次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図8を参照し、本発明の第1の実施の形態に係る微細パターンの形成方法及び成膜装置を説明する。
初めに、図1乃至図2Bを参照し、本発明の第1の実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明する。
図1は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図2A及び図2Bは、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、各工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。また、図1の、ステップS11乃至ステップS17及びステップS18の各々の工程が行われた後の微細パターンの構造は、図2A(a)乃至図2B(g)及び図2B(h)の各々の断面図で示される構造に対応する。
なお、前述したように、薄膜をエッチングして微細パターンを形成するためのマスクとなるパターンをマスクパターンと定義する。マスクパターンは、酸化膜等の犠牲膜や、レジスト膜よりなる場合がある。また、以下では、微細パターンという場合に、マスクパターンの意味を含む場合がある(以下の実施の形態においても同様)。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、図1に示すように、薄膜を形成する工程と、レジスト膜を形成する工程と、パターン加工工程と、形状加工工程と、成膜工程と、エッチング工程と、レジストパターンを除去し、有機膜をエッチングする工程と、薄膜をエッチングする工程とを含む。薄膜を形成する工程はステップS11の工程を含み、レジスト膜を形成する工程はステップS12の工程を含み、パターン加工工程はステップS13の工程を含み、レジストパターンの形状を加工する工程はステップS14の工程を含み、成膜工程はステップS15の工程を含み、エッチング工程はステップS16の工程を含み、レジストパターンを除去し、有機膜をエッチングする工程はステップS17の工程を含み、薄膜をエッチングする工程はステップS18の工程を含む。
なお図1に示すように、ステップS14とステップS15の工程は、同一チャンバ(処理容器)内で連続処理される。
ステップS11は、半導体基板上に薄膜を形成する工程である。図2A(a)は、ステップS11の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
ステップS11では、図2A(a)に示すように、半導体基板101上に、下から順に薄膜102、有機膜103を形成する。薄膜102は、パターンを形成することにより、その後の種々の加工工程を行う場合のマスクとして機能する。有機膜103は、パターンが形成され、薄膜102のパターンを形成するためのマスクとして機能する。また有機膜103は、その上に形成されるフォトレジスト膜104のフォトリソグラフィを行う際の反射防止膜(BARC:Bottom Anti-Reflecting Coating)としての機能を有する場合もある。
なお、半導体基板101は、半導体、例えば、シリコン基板のみを示すものではなく、半導体基板内、又は半導体基板上に形成された半導体素子や集積回路パターンに対応した導電膜、これらを絶縁する層間絶縁膜が形成された構造体とを含む、と定義する。
また、本実施の形態に係る薄膜及び有機膜は、それぞれ本発明における被エッチング膜、反射防止膜に相当する。
薄膜102の材質は、特に限定されるものではなく、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコン、又はポリシリコンを含む膜を用いることができる。また、薄膜102の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば20〜200nmとすることができる。
有機膜103の材質は、特に限定されるものではなく、例えば化学気相法(CVD:Chemical Vapor Deposition)により成膜されたアモルファスカーボン、スピンオンにより成膜されたポリフェノールやi線レジスト等のフォトレジストを含む広範な有機系の材料を用いることができる。また、有機膜103の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば150〜300nmとすることができる。
ステップS12は、フォトレジスト膜104を成膜する工程である。図2A(b)は、ステップS12の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
フォトレジスト膜104の材質は、例えばArFレジストを用いることができる。また、フォトレジスト膜104の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば50〜200nmとすることができる。
次に、ステップS13を含むパターン加工工程を行う。ステップS13は、成膜されたフォトレジスト膜104を露光、現像してフォトレジスト膜104よりなるレジストパターン104aを形成する工程である。また、図2A(c)は、ステップS13の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
図2A(c)に示すように、フォトレジスト膜104よりなるレジストパターン104aが形成される。レジストパターン104aは、有機膜103をエッチングする工程におけるマスクとして機能する。レジストパターン104aのライン幅LL4及びスペース幅SS4は、特に限定されるものではなく、共に例えば60nmとすることができる。
なお、本実施の形態において、ライン幅LL4を有し、レジストパターンを構成する一つ一つのラインをライン部と定義する。従って、本実施の形態に係るパターン加工工程は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、所定のピッチで配列するライン部を含むレジストパターンに加工する工程である。
次に、ステップS14を含む形状加工工程を行う。ステップS14は、フォトレジスト膜104よりなるレジストパターン104aをスリミング処理し、フォトレジスト膜104よりなるレジストパターン104bを形成する工程である。また、図2A(d)は、ステップS14の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
なお、スリミング処理は、本発明における形状加工工程における形状を加工する処理に相当し、トリミング処理ともいう。
スリミング処理の方法は、特に限定されるものではなく、スリミング処理の条件の一例は、酸素ラジカル、又はオゾンガスを含む雰囲気中、温度は室温〜100℃である。また、図2A(c)及び図2A(d)に示されるように、スリミング処理されてできるレジストパターン104bのライン幅LL1は、スリミング処理を行う前のレジストパターン104aのライン幅LL4に比べ細くなるので、レジストパターン104bのライン幅LL1及びスペース幅SS1と、レジストパターン104aのライン幅LL4及びスペース幅SS4との大小関係は、LL1<LL4、SS1>SS4となる。LL1及びSS1の値は、特に限定されるものではなく、例えばLL1を30nm、SS1を90nmとすることができる。
本実施の形態において、ステップS14は、その後連続して行われるステップS15の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器内で行われる。
また、ステップS14を行う場合には、有機膜(反射防止膜)103がエッチングされない条件を選んで行う。一例として、後述する実施例1のような条件で行うことにより、有機膜(反射防止膜)103がエッチングされないようにすることができる。ステップS14を有機膜(反射防止膜)103がエッチングされる条件で行う場合、有機膜(反射防止膜)103が完全にエッチングされないで中途半端に残ってしまい、その後のマスクパターンの形成方法を、精度よく行うことができないからである。
次に、ステップS14に引続き、成膜装置の処理容器内でステップS15の工程を含む成膜工程を行う。ステップS15は、スリミング処理されたレジストパターン104b及び有機膜103上に、SiO2膜105を成膜する成膜工程である。また、図2B(e)は、ステップS15の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
なお、SiO2膜(酸化シリコン膜)は、本発明におけるシリコン酸化膜に相当する。また、以下において、SiO2膜の代わりに、SiOx膜を始めとし、シリコンと酸素を主成分として含む他の組成の膜であってもよい。また、酸窒化シリコン膜(SiON膜)を用いることもできる。
SiO2膜105の成膜工程は、フォトレジスト膜104がレジストパターン104bとして残った状態で行うが、一般的に有機膜103は、高温に弱いので、低温(例えば300℃以下程度)で成膜することが好ましい。成膜方法として、このように低温で成膜できるのであれば、特に限定されるものではなく、本実施の形態では、低温での分子層堆積(Molecular Layer Deposition、以下MLDという)、即ち低温MLDによって行うことができる。その結果、図2B(e)に示されるように、レジストパターン104bが形成されている場所及び形成されていない場所を含め、基板全面にSiO2膜105が成膜され、レジストパターン104bの側面にもレジストパターン104bの側面を被覆するようにSiO2膜105が成膜される。このときのSiO2膜105の厚さをDとすると、レジストパターン104bの側面を被覆するSiO2膜105の幅もDとなる。SiO2膜105の厚さDは、特に限定されるものではなく、例えば30nmとすることができる。
ここで、低温MLDによる成膜工程について説明する。
低温MLDにおいては、シリコンを含む原料ガスを処理容器内に供給し、シリコン原料を基板上に吸着させる工程と、酸素を含むガスを処理容器内に供給し、シリコン原料を酸化させる工程とを交互に繰り返す。
具体的には、シリコンを含む原料ガスを基板上に吸着させる工程においては、シリコンを含む原料ガスとして、1分子内に2個のアミノ基を有するアミノシランガス、例えばビスターシャリブチルアミノシラン(以下、BTBASという)を、シリコン原料ガスの供給ノズルを介して処理容器内に所定の時間(図5で後述するT3)供給する。これにより、基板上にBTBASを吸着させる。
次に、酸素を含むガスを処理容器内に供給し、シリコン材料を酸化させる工程においては、酸素を含むガスとして、例えば高周波電源を備えたプラズマ生成機構によってプラズマ化されたO2ガスを、ガス供給ノズルを介して処理容器内に所定の時間(図5で後述するT4)供給する。これにより、基板上に吸着されたBTBASが酸化され、SiO2膜105が形成される。
また、上述したシリコンを含む原料ガスを基板上に吸着させる工程と、酸素を含むガスを処理容器内に供給し、シリコン材料を酸化させる工程とを切り換える際に、各々の工程の間に、直前の工程における残留ガスを除去するために、処理容器内を真空排気しつつ例えばN2ガス等の不活性ガスよりなるパージガスを処理容器内に供給する工程を所定の時間(図5で後述するT5)行うことができる。なお、この工程は、処理容器内に残留しているガスを除去することができればよく、パージガスを供給せずに全てのガスの供給を停止した状態で真空排気を継続して行うことができる。
本実施の形態においては、SiO2膜105を成膜するためのSiソースガスとして有機シリコンを含むソースガスを用いる。有機シリコンを含むSiソースガスの例は、アミノシラン系プリカーサである。アミノシラン系プリカーサの例は、1価または2価のアミノシラン系プリカーサである。1価または2価のアミノシラン系プリカーサの具体的な例は、例えば、BTBAS(ビスターシャリブチルアミノシラン)、BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)、BDEAS(ビスジエチルアミノシラン)、DPAS(ジプロピルアミノシラン)、BAS(ブチルアミノシラン)、及びDIPAS(ジイソプロピルアミノシラン)である。
また、アミノシラン系プリカーサとしては、3価のアミノシラン系プリカーサを用いることもできる。3価のアミノシラン系プリカーサの例は、TDMAS(トリジメチルアミノシラン)である。
また、有機シリコンを含むSiソースガスとしては、アミノシラン系プリカーサの他、エトキシシラン系プリカーサを用いることもできる。エトキシシラン系プリカーサの例は、例えば、TEOS(テトラエトキシシラン)である。
一方、酸素を含むガスとしては、O2ガスの他、NOガス、N2Oガス、H2Oガス、O3ガスを用いることができ、これらを高周波電界によりプラズマ化して酸化剤として用いることができる。このような酸素を含むガスのプラズマを用いることにより、SiO2膜の成膜を300℃以下で行うことができ、更に酸素を含むガスのガス流量、高周波電源の電力、処理容器内の圧力を調整することにより、SiO2膜の成膜を100℃以下又は室温で成膜を行うことができる。
次に、ステップS16の工程を含むエッチング工程を行う。ステップS16は、SiO2膜105がレジストパターン104bの側壁部105aとしてのみ残るようにエッチングするエッチング工程である。また、図2B(f)は、ステップS16の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
図2B(f)に示されるように、SiO2膜105をエッチングし、SiO2膜105が、レジストパターン104bの側面を被覆する側壁部105aとしてのみ残った状態とする。SiO2膜105のエッチングは、特に限定されるものではなく、例えば、CF4、C4F8、CHF3、CH3F、CH2F2等のCF系ガスと、Arガス等の混合ガス、またはこの混合ガスに必要に応じて酸素を添加したガス等を用いて行うことができる。SiO2膜105よりなるレジストパターン104bの側壁部105aのみが残るようにエッチングするため、レジストパターン104b及び側壁部105aよりなる第3のパターン106が形成される。第3のパターン106のライン幅をLL3、スペース幅をSS3とすると、レジストパターン104bのライン幅LL1が30nm、側壁部105aの厚さDが30nmである場合、LL3=LL1+D×2、SS3=LL1+SS1―LL3であるため、LL3を90nm、SS3を30nmとすることができる。
なお、ステップS16のエッチング工程で行うエッチングのことを、エッチングによりSiO2膜105の表面を厚さ方向に後退させることから、エッチバックともいう。
また、エッチング工程を行うことにより、酸化膜は、形状を加工されたレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、エッチングされる。従って、エッチング工程は、酸化膜が、形状を加工されたレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、酸化膜をエッチングする工程である。
ステップS17は、レジストパターン104bを除去して側壁部105aを形成する工程と、更に形成された側壁部105aをマスクとして有機膜103をエッチングする工程である。また、図2B(g)は、レジストパターン104bを除去する工程と、有機膜103をエッチングする工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
酸素、窒素、水素、アンモニア等のプラズマを用いたエッチングを行って、フォトレジスト膜104よりなるレジストパターン104bを除去することにより、側壁部105aのみが残る。更に、残った側壁部105aをマスクとして有機膜103をエッチングすることにより、図2B(g)に示されるように、側壁部105a及び有機膜103よりなり、ライン幅がD、スペース幅がLL1及びSS3が交互に現れるようなパターンである第2のパターン107が形成される。その結果、図2B(g)に示されるように、フォトレジスト膜104よりなるレジストパターン104bが除去されて側壁部105aのみが残り、ライン幅がD、スペース幅がLL1及びSS3が交互に現れるようなパターンである第2のパターン107が形成される。本実施の形態では、レジストパターン104bのライン幅LL1と第3のパターン106のスペース幅SS3とを等しくすることにより、スペース幅はLL1及びSS3に等しいSS2となる。また、Dに等しいライン幅をあらためてLL2とする。前述したように、LL1を30nm、SS3を30nm、SiO2膜105の厚さ(側壁部105aの幅D)を30nmとすることにより、ライン幅LL2が30nm、スペース幅SS2が30nmの第2のパターン107を形成することができる。
なお、第2のパターン107は、側壁部105a及び有機膜(反射防止膜)103よりなり、本発明におけるマスクパターンに相当する。
その後、第2のパターン107をマスクとし、薄膜102をエッチングする。すなわち、ステップS18を行う。ステップS18では、第2のパターン(マスクパターン)107を用いて薄膜(被エッチング膜)102を加工して、図2B(h)に示すように、薄膜(被エッチング膜)102よりなるパターン102aを形成する。パターン102aの上部には、有機膜(反射防止膜)103が残っていてもよい。例えばアモルファスシリコン又はポリシリコンよりなる薄膜102のエッチングは、Cl2、Cl2+HBr、Cl2+O2、CF4+O2、SF6、Cl2+N2、Cl2+HCl、HBr+Cl2+SF6等のガス等のプラズマを用いて行うことができる。すなわち、CF系ガス、CHF系ガス、CH系ガス、又は酸素ガス等を含むガスを用いて行うことができる。
