JP2015167478A - マンデロニトリル酸化酵素 - Google Patents

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弥生 市来
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裕幸 石田
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Abstract

【課題】本発明は、マンデロニトリルなどのα−シアノヒドリン化合物の酸化反応を酸化してベンゾイルシアニドなどを生成する反応を触媒する新規マンデロニトリル酸化酵素、および当該酵素をコードする遺伝子を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素と当該マンデロニトリル酸化酵素をコードする遺伝子は、それぞれ、特定のアミノ酸配列と塩基配列を有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、マンデロニトリルなどのα−シアノヒドリン化合物を酸化してベンゾイルシアニドなどを生成する反応を触媒する新規マンデロニトリル酸化酵素、および当該酵素をコードする遺伝子に関するものである。
一般的に、ヤスデは、外敵から身を守るために防御物質を放出する。ヤスデの中でもオビヤスデ目(Polydesmida)の一部のヤスデは、シアン化水素やマンデロニトリルを防御物質として産生する。
ヤスデにおけるシアン化水素の発生機構の一つとして、マンデロニトリルとその酸化物であるベンゾイルシアニドのショッテン−バウマン反応によりマンデロニトリルベンゾエートと共にシアン化水素を生成する経路がある。
しかし、ヤスデの分泌腺からは主成分としてマンデロニトリルしか検出されておらず、ベンゾイルシアニドの由来は不明である。また、マンデロニトリルからベンゾイルシアニドへの酸化を触媒する酵素の存在も知られていない。
上述したように、ヤスデにおけるベンゾイルシアニドの生成過程は知られていない。おそらく分泌されたマンデロニトリルが酸化されてベンゾイルシアニドが生じると推測されるが、詳細は不明であり、この反応に関与する酵素の存在も知られていない。
そこで本発明は、マンデロニトリルなどのα−シアノヒドリン化合物を酸化してベンゾイルシアニドなどを生成する反応を触媒する新規マンデロニトリル酸化酵素、および当該酵素をコードする遺伝子を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、防御などのためにシアン化水素を含むガスを放出するヤンバルトサカヤスデから、マンデロニトリルの酸化活性を有する酵素を見出して、本発明を完成した。
本発明を以下に示す。
[1] 下記の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とするマンデロニトリル酸化酵素。
(1) 配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列;
(2) 配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、マンデロニトリルを酸化する活性を有するアミノ酸配列;
(3) 配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、且つ、マンデロニトリルを酸化する活性を有するアミノ酸配列
[2] SDS−PAGEで検出される分子質量のバンドが67±3.4kDaに表れる上記[1]に記載のマンデロニトリル酸化酵素。
[3] 下記の(4)〜(6)のいずれかの塩基配列を有することを特徴とするマンデロニトリル酸化酵素遺伝子。
(4) 配列番号3または配列番号4に記載の塩基配列;
(5) 配列番号3または配列番号4に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、当該配列にコードされたタンパク質がマンデロニトリルを酸化する活性を有する塩基配列;
(6) 配列番号3または配列番号4に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有し、且つ、当該配列にコードされたタンパク質がマンデロニトリルを酸化する活性を有する塩基配列
[4] 上記[3]に記載のマンデロニトリル酸化酵素遺伝子を含むことを特徴とするベクター。
[5] 上記[4]に記載のベクターにより形質転換されていることを特徴とする形質転換体。
本発明のマンデロニトリル酸化酵素は、マンデロニトリルなどのα−シアノヒドリン化合物の酸化反応を触媒する全く新しい酵素である。よって、本発明のマンデロニトリル酸化酵素は、様々な化合物に変換することができ、合成中間体などとして有用なニトリル化合物の製造に利用できるものとして有用である。
また、本発明のマンデロニトリル酸化酵素は、α−シアノヒドリン化合物を酸化するに当たり、当該α−シアノヒドリン化合物と等モルの過酸化水素を生成する。よって、過酸化水素の生成量を測定することにより、α−シアノヒドリン化合物の量や濃度の測定も可能になる。
図1は、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素の分子質量を、分子量マーカーを用い、SDS−PAGEで分析した結果を示すゲルの写真である。 図2は、本発明のマンデロニトリル酸化酵素をHPLCで分析した結果である。
以下、先ず、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素について説明する。
<マンデロニトリル酸化酵素>
本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素は、上記(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列を有するものである。
