JP5236249B2 - キメラ組換え(r)−ヒドロキシニトリルリアーゼ - Google Patents

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Description

本発明は、新規(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNA、および該(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ遺伝子を用いて(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼを製造する方法、製造した(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼを用いて光学活性シアノヒドリンを製造する方法に関する。
生体触媒を用いる合成プロセスは化学工業にとってきわめて重要になっている。また、生体触媒を使った化学反応の実施は、基質特異性の高い生体触媒の性質を利用する分野では、とりわけ興味深い。酵素が持つこの有利な性質を利用するには、安定性が高く、目的の反応を触媒する活性の高い酵素を入手することが必須条件になる。
光学活性シアノヒドリンは特に興味深い光学活性化合物群であり、医薬活性物質、ビタミンまたはピレスロイド化合物などの生物活性物質の製造に使用されるα−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシケトン、β−アミノアルコールの合成等に重要である。また、光学活性シアノヒドリンのうちハロゲン化シアノヒドリンは、医薬活性物質の中間体としてニーズが高い。シアノヒドリンは、カルボニル化合物のカルボニル基へのシアン化水素酸の付加によって製造される。例えば(S)−シアノヒドリンなどの光学活性化合物の工業的生産はパラゴムノキ(Hevea brasiliensis)由来の酵素(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼを利用することによって可能になっている。
特許文献1には、真核細胞である酵母を宿主として、アーモンド由来のヒドロキシニトリルリアーゼを遺伝子組換えにより製造した例が報告されている。また、特許文献2には、バラ科植物由来(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードする遺伝子の塩基配列を改変して(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの発現量を増大させる方法が開示されている。
また、非特許文献1には、サクラ属植物が(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのイソ酵素を含有しうることが開示されている。これらのイソ酵素は当該植物の様々な組織に異なるレベルで発現される。アメリカザクラには、現在までに5種類の異なるイソ酵素が同定され、それらの遺伝子が配列決定されている。その中でアメリカザクラ由来のMDL1遺伝子は非特許文献2に記載されている。アメリカザクラと近縁関係にあるアーモンド由来のイソ酵素としては、例えば、非特許文献3にMDL1遺伝子が、特許文献1にHNL1、HNL2、HNL3、HNL4、HNL5遺伝子が記載されており、cDNA配列は、MDL1、HNL1およびHNL5の3種が配列決定されている。
特開2002−330791号公報 特開2006−141263号公報 Plant Physiology,April(1999)119:1535〜1546 Plant Cell Physiol.(1993)34:1139〜1143 Planta(1998)206:388〜393
本発明者らは、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、ハロゲン化シアノヒドリン合成反応を触媒する活性が高いが、耐熱性および耐酸性が低く、一方、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性は低いが、耐熱性および耐酸性が高いため、いずれを使用してもハロゲン化シアノヒドリンの効率的な合成が難しいという問題があることを見出した。
従って、本発明は、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性が高く、かつ耐熱性および耐酸性が高い新規(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼを提供することを目的とする。
本発明者らは、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質を複数製造し、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性が高く、かつ耐熱性および耐酸性が高い(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのキメラ組換えタンパク質を見出した。そして、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における314〜448位の連続するアミノ酸が、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性に重要であること、ならびにHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における1〜112位の連続するアミノ酸が、酵素の耐熱性および耐酸性に重要であることを見出した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質であって、
HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における314〜448位の連続するアミノ酸と、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における1〜112位の連続するアミノ酸を少なくとも含み、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有する前記タンパク質。
(2)HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2のアミノ酸配列、または配列番号2のアミノ酸配列と94%以上の同一性を有するアミノ酸配列であり、
HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列が、配列番号4のアミノ酸配列、または配列番号4のアミノ酸配列と94%以上の同一性を有するアミノ酸配列である、
(1)記載のタンパク質。
(3)以下の(a)または(b)のタンパク質:
(a)配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質をコードするDNA。
(5)HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAであって、
HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列における940〜1344位の連続する塩基と、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列における1〜336位の連続する塩基を少なくとも含み、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする前記DNA。
(6)HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列が、配列番号1の塩基配列または配列番号1の塩基配列と94%以上の同一性を有する塩基配列であり、
HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列が、配列番号3の塩基配列または配列番号3の塩基配列と94%以上の同一性を有する塩基配列である、
(5)記載のDNA。
(7)以下の(a)または(b)のDNA:
(a)配列番号5、7、9または11のいずれかで表される塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号5、7、9または11のいずれかで表される塩基配列と80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(8)(4)〜(7)のいずれかに記載のDNAを宿主細胞に導入することによって得られる形質転換体。
(9)(8)に記載の形質転換体を培養することを含む、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。
(10)(1)〜(3)のいずれかに記載のタンパク質とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させ、反応液から光学活性シアノヒドリンを回収することを含む、光学活性シアノヒドリンの製造方法。
本発明により、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性が高く、かつ耐熱性および耐酸性が高い(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのキメラ組換えタンパク質が提供される。