なお、有機膜(反射防止膜)103を形成する工程(ステップS11の一部)から、側壁部105a及び有機膜(反射防止膜)103よりなるマスクパターンを形成する工程(ステップS17)までを、本発明におけるマスクパターンの形成方法と定義する。また、そのマスクパターンの形成方法を含み、薄膜(被エッチング膜)102を形成する工程(ステップS11の一部)から薄膜(被エッチング膜)102よりなるパターン102aを形成する工程(ステップS18)までを、本発明における微細パターンの形成方法と定義する。
次に、図3及び図4を参照し、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置について説明する。
図3は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図4は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置の構成を模式的に示す横断面図である。なお、図4においては、加熱装置を省略している。
図3に示すように、本実施の形態に係る成膜装置80は、形状加工工程であるスリミング処理と、成膜工程である成膜処理とを同じ成膜装置の中で連続処理するようにしたものである。
従来、スリミング処理は、エッチング装置又はアッシング装置等を用いて行われ、成膜処理は成膜装置を用いて行われている。このため、スリミング処理を終えた半導体基板(ウェハ)は、アッシング装置から一旦引き出されたのち、成膜装置へと搬送されるようになっている。
このように、シュリンク処理後、ウェハが装置から引き出されてしまうため、レジストパターン104bの表面に埃等が付着してしまう可能性がある。レジストパターン104bの表面に埃等が付着してしまうと、レジストパターン104b上に形成されるSiO2膜105においては、欠陥密度が増加し、またその膜厚の均一性が損なわれやすくなる。
これに対し、本実施の形態に係る成膜装置80は、スリミング処理を、成膜装置を用いて行うようにし、且つ、スリミング処理と成膜処理とを同じ成膜装置の中で連続処理するようにする。これにより、レジストパターン104bの表面を清浄に保ったまま、SiO2膜105を成膜でき、その欠陥密度を低減させるとともに、膜厚の均一性を高めることが可能となる、という利点も得ることができる。
さらに、上記2つの処理を同一装置内で連続的に行うことにより、搬送や待機時間(Queing−time)を低減して、生産効率を向上させてコストを低減できるという効果もある。
図3及び図4に示すように、成膜装置80は、下端が開口された有天井の円筒体状の処理容器1を有している。この処理容器1の全体は、例えば石英により形成されており、この処理容器1内の天井には、石英製の天井板2が設けられて封止されている。また、この処理容器1の下端開口部には、例えばステンレススチールにより円筒体状に成形されたマニホールド3がOリング等のシール部材4を介して連結されている。
上記マニホールド3は処理容器1の下端を支持しており、このマニホールド3の下方から被処理体として多数枚、例えば50〜100枚の半導体ウェハWを多段に載置可能な石英製のウェハボート5が処理容器1内に挿入可能となっている。このウェハボート5は3本の支柱6を有し(図4参照)、支柱6に形成された溝により多数枚のウェハWが支持されるようになっている。
このウェハボート5は、石英製の保温筒7を介してテーブル8上に載置されており、このテーブル8は、マニホールド3の下端開口部を開閉する例えばステンレススチール製の蓋部9を貫通する回転軸10上に支持される。
そして、この回転軸10の貫通部には、例えば磁性流体シール11が設けられており、回転軸10を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部9の周辺部とマニホールド3の下端部との間には、例えばOリングよりなるシール部材12が介設されており、これにより処理容器1内のシール性を保持している。
上記の回転軸10は、例えばボートエレベータ等の昇降機構(図示せず)に支持されたアーム13の先端に取付けられており、ウェハボート5および蓋部9等を一体的に昇降して処理容器1内に対して挿脱されるようになっている。なお、上記テーブル8を上記蓋部9側へ固定して設け、ウェハボート5を回転させることなくウェハWの処理を行うようにしてもよい。
また、成膜装置80は、処理容器1内へ酸素含有ガス、例えばO2ガスを供給する酸素含有ガス供給機構14と、処理容器1内へSiソースガスを供給するSiソースガス供給機構15と、処理容器1内へパージガスとして不活性ガス、例えばN2ガスを供給するパージガス供給機構16とを有している。
なお、酸素含有ガス供給機構14は、本発明における酸素ラジカル供給手段に相当し、Siソースガス供給機構15は、本発明におけるソースガス供給手段に相当する。
酸素含有ガス供給機構14は、酸素含有ガス供給源17と、酸素含有ガス供給源17から酸素含有ガスを導く酸素含有ガス配管18と、この酸素含有ガス配管18に接続され、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英管よりなる酸素含有ガス分散ノズル19とを有している。この酸素含有ガス分散ノズル19の垂直部分には、複数のガス吐出孔19aが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス吐出孔19aから水平方向に処理容器1に向けて略均一に酸素含有ガス、例えばO2ガスを吐出することができるようになっている。
また、Siソースガス供給機構15は、Siソースガス供給源20と、このSiソースガス供給源20からSiソースガスを導くSiソースガス配管21と、このSiソースガス配管21に接続され、マニホールド3の側壁を内側へと貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英管よりなるSiソースガス分散ノズル22と、を有している。ここではSiソースガス分散ノズル22は2本設けられており(図4参照)、各Siソースガス分散ノズル22には、その長さ方向に沿って複数のガス吐出孔22aが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス吐出孔22aから水平方向に処理容器1内に略均一に有機シリコンを含むSiソースガスを吐出することができるようになっている。なお、Siソースガス分散ノズル22は1本のみであってもよい。
さらに、パージガス供給機構16は、パージガス供給源23と、パージガス供給源23からパージガスを導くパージガス配管24と、このパージガス配管24に接続され、マニホールド3の側壁を貫通して設けられたパージガスノズル25とを有している。パージガスとしては不活性ガス例えばN2ガスを好適に用いることができる。
酸素含有ガス配管18、Siソースガス配管21、パージガス配管24には、それぞれ開閉弁18a、21a、24aおよびマスフローコントローラのような流量制御器18b、21b、24bが設けられており、酸素含有ガス、Siソースガスおよびパージガスをそれぞれ流量制御しつつ供給することができるようになっている。
上記処理容器1の側壁の一部には、酸素含有ガスのプラズマを形成するプラズマ生成機構30が形成されている。このプラズマ生成機構30は、上記処理容器1の側壁を上下方向に沿って所定の幅で削りとることによって上下に細長く形成された開口31をその外側より覆うようにして処理容器1の外壁に気密に溶接されたプラズマ区画壁32を有している。プラズマ区画壁32は、断面凹部状をなし上下に細長く形成され、例えば石英で形成されている。また、プラズマ生成機構30は、このプラズマ区画壁32の両側壁の外面に上下方向に沿って互いに対向するようにして配置された細長い一対のプラズマ電極33と、このプラズマ電極33に給電ライン34を介して接続され高周波電力を供給する高周波電源35とを有している。そして、上記プラズマ電極33に高周波電源35から例えば13.56MHzの高周波電圧を印加することにより酸素含有ガスのプラズマが発生し得る。なお、この高周波電圧の周波数は、13.56MHzに限定されず、他の周波数、例えば400kHz等を用いてもよい。
上記のようなプラズマ区画壁32を形成することにより、処理容器1の側壁の一部が凹部状に外側へ窪ませた状態となり、プラズマ区画壁32の内部空間が処理容器1の内部空間に一体的に連通された状態となる。また、開口31は、ウェハボート5に保持されている全てのウェハWを高さ方向においてカバーできるように上下方向に十分に長く形成されている。
上記酸素含有ガス分散ノズル19は、処理容器1内を上方向に延びている途中で処理容器1の半径方向外方へ屈曲されて、上記プラズマ区画壁32内の最も奥の部分(処理容器1の中心から最も離れた部分)に沿って上方に向けて起立されている。このため、高周波電源35がオンされて両電極33間に高周波電界が形成された際に、酸素含有ガス分散ノズル19のガス吐出孔19aから吐出された酸素ガスがプラズマ化されて処理容器1の中心に向けて拡散しつつ流れる。
上記プラズマ区画壁32の外側には、これを覆うようにして例えば石英よりなる絶縁保護カバー36が取付けられている。また、この絶縁保護カバー36の内側部分には、図示しない冷媒通路が設けられており、例えば冷却された窒素ガスを流すことにより上記プラズマ電極33を冷却し得るようになっている。
上記2本のSiソースガス分散ノズル22は、処理容器1の内側壁上記開口31を挟む位置に起立して設けられており、このSiソースガス分散ノズル22に形成された複数のガス吐出孔22aより処理容器1の中心方向に向けてSiソースガスとして1分子内に1個または2個のアミノ基を有するアミノシランガスを吐出し得るようになっている。
一方、処理容器1の開口31の反対側の部分には、処理容器1内を真空排気するための排気口37が設けられている。この排気口37は処理容器1の側壁を上下方向へ削り取ることによって細長く形成されている。処理容器1のこの排気口37に対応する部分には、排気口37を覆うように断面凹部状に成形された排気口カバー部材38が溶接により取付けられている。この排気口カバー部材38は、処理容器1の側壁に沿って上方に延びており、処理容器1の上方にガス出口39を規定している。そして、このガス出口39から図示しない真空ポンプ等を含む真空排気機構により真空引きされる。そして、この処理容器1の外周を囲むようにしてこの処理容器1およびその内部のウェハWを加熱する筐体状の加熱装置40が設けられている。
成膜装置80の各構成部の制御、例えばバルブ18a、21a、24aの開閉による各ガスの供給・停止、マスフローコントローラ18b、21b、24bによるガス流量の制御、および高周波電源35のオン・オフ制御、加熱装置40の制御等は例えばマイクロプロセッサ(コンピュータ)からなるコントローラ50により行われる。コントローラ50には、工程管理者が成膜装置80を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、成膜装置80の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなるユーザインターフェース51が接続されている。
また、コントローラ50には、成膜装置80で実行される各種処理をコントローラ50の制御にて実現するための制御プログラムや、処理条件に応じて成膜装置80の各構成部に処理を実行させるためのプログラムすなわちレシピが格納された記憶部52が接続されている。レシピは記憶部52の中の記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、ハードディスクや半導体メモリであってもよいし、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ等の可搬性のものであってもよい。また、他の装置から、例えば専用回線を介してレシピを適宜伝送させるようにしてもよい。
そして、必要に応じて、ユーザインターフェース51からの指示等にて任意のレシピを記憶部52から呼び出してコントローラ50に実行させることで、コントローラ50の制御下で、成膜装置80での所望の処理が行われる。
次に、図5及び図6を参照し、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の形状加工工程及び成膜工程における処理について説明する。
図5は本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、形状加工工程及び成膜工程におけるガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。図6は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、SiソースガスにBTBASを用いたときの半導体基板上での反応を模式的に示す図である。
例えば50〜100枚の半導体ウェハWが搭載された状態のウェハボート5を予め所定の温度に制御された処理容器1内にその下方から上昇させることによりロードし、蓋部9でマニホールド3の下端開口部を閉じることにより処理容器1内を密閉空間とする。ウェハWとしては、直径300mmのものが例示される。処理容器1内を所定のプロセス圧力に維持するとともに、加熱装置40への供給電力を制御して、ウェハ温度を上昇させてプロセス温度に維持し、ウェハボート5を回転させる。
ただし、本実施の形態では、成膜工程を開始する前に、レジストパターンの形状を加工する形状加工工程を行う。
図5に示すように、形状加工工程においては、酸素含有ガスを励起させて形成された酸素ラジカルを処理容器1に供給してレジストパターンの形状を加工する(スリミング処理する)工程S1を実施する。
工程S1の酸素ラジカルを供給する工程においては、酸素含有ガス供給機構14の酸素含有ガス供給源17から酸素含有ガスとして例えばO2ガスを酸素含有ガス配管18及び酸素含有ガス分散ノズル19を介してガス吐出孔19aから吐出し、このとき、プラズマ生成機構30の高周波電源35をオンにして高周波電界を形成し、この高周波電界により酸素含有ガス、例えばO2ガスをプラズマ化する。そして、このようにプラズマ化された酸素含有ガスを処理容器1内に供給する。これにより、レジストパターンを形成するフォトレジストが灰化処理されることによってレジストパターンの幅及び高さが減少する、すなわちスリミング処理が行われる。この処理の時間T1は1〜600secの範囲が例示される。また、酸素含有ガスの流量は半導体ウェハWの搭載枚数によっても異なるが、100〜20000mL/min(sccm)が例示される。また、高周波電源35の周波数は13.56MHzが例示され、パワーとしては5〜1000Wが採用される。また、この際の処理容器1内の圧力は、13.3〜665Paが例示される。
この場合に、酸素含有ガスとしては、O2ガスの他、NOガス、N2Oガス、H2Oガス、O3ガスを挙げることができ、これらを高周波電界によりプラズマ化して用いる。酸素ラジカルであれば酸素含有ガスのプラズマに限らないが、酸素含有ガスのプラズマを形成することが好ましく、その中でもO2プラズマが好ましい。酸化剤として酸素ラジカル、特に酸素含有ガスのプラズマを用いることにより、スリミング処理を行う際の基板温度が300℃以下、さらには100℃以下、理想的には室温でもスリミング処理が可能である。
次に、形状加工工程に引続き、処理容器1内で成膜工程を行う。
まず、形状加工工程の後、成膜工程を開始する前に、工程S2が行われる。工程S2は、工程S1の後に処理容器1内に残留するガスを除去して次の工程において所望の反応を生じさせる工程であり、処理容器1内を真空排気しつつパージガス供給機構16のパージガス供給源23からパージガス配管24およびパージガスノズル25を介してパージガスとして不活性ガス例えばN2ガスを供給することにより行われる。この工程S2の時間T2としては1〜60secが例示される。また、パージガス流量としては0.1〜5000mL/min(sccm)が例示される。なお、この工程S2は処理容器1内に残留しているガスを除去することができれば、パージガスを供給せずに全てのガスの供給を停止した状態で真空引きを継続して行うようにしてもよい。ただし、パージガスを供給することにより、短時間で処理容器1内の残留ガスを除去することができる。なお、この際の処理容器1内の圧力は0.133〜665Paが例示される。また、基板温度は、室温(25℃)〜700℃、好ましくは室温(25℃)〜500℃、さらに好ましくは室温(25℃)〜300℃が例示される。
引続き処理容器1内を所定のプロセス圧力に維持するとともに、加熱装置40への供給電力を制御して、ウェハ温度を上昇させてプロセス温度に維持し、ウェハボート5を回転させた状態で成膜処理を開始する。
図5に示すように、本実施の形態においては、有機シリコンを含むSiソースガスを処理容器1内に流してSiソースを吸着させる工程S3と、酸素含有ガスを励起させて形成された酸素ラジカルを処理容器1に供給してSiソースガスを酸化させる工程S4とを交互に繰返す。さらに、本実施の形態においては、工程S3と工程S4との間で処理容器1内から処理容器1内に残留するガスを除去する工程S5を実施する。
具体的には、本実施の形態においては、工程S3において、Siソースガス供給機構15のSiソースガス供給源20からSiソースガスとして1分子内に2個のアミノ基を有するアミノシランガス、例えばBTBASをSiソースガス配管21及びSiソースガス分散ノズル22を介してガス吐出孔22aから処理容器1内にT3の時間供給する。これにより、半導体ウェハにSiソースガスを吸着させる。このときの時間T3は1〜600secが例示される。また、Siソースガスの流量は、10〜500mL/min(sccm)が例示される。また、この際の処理容器1内の圧力は13.3〜665Paが例示される。