上記マンデロニトリル酸化酵素において、「配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列」は、ヤンバルトサカヤスデ(Chamberlinius hualienensis)由来の天然型マンデロニトリル酸化酵素のアミノ酸配列である。ヤンバルトサカヤスデは、特に沖縄県や鹿児島県で周期的に異常発生し、列車を止めるなどする一方で、駆除しようとするとシアン化水素を含むガスを放出して健康被害を及ぼすなど問題になっている。本発明者らは、ヤンバルトサカヤスデがマンデロニトリルを有し且つシアン化水素を産生することに注目し、シアン化水素の生成機構として、マンデロニトリルを酸化する酵素が存在し、マンデロニトリルの酸化により生成したベンゾイルシアニドがマンデロニトリルと反応してマンデロニトリルベンゾエートとシアン化水素が生成するとの機構を推定して実験を進めたところ、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素の単離精製に成功したものである。また、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素は、異常発生する一方で駆除方法が確立していないヤンバルトサカヤスデより単離精製できることから、本発明は、ヤンバルトサカヤスデの処理方法としても価値が高い。
その他、ヤンバルトサカヤスデと同じくオビヤスデ目(Polydesmida)に分類されるヤスデのうち、タンバアカヤスデ(Nedyopus tambanus tambanus)、ミドリババヤスデ(Parafontaria tonominea)、エパネルコデウス属(Epanerchodus sp.)、エパネルコデウス フルヴス(Epanerchodus fulvus Haga)、キシャヤスデ(Parafontaria laminate armigera)も、ベンゾイルシアニドを産生し、ショッテン−バウマン反応によりマンデトニトリルベンゾエートとシアン化水素を生成する経路を有する(Kawaharaら,J.Chem.Ecol.,37,pp.232−238(2011))。よって、これらヤスデも本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素を産生し、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素はこれらヤスデからも精製できると考えられる。
本発明において酵素が「(特定の)アミノ酸配列を有する」とは、その酵素のアミノ酸配列が特定されたアミノ酸配列を含んでいればよく、且つ、その酵素の機能が維持されていることを意味する。その酵素において特定されたアミノ酸配列以外の配列としては、シグナルペプチド、ヒスチジンタグ、固定化のためのリンカー配列の他、ジスルフィド結合などの架橋構造などが挙げられる。
本発明の上記アミノ酸配列(2)において、「1または数個のアミノ酸が欠失、置換および/または付加されたアミノ酸配列」における「1から数個」の範囲は、欠失等を有するタンパク質がマンデロニトリルを酸化する活性を有する限り特に限定されるものではない。前記「1から数個」の範囲は、例えば1個以上、30個以下とすることができ、好ましくは1個以上、20個以下、より好ましくは1個以上、10個以下、さらに好ましくは1個以上、7個以下、一層好ましくは1個以上、5個以下、特に好ましくは1個以上、3個以下、1個以上、2個以下、1個程度であることができる。
本発明の上記アミノ酸配列(3)において、「上記(1)に規定されるアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有するアミノ酸配列」における「配列同一性」は、当該アミノ酸配列の相同性を有する酵素がマンデロニトリルを酸化する活性を有する酵素である限り、特に限定されない。前記アミノ酸配列の相同性は70%以上であれば特に限定されないが、80%以上、90%以上または95%以上が好ましく、より好ましくは96%以上または97%以上であり、さらに好ましくは98%以上、99%以上または99.5%以上であり、特に好ましくは99.8%以上である。本発明において「配列の相同性」という語は、2以上のアミノ酸配列の互いに対するアミノ酸の同一性の程度を指す。従って、ある二つのアミノ酸配列の同一性が高い程、それらの配列の同一性ないし類似性は高い。2種類のアミノ酸配列が特定の相同性を有するか否かは、配列の直接の比較によって解析することが可能であり、具体的には、市販の配列解析ソフトウェア等を用いて解析することができる。
上記アミノ酸配列(2)および(3)において、「マンデロニトリルを酸化する活性を有する」とは、後記の反応条件において、少なくとも、マンデロニトリルを酸化してベンゾイルシアニドを生成する活性を有することをいう。
上記アミノ酸配列(1)を有するマンデロニトリル酸化酵素の分子質量をSDS−PAGEで分析したところ、図1のとおり、67kDa付近にバンドが認められた。図1に示す結果より、上記アミノ酸配列(1)を有するマンデロニトリル酸化酵素の分子質量は67±3.4kDaの範囲に含まれると考えられる。
上記アミノ酸配列(1)を有するマンデロニトリル酸化酵素は、補酵素としてNAD+やNADP+を必要とせず、非共有結合型FADを保持している。また、酸化反応において基質であるα−シアノヒドリン化合物と等モルの過酸化水素を生成する。また、本発明者らの実験的知見によれば、上記アミノ酸配列(1)を有するマンデロニトリル酸化酵素の至適pHは6〜7であるが、pHが高いほどマンデロニトリルなどは分解し易くなるので、反応はpH5前後、より具体的にはpH4.5以上、5.5以下で行うことが好ましい。また、至適温度は20℃であることから、15℃以上、25℃以下程度で反応を行うことが好ましい。
以上の上記アミノ酸配列(1)を有するマンデロニトリル酸化酵素の特定は、上記アミノ酸配列(2)または(3)を有するマンデロニトリル酸化酵素にも当てはまると考えられる。
<遺伝子とベクター>
本発明に係る遺伝子は、上記マンデロニトリル酸化酵素をコードするものである。なお、本発明に係る遺伝子を規定する文言の定義などは、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素を規定する文言の定義などを準用するものとする。
上記遺伝子(4)は、ヤンバルトサカヤスデ(Chamberlinius hualienensis)から単離精製された天然型マンデロニトリル酸化酵素をコードする遺伝子である。よって、上記遺伝子(4)も、ヤンバルトサカヤスデのcDNAを鋳型としたPCRなどにより得てもよい。