本発明において、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとは、当技術分野において通常用いられる意味を有し、シアノ基供与体の存在下、カルボニル化合物を基質としてシアノヒドリンを合成する反応を触媒する活性および/または逆反応のシアノヒドリンを分解して青酸とカルボニル化合物を遊離する反応を触媒する活性を有するタンパク質を意味する。シアノ基供与体、カルボニル化合物およびシアノヒドリンについては、後述する。
HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、ハロゲン化シアノヒドリン合成反応を触媒する活性が高いが、耐熱性および耐酸性が低い。より具体的には、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、配列番号1の塩基配列からなるDNAによってコードされるタンパク質、ならびに配列番号1の塩基配列と94%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAによってコードされ、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの活性を有するタンパク質をさす。HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼには、配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号2のアミノ酸配列と94%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの活性を有するタンパク質も包含される。
HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの具体例としては、例えば、Prunus serotina由来のMDL1(Swiss−Prot entry:P52706)、Prunus amygdalus由来のHNL1(特開2002−330791)などが挙げられる。
HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、ハロゲン化シアノヒドリン合成反応を触媒する活性が低いが、耐熱性および耐酸性が高い。より具体的には、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、配列番号3の塩基配列からなるDNAによってコードされるタンパク質、ならびに配列番号3の塩基配列と94%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有する塩基配列からなるDNAによってコードされ、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの活性を有するタンパク質をさす。HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼには、配列番号4のアミノ酸配列を有するタンパク質、または配列番号4のアミノ酸配列と94%以上、好ましくは96%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有し、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの活性を有するタンパク質も包含される。
HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの具体例としては、例えば、Prunus amygdalus由来のMDL1(Swiss−Prot entry:O24243)、Prunus serotina由来のMDL5(DDBJ Accession Number:O072435)、およびPrunus amygdalus由来のHNL5(特開2002−330791)などが挙げられる。
本発明のHNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質(以下、本発明のキメラ組換えタンパク質と称する場合がある)は、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における314〜448位、好ましくは314〜末端までの連続するアミノ酸と、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における1〜112位、より好ましくは1〜194位、さらに好ましくは1〜313位の連続するアミノ酸を少なくとも含み、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するものである。本発明におけるHNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質は、そのアミノ酸配列の一部がHNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼに由来し、残りがHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼに由来するものである。
本明細書において、「アミノ酸配列におけるX〜Y位の連続するアミノ酸」という表現は、配列番号2のアミノ酸配列を参照配列として、アミノ酸配列中の所定のアミノ酸の位置を指定するために使用される。すなわち、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列(以下、アミノ酸配列Zと証する)を、配列番号2のアミノ酸配列とアラインメントしたときに、配列番号2のアミノ酸配列の1位の塩基から数えてX〜Y位の塩基に対してアラインされる(すなわち、アラインメントにおいて同じ縦列に整列される)、アミノ酸配列Z中の連続するアミノ酸の配列を意味する。本発明におけるアミノ酸の位置は、特に、アラインメントソフトとしてGENETYX Ver.7遺伝情報処理ソフトウェア(株式会社ゼネティックス製)を用いてアラインメントをとったときのアミノ酸の位置を意味する。
本発明のキメラ組換えタンパク質としては、以下の(a)または(b)のタンパク質が挙げられる:
(a)配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質。
上記タンパク質には、配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列において1若しくは数個、例えば2〜3個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質も包含される。
上記各配列番号で表されるアミノ酸配列における、1または数個のアミノ酸の欠失、付加、挿入または置換は、常用される技術、例えば、部位特異的変異誘発法(Zollerら、Nucleic Acids Res.10 6478−6500,1982)により、各配列番号で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNAの配列を改変することにより実施することができる。上記におけるアミノ酸残基の置換は保存的置換であることが好ましい。アミノ酸残基間の保存的置換の例としては、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、グリシンとアラニン(Ala)またはバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、スレオニンとセリン(Ser)またはアラニン、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等のアミノ酸の間での置換が知られている。
また、本発明のHNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質をコードするDNA(以下、本発明のDNAと称する場合がある)は、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列における940〜1344位、好ましくは940〜3’末端までの連続する塩基と、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列における1〜336位、より好ましくは1〜582位、さらに好ましくは1〜939位の連続する塩基を少なくとも含むDNAであって、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAである。本発明におけるHNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAは、その塩基配列の一部がHNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼDNAに由来し、残りがHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼDNAに由来するものである。
本明細書において、「塩基配列におけるX〜Y位の連続する塩基」という表現は、配列番号1の塩基配列を参照配列として、塩基配列中の所定の塩基の位置を指定するために使用される。すなわち、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAの塩基配列(以下、塩基配列Zと証する)を、配列番号1の塩基配列とアラインメントしたときに、配列番号1の塩基配列の1位の塩基から数えてX〜Y位の塩基に対してアラインされる(すなわち、アラインメントにおいて同じ縦列に整列される)、塩基配列Z中の連続する塩基を意味する。本発明における塩基の位置は、特に、アラインメントソフトとしてGENETYX Ver.7遺伝情報処理ソフトウェア(株式会社ゼネティックス製)を用いてアラインメントをとったときの塩基の位置を意味する。
