JP5236522B2 - 車両用シートベルト装置及び車両用シートベルト巻き取り方法 - Google Patents

車両用シートベルト装置及び車両用シートベルト巻き取り方法 Download PDF

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Description

本発明は車両用シートベルト装置及びシートベルト巻き取り方法の改良技術に関する。
車両の走行状態は極めて多様なものである。例えば、下り坂、上り坂、ワインディングロード(曲がりくねった坂道、Winding Rosd)を走行する場合もある。また、運転者の意志によって、減速走行や加速走行をする場合もある。車両が道路のコーナに進入すると、車両には車幅方向に横加速度が発生する。
これに対し、車両のシートに座った乗員を保護する目的で装備された車両用シートベルト装置について、近年、緊急時や走行状態の不安定時(挙動の異常時)に、シートベルトによる乗員の拘束を行うことにより、乗員の着座姿勢の変化を抑制する技術が実用化されている。このような車両用シートベルト装置としては、例えば下記の特許文献1、特許文献2に記載された技術が知られている。
特許文献1で知られている車両用シートベルト装置は、乗員に装着されているベルトを、車両の走行状態に応じた一定の巻き取り量だけ、ベルトリールによって巻き取るというものである。
特許文献2で知られている車両用シートベルト装置は、車両の前後方向及び左右方向の加速度に基づいて、乗員を拘束するときのベルト張力を制御するというものである。
ところで、乗員の姿勢は、ベルトを装着していても、走行状態に応じて多少変化し得る。例えば、車両が下り坂を走行中や減速走行中の場合には、乗員の姿勢は多少前かがみになりやすい。乗員は、シートバックによって十分には支えられていない状態、つまり、姿勢が十分に保持されない状態となる。この状態において、車両が道路のコーナに進入すると、前かがみ姿勢の乗員に横加速度が作用する。
一方、車両が上り坂を走行中や加速走行中の場合には、乗員は重力や加速度の影響を受けて、シートバックに押し付けられた姿勢になりやすい。この結果、乗員はシートバックによって十分に支えられた状態、つまり、姿勢が保持された状態となる。その分、ベルトの弛みは通常時よりも大きくなる。この状態において、車両が道路のコーナに進入すると、シートバックによって姿勢が保持された乗員に、横加速度が作用する。
この場合において、特許文献1や特許文献2の技術を適用し、走行状態に応じた一定の巻き取り量だけ、ベルトを巻き取ることが考えられる。しかし、単に、ベルトを一定の巻き取り量だけ巻き取るというだけでは、乗員の快適性を高める上で限界がある。
特開2009−6747公報 特許第3988600号公報
本発明は、乗員に装着されているベルトを、車両の走行状態に応じて所定の巻き取り量だけ巻き取る車両用シートベルト装置において、乗員の快適性をより高めることができる、技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明では、乗員を拘束するためのベルトを巻回するベルトリールと、このベルトリールを駆動するモータと、このモータを制御する制御部と、前記ベルトリールによる前記ベルトの巻き取り位置を検知するベルト巻取り位置検知部とを備えた車両用シートベルト装置において、
車両の前後方向の傾き状態と車速の加速・減速操作の操作状態の少なくとも一方の状態を検知する走行状態検知部と、前記車両に対して車幅方向に発生した横加速度を検知する横加速度検知部とを備え、
前記制御部は、
前記横加速度検知部により検知された前記横加速度が所定の横加速度基準値を超えたと判断した場合に、前記乗員に装着されている状態の前記ベルトを、前記ベルトリールにより所定の目標巻取り量だけ巻き取って前記乗員を保持するように前記モータを制御するための、保持制御を実行するとともに、
前記走行状態検知部により検知された検知信号に基づいて、前記車両が前下がりに傾いているという条件と、前記減速操作がされているという条件の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合には、前記車両が前後に傾いておらず且つ加速・減速操作がされていないという通常走行状態の場合に比べて、前記横加速度基準値を小さい値に設定し、
更に、前記保持制御を実行するときにおいて、前記モータに供給する電流を、前記通常走行状態の場合よりも増大させるように制御する構成であることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、前記制御部は、前記車両が前上がりに傾いているという条件と、前記加速操作がされているという条件の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合には、前記横加速度基準値及び前記目標巻取り量を、前記通常走行状態の場合よりも大きい値に設定するように制御する構成であることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、前記制御部は、前記車両が前上がりに傾いているという条件と、前記加速操作がされているという条件の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合には、前記保持制御を実行するときにおいて、前記モータに供給する電流を、前記通常走行状態の場合よりも減少させるように制御する構成であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、制御部は、「車両が前下がり傾き状態にあるか、減速操作されている状態にある」場合の横加速度基準値を、「車両が前後に傾かない状態で、且つ加速・減速操作がされていない」通常走行状態の場合の横加速度基準値に比べて、小さい値に設定する。そして、制御部は、横加速度基準値を超えた横加速度が発生した場合には、乗員に装着されている状態のベルトを、ベルトリールによって所定の目標巻取り量だけ巻き取るように、モータを制御する。