工程S4の酸素ラジカルを供給する工程においては、工程S1と同様に、酸素含有ガス供給機構14の酸素含有ガス供給源17から酸素含有ガスとして例えばO2ガスを酸素含有ガス配管18及び酸素含有ガス分散ノズル19を介してガス吐出孔19aから吐出し、このとき、プラズマ生成機構30の高周波電源35をオンにして高周波電界を形成し、この高周波電界により酸素含有ガス、例えばO2ガスをプラズマ化する。そして、このようにプラズマ化された酸素含有ガスを処理容器1内に供給する。これにより、半導体ウェハWに吸着されたSiソースが酸化されたSiO2が形成される。この処理の時間T4は1〜600secの範囲が例示される。また、酸素含有ガスの流量は半導体ウェハWの搭載枚数によっても異なるが、100〜20000mL/min(sccm)が例示される。また、高周波電源35の周波数は13.56MHzが例示され、パワーとしては5〜1000Wが採用される。また、この際の処理容器1内の圧力は、13.3〜665Paが例示される。
この場合にも、酸素含有ガスとしては、工程S1と同様に、O2ガスの他、NOガス、N2Oガス、H2Oガス、O3ガスを挙げることができ、これらを高周波電界によりプラズマ化して酸化剤として用いる。酸化剤としては酸素ラジカルであれば酸素含有ガスのプラズマに限らないが、酸素含有ガスのプラズマを形成することが好ましく、その中でもO2プラズマが好ましい。酸化剤として酸素ラジカル、特に酸素含有ガスのプラズマを用いることにより、SiO2膜の成膜が300℃以下、さらには100℃以下、理想的には室温でも成膜が可能である。
また、工程S3と工程S4との間に行われる工程S5は、工程S3の後または工程S4の後に処理容器1内に残留するガスを除去して次の工程において所望の反応を生じさせる工程であり、処理容器1内を真空排気しつつパージガス供給機構16のパージガス供給源23からパージガス配管24およびパージガスノズル25を介してパージガスとして不活性ガス例えばN2ガスを供給することにより行われる。この工程S5の時間T5としては1〜60secが例示される。また、パージガス流量としては0.1〜5000mL/min(sccm)が例示される。なお、この工程S5は処理容器1内に残留しているガスを除去することができれば、パージガスを供給せずに全てのガスの供給を停止した状態で真空引きを継続して行うようにしてもよい。ただし、パージガスを供給することにより、短時間で処理容器1内の残留ガスを除去することができる。なお、この際の処理容器1内の圧力は0.133〜665Paが例示される。
このようにして、工程S3と工程S4との間に処理容器1内からガスを除去する工程S5を挟んで交互に間欠的にSiソースガスと酸素ラジカルとしての酸素含有プラズマとを繰返し供給することにより、SiO2膜の薄い膜を一層ずつ繰返して積層して所定の厚さとすることができる。
このときの反応例を図6に示す。図6には反応例が模式的に示される。本反応例では、一例としてSiソースガスにBTBASを用いたときを例示する。
図6(a)に示すように、既に堆積されたSiO2膜の表面にはOH基が存在しており、そこにSiソースとして例えばBTBASが供給される。そして、Siソースが吸着される工程(工程S3)においては、図6(b)に示すように、BTBASのSiが表面のOH基のOと反応してトリメチルアミノ酸を離脱させる。このとき、アミノ酸を2個有するアミノシランであるBTBASはOHとの反応性が高く、また、構造的にこのようなSiの反応の障害になり難いため、Siの吸着反応が速やかに進行する。このとき脱離したトリメチルアミノ基は工程S3により処理容器1から除去される。そして、次の酸化工程(工程S4)においては、図6(c)に示すように、トリメチルアミノ基が離脱した後のSi化合物がO2ガスプラズマのような酸素ラジカルによって酸化されてSiO2となる(ただし、表面にはHが吸着してOH基が形成されている)。このようにO2ガスプラズマのような酸素ラジカルを用いた酸化反応は、純粋な化学的反応と異なり高い温度が不要であるから低温での反応が可能である。
BTBASは、Siソースガスとして用いる1分子内に2個のアミノ基を有するアミノシランガスである。このようなアミノシランガスとしては、前述したように、上記BTBASの他、BDBAS(ビスジエチルアミノシラン)、BDMAS(ビスジメチルアミノシラン)を挙げることができる。
なお、Siソースガスには、1分子内3個以上のアミノ基を有するアミノシランガスを用いることも可能であるし、1分子内に1個のアミノ基を有するアミノシランガスを用いることも可能である。
本実施の形態における成膜工程を行うと、Siソースとして有機シリコンを含むソースガスを用い、酸化処理において反応が温度を上昇させずに進行するO2ガスプラズマのような酸素ラジカルを用い、これらを交互に供給するので、良好な膜質のSiO2膜を100℃以下、さらには室温といった従来では考えられない低温でかつ高い成膜レートで成膜することができる。
このように、本実施の形態では、原理的に100℃以下という極低温で成膜することができるが、それよりも高い温度であっても成膜が可能である。ただし、成膜温度が上昇するに従って膜厚ばらつきが大きくなることと、レジストパターン104bに与える熱的な影響とを考慮すると、成膜温度は100℃以下であることが最も好ましい。
次に、図7及び図8を参照し、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の形状加工工程を行うことによって、工程を削減することができる作用効果について説明する。
図7は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、形状加工工程及び成膜工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。図8は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、形状加工工程を従来の方法で行う場合の形状加工工程及び成膜工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。図7(a)、図7(b)、図7(c)は、図2A(c)、図2A(d)、図2B(e)に対応し、図8(a)、図8(b)、図8(d)は、図2A(c)、図2A(d)、図2B(e)に対応する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法においては、図2A(c)に示すパターン加工工程が行われた後、レジスト104がレジストパターン104aに加工された半導体ウェハWは、図7(a)に示すように、成膜装置80内に導入される。次に、図7(b)に示すように、成膜装置80内で酸素含有ガスプラズマ又はオゾンガスを用いてレジストパターン104aの形状をレジストパターン104bに加工する形状加工工程(成膜装置内スリミング処理工程)が行われる。次に、図7(c)に示すように、成膜装置80内で引続き、形状加工工程により形状を加工されたレジストパターン104b及び有機膜103上に、アミノシラン系プリカーサと酸素含有ガスプラズマ又はオゾンガスとを用いてSiO2膜105を成膜する成膜工程が行われる。その後、エッチング装置に導入され、図2B(f)に示すエッチング工程が行われる。
ここで、従来は、図8に示すように、図2A(c)に示すパターン加工工程が行われた後、レジスト104がレジストパターン104aに加工された半導体ウェハWは、図8(a)に示すように、レジスト塗布装置(又はアッシング装置)81に導入される。次に、図8(b)に示すように、レジスト塗布装置(又はアッシング装置)81内でフォトリソグラフィ技術(又は酸素含有ガスプラズマ)を用いてレジストパターン104aの形状をレジストパターン104bに加工する形状加工工程が行われる。レジスト104がレジストパターン104bに加工された半導体ウェハWは、図8(c)に示すように、成膜装置80内に導入される。次に、図8(d)に示すように、成膜装置80内で、形状加工工程により形状を加工されたレジストパターン104b及び有機膜103上に、アミノシラン系プリカーサと酸素含有ガスプラズマ又はオゾンガスとを用いてSiO2膜105を成膜する成膜工程が行われる。その後、半導体ウェハWはエッチング装置に導入され、図2B(f)に示すエッチング工程が行われる。
ここで、レジスト塗布装置内で形状加工工程(塗布装置内スリミング処理工程)を行う場合には、現像装置内で高温で現像(高温現像処理)し、塗布装置内でレジストパターンに酸を含む溶液を塗布(酸化処理)し、熱処理を行ってレジストパターン中に酸を拡散させてレジストパターンの表面に新たな可溶層を形成(酸拡散処理)し、再び現像装置内で可溶層を現像(現像処理)することによって、レジストパターンの形状加工を行う。
図7(a)乃至図7(c)、図8(a)乃至図8(d)の工程を比較すると、図8に示す従来の微細パターンの形成方法では、図7に示す本実施の形態に係る微細パターンの形成方法よりも工程が多い。すなわち、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法においては、従来、レジスト塗布装置(又はアッシング装置)で行っていた形状加工工程(スリミング工程)を、処理容器にスリミング工程を行うための機構(酸素含有ガスプラズマ又はオゾンガスを供給する酸素ラジカル供給手段)を具備した成膜装置を用いることによって形状加工工程(スリミング工程)と成膜工程とを連続して処理することができるため、工程を削減することができる。
なお、従来の微細パターンの形成方法では、レジスト塗布装置(又はアッシング装置)で形状加工工程(スリミング工程)を行う例を比較例として説明したが、レジスト塗布装置(又はアッシング装置)の代わりにエッチング装置で形状加工工程(トリミング工程)を行う例もあり、このエッチング装置で行う例に対しても、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、形状加工工程(スリミング工程)と成膜工程とを連続して処理することができるため、工程削減ができる。
また、本実施の形態に係るマスクパターンの形成方法においては、ステップS13が行われ、レジスト膜104よりなるレジストパターン104aが形成された基板101は、ステップS15(成膜工程)で酸化シリコン膜105が成膜される成膜装置内に導入される。次に、成膜装置内で酸素含有ガスプラズマ又はオゾンガスを用いてレジストパターン104aの形状をスリミングしてレジストパターン104bを形成する形状加工工程(スリミング処理工程)が行われる。次に、成膜装置内で引続き、スリミング処理されたレジストパターン104bの表面を等方的に被覆する。
図2A(b)から図2A(d)を用いて前述したように、ステップS14において、レジスト膜104よりなるレジストパターン104aの幅寸法LL4は、レジストパターン104bの幅寸法LL1に減少する。また、ステップS15において、レジストパターン104bの幅寸法LL1は、レジストパターン104bの各ライン部の両側を膜厚Dを有する酸化シリコン膜105に被覆されることにより、LL1+D×2に増大する。また、ステップS14におけるスリミング時間(図5に示すT1)と、ステップS15における成膜時間(図5に示すT6=T3+T5+T4+T5+T3+・・・)とを、それぞれ独立して微調整することが可能である。具体的には、ステップS14におけるスリミング量に応じてステップS15における酸化シリコン膜の成膜時間(MLDの場合には、シリコンソースガスと酸素含有ガスとを繰り返し供給する回数)を調整すればよい。
従って、スリミング時間T1と、成膜時間T6との比率を独立して微調整することができるため、ステップS17における第2のパターン(マスクパターン)107において、スペース幅LL1とSS3とを等しくすることができる。その結果、第2のパターン(マスクパターン)107を、レジストパターン104bの略半分のピッチを有する、密な等配のパターンとすることができる。
具体的に、スリミング時間T1を10minとすることにより、LL1を10nmとすることができる。また、図5におけるT3を15sec、T4を30sec、T5を15secとし、繰り返し回数を50回とすることにより、成膜時間T6を50minとし、Dを10nmとすることができる。これにより、第2のパターン(マスクパターン)107を、密な等配のパターンとすることができる。
(スリミング処理を行う際のレジストパターンの形状制御)
次に、図9乃至図16を参照し、本実施の形態において、先端と根元との間の幅寸法の差が小さくなるように保持しながらスリミング処理することができ、スリミング処理されたレジストパターンの形状を精密に制御できる効果について説明する。以下では、スリミング処理工程後のレジストパターンの幅寸法等を測定して評価を行ったので、その評価結果について説明する。
実施例1として、パターン加工工程を行った後のレジストパターンに対し、成膜装置内において、酸素含有ガスプラズマを用いて形状加工工程(成膜装置内スリミング処理工程)を行い、その後シリコン酸化膜の成膜工程を行った。実施例1における形状加工工程(成膜装置内スリミング処理工程)及び成膜工程の条件を以下に示す。
(実施例1)
(A)成膜装置内スリミング処理
酸素含有ガス:O2ガス
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:66.7〜227Pa
ガス流量:5〜30slm
高周波電源周波数:13.56MHz
高周波電源パワー:50〜500W
(B)成膜処理
(1)原料ガス供給条件
原料ガス:DIPAS
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:26.7〜667Pa
ガス流量:50〜1000sccm
供給時間:1〜10sec
(2)酸化ガス供給条件
酸化ガス:酸素ガス
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:66.7〜227Pa
ガス流量:5〜30slm
供給時間:5〜30sec
高周波電源周波数:13.56MHz
高周波電源パワー:50〜500W
(3)繰返し条件
合計サイクル:140〜150サイクル
図9に、実施例1で(A)成膜装置内スリミング処理を行った後のレジストパターンを走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)を用いて撮影した写真を示す。図9(a)及び図9(b)は、レジストパターンの断面を、それぞれ斜め上方及び正面から撮影した写真(左側)と、写真を模式的に説明する図(右側)とを示す図である。図9(a)及び図9(b)に示すように、レジストパターンの幅寸法をCD(図2B(e)で説明したLL1に等しい)とし、高さ寸法をHとする。また、先端におけるレジストパターンの幅寸法をTとし、根元から先端までの半分の高さの位置におけるレジストパターンの幅寸法をMとし、根元におけるレジストパターンの幅寸法をBとする。
また、比較例1として、パターン加工工程を行った後のレジストパターンに対し、高温現像処理し、酸化処理し、酸拡散処理し、現像処理することによって、形状加工工程(塗布装置内スリミング処理工程)を行い、その後シリコン酸化膜の成膜工程を行った。比較例1における形状加工工程(塗布装置内スリミング処理工程)及び成膜工程の条件を以下に示す。
(比較例1)
(A)塗布装置内スリミング処理
(1)高温現像処理条件
現像液:NMD3
処理温度:23〜50℃
処理時間:60sec
(2)酸化処理条件
塗布液:TKシンナー
回転速度:1000〜1500rpm
処理時間:60sec
(3)酸拡散処理条件
処理温度:50〜90℃
(4)現像処理条件
現像液:NMD3
処理温度:23〜50℃
処理時間:60sec
(B)成膜処理
実施例1の(B)成膜処理と同じ
図10に、比較例1で(A)塗布装置内スリミング処理を行った後のレジストパターンをSEMを用いて撮影した写真を示す。図10(a)及び図10(b)は、レジストパターンの断面を、それぞれ斜め上方及び正面から撮影した写真(左側)と、写真を模式的に説明する図(右側)とを示す図である。レジストパターンの各寸法であるCD、H、T、M、Bの定義は、図10(a)及び図10(b)に示すように、図9(a)及び図9(b)に示す実施例1における定義と同一である。なお、図10は、図9と同一の倍率で撮影されたものである。
図9と図10とを比較すると、図9におけるレジストパターンの方が、図10におけるレジストパターンよりも大きく、かつ、先端と根元との間の幅寸法の差が小さい(先細りしていない)ことが明らかである。
次に、実施例1、比較例1を行って得られたレジストパターンにおけるCD、H、T、M、B及び先端と根元との間の幅寸法の比率T/Bについて、具体的な寸法値を表1に示す。また、表1は、スリミング処理前のレジストパターンの各幅寸法を示す。
表1に示した各幅寸法に基づいて、成膜装置内スリミング処理を行った後のレジストパターンの各寸法を、成膜装置内スリミング処理を行う前の各寸法、あるいは塗布装置内スリミング処理を行った後の各寸法と比較して図11から図14のグラフに示す。図11は幅寸法CDを示し、図12は高さ寸法Hを示し、図13は先端と根元との間の幅寸法の比率T/Bを示し、図14は線幅粗さLWR(Line Width Roughness)を示す。ここで、線幅粗さLWRとは、図9及び図10においてパターンの延在する方向(Y方向)に沿う複数の箇所でのCD値のばらつきを表すパラメータであり、標準偏差をσとするときの3×σに相当する。
図11に示すように、成膜装置内スリミング処理において、高周波電源のパワーをいずれの値に調節した場合にも、処理前に比べるとレジストパターンの幅寸法CDは減少するものの、塗布装置内スリミング処理よりは減少しないことが分かる。