アラインメントは、手作業で行うこともできるが、例えばマルチプルアラインメントプログラム(Thompson,J.D. et al,(1994)Nucleic Acids Res.22,p.4673−4680)をデフォルト設定で用いることにより作成することができる。当該プログラムは、例えば、欧州バイオインフォマティクス研究所(European Bioinformatics Institute:EBI、http://www.ebi.ac.uk/index.html)や、国立遺伝学研究所が運営する日本DNAデータバンク(DDBJ、http://www.ddbj.nig.ac.jp/Welcome−j.html)のウェブサイトから利用することができる。当業者であれば、得られたアラインメントを、必要に応じて最適なアラインメントとなるように更に調整することできる。
本発明のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAの具体例としては、上記タンパク質をコードするDNA、ならびに以下の(a)または(b)のDNAが挙げられる:
(a)配列番号5、7、9または11のいずれかで表される塩基配列からなるDNA、
(b)配列番号5、7、9または11のいずれかで表される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは94%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列からなり、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
本発明のキメラ組換えタンパク質は、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性が高い。ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性とは、シアノ基供与体の存在下、ハロゲン置換基を有するカルボニル化合物を基質としてハロゲン化シアノヒドリンを合成する反応を触媒する活性が高い、すなわち当該反応を触媒する特異性が高いことをさす。(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、シアノ基供与体の存在下、ハロゲン置換基を有するカルボニル化合物を基質としてハロゲン化シアノヒドリンを合成する反応と、ハロゲン化シアノヒドリンを分解する反応の両方を触媒する活性を有するが、通常、上記2種の反応の一方を触媒する活性の高い(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、もう一方の反応を触媒する活性も高い。合成反応も分解反応も酵素の同じ基質ポケットを介して行われると考えられるため、通常、分解活性の高い酵素は逆反応の合成活性も高いと考えられる。
ハロゲン置換基を有するカルボニル化合物およびハロゲン化シアノヒドリンについては、後述するが、より具体的には、本発明のキメラ組換えタンパク質は、マンデロニトリルの合成反応を触媒する活性に対する、R−クロロマンデロニトリルの合成反応を触媒する活性が高い。従って、本発明のキメラ組換えタンパク質は、R−マンデロニトリルの分解反応を触媒する活性に対する、R−クロロマンデロニトリル(特に、R−2−クロロマンデロニトリル)の分解反応を触媒する活性も高い。
また、本発明のキメラ組換えタンパク質は、耐熱性が高く、75℃で30分間インキュベートする処理において、15%以上、好ましくは16%以上、より好ましくは20%以上で、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下の残存活性を示す。さらに、本発明のキメラ組換えタンパク質は、耐酸性が高く、pH3.0および37℃で3時間インキュベートすると、pH5.5および37℃で3時間インキュベートした場合を100%として、25%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上で、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下の残存活性を示す。
本発明のキメラ組換えタンパク質は、例えば、作成したいキメラ組換えタンパク質のためのDNA配列を2つのDNAの配列をもとに設計し、DNAを化学合成で作成する方法、2つのDNA配列を元に任意の部位で2つ配列にオーバーラップするプライマーを作成してPCRの技術を用いて作成する方法、DNA間で共通の制限酵素部位でDNA配列を組換える方法、または2つのDNA間で共通の塩基配列の位置で生体内組換えする方法などにより調製することができる。
具体的には、以下の方法で実施できる。HNL1型の酵素およびHNL5型の酵素のDNA配列を元にハイブリッドさせる位置を検討し、作成する配列を決定する。その配列を元にDNAを化学合成してこれを鋳型として宿主細胞にDNAを導入することができる。
あるいは2つのDNA配列から設計したDNA配列の2つの遺伝子の結合部の前後の配列をプライマーとして1つのDNA配列を鋳型に前半部分をPCRで増幅し、他方のDNA配列を鋳型に後半部分を増幅する。増幅された2つの遺伝子は結合部の前後の配列部分に相同性があるのでアニールできる。そこで前半の先端部分のプライマー(5’→3’)と後半の末端部分のプライマー(3’→5’)および増幅した2つのDNA断片を用いてPCR反応することにより目的のDNA配列を増幅することができる。
一旦そのアミノ酸配列が決定されたキメラ組換えタンパク質については、その配列を元に当業者に公知の手法、例えば、アミノ酸1つ1つを化学的に重合してポリペプチドを合成する方法(ペプチド合成法)に従って調製することもできる。しかし、このような方法はコストの観点から工業的な利用には好適でないため、本発明のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAを含む組換えベクターを作製し、該ベクターを適切な宿主細胞中に導入して得られる形質転換体を培地に培養し、その培養物から採取する方法が好ましく用いられる。あるいは、本発明のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAを無細胞タンパク質合成系で発現させることにより、本発明のキメラ組換えタンパク質を製造することもできる。以下、形質転換体を用いる方法について説明する。
まず、本発明のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAをベクター中に連結し、組換えベクターを製造する。上記ベクターには、宿主細胞で自律的に増殖し得るファージ、コスミド、人工染色体またはプラスミドが使用されるほかに、例えば、プラスミドを発現カセットとして染色体に導入するような場合にはその発現カセットの構築に必要な宿主(例えば大腸菌)での自律複製能は必要だが、その発現カセットを導入する宿主(例えば酵母)での自律複製能は必ずしも必要でない。これらの組換えベクターは例えば大腸菌と酵母の両方で使用可能なように設計したシャトルベクター等も使用可能である。プラスミドとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpET21a(+)、pET32a(+)、pET39b(+)、pET40b(+)、pET43.1a(+)、pET44a(+)、pKK223−3、pGEX4T、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、YEp24、YCp50等)、また酵母でもピキア・パストリス用のプラスミド(例えばpPICZ、pPICZα、pHIL−D2、pPIC3.5、pHIL−S1、pPIC9、pPIC9K、pPIC6、pGAPZ、pPIC9K、pPIC3.5K、pAO815、pFLD、pJL−IX、pJL−SX)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、ワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。また、クローニング、シークエンス確認用にpCR4−TOPO(登録商標)などの市販のクローニング用ベクターを用いてもよい。
ベクターに本発明のDNAを挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。例えば本発明のDNAは、通常知られている方法により合成することができ、ベクターに組み込むため、適当な制限酵素の切断部位を両末端に含むように、プライマーを用いてPCR法により増幅してもよい。PCR反応の条件は、当業者が適宜決定することができるが、例えば94℃で30秒→60℃で30秒→74℃で30秒を1サイクルとして30サイクル反応させ、増幅されたDNAを得ることができる。
その他、組換えベクターには、プロモーターおよび本発明のDNAに加えて、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)などが連結されていてもよい。選択マーカーの例としては、カナマイシン、アンピシリン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールなどの薬剤耐性マーカー、ロイシン、ヒスチジン、リジン、メチオニン、アルギニン、トリプトファン、ウラシルなどの栄養要求性マーカーが挙げられるがこれに限定されない。