本発明に係る遺伝子の塩基配列(5)および(6)は、上記マンデロニトリル酸化酵素(2)または(3)のアミノ酸配列をコードするものとしてデザインすることができる。
本発明の核酸は、例えば、配列番号3または配列番号4の塩基配列を有するマンデロニトリル酸化酵素遺伝子DNAもしくはその相補配列、またはこれらの断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション、サザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法により、cDNAライブラリーから得ることができる。ライブラリーは、公知の方法で作製されたものを利用することが可能である。
本発明において「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄時の条件であって塩濃度が300mM以上、2000mM以下、温度が40℃以上、75℃以下、好ましくは塩濃度が600mM以上、900mM以下、温度が65℃の条件を意味する。例えば、2×SSCで50℃等の条件を挙げることができる。当業者であれば、このようなバッファーの塩濃度や温度などの条件に加えて、その他のプローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件を加味し、本発明のマンデロニトリル酸化酵素をコードする核酸を得るための条件を設定することができる。
ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.」Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等を参照することができる。ハイブリダイズする核酸としては、例えば、配列番号3または配列番号4の塩基配列に対して70%以上の配列相同性を有する塩基配列を含む核酸またはその部分断片が挙げられる。当該配列相同性としては、80%以上、90%以上または95%以上が好ましく、より好ましくは96%以上または97%以上であり、さらに好ましくは98%以上、99%以上または99.5%以上であり、特に好ましくは99.8%以上である。
本発明において、マンデロニトリル酸化酵素遺伝子の調製を行う方法は特に制限されず、通常は、公知の方法で行うことができる。例えば、ヤンバルトサカヤスデのcDNAを鋳型としてPCRにより調製してもよいし、また、天然型マンデロニトリル酸化酵素遺伝子を基に、市販のキットを利用して部位特異的な置換を生じさせる方法や、遺伝子DNAを選択的に開裂し、次いで選択されたオリゴヌクレオチドを除去・付加し連結する方法等が挙げられる。
これらの部位特異的変異誘発法は「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.」Cold Spring Harbor Press(1989)、「Current Protocols in Molecular Biology」John Wiley & Sons(1987−1997)、Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,pp.488−92(1985)、Kramer and Fritz Method.Enzymol.,154,pp.350−67(1987)、Kunkel,Method.Enzymol.,85,pp.2763−6(1988)等に記載されている。近年では、Kunkel法やGapped duplex法を基にした部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット、例えばQuikChangeTM Site−Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site−Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site−Directed Mutagenesis System(Mutan−K、Mutan−Super Express Km等:タカラバイオ社製)等を用いて行うことができる。
また、目的とする変異導入箇所が、対象遺伝子配列において消化・連結が容易な制限酵素部位の近隣に存在する場合、目的変異を導入したプライマー(合成オリゴDNA)を用いてPCRを行うことで、目的変異が導入された遺伝子DNA断片を容易に得ることができる。さらには、合成オリゴDNAを組み合わせたPCR法(assembly PCR)で伸長させて合成遺伝子として得ることもできる。
また、ハイドロキシルアミンや亜硝酸等の変異源となる薬剤を接触・作用させる方法、紫外線照射により変異を誘発する方法、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いてランダムに変異を導入する方法などのランダムな変異導入法によっても、天然型マンデロニトリル酸化酵素遺伝子から所望の変異型マンデロニトリル酸化酵素遺伝子を得ることができる。
上記の方法によって得た本発明のマンデロニトリル酸化酵素遺伝子を宿主で発現させるために、遺伝子の上流に転写プロモーターを、下流にターミネーターを挿入して発現カセットを構築し、このカセットを発現ベクターに挿入することができる。或いは、当該マンデロニトリル酸化酵素遺伝子を導入する発現ベクターに転写プロモーターとターミネーターがすでに存在する場合には、発現カセットを構築することなく、ベクター中のプロモーターとターミネーターを利用してその間に当該変異遺伝子を挿入すればよい。ベクターに当該マンデロニトリル酸化酵素遺伝子を挿入するには、制限酵素を用いる方法、トポイソメラーゼを用いる方法等を利用する。また、挿入の際に必要であれば、適当なリンカーを付加してもよい。なお、本発明においては、このような組み込み操作を、マンデロニトリル酸化酵素遺伝子の調製操作と兼ねて行うこともできる。即ち、他のアミノ酸をコードする塩基配列に置換した塩基配列を有するプライマーを用い、天然型マンデロニトリル酸化酵素遺伝子がクローニングされた組換えベクターを鋳型としてPCRを行い、得られた増幅産物をベクターに組み込むことができる。