また、図12に示すように、成膜装置内スリミング処理において、高周波電源のパワーをいずれの値に調節した場合にも、処理前に比べるとレジストパターンの高さ寸法Hは減少するものの、塗布装置内スリミング処理よりは減少しない。
また、図13に示すように、成膜装置内スリミング処理において、高周波電源のパワーをいずれの値に調節した場合にも、処理前及び塗布装置内スリミング処理後に比べ、レジストパターンの先端と根元との間の幅寸法の比率T/Bは増大して1に近い値となる。すなわち、成膜装置内スリミング処理では、塗布装置内スリミング処理に対し、先端と根元との間の幅寸法の差を小さくすることができる。
また、図14に示すように、成膜装置内スリミング処理において、高周波電源のパワーをいずれの値に調節した場合にも、処理前に比べ、レジストパターンのLWRは小さい。また、塗布装置内スリミング処理とは同程度の値であるが、CDの減少幅は塗布装置内スリミング処理の方が大きいことから、CDの減少幅に対するLWRの比率は、成膜装置内スリミング処理の方が小さくなる。すなわち、成膜装置内スリミング処理では、塗布装置内スリミング処理に対し、パターンの延在する方向(Y方向)に沿うCDのばらつきを示すLWRの値も改善することができる。
図15に、実施例1で(B)成膜処理を行った後のレジストパターンをSEMを用いて撮影した写真を示す。図15(a)及び図15(b)は、レジストパターンの断面を、それぞれ斜め上方及び正面から撮影した写真(左側)と、写真を模式的に説明する図(右側)とを示す図である。また、図16に、比較例1で(B)成膜処理を行った後のレジストパターンをSEMを用いて撮影した写真を示す。図16(a)及び図16(b)は、レジストパターンの断面を、それぞれ斜め上方及び正面から撮影した写真(左側)と、写真を模式的に説明する図(右側)とを示す図である。なお、図16は、図15と同一の倍率で撮影されたものである。
図15と図16とを比較すると、図15におけるレジストパターンの方が、図16におけるレジストパターンよりも大きく、かつ、先端と根元との間の幅寸法の差が小さい(先細りしていない)ことが明らかである。すなわち、図15と図16との間のレジストパターンの幅寸法の大小関係は、図15及び図16においても維持されている。従って、レジストパターンが先細りしないように形状良くスリミング処理するためには、成膜装置内スリミング処理の方が、塗布装置内スリミング処理よりも優れている。
以上、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法及び成膜装置によれば、処理容器内において酸素含有ガスを用いてレジストパターンをスリミング処理した後、同じ処理容器内において有機シリコンを含むソースガスと酸素ラジカルとを交互に供給しながらシリコン酸化膜を成膜することができる。従って、レジストパターンの表面を清浄に保ったままシリコン酸化膜を成膜することができ、解像限界以下のピッチを有する微細パターンの形状の半導体基板の面内での均一性を、より良好にすることができる。また、レジストパターンをスリミング処理する処理装置を使用する工程を削減することができるため、微細パターンを形成するプロセスのコストを低減することができる。また、レジストパターンの先端と根元との間の幅寸法の差が小さくなるように保持しながらスリミング処理又は成膜処理することができ、レジストパターンの延在する方向に沿う幅寸法のばらつきを小さくすることができる。従って、レジストパターンの先端と根元との間の幅寸法の差が小さくなるように保持しながらスリミング処理又は成膜処理することができ、形状に優れた微細パターンを形成することができる。
なお、本実施の形態において、有機シリコンを含むSiソースガスとして、アミノシランガス、例えば、BTBASを用いた場合を説明したが、他のアミノシランガスを用いた場合、及びエトキシシランガスを用いた場合においても同様に実施することができる。
(第2の実施の形態)
次に、図17を参照し、第2の実施の形態に係る微細パターンの形成方法及び微細パターンの形成方法に使用される成膜装置を説明する。
図17は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置は、オゾン含有ガス供給機構を備える点で、第1の実施の形態における成膜装置と相違する。
図17に示すように、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置80aの基本構成は、図3に示した成膜装置と同様であり、特に、酸素含有ガス供給機構14と、Siソースガス供給機構15と、プラズマ生成機構30を備えているので、第1の実施の形態において説明したシリコン酸化膜105の成膜と同様の成膜を行うことができる。
一方、成膜装置80aは、オゾン含有ガス供給機構14aを備えている。オゾン含有ガス供給機構14aはオゾン含有ガス供給源17aを備え、このオゾン含有ガス供給源17aは、流量制御器18d及び開閉弁18cを介して、例えば、酸素含有ガス配管18に接続されている。これにより、オゾン含有ガスを処理容器1内に供給することができる。
スリミング処理の際には、オゾン含有ガス、例えば、オゾンガスを用いる。オゾンガスを用いてスリミング処理するときにはプラズマを生成しなくても良い。このため、オゾン含有ガスは、例えば、プラズマ生成機構30においてはプラズマ電極33に高周波電圧を印加しない状態で、分散ノズル19を介して処理容器1内に供給するようにすればよい。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置80aによれば、酸素含有ガス供給機構14、Siソースガス供給機構15及びプラズマ生成機構30に加えてオゾン含有ガス供給機構14aを備えているので、処理容器1内においてオゾン含有ガスを用いてレジストパターンをスリミング処理した後、同じ処理容器1内において有機シリコンを含むソースガスと酸素ラジカルとを交互に供給しながらシリコン酸化膜を成膜することができる。従って、レジストパターンの表面を清浄に保ったままシリコン酸化膜を成膜することができ、解像限界以下のピッチを有する微細パターンの形状の半導体基板の面内での均一性を、より良好にすることができる。また、レジストパターンをスリミング処理する処理装置を使用する工程を削減することができるため、微細パターンを形成するプロセスのコストを低減することができる。
(第3の実施の形態)
次に、図18乃至図19Cを参照し、本発明の第3の実施の形態に係る微細パターンの形成方法について説明する。
図18は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図19A乃至図19Cは、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、各工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。また、図18のステップS21乃至ステップS30の各々の工程が行われた後の微細パターンの構造は、図19A(a)乃至図19C(j)の各々の断面図で示される構造に対応する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、パターン有機膜上へのシリコン酸化膜の成膜プロセスをLLEプロセスに適用する点において、シリコン酸化膜の成膜プロセスをSWTプロセスに適用する第1の実施の形態と相違する。
すなわち、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、図18に示すように、薄膜及び反射防止膜を形成する工程と、レジスト膜を形成する工程と、パターン加工工程と、形状加工工程と、成膜工程とを行った後、更に反射防止膜を形成する工程と、レジスト膜を形成する工程と、パターン加工工程と、形状加工工程とを行い、その後、エッチング工程を行う。すなわち、薄膜を形成する工程はステップS21の工程を含み、レジスト膜を形成する工程は1回目のステップS22の工程と2回目のステップS27の工程とを含み、パターン加工工程は1回目のステップS23の工程と2回目のステップS28の工程とを含み、形状加工工程は1回目のステップS24の工程と2回目のステップS29の工程とを含み、成膜工程はステップS25の工程を含み、エッチング工程はステップS30の工程を含む。
ステップS21は、半導体基板上に薄膜及び反射防止膜を形成する工程である。図19A(a)は、ステップS21の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
ステップS21では、図19A(a)に示すように、半導体基板151上に、薄膜152を形成する。薄膜152は後に微細パターンに加工される膜であり、SiNやSiO2の絶縁膜であっても良いし、導電性ポリシリコンのような導電膜であっても良い。すなわち、薄膜152の材質は、特に限定されるものではなく、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコン、又はポリシリコンを含む膜を用いることができる。本例では、一例として、薄膜152をSiNとする。次いで、薄膜152上に反射防止材料を塗布し、反射防止膜(BARC)153を形成する。
また、第1の実施の形態と同様に、半導体基板151は、半導体、例えば、シリコン基板のみを示すものではなく、半導体基板内、又は半導体基板上に形成された半導体素子や集積回路パターンに対応した導電膜、これらを絶縁する層間絶縁膜が形成された構造体とを含む。
また、本実施の形態に係る薄膜は、本発明における被エッチング膜に相当する。
ステップS22は、フォトレジスト膜154を成膜する工程である。図19A(b)は、ステップS22の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
図19A(b)に示すように、反射防止膜153上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト膜154を形成する。
なお、本実施の形態に係るフォトレジスト膜154は、本発明における第1のレジスト膜に相当する。
次に、ステップS23を含むパターン加工工程を行う。ステップS23は、成膜されたフォトレジスト膜154を露光、現像してフォトレジスト膜154よりなるレジストパターン154aを形成する工程である。また、図19A(c)は、ステップS23の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
図19A(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジスト膜を、所定のピッチp1を有するレジストパターン154aに加工する。本実施の形態では、レジストパターン154aの一例として、所定のピッチp1を露光装置の解像限界とする。
なお、本実施の形態に係るレジストパターン154a及びパターン加工工程(ステップS23)は、それぞれ本発明における第1のレジストパターン及び第1のパターン加工工程に相当する。また、本実施の形態に係るピッチp1は、本発明における第1のピッチに相当する。従って、ステップS23のパターン加工工程(第1のパターン加工工程)は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、第1のピッチで配列する第1のレジストパターンに加工する工程である。
次に、ステップS24を含む形状加工工程を行う。ステップS24は、フォトレジスト膜154よりなるレジストパターン154aをスリミング処理し、フォトレジスト膜154よりなるレジストパターン154bを形成する工程である(第1回スリミング処理)。また、図19A(d)は、ステップS24の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。スリミング処理の方法は、特に限定されるものではなく、スリミング処理の条件の一例は、酸素ラジカル、又はオゾンガスを含む雰囲気中、温度は室温〜100℃である。
なお、本実施の形態に係る形状加工工程(ステップS24)は、本発明における第1の形状加工工程に相当する。
また、本実施の形態において、ステップS24は、その後連続して行われるステップS25の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器内で行われる。
次に、ステップS25の工程を含む成膜工程を行う。ステップS25は、スリミング処理されたレジストパターン154b及び反射防止膜153上に、薄膜152、反射防止膜153、及びレジストパターン154bとは異なるSiO2膜155を形成する工程である。図19B(e)は、ステップS25の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
ステップS25の工程において、SiO2膜155は、後に行われる2回目のフォトリソグラフィ工程から、レジストパターン154bを保護するために形成される。具体的には、有機シリコンを含むソースガスと酸素ラジカルとを交互に供給しながら、スリミング処理されたレジストパターン154b及び反射防止膜153上に、SiO2膜155を形成する。
なお、本実施の形態における成膜工程における成膜処理は、ハードニング処理ともいう。また、SiO2膜は、本発明におけるシリコン酸化膜に相当する。また、以下において、SiO2膜の代わりに、SiOx膜を始めとし、シリコンと酸素を主成分として含む他の組成の膜であってもよい。また、酸窒化シリコン膜(SiON膜)を用いることもできる。
次に、ステップS26乃至ステップS28の2回目のフォトリソグラフィを行う。
ステップS26は、反射防止膜を形成する工程である。図19B(f)は、ステップS26の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
ステップS26では、図19B(f)に示すように、SiO2膜155上に反射防止材料を塗布し、反射防止膜(BARC)156を形成する。
なお、ステップS26は省略することができる。ステップS26を省略した場合、ステップS21で形成した反射防止膜153が2回目のパターン加工工程であるステップS28における露光の際に、反射防止膜として機能する。
ステップS27は、フォトレジスト膜157を成膜する工程である。図19B(g)は、ステップS27の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
図19B(g)に示すように、反射防止膜156上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト膜157を形成する。
なお、本実施の形態に係るフォトレジスト膜157は、本発明における第2のレジスト膜に相当する。
次に、ステップS28を含むパターン加工工程を行う。ステップS28は、成膜されたフォトレジスト膜157を露光、現像して所定のピッチp2を有するフォトレジスト膜157よりなるレジストパターン157aを形成する工程である。また、図19B(h)は、ステップS28の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。このときレジストパターン157aのピッチは、所定のピッチp2である。また、本実施の形態では、レジストパターン157aは、1回目のフォトリソグラフィでスリミング処理されたレジストパターン154aと同じライン・アンド・スペースパターンである。さらに、レジストパターン157aは、スリミング処理されたレジストパターン154b間に配置され、レジストパターン154bとレジストパターン157aとが交互に配置されるように加工する。
なお、本実施の形態に係るレジストパターン157a及びパターン加工工程(ステップS28)は、それぞれ本発明における第2のレジストパターン及び第2のパターン加工工程に相当する。また、本実施の形態に係るピッチp2は、本発明における第2のピッチに相当し、ピッチp1(第1のピッチ)に略等しい。従って、ステップS28のパターン加工工程(第2のパターン加工工程)は、フォトリソグラフィ技術を用いて、第2のレジスト膜を、第1のピッチと略等しい第2のピッチで配列し、かつ、第1のピッチの略半分ずらして第1のレジストパターンと交互に配列する第2のレジストパターンに加工する工程である。
次に、ステップS29を含む形状加工工程を行う。ステップS29は、レジストパターン157aを形成するフォトレジスト膜157をスリミング処理し、フォトレジスト膜157よりなるレジストパターン157bを形成する工程である(第2回スリミング処理)。また、図19C(i)は、ステップS29の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。ここでも、スリミング処理の方法は、特に限定されるものではなく、スリミング処理の条件の一例は、酸素ラジカル、又はオゾンガスを含む雰囲気中、温度は室温〜100℃である。
第2回スリミング処理により、レジストパターン154b及び157bからなるレジストパターンが形成される。このレジストパターンは、パターン154bと157bとが交互に配置されたパターンであるので、そのピッチp3は、ピッチp1、及びp2よりも狭いピッチ、本実施の形態では、ピッチp1及びp2のほぼ1/2のピッチとなる。このように、別々に形成されたレジストパターン154bと157bとを交互に配置することで、解像限界以下のピッチを有するレジストパターンを形成することができる。
なお、本実施の形態に係る形状加工工程(ステップS29)は、本発明における第2の形状加工工程に相当する。
また、ステップS29は、シリコン酸化膜を成膜する成膜装置内で行ってもよく、あるいは、シリコン酸化膜を成膜する成膜装置と異なる装置内で行ってもよい。