車両が下り坂を走行している場合(車両が前下がりに傾いている場合)、又は運転者が減速操作している場合には、通常走行状態の場合に比べて、乗員の姿勢は多少前かがみになりやすい。これに対して、請求項1に係る発明では、比較的小さい横加速度が発生した場合であっても、ベルトを所定の目標巻取り量だけ巻き取る。このため、例えば、車両が低速で走行しながら、小さい半径のカーブを旋回するときであっても、ベルトによって乗員を確実に保持することができる。乗員にとって、より安心感が増すので、乗員の快適性を、より高めることができる。
また、制御部は、「車両が前下がり傾き状態にあるか、減速操作されている状態にある」場合には、小さい横加速度が発生したときにおいて、モータに供給する電流を、通常走行状態の場合よりも増大させる。このため、ベルトリールによるベルトの巻取り速度は増大する。ベルトの弛みは速やかに除去される。このため、乗員の安心感を高めることができる。
請求項2に係る発明では、制御部は、「車両が前上がりに傾いている状態にあるか、加速操作されている状態にある」場合の横加速度基準値及び目標巻取り量を、通常走行状態の場合の横加速度基準値及び目標巻取り量に比べて、大きい値に設定する。
車両が上り坂を走行している場合(車両が前上がりに傾いている場合)、又は運転者が加速操作している場合には、通常走行状態の場合に比べて、乗員はシートバックに押しつけられた姿勢になりやすい。このため、小さい横加速度が発生した場合には、ベルトによって乗員を拘束しなくても、乗員はそのままの姿勢を維持しやすい。この点を踏まえて、請求項2に係る発明では、比較的大きい横加速度が発生するまで、ベルトの巻き取りを開始しないようにした。従って、乗員はベルトによる拘束感が薄らぐ。
さらに、請求項2に係る発明では、比較的大きい横加速度が発生したときに、通常走行状態の場合よりも、ベルトを大きく巻き取ることによって、ベルトの弛みを除去することができる。このため、ベルトによって乗員を確実に保持することができる。
請求項3に係る発明では、制御部は、「車両が前上がりに傾いている状態にあるか、加速操作されている状態にある」場合には、比較的大きい横加速度が発生したときにおいて、モータに供給する電流を、通常走行状態の場合よりも減少させる。このため、ベルトリールによるベルトの巻取り速度は減少する。ベルトの弛みは緩やかに除去される。従って、乗員の快適性を、より一層高めることができる。
本発明に係る車両用シートベルト装置を備えた車両を側方から見た図である。 図1に示された車両用シートベルト装置を備えた車両を正面から見た図である。 図1に示された車両用シートベルト装置の制御回路図である。 図1に示された車両の走行状態を説明する説明図である。 図3に示された制御部によって実行されるベルト収納制御の一例の制御フローチャート(メインルーチン)である。 図5に示された横加速度対応ベルト制御処理を実行するためのサブルーチンの制御フローチャートである。 図6に示されたベルトの弛み取り制御処理を実行するためのサブルーチンの制御フローチャートである。 図6に示された乗員保持制御処理を実行するためのサブルーチンの制御フローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、車両10に備えたシート20とシートベルト装置30を側方から見た状態で表している。図2は、車室11に設置されたシート20とシートベルト装置30を、正面から見た状態で表している。図1及び図2に示されたシート20は、運転者Mn(乗員Mn)が座る運転席として例示されている。また、シートベルト装置30は、運転者Mnのための装置を例示している。
シート20は、シートクッション21とシートバック22とヘッドレスト23とからなる。車両用シートベルト装置30は、シート20に着座した乗員Mnをベルト31(シートベルト、ウェビングとも言う。)によって拘束するものであり、リトラクタ41(ベルト巻取り器41)を備えている。シートベルト装置30によれば、乗員Mnの一方の肩部と腰部を同時に拘束するベルト31を、リトラクタ41によって巻き取ることができる。
このシートベルト装置30は、ベルト31をアッパアンカ32とセンタアンカ33とロアアンカ34の、3つのアンカによって支持する3点支持式の構成である。アッパアンカ32は、車体12の側部において、上部に設けられている。センタアンカ33は、シート20に対し、アッパアンカ32とは反対側の下部に設けられている。ロアアンカ34は、アッパアンカ32側の下部に設けられている。
ベルト31は、乗員Mnの一方の肩部を拘束するショルダベルト31aと、乗員Mnの腰部を拘束するラップベルト31bとからなる。ショルダベルト31aとラップベルト31bとの間(ベルト31の折返し部)には、タング35が取り付けられている。このタング35は、センタアンカ33に固定されたバックル36に対して、取外し可能にワンタッチで装着される構成である。
バックル36は、バックルスイッチ37を内蔵している。このバックルスイッチ37は、バックル36にタング35が装着されているときにオフ作動し、バックル36からタング35が解除されたときに、オフ状態からオン状態に反転する構成である。つまり、バックルスイッチ37は、ベルト31が装着状態のときにオフ(off)信号を発し、ベルト31が非装着状態(外れた状態)のときに、オン(on)信号を発する。このようなバックルスイッチ37は、ベルト31の装着状態を検知するベルト装着状態検知部に相当する。
図2に示すように、リトラクタ41は、ベルト31を巻回するベルトリール42と、このベルトリール42を回転駆動する電動モータ43(以下、単に「モータ43」と言う)とからなる。つまり、リトラクタ41は、車両10の運転状態に応じて(車両10の緊急時を含む)、モータ43によりベルトリール42を回転駆動することによって、ベルト31の緩み部分を迅速に巻き取る機構、いわゆる電動式プリテンショナを有している。