プロモーターの種類は宿主において適切な発現を可能にするものであれば特に限定されるものではないが、例えば、大腸菌由来のトリプトファンオペロンのtrpプロモーター、ラクトースオペロンのlacプロモーター、ラムダファージ由来のPLプロモーターおよびPRプロモーターや、枯草菌由来のグルコン酸合成酵素プロモーター(gnt)、アルカリプロテアーゼプロモーター(apr)、中性プロテアーゼプロモーター(npr)、α−アミラーゼプロモーター(amy)等が挙げられる。また、tacプロモーター、trcプロモーターのように改変、設計された配列も利用できる。
ターミネーターは必ずしも必要ではなく、その種類も特段限定されるものではなく、例えばρ因子非依存性のもの、例えばリポプロテインターミネーター、trpオペロンターミネーター、rrnBターミネーター等が挙げられる。
また、アミノ酸への翻訳にとって重要な塩基配列として、SD配列やKozak配列などのリボソーム結合配列が知られており、これらの配列をマンデロニトリル酸化酵素遺伝子の上流に挿入することもできる。原核生物を宿主に用いるときにはSD配列を、真核細胞を宿主に用いるときにはKozak配列をPCR法などにより付加してもよい。SD配列としては、大腸菌由来または枯草菌由来の配列などが挙げられるが、大腸菌や枯草菌等の所望の宿主内で機能する配列であれば特に限定されるものではない。たとえば、16SリボゾームRNAの3’末端領域に相補的な配列が4塩基以上連続したコンセンサス配列をDNA合成により作製して利用してもよい。
一般に、ベクターには目的とする形質転換体を選別するための因子(選択マーカー)が含まれる。選択マーカーとしては、薬剤耐性遺伝子や栄養要求性相補遺伝子、資化性付与遺伝子などが挙げられ、目的や宿主に応じて選択されうる。例えば大腸菌で選択マーカーとして用いられる薬剤耐性遺伝子としては、アンピシリン耐性遺伝子、カナマイシン遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。
本発明において使用されるベクターは、上記のマンデロニトリル酸化酵素遺伝子を保持するものであれば特に限定されず、それぞれの宿主に適したベクターを使用することができる。ベクターとしては、例えば、プラスミドDNA、バクテリオファージDNA、レトロトランスポゾンDNA、人工染色体DNAなどが挙げられる。例えば、大腸菌を宿主とする場合には、大腸菌中での自律複製可能な領域を有しているpTrc99A(Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)、オランダ;http://www.cbs.knaw.nl/)、pUC19(タカラバイオ、日本)、pKK233−2(Centraalbureau voor Schimmelcultures(CBS)、オランダ;http://www.cbs.knaw.nl/)、pET−12(Novagen社、ドイツ)、pET−26b(Novagen社、ドイツ)などを用いることができる。また、必要に応じてこれらベクターを改変したものも用いることができる。また、発現効率の高い発現ベクター、例えばtrcプロモーター、lacオペレーターを有する発現ベクターpTrc99AまたはpKK233−2などを用いることもできる。
上記のマンデロニトリル酸化酵素遺伝子を含む組換えベクターは、本発明の範囲に含まれる。
<形質転換体>
本発明の組換えベクターを宿主に形質転換または形質導入することで、形質転換体を作製することができる。当該形質転換体も本発明の範囲に含まれる。
本発明において使用する宿主は、上記組換えベクターが導入された後、目的のマンデロニトリル酸化酵素を発現することができる限り特に限定されるものではない。宿主としては、例えば大腸菌、枯草菌などの細菌;酵母(Pichia、Saccharomyces)やカビ(Aspergillus)などの真菌;動物細胞;昆虫細胞;植物細胞などが挙げられる。
<マンデロニトリル酸化酵素の製造方法>
本発明のマンデロニトリル酸化酵素は、ヤンバルトサカヤスデから製造することができる。例えば、ヤンバルトサカヤスデを液体窒素中磨り潰した破砕物を緩衝液に懸濁し、固形分を遠心分離にて取り除き、得られた上清を粗酵素液とすることができる。本酵素をさらに精製するために、得られた粗酵素液を硫酸アンモニウムを用いて塩析または分画し、沈殿物を取得することができる。得られた沈殿物から本酵素を精製するために、各種クロマトグラフィを用いることができる。具体的には、陰イオン交換クロマトグラフィ、疎水性クロマトグラフィ、ゲルろ過クロマトグラフィ等を組み合わせることができる。なお、本発明のマンデロニトリル酸化酵素は部分精製品でも十分な活性を有するため、本発明には精製品と部分精製品の両方が含まれるものとする。
その他、本発明のマンデロニトリル酸化酵素は、上記形質転換体を培養し、得られる培養物から精製することにより製造することもできる。
本発明において「培養物」とは、培養上清、培養細胞、培養菌体、または細胞もしくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培養して得られる培養物は、本発明の範囲に含まれる。
本発明の形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。目的のマンデロニトリル酸化酵素は、上記培養物中に蓄積される。
本発明の形質転換体を培養する培地は、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類などを含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、ガラクトース、フラクトース、スクロース、ラフィノース、デンプン等の炭水化物;酢酸、プロピオン酸等の有機酸;エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物が挙げられる。その他、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカー、各種アミノ酸等を用いてもよい。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸亜鉛、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、必要に応じ、培養中の発泡を防ぐために消泡剤を添加してもよい。また、ビタミン等を必要に応じて適宜添加してもよい。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