DNA断片とベクター断片とを連結させるには、公知のDNAリガーゼを用いる。そして、DNA断片とベクター断片とをアニーリングさせた後連結させ、組換えベクターを作成する。好ましくは市販のライゲーションキット、例えばライゲーションhigh(東洋紡株式会社製)を用いて、規定の条件にてライゲーション反応を行うことにより組換えベクターを得ることができる。
また、これらのベクターを、必要であればボイル法、アルカリSDS法、磁性ビーズ法およびそれらの原理を使用した市販されているキット等により精製し、さらに例えばエタノール沈殿法、ポリエチレングリコール沈殿法などの濃縮手段により濃縮することができる。
形質転換に使用する宿主としては、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼを発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。本発明においては、細菌または真核微生物が好ましく、サッカロミセス・セレビシェまたはピキア・パストリスなどの酵母が特に好ましい。例えば、ピキア・パストリスGS115株、ピキア・パストリスKM71株、ピキア・パストリスKM71H株、ピキア・パストリスSMD1168株、ピキア・パストリスSMD1168H株、ピキア・パストリスMS105株等を使用できる。
宿主細胞への組換えベクターの導入方法は、特に限定されないが、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法等が挙げられる。
本発明のDNAを含む形質転換体は、その組換えベクターが有するマーカー遺伝子により、例えば、アンピシリン、カナマイシンなどの抗生物質を含むLB培地寒天プレート上でコロニーを形成することにより選抜することができるが、クローニングされた宿主細胞が本発明の組換えベクターにより形質転換されたものかどうかを確認するため、一部を用いて、PCR法によるインサートの増幅確認、またはシーケンサーを用いたダイデオキシ法による配列解析をしてもよい。また、上記の自律複製可能なプラスミドを導入する形式の他に、染色体DNAと相同な領域をベクター内に配置し、相同組換えを起こさせて目的DNAを導入させる染色体組み込み型の導入方法を使用してもよい。
上記形質転換体を培地で培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては資化可能な炭素化合物であればよく、例えば、グルコースなどの糖類、グリセリンなどのポリオール類、メタノールなどのアルコール類、またはピルビン酸、コハク酸もしくはクエン酸等の有機酸類を使用することができる。また、窒素源としては利用可能な窒素化合物であればよく、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、カゼイン加水分解物、大豆粕アルカリ抽出物、メチルアミンなどのアルキルアミン類、またはアンモニアもしくはその塩などを使用することができる。その他、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カルシウム、カリウム、鉄、マンガン、亜鉛などの塩類、特定のアミノ酸、特定のビタミン、消泡剤なども必要に応じて使用してもよい。また、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシドなどのタンパク質発現誘導剤を必要に応じて培地に添加してもよい。
培養は、通常、振盪培養または通気攪拌培養などの好気的条件下、好ましくは0〜40℃、より好ましくは10〜37℃、特に好ましくは15〜37℃で培養を行う。培養期間中、培地のpHは宿主の発育が可能で、生産された(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの活性が損なわれない範囲で適宜変更することができるが、好ましくはpH4〜8程度の範囲である。pHの調整は、無機または有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
培養後、本発明のキメラ組換えタンパク質が菌体内または細胞内に生産される場合には、通常知られている方法、例えば、菌体または細胞を機械的方法、リゾチームなどを用いた酵素的方法または界面活性剤などを用いた化学的処理によって破壊することにより当該酵素を抽出できる。また、当該酵素が菌体外または細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体または細胞を除去する。
本発明のキメラ組換えタンパク質が封入体として得られる場合には、好ましくはさらにリフォールディングを行うことにより、活性型でかつ可溶性の本発明のキメラ組換えタンパク質を得ることができる。リフォールディングは、当技術分野で通常用いられる方法に従って実施することができ、例えば、Applied and Environmental Microbiology(1998)64:1405−1411に記載された方法に従って、実施することができる。
具体的には、培養後、遠心分離等の方法により集菌した後、細胞を破砕し、封入体を変性剤で可溶化することによって、本発明のキメラ組換えタンパク質を抽出することができる。細胞の破砕は、常法で、例えば超音波により実施できる。懸濁媒体としてはpH5.0〜8.0のpH値に調整した好適な緩衝液(例えばクエン酸緩衝液やリン酸緩衝液等)を用いることが好ましい。この際、細胞の破砕を促進させるためEDTAを添加してもよい。このようにして細胞を破砕した後に、不溶性成分(封入体)を任意の方法で、遠心分離するか、濾過することにより分取する。異種のタンパク質をできる限り除去するため、例えば水、リン酸緩衝液を用いて洗浄することが好ましいが、場合により界面活性剤や4M程度の尿素で洗浄してもよい。得られた沈殿(ペレット)を変性剤で可溶化するが、変性剤としては、公知の変性剤、特にグアニジンまたは尿素を使用することができる。この可溶化に当っての変性剤の濃度は、グアニジンでは4〜8モル/リットル、好ましくは約6モル/リットル、尿素では5〜9モル/リットル、好ましくは約8モル/リットルである。グアニジンは通常グアニジン塩酸塩等のグアニジンの酸付加塩として用いられる。
上記のようにして封入体の可溶化を行った後、遠心分離等で不純物を除去し、得られた上清を必要により精製工程に付した後、リフォールディング(活性化、再生化)を行うことができる。リフォールディングは、精製した本発明のキメラ組換えタンパク質にレドックスバッファーを添加するか、あるいは本発明のキメラ組換えタンパク質を含有する上澄液をレドックスバッファーで希釈することにより行われる。本発明のキメラ組換えタンパク質を含有する上澄液をレドックスバッファーで希釈する場合、変性剤の濃度を活性化に適した中性pHにおいて不作用濃度まで希釈することが必要であり、グアニジンでは0〜2.0モル/リットル、好ましくは約1モル/リットル以下まで、尿素では0〜4.0モル/リットル、好ましくは約2モル/リットル以下まで希釈する。
レドックスバッファーとしては、酸化型グルタチオン(GSSG)および還元型グルタチオン(GSH)、システインおよびシスチン、またはシステアミンおよびシスタミンを含有する緩衝液(例、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、Tris/HCl緩衝液)が好ましいものとして挙げられ、中でもGSSGおよびGSHを含有するTris/HCl緩衝液が好ましい。GSSGおよびGSHを用いる場合、GSSGの濃度は0.1〜10ミリモル/リットル、好ましくは0.1〜1.0ミリモル/リットル、GSHの濃度は0.1〜10ミリモル/リットル、好ましくは0.1〜1.0ミリモル/リットルである。
また、レドックスバッファーには、通常、グリセリン等の添加剤を添加してもよい。添加量としてグリセリンは1〜50%、好ましくは5〜20%の濃度で添加するのがよい。また、当該酵素は補酵素としてFADが必要なので、これを添加してもよい。添加量としては1〜1000μM、好ましくは10〜100μMの濃度で添加するのがよい。
該リフォールディングに当っての温度は0〜30℃、好ましくは0〜15℃、pHは7〜9、好ましくはpH7.5〜8.5である。リフォールディングに要する時間は通常1時間〜10週間、好ましくは3日〜1週間である。
その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫安分画法、有機溶媒沈殿法、イオン交換体などによる吸着処理法、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動法、限外ろ過膜を使用しての濃縮・脱塩・バッファー交換等を単独でまたは適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のキメラ組換えタンパク質を単離精製することができる。本発明のキメラ組換えタンパク質が得られたか否かは、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動等により確認することができる。
本発明はまた、本発明のキメラ組換えタンパク質とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させ、反応液から光学活性シアノヒドリンを回収することを含む、光学活性シアノヒドリンの製造方法に関する。