ベルトリール42は、ハウジング44内に回転可能に収納されているとともに、ショルダベルト31aの一端部を結合したものである。さらに、このベルトリール42は、ショルダベルト31aを巻き取る方向に、リターンスプリング45によって付勢されている。このため、ベルトリール42は、ベルト31を巻き取り可能である。ベルト31は、通常状態において、リターンスプリング45の付勢力に抗して、ベルトリール42から引き出し可能である。
図3はシートベルト装置30の制御回路を示している。シートベルト装置30の制御回路は、上記バックルスイッチ37とイグニションスイッチ51とドアスイッチ52と車速センサ53とベルト巻取り位置検知部54とピッチ角検知部71とアクセルセンサ72とブレーキセンサ73と横加速度検知部74と電流検知部75と制御部81とドライバ回路82と上記モータ43とからなる。
イグニションスイッチ51は、図示せぬ走行用動力源(エンジンやモータ)を始動するための周知のメインスイッチである。ドアスイッチ52(ドア開閉状態検知部52)は、図1に示すドア13が閉じていることを検知したときにオフ(off)信号を発するとともに、ドア13が開いていることを検知したときにオン(on)信号を発するものである。車速センサ53は、車両10の車速を検知するものである。
ベルト巻取り位置検知部54は、ベルトリール42によるベルト31の巻き取り位置を検知するものである。このベルト巻取り位置検知部54は、回転センサ55と回転方向判断部56と回転角判断部57と回転角変化判断部58とからなる。
回転センサ55は、ベルトリール42の回転を検知するものであり、例えば、ベルトリール42の軸に連結された磁気ディスクと、磁気ディスクの周囲に配置された2個のホールICとの、組み合わせからなる、周知の磁気センサによって構成される。磁気ディスクは、ベルトリール42と連動して回転する。2個のホールICから発せられた各々のパルス信号は、互いに所定の位相差を有する。このため、各々のパルス信号に基づいてベルトリール42の回転方向を検出することができる。
回転方向判断部56は、回転センサ55が発した各パルス信号に基づいて、ベルトリール42の回転方向を判断し、回転方向信号を発する。回転センサ55と回転方向判断部56の組み合わせ構造は、回転方向検知部を構成する。
回転角判断部57は、回転センサ55が発した各パルス信号に基づいて、ベルトリール42の回転角を判断し、回転角信号(回転位置信号)を発する。回転センサ55と回転角判断部57の組み合わせ構造は、回転角検知部を構成する。
回転角変化判断部58は、回転角判断部57が発した回転角信号の変化状態を判断することによって、ベルトリール42の回転角の変化を判断し、この回転角の変化に係る信号、つまり、回転角変化信号(回転速度信号)を発するものである。単位時間当たりの回転角の変化を求めることにより、ベルトリール42の回転速度に係る信号を得ることが可能となる。回転センサ55と回転角判断部57と回転角変化判断部58の組み合わせ構造は、回転角変化検知部を構成する。
これらの回転方向判断部56、回転角判断部57及び回転角変化判断部58から出力された各信号は、ベルトリール42によるベルト31(図1参照)の巻取り位置の検知情報として用いられる。
ピッチ角検知部71は、車両10の前後方向の傾斜角(ピッチ角)を検知するものであり、傾斜角センサともいう。アクセルセンサ72は、車速を加速する操作量(加速操作量)を検知するものであり、例えばアクセルペダル16の踏み込み量や踏み込み力を検知することによって、加速操作量を検知することができる。ブレーキセンサ73は、車速を減速する操作量(減速操作量)を検知するものであり、例えばブレーキペダル17の踏み込み量や踏み込み力を検知することによって、減速操作量を検知することができる。横加速度検知部74は、車両10に対して車幅方向に発生した横加速度(横方向加速度)を検知するものである。電流検知部75は、モータ43に供給される電流(通電量)を検知するものである。
ピッチ角検知部71、アクセルセンサ72及びブレーキセンサ73の組み合わせ構造は、走行状態検知部76を構成する。
制御部81は、バックルスイッチ37とイグニションスイッチ51とドアスイッチ52と車速センサ53とベルト巻取り位置検知部54とピッチ角検知部71とアクセルセンサ72とブレーキセンサ73と横加速度検知部74と電流検知部75とから受けた信号に基づき、ドライバ回路82を介してモータ43を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータからなる。
ドライバ回路82は、制御部81の制御信号に応じて、モータ43に供給される電流Ibを制御するものであり、モータ駆動制御部ともいう。
ここで、ピッチ角検知部71によって検出されるピッチ角の概念について、図4に基づき説明する。図4(a)は、車両10が水平な走行路面Ldを前進走行していることを示す。走行路面Ldは水平線Hoに合致している。
図4(b)は、車両10が上り坂の走行路面Ldを前進走行していることを示す。走行路面Ldは、水平線Hoに対してピッチ角+θrだけ傾斜している。このため、車両10はピッチ角+θrだけ前上がりに傾いている(車両10の前部10fが後部10rよりも上がった状態である)。
図4(c)は、車両10が下り坂の走行路面Ldを前進走行していることを示す。走行路面Ldは、水平線Hoに対してピッチ角−θrだけ傾斜している。このため、車両10はピッチ角−θrだけ前下がりに傾いている(車両10の前部10fが後部10rよりも下がった状態である)。
図3に示すピッチ角検知部71は、車両10の前後方向のピッチ角(傾斜角)+θr,−θrを検出する。詳しいことは後述するが、図3に示す制御部81には「基準ピッチ角+θs」と「基準ピッチ角−θs」が予め設定されている。基準ピッチ角+θsは、車両10が前上がりに傾いているか否かを判断する基準となる、一定値である。基準ピッチ角−θsは、車両10が前下がりに傾いているか否かを判断する基準となる、一定値である。これらの基準ピッチ角+θs,−θsの値は、水平線Hoに対して若干の角度(例えば数度)に設定されており、互いの絶対値は同一である(|+θs|=|−θs|)。制御部81は、ピッチ角検知部71によって検出されたピッチ角+θrが、基準ピッチ角+θsを越えた場合に、車両10が前上がりに傾いていると判断する。また、制御部81は、ピッチ角検知部71によって検出されたピッチ角−θrが、基準ピッチ角−θsを越えた場合に、車両10が前下がりに傾いていると判断する。