その後、ステップS30の工程を行う。図19C(j)に示すように、レジストパターン154b、及び157bをエッチングのマスクに用いて、反射防止膜156、153、SiO2膜155、及び薄膜152をエッチングし、薄膜152を所望とする微細パターンに加工する。
始めに、形状が加工されたレジストパターン(第1のレジストパターン)154b、及び形状が加工されたレジストパターン(第2のレジストパターン)157bをマスクとして、反射防止膜156、SiO2膜155及び反射防止膜153をエッチングする。反射防止膜156を省略した場合には、SiO2膜155及び反射防止膜153をエッチングすればよい。これにより、所定のピッチp1(第1のピッチ)の略半分のピッチで配列し、フォトレジスト膜(第1のレジスト膜)154及びフォトレジスト膜(第2のレジスト膜)157よりなるマスクパターンを形成する。
次に、そのマスクパターンを用いて薄膜(被エッチング膜)152をエッチングし、薄膜152よりなる薄膜パターン(被エッチング膜よりなる被エッチング膜パターン)を形成する。
ステップS30を行って加工された薄膜152のピッチp4は、レジストパターン154b及び157bのピッチp3とほぼ同じとなるので、薄膜152からなる微細パターンのピッチp4は、解像限界以下にできる。このようにして、本実施の形態では、解像限界以下のピッチを有する微細パターンを形成することができる。
なお、反射防止膜153を形成する工程(ステップS21の一部)から、SiO2膜155及び反射防止膜153をエッチングしてマスクパターンを形成する工程(ステップS30の一部)までを、本発明におけるマスクパターンの形成方法と定義する。また、そのマスクパターンの形成方法を含み、薄膜(被エッチング膜)152を形成する工程(ステップS21の一部)から薄膜(被エッチング膜)152をエッチングする工程(ステップS30)までを、本発明における微細パターンの形成方法と定義する。
以上、本実施の形態では、ハードニング処理(成膜工程における成膜処理)の際、ハードニング処理を行う成膜装置内で酸素ラジカルを供給してレジストパターンをスリミング処理し、スリミング処理されたレジストパターン上及び反射防止膜上に、有機シリコンを含むソースガスと酸素ラジカルとを交互に供給してシリコン酸化膜を形成することによって、レジストパターンの表面を清浄に保ったままシリコン酸化膜を成膜することができ、解像限界以下のピッチを有する微細パターンの形状の半導体基板の面内での均一性を、より良好にすることができる。また、レジストパターンをスリミング処理する処理装置を使用する工程を削減することができるため、微細パターンを形成するプロセスのコストを低減することができる。
(第4の実施の形態)
次に、図3、図5、図20を参照し、本発明の第4の実施の形態に係る微細パターンの形成方法について説明する。
図20は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、SiソースガスにDIPASを用いたときの半導体基板上での反応を模式的に示す図である。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、SiソースガスにDIPASを用いる点において、SiソースガスにBTBASを用いる第1の実施の形態と相違する。
本実施の形態において、ウェハを処理容器内にロードし、ウェハボートを回転させ、形状加工工程(図5の工程S1)を行うのは、第1の実施の形態と同様である。また、形状加工工程の後、成膜工程を開始する前に処理容器内をパージする工程(図5の工程S2)を行うのは、第1の実施の形態と同様である。
次に、成膜工程を行う。成膜工程は、第1の実施の形態と同様に、SiソースガスであるDIPASを供給する工程(図5の工程S3)と酸素ラジカルを供給する工程(図5の工程S4)を行う。
具体的には、本実施の形態においては、工程S3において、DIPASを図3に示すSiソースガス配管21及びSiソースガス分散ノズル22を介してガス吐出孔22aから処理容器1内にT3の時間供給する。これにより、半導体ウェハにSiソースガスを吸着させる。このときの時間T3は1〜600secが例示される。また、DIPASの流量は、10〜10000mL/min(sccm)が例示される。また、この際の処理容器1内の圧力は0.133〜13300Paが例示される。また、基板温度は、室温(25℃)〜700℃、好ましくは室温(25℃)〜500℃、さらに好ましくは室温(25℃)〜300℃が例示される。
工程S4の酸素ラジカルを供給する工程においては、酸素含有ガス供給機構14の酸素含有ガス供給源17から酸素含有ガスとして例えばO2ガスを酸素含有ガス配管18及び酸素含有ガス分散ノズル19を介してガス吐出孔19aから吐出し、このとき、プラズマ生成機構30の高周波電源35をオンにして高周波電界を形成し、この高周波電界により酸素含有ガス、例えばO2ガスをプラズマ化する。そして、このようにプラズマ化された酸素含有ガスを処理容器1内に供給する。これにより、半導体ウェハWに吸着されたSiソースが酸化されたSiO2膜が形成される。この処理の時間T4は1〜600secの範囲が例示される。また、酸素含有ガスの流量は半導体ウェハWの搭載枚数によっても異なるが、0.1〜20000mL/min(sccm)が例示される。また、高周波電源35の周波数は13.56MHzが例示され、パワーとしては10〜1500Wが採用される。また、この際の処理容器1内の圧力は、0.133〜13300Paが例示される。
図5に示すように、工程S3と工程S4との間に工程S5を行うことは、第1の実施の形態と同様であり工程S3と工程S4との間に工程S5を挟んで交互に間欠的にSiソースガスと酸素ラジカルとしての酸素含有プラズマとを繰返し供給することにより、SiO2膜の薄い膜を一層ずつ繰返して積層して所定の厚さとすることができる。
このときの反応例を図20に示す。図20には反応例が模式的に示される。
工程S3の間、すなわち、処理容器にSiソースガスが供給される間、図20(a)に示す状態から図20(b)に示すように、供給されたDIPASが半導体ウェハWの表面と反応し、半導体ウェハWの表面にSiが吸着する。
ここで、ソースガスに、DIPASという1価のアミノシランを用いているので、工程S3で吸着されたプリカーサ中に窒素(N)が含まれにくくなり、成膜されるシリコン酸化膜中に窒素が含まれにくくなる。このため、良質なシリコン膜を形成することができる。また、ソースガスに、DIPASという1価のアミノシランを用いているので、Si吸着の際に構造障害が発生しにくく、他の分子の吸着を妨げにくくなる。このため、吸着速度が遅くならず、生産性が低下しなくなる。さらに、ソースガスにDIPASを用いているので、熱安定性に優れ、流量制御が容易となる。また、従来のソース供給方式の装置を使用することができ、汎用性を有している。
次に、工程S4の間、すなわち、処理容器に酸素ラジカルが供給される間、図20(c)に示す状態から、半導体ウェハW上に吸着されたSiが酸化され、図20(d)に示すように、半導体ウェハW上にシリコン酸化膜が形成される。
更に、図5に示すように、工程S3と工程S4を工程S5を挟んで繰返す場合、図20(e)に示すように、半導体ウェハWの表面にDIPASが吸着され、図20(f)に示すようにSiを吸着させ、吸着されたSiを酸化することにより、さらにシリコン酸化膜が形成される。この結果、半導体ウェハW上に所望厚のシリコン酸化膜が形成される。
本実施の形態では、良質なシリコン膜を形成することができるDIPASをSiソースガスとして用いる微細パターンの形成方法においても、レジスト塗布装置で行っていた形状加工工程(スリミング工程)を、処理容器にスリミング工程を行うための機構(酸素含有ガスプラズマ又はオゾンガス供給する酸素ラジカル供給手段)を具備した成膜装置を用いることによって形状加工工程(スリミング工程)と成膜工程とを連続して処理することができる。従って、レジストパターンをスリミング処理する処理装置を使用する工程を削減することができるため、微細パターンを形成するプロセスのコストを低減することができる。
(第5の実施の形態)
次に、図21から図27を参照し、本発明の第5の実施の形態に係る微細パターンの形成方法について説明する。
図21は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図22A及び図22Bは、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、各工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。また、図21の、ステップS111乃至ステップS117及びステップS118の各々の工程が行われた後の微細パターンの構造は、図22A(a)乃至図22B(g)及び図22B(h)の各々の断面図で示される構造に対応する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、酸化膜としてシリコン酸化膜に代え、アルミニウム酸化膜を成膜する点において、第1の実施の形態と相違する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、図21に示すように、半導体基板上に薄膜を形成する工程と、薄膜上にレジスト膜を形成する形成工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、第1のピッチで配列するレジストパターン(第1のレジストパターン(ライン部))に加工するパターン加工工程(第1のパターン加工工程)と、第1のレジストパターンの形状を加工する形状加工工程(第1の形状加工工程)と、ソースガスと酸素ラジカルを供給し、形状加工工程(第1の形状加工工程)により形状を加工されたレジストパターン(第1のレジストパターン)及び薄膜上に、常温でアルミニウム酸化膜を成膜する成膜工程と、エッチング工程と、レジストパターンを除去し、有機膜をエッチングする工程と、薄膜をエッチングする工程とを含む。薄膜を形成する工程はステップS111の工程を含み、レジスト膜を形成する工程はステップS112の工程を含み、パターン加工工程はステップS113の工程を含み、形状加工工程はステップS114の工程を含み、成膜工程はステップS115の工程を含み、エッチング工程はステップS116の工程を含み、レジストパターンを除去し、有機膜をエッチングする工程はステップS117の工程を含み、薄膜をエッチングする工程はステップS118の工程を含む。なお、図21におけるエッチング工程は、本発明における酸化膜エッチング工程に相当する。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と相違し、図21に示すように、ステップS114とステップS115の工程は、同一チャンバ(処理容器)内で連続処理されてもよいが、同一チャンバ(処理容器)内連続処理されなくてもよい。同一チャンバ(処理容器)内で連続処理されなくてもよいのは、後述するように、アルミニウム酸化膜を成膜する際にチャンバ内にプラズマを発生させる必要がないため、レジスト膜がプラズマによりアッシングされて形状が変化することがないことによる。
ステップS111は、半導体基板上に薄膜を形成する工程であり、第1の実施の形態に係るステップS11と同様である。図22A(a)は、ステップS111の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
ステップS111では、図22A(a)に示すように、半導体基板201上に、下から順に薄膜202、有機膜203を形成する。半導体基板201、薄膜202、有機膜203は、第1の実施の形態における半導体基板101、薄膜102、有機膜103と同様である。
なお、本実施の形態に係る薄膜及び有機膜は、それぞれ本発明における被エッチング膜、反射防止膜に相当する。
薄膜202の材質は、特に限定されるものではなく、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコン、又はポリシリコンを含む膜を用いることができる。
ステップS112は、フォトレジスト膜204を成膜する工程であり、第1の実施の形態におけるステップS12と同様である。図22A(b)は、ステップS112が行われた後の微細パターン構造を示す断面図である。フォトレジスト膜204は、第1の実施の形態におけるフォトレジスト膜104と同様である。
次に、ステップS113を含むパターン加工工程を行う。ステップS113は、成膜されたフォトレジスト膜204を露光、現像してフォトレジスト膜204よりなるレジストパターン204a(ライン部)を形成する工程であり、第1の実施の形態におけるステップS13と同様である。図22A(c)は、ステップS113の工程が行われた後の微細パターン構造を示す断面図である。図22A(c)に示すように、ライン部のライン幅LL4及びスペース幅SS4を有し、フォトレジスト膜204よりなるレジストパターン204aが形成される。
なお、本実施の形態において、ライン幅LL4を有し、レジストパターンを構成する一つ一つのラインをライン部と定義する。従って、本実施の形態に係るパターン加工工程は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、所定のピッチで配列するライン部を含むレジストパターンに加工する工程である。
次に、ステップS114を含む形状加工工程を行う。ステップS114は、フォトレジスト膜204よりなるレジストパターン204aをスリミング処理し、フォトレジスト膜204よりなるレジストパターン204b(ライン部)を形成する工程であり、第1の実施の形態におけるステップS14と同様である。図22A(d)は、ステップS114の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ステップS114を、その後連続して行われるステップS115の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器内で行ってもよい。また、ステップS115の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器と異なる処理容器内で行ってもよい。また、スリミング処理の方法は、第1の実施の形態と同様に行うことができ、スリミング処理されてできるレジストパターン204bのライン幅LL1及びスペース幅SS1は、LL1<LL4、SS1>SS4となる。
次に、ステップS115を含む成膜工程を行う。ステップS115は、スリミング処理されたレジストパターン204b及び有機膜203上に、Al2O3膜205を成膜する成膜工程である。また、図22B(e)は、ステップS115の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。
なお、Al2O3膜(酸化アルミニウム膜)は、本発明におけるアルミニウム酸化膜に相当する。また、以下において、Al2O3膜の代わりに、AlOx膜を始めとし、アルミニウムと酸素を主成分として含む他の組成の膜であってもよい。あるいは、室温で成膜することができ、成膜時にレジストパターンにダメージを与えないような酸化膜であれば、アルミニウム以外の金属の酸化膜を用いてもよい。
Al2O3膜205の成膜工程は、高温に弱いフォトレジスト膜204がレジストパターン204bとして残った状態で行うため、低温で成膜することが好ましい。成膜方法として、低温で成膜できるのであれば、特に限定されるものではなく、本実施の形態でも、低温MLDによって行うことができる。その結果、図22B(e)に示されるように、レジストパターン204bが形成されている場所及び形成されていない場所を含め、基板全面にAl2O3膜205が成膜され、レジストパターン204bの側面にもレジストパターン204bの側面を被覆するようにAl2O3膜205が成膜される。このときのAl2O3膜205の厚さをDとすると、レジストパターン204bの側面を被覆するAl2O3膜205の幅もDとなり、Dを例えば30nmとすることができる。
ここで、低温MLDによるAl2O3膜の成膜工程について説明する。
低温MLDにおいては、アルミニウムを含む原料ガスを処理容器内に供給し、アルミニウム原料を基板上に吸着させる工程と、オゾンガスを含むガスを処理容器内に供給し、アルミニウム原料を酸化させる工程とを交互に繰り返す。
具体的には、アルミニウムを含む原料ガスを基板上に吸着させる工程においては、アルミニウムを含む原料ガスとして、例えばトリメチルアルミニウム(以下、TMAという)をアルミニウム原料ガスの供給ノズルを介して処理容器内に所定の時間(図25で後述するT3´)供給する。これにより、基板上にTMAを吸着させる。
次に、オゾンガスを含むガスを処理容器内に供給し、アルミニウム材料を酸化させる工程においては、オゾンガスをガス供給ノズルを介して処理容器内に所定の時間(図25で後述するT4´)供給する。これにより、基板上に吸着されたTMAが酸化され、Al2O3膜205が形成される。
また、第1の実施の形態と同様に、上述したアルミニウムを含む原料ガスを基板上に吸着させる工程と、酸化性の高いガスを処理容器内に供給し、アルミニウム材料を酸化させる工程とを切り替える際に、各々の工程の間に、直前の工程における残留ガスを除去するために、処理容器内を真空排気しつつ例えばN2ガス等の不活性ガスよりなるパージガスを処理容器内に供給する工程を所定の時間(図25で後述するT5)行うことができる。
本実施の形態においては、Al2O3膜205を成膜するためのAlソースガスとして有機アルミニウム化合物を含むソースガスを用いる。有機アルミニウム化合物を含むAlソースガスの例は、例えば、トリアルキルアルミニウムである。トリアルキルアルミニウムの具体的な例は、例えば、TMA(トリメチルアルミニウム)、TEAL(トリエチルアルミニウム)、TIBA(トリイソブチルアルミニウム)、DEAC(ジエチルアルミニウムクロライド)、EASC(エチルアルミニウムセスキクロライド)、EADC(エチルアルミニウムジクロライド)、TNOA(トリ-n-オクチルアルミニウム)である。