培養中、ベクターおよび目的遺伝子の脱落を防ぐために選択圧を掛けた状態で培養してもよい。即ち、選択マーカーが薬剤耐性遺伝子である場合に相当する薬剤を培地に添加してもよく、選択マーカーが栄養要求性相補遺伝子である場合に相当する栄養因子を培地から除いてもよい。また、選択マーカーが資化性付与遺伝子である場合は、相当する資化因子を必要に応じて唯一因子として添加することができる。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を含むベクターで形質転換した大腸菌を培養する場合、培養中に、必要に応じてアンピシリンを培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、イソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)で誘導可能なプロモーターを有する発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときには、IPTG等を培地に添加することができる。また、インドール酢酸(IAA)で誘導可能なtrpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときには、IAA等を培地に添加することができる。
形質転換体の培養条件は、目的のマンデロニトリル酸化酵素の生産性および宿主の生育が妨げられない条件であれば特段限定されるものではないが、通常、培養温度は10℃以上、45℃以下、好ましくは10℃以上、40℃以下、さらに好ましくは15℃以上、40℃以下、さらにより好ましくは20℃以上、37℃以下で行い、必要に応じて、培養中に温度を変更してもよい。培養時間は5時間以上、120時間以下程度とすることができ、好ましくは5時間以上、100時間以下、さらに好ましくは10時間以上、100時間以下、さらにより好ましくは15時間以上、80時間以下程度行う。pHの調整は、無機または有機酸、アルカリ溶液等を用いて行い、大腸菌であれば6以上、9以下に調整する。培養方法としては、固体培養、静置培養、振盪培養、通気攪拌培養などが挙げられる。
培養のための培地の初発pHは7以上、9以下に調整するのが適当である。また、培養は、5℃以上、40℃以下、好ましくは10℃以上、37℃以下で5時間以上、100時間以下行う。通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養、流加培養等により実施するのが好ましい。
本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素は、上記培養物から精製されるが、その精製度合いは特に制限されない。例えば、上記培養物をホモジェナイズし、濾過や遠心分離などにより不溶物を除去した溶液をそのまま用いてもよいし、さらに、カラムクロマトグラフィなどにより精製して、粗酵素液や酵素液を得てもよい。
<酵素反応>
本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素の活性は、例えば、以下の反応により測定することができる。即ち、50mMクエン酸緩衝液(pH5)中に適量の酵素と終濃度で10mMのマンデロニトリルを加え、1分間反応を行う。反応生成物をヘキサンで抽出し、HPLCにて生成したベンゾイルシアニドを測定する。或いは、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素の作用により、反応したマンデロニトリルと同モルの過酸化水素が生成するため、生成した過酸化水素を、例えば、反応液中にペルオキシダーゼと、4−アミノアンチピリンおよびN−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)−m−トルイジンとの組合せなどの発色試薬を共存させ、吸光度により測定してもよい。なお、測定に用いるマンデロニトリル酸化酵素の量は、その精製度などに応じて、予備実験などで適宜決定すればよい。
本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素は、マンデロニトリルのみを基質をするものではなく、式(I)で表されるような、α−シアノヒドリン化合物であってそのシアノ基に対する第2位炭素−第3位炭素間にパイ電子系が存在する化合物に対しても活性を示す。具体的には、α−シアノヒドリン化合物(I)を酸化してカルボニルシアニド化合物(II)と過酸化水素を生成する以下の反応を触媒する。
[式中、R1は、置換基αを有していてもよいC6-12アリール基、−CH=CHR2、または、−CH=CH−CH=CHR3を示し;R2は、置換基βを有していてもよいC1-6アルキル基を示し;R3は、置換基βを有していてもよいC1-6アルキル基を示し;上記置換基αは、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子からなる群より選択される1以上の置換基を示し;上記置換基βは、C1-6アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子からなる群より選択される1以上の置換基を示す]
本発明において「C6-12アリール基」とは、炭素数が6以上、12以下の一価芳香族炭化水素基をいう。例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、インデニル、ビフェニル等であり、好ましくはフェニルまたはナフチルである。
