度を弱めてあるので、確実に、かつ、短時間で床版を桁から剥離することができ、補修工事の工期の短縮を図ることができる。また、床版の強度が大きくない歩道橋に対してもこの発明の方法は有効である。
本発明の撤去作業時の断面図。 本発明の撤去作業時の平面図。 本発明の他の実施例の断面図。 従来例の断面図。 他の従来例の断面図。
符号の説明
1 コンクリート床版
11 撤去ブロック
2 主桁
20 円形切断線
3 ジャッキ
4 剥離架台
41 スリット
42 ネジ付き鋼棒
C 切断線

Claims (3)

  1. 床版を持ち上げる際に撤去装置のジャッキが床版に干渉しない大きさの領域を平行する主桁の上部において床版から縁切りし、平行する主桁上の床版に主桁の上面に達する切断線を形成すると共に主桁にほぼ直角に切断線を形成して床版の切断撤去領域を画定し、ジャッキと架台からなる撤去装置のジャッキを床版から縁切りした領域に設置し、ジャッキを作動させて切断線で画定した領域の床版を主桁から持ち上げて床版と桁との結合を解除する橋梁床版の撤去方法。
  2. 請求項1において、平行する主桁の上部において、床版にホールソーによって主桁の上面に達する円形切断線を形成することによって、ジャッキを設置する領域を床版から縁切りする橋梁床版の撤去方法。
  3. 請求項2において、ホールソーで形成した円形切断線の内部の円柱コアを撤去して円形穴を形成し、この穴内にジャッキを設置する橋梁床版の撤去方法。
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