一方、酸化性の高いガスとしては、例えば、O3ガス(オゾンガス)、水蒸気酸化処理(WVG;Water Vapor Generation)ガスを用いることができる。WVGガスとしては、供給するガス中にH2Oガス(水蒸気)が含まれていればよく、H2Oガス(水蒸気)を含むガス、H2ガス(水素ガス)とO2ガス(酸素ガス)とを予め高温で混合して発生した水蒸気を含むガス、あるいはH2ガス(水素ガス)又はO2ガス(酸素ガス)を水中バブリングすることにより水蒸気で飽和させたガス、等を用いることができる。
次に、ステップS116の工程を含むエッチング工程を行う。ステップS116は、Al2O3膜205がレジストパターン204bの側壁部205aとしてのみ残るようにエッチング(エッチバック)するエッチング工程であり、第1の実施の形態におけるステップS16と同様である。図22B(f)は、ステップS116の工程が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。レジストパターン204b及び側壁部205aよりなる第3のパターン206が形成される。第3のパターン206のライン幅をLL3、スペース幅をSS3とすると、LL3=LL1+D×2、SS3=LL1+SS1―LL3である。
また、エッチング工程を行うことにより、酸化膜は、形状を加工されたレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、エッチングされる。従って、エッチング工程は、酸化膜が、形状を加工されたレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、酸化膜をエッチングする工程である。
ステップS117は、レジストパターン204bを除去して側壁部205aを形成する工程と、更に形成された側壁部205aをマスクとして有機膜203をエッチングする工程である。すなわち、ステップS117は、アルミニウム酸化膜がレジストパターン(第1のレジストパターン(ライン部))の側面に側壁として残存するように、アルミニウム酸化膜をエッチングする酸化膜エッチング工程であり、第1の実施の形態におけるステップS17と同様である。また、図22B(g)は、ステップS117が行われた後の微細パターンの構造を示す断面図である。ライン幅がD、スペース幅がLL1及びSS3が交互に現れるようなパターンである第2のパターン207が形成される。また、第1の実施の形態と同様に、スペース幅はLL1及びSS3に等しいSS2とし、Dに等しいライン幅をあらためてLL2とすることができる。
なお、第2のパターン207は、側壁部205a及び有機膜(反射防止膜)203よりなり、本発明におけるマスクパターンに相当する。
その後、第2のパターン207をマスクとし、薄膜202をエッチングするのは、第1の実施の形態と同様である。すなわち、ステップS118を行う。ステップS118では、第2のパターン(マスクパターン)207を用いて薄膜(被エッチング膜)202を加工して、図22B(h)に示すように、薄膜(被エッチング膜)202よりなるパターン202aを形成する。パターン202aの上部には、有機膜(反射防止膜)203が残っていてもよい。薄膜202のエッチングは、CF系ガス、CHF系ガス、CH系ガス、又は酸素ガス等を含むガスを用いて行うことができる。
なお、有機膜(反射防止膜)203を形成する工程(ステップS111の一部)から、側壁部205a及び有機膜(反射防止膜)203よりなるマスクパターンを形成する工程(ステップS117)までを、本発明におけるマスクパターンの形成方法と定義する。また、そのマスクパターンの形成方法を含み、薄膜(被エッチング膜)202を形成する工程(ステップS111の一部)から薄膜(被エッチング膜)202よりなるパターン202aを形成する工程(ステップS118)までを、本発明における微細パターンの形成方法と定義する。
次に、図3、図4、図23及び図24を参照し、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置について説明する。
図23は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置の構成を模式的に示す縦断面図である。図24は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法に使用される成膜装置の構成を模式的に示す横断面図である。なお、図24においては、加熱装置を省略している。
本実施の形態に係る成膜工程を図3及び図4に示す成膜装置80を用いて行う場合は、第1の実施の形態で説明したのと同様に、形状加工工程であるスリミング処理と、成膜工程である成膜処理とを同じ成膜装置の中で連続処理することができる。
一方、本実施の形態では、成膜工程をスリミング処理を行う処理容器と異なる処理容器を有する成膜装置で行ってもよい。このような成膜装置の例を図23及び図24に示す。
図23及び図24に示す成膜装置80bは、図3及び図4に示す成膜装置80において、プラズマ生成機構30及びそれに関連する部分を除いたものである。天井板2、マニホールド3、シール部材4、ウェハボート5、支柱6、保温筒7、テーブル8、蓋部9、回転軸10、磁性流体シール11、シール部材12、アーム13、パージガス供給機構16、排気口37、排気口カバー部材38、ガス出口39、加熱装置40、コントローラ50、インターフェース51、記憶部52については、成膜装置80の各構成部材と同様である。
一方、成膜装置80bには、成膜装置80の酸素含有ガス供給機構14に代え、オゾンガス供給機構14bが設けられる。オゾンガス供給機構14bは、オゾンガス供給源17bと、オゾンガス供給源17bからオゾンガスを導くオゾンガス配管18eと、このオゾンガス配管18eに接続され、マニホールド3の側壁を内側へ貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英管よりなるオゾンガス分散ノズル19bを有している。オゾンガス分散ノズル19bの垂直部分には、複数のガス吐出孔19cが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス吐出孔19cから水平方向に処理容器1bに向けて略均一にオゾンガスを吐出することができるようになっている。
また、成膜装置80bには、成膜装置80のSiソースガス供給機構15に代え、Alソースガス供給機構15bが設けられる。Alソースガス供給機構15bは、Alソースガス供給源20bと、このAlソースガス供給源20bからAlソースガスを導くAlソースガス配管21cと、このAlソースガス配管21cに接続され、マニホールド3の側壁を内側へと貫通して上方向へ屈曲されて垂直に延びる石英管よりなるAlソースガス分散ノズル22bと、を有している。Alソースガス分散ノズル22bには、その長さ方向に沿って複数のガス吐出口22cが所定の間隔を隔てて形成されており、各ガス吐出孔22cから水平方向に処理容器1b内に略均一に有機アルミニウム化合物を含むAlソースガスを吐出することができるようになっている。なお、図24に示すように、Alソースガス分散ノズル22bは2本設けられてもよく、1本のみ設けられてもよい。
なお、オゾンガス供給機構14bは、本発明における酸素ラジカル供給手段に相当し、Alソースガス供給機構15bは、本発明におけるソースガス供給手段に相当する。
オゾンガス配管18e、Alソースガス配管21c、パージガス配管24には、それぞれ開閉弁18f、21d、24a、及びマスフローコントローラのような流量制御器18g、21e、24bが設けられており、オゾンガス、Alソースガスおよびパージガスをそれぞれ流量制御しつつ供給することができるようになっている。
また、成膜装置80bには、成膜装置80で酸素含有ガスのプラズマを形成するプラズマ生成機構30に相当する部材は設けられていない。従って、処理容器1bは、成膜装置80の処理容器1のように、側壁の一部が凹部状に外側へ窪ませた状態とならなくてもよい。また、オゾンガス分散ノズル19bも、処理容器1b内を上方向に延びている途中で処理容器1bの半径方向外方へ屈曲されなくてもよい。
また、加熱装置40は、本実施の形態に係るアルミニウム酸化膜を成膜する際には、用いられないため、省略することができる。
次に、図25を参照し、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の形状加工工程及び成膜工程における処理について説明する。
図25は本実施の形態における微細パターンの形成方法を説明するための図であり、形状加工工程及び成膜工程におけるガスの供給のタイミングを示すタイミングチャートである。
図25に示すように、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の形状加工工程及び成膜工程におけるガスの供給のタイミングは、Siソースガスに代え、Alソースガスを用い、酸素含有ガスに代えてオゾンガスを用いる点、成膜工程においてプラズマを用いない点を除き、第1の実施の形態と同様である。
工程S1及びS2については、第1の実施の形態と同様である。ただし、成膜工程を図23及び図24に示すプラズマ生成機構を有しない成膜装置を用いて行う場合には、工程S1をプラズマ生成機構を有する別の処理容器内で行い、工程S2において、ウェハを成膜装置に搬入し、パージガスを供給する。
その後、有機アルミニウム化合物を含むAlソースガスを処理容器1b内に流してAlソースを吸着させる工程S3´と、オゾンガスを処理容器1bに供給してAlソースガスを酸化させる工程S4´とを交互に繰返す。
具体的には、本実施の形態においては、工程S3´において、Alソースガス供給機構15bのAlソースガス供給源20bからAlソースガスとして例えばTMAをAlソースガス配管21c及びAlソースガス分散ノズル22bを介してガス吐出孔22cから処理容器1b内にT3´の時間供給する。これにより、半導体ウェハにAlソースガスを吸着させる。このときの時間T3´は1〜600secが例示される。また、Alソースガスの流量は、10〜500mL/min(sccm)が例示される。また、この際の処理容器1b内の圧力は13.3〜665Paが例示される。
工程S4´のオゾンガスを供給する工程においては、オゾンガス供給機構14bのオゾンガス供給源17bからオゾンガスをオゾンガス配管18e及びオゾンガス分散ノズル19bを介してガス吐出孔19cから吐出させる。これにより、半導体ウェハWに吸着されたAlソースが酸化されたAl2O3が形成される。この処理の時間T4´は1〜600secの範囲が例示される。また、オゾンガスの流量は、100〜20000mL/min(sccm)が例示される。また、この際の処理容器1b内の圧力は、13.3〜665Paが例示される。また、オゾンガスに代え、前述した水蒸気酸化処理ガスを用いることができる。
また、工程S3´と工程S4´との間に行われる工程S5は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態における成膜工程を行うと、Alソースとして有機アルミニウム化合物を含むソースガスを用い、酸化処理において反応が温度を上昇させずに進行するオゾンガス又は水蒸気酸化処理ガスを用い、これらを交互に供給するので、良好な膜質のAl2O3膜を100℃以下、又は室温といった従来では考えられない低温で成膜することができる。
本実施の形態において、形状加工工程と、成膜工程とを同じ成膜装置の処理容器内で行う場合には、第1の実施の形態において図7及び図8を用いて説明した工程を削減する作用効果を有する。
(成膜処理を行う際のレジストパターンの形状制御効果)
次に、図26及び表2を参照し、本実施の形態において、形状加工工程で加工したレジストパターンの形状が、成膜工程の前後で変化せず、レジストパターンの形状を精密に制御できる効果について説明する。以下では、成膜工程後のレジストパターンの幅寸法等を測定して評価を行ったので、その評価結果について説明する。図26は、実施例2及び比較例2でアルミニウム酸化膜を成膜した後のレジストパターンを撮影した写真及び写真を説明する図である。
実施例2として、形状加工工程を行った後のレジストパターン上に、Alソースガスとオゾンガスを交互に供給し、アルミニウム酸化膜を成膜する成膜工程を行った。また、比較例2として、形状加工工程を行った後のレジストパターン上に、Siソースガスと酸素含有ガスプラズマを交互に供給し、シリコン酸化膜を成膜する成膜工程を行った。実施例2及び比較例2における成膜工程の成膜条件を以下に示す。
(実施例2)
(1)原料ガス供給条件
原料ガス:TMA
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:39.9Pa
ガス流量:100sccm
供給時間:5sec
(2)酸化ガス供給条件
酸化ガス:オゾンガス+酸素ガス
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:133Pa
オゾンガス流量:200g/m3
酸素ガス流量:10.0slm
供給時間:15sec
(3)繰返し条件
合計サイクル:210サイクル
(比較例2)
(1)原料ガス供給条件
原料ガス:DIPAS
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:26.7〜227Pa
ガス流量:50〜1000sccm
供給時間:1〜10sec
(2)酸化ガス供給条件
酸化ガス:酸素ガス
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:66.7〜227Pa
ガス流量:5〜30slm
供給時間:5〜30sec
高周波電源周波数:13.56MHz
高周波電源パワー:50〜500W
(3)繰返し条件
合計サイクル:140〜150サイクル
図26に、実施例2及び比較例2で酸化膜を成膜した後のレジストパターンをSEMを用いて撮影した写真を示す。図26(a)及び図26(b)は、それぞれアルミニウム酸化膜を成膜した後(実施例2)、及びシリコン酸化膜を成膜した後(比較例2)のレジストパターンの断面を撮影した写真(左側)と、写真を模式的に説明する図(右側)とを示す図である。図26(a)及び図26(b)に示すように、酸化膜の膜厚をDとし、レジストパターンの高さ寸法をHとし、先端におけるレジストパターンの幅寸法をTとし、根元から先端までの半分の高さの位置におけるレジストパターンの幅寸法をMとし、根元におけるレジストパターンの幅寸法をBとする。
次に、実施例2、及び比較例2を行って得られたレジストパターンにおけるH、T、M、B及び先端と根元との間の幅寸法の比率T/Bについて、具体的な寸法値を表2に示す。なお、表2に示すように、実施例2及び比較例2において、それぞれDは30nmであった。
表2に示すように、アルミニウム酸化膜を成膜した場合には、シリコン酸化膜を成膜した場合よりも、レジストパターンの高さ寸法H、先端、半分の高さ、根元の各位置における幅寸法T、M、Bの値が大きい。すなわち、アルミニウム酸化膜を成膜する前後におけるレジストパターンの寸法の減少量は、シリコン酸化膜を成膜する前後におけるレジストパターンの寸法の減少量よりも少ない。
また、表2に示すように、アルミニウム酸化膜を成膜した場合には、シリコン酸化膜を成膜した場合よりも、レジストパターンの先端と根元との間の幅寸法の比率T/Bは増大して1に近い値となる。すなわち、アルミニウム酸化膜を成膜した場合には、シリコン酸化膜を成膜した場合に対し、先端と根元との間の幅寸法の差を少なくすることができる。
(成膜処理を行う際にレジストパターンが受ける損傷減少効果)
次に、図27及び表3を参照し、本実施の形態において、形状加工工程で加工したレジストパターンが、成膜工程で受けるダメージ(損傷)を減少する効果について説明する。以下では、実施例3、4を実施し、フォトレジスト膜を成膜した後、フォトレジスト膜の形状を加工せずに、酸化膜を成膜した後のフォトレジスト膜の膜厚を測定し、比較例3と比較して評価を行ったので、その評価結果について説明する。図27は、実施例3、4及び比較例3における、レジストのアッシング量を測定するための膜の構造を模式的に示す断面図である。
実施例3として、図27(a)に示すように、半導体基板201上に、約300nmの厚さのフォトレジスト膜204を形成し、フォトレジスト膜204の膜厚を測定し、HP1とした。次に、フォトレジスト膜204の上に、Alソースガスとオゾンガスを交互に供給し、Al2O3膜205を成膜する成膜工程を行った。このとき、Alソースガスとオゾンガスとを交互に供給する供給サイクルを変え、Al2O3膜205の膜厚HAを5、10、15、20nmと変えた。次に、フッ酸(HF)洗浄を行ってAl2O3膜205を除去し、表面に露出したフォトレジスト膜204の膜厚を測定し、HP2とした。レジスト膜厚目減り量から求めたアッシング量を、HP1とHP2との差HP1−HP2とした。実施例3の(1)原料ガス供給条件、(2)酸化ガス供給条件は、実施例2と同様とし、(3)繰返し条件は、35〜140サイクルとした。
また、実施例4として、実施例3におけるオゾンガスに代えて水蒸気酸化処理ガスを用いた場合について、実施した。また、実施例4においては、Al2O3膜205の膜厚HAが10nmの一例についてのみ行った。