「C1-6アルキル基」は、炭素数1以上、6以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和脂肪族炭化水素基をいう。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等である。アリール基上の置換基として好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくはC1-2アルキル基であり、最も好ましくはメチルである。R2として好ましくはC2-5アルキル基であり、より好ましくはC3-4アルキル基であり、最も好ましくはn−プロピルである。R3として好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくはC1-2アルキル基である。
「C1-6アルコキシ基」とは、炭素数1以上、6以下の直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素オキシ基をいう。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ等であり、好ましくはC1-4アルコキシ基であり、より好ましくはC1-2アルコキシ基である。
「ハロゲン原子」としては、フルオロ原子、クロロ原子、ブロモ原子、およびヨード原子を例示することができ、クロロ原子またはブロモ原子が好ましい。
上記反応の条件は、上記のマンデロニトリル酸化酵素の活性測定方法の条件と同様とすることができる。但し、α−シアノヒドリン化合物(I)とカルボニルシアニド化合物(II)の縮合化合物であるシアノヒドリルカルボネート化合物(III)が必要である場合には、反応液のpHを7.0以上、12.0以下、より好ましくは7.5以上、8.5以下に調整しておくことが好ましい。
反応後は、通常の後処理をしてもよい。例えば、目的化合物がカルボニルシアニド化合物(II)である場合には、pHに留意して分解を抑制しつつ精製する。また、目的化合物がシアノヒドリルカルボネート化合物(III)である場合には、通常の抽出や精製を行えばよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: マンデロニトリル酸化酵素の分離精製
ヤンバルトサカヤスデ(Chamberlinius hualienensis)を、鹿児島県にて捕獲した。捕獲したヤスデは、使用するまで−80℃で保管した。
冷凍保存されていた上記ヤンバルトサカヤスデを、液体窒素中、乳鉢と乳棒を使って磨り潰した。得られた粉砕物を40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に加え、3時間撹拌した。得られた懸濁液を遠心分離し、上清を粗酵素液とした。当該粗酵素液に硫酸アンモニウムをその濃度が30%飽和となるまで徐々に添加した後、低温で30分間撹拌した。次いで、4℃、20,000×gで20分間遠心分離し、上清を回収した。得られた上清に硫酸アンモニウムをその濃度が55%飽和となるまで徐々に添加した後、低温で30分間撹拌した。当該分散液を、4℃、20,000×gで20分間遠心分離し、得られた沈殿を40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解した後、同緩衝液で透析した。
得られた粗酵素液を、40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化したDEAE樹脂(TOSOH社製,「TOYOPEARL(登録商標) DEAE−650M」)を充填したカラムに添加した。目的酵素は当該DEAE樹脂に吸着されないため、透過液を回収した。得られた画分に硫酸アンモニウムをその濃度が30%飽和になるまで添加した。当該溶液を、40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0,30%飽和硫酸アンモニウムを含む)で平衡化した疎水性樹脂(TOSOH社製,「TOYOPEARL(登録商標) Butyl−650M」)を含むカラムに添加し、吸着させた。当該カラムを40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0,30%飽和硫酸アンモニウムを含む)で洗浄した後、硫酸アンモニウム濃度を30%飽和から0%まで直線的に低下させた同緩衝液を流すことで、目的酵素を溶出させた。酵素活性を有する画分を回収し、40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)で透析した。
得られた活性画分中の緩衝液を遠心用フィルターデバイス(ミリポア社製,「Amicon」)を用いた限外濾過により20mM Tris−HCl緩衝液(pH9)に交換した後、10mLに濃縮した。得られた濃縮液を、20mM Tris−HCl緩衝液(pH9)で平衡化した陰イオン交換樹脂カラム(GEヘルスケア社製,「Q Sepharoseカラム」)に加え、活性成分を吸着させ、カラムを同緩衝液で洗浄した。吸着されたタンパク質を、同緩衝液中の塩化ナトリウム濃度を0Mから0.5Mに直線的に上昇させることで溶出させた。活性画分を回収し、40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)で透析した。得られた活性画分に150mMになるように塩化ナトリウムを添加し、遠心用フィルターデバイス(ミリポア社製,「Amicon」)を用いた限外濾過により約200μLに濃縮した。得られた濃縮液を、150mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)で平衡化したゲル濾過用カラム(ナカライテスク社製,「COSMOSIL Diol−300−II」)に添加し、同緩衝液を0.5mL/minの速度で流すことによりタンパク質を溶出させた。回収した活性画分に硫酸アンモニウムを30%飽和になるように添加し、40%飽和硫酸アンモニウムと150mM塩化ナトリウムを含む40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)で平衡化した疎水クロマトグラフ用カラム(ナカライテスク社製,「COSMOSIL HIC」)に添加して活性成分を吸着させた。吸着されたタンパク質を、同緩衝液中の硫酸アンモニウム濃度を直線的に低下させることにより溶出させた。二つの活性画分を回収し、それぞれ40mMリン酸カリウム緩衝液(pH7)で透析した。以下、得られた活性化区分を「酵素1」と「酵素2」という。これら酵素を下記条件のHPLCで分析した。
HPLC条件