このような光学活性シアノヒドリンの製造方法としては、上記のように製造した本発明のDNAを含む組換えベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、得られた形質転換体を培養し、培養物とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させ、反応液から光学活性シアノヒドリンを回収することを含む方法が挙げられる。あるいは、無細胞タンパク質合成系を用いる方法が挙げられる。無細胞タンパク質合成系は、細胞抽出液を用いて試験管内でタンパク質を合成する系である。「無細胞タンパク質合成系」は、mRNAの情報を読み取ってリボソーム上でタンパク質を合成する無細胞翻訳系とDNAを鋳型としてRNAを合成する無細胞転写系との両者を含む。無細胞タンパク質合成系は、系を容易に改変することができるため、目的のタンパク質に適した発現系を構築しやすいという利点がある。なお、無細胞タンパク質合成系の詳細については、特開2000−175695号などに記載されている。
従って、本発明のキメラ組換えタンパク質とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させることには、精製された本発明のキメラ組換えタンパク質とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させることだけでなく、本発明のDNAを含む形質転換体を培養した培養物とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させること、ならびに無細胞タンパク質合成系から得られる反応液とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させることも含まれる。
ここで「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、細胞または菌体の破砕物、およびこれらから精製された本発明のキメラ組換えタンパク質自体のいずれをも意味するものである。本発明においては、好ましくは精製された本発明のキメラ組換えタンパク質を用いる。
シアノヒドリンを合成する酵素反応の形態については制限されず、水・有機溶媒混合系、有機溶媒系、有機溶媒水二相系、固定化酵素を使う反応系などのいずれの反応系においても効果的に実施することができる。
光学活性シアノヒドリンとは、一方の鏡像異性体が他方の鏡像異性体より多く含まれているシアノヒドリン、または、いずれか一方の鏡像異性体のみからなるシアノヒドリンをいう。(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼを用いることにより、用いた基質に応じて(R)−シアノヒドリンおよび(S)−シアノヒドリンの双方を製造することができる。
ここでカルボニル化合物とは、アルデヒドまたはケトンをいい、具体的には、次式(I):
−CO−R (I)
(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子または炭素数22以下の1価の炭化水素基を表し、前記炭化水素基中、−CH−ならびに−CHのCHはカルボニル基、スルホニル基、−O−またはS−で置き換えられていてもよく、=CHは=Oまたは=Sで置き換えられていてもよく、また−CH−のC−H、−CHのC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−Hならびに=CHのC−Hは、NまたはC−ハロゲンで置き換えられていてもよく、また、RおよびRは、共同して2価の基を表してもよい。)で示される。
前記式(I)において、炭素数22以下の1価の炭化水素基とは、直鎖状または分岐状の鎖状炭化水素基、側鎖のないまたは側鎖のある単環式炭化水素基、側鎖のないまたは側鎖のある多環式炭化水素基、側鎖のないまたは側鎖のあるスピロ炭化水素基、側鎖のないまたは側鎖のある環集合構造の炭化水素基、あるいは、前記の環式炭化水素基が置換した鎖状炭化水素基のいずれをも含む。また、飽和な炭化水素基ならびに不飽和な炭化水素基のいずれをも含むが、不飽和な炭化水素基において、C=C=Cのアレン構造を含む基は除く。
なお、以下においては、側鎖のない芳香族基、側鎖のある芳香族基、ならびに、フェニルフェニル基または側鎖のあるフェニルフェニル基などを併せて、アリール基といい、このアリール基で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基をアラルキル基という。他の環式炭化水素基に関しても、特に明記しない場合、環上に側鎖のないものとあるものを併せて指す場合には、単にシクロアルキル基等の名称を用いる。鎖状炭化水素基についても、直鎖状のものと分岐状のものを併せて指す場合には、単にアルキル基等の名称を用いる。
前記炭化水素基中、−CH−がカルボニル基、スルホニル基、−O−またはS−で置き換えられると、それぞれケトン、スルホン、エーテルまたはチオエーテルの構造が導入され、−CHの−CH−がカルボニル基、−O−またはS−で置き換わると、それぞれホルミル基(アルデヒド)、水酸基またはメルカプト基に変わり、あるいは、末端の=CHが=Oまたは=Sに置き換わると、ケトン、チオケトンの構造が導入されることを意味し、また、−CH−のC−HがNに変わると、−NH−となり、>CH−のC−HがNに変わると、>N−となり、=CH−のC−HがNに変わると、=N−となり、末端の−CHのC−HがNに変わると、−NHが導入され、=CHのC−HがNに変わると、=NHとなる。また、−CH、−CH−、=CH−、≡CHまたは>CH−のC−HがC−ハロゲンで置き換えられると、当該炭素上へハロゲン原子を置換することになる。なお、炭素鎖中における−O−、−S−、Nへの置き換えは、当該炭化水素基に対する、それぞれオキサ置換、チア置換、アザ置換に当たり、例えば、炭化水素環の環の骨格炭素で起こると、炭化水素環のそれぞれ含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環への変換となる。該炭化水素基中、CHならびにC−Hにおける置き換えは、それぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の置き換えを行った後、なお当該炭素上にCHまたはC−Hが残存する際には、更に置き換えがなされてもよい。更には、前記の置き換えにより、−CH−CHの−CO−O−H;カルボン酸構造への変換などもなされる。
本明細書において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を指すが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
従って、前記炭化水素基としては、鎖状炭化水素基ならびに環式炭化水素基など環構造を有する炭化水素基のいずれをも選択でき、例えば、飽和鎖状炭化水素基である直鎖状または分岐状のアルキル基、不飽和鎖状炭化水素基である直鎖状または分岐状のアルケニル基、直鎖状または分岐状のアルキニル基、直鎖状または分岐状のアルカジエニル基など、飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基、不飽和な環式炭化水素基であるシクロアルケニル基、シクロアルキニル基、シクロアルカジエニル基など、芳香族炭化水素基であるアリール基、アラルキル基、アリールアルケニル基などが挙げられる。
前記炭化水素基中のCHがカルボニル基、スルホニル基、OまたはSで、またはC−HがNまたはC−ハロゲンで置き換えられた基としては、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、スルホン、エーテル、チオエーテル、アミン、アルコール、チオール、ハロゲン、複素環(例えば、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環)などの構造を一つ以上含む基が挙げられる。なお、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環とは、環式炭化水素基の環骨格の炭素がそれぞれ酸素、硫黄、窒素で置き換わるものを意味し、更には、これらヘテロ原子置換が二種以上ある複素環であってもよい。