また、比較例3として、図27(b)に示すように、半導体基板101上に、約300nmの厚さのフォトレジスト膜104を形成し、フォトレジスト膜104の膜厚を測定し、HP1とした。次に、フォトレジスト膜104の上に、Siソースガスと酸素含有ガスを交互に供給し、SiO2膜105を成膜する成膜工程を行った。このとき、SiO2膜105の膜厚をHSとした。次に、フッ酸(HF)洗浄を行ってSiO2膜105を除去し、表面に露出したフォトレジスト膜104の膜厚を測定し、HP2とした。実施例3と同様に、レジスト膜厚目減り量から求めたアッシング量を、HP1とHP2との差HP1−HP2とした。比較例3の(1)原料ガス供給条件、(2)酸化ガス供給条件は、比較例2と同様とし、(3)繰返し条件は、20〜25サイクルとした。
次に、実施例3におけるAl2O3膜の各膜厚の例、実施例4、及び比較例3を行って得られたアッシング量HP1−HP2について、具体的な寸法値を表3に示す。
表3に示すように、アルミニウム酸化膜を成膜した場合には、オゾンガス、水蒸気酸化処理ガスのいずれを用いた場合にも、アッシング量HP1−HP2は、シリコン酸化膜を成膜した場合に比べて小さい。また、オゾンガスを用いる場合には、アルミニウム酸化膜の膜厚HAに関わらず、アッシング量HP1−HP2が略等しい。すなわち、アルミニウム酸化膜の成膜時間、成膜厚さの増大に伴って、アッシング量は増大しない。従って、アルミニウム酸化膜の成膜自体によっては、レジストはアッシングされない。これは、アルミニウム酸化膜を成膜する際に、酸素プラズマが発生しないためであると考えられる。
以上、本実施の形態では、酸化シリコンを成膜する第1の実施の形態よりも、形状加工工程で加工したレジストパターンの形状が、成膜工程の前後で変化しないため、レジストパターンの形状を精密に制御することができるという効果を奏する。
なお、本実施の形態では、例えば図23及び図24を用いて説明したように、形状加工工程を成膜工程を行う成膜装置と異なる処理容器内で行う場合にも、レジストパターンの形状を精密に制御することができる。
(第6の実施の形態)
次に、図28乃至図29Cを参照し、本発明の第6の実施の形態に係る微細パターンの形成方法について説明する。
図28は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図29A乃至図29Cは、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、各工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。また、図28のステップS121乃至ステップS130の各々の工程が行われた後の微細パターンの構造は、図29A(a)乃至図29C(j)の各々の断面図で示される構造に対応する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、シリコン酸化膜に代えアルミニウム酸化膜を成膜する点において、第3の実施の形態と相違する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法も、第3の実施の形態と同様に、図28に示すように、半導体基板上に薄膜及び反射防止膜を形成する工程と、薄膜及び反射防止膜上にレジスト膜を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて、第1のピッチで配列するレジストパターン(第1のレジストパターン(ライン部))に加工するパターン加工工程(第1のパターン加工工程)と、レジストパターン(第1のレジストパターン)の形状を加工する形状加工工程(第1の形状加工工程)と、ソースガスと酸素含有ガスを供給し、形状加工工程(第1の形状加工工程)により形状を加工されたレジストパターン(第1のレジストパターン)及び薄膜上に、常温でアルミニウム酸化膜を成膜する成膜工程とを行う。そしてその後、アルミニウム酸化膜上に、反射防止膜を形成する工程と、レジスト膜(第2のレジスト膜)を形成する工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜(第2のレジスト膜)を、第1のピッチと略等しい第2のピッチで配列し、かつ、第1のピッチの略半分ずらしてレジストパターン(第1のレジストパターン)と交互に配列するレジストパターン(第2のレジストパターン)に加工するパターン加工工程(第2のパターン加工工程)と、レジストパターン(第2のレジストパターン)の形状を加工する形状加工工程(第2の形状加工工程)とを行う。そしてその後、更に、エッチング工程を行う。また、薄膜を形成する工程はステップS121の工程を含み、レジスト膜を形成する工程は1回目のステップS122の工程と2回目のステップS127の工程とを含み、パターン加工工程は1回目のステップS123の工程と2回目のステップS128の工程とを含み、形状加工工程は1回目のステップS124の工程と2回目のステップS129の工程とを含み、成膜工程はステップS125の工程を含み、エッチング工程はステップS130の工程を含む。
ステップS121は、第3の実施の形態におけるステップS21と同様の工程であり、図29A(a)に示すように、半導体基板251上に、薄膜252を形成する。薄膜252は後に微細パターンに加工される膜であり、SiNやSiO2の絶縁膜であっても良く、導電性ポリシリコンのような導電膜であっても良く、薄膜252をSiNとしてもよいのは、第3の実施の形態と同様である。すなわち、薄膜252の材質は、特に限定されるものではなく、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコン、又はポリシリコンを含む膜を用いることができる。また、半導体基板251が、導電膜、層間絶縁膜が形成された構造体を含んでもよく、薄膜252上に反射防止材料を塗布し、反射防止膜(BARC)253を形成するのも、第3の実施の形態と同様である。
また、本実施の形態に係る薄膜は、本発明における被エッチング膜に相当する。
ステップS122は、第3の実施の形態におけるステップS22と同様の工程であり、図29A(b)に示すように、反射防止膜253上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト膜254を形成する。
ステップS123は、第3の実施の形態におけるステップS23と同様の工程であり、図29A(c)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジスト膜254を露光、現像し、所定のピッチp1を有するレジストパターン254aを形成する。
なお、本実施の形態に係るレジストパターン254a及びパターン加工工程(ステップS123)は、それぞれ本発明における第1のレジストパターン及び第1のパターン加工工程に相当する。また、本実施の形態に係るピッチp1は、本発明における第1のピッチに相当する。従って、ステップS123のパターン加工工程(第1のパターン加工工程)は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、第1のピッチで配列する第1のレジストパターンに加工する工程である。
ステップS124は、第3の実施の形態におけるステップS24と同様の工程であり、図29A(d)に示すように、フォトレジスト膜254よりなるレジストパターン254aをスリミング処理し、フォトレジスト膜254よりなるレジストパターン254bを形成する工程である(第1回スリミング処理)。スリミング処理の方法は、特に限定されるものではなく、酸素ラジカル、又はオゾンガスを含む雰囲気中で行うことができ、温度は室温〜100℃である。
なお、本実施の形態に係る形状加工工程(ステップS124)は、本発明における第1の形状加工工程に相当する。
また、ステップS124は、その後連続して行われるステップS125の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器内で行われてもよく、ステップS125の成膜工程を行うための成膜装置とは別の処理容器内で行われてもよい。
ステップS125は、第3の実施の形態におけるステップS25と同様の工程であり、図29B(e)に示すように、スリミング処理されたレジストパターン254b及び反射防止膜253上に、薄膜252、反射防止膜253、及びレジストパターン254bとは異なるAl2O3膜255を形成する工程である。
ステップS125の工程において、Al2O3膜255は、後に行われる2回目のフォトリソグラフィ工程から、レジストパターン254bを保護するために形成される。具体的には、第5の実施の形態で説明したのと同様に、有機アルミニウム化合物を含むソースガスとオゾンガス(又は水蒸気酸化処理ガス)とを交互に供給しながら、スリミング処理されたレジストパターン254b及び反射防止膜253上に、Al2O3膜255を形成する。
なお、ステップS125の成膜工程における成膜処理を、ハードニング処理ともいうことは、第3の実施の形態と同様である。また、Al2O3膜は、本発明におけるアルミニウム酸化膜に相当すること、また、Al2O3膜の代わりに、AlOx膜を始めとし、アルミニウムと酸素を主成分として含む他の組成の膜であってもよいことは、第5の実施の形態と同様である。また、室温で成膜することができ、成膜時にレジストパターンにダメージを与えないような酸化膜であれば、アルミニウム以外の金属の酸化膜を用いてもよいことも、第5の実施の形態と同様である。
ステップS126は、第3の実施の形態におけるステップS26と同様の工程であり、図29B(f)に示すように、Al2O3膜255上に反射防止材料を塗布し、反射防止膜(BARC)256を形成する。ただし、ステップS125の後、ステップS126における2回目の反射防止膜256の形成を省略し、ステップS127を行ってもよい。
なお、ステップS126を省略した場合、ステップS121で形成した反射防止膜253が2回目のパターン加工工程であるステップS128における露光の際に、反射防止膜として機能する。
ステップS127は、第3の実施の形態におけるステップS27と同様の工程であり、図29B(g)に示すように、Al2O3膜255上にフォトレジストを塗布し、フォトレジスト膜257を形成する。
なお、本実施の形態に係るフォトレジスト膜257は、本発明における第2のレジスト膜に相当する。
ステップS128は、第3の実施の形態におけるステップS28と同様の工程であり、図29B(h)に示すように、成膜されたフォトレジスト膜257を露光、現像して所定のピッチp2を有するフォトレジスト膜257よりなるレジストパターン257aを形成する工程である。このときレジストパターン257aのピッチは、所定のピッチp2である。また、本実施の形態では、レジストパターン257aは、1回目のフォトリソグラフィでスリミング処理されたレジストパターン254aと同じライン・アンド・スペースパターンである。さらに、レジストパターン257aは、スリミング処理されたレジストパターン254b間に配置され、レジストパターン254bとレジストパターン257aとが交互に配置されるように加工する。
なお、本実施の形態に係るレジストパターン257a及びパターン加工工程(ステップS128)は、それぞれ本発明における第2のレジストパターン及び第2のパターン加工工程に相当する。また、本実施の形態に係るピッチp2は、本発明における第2のピッチに相当し、ピッチp1(第1のピッチ)に略等しい。従って、ステップS128のパターン加工工程(第2のパターン加工工程)は、フォトリソグラフィ技術を用いて、第2のレジスト膜を、第1のピッチと略等しい第2のピッチで配列し、かつ、第1のピッチの略半分ずらして第1のレジストパターンと交互に配列する第2のレジストパターンに加工する工程である。
ステップS129は、第3の実施の形態におけるステップS29と同様の工程であり、図29C(i)に示すように、レジストパターン257aを形成するフォトレジスト膜257をスリミング処理し、フォトレジスト膜257よりなるレジストパターン257bを形成する工程である(第2回スリミング処理)。ここでも、スリミング処理の方法は、特に限定されるものではなく、酸素ラジカル、又はオゾンガスを含む雰囲気中で行うことができ、温度は室温〜100℃である。
ステップS129は、ステップS125の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器内で行われてもよく、ステップS125の成膜工程を行うための成膜装置とは別の処理容器内で行われてもよい。
第2回スリミング処理により、レジストパターン254b及び257bからなるレジストパターンが形成される。このレジストパターンは、パターン254bと257bとが交互に配置されたパターンであるので、そのピッチp3は、ピッチp1、及びp2よりも狭いピッチ、本実施の形態では、ピッチp1及びp2のほぼ1/2のピッチとなる。このように、ピッチp1で配列するレジストパターン254bと、ピッチp1と略等しいピッチp2で配列する257bとを交互に配置することで、解像限界以下のピッチを有するレジストパターンを形成することができる。
なお、本実施の形態に係る形状加工工程(ステップS129)は、本発明における第2の形状加工工程に相当する。
また、ステップS129は、アルミニウム酸化膜を成膜する成膜装置内で行ってもよく、あるいは、アルミニウム酸化膜を成膜する成膜装置と異なる装置内で行ってもよい。
ステップS130の工程は、第3の実施の形態におけるステップS30の工程と同様であり、図29C(j)に示すように、レジストパターン254b、及び257bをエッチングのマスクに用いて、反射防止膜256、253、Al2O3膜255、及び薄膜252をエッチングし、薄膜252を所望とする微細パターンに加工する。
始めに、形状が加工されたレジストパターン(第1のレジストパターン)254b、及び形状が加工されたレジストパターン(第2のレジストパターン)257bをマスクとして、反射防止膜256、Al2O3膜255及び反射防止膜253をエッチングする。反射防止膜256を省略した場合には、Al2O3膜255及び反射防止膜253をエッチングすればよい。これにより、所定のピッチp1(第1のピッチ)の略半分のピッチで配列し、フォトレジスト膜(第1のレジスト膜)254及びフォトレジスト膜(第2のレジスト膜)257よりなるマスクパターンを形成する。
次に、そのマスクパターンを用いて薄膜(被エッチング膜)252をエッチングし、薄膜252よりなる薄膜パターン(被エッチング膜よりなる被エッチング膜パターン)を形成する。
ステップS130を行って加工された薄膜252のピッチp4は、レジストパターン254b及び257bのピッチp3とほぼ同じとなるので、薄膜252からなる微細パターンのピッチp4は、解像限界以下にできる。このようにして、本実施の形態では、解像限界以下のピッチを有する微細パターンを形成することができる。
なお、反射防止膜253を形成する工程(ステップS121の一部)から、Al2O3膜255及び反射防止膜253をエッチングしてマスクパターンを形成する工程(ステップS130の一部)までを、本発明におけるマスクパターンの形成方法と定義する。また、そのマスクパターンの形成方法を含み、薄膜(被エッチング膜)252を形成する工程(ステップS121の一部)から薄膜(被エッチング膜)252をエッチングする工程(ステップS130)までを、本発明における微細パターンの形成方法と定義する。
本実施の形態でも、第5の実施の形態と同様に、ステップS125でアルミニウム酸化膜を成膜する際に、レジストはアッシングされない。従って、ステップS124において形状加工工程(第1回スリミング処理)を行ってスリミング処理されたレジストパターン254bの形状は、その後の工程において形状が変化することなく維持される。従って、レジストパターン254bと、ステップS129において形状加工工程(第2回スリミング処理)を行ってスリミング処理されたレジストパターン257bとの形状をそろえることができるため、LLEプロセスによって形成される微細パターンの形状をより精密に制御することができる。
(第7の実施の形態)
次に、図30乃至図33を参照し、本発明の第7の実施の形態に係る微細パターンの形成方法について説明する。
図30は、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法の各工程の手順を説明するためのフローチャートである。図31A乃至図31Cは、本実施の形態に係る微細パターンの形成方法を説明するための図であり、各工程における微細パターンの構造を模式的に示す断面図である。また、図30の、ステップS211乃至ステップS218及びステップS219の各々の工程が行われた後の微細パターンの構造は、図31A(a)乃至図31B(h)及び図31C(i)の各々の断面図で示される構造に対応する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、酸化膜としてアルミニウム酸化膜を成膜した後、更にシリコン酸化膜とを成膜する点において、第5の実施の形態と相違する。