カラム: COSMOSIL C18−AR−II(4.6mm I.D.×150mm)
移動相: A)0.1%TFA、B)0.1%TFA含有アセトニトリル
グラジエント:25%B(2分)、25→50%B(25分)
流速: 1mL/min
カラム温度: 30℃
検出: 215nm
結果を図2に示す。図2のとおり、酵素1にはリテンションタイム17分と19分の2種類のタンパク質が含まれていた。酵素2はリテンションタイム19分のタンパク質のみであった。
なお、上記において、酵素活性は以下のとおり測定した。先ず、マンデロニトリルを1Mになるようアセトニトリルに溶解した。50mMクエン酸緩衝液(pH5)に、酵素溶液をそのまま或いは必要に応じて希釈して1μL、および1Mマンデロニトリル溶液を5μL加えて合計500μLとし、室温で1分間反応させた。反応後、ヘキサン500μLで反応生成物を抽出し、下記条件のHPLCにて生成したベンゾイルシアニドおよび共存するマンデロニトリルベンゾエートを測定した。
HPLC条件
カラム: COSMOSIL C18−AR−II(4.6mm I.D.×150mm)
移動相: 60%アセトニトリル(0.04%リン酸含む)
流速: 1mL/min
カラム温度: 30℃
検出: 273nm(ベンゾイルシアニド)
232nm(マンデロニトリルベンゾエート)
なお、本発明では、マンデロニトリル酸化酵素活性1Uを、マンデロニトリルからベンゾイルシアニドを1分間に1μmol生成する酵素量と定義する。
実施例2: 至適pHの検討
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素2を、様々なpHに設定した緩衝液中で反応させて至適pHを求めた。その結果、本酵素はpH6〜7で高い活性を示した。しかし、pHの上昇に伴って基質であるマンデロニトリルの自然分解が顕著になるため、反応溶液のpHは5前後が適すると判断した。
実施例3: 至適温度および熱安定性の検討
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素2を様々な温度に設定した緩衝液中で反応させ、至適温度を求めた。その結果、本酵素の至適温度は約20℃であることが判明した。
また、本酵素を25〜70℃で15分間加熱処理した後、酵素活性を測定して熱安定性を調べた。その結果、本酵素は50℃までは80%以上の活性を維持し、60℃でも45%の活性を示すという熱安定性を有していた。
実施例4: 基質特異性の検討
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素2の様々な化合物に対する酸化酵素活性を確認した。被検化合物としては、2−プロパノール、ベンジルアルコール、1−フェニルエタノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、マンデル酸、マンデル酸メチルを用いた。反応後、ヘキサンで抽出した生成物をGC−MSで分析した。
また、被検化合物として置換ベンズアルデヒドシアノヒドリン、置換フェニルアセトアルデヒドシアノヒドリン、アルカナールおよびアルケナールシアノヒドリンについても同様に実験を行った。但しこの場合には、被検化合物を、ヘキサン:酢酸エチル=20:1、10:1または5:1の混合液、或いは、酢酸エチルまたはベンゼンに10mMになるよう溶解し、酵素溶液1μLと50mMクエン酸緩衝液(pH5)100μLの混合溶液に被検化合物溶液を添加し、二相系で15分間反応させた。反応後、被検化合物を溶解した溶媒と同じ溶媒1mLで抽出し、生成物をGC−MSで分析した。
なお、本実施例では、生成物の標品が入手困難であり生成物の定量が困難であるため、酵素反応による生成物の有無で活性の有無を評価した。活性が認められた化合物の化学構造を以下に示す。
上記結果のとおり、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素は、α−シアノヒドリン化合物であってそのシアノ基に対する第2位炭素−第3位炭素間にパイ電子系が存在する化合物に対して活性を示した。
実施例5: 過酸化水素の発生の確認
本発明酵素を用いたマンデロニトリル酸化反応における活性酸素の発生について検討した。上記実施例1の酵素反応条件において、10mMマンデロニトリル、適量のマンデロニトリル酸化酵素2、1mM 4−アミノアンチピリン、1mM N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルフォプロピル)−m−トルイジン、および1U/mLペルオキシダーゼを含む50mMクエン酸緩衝液を用い、反応液量を1mLとして反応を行い、生成した過酸化水素とペルオキシダーゼの作用により生成する色素の発色を、555nmの吸光度により経時的に測定した。その結果、反応時間の経過とともに555nmの吸光度が上昇し、過酸化水素の発生が認められた。
実施例6: 補因子の検討
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素2の溶液に最終濃度が1%になるよう過塩素酸を添加し、37℃で30分間インキュベートした。16,000×gで10分遠心し、沈殿物を取り除いた。回収した上清をHPLCで分析した。その結果、リテンションタイム5.6分に標品と一致するFADを検出した。よって、本発明に係るマンデロニトリル酸化酵素は、補因子としてFADを有することが明らかとなった。
HPLC条件
カラム: COSMOSIL C18−AR−II(4.6mm I.D.×150mm)
移動相: 10%アセトニトリル(0.09%リン酸含む)
流速: 1mL/min
カラム温度: 30℃
検出:PDA 200−500nm
実施例7: マンデロニトリル酸化酵素の部分アミノ酸配列の決定
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素をリジルエンドプロテアーゼでゲル内消化後、生じたペプチド断片をHPLCにて分離し、プロテインシークエンシングシステムにて内部アミノ酸配列を決定した(外部委託)。マンデロニトリル酸化酵素1の部分アミノ酸配列を配列番号5に、マンデロニトリル酸化酵素2の部分アミノ酸配列を配列番号6〜8に示す。
TPLAVVDNRLRV(配列番号5)