次に、制御部81(図3参照)をマイクロコンピュータとした場合の制御フローについて、図1〜図4を参照しつつ、図5〜図8に基づき説明する。
図5は、制御部81(図3参照)によって実行されるベルト収納制御の一例を示す制御フローチャート(メインルーチン)を示している。制御部81は、先ず、ベルト収納制御システムが起動したか否かを判断する(ステップS01)。この判断は、バックルスイッチ37の検知信号に基づく。バックル36にタング35が装着されていることによって、バックルスイッチ37のスイッチ信号がオフ(off)であるときには、ベルト収納制御システムは起動しない、いわゆるスリープ状態にある。
その後、バックル36からタング35が解除されることによって、バックルスイッチ37のスイッチ信号はオフ(off)からオン(on)に反転する。この反転した信号を受けた制御部81は、ステップS01において、ベルト収納制御システムが起動した(つまり、制御部81が起動した)と判断して、次のステップS02に進む。ステップS02においては初期設定をする。つまり、ベルト巻取り基準位置を設定する。次に、ステップS03において、ベルト状態監視制御を実行する。ベルト状態監視制御は、主にドア13の開閉やベルト31の装着の有無の検知に基づき、ベルトリール42によってベルト31を巻き取るように、モータ43を駆動制御するものである。
次に、ステップS04及びステップS05を実行する。
ステップS04においては、乗員Mnにベルト31が装着された状態か否か、つまり、バックル36にタング35が装着されているか否かを判断する。
ステップS05においては、車両10が走行状態であるか否か、つまり、実際の車速Scが停車基準値SLを下回っているか(Sc<SL)否かを判断する。車速Scは、車速センサ53によって検知された値である。停車基準値SLは、車両10が停止状態にあることを判断するための一定の基準値であり、予め設定されている。
乗員Mnにベルト31が装着された状態であるという条件(ステップS04)と、車両10が走行状態であるという条件(ステップS05)の、2つの条件を満足した場合には、ステップS06に進む。ステップS06においては、横加速度対応ベルト制御を実行する。この処理については、後述するサブルーチン(図6参照)によって実行される。
次に、ステップS07において、イグニションスイッチ51がオフであるか否かを判断する。イグニションスイッチ51がオン状態を維持している間は、ステップS03〜S06を続ける。その後、イグニションスイッチ51がオフに切り替わったと判断したときには、次のステップS08に進む。
ステップS08においては、予め設定されている一定時間(経過時間)が経過したか否かを判断する。つまり、イグニションスイッチ51がオフに切り替わったときに(ステップS07)、このオフ状態が一定の経過時間にわたって持続している間(ステップS08)は、ステップS03〜S06を続け、一定の経過時間が経過した後には、ステップS03〜S06を終了する。その後、ベルト収納制御システムはスリープ状態に入る。このように、ステップS03〜S06は、イグニションスイッチ51がオン状態の間、常時実行される。
一方、ステップS04において乗員Mnにベルト31が装着された状態であるという条件と、ステップS05において車両10が走行状態であるという条件の、いずれか一方の条件を満足しなかった場合には、直接にステップS07に進む。
図6は、図5に示されたステップS06(横加速度対応ベルト制御処理)を実行するための、サブルーチンを示している。
図6に示すサブルーチンにおいては、先ず、ステップS11において、車両10の前後方向の傾き状態の検知信号、つまりピッチ角検知部71の検知信号を読み込む。次に、ステップS12において、加速・減速操作の状態の検知信号、つまりアクセルセンサ72の検知信号とブレーキセンサ73の検知信号を読み込む。
次に、ステップS13〜S16を実行し、その実行結果に応じて第1走行分類、第2走行分類及び第3走行分類の、3つに分類する。つまり、ステップS13とS14の少なくとも一方だけを満足する場合は、第1走行分類である。ステップS15とS16の少なくとも一方だけを満足する場合は、第2走行分類である。ステップS13〜S16の全てを満足しない場合は、第3走行分類である。以下、詳しく説明する。
ステップS13においては、車両10が前上がりに傾いているか否かを判断する。ピッチ角検知部71によって検出された実際のピッチ角+θrが、基準ピッチ角+θsを越えた(+θr>+θs)場合には、図4(b)に示すように車両10が前上がりに傾いていると判断する。
ステップS14においては、車速の加速操作がされているか否かを判断する。アクセルセンサ72によって検知された実際の加速操作量が、予め設定されている一定の基準加速操作量を超えた場合に、車速の加速操作がされていると判断する。
ステップS15においては、車両10が前下がりに傾いているか否かを判断する。ピッチ角検知部71によって検出された実際のピッチ角−θrが、基準ピッチ角−θsを越えた(−θr>−θs)場合には、図4(c)に示すように車両10が前下がりに傾いていると判断する。
ステップS16においては、車速の減速操作がされているか否かを判断する。ブレーキセンサ73によって検知された実際の減速操作量が、予め設定されている一定の基準減速操作量を超えた場合に、車速の減速操作がされていると判断する。