本実施の形態に係る微細パターンの形成方法は、図30に示すように、半導体基板上に薄膜を形成する工程と、薄膜上にレジスト膜を形成する形成工程と、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、第1のピッチで配列するレジストパターン(第1のレジストパターン(ライン部))に加工するパターン加工工程(第1のパターン加工工程)と、第1のレジストパターンの形状を加工する形状加工工程(第1の形状加工工程)と、ソースガスと酸素ラジカルを供給し、形状加工工程(第1の形状加工工程)により形状を加工されたレジストパターン(第1のレジストパターン)及び薄膜上に、常温でアルミニウム酸化膜を成膜する成膜工程と、成膜工程の後、有機シリコンを含むソースガスと酸素ラジカルを供給し、アルミニウム酸化膜上に、シリコン酸化膜を成膜するシリコン酸化膜成膜工程と、シリコン酸化膜及びアルミニウム酸化膜がレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、アルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜をエッチングする酸化膜エッチング工程と、レジストパターンを除去し、有機膜をエッチングする工程と、薄膜をエッチングする工程とを含む。薄膜を形成する工程はステップS211の工程を含み、レジスト膜を形成する工程はステップS212の工程を含み、パターン加工工程はステップS213の工程を含み、形状加工工程はステップS214の工程を含み、成膜工程はステップS215の工程を含み、シリコン酸化膜成膜工程はS216の工程を含み、エッチング工程はステップS217の工程を含み、レジストパターンを除去し、有機膜をエッチングする工程はステップS218の工程を含み、薄膜をエッチングする工程はステップS219の工程を含む。なお、図30におけるエッチング工程は、本発明における酸化膜エッチング工程に相当する。
また、本実施の形態では、第5の実施の形態と同様に、図30に示すように、ステップS214とステップS215の工程は、同一チャンバ(処理容器)内で連続処理されなくてもよい。
ステップS211は、第5の実施の形態におけるステップS111と同様の工程であり、図31A(a)に示すように、半導体基板301上に、下から順に薄膜302、有機膜303を形成する。半導体基板301、薄膜302、有機膜303は、第5の実施の形態における半導体基板201、薄膜202、有機膜203と同様である。
なお、本実施の形態に係る薄膜及び有機膜は、それぞれ本発明における被エッチング膜、反射防止膜に相当する。
薄膜202の材質は、特に限定されるものではなく、例えば窒化シリコン、酸化シリコン、酸窒化シリコン、アモルファスシリコン、又はポリシリコンを含む膜を用いることができる。
ステップS212は、第5の実施の形態におけるステップS112と同様の工程であり、図31A(b)に示すように、フォトレジスト膜304を成膜する工程である。
ステップS213は、第5の実施の形態におけるステップS113と同様の工程であり、図31A(c)に示すように、成膜されたフォトレジスト膜304を露光、現像してフォトレジスト膜304よりなるレジストパターン304aを形成する工程である。また、ライン幅LL4及びスペース幅SS4を有し、フォトレジスト膜304よりなるレジストパターン304aが形成される。
なお、本実施の形態において、ライン幅LL4を有し、レジストパターンを構成する一つ一つのラインをライン部と定義する。従って、本実施の形態に係るパターン加工工程は、フォトリソグラフィ技術を用いて、レジスト膜を、所定のピッチで配列するライン部を含むレジストパターンに加工する工程である。
ステップS214は、第5の実施の形態におけるステップS114と同様の工程であり、図31A(d)に示すように、フォトレジスト膜304よりなるレジストパターン304aをスリミング処理し、フォトレジスト膜304よりなるレジストパターン304bを形成する工程である。
本実施の形態でも、第5の実施の形態と同様に、ステップS214を、ステップS215の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器内で行ってもよく、ステップS215の成膜工程を行うための成膜装置の処理容器と異なる処理容器内で行ってもよい。また、スリミング処理の方法は、第5の実施の形態と同様に行うことができ、スリミング処理されてできるレジストパターン304bのライン幅LL1及びスペース幅SS1は、LL1<LL4、SS1>SS4となる。
ステップS215は、図31B(e)に示すように、スリミング処理されたレジストパターン304b及び有機膜303上に、Al2O3膜305aを成膜する成膜工程である。しかしながら、Al2O3膜305aは、レジストパターン304b及び有機膜203上を被覆するためのものであり、第5の実施の形態におけるAl2O3膜205より膜厚が薄くてもよい。Al2O3膜305aの厚さをD1とする。
本実施の形態でも、第5の実施の形態と同様に、Al2O3膜(酸化アルミニウム膜)は、本発明におけるアルミニウム酸化膜に相当し、Al2O3膜の代わりに、AlOx膜を始めとし、アルミニウムと酸素を主成分として含む他の組成の膜であってもよい。また、Al2O3膜305aの成膜工程については、第5の実施の形態と同様に行うことができる。
ステップS216は、第5の実施の形態には含まれていない工程であり、図31B(f)に示すように、ステップS215に示す成膜工程の後、Al2O3膜305a上に、SiO2膜305bを成膜するシリコン酸化膜成膜工程である。シリコン酸化膜成膜工程は、第1の実施の形態におけるステップS15と同様に行うことができる。SiO2膜305bの厚さをD2とする。また、Al2O3膜305aとSiO2膜305bとの積層膜の合計の厚さをDとすると、D=D1+D2となる。また、レジストパターン304bの側面を被覆するAl2O3膜305aとSiO2膜305bとの積層膜の幅もDとなり、Dを例えば30nmとすることができる。
ステップS217は、第5の実施の形態におけるステップS116と同様の工程であり、図31B(g)に示すように、SiO2膜305b及びAl2O3膜305aよりなる積層膜がレジストパターン304bの側壁部305cとしてのみ残るようにエッチング(エッチバック)するエッチング工程である。レジストパターン304b及び側壁部305cよりなる第3のパターン306が形成される。第3のパターン306のライン幅をLL3、スペース幅をSS3とすると、LL3=LL1+D×2、SS3=LL1+SS1―LL3である。
また、エッチング工程を行うことにより、シリコン酸化膜及びアルミニウム酸化膜は、形状を加工されたレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、エッチングされる。従って、エッチング工程は、シリコン酸化膜及びアルミニウム酸化膜が、形状を加工されたレジストパターンのライン部の側面に側壁として残存するように、シリコン酸化膜及びアルミニウム酸化膜をエッチングする工程である。
ステップS218は、第5の実施の形態におけるステップS117と同様の工程であり、図31B(h)に示すように、レジストパターン304bを除去して側壁部305cを形成する工程と、更に形成された側壁部305cをマスクとして有機膜303をエッチングする工程である。ライン幅がD、スペース幅がLL1及びSS3が交互に現れるようなパターンである第2のパターン307が形成される。また、第5の実施の形態と同様に、スペース幅はLL1及びSS3に等しいSS2とし、Dに等しいライン幅をあらためてLL2とすることができる。
なお、第2のパターン307は、側壁部305c及び有機膜(反射防止膜)303よりなり、本発明におけるマスクパターンに相当する。
その後、第2のパターン307をマスクとし、薄膜302をエッチングするのは、第5の実施の形態と同様である。すなわち、ステップS219を行う。ステップS219では、第2のパターン(マスクパターン)307を用いて薄膜(被エッチング膜)302を加工して、図31C(i)に示すように、薄膜(被エッチング膜)302よりなるパターン302aを形成する。パターン302aの上部には、有機膜(反射防止膜)303が残っていてもよい。薄膜302のエッチングは、CF系ガス、CHF系ガス、CH系ガス、又は酸素ガス等を含むガスを用いて行うことができる。
なお、有機膜(反射防止膜)303を形成する工程(ステップS211の一部)から、側壁部305c及び有機膜(反射防止膜)303よりなるマスクパターンを形成する工程(ステップS218)までを、本発明におけるマスクパターンの形成方法と定義する。また、そのマスクパターンの形成方法を含み、薄膜(被エッチング膜)302を形成する工程(ステップS211の一部)から薄膜(被エッチング膜)302よりなるパターン302aを形成する工程(ステップS219)までを、本発明における微細パターンの形成方法と定義する。
本実施の形態では、ステップS215の成膜工程を、第5の実施の形態で図23及び図24を用いて説明した成膜装置を用いて行ってもよい。また、ステップS216のシリコン酸化膜成膜工程を、第1の実施の形態で説明した図3及び図4を用いて説明した成膜装置を用いて行ってもよい。あるいは、ステップS215の成膜工程及びステップS216のシリコン酸化膜成膜工程を、図3及び図4に示す成膜装置を用いて連続して行ってもよく、その場合には、ステップS214の形状加工工程からステップS216のシリコン酸化膜成膜工程までを連続して同一の成膜装置内で行ってもよい。これにより、レジストパターンの表面を清浄に保ったままシリコン酸化膜を成膜することができ、解像限界以下のピッチを有する微細パターンの形状の半導体基板の面内での均一性を、より良好にすることができる。また、レジストパターンをスリミング処理する処理装置を使用する工程を削減することができるため、微細パターンを形成するプロセスのコストを低減することができる。
(成膜処理を行う際のレジストパターンの形状制御効果)
次に、図32及び表4を参照し、本実施の形態において、形状加工工程で加工したレジストパターンの形状が、成膜工程の前後で変化せず、レジストパターンの形状を精密に制御できる効果について説明する。以下では、成膜工程後のレジストパターンの幅寸法等を測定して評価を行ったので、その評価結果について説明する。図32は、実施例5でアルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜を成膜した後のレジストパターンを撮影した写真及び写真を説明する図である。
実施例5として、形状加工工程を行った後のレジストパターン上に、Alソースガスとオゾンガスを交互に供給し、アルミニウム酸化膜を成膜する成膜工程を行った後、Siソースガスと酸素含有ガスを交互に供給し、シリコン酸化膜を成膜するシリコン酸化膜成膜工程を行った。また、その結果を、第5の実施の形態で説明した比較例2と比較した。実施例5における成膜工程の成膜条件を以下に示す。
(実施例5)
(A)アルミニウム酸化膜の成膜条件
(1)原料ガス供給条件
原料ガス:TMA
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:39.9Pa
ガス流量:100sccm
供給時間:5sec
(2)酸化ガス供給条件
酸化ガス:オゾンガス+酸素ガス
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:133Pa
オゾンガス流量:200g/m3
酸素ガス流量:10.0slm
供給時間:15sec
(3)繰返し条件
合計サイクル:30〜150サイクル
(B)シリコン酸化膜の成膜条件
(1)原料ガス供給条件
原料ガス:DIPAS
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:26.7〜667Pa
ガス流量:50〜1000sccm
供給時間:1〜10sec
(2)酸化ガス供給条件
酸化ガス:酸素ガス
基板温度:加熱なし
成膜装置内圧力:66.7〜227Pa
ガス流量:5〜30slm
供給時間:5〜30sec
高周波電源周波数:13.56MHz
高周波電源パワー:50〜500W
(3)繰返し条件
合計サイクル:120〜130サイクル
図32に、実施例5で酸化膜を成膜した後のレジストパターンをSEMを用いて撮影した写真を示す。図32は、アルミニウム酸化膜を成膜した後のレジストパターンの断面を撮影した写真(左側)と、写真を模式的に説明する図(右側)とを示す図である。図32に示すように、酸化膜の膜厚をDとし、レジストパターンの高さ寸法をHとし、先端におけるレジストパターンの幅寸法をTとし、根元から先端までの半分の高さの位置におけるレジストパターンの幅寸法をMとし、根元におけるレジストパターンの幅寸法をBとする。
次に、実施例5、及び比較例2を行って得られたレジストパターンにおけるH、T、M、B及び先端と根元との間の幅寸法の比率T/Bについて、具体的な寸法値を表4に示す。なお、表4に示すように、実施例5において、D1は5nm、D2は25nm、Dは30nmであり、比較例2において、Dは30nmであった。
表4に示すように、アルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜の積層膜を成膜した場合には、シリコン酸化膜を成膜した場合よりも、レジストパターンの高さ寸法H、先端、根元の各位置における幅寸法T、Bの値が大きい。すなわち、アルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜の積層膜を成膜する前後におけるレジストパターンの寸法の減少量は、シリコン酸化膜を成膜する前後におけるレジストパターンの寸法の減少量よりも少ない。
(成膜処理を行う際にレジストパターンが受ける損傷減少効果)
次に、図33及び表5を参照し、本実施の形態において、形状加工工程で加工したレジストパターンが、成膜工程で受けるダメージ(損傷)を減少する効果について説明する。以下では、実施例6、7を実施し、フォトレジスト膜を成膜した後、フォトレジスト膜の形状を加工せずに、酸化膜を成膜した後のフォトレジスト膜の膜厚を測定し、比較例3と比較して評価を行ったので、その評価結果について説明する。図33は、実施例6、7及び比較例3における、レジストのアッシング量を測定するための膜の構造を模式的に示す断面図である。
実施例6として、図33に示すように、半導体基板301上に、約300nmの厚さのフォトレジスト膜304を形成し、フォトレジスト膜304の膜厚を測定し、HP1とした。次に、フォトレジスト膜304の上に、Alソースガスとオゾンガスを交互に供給し、Al2O3膜305aを成膜する成膜工程を行った。このとき、Alソースガスとオゾンガスとを交互に供給する供給サイクルを変え、Al2O3膜305aの膜厚HA1を5、10、15、20nmと変えた。次に、Al2O3膜305aの上に、Siソースガスと酸素含有ガスを交互に供給し、SiO2膜305bを成膜する成膜工程を行った。このとき、Siソースガスと酸素含有ガスとを交互に供給する供給サイクルを変え、SiO2膜305bの膜厚HS1を5nmとした。次に、フッ酸(HF)洗浄を行ってSiO2膜305b及びAl2O3膜305aを除去し、表面に露出したフォトレジスト膜304の膜厚を測定し、HP2とした。レジスト膜厚目減り量から求めたアッシング量を、HP1とHP2との差HP1−HP2とした。実施例6のアルミニウム酸化膜の成膜条件のうち(1)原料ガス供給条件、(2)酸化ガス供給条件は、実施例2と同様とし、(3)繰返し条件は、35〜140サイクルとした。実施例6のシリコン酸化膜の成膜条件のうち(1)原料ガス供給条件、(2)酸化ガス供給条件は、比較例2と同様とし、(3)繰返し条件は、20〜25サイクルとした。
また、実施例7として、実施例6のアルミニウム酸化膜の成膜工程においてオゾンガスに代えて水蒸気酸化処理ガスを用いた場合について、実施した。また、実施例7においては、Al2O3膜305aの膜厚HA1が10nmの一例についてのみ行った。
次に、実施例6におけるAl2O3膜の各膜厚の例、実施例7、及び比較例3を行って得られたアッシング量HP1−HP2について、具体的な寸法値を表5に示す。
表5に示すように、アルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜を成膜した場合には、オゾンガス、水蒸気酸化処理ガスのいずれを用いた場合にも、アッシング量HP1−HP2は、略半分以下になっており、小さい。また、オゾンガスを用いる場合には、アルミニウム酸化膜の膜厚HA1に関わらず、アッシング量HP1−HP2が略等しい。すなわち、アルミニウム酸化膜の成膜時間、成膜厚さの増大に伴って、アッシング量は増大しない。従って、アルミニウム酸化膜の成膜自体によっては、レジストはアッシングされない。これは、アルミニウム酸化膜を成膜する際に、酸素プラズマが発生しないためであると考えられる。
加えて、アルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜を成膜した場合には、シリコン酸化膜を単独で成膜した場合よりも、アッシング量が小さい。従って、レジスト上にシリコン酸化膜を成膜する際に酸素プラズマによりレジストがアッシングされた膜厚が目減りすることを防止することができる、いわゆる酸素プラズマに対するブロッキング性能を向上させることができる。
更に、シリコン酸化膜を成膜する成膜速度はアルミニウム酸化膜を成膜する成膜速度よりも大きくすることが容易である。そのため、アルミニウム酸化膜及びシリコン酸化膜を成膜した場合には、アルミニウム酸化膜を単独で成膜した場合よりも、スループットを向上することができる。
以上、本実施の形態では、酸化シリコンを単独で成膜する第1の実施の形態及び酸化アルミニウムを単独で成膜する第5の実施の形態よりも、レジストパターンの形状を精密に制御することができるとともに、スループットを向上させることができるという効果を奏する。
なお、本実施の形態では、酸化膜を成膜する際にレジストパターンが保護されるため、レジストパターンの形状が維持されやすい。従って、例えば図23及び図24を用いて説明したように、形状加工工程を成膜工程を行う成膜装置と異なる処理容器内で行う場合にも、レジストパターンの形状を精密に制御することができる。
また、本実施の形態で説明した、酸化膜としてアルミニウム酸化膜とシリコン酸化膜との積層膜を用いる方法は、第3の実施の形態及び第6の実施の形態で説明したLLEプロセスにも適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。