前記の置換を有する炭化水素基としては、例えば、ケトン構造のアセチルメチル基、アセチルフェニル基;スルホン構造のメタンスルホニルメチル基;エーテル構造のメトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシプロピル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、フェノキシメチル基;チオエーテル構造のメチルチオメチル基、メチルチオフェニル基;アミン構造のアミノメチル基、2−アミノエチル基、2−アミノプロピル基、3−アミノプロピル基、2,3−ジアミノプロピル基、2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、4−アミノブチル基、2,3−ジアミノブチル基、2,4−ジアミノブチル基、3,4−ジアミノブチル基、2,3,4−トリアミノブチル基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、メチルアミノエチル基、プロピルアミノメチル基、シクロペンチルアミノメチル基、アミノフェニル基、ジアミノフェニル基、アミノメチルフェニル基;含酸素複素環のテトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリルエチル基;含酸素複素芳香環のフリル基、フルフリル基、ベンゾフリル基、ベンゾフルフリル基;含硫黄複素芳香環のチエニル基;含窒素複素芳香環のピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリジルメチル基;アルコール構造の2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3−ジヒドロキシブチル基、2,4−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4−トリヒドロキシブチル基、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシメチルフェニル基、ヒドロキシエチルフェニル基;チオール構造の2−メルカプトエチル基、2−メルカプトプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2,3−ジメルカプトプロピル基、2−メルカプトブチル基、3−メルカプトブチル基、4−メルカプトブチル基、メルカプトフェニル基;ハロゲン化炭化水素基である2−クロロエチル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、3−クロロブチル基、4−クロロブチル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基、クロロフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、トリクロロフェニル基、フルオロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基;アミン構造とアルコール構造を有する2−アミノ−3−ヒドロキシプロピル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル基、2−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−3−ヒドロキシブチル基、2,4−ジアミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2,4−ジヒドロキシブチル基、2,3−ジアミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−2,3−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジアミノ−2−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−3,4−ジヒドロキシブチル基、アミノヒドロキシフェニル基;ハロゲンと水酸基で置換された炭化水素基であるフルオロヒドロキシフェニル基、クロロヒドロキシフェニル基;カルボン構造のカルボキシフェニル基などが挙げられる。
およびRで表される非対称の2価の基としては、特に制限はなく、例えば、ノルボルナン−2−イリデン、2−ノルボルネン−5−イリデンが挙げられる。
前記式(I)で示されるカルボニル化合物としては、例えば、ベンズアルデヒド、m−フェノキシベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2,3−メチレンジオキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フルフラール等の芳香族アルデヒド;アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド;エチルメチルケトン、ブチルメチルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルメチルケトン、メチルペンチルケトン、メチル(2−メチルプロピル)ケトン、メチル(3−メチルブチル)ケトン等の飽和脂肪族ケトン;メチル(2−プロペニル)ケトン、(3−ブテニル)メチルケトン等の不飽和脂肪族ケトン;(3−クロロプロピル)メチルケトン等のアルキル(ハロアルキル)ケトン;2−(アルコキシカルボニルアミノ)−3−シクロヘキシルプロピオンアルデヒド等の2−(保護アミノ)アルデヒド;3−メチルチオプロピオンアルデヒド等のアルキルチオ脂肪族アルデヒドが挙げられる。
本発明において、基質としてのカルボニル化合物をシアノヒドリンに変換するためには、シアノ基供与体の存在下で酵素反応を実施する。本明細書中、シアノ基供与体とは、反応系へ添加することによって、シアニド、すなわちシアン化物イオン(CN−)を生じる物質を意味し、例えば、シアン化水素、青酸(シアン化水素酸)、シアン化ナトリウムやシアン化カリウムなどのシアン化水素の塩、または、アセトンシアノヒドリン等のシアノヒドリン類が挙げられる。特に回収リサイクルが容易な青酸(シアン化水素酸)を用いるのが好ましい。シアノ基供与体の供給方法としては常法により液体として供給する方法、または常法により気体として供給する方法のいずれをも採用することができる。
本発明のキメラ組換えタンパク質は、従来の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼと比べて、ハロゲン化シアノヒドリン合成反応を触媒する活性が高い。ハロゲン化シアノヒドリンは、ハロゲン置換基を有するカルボニル化合物を基質として、シアノ基供与体の存在下での酵素反応によって合成される。ハロゲン置換基を有するカルボニル化合物としては、好ましくはハロゲン化ベンズアルデヒドが挙げられ、ハロゲン化ベンズアルデヒドからは、ハロゲン化マンデロニトリルが合成される。ハロゲン化ベンズアルデヒドとしては、R−クロロベンズアルデヒド(例えば、R−2−クロロベンズアルデヒド、R−3−クロロベンズアルデヒド、R−4−クロロベンズアルデヒド)、ブロモベンズアルデヒド(例えば、R−2−ブロモベンズアルデヒド、R−3−ブロモベンズアルデヒド、R−4−ブロモベンズアルデヒド)、フルオロベンズアルデヒド(例えば、R−2−フルオロベンズアルデヒド、R−3−フルオロベンズアルデヒド、R−4−フルオロベンズアルデヒド)などが挙げられる。これらのハロゲン置換基を有するカルボニル化合物から合成される、ハロゲン化シアノヒドリンとしては、R−クロロマンデロニトリル(例えば、R−2−クロロマンデロニトリル、R−3−クロロマンデロニトリル、R−4−クロロマンデロニトリル)、ブロモマンデロニトリル(例えば、R−2−ブロモマンデロニトリル、R−3−ブロモマンデロニトリル、R−4−ブロモマンデロニトリル)、フルオロマンデロニトリル(例えば、R−2−フルオロマンデロニトリル、R−3−フルオロマンデロニトリル、R−4−フルオロマンデロニトリル)などが挙げられる。
本発明において酵素反応は、有機溶媒系、水系、二相系またはエマルジョン系いずれでも実施できるが、反応原料の濃度を高め、生産性を高めるために、反応溶媒として、水と実質的に混和しない有機溶媒を用いることが好ましい。ここで水系は本発明のHNLを含有する水溶液または緩衝液でクエン酸Na緩衝液やリン酸緩衝液がその例である。また、ここで、「水と実質的に混和しない有機溶媒」とは、水に任意の割合で溶解する溶媒を除く有機溶媒を意味する。有機溶媒としては、水と実質的に混和せず、基質および生成物を充分に溶解し、酵素反応に悪影響を与えないものであれば特に制限なく用いることができる。このような有機溶媒は、原料のアルデヒドまたはケトンの物性、生成物であるシアノヒドリンの物性に応じて適宜選択することができる。
水と実質的に混和しない有機溶媒としては、具体的には、ハロゲン化されていてもよい炭化水素系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状または環状の飽和または不飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルムなど;ハロゲン化されていてもよいアルコール系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状または環状の飽和または不飽和脂肪族アルコール、アラルキルアルコール)、例えば、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、n−アミルアルコールなど;ハロゲン化されていてもよいエーテル系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状または環状の飽和または不飽和脂肪族エーテル、芳香族エーテル)、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタンなど;ハロゲン化されていてもよいエステル系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状または環状の飽和または不飽和脂肪族エステル、芳香族エステル)、例えば、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等が挙げられ、これらを単独で用いてもまた2種以上を混合して用いてもよい。特に、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、酢酸エチルを用いるのが好ましい。