車両10が前上がりに傾いているという条件(ステップS13)と、加速操作がされているという条件(ステップS14)の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合は、第1走行分類に該当する。この第1走行分類に該当した場合には、ステップS17を実行した後にステップS18を実行する。ステップS17においては、ベルトの弛み取り制御を実行する。この処理については、後述するサブルーチン(図7参照)によって実行される。次のステップS18においては、複数のパラメータ群の中から第1パラメータ群を選択する。
ステップS13及びS14を満足せず、且つ、車両10が前下がりに傾いているという条件(ステップS15)と、減速操作がされているという条件(ステップS16)の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合は、第2走行分類に該当する。この第2走行分類に該当した場合には、ステップS19に進んで、複数のパラメータ群の中から第2パラメータ群を選択する。
ステップS13〜S16の全てを満足しない場合は、第3走行分類に該当する。この第3走行分類に該当した場合には、ステップS20に進んで、複数のパラメータ群の中から第3パラメータ群を選択する。
ここで、上記ステップS18、S19又はS20において選択される、複数のパラメータ群の内容を説明する。ステップS18、S19又はS20において個別に選択される、第1〜第3パラメータ群は、それぞれ、「横加速度基準値αys」、「目標巻取り量Xs」、「初期目標電流Io」、「補正電流ΔIo」のパラメータの集合からなる。これらのパラメータは、予め設定されて制御部81のメモリに記憶されている。目標巻取り量Xsの値については、シート20に着座している乗員Mnの姿勢を、ベルト31の巻き取りによって基準姿勢に戻すのに必要な、巻取り量に設定されている。
詳しく説明すると、各パラメータは次の通りである。
ステップS18(車両前上がり、加速操作時)で選定される第1パラメータ群において
αys=α1、Xs=X1、Io=I1、ΔIo=ΔI1である。
ステップS19(車両前下がり、減速操作時)で選定される第2パラメータ群において
αys=α2、Xs=X2、Io=I2、ΔIo=ΔI2である。
ステップS20(通常時)で選定される第3パラメータ群において
αys=α3、Xs=X3、Io=I3、ΔIo=ΔI3である。
各パラメータの大きさは、次の関係となるように設定されている。
横加速度基準値αysのパラメータは「α1>α3>α2」の関係である。
目標巻取り量Xsのパラメータは「X2>X1>X3」の関係である。
初期目標電流Ioのパラメータは「I2>I3>I1」の関係である。
補正電流ΔIoのパラメータは「ΔI2>ΔI3>ΔI1」の関係である。
つまり、車両10の前上がり時や加速操作時においては、横加速度基準値αysを大きい値α1に設定することにより、比較的大きい横加速度が発生したタイミングで、ベルト31による乗員Mnの姿勢保持制御を行う。
また、車両10の前上がり時や加速操作時においては、上記ステップS17で、ベルト31の弛みが予め除かれているので、その後におけるベルト31の目標巻取り量Xsは、通常時よりも若干大きい値X1ですむ(X1>X3)。つまり、値X1は、ベルト張力が通常時と同様になる程度に設定される。
また、この場合においては、初期目標電流Ioを小さい値I1に設定するとともに、補正電流ΔIoを小さい値ΔI1に設定することにより、ベルトリール42によるベルト31の巻き取り速度を、通常時よりも緩やかにする。
一方、車両10の前下がり時や減速操作時においては、横加速度基準値αysを小さい値α2に設定することにより、小さい横加速度が発生した早いタイミングで、ベルト31による乗員Mnの姿勢保持制御を行う。
また、車両10の前下がり時や減速操作時においては、乗員Mnが前かがみ状態の傾向にあるので、ベルト31の目標巻取り量Xsを大きい値X2に設定する。
また、この場合においては、初期目標電流Ioを大きい値I2に設定するとともに、補正電流ΔIoを大きい値ΔI2に設定することにより、ベルトリール42によるベルト31の巻き取り速度を、通常時よりも高める。
上記ステップS18、S19又はS20を実行した後には、ステップS21において、横加速度検知部74が検知した検知信号、つまり横加速度αyrを読み込む。次に、ステップS22において、横加速度αyrが所定の横加速度基準値αysを超えたか(αyr>αys)否かを判断する。ステップS22において、超えていない(αyr≦αys)と判断した場合には、この図6に示すサブルーチンを終了して、図5に示すメインルーチンのステップS06に戻る。一方、ステップS22において、超えた(αyr>αys)と判断した場合には、ステップS23に進む。ステップS23においては、乗員保持制御を実行する。この処理については、後述するサブルーチン(図8参照)によって実行される。その後、この図6に示すサブルーチンを終了して、図5に示すメインルーチンのステップS06に戻る。
図7は、図6に示されたステップS17(ベルトの弛み取り制御処理)を実行するための、サブルーチンを示している。
図7に示すサブルーチンにおいては、先ず、ステップS101において、モータ43に供給する電流Ibの初期値をIinとする(Ib=Iin)。この初期値Iinは、上記図6のステップS18、S19又はS20において設定された初期目標電流Ioよりも小さい値である。次に、ステップS102において、モータ43に対してベルト巻取り動作を行わせるための通電を開始する。
次に、ステップS103において、ベルトリール42の回転角に変化があるか否かを判断する。回転角の変化の有無については、図3に示すベルト巻取り位置検知部54の検知信号に基づいて判断する。乗員Mnとベルト31との間に隙間が無い(ベルト31の弛みが無い)場合には、ベルトリール42によってベルト31を巻き取ることができない。この結果、ベルトリール42の回転角に変化が無くなる。ベルトリール42の回転角に変化が無いと判断した場合には、モータ43への通電を停止する(ステップS104)。その後、この図7に示すサブルーチンを終了して、図6に示すサブルーチンのステップS17に戻る。一方、ステップS103において、ベルトリール42の回転角に変化があると判断した場合には、ベルト31の弛みが有るので、次のステップS105に進む。