EVILSAGALN(配列番号6)
VLLLEAGG(配列番号7)
SRGYIGLRS(配列番号8)
実施例8: マンデロニトリル酸化酵素遺伝子のクローニング
(1) マンデロニトリル酸化酵素1の遺伝子のクローニング
ヤンバルトサカヤスデの体節側方突起から、TRIzol試薬(Life Technologies社)を用いて、全RNAを精製した。得られた全RNAから、SMART RACE cDNA Amplification Kit(Clontech Loaboratories社)、5’−Full RACE Core Set(Takara Bio社)、およびGene Racer Kit(Life Technologies社)を用いて、cDNAを作製した。
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素1のcDNAのクローニングを、以下のように進めた。上記実施例7で得られた配列番号5のアミノ酸配列情報に基づいて、in−houseトランスクリプトームデータベースからマンデロニトリル酸化酵素1をコードするcDNA断片の塩基配列情報を取得し、それをもとに下記の遺伝子配列特異的プライマーを作製した。
ChuaMOX1-1: 5'-CATTGATACGATGGTTCGAGGCGTACACG-3'(配列番号9)
ChuaMOX1-2: 5'-CGGTTGTCAACCACAGCTAATGGAGTCTTG-3'(配列番号10)
上記プライマーを用い、また、Taq DNA ポリメラーゼとしては、Takara Taq(Takara Bio社)、Advantage GC2 Polymerase Mix(Clontech Laboratories社)、KOD plus neo,KOD FX neo(Toyobo社)を使用し、PCRを行った。得られたPCR産物をアガロースゲルで精製し、pBluescript II SK (+)に挿入し、塩基配列を決定した。得られた塩基配列情報から、さらに下記の遺伝子配列特異的プライマーを作製した。なお、下記のプライマーにおいて、「P−5’」は、5’末端がリン酸化されていることを示す。
ChuaMOX1-3: 5'-GGTTCGCATCCAGGGAATGTGGCATTGTGC-3'(配列番号11)
ChuaMOX1-4: 5'-CCCTTACACAGCGATGCTTATTGGGAATG-3'(配列番号12)
P-ChuaMOX1-5: P-5'-GTACAAGAGCTG-3'(配列番号13)
ChuaMOX1-6: 5'-CAATGGACACACTCAAACAGGTGTACAACG-3'(配列番号14)
ChuaMOX1-7: 5'-CCATTGATGGCATACTTAACTCCAATAGCG-3'(配列番号15)
上記プライマーを用い、上記と同様にしてcDNA断片の塩基配列を決定した。PCRによるエラーを防ぐため、21個の独立したクローンを用いた。全長のcDNA配列(配列番号3)は、塩基配列解析ソフトであるATGCとGenetyx Ver.12(Genetyx社)を用いて決定した。
決定された塩基配列より推定アミノ酸配列を求め、推定分子質量62818Daのマンデロニトリル酸化酵素1(配列番号1)を同定した。
(2) マンデロニトリル酸化酵素2の遺伝子のクローニング
上記実施例1で精製したマンデロニトリル酸化酵素2のcDNAのクローニングについては、以下のように進めた。上記実施例7で得られた配列番号6〜8のアミノ酸配列情報に基づいて、マンデロニトリル酸化酵素2をコードするcDNA断片の塩基配列情報を取得し、それをもとに下記の遺伝子配列特異的プライマーを作製した。
ChuaMOx2-1: 5'-GATGCTAATGTGCGTGGTCGTCAGGGG-3'(配列番号16)
ChuaMOx2-2: 5'-GAAATTTGGTCGAGTGTGAACAATGGGCCAC-3'(配列番号17)
酵素1の場合と同様にして、PCRによるエラーを防ぐために11個の独立したクローンを用い、酵素2の全cDNA配列(配列番号4)を決定した。
決定された塩基配列より推定アミノ酸配列を求め、推定分子質量64695Daのマンデロニトリル酸化酵素2(配列番号2)を同定した。

Claims (5)

  1. 下記の(1)〜(3)のいずれかのアミノ酸配列を有することを特徴とするマンデロニトリル酸化酵素。
    (1) 配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列;
    (2) 配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列において1から数個のアミノ酸の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、マンデロニトリルを酸化する活性を有するアミノ酸配列;
    (3) 配列番号1または配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して70%以上の相同性を有し、且つ、マンデロニトリルを酸化する活性を有するアミノ酸配列
  2. SDS−PAGEで検出される分子質量のバンドが67±3.4kDaに表れる請求項1に記載のマンデロニトリル酸化酵素。
  3. 下記の(4)〜(6)のいずれかの塩基配列を有することを特徴とするマンデロニトリル酸化酵素遺伝子。
    (4) 配列番号3または配列番号4に記載の塩基配列;
    (5) 配列番号3または配列番号4に記載の塩基配列において1から数個の塩基の欠失、置換および/または付加を有し、且つ、当該配列にコードされたタンパク質がマンデロニトリルを酸化する活性を有する塩基配列;
    (6) 配列番号3または配列番号4に記載の塩基配列に対して70%以上の相同性を有し、且つ、当該配列にコードされたタンパク質がマンデロニトリルを酸化する活性を有する塩基配列
  4. 請求項3に記載のマンデロニトリル酸化酵素遺伝子を含むことを特徴とするベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターにより形質転換されていることを特徴とする形質転換体。
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