前記有機溶媒は、水または水性緩衝液で飽和されているのが好ましい。ここで水性緩衝液としては、特に制限はないが、酵素活性の最適pH(pH4〜7)の付近において緩衝能を発揮する緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、グルタル酸、リンゴ酸、マロン酸、o−フタル酸、コハク酸などの塩等によって構成される緩衝液等が好ましく用いられる。
本発明において、酵素、基質およびシアノ基供与体の使用量、反応温度は、用いる基質に応じて適宜決定される。通常、酵素の使用量は基質であるカルボニル化合物50mmolに対して250〜100,000単位、好ましくは500〜50,000単位である。
ここで、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの活性1単位は、(R)−マンデロニトリル(アルドリッチ製)を基質として1分間に1μmolのベンズアルデヒドを遊離する酵素量を1Uと定義した。測定方法は、20℃に保温した0.2Mクエン酸−NaOHバッファー(pH5.5)7mLに0.931μLのR−マンデロニトリルを添加混合し、3mLずつ測定セルと対照セルに分注し、分光光度計の20℃に保温したセルホルダーの測定側と対照側にセット後、濃縮酵素液を10μL添加して30秒間の249.6nmの吸光度変化からベンズアルデヒドの249.6nmでのモル吸光係数12350(M−1・cm−1)を用いて容量活性(U/mL)を算出した。カルボニル化合物の濃度は通常0.01〜10mol/Lの範囲に設定し、シアノ基供与体は用いるカルボニル化合物に対して1〜10倍モル、好ましくは1〜5倍モル、より好ましくは1〜3倍モルの濃度で添加する。本反応は基質濃度によって酵素活性および反応速度が変化するので、用いるカルボニル化合物の種類に応じて基質濃度を適宜決定する。反応時間は、基質であるカルボニル化合物の転換率が80%以上、好ましくは90%以上に達するまでの時間が適当であるが、これに限定されない。反応温度は酵素の活性が十分発揮される温度であればよく、通常0〜40℃、好ましくは4〜30℃である。
反応系において、回分式で反応を行う場合には、撹拌などにより、酵素が反応系内に分散するようにする。カラムなどに固定化酵素を充填して反応を行う場合には、基質を含む溶液を適当な流速でカラムに流入させ、流出液を採取することで実施できる。回分反応の場合には、反応が完結した時点で混合を止め、生産物が溶解している有機相を常法により取り出すことで生産物を回収できる。これらの酵素は初回と同じ方法で調製した基質を含む溶液と混合することによって再使用することができる。
酵素反応終了後のシアノヒドリンを含む反応液からの反応溶媒および未反応のシアノ基供与体の回収は、蒸留等の操作をすることにより行うことができる。蒸留は、シアノヒドリンが高温では不安定であるため、常圧高温下で実施するよりも、比較的低い温度で減圧下で実施することが好ましい。また、この蒸留操作においては、公知のシアノヒドリンの安定化剤を添加することもできる。安定化剤としては蒸留ボトムを酸性に維持できるものであればよく、p−トルエンスルホン酸、酢酸などの有機酸、硫酸などの無機酸などをシアノヒドリンに対して1/200〜1/10モル添加することで実施できる。
以下本発明を、実施例を参照することにより詳細に説明するが、本発明の範囲は実施例の範囲に限定されない。
実施例1:キメラ組換え酵素DNAの作成
ハロゲン化シアノヒドリン合成反応を触媒する活性は高いが、耐酸性・耐熱性が低いHNL1型(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ(PaRHNL1)のDNA(配列番号1)と、ハロゲン化シアノヒドリン合成反応を触媒する活性は低いが、耐酸性・耐熱性が高いHNL5型(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ(KR12−D199E)のDNA(配列番号3)をハイブリッドさせることで両酵素の利点を併せ持つキメラ組換え酵素の創出を検討した。両酵素をコードするDNAの塩基配列を元にして以下のDNA(RE−1、RE−2、RE−3、RE−4、RE−5)を設計し、化学合成した。PaRHNL1のアミノ酸配列を配列番号2に、KR12−D199Eのアミノ酸配列を配列番号4に示す。
RE−1はKR12−D199Eの1〜336位の塩基に続いてPaRHNL1の337〜1611位の塩基をつなげたキメラ組換えDNAであり、該DNAの塩基配列を配列番号5に示す。該DNAがコードするアミノ酸配列は、KR12−D199Eのアミノ酸配列における1〜112位のアミノ酸に続いてPaRHNL1のアミノ酸配列における113〜536位のアミノ酸をつなげた配列に相当する(配列番号6)。
RE−2はKR12−D199Eの1〜582塩基に続いてPaRHNL1の583〜1611塩基をつなげたキメラ組換えDNAであり、該DNAの塩基配列を配列番号7に示す。該DNAがコードするアミノ酸配列は、KR12−D199Eのアミノ酸配列における1〜194位のアミノ酸に続いてPaRHNL1のアミノ酸配列における195〜536位のアミノ酸をつなげた配列に相当する(配列番号8)。
RE−3はKR12−D199Eの1〜939塩基に続いてPaRHNL1の937〜1611塩基をつなげたキメラ組換えDNAであり、該DNAの塩基配列を配列番号9に示す。該DNAがコードするアミノ酸配列は、KR12−D199Eのアミノ酸配列における1〜313位のアミノ酸に続いてPaRHNL1のアミノ酸配列における313〜536位のアミノ酸をつなげた配列に相当する(配列番号10)。
RE−4はKR12−D199Eの1〜1344塩基に続いてPaRHNL1の1342〜1611塩基をつなげたキメラ組換えDNAであり、該DNAの塩基配列を配列番号11に示す。該DNAがコードするアミノ酸配列は、KR12−D199Eのアミノ酸配列における1〜448位のアミノ酸に続いてPaRHNL1のアミノ酸配列における448〜536位のアミノ酸をつなげた配列に相当する(配列番号12)。
RE−5はPaRHNL1の1〜582塩基に続いてKR12−D199Eの583〜1599塩基をつなげたキメラ組換えDNAであり、該DNAの塩基配列を配列番号13に示す。該DNAがコードするアミノ酸配列は、PaRHNL1のアミノ酸配列における1〜194位のアミノ酸に続いてKR12−D199Eのアミノ酸配列における195〜532位のアミノ酸をつなげた配列に相当する(配列番号14)。
実施例2:ピキア・パストリスにおけるキメラ組換えDNAの異種発現用の発現カセットの構築
Multi−Copy Pichia Expression Kit(Invitrogen製)を用いてピキア・パストリスにおいてキメラ組換えDNAを異種発現させるための発現カセットを作成した。発現カセットにはメタノールでの誘導発現で酵素を分泌させるためのシグナル配列にα−ファクターのシグナル配列を採用しているpPIC9Kベクターを用いた。方法は以下に従った。まず、pPIC9Kに各(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼをコードするDNAを制限酵素サイトEcoRIとNotIを介してクローニングするために実施例1で合成した各DNAをテンプレートとして2種のプライマーを用いてPCR反応を行った。プライマーの組み合わせはKR12−D199Eはプライマー1とプライマー2、PaRHNL1はプライマー3とプライマー4、RE−1、RE−2、RE−3、RE−4はプライマー1とプライマー4、RE−5はプライマー2とプライマー3を用いた。増幅には正確性の高い、「KOD DNA Polymerase」(東洋紡績製)を使用した。マニュアルに従って30μLの滅菌水に、5μLの10×Buffer#1、5μLのdNTP(各2mM)ミックス、2μLの25mM塩化マグネシウム溶液、各20pmolのプライマー、テンプレートとして1μLの10ng/μLの各(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼDNA溶液を添加混合後、1μLのKOD DNA Polymeraseを添加(全量50μL)し、混合溶液を作成した。94℃で2分間の変性工程から出発して、30サイクルの増幅(94℃で30秒、60℃で30秒、74℃で30秒)を行った。PCR反応で増幅した当該断片はプラスミドpPIC9K(Invitrogen製)にEcoRI、NotI切断部位を介してクローニングした。ベクター部分から組み込まれた(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼDNAの移行が正しいことを、配列決定によって確認した。形成されたピキア・パストリスにおける発現用のプラスミドを、それぞれp9K−KR12−D199E、p9K−PaRHNL1、p9K−RE−1、p9K−RE−2、p9K−RE−3、p9K−RE−4、p9K−RE−5と名づけた。
プライマー1(配列番号15)
5’−GGGGGGGAATTCCTTGCCAATACTTCTGCTCATGATTTTAGC−3’
プライマー2(配列番号16)
5’−GGGGGGGCGGCCGCTCACATGGACTCTTGAATATTATGAATAGCC−3’
プライマー3(配列番号17)
5’−GGGGGGGAATTCCTTGCCACGACTTCTGATCATG−3’
プライマー4(配列番号18)
5’−GGGGGGGCGGCCGCTTAAAGAACCAAGGATGCTGCTGAC−3’
実施例3:ピキア・パストリスにおけるキメラ組換え酵素の発現試験