ステップS105においては、ベルトリール42によって巻き取られるベルト31の、実際の巻取り速度Vb(ベルト巻取り速度Vb)が基準巻取り速度Vsを下回っているか(Vb<Vs)否かを判断する。ベルト巻取り速度Vbについては、例えば回転角変化判断部58(図3参照)によって得られた、単位時間当たりのベルトリール42の回転角の変化量(deg./msec)に基づいて求められる。つまり、巻取り速度Vbは、前回変化した時点におけるベルトリール42の回転角から、今回変化した時点におけるベルトリール42の回転角までの、単位時間当たりの変化量を計測することによって得ることができる。基準巻取り速度Vsの値は、予め設定されている一定の基準値であり、例えば、ベルト31が巻き取られていることに、乗員Mnが気づきにくい低速に設定される。
ステップS105においてベルト巻取り速度Vbが基準巻取り速度Vsに達したか又は越えた(Vb≧Vs)と判断した場合には、ステップS106において電流Ibの値を補正電流ΔIinだけ減少させた(Ib=Ib−ΔIin)後に、ステップS103に戻る。つまり、ステップS105において、ベルト巻取り速度Vbが基準巻取り速度Vsを下回るまで(Vb<Vs)、ステップS103,S105,S106を繰り返す。繰り返される度に、ステップS106において電流IbがΔIinずつ減少する(時間が経過するにつれて電流Ibが減少する)ので、最終的には、ステップS105において「Vb<Vs」の判断になり、次のステップS107に進む。ここで、補正電流ΔIinは、上記図6のステップS18、S19又はS20において設定された補正電流ΔIoよりも小さい値である。
ステップS107においては、モータ43に供給された電流Ibが上限基準電流Isを越えたか(Ib>Is)否かを判断する。なお、電流Ibの値は、図3に示す電流検知部75によって検知されている。電流Ibが上限基準電流Isを越えるまで(Ib>Is)、ステップS103,S105,S107を繰り返す。
乗員Mnとベルト31との間に隙間が無い(ベルト31の弛みが無い)場合には、ベルトリール42によってベルト31を巻き取ることができない。この結果、モータ43を駆動するための電流Ibは急増する。ステップS107において、電流Ibが上限基準電流Isを越えたと判断した場合には、モータ43への通電を停止する(ステップS108)。その後、この図7に示すサブルーチンを終了して、図6に示すサブルーチンのステップS17に戻る。
このように、ベルト31の弛みが無くなると、ベルトリール42の回転角に変化が無いと判断(ステップS103)、又は電流Ibが上限基準電流Isを越えたと判断して(ステップS107)、モータ43を停止させる(ステップS104、S108)。
図8は、図6に示されたステップS23(乗員保持制御処理)を実行するための、サブルーチンを示している。
図8に示すサブルーチンにおいては、先ず、ステップS201において、モータ43に供給する電流Ibを初期目標電流Ioの値に設定する(Ib=Io)。この初期目標電流Ioは、上記図6のステップS18、S19又はS20において設定された「I1、I2、I3」である。次に、ステップS202において、モータ43に対してベルト巻取り動作を行わせるための通電を開始した後に、ステップS203〜S207を実行する。
ステップS203においては、基準巻取り量Xsに対して、ベルトリール42によるベルト31の巻取り量Xrが不一致であるか(Xr≠Xs)否かを判断する。
ステップS204においては、巻取り量Xrと基準巻取り量Xsとの差の絶対値が、基準ずれ量ΔXよりも大きいか(|Xr−Xs|>ΔX)否かを判断する。基準ずれ量ΔXは、予め設定されている一定値である。
ステップS205においては、巻取り量Xrが基準巻取り量Xsよりも小さいか(Xr<Xs)否かを判断する。
ステップS203において「Xr≠Xs」と判断し、且つステップS204において「|Xr−Xs|>ΔX」と判断した場合は、ステップS205に進む。
次に、ステップS205において「Xr<Xs」であると判断した場合には、ステップS206に進む。ステップS206においては、ベルトリール42によるベルト巻取り速度を増すために、モータ43に供給する駆動電流Ibを補正電流ΔIoだけ増加させて(Ib=Ib+ΔIo)、ステップS208に進む。
一方、ステップS205において「Xr≧Xs」であると判断した場合には、ステップS207に進む。ステップS207においては、ベルトリール42によるベルト巻取り速度を減らすために、モータ43に供給する駆動電流Ibを補正電流ΔIoだけ減少させて(Ib=Ib−ΔIo)、ステップ208に進む。
上記ステップS203において「Xr=Xs」であると判断した場合と、ステップS204において「|Xr−Xs|≦ΔX」であると判断した場合には、そのままステップS208に進む。
ステップS208においては、横加速度検知部74によって検知された横加速度αyrが、所定の横加速度基準値αysを下回っているか(αyr<αys)否かを判断する。横加速度αyrが横加速度基準値αysに達した又は越えた(αyr≧αys)と判断した場合には、「αyr<αys」となるまで、ステップS203〜S208を繰り返す。その後、ステップS208において、横加速度αyrが横加速度基準値αysを下回った(αyr<αys)場合には、モータ43への通電を停止する(ステップS209)。その後、この図8に示すサブルーチンを終了して、図6に示すサブルーチンのステップS23に戻る。
以上の説明から明らかなように、ステップS203〜S208は、ステップS208において「αyr<αys」と判断されるまで繰り返される。
そして、ステップS203〜S208が1回繰り返される度に、「Xr<Xs」の場合には(ステップS205)、電流Ibの値が「Ib=Ib+ΔIo」となる(ステップS206)。つまり、モータ43に供給する電流Ibは、時間の経過に応じて、補正電流ΔIoを加えた分ずつ増加する。