プラスミドpPIC9Kに各DNAを導入した発現用のプラスミドp9K−KR12−D199E、p9K−PaRHNL1、p9K−RE−1、p9K−RE−2、p9K−RE−3、p9K−RE−4、p9K−RE−5をそれぞれ制限エンドヌクレアーゼSacIで切断し、ピキア・パストリスGS115(Invitrogen製)にそれぞれ形質転換した。形質転換はMulti−Copy Pichia Expression Kit(Invitrogen製)のプロトコールに従って行った。
ヒスチジン栄養要求性クローンをMulti−Copy Pichia Expression Kit(Invitrogen製)のプロトコールに従って液体培地BMGY20mLで振盪培養し、培地をBMMYに変更し、メタノールで120時間誘導した。細胞を遠心分離によって取り除き、培養上清を0.45μmのフィルターで精密ろ過後、限外ろ過で200μLまでに濃縮し、これを濃縮酵素液とした。
実施例4:キメラ組換え酵素の活性測定
(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、シアノ基供与体の存在下、ハロゲン置換基を有するカルボニル化合物を基質としてハロゲン化シアノヒドリンを合成する反応と、ハロゲン化シアノヒドリンを分解する反応の両方を触媒する活性を有し、通常、上記分解反応を触媒する活性の高い(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、合成反応を触媒する活性も高いことから、測定が容易なハロゲン化シアノヒドリン分解反応を測定することにより、酵素活性を評価した。
実施例3で得られた各濃縮酵素液に関してR−マンデロニトリル(RMN)とR−2−クロロマンデロニトリル(R2CMN)の2種類の基質に関して分光光度計を用いた活性測定を行った。RMNに関してはRMN 0.931μLを0.2Mクエン酸バッファー(pH5.5)7mLに溶解させ、3mLずつ測定セル、対照セルに分注し、測定セルに0.01mLの濃縮酵素液を添加混合し、対照セルとのベンズアルデヒド(モル吸光係数:12350M−1cm−1)に由来する249.6nmの吸光度勾配mABS/minを測定し容量活性(U/mL)を算出した。R2CMNに関してはRMNとほぼ同様であるが次のように測定した。R2CMNエタノール溶液(800g/L)0.931μLを0.2Mクエン酸バッファー(pH5.5)7mLに溶解させ、3mLずつ測定セル、対照セルに分注し、測定セルに0.1mLの濃縮酵素液を添加混合し、対照セルとの2−クロロベンズアルデヒド(モル吸光係数8349.6M−1cm−1)に由来する249.6nmの吸光度勾配mABS/minを測定し容量活性(U/mL)を算出した。
Figure 0005236249
次にR2CMNに対する活性が向上したかをみるためにR2CMNに対する活性とRMNに対する活性の比を1000倍した値を算出しこれをR2CMNに対する活性の高さの指標の「R2CMN活性比」とした。計算式を下に示す。
Figure 0005236249
測定結果を以下の表1示す。
Figure 0005236249
表1から、RE−1、RE−2、RE−3はPaRHNL1と同等のR2CMN活性を有することがわかる。また、RE−4およびRE−5はPaRHNL1よりは劣るがKR12−D199Eよりは高いR2CMN活性を有していた。
実施例5:キメラ組換え酵素の耐酸性試験
酵素の安定性の指標として以下のように耐酸性試験を実施した。実施例3で得られた濃縮酵素液をRMN容量活性が100U/mLになるように0.2Mクエン酸バッファー(pH5.5)で希釈または限外ろ過で濃縮した。この濃縮酵素液10μLを200μL容積のPCRチューブに入れ、さらに0.2Mクエン酸バッファー(pH3.0)190μLを混合して37℃で3時間、サーマルサイクラー(iCycler,日本バイオラッド製、日本)でインキュベートした。その後容量活性を実施例4と同様に測定した。同様に0.2Mクエン酸バッファー(pH5.5)でも実験し、0.2Mクエン酸バッファー(pH5.5)の場合の容量活性を100%として0.2Mクエン酸バッファー(pH3.0)の場合の残存活性を算出した。結果を以下の表2に示す。
Figure 0005236249
表2から、RE−2、RE−3、RE−4はKR12−D199Eと同等の残存活性を示し同等の耐酸性を有することがわかる。また、RE―1およびRE−5はKR12−D199Eよりは劣るがPaRHNL1よりは高い残存活性を示し、PaRHNL1よりは高い耐酸性を有することがわかる。
実施例6:キメラ組換え酵素の耐熱性試験
酵素の安定性の指標として以下のように耐熱性試験を実施した。実施例3で得られた濃縮酵素液をRMN容量活性が10U/mLになるように0.2Mクエン酸バッファー(pH5.5)で希釈した。この濃縮酵素液をPCRチューブに20μLに分注し、75℃で30分、サーマルサイクラー(iCycler,日本バイオラッド製)でインキュベートした。その後容量活性を実施例4と同様に測定した。容量活性10U/mLを100%として75℃で処理した場合の残存活性を算出した。結果を以下の表3に示す。
Figure 0005236249
表3から、RE−4はKR12−D199Eと同等の残存活性を示し、同等の耐熱性を有することがわかる。また、RE―1、RE−2、RE−3はKR12−D199Eよりは劣るがPaRHNL1よりは高い残存活性を示し、PaRHNL1よりは高い耐熱性を有することがわかる。RE−5はPaRHNL1と同等の残存活性であったのでPaRHNL1と同等の耐熱性を有することがわかる。
以上から、HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における314〜448位の連続するアミノ酸と、HNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼのアミノ酸配列における1〜112位の連続するアミノ酸を少なくとも含むキメラ組換え酵素、特にRE−3は、ハロゲン化シアノヒドリンの合成反応を触媒する活性が高く、かつ耐熱性および耐酸性が高いことが示された。

Claims (8)

  1. HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質であって、
    そのアミノ酸配列の一部が配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列と94%以上の同一性を有するアミノ酸配列に由来し、残りが配列番号4のアミノ酸配列または配列番号4のアミノ酸配列と94%以上の同一性を有するアミノ酸配列に由来するものであり、
    配列番号2のアミノ酸配列または配列番号2のアミノ酸配列と94%以上の同一性を有するアミノ酸配列における、配列番号2のアミノ酸配列を参照配列としたときの314〜448位の連続するアミノ酸と、配列番号4のアミノ酸配列または配列番号4のアミノ酸配列と94%以上の同一性を有するアミノ酸配列における、配列番号2のアミノ酸配列を参照配列としたときの1〜112位の連続するアミノ酸を少なくとも含み、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有する前記タンパク質。
  2. 以下の(a)または(b)のタンパク質:
    (a)配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列からなるタンパク質、
    (b)配列番号6、8、10または12のいずれかで表されるアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質。
  3. 請求項1または2記載のタンパク質をコードするDNA。
  4. HNL1型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとHNL5型の(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼとの間のキメラ組換えタンパク質をコードするDNAであって、
    その塩基配列の一部が配列番号1の塩基配列または配列番号1の塩基配列と94%以上の同一性を有する塩基配列に由来し、残りが配列番号3の塩基配列または配列番号3の塩基配列と94%以上の同一性を有する塩基配列に由来するものであり、
    配列番号1の塩基配列または配列番号1の塩基配列と94%以上の同一性を有する塩基配列における、配列番号1の塩基配列を参照配列としたときの940〜1344位の連続する塩基と、配列番号3の塩基配列または配列番号3の塩基配列と94%以上の同一性を有する塩基配列における、配列番号1の塩基配列を参照配列としたときの1〜336位の連続する塩基を少なくとも含み、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードする前記DNA。
  5. 以下の(a)または(b)のDNA:
    (a)配列番号5、7、9または11のいずれかで表される塩基配列からなるDNA、
    (b)配列番号5、7、9または11のいずれかで表される塩基配列と90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項記載のDNAを宿主細胞に導入することによって得られる形質転換体。
  7. 請求項6に記載の形質転換体を培養することを含む、(R)−ヒドロキシニトリルリアーゼの製造方法。
  8. 請求項1または2記載のタンパク質とカルボニル化合物およびシアノ基供与体とを反応させ、反応液から光学活性シアノヒドリンを回収することを含む、光学活性シアノヒドリンの製造方法。
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