一方、ステップS203〜S208が1回繰り返される度に、「Xr≧Xs」の場合には(ステップS205)、電流Ibの値が「Ib=Ib−ΔIo」となる(ステップS207)。つまり、モータ43に供給する電流Ibは、時間の経過に応じて、補正電流ΔIoを減らした分ずつ減少する。
以上の説明をまとめると、次の通りである。
本発明の車両用シートベルト巻き取り方法は、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ及び第5ステップを有している。
第1ステップは、車両10の前後方向の傾き状態と車速の加速・減速操作の状態との、少なくとも一方を検知する(図6のステップS13〜S16)ステップである。
第2ステップは、車両10の傾き状態と加速・減速操作の状態との、少なくとも一方の状態に応じて(図6のステップS13〜S16)、乗員Mnに装着されているベルト31の弛みを除去するように、ベルト31をベルトリール42により巻き取るべくモータ43を制御する(図6のステップS17)ステップである。
第3ステップは、車両10の傾き状態と加速・減速操作の状態との、少なくとも一方の状態に応じて、(図6のステップS13〜S16)予め設定されている複数の制御パラメータの中から、それぞれ1つを選択する(図6のステップS18〜S20)ステップである。
第4ステップは、車両10に対して車幅方向に発生した横加速度αyrを検知する(図6のステップS21)ステップである。
第5ステップは、横加速度αyrが選択された横加速度基準値αysを超えた場合に(図6のステップS22)、選択された制御パラメータに従ってモータ43を制御することにより、乗員Mnに装着されている状態のベルト31を、ベルトリール42により巻き取って乗員Mnを保持する(図6のステップS23)ステップである。
本発明の車両用シートベルト装置30及び車両用シートベルト巻き取り方法によれば、車両10の前後方向の傾き状態と、加速・減速操作の状態の、少なくとも一方の状態に応じて、必要な場合だけ適宜、モータ43を駆動制御することができる。モータ43の駆動によって、ベルトリール42はベルト31を巻き取る。ベルト31は、巻き取られることによって、弛みが除去される(予備拘束)。
その後、さらに、車両10の前後方向の傾き状態と、加速・減速操作の状態の、少なくとも一方の状態に応じて、複数の制御パラメータ(図6のステップS18〜S20参照)の中から、それぞれ1つが選択される。この選択された制御パラメータにおける、横加速度基準値αysを横加速度αyrが超えた場合には、選択された制御パラメータに従って、モータ43が駆動制御される。この結果、ベルト31は、ベルトリール42によって更に最適な状態に巻き取られることにより、乗員Mnを保持する(乗員保持)。
このように、「乗員保持」を開始する前に、適宜「予備拘束」を行うことによって、ベルト31の弛みを除去することができる。このため、乗員Mnのベルト装着状態を最適なものにできる。その後に、横加速度基準値αysを超えた横加速度αyrが発生したとき(例えばカーブを旋回するとき)には、ベルト31によって乗員Mnを、より速やかに且つ確実に保持することができる。しかも、乗員Mnにとって違和感がなく、より安心感が増すので、乗員Mnの快適性を、より高めることができる。
例えば、車両10が上り坂を走行中や加速走行中の場合には、乗員Mnは重力や加速度の影響を受けて、シートバック22に押し付けられた姿勢になりやすい。この結果、乗員Mnはシートバック22によって十分に支えられた状態、つまり、姿勢が保持された状態となる。その分、ベルト31の弛みは通常時よりも大きくなる。これに対して、「予備拘束」を行い、乗員Mnが気づかない程度の巻取り速度によって、ベルト31の弛みを除去すれば、乗員Mnにとって違和感がない。この状態において、車両10が道路のコーナに進入すると、シートバック22によって姿勢が保持された乗員Mnに、横加速度αyrが作用する。このときに、乗員保持を開始する。ベルト31の弛みが予め除去されているので、「乗員保持」を実行したときにおける、ベルト31の巻取り量Xrを少なくすることができる。このため、乗員Mnにとって違和感がない。
一方、車両10が下り坂を走行中や減速走行中の場合には、乗員Mnの姿勢は多少前かがみになりやすい。乗員Mnは、シートバック22によって十分には支えられていない状態、つまり、姿勢が十分に保持されない状態となる。この場合には、「予備拘束」を行うことなく、横加速度αyrが作用した時点に、巻き取り速度を速めて積極的に「乗員保持」を行うようにすればよい。このようにすることで、乗員Mnにとって、より安心感が増す。
さらに、本発明では、制御部81は、「車両10が前下がり傾き状態にあるか、減速操作されている状態にある」場合の横加速度基準値α2(図6のステップS19参照)を、「車両10が前後に傾かない状態で、且つ加速・減速操作がされていない」通常走行状態の場合の横加速度基準値α3(図6のステップS20参照)に比べて、小さい値に設定している(α2<α3)。そして、制御部81は、横加速度基準値α2を超えた横加速度αyrが発生した場合には、乗員Mnに装着されている状態のベルト31を、ベルトリール42によって所定の目標巻取り量X2だけ巻き取るように、モータ43を制御する。
上述のように、車両10が下り坂を走行している場合(車両10が前下がりに傾いている場合)、又は運転者Mnが減速操作している場合には、通常走行状態の場合に比べて、乗員Mnの姿勢は多少前かがみになりやすい。これに対して、本発明では、比較的小さい横加速度αyrが発生した場合であっても、ベルト31を所定の目標巻取り量X2だけ巻き取る。このため、例えば、車両10が低速で走行しながら、小さい半径のカーブを旋回するときであっても、ベルト31によって乗員Mnを確実に保持することができる。乗員Mnにとって、より安心感が増すので、乗員Mnの快適性を、より高めることができる。
さらに、本発明では、制御部81は、「車両10が前上がりに傾いている状態にあるか、加速操作されている状態にある」場合の横加速度基準値α1及び目標巻取り量X1(図6のステップS18参照)を、通常走行状態の場合の横加速度基準値α3及び目標巻取り量X3(図6のステップS20参照)に比べて、大きい値に設定している(α1>α3、X1>X3)。
車両10が上り坂を走行している場合(車両10が前上がりに傾いている場合)、又は運転者が加速操作している場合には、通常走行状態の場合に比べて、乗員Mnはシートバック22に押しつけられた姿勢になりやすい。このため、小さい横加速度αyrが発生した場合には、ベルト31によって乗員Mnを拘束しなくても、乗員Mnはそのままの姿勢を維持しやすい。この点を踏まえて、本発明では、比較的大きい横加速度αyrが発生するまで、ベルト31の巻き取りを開始しないようにした。従って、乗員Mnはベルト31による拘束感が薄らぐ。さらには、比較的大きい横加速度αyrが発生したときに、ベルト31を大きく巻き取ることによって、ベルト31の弛みを除去することができる。このため、ベルト31によって乗員Mnを確実に保持することができる。
さらに、本発明では、制御部81は、「車両10が前上がりに傾いている状態にあるか、加速操作されている状態にある」場合には、比較的大きい横加速度αyrが発生したときにおいて、モータ43に供給する電流Ibを、通常走行状態の場合よりも減少させる。このため、ベルトリール42によるベルト31の巻取り速度は減少する。ベルト31の弛みは緩やかに除去される。従って、乗員Mnの快適性を、より一層高めることができる。
さらに、本発明では、制御部81は、「車両10が前下がり傾き状態にあるか、減速操作されている状態にある」場合には、小さい横加速度αyrが発生したときにおいて、モータ43に供給する電流Ibを、通常走行状態の場合よりも増大させる。このため、ベルトリール42によるベルト31の巻取り速度は増大する。ベルト31の弛みは速やかに除去される。このため、乗員Mnの快適性を、より高めることができる。
なお、本発明では、シート20及びシートベルト装置30は、助手席、後部座席であっても同様の構成とすることができる。
また、制御部81は、回転方向判断部56と回転角判断部57と回転角変化判断部58の一部又は全部を兼ねる構成であってもよい。
また、シートベルト装置30は、カーナビゲーション装置を設けた構成であってもよい。その場合には、車両用シートベルト巻き取り方法において、第1ステップでは、カーナビゲーション情報を取得するものを包含する。カーナビゲーション情報を取得することによって、現時点における車両10の前後方向の傾き状態に関する情報を、リアルタイムに取得することができる。つまり、カーナビゲーション装置を設けることによって、ピッチ角検知部71と実質的に同様の役割を果たすことができる。本発明においては、ピッチ角検知部71に、カーナビゲーション装置を包含するものとする。
本発明の車両のシートベルト装置30及びシートベルト巻き取り方法は、乗用車等の各種車両に搭載するのに好適である。
10…車両、20…シート、30…車両用シートベルト装置、31…ベルト、42…ベルトリール、43…モータ、54…ベルト巻取り位置検知部、71…ピッチ角検知部、72…アクセルセンサ、73…ブレーキセンサ、74…横加速度検知部、76…走行状態検知部、81…制御部、Ib…モータに供給する電流、Mn…乗員、Sc…車速、SL…停車基準値、Vb…ベルト巻取り速度、Vs…基準巻取り速度、Xr…ベルト巻取り量、Xs…目標巻取り量、αyr…横加速度、αys…横加速度基準値、+θr,−θr…ピッチ角、+θs,−θs…基準ピッチ角。

Claims (3)

  1. 乗員を拘束するためのベルトを巻回するベルトリールと、このベルトリールを駆動するモータと、このモータを制御する制御部と、前記ベルトリールによる前記ベルトの巻き取り位置を検知するベルト巻取り位置検知部とを備えた車両用シートベルト装置において、
    車両の前後方向の傾き状態と車速の加速・減速操作の操作状態の少なくとも一方の状態を検知する走行状態検知部と、前記車両に対して車幅方向に発生した横加速度を検知する横加速度検知部とを備え、
    前記制御部は、
    前記横加速度検知部により検知された前記横加速度が所定の横加速度基準値を超えたと判断した場合に、前記乗員に装着されている状態の前記ベルトを、前記ベルトリールにより所定の目標巻取り量だけ巻き取って前記乗員を保持するように前記モータを制御するための、保持制御を実行するとともに、
    前記走行状態検知部により検知された検知信号に基づいて、前記車両が前下がりに傾いているという条件と、前記減速操作がされているという条件の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合には、前記車両が前後に傾いておらず且つ加速・減速操作がされていないという通常走行状態の場合に比べて、前記横加速度基準値を小さい値に設定し、
    更に、前記保持制御を実行するときにおいて、前記モータに供給する電流を、前記通常走行状態の場合よりも増大させように制御する構成であることを特徴とした車両用シートベルト装置。
  2. 前記制御部は、前記車両が前上がりに傾いているという条件と、前記加速操作がされているという条件の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合には、前記横加速度基準値及び前記目標巻取り量を、前記通常走行状態の場合よりも大きい値に設定するように制御する構成であることを特徴とした請求項1記載の車両用シートベルト装置。
  3. 前記制御部は、前記車両が前上がりに傾いているという条件と、前記加速操作がされているという条件の、少なくとも一方の条件を満足したと判断した場合には、前記保持制御を実行するときにおいて、前記モータに供給する電流を、前記通常走行状態の場合よりも減少させるように制御する構成であることを特徴とした請求項2記載の車両用シートベルト